説明

映像再生システム、映像再生方法、映像再生装置及びプログラム

【課題】1つの大きなパノラマ映像の中での多画面において、注視領域の自由な動きや拡大縮小を実現できるともに、1つの大きなパノラマ映像の中の多画面の注視領域の時間同期を実現する。
【解決手段】操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべきパノラマ自由視点映像データが共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、共通受信バッファから表示するべきパノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域のパノラマ自由視点映像データと同期させて、復号手段に出力し、保持されていない場合には、パノラマ自由視点映像サーバから表示するべきパノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域のパノラマ自由視点映像データと同期させて、復号手段に出力する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続して、パノラマ映像情報をサーバから再生する装置において、自由視点映像を複数表示し、多画面の注視領域の時間同期を行う映像再生システム、映像再生方法、映像再生装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、1個のハイビジョン映像に対応した1画面の規格H.264映像情報をネットワークを介して伝送する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「ハイビジョン伝送システムIP−9500のグローバル展開」、富士通、2009.1月、Vol.60、ページ69−75
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に記載の技術においては、複数の表示装置を並べてパノラマ化した場合、各々の装置に対応する各々の映像が送られてくるだけのパノラマ固定映像であり、注視領域の自由な動きや拡大縮小などのいわゆる自由視点映像を再生することができないという問題がある。また、複数の表示装置を並べてパノラマ化したい場合、特に公衆ネットワークなどの遅延やゆらぎが発生している状況では、映像の時刻同期が問題となり、映像の時刻同期装置や制御装置を持せなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、1つの大きなパノラマ映像の中での多画面において、注視領域の自由な動きや拡大縮小を実現できるともに、1つの大きなパノラマ映像の中の多画面の注視領域の時間同期を実現することができる映像再生システム、映像再生方法、映像再生装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、映像を表示する複数の表示装置と、前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する再生装置と、前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムであって、前記再生装置は、前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段と、前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明は、1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、映像を表示する複数の表示装置と、前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する映像再生装置と、前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムにおける映像再生方法であって、前記映像再生装置は、前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段と、制御手段とを備え、前記制御手段が、前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力することを特徴とする。
【0008】
本発明は、1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、映像を表示する複数の表示装置と、前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する映像再生装置と、前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムにおける映像再生装置であって、前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段と、前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、映像を表示する複数の表示装置と、前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する映像再生装置と、前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムにおける映像再生装置上のコンピュータに映像再生処理を行わせる映像再生プログラムであって、前記映像再生装置は、前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段とを備え、前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力する制御ステップを前記コンピュータに行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各々の装置を並べてパノラマ化した場合、パノラマ固定映像になってしまう問題を解決し、1つの大きなパノラマ映像の中での多画面で注視領域の自由視点映像とすることができるという効果が得られる。また、各々の装置の映像の時間同期でなく、1つの大きなパノラマ映像の中の多画面の注視領域の時間同期させることができるというという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】パノラマ自由視点映像の画面構成(全領域ストリームとタイル構成)を示す説明図である。
【図3】パノラマ自由視点映像の画面構成(全領域ストリームとタイル構成と多画面注視領域)を示す説明図である。
【図4】図1に示す共通受信バッファ135の構成を示す説明図である。
【図5】図1に示す再生装置13の処理動作を示すシーケンス図である。
【図6】図1に示す再生装置13の処理動作を示すシーケンス図である。
【図7】図1に示す再生装置13の処理動作を示すシーケンス図である。
【図8】図1に示す再生装置13の処理動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による映像再生システムを説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号11は、パノラマ自由視点映像サーバである。符号12は、ネットワークである。符号13は、映像の再生を行う再生装置である。符号14、15は、再生装置13において再生された映像を表示する表示装置である。ここでは、2台の表示装置A、Bを接続した例を示しているが、必要に応じて、3台以上の表示装置が接続される。
【0013】
符号131は、再生装置13内部の通信バスである。符号132は、再生装置13を統括して動作を制御する制御部である。符号133は、手動の操作を行う操作部である。符号134は、ネットワーク12を介して、パノラマ自由視点映像サーバ11との間で情報の送受信を行う送受信部である。符号135は、映像データを蓄積する共通受信バッファである。符号136、137は、GOP(Group Of Picture)単位の映像データの復号処理を行う復号部である。符号138、139は、2台の表示装置A14、B15を接続するためにインタフェースである。復号部とインタフェースは、少なくとも表示装置の数と同じ数だけ備えられる。
【0014】
次に、図2を参照して、パノラマ自由視点映像の画面構成(全領域ストリームとタイル構成)を説明する。図2は、パノラマ自由視点映像サーバ11が保持しているパノラマ自由視点映像データの画面構成(全領域ストリームとタイル構成)を示す図である。全領域映像21は、タイル22の映像データで構成される。タイル22は、規格H.264などの映像データであり、各々タイムコードを持っている。一般的なパノラマ自由視点映像の注視領域23は、1つの表示装置を対応させて表示する。
【0015】
次に、図3を参照して、パノラマ自由視点映像の画面構成(全領域ストリームとタイル構成と多画面注視領域)を説明する。図3は、パノラマ自由視点映像の画面構成(全領域ストリームとタイル構成と多画面注視領域)を示す図である。全領域映像21は、パノラマ自由視点映像サーバ11が保持している映像データである。タイル22は、規格H.264などの映像データであり、各々タイムコードを持っている。表示Aの注視領域31は、再生装置13の表示装置A14で表示される映像である。表示Bの注視領域32は、再生装置13の表示装置B15で表示される映像である。表示Aの注視領域31や表示Bの注視領域32は、操作部133により自由な動きや拡大縮小いわゆる自由視点映像とすることができる。注視領域は、復号部A136や復号部B137において、タイル番号、再生領域値により復号されて生成される。
【0016】
再生領域情報はタイル番号、再生領域値は注視領域の縦横領域値であり、操作部133において指示した再生領域情報や再生領域値がない場合は、制御部132において保持している初期値が優先される。例えば、表示Aのみ注視領域31の自由な動きや拡大縮小などができる。また、表示Bのみ注視領域32の自由な動きや拡大縮小などができる。ネットワーク帯域が、映像配信に対し、十分大きい場合は、全部のタイルを配信する全配信が行える。ネットワーク帯域が、映像配信に対し、十分大きくない場合は、タイルの一部配信のみの配信となる。
【0017】
次に、図4を参照して、図1に示す共通受信バッファ135の構成を説明する。図4は、パノラマ自由視点映像の共通受信バッファ135の構成を示す図である。共通受信バッファ135は、図2に示す全領域映像21と、タイル22の規格H.264などの映像をタイムコードをもとに、GOP単位で同期されたタイルの映像データを保持している。GOP内のIBPピクチャは役割があり、Iピクチャは、1枚の画面のみを圧縮したものである。Bピクチャは、2つの別画面(例えば過去・未来)の画像サンプルを用いた予想により符号化したものである。Pピクチャは、1つの別画面(例えば過去)の画像サンプルを用いた予想により符号化したものである。従って、映像データがない状態においては、GOPの途中から再生はできない。操作後、直ちに自由な動きや拡大縮小などを表示するには、共通受信バッファ135に注視領域の周りのタイルの映像データも蓄積しておいて、復号部A131、復号部B137へ送り、周りのタイルの映像データも復号しておく。そして、再生領域値の注視領域の映像を切り出し、表示装置で表示する。
【0018】
こうすることで、従来の固定映像の時間同期ではなく、1つの大きなパノラマ映像の中の多画面の注視領域の時間同期を行うことができる。また、共通受信バッファ135を設けることで、1つの大きなパノラマ映像の中での多画面で注視領域の自由視点映像とすることができる。また、操作部133により、注視領域を操作時、映像データがある場合、直ちに次のGOPの画面Aの映像データを直ちに取得でき、画面B再生時、注視領域の映像データがある場合、次のGOPの画面Bの映像データを直ちに取得できるようになる。
【0019】
次に、図5を参照して、図1に示す再生装置13の動作を説明する。図5は、復号部B137の再生開始時に、共通受信バッファ135内に表示するべき映像データがある場合の動作を示すシーケンス図である。まず、パノラマ自由視点映像サーバ11からストリーム配信された(ステップS1)映像データを、送受信部134を介して受信し、共通受信バッファ135に蓄積する。共通受信バッファ135において、映像データのタイムコードをもとにGOP単位で同期調整されて、共通受信バッファ135からストリーム配信される(ステップS2)。ストリーム配信された映像データは、復号部A131に送られて、インタフェース138を介して、表示装置A14において再生表示される。ステップS1において、ストリーム配信された映像データは、ネットワーク12によるゆらぎ遅延などの影響を受けているが、ステップS2において共通受信バッファ135からストリーム配信される映像データは、同期調整がされている。
【0020】
次に、操作部133から注視領域Bの再生開始要求の操作が行われると、操作部133は制御部132に対して、再生開始要求を送る(ステップS3)。制御部132は、復号部B137に対して、タイル番号の再生領域情報と、注視領域の縦横ポイントの再生領域値を含んだ再生準備通知を送る(ステップS4)。これを受けて復号部B137は、デコーダを起動し、再生準備完了通知を制御部132に送る(ステップS5)。続いて、制御部132は、共通受信バッファ135に対して、復号部A131のGOPのフレーム番号要求と再生領域情報と再生領域値を含んだ映像データ要求を送る(ステップS6)。共通受信バッファ135は、要求された映像データがある場合、制御部132に対して、映像データありを示す情報を送る(ステップS7)。そして、共通受信バッファ135において、復号部A131のフレーム番号に合わせてGOP再生を行って、復号部A131と復号部B137の同期したストリーム配信を行う(ステップS8)。これにより、表示装置B15にストリーム配信された映像データが再生表示されることになる。
【0021】
次に、図6を参照して、図1に示す再生装置13の動作を説明する。図6は、復号部B137の再生開始時、共通受信バッファ135内に表示するべき映像データがない場合の動作を示すシーケンス図である。まず、パノラマ自由視点映像サーバ11からストリーム配信された(ステップS11)映像データを、送受信部134を介して受信し、共通受信バッファ135に蓄積する。共通受信バッファ135において、映像データのタイムコードをもとにGOP単位で同期調整されて、共通受信バッファ135からストリーム配信される(ステップS12)。ストリーム配信された映像データは、復号部A131に送られて、インタフェース138を介して、表示装置A14において再生表示される。ステップS1において、ストリーム配信された映像データは、ネットワーク12によるゆらぎ遅延などの影響を受けているが、共通受信バッファ135からストリーム配信される映像データは、同期調整がされている。
【0022】
次に、操作部133から注視領域Bの再生開始要求の操作が行われると、操作部133は制御部132に対して、再生開始要求を送る(ステップS13)。制御部132は、復号部B137に対して、タイル番号の再生領域情報と、注視領域の縦横ポイントの再生領域値を含んだ再生準備通知を送る(ステップS14)。これを受けて復号部B137は、デコーダを起動し、再生準備完了通知を制御部132に送る(ステップS15)。続いて、制御部132は、共通受信バッファ135に対して、復号部A131のGOPのフレーム番号要求と再生領域情報と再生領域値を含んだ映像データ要求を送る(ステップS16)。
【0023】
次に、共通受信バッファ135は、要求された映像データがない場合、制御部132に対して、映像データなしを示す情報を送る(ステップS17)。これを受けて、制御部132は、送受信部134を介して、パノラマ自由視点映像サーバ11に対し、復号部A131のGOPのフレーム番号要求と、タイル番号の再生領域情報と、注視領域の縦横ポイントの再生領域値を含んだ再生開始要求を送る(ステップS18)。パノラマ自由視点映像サーバ11は、制御部132に対し、再生準備完了通知を送り(ステップS19)、送受信部134を介して、共通受信バッファ135に対し、復号部A131のフレーム番号に合わせてGOPのストリーム配信を行う(ステップS20)。共通受信バッファ135は、復号部A131のフレーム番号に合わせてGOPのストリーム配信を行い(ステップS21)、復号部A131と復号部B137において同期されたストリーム配信が行われて、表示装置B137に再生表示されることになる。
【0024】
次に、図7を参照して、図1に示す再生装置13の動作を説明する。図7は、復号部A136、復号部B137の再生中に画面操作が行われた時、共通受信バッファ135内に映像がある場合の動作を示すシーケンス図である。まず、パノラマ自由視点映像サーバ11からストリーム配信された(ステップS31)映像データを、送受信部134を介して受信し、共通受信バッファ135に蓄積する。共通受信バッファ135において、映像データのタイムコードをもとにGOP単位で同期調整されて、共通受信バッファ135から復号部A131と復号部B137に対してストリーム配信される(ステップS32、S33)。ストリーム配信された映像データは、それぞれインタフェース138、139を介して、表示装置A14と表示装置B15において再生表示される。
【0025】
次に、操作部133から移動、拡大縮小の操作が行われると、操作部133は制御部132に対して、操作情報を送る(ステップS34)。制御部132は、復号部B137に対して、タイル番号の再生領域情報と、注視領域の縦横ポイントの再生領域値を含んだ操作情報を送る(ステップS35)。続いて、制御部132は、共通受信バッファ135に対して、復号部A131のGOPのフレーム番号要求と再生領域情報と再生領域値を含んだ映像データ要求を送る(ステップS36)。共通受信バッファ135は、要求された映像データがある場合、制御部132に対して、映像データありを示す情報を送る(ステップS37)。そして、共通受信バッファ135において、復号部A131のフレーム番号に合わせてGOP再生を行って、復号部A131と復号部B137の同期したストリーム配信を行う(ステップS38)。これにより、表示装置B15にストリーム配信された映像データが再生表示されることになる。
【0026】
次に、図8を参照して、図1に示す再生装置13の動作を説明する。図8は、復号部A136、復号部B137の再生中に画面操作が行われた時、共通受信バッファ135内に映像がない場合の動作を示すシーケンス図である。まず、パノラマ自由視点映像サーバ11からストリーム配信された(ステップS41)映像データを、送受信部134を介して受信し、共通受信バッファ135に蓄積する。共通受信バッファ135において、映像データのタイムコードをもとにGOP単位で同期調整されて、共通受信バッファ135から復号部A131と復号部B137に対してストリーム配信される(ステップS42、S43)。ストリーム配信された映像データは、それぞれインタフェース138、139を介して、表示装置A14と表示装置B15において再生表示される。
【0027】
次に、操作部133から移動、拡大縮小の操作が行われると、操作部133は制御部132に対して、操作情報を送る(ステップS44)。制御部132は、復号部B137に対して、タイル番号の再生領域情報と、注視領域の縦横ポイントの再生領域値を含んだ操作情報を送る(ステップS45)。続いて、制御部132は、共通受信バッファ135に対して、復号部A131のGOPのフレーム番号要求と再生領域情報と再生領域値を含んだ映像データ要求を送る(ステップS46)。共通受信バッファ135は、要求された映像データがない場合、制御部132に対して、映像データなしを示す情報を送る(ステップS47)。これを受けて、制御部132は、送受信部134を介して、パノラマ自由視点映像サーバ11に対し、復号部A131のGOPのフレーム番号要求と、タイル番号の再生領域情報と、注視領域の縦横ポイントの再生領域値を含んだ再生開始要求を送る(ステップS48)。パノラマ自由視点映像サーバ11は、制御部132に対し、再生準備完了通知を送り(ステップS49)、送受信部134を介して、共通受信バッファ135に対し、復号部A131のフレーム番号に合わせてGOPのストリーム配信を行う(ステップS50)。共通受信バッファ135は、復号部A131のフレーム番号に合わせてGOPのストリーム配信を行い(ステップS51)、復号部A131と復号部B137において同期されたストリーム配信が行われて、表示装置B137に再生表示されることになる。
【0028】
前述した説明において、図7、図8に示す処理動作は、復号部A136、復号部B137再生中に画面操作した時、表示Bを操作した場合の処理動作を示したものであるが、表示Aを操作した場合も、同様な処理動作となる。また、前述した説明においては、2台の表示装置に表示した場合の例について説明したが、3台以上の表示装置がある場合においても同様である。また、図2において、タイルが縦4×横10の例を示したが、タイルの数を変えても同様である。また、図3において、注視領域の縦横領域値の例を示したが、横縦の領域を自由に変えられるようにしてもよい。また、図3において、注視領域の縦横領域値の例を示したが、縦横に自由に移動できるようにしてもよい。
【0029】
以上説明したように、表示装置を並べてパノラマ化した場合、パノラマ固定映像になってしまう問題を解決するために、1つの大きなパノラマ映像の中での多画面で注視領域の自由視点映像とすることが可能となる。表示装置の映像の時間同期でなく、1つの大きなパノラマ映像の中の多画面の注視領域の時間同期を行うことが可能となる。
【0030】
なお、図1における再生装置13の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより映像再生処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。上記コンピュータには、インターネット接続機能を有するゲーム機やネットTV(当該機能を有するアダプタを外付けする場合も含む)が含まれる。
【0031】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
ネットワークに接続して、パノラマ映像情報をサーバから再生する装置において、自由視点映像を複数表示し、多画面の注視領域の時間同期を行うことが不可欠な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
11・・・パノラマ自由視点映像サーバ、12・・・ネットワーク、13・・・再生装置、31・・・内部通信バス、132・・・制御部、133・・・操作部、134・・・送受信部、135・・・共通受信バッファ、136・・・復号部A、137・・・復号部B、138 ・・・インタフェースA、139・・・インタフェースB、14・・・表示装置A、15・・・表示装置B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、
映像を表示する複数の表示装置と、
前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する再生装置と、
前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムであって、
前記再生装置は、
前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、
前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、
前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、
前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段と、
前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力する制御手段とを備える
ことを特徴とする映像再生システム。
【請求項2】
1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、映像を表示する複数の表示装置と、前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する映像再生装置と、前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムにおける映像再生方法であって、
前記映像再生装置は、前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段と、制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力する
ことを特徴とする映像再生方法。
【請求項3】
1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、映像を表示する複数の表示装置と、前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する映像再生装置と、前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムにおける映像再生装置であって、
前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、
前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、
前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、
前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段と、
前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力する制御手段とを備える
ことを特徴とする映像再生装置。
【請求項4】
1つのパノラマ映像が複数に領域分けされたパノラマ自由視点映像データを保持するパノラマ自由視点映像サーバと、映像を表示する複数の表示装置と、前記領域分けされた複数の前記パノラマ自由視点映像データを再生し、前記複数の表示装置に表示することにより、前記1つのパノラマ映像を再生する映像再生装置と、前記パノラマ自由視点映像サーバと前記再生装置とを接続するネットワークとを備える映像再生システムにおける映像再生装置上のコンピュータに映像再生処理を行わせる映像再生プログラムであって、
前記映像再生装置は、
前記パノラマ自由視点映像サーバから配信された前記パノラマ自由視点映像データを前記ネットワークを介して受信する映像データ受信手段と、
前記受信手段により受信した前記パノラマ自由視点映像データを保持する共通受信バッファと、
前記複数に領域分けされた前記パノラマ自由視点映像データのそれぞれを復号して前記表示装置へ出力する複数の復号手段と、
前記パノラマ映像の視点を変える操作を行う操作手段とを備え、
前記操作手段によって、視点を変える操作が行われた場合に、表示するべき前記パノラマ自由視点映像データが前記共通受信バッファに保持されているか否かを判定し、保持されている場合には、前記共通受信バッファから表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを読み出して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力し、保持されていない場合には、前記パノラマ自由視点映像サーバから前記表示するべき前記パノラマ自由視点映像データを取得して、他の領域の前記パノラマ自由視点映像データと同期させて、前記復号手段に出力する制御ステップを前記コンピュータに行わせる
ことを特徴とする映像再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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