説明

映像信号処理装置

【課題】映像表示装置の製造コストを削減するとともに使い勝手を改善し、画角ズレをより確実に防止する。
【解決手段】映像信号処理装置101は、A/D変換部104から出力されたデジタル映像信号により示される映像の入力水平全画素数及び入力水平有効画素数を取得する画素情報取得部108と、画素情報取得部108から前記入力水平全画素数及び入力水平有効画素数を受け、前記入力水平全画素数のうち前記入力水平有効画素数が占める割合に基づいて、所定の出力水平有効画素数を確保するために必要な出力水平全画素数を算出するPLL制御部109と、PLL制御部109により算出された出力水平全画素数に基づいて、A/D変換部104によるA/D変換及びスキャン変換部105によるスキャン変換に用いるサンプリングクロックを生成するPLL部110を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力映像信号に対してA/D変換及びスキャン変換を行う映像信号処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された映像表示装置は、入力映像信号に対してA/D変換を行うA/D変換回路と、このA/D変換回路の出力に対して解像度の変換を行うスキャン変換回路と、入力映像信号の水平同期信号及び垂直同期信号から水平周波数及び垂直周波数を検出する制御回路と、水平周波数及び垂直周波数の組合せと画角調整データとの対応を記憶するメモリ装置とを備えている。画角調整データは、サンプリングクロックの周波数調整や、スキャン変換の拡大率設定等のためのデータである。この映像表示装置は、制御回路により検出した水平周波数及び垂直周波数の1通りの組合せと対応付けて複数種類の画角調整データがメモリ装置に記憶されている場合、その複数種類の画角調整データを表示媒体に表示する。この表示を認識したユーザーは、いずれか1つの画角調整データを選択し、リモコンを介して映像表示装置に送信する。映像表示装置は、送信された画角調整データを入力映像信号の画角調整データとみなして、上記A/D変換回路及びスキャン変換回路で用いられるサンプリングクロックを決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−184411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、メモリ装置により記憶される画角調整データのデータ量が大きいので、大容量のメモリ装置を設ける必要がある。また、複数種類の画角調整データを表示媒体に表示させる表示手段や、画角調整データをリモコンから受信する受信手段を設ける必要がある。したがって、メモリ装置、表示手段、及び受信手段を設けることにより、製造コストの増大を招いていた。
【0005】
また、画角ズレを防止するためには、ユーザーが適切な画角調整データを選択してリモコンにより送信する必要があり、使い勝手が悪かった。また、ユーザーが不適切な画角調整データを選択すると、画角ズレが生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、映像表示装置の製造コストを削減するとともに使い勝手を改善し、かつ画角ズレをより確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、入力映像信号に対してA/D変換を行ってデジタル映像信号を出力するA/D変換部と、前記A/D変換部から出力されたデジタル映像信号を、所定の出力水平有効画素数を有する映像のデジタル映像信号に変換するスキャン変換を行うスキャン変換部と、水平同期信号の水平周波数を特定するHV特定部と、前記A/D変換部から出力されたデジタル映像信号に基づいて、当該デジタル映像信号により示される映像の入力水平全画素数及び入力水平有効画素数を取得する画素情報取得部と、前記画素情報取得部から前記入力水平全画素数及び入力水平有効画素数を受け、前記入力水平全画素数のうち前記入力水平有効画素数が占める割合に基づいて、前記所定の出力水平有効画素数を確保するために必要な出力水平全画素数を算出するPLL制御部と、前記PLL制御部により算出された出力水平全画素数と前記HV特定部により特定された水平周波数とに基づく周波数のクロックを、前記A/D変換部によるA/D変換及び前記スキャン変換部によるスキャン変換に用いるサンプリングクロックとして生成するPLL部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この態様によると、画素情報取得部により実際に取得された入力水平全画素数及び入力水平有効画素数に基づいて、A/D変換及びスキャン変換に用いるサンプリングクロックが生成されるので、水平周波数及び垂直周波数の組合せと対応付けてサンプリングクロックの周波数調整のためのデータをメモリ装置に記憶させる必要がない。したがって、メモリ装置の容量を削減することにより製造コストを削減できる。
【0009】
また、サンプリングクロックが自動的に一意に生成され、ユーザーが画角調整データを選択してリモコンによって送信しなくてもよいので、使い勝手を改善できる。また、前記表示手段や受信手段を設ける必要もないので、製造コストをさらに削減できる。さらに、画角調整データの誤った選択による画角ズレが発生しないので、画角ズレをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、映像表示装置の製造コストを削減できるとともに使い勝手を改善し、画角ズレをより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る映像信号処理装置を備えた映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る画素情報取得部内の信号を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施形態1に係る映像信号処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1に係る補正前及び補正後の映像を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るサイドパネル表示時の映像を例示する説明図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る図1相当図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1は、映像表示装置100を示す。この映像表示装置100は、本発明の実施形態1に係る映像信号処理装置101、及び表示装置102を備えている。
【0014】
映像信号処理装置101は、映像入力部103、A/D変換部104、スキャン変換部105、HV入力部106、HV特定部107、画素情報取得部108、PLL制御部109、PLL部110、スキャン制御部111、及び信号制御部112を備えている。
【0015】
映像入力部103には、入力映像信号が映像信号処理装置101の外部から入力される。
【0016】
A/D変換部104は、映像入力部103に入力された入力映像信号に対してA/D変換を行ってデジタル映像信号を出力する。
【0017】
スキャン変換部105は、A/D変換部104により出力されたデジタル映像信号を、所望の解像度(出力水平有効画素数、出力垂直有効画素数)を有する映像のデジタル映像信号に変換するスキャン変換を行い、スキャン変換後のデジタル映像信号を表示用映像信号として出力する。表示用映像信号の解像度は、例えば、640ドットx480ライン、800ドットx600ライン、1024ドットx768ライン、1280ドットx1024ライン等に設定される。スキャン変換部105によるスキャン変換は、後述するスキャン制御部111により設定される入力水平有効画素数、入力水平全画素数、及び水平ブランキング画素数と、後述する信号制御部112により設定される入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数、及び垂直ブランキング画素数とに基づいて行われる。
【0018】
HV入力部106には、水平同期信号及び垂直同期信号がパーソナルコンピュータ等から入力される。
【0019】
HV特定部107は、HV入力部106に入力された水平同期信号の水平周波数を特定するとともに、HV入力部106に入力された垂直同期信号の垂直周波数を特定する。
【0020】
画素情報取得部108は、A/D変換部104により出力されたデジタル映像信号に基づいて、当該デジタル映像信号により示される映像の入力水平全画素数、入力水平有効画素数、及び水平ブランキング画素数を取得する。
【0021】
詳しくは、図2に示すように、入力水平全画素数は、水平同期信号の1周期の期間立ち上がる信号αを用いて、水平同期信号の1周期の期間の画素数をカウントすることにより取得される。また、入力水平有効画素数は、水平同期信号の1周期の期間中、デジタル映像信号G,B,Rのうちの少なくとも1つが0でない期間の画素数をカウントすることにより取得される。具体的には、図2の信号βを用いて取得される。さらに、水平ブランキング画素数は、信号αの立ち上がり(水平同期信号の1周期の開始)から水平有効画素に対応する信号βの立ち上がりまでの期間立ち上がる信号γを用いて、この期間の画素数をカウントすることにより取得される。
【0022】
PLL制御部109は、画素情報取得部108から入力水平全画素数と入力水平有効画素数とを受け、入力水平全画素数のうち入力水平有効画素数が占める割合に基づいて、出力水平有効画素数を確保するために必要な出力水平全画素数を算出し、後述するPLL部110に設定する。この出力水平全画素数は、以下の式1により算出される。
【0023】
<出力水平全画素数>=<入力水平全画素数>×<出力水平有効画素数>/<入力水平有効画素数>・・・(式1)
また、PLL制御部109は、以下の式2に示すように、出力水平全画素数と画素情報取得部108により新たに取得された入力水平全画素数との差をPLL補正量として算出する。
【0024】
<PLL補正量>=<出力水平全画素数>−<入力水平全画素数>・・・(式2)
そして、PLL制御部109は、このPLL補正量が所定数値範囲内にあるか否かの判定を行う。例えば、PLL補正量が第1の閾値以上でかつ第2の閾値以下(第1の閾値<第2の閾値)であるか否かを判定する。そして、PLL補正量が所定数値範囲内にあると判定した場合には、新たに算出した出力水平全画素数をPLL部110に設定する一方、PLL補正量が所定数値範囲内にないと判定した場合には、新たに算出した出力水平全画素数をPLL部110に設定しない。
【0025】
PLL部110は、後述する信号制御部112により設定される水平全画素数初期値、又はPLL制御部109により設定された出力水平全画素数と、HV特定部107により特定された水平周波数とに基づく周波数のクロックを、A/D変換部104によるA/D変換及びスキャン変換部105によるスキャン変換に用いるサンプリングクロックとして生成する。このクロックの周波数は、補正前の映像を出力するときには式3を用いて算出される一方、補正後の映像を出力するときには式4を用いて算出される。
【0026】
<クロック周波数>=<水平周波数>×<水平全画素数初期値>・・・(式3)
<クロック周波数>=<水平周波数>×<出力水平全画素数>・・・(式4)
スキャン制御部111は、画素情報取得部108により取得された入力水平全画素数、入力水平有効画素数、及び水平ブランキング画素数をスキャン変換部105に設定する。
【0027】
信号制御部112は、水平周波数及び垂直周波数の組合せと入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数、垂直ブランキング画素数、及び水平全画素数初期値との対応を示すリストを記憶している。そして、信号制御部112は、HV特定部107により特定された水平周波数、及び垂直周波数が変化したか否かを判定する変化判定を行う。また、当該変化判定により水平周波数、及び垂直周波数が変化したと判定した場合には、前記水平周波数、及び垂直周波数の両方がそれぞれに設定された許容範囲内(例えば、第3の閾値以上でかつ第4の閾値以下(第3の閾値<第4の閾値))であるか否かを判定する範囲判定とを行う。そして、当該範囲判定により水平周波数、及び垂直周波数の両方がそれぞれに設定された許容範囲内にあると判定した場合に、上記リストにおいてHV特定部107により特定された水平周波数、及び垂直周波数に対応付けられた入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数、及び垂直ブランキング画素数をスキャン変換部105に設定するとともに、上記リストにおいてHV特定部107により特定された水平周波数、及び垂直周波数に対応付けられた水平全画素数初期値をPLL部110に設定する。なお、信号制御部112は、表示装置102への電源投入時に上記変化判定を行う場合、水平周波数及び垂直周波数が変化したと判定するように構成される。また、範囲判定の許容範囲は、表示装置102に固有のものであり、部特性やスペック等に応じて決定される。
【0028】
また、信号制御部112は、PLL制御部109に動作を指示するPLL制御指示を出力するとともに、スキャン制御部111に動作を指示するスキャン制御指示を出力する。
【0029】
表示装置102は、スキャン変換部105により出力された表示用映像信号により示される映像を表示する。
【0030】
次に、上記のように構成された映像信号処理装置101の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、表示装置102に表示される映像の解像度が640ドットx480ラインであり、入力映像信号の解像度が512ドットx480ラインであり、水平同期信号の水平周波数が31500Hz、垂直同期信号の垂直周波数が60Hz、垂直ライン数が525本である場合の例について説明する。
【0031】
(S201)では、パーソナルコンピュータ等からHV入力部106に水平同期信号及び垂直同期信号が入力され、水平同期信号の水平周波数、及び垂直同期信号の垂直周波数がHV特定部107により特定される。そして、信号制御部112が、HV特定部107により特定された水平周波数及び垂直周波数が変化したか否かを判定する。水平周波数及び垂直周波数の少なくとも一方が変化した場合には処理が(S202)に進む一方、水平周波数及び垂直周波数のいずれも変化していない場合には(S201)の処理が繰り返される。
【0032】
(S202)では、信号制御部112が、HV特定部107により特定された水平周波数及び垂直周波数の両方がそれぞれに設定された許容範囲内であるか否かを判定する。水平周波数及び垂直周波数の両方がそれぞれに設定された許容範囲内である場合には処理が(S203)に進む一方、許容範囲内でない場合には処理が(S201)に戻る。
【0033】
(S203)では、信号制御部112が、リストにおいてHV特定部107により特定された水平周波数、及び垂直周波数に対応付けられた入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数、及び垂直ブランキング画素数をスキャン変換部105に設定する。また、信号制御部112は、リストにおいてHV特定部107により特定された水平周波数、及び垂直周波数に対応付けられた水平全画素数初期値をPLL部110に設定する。
【0034】
(S204)では、信号制御部112が、PLL制御部109に動作を指示するPLL制御指示を出力し、このPLL制御指示に応じてPLL制御部109が、上記式1により出力水平全画素数を算出する。
【0035】
この説明の例では、画素情報取得部108により入力水平全画素数として800ドット、入力水平有効画素数として512ドットが取得されている。したがって、図4に示すように、水平128ドットの画角ズレ(出力水平有効画素数と入力水平有効画素数との差)が生じる。PLL制御部109により算出される出力水平全画素数は、1000ドット(800x640/512=1000)となる。
【0036】
(S205)では、PLL制御部109が、上記式2によりPLL補正量を算出する。この例では、算出されるPLL補正量は、200ドット(1000−800=200)となる。そして、算出したPLL補正量が所定数値範囲内にあるか否かの判定を行う。そして、PLL補正量が所定数値範囲内にあると判定した場合には処理が(S206)に進む一方、PLL補正量が所定数値範囲内にないと判定した場合には処理が(S201)に戻る。
【0037】
(S206)では、PLL制御部109が(S204)で算出した出力水平全画素数をPLL部110に設定する。これにより、PLL部110が新たな出力水平全画素数に基づいてサンプリングクロックを生成するので、出力水平全画素数が変化した場合には、サンプリングクロックの周波数が変化し、A/D変換部104により出力されるデジタル映像信号が変化する。図4の例では、画素情報取得部108により取得される入力水平有効画素数が640ドットとなり、画角ズレが補正される。
【0038】
(S207)では、信号制御部112が、スキャン制御部111に動作を指示するスキャン制御指示を出力し、このスキャン制御指示に応じて、スキャン制御部111が、画素情報取得部108により取得された入力水平全画素数、入力水平有効画素数、及び水平ブランキング画素数をスキャン変換部105に設定する。これにより、画素情報取得部108により新たに取得された入力水平全画素数、入力水平有効画素数、及び水平ブランキング画素数に基づくスキャン変換が行われ、デジタル映像信号を適当な画角に補正して表示装置102に出力できる。
【0039】
映像信号処理装置101に入力映像信号が入力されている間、上記(S201)〜(S207)のフローが繰り返される。
【0040】
なお、本実施形態1では、出力水平全画素数と入力水平全画素数との差をPLL補正量として用いたが、入力水平有効画素数の補正量は入力水平全画素数の補正量に比例するので、出力水平有効画素数と入力水平有効画素数との差をPLL補正量として用いてもよい。
【0041】
図5は、サイドパネル表示時の映像を例示する。この例では、出力水平有効画素数と入力水平有効画素数との差がPLL補正量として用いられ、(S205)における判定に用いられる所定数値範囲は、表示画素数(640)からサイドパネル表示時の出力水平有効画素数(480)を減算して得られる160ドット未満であるものとする。図5では、入力水平全画素数が800ドットでかつ、入力水平有効画素数が480ドットに設定されているので、PLL補正量が160ドットになり、PLL部110に新たな出力水平全画素数の設定が行われない。このように、(S205)での判定に用いる所定数値範囲を適切に設定すれば、サイドパネル信号等、意図的にブランキングを挿入した入力映像信号が映像表示装置100に入力された場合にPLL部110及びスキャン変換部105のサンプリングクロックの周波数が不必要に変更されることを防止できる。
【0042】
また、本実施形態1では、水平表示画素数が水平有効画素数よりも大きい場合について説明したが、水平表示画素数が水平有効画素数よりも小さい場合にも本発明を適用できる。
【0043】
したがって、本実施形態1によると、画素情報取得部108により実際に取得された入力水平全画素数及び入力水平有効画素数に基づいて、A/D変換及びスキャン変換に用いるサンプリングクロックが生成されるので、水平周波数及び垂直周波数の組合せと対応付けてサンプリングクロックの周波数調整のためのデータを信号制御部112に記憶させる必要がない。したがって、信号制御部112に設けるメモリの容量を削減することにより製造コストを削減できる。
【0044】
また、サンプリングクロックが一意に生成され、ユーザーがリモコンにより画角調整データを選択する必要がないので、使い勝手を改善できる。また、表示手段や受信手段を設ける必要もないので、製造コストをさらに削減できる。さらに、画角調整データの誤った選択による画角ズレが発生しないので、画角ズレをより確実に防止できる。
【0045】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る映像信号処理装置301を備えた映像表示装置300を示す。映像信号処理装置301は、実施形態1に係る映像信号処理装置101の構成に加え、入力映像信号を映像信号処理装置301に入力する映像信号線の接続を検出する挿抜検出部302をさらに備えている。
【0046】
図7は、本実施形態2に係る映像信号処理装置301の動作を示すフローチャートである。この図7のフローは、図3のフローに加え、(S401)の処理を有し、また、(S201)の処理に代えて、(S402)の処理を有している。
【0047】
(S401)では、信号制御部112が、挿抜検出部302により映像信号線の接続が検出されているか否かを判定する。検出されていると判定された場合には処理が(S402)に進み、検出されていないと判定された場合には(S401)の処理が繰り返される。
【0048】
(S402)では、実施形態1の(S201)と同じ判定が行われるが、水平周波数及び垂直周波数のいずれも変化していない場合に、処理が(S204)に進む。(S402)のその他の動作は実施形態1の(S201)と同じである。
【0049】
その他の構成及び動作は、実施形態1と同じであるのでその説明を省略する。
【0050】
本実施形態2によると、映像機器等、映像信号の送信元に映像信号処理装置301が接続されていない場合等、映像信号線の接続が検出されない場合には、PLL部110への新たな出力水平全画素数の設定が行われないので、無駄な処理を容易に省くことができる。
【0051】
なお、垂直周波数と垂直ライン数とは、以下の式5の関係を有する。
【0052】
<垂直周波数>=<水平周波数>÷<垂直ライン数>・・・(式5)
したがって、上記実施形態1,2において、信号制御部112に記憶されるリストを、水平周波数及び垂直ライン数の組合せと入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数等との対応を示すものとし、HV特定部107が垂直周波数に代えて、垂直ライン数を特定し、信号制御部112が、HV特定部107により特定された垂直ライン数に基づいて、スキャン変換部105やPLL部110の設定値を特定するようにしてもよい。また、信号制御部112による変化判定は、HV特定部107により特定された水平周波数及び垂直ライン数の少なくとも一方に変化があるか否かの判定であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態1,2において、画素情報取得部108が、入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数、及び垂直ブランキング画素数を検出し、画素情報取得部108により検出された入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数、及び垂直ブランキング画素数が、信号制御部112に記憶されたリストの入力垂直有効画素数、入力垂直全画素数、及び垂直ブランキング画素数の代わりに使用されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る映像信号処理装置は、映像表示装置の製造コストを削減するとともに使い勝手を改善し、画角ズレをより確実に防止する効果を有し、入力映像信号に対してA/D変換及びスキャン変換を行う映像信号処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0055】
101 映像信号処理装置
104 A/D変換部
105 スキャン変換部
107 HV特定部
108 画素情報取得部
109 PLL制御部
110 PLL部
112 信号制御部
301 映像信号処理装置
302 挿抜検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号に対してA/D変換を行ってデジタル映像信号を出力するA/D変換部と、
前記A/D変換部から出力されたデジタル映像信号を、所定の出力水平有効画素数を有する映像のデジタル映像信号に変換するスキャン変換を行うスキャン変換部と、
水平同期信号の水平周波数を特定するHV特定部と、
前記A/D変換部から出力されたデジタル映像信号に基づいて、当該デジタル映像信号により示される映像の入力水平全画素数及び入力水平有効画素数を取得する画素情報取得部と、
前記画素情報取得部から前記入力水平全画素数及び入力水平有効画素数を受け、前記入力水平全画素数のうち前記入力水平有効画素数が占める割合に基づいて、前記所定の出力水平有効画素数を確保するために必要な出力水平全画素数を算出するPLL制御部と、
前記PLL制御部により算出された出力水平全画素数と前記HV特定部により特定された水平周波数とに基づく周波数のクロックを、前記A/D変換部によるA/D変換及び前記スキャン変換部によるスキャン変換に用いるサンプリングクロックとして生成するPLL部とを備えていることを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像信号処理装置において、
前記画素情報取得部は、前記デジタル映像信号により示される映像の水平ブランキング画素数をさらに取得し、
前記スキャン変換部によるスキャン変換は、前記画素情報取得部により取得された入力水平全画素数、入力水平有効画素数、及び水平ブランキング画素数に基づいて行われることを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像信号処理装置において、
前記HV特定部は、垂直同期信号の垂直周波数をさらに特定するものであり、
当該映像信号処理装置は、
前記HV特定部により特定された水平周波数と垂直周波数又は垂直ライン数との変化の有無を周期的に判定する信号制御部をさらに備え、
前記信号制御部が、前記水平周波数と垂直周波数又は垂直ライン数との少なくとも一方に変化が有ると判定したとき、前記PLL制御部による新たな出力水平全画素数の算出、当該新たな出力水平全画素数に基づく前記PLL部による新たなサンプリングクロックの生成、及び前記画素情報取得部により新たに取得された入力水平全画素数、入力水平有効画素数、及び水平ブランキング画素数に基づく前記スキャン変換部によるスキャン変換が行われることを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の映像信号処理装置において、
前記PLL制御部は、前記所定の出力水平有効画素数と前記画素情報取得部により新たに取得された入力水平有効画素数との差に応じたPLL補正量が所定数値範囲内にあるか否かの判定を行い、
前記PLL制御部により前記PLL補正量が所定数値範囲内にないと判定された場合は、前記PLL部は、前記PLL制御部により新たに算出された出力水平全画素数に基づく新たなサンプリングクロックの生成を行わないことを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の映像信号処理装置において、
前記入力映像信号を当該映像信号処理装置に入力する映像信号線の接続を検出する挿抜検出部をさらに備え、
前記挿抜検出部により接続が検出されていない場合は、前記PLL制御部による新たな出力水平全画素数の算出、当該新たな出力水平全画素数に基づく前記PLL部による新たなサンプリングクロックの生成、及び前記画素情報取得部により新たに取得された入力水平全画素数、入力水平有効画素数、及び水平ブランキング画素数に基づく前記スキャン変換部によるスキャン変換が行われないことを特徴とする映像信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128169(P2012−128169A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279293(P2010−279293)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】