説明

映像信号出力装置

【課題】映像信号出力装置において映像表示装置の表示性能情報を基に映像フォーマットを自動的に変換し出力する場合、表示性能情報の取得の失敗や表示性能情報が不正であるために最適な映像フォーマットを選択できない場合がある。
【解決手段】入力映像データを異なる映像フォーマットに変換し出力する変換手段と、映像表示装置から表示性能情報を取得する表示性能情報取得手段と、前記表示性能情報取得手段によって取得した表示性能情報に基づいて前記変換手段によって映像フォーマットを自動的に変換し出力する自動調節手段と、前記変換手段によってユーザが選択した映像フォーマットに変換し出力するユーザ選択手段とを備えた映像信号出力装置であって、前記自動調節手段によって映像フォーマット変換するモードと、前記ユーザ選択手段によって映像フォーマットを変換するモードを切り換えることが可能な映像フォーマット変換モード切換手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像フォーマットを変換し出力することが可能な映像信号出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像信号のデジタル化により、複数の映像フォーマットに対応した映像機器が増加している。また、デジタル放送の普及によりデジタル放送を受信し映像信号を送出する映像信号出力機器、映像を表示する映像表示機器ともに今後ますます増加していくと考えられる。
【0003】
主にデジタル放送で使用される映像フォーマットとしては480i、480p、576i、576p、720p、1080iがある。しかし、すべての映像信号出力機器、映像表示機器が上記映像フォーマットすべてに対応している訳ではない。
【0004】
そのため、映像信号出力機器と映像表示機器を繋いで映像をみる場合、映像信号出力機器は映像表示機器が対応している映像フォーマットで映像を出力する必要がある。
【0005】
特許文献1、特許文献2では、映像信号出力機器においてユーザが任意に映像フォーマットを選択できる手段が記載されている。しかし、映像フォーマットの設定は特別な知識が必要であり、一般ユーザにとって機器を繋ぐ組み合わせを変える度に映像信号出力機器の映像フォーマットを設定し直すのは煩わしさが生じる。
【0006】
特許文献3では、映像信号出力装置が映像表示装置から映像表示装置が表示可能な映像フォーマット(以後、表示性能情報)を取得し、取得した表示性能情報にあわせて自動的に映像フォーマットを変換し出力する手段が記載されている。この手段により、ユーザは対応している映像フォーマットを気にすることなく機器同士を繋げることができる。
【特許文献1】特開2005−117306号公報
【特許文献2】特開2005−167895号公報
【特許文献3】特開2005−109703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、映像表示装置からの表示性能情報の取得に失敗する場合や、正しい表示性能情報を取得できない場合が現実として存在している。例えば、映像表示装置から表示性能情報を取得する過程で何らかの理由によりデータが化けてしまったり、断線等の物理的事由により映像表示装置から表示性能情報を取得できなかったりする可能性がある。また、映像表示装置に記録されている当該映像表示装置の表示性能が正しい情報ではない機器が存在する可能性があり、このような場合、映像信号出力装置は誤った表示性能を当該映像表示装置の表示性能として取得してしまう。
【0008】
この場合、誤った表示性能情報を取得したため、本来高品質な映像で見ることが可能であるにもかかわらず、映像信号出力装置は映像フォーマットを変換し品質を落とした映像を出力してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明では、映像表示装置から当該映像表示装置の表示性能情報を取得し、自動的に映像フォーマットを変換して映像を出力するモード(以後、自動調整モード)と、ユーザが選択した映像フォーマットに変換し映像を出力するモード(以後、ユーザ選択モード)を切り換えることができるようにしたものである。
【0010】
さらに、本発明は、上記2つのモードを切り換える手段として、通常では自動調節モードで映像を変換、出力し、自動調節モードにおいて表示性能情報を取得できなかった場合や表示性能情報が誤った情報であると判定した場合、自動的に自動調節モードからユーザ選択モードへの切り換えを行うことをできるようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる映像信号出力装置によれば、通常においては出力する映像フォーマットを映像表示装置の表示性能情報を基に自動調整し映像を出力することが可能でありながら、ユーザが映像フォーマットを選択しなければならない場合は、ユーザが選択した映像フォーマットで映像を出力できるモードに切り換えることができる。
【0012】
さらに、上記2つのモード切り換えを自動的に行うことでユーザがモード切り換えを行わなくとも、ユーザが映像フォーマットを選択する必要がある場合にのみ自動的にモードが切り換わることで、ユーザがモードを選択する煩わしさも解消され、映像信号出力装置と映像表示装置を繋げて映像を見る場合の装置の設定をより簡単にできるようにする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像信号出力装置100を示す。
【0014】
前記映像信号出力装置100は、システムコントローラ103によって制御され、入力映像を受信する受信部101、映像フォーマットを変換するフォーマット変換部102、映像表示機器から表示性能情報を取得する表示性能情報取得部104、リモコンなどのユーザの操作を受ける入力部105、ユーザの設定情報を記憶する設定情報記憶部106、および、映像出力部107を内蔵している。
【0015】
次に上記構成に従い、本発明の実施の形態1において上記自動調整モードと上記ユーザ選択モードの切り換え動作を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0016】
映像表示装置の表示性能情報は、表示性能情報取得部104で取得される(S1)。
【0017】
表示性能情報の取得に失敗した場合(S2のNo)、ユーザ選択モードへの切り換えを行う(S5)。ユーザ選択モードへの切り換えは、システムコントローラ103が行う。具体的には、システムコントローラ103が、設定記憶部106に記憶された設定情報を読み出してフォーマット変換部102に設定する。
【0018】
一方、表示性能情報を取得できた場合(S2のYes)、取得した表示性能情報の検査をシステムコントローラ103が行う(S3)。
【0019】
表示性能情報が不正な情報と判定された場合(S4のNo)、ユーザ選択モードへの切り換えを行う(S5)。表示性能情報が正しい情報と判定された場合(S4のYes)、自動調整モードへの切り換えを行う(S6)。
【0020】
表示性能情報の検査としては次のような方法が考えられる。一般的な映像表示機器の場合、1080iに対応している機器は480i、480pに対応しているなど、高解像度の映像フォーマットに対応している機器はほぼすべてで低解像度の映像フォーマットにも対応している。従って、取得した表示性能情報が前記条件を満たしていない場合は不正な情報と判定することができる。
【0021】
ユーザ選択モードの場合、入力部105においてユーザから入力され、設定記憶部106において記憶されている映像フォーマットを基にフォーマット変換部102において映像フォーマットの変換を行い、映像出力部107から映像データを出力する。
【0022】
自動調整モードの場合、表示性能情報取得部104において取得され、設定記憶部106に記憶された映像表示機器の表示性能情報と、受信部101からの現在入力されている映像信号の映像フォーマットから最適な映像フォーマットをシステムコントローラ103において選択し、フォーマット変換部102において選択された映像フォーマットに変換して、映像出力部107から映像を出力する。
【0023】
これにより、通常においては出力する映像フォーマットを映像表示装置の表示性能情報を基に自動調整し映像を出力することが可能でありながら、ユーザが映像フォーマットを選択しなければならない場合は、ユーザが選択した映像フォーマットで映像を出力できるモードに切り換えることができる。
【0024】
さらに、上記2つのモード切り換えを自動的に行うことでユーザがモード切り換えを行わなくとも、ユーザが映像フォーマットを選択する必要がある場合にのみ自動的にモードが切り換わることで、ユーザがモードを選択する煩わしさも解消され、映像信号出力装置と映像表示装置を繋げて映像を見る場合の装置の設定をより簡単にできるようにする効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の映像信号出力装置は、通常は映像フォーマットを自動調節し映像を出力することが可能であり、何らかのエラーが発生した場合は自動的に映像フォーマットをユーザが選択できるモードへの切り換えを行うことを可能にしたものであり、映像信号出力装置と映像表示装置を繋げて映像を見る場合の装置の設定をより簡単にできるようにしたものとして商品展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における映像信号出力装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0027】
100 映像信号出力装置
101 受信部
102 フォーマット変換部
103 システムコントローラ
104 表示性能情報取得部
105 入力部
106 設定記憶部
107 映像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示装置と接続された映像信号出力装置が、
映像データを入力する入力手段と、
入力映像データの映像フォーマットを変換して前記映像表示装置に出力する変換手段と、
前記映像表示装置から表示性能情報を取得する表示性能情報取得手段と、
前記変換手段に対して出力すべき映像フォーマットを設定する制御手段を備えており、
前記制御手段は、前記入力映像データから抽出した映像フォーマットと前記表示性能情報取得手段から取得した表示性能情報から出力すべき映像フォーマットを自動的に決定する自動モードと、ユーザの設定に従って出力すべき映像フォーマットを決定するユーザ選択モードで切替え可能に構成されることを特徴とする映像信号出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記表示性能情報取得手段において表示性能情報を一定期間取得できなかった場合に前記自動モードからユーザ選択モードに自動的に切り換えることを特徴とする請求項1の映像信号出力装置。
【請求項3】
さらに、前記表示性能情報取得手段が取得した表示性能情報を検査する表示性能情報検査手段を備え、
前記表示性能情報検査手段において表示性能情報が不正であると判定された場合、前記制御手段は前記自動モードからユーザ選択モードに自動的に切り換えることを特徴とする請求項1の映像信号出力装置。
【請求項4】
前記表示性能情報検査手段は、
取得した表示性能情報が高解像度の映像フォーマットに対応しているが、前記高解像度の映像フォーマットより低解像度の映像フォーマットには対応していない場合に、不正と判定することを特徴とする請求項3の映像信号出力装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−148061(P2007−148061A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343256(P2005−343256)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】