説明

映像再生装置

【課題】映像再生装置において、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに高速に送信できるようにして、スケーラの設定に要する時間を短縮する。
【解決手段】SoC制御プログラムを格納したNAND型フラッシュメモリ10に、スケーラ8の設定用のパラメタを格納した上で、メモリ10の接続先をSoC2とスケーラ8との間で切り換えるためのバスSW11、12を設けた。これにより、スケーラ起動時に、バスSW11とバスSW12によって、メモリ10の接続先をスケーラ8に切り換えて、メモリ10に格納されたスケーラ設定用のパラメタを、メモリ10からパラレルデータ転送でスケーラ8に送信することができるので、従来のIC通信用(シリアルデータ転送用)の制御ラインを介して、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに送信する映像再生装置と比べて、スケーラ設定用のパラメータをスケーラ8に高速に送信できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SoC(System−on−a−Chip)とスケーラとを備えた映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、映像信号の再生機能を含む、自機の主要な機能を実現するための各種回路を搭載した半導体チップであるSoC(System−on−a−Chip)と、このSoCから入力された再生処理後の映像信号に対してスケーリング処理やノイズ・リダクション処理等の画像処理を行って、処理後の映像信号を表示装置に出力するスケーラとを備えた映像再生装置が知られている。この種の映像再生装置では、スケーラの起動時に、通常、回路間のシリアル通信方式の一種であるIC(Inter−Integrated Circuit)通信により、SoC側からスケーラ側に、スケーラ設定用のパラメータが送信されて、スケーラの設定が行われる。
【0003】
次に、図3を参照して、映像再生装置がBDプレーヤである場合における従来のスケーラの設定処理について、詳述する。図3に示される従来例のSoC102とスケーラ108とを備えたBDプレーヤ101では、SoC102とスケーラ108との間が、映像信号(ディジタル・ビデオ信号)と音声信号(ディジタル・オーディオ信号)との伝送用のデータ(信号)ラインL101と、(本来はSoC102からスケーラ108への制御信号伝送用のラインである)IC通信用の制御(信号)ラインL102とで接続されている。
【0004】
また、SoC102(のCPU103)を動作させるためのプログラム(SoC制御プログラム)は、NAND型フラッシュメモリ110等のパラレルデータ転送可能なメモリに格納されており、このプログラムは、装置の起動時に、SoC102によって読み込まれて、SoC内部のRAM105に格納される。そして、SoC102によるSoC制御プログラムの読み込みが完了して、SoC102の起動が完了すると、SoC102は、上記のIC通信用の制御ラインL102を介して、スケーラ108に、スケーラ設定用のパラメータを送信して、スケーラ108の設定を行う。
【0005】
ところで、スケーラを有する光ディスク再生装置の分野において、光ディスクに記録されている複数の解像度の映像データを1つの特定の解像度の映像データに変換する第1のスケーラと、特定の解像度に変換された映像データを、指定される解像度の映像データに変換する第2のスケーラとを備え、光ディスクに記録された1つの連続した映像の中に異なる解像度の映像が含まれている場合であっても、映像の連続性が途切れることなく、かつ広範囲の解像度変換が可能なものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−141322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記図3で説明したIC通信用(シリアルデータ転送用)の制御ラインを介して、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに送信する映像再生装置では、スケーラ設定用のパラメータのデータ量が、シリアルデータ転送で送信するには多過ぎるため、スケーラの設定が完了して、表示装置に映像信号を出力すること(出画)ができるようになるまでに、時間がかかるという問題があった。
【0008】
なお、上記特許文献1に記載された発明では、上記の問題を解消することはできない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、従来のIC通信用(シリアルデータ転送用)の制御ラインを介して、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに送信する映像再生装置と比べて、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに高速に送信することができるようにして、スケーラの設定に要する時間を短縮することが可能な映像再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、映像信号の再生機能を含む、自機の主要な機能を実現するための各種回路を搭載した半導体チップであるSoC(System−on−a−Chip)と、前記SoCから入力された再生処理後の映像信号に対して、この映像信号を表示手段の画面の画素数に合致した映像信号に変換するためのスケーリング処理を含む画像処理を行って、前記表示手段に出力するスケーラと、前記SoCを動作させるためのプログラムを格納した、パラレルデータ転送可能なメモリとを備えた映像再生装置において、前記メモリの接続先を、前記SoCと前記スケーラのいずれかに切り換えるためのメモリ接続先切換手段をさらに備え、前記メモリは、前記SoCを動作させるためのプログラムに加えて、前記スケーラの設定用のパラメタを格納するものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の映像再生装置において、前記メモリは、パラレルデータ転送可能なフラッシュメモリであるものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の映像再生装置において、前記メモリは、パラレルデータ転送可能なNAND型フラッシュメモリであるものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の映像再生装置において、前記メモリ接続先切換手段は、半導体素子から構成されたバススイッチを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、スケーラの起動時に、メモリ接続先切換手段によって、メモリの接続先をスケーラに切り換えて、メモリに格納されたスケーラの設定用のパラメタを、メモリからパラレルデータ転送でスケーラに送信することができるので、従来のIC通信用(シリアルデータ転送用)の制御ラインを介して、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに送信する映像再生装置と比べて、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに高速に送信することができる。これにより、スケーラの設定に要する時間を短縮することができるので、装置の起動時に、表示装置に映像信号を出力すること(出画)ができるようになるまでの時間を短縮することができる。また、メモリの接続先をSoCとスケーラのいずれかに切り換えるためのメモリ接続先切換手段を設けたことにより、SoCを動作させるためのプログラムの格納用のメモリを、スケーラ設定用のパラメタの格納用のメモリとして兼用することができるので、スケーラ設定用のパラメタの格納用に専用のメモリを設けた場合と比べて、装置全体の製造コストの削減を図ることができる。
【0015】
また、請求項2の発明によれば、スケーラの設定用のパラメータを格納するメモリとして、パラレルデータ転送可能なフラッシュメモリを用いたことにより、上記に記載の効果を的確に得ることができる。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、スケーラの設定用のパラメータを格納するメモリとして、安価でパラレルデータ転送可能なNAND型フラッシュメモリを用いたことにより、上記請求項2の効果に加えて、装置全体の製造コストの削減を図ることができる。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、メモリ接続先切換手段として、半導体素子から構成されたバススイッチを用いるようにしたことにより、簡単な制御で、メモリの接続先を切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る映像再生装置であるBDプレーヤの電気的ブロック構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る映像再生装置であるTV受像機の電気的ブロック構成図。
【図3】従来例のSoCとスケーラとを備えたBDプレーヤの電気的ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。第1の実施形態では、本発明の映像再生装置がBD(Blu−ray Disc)プレーヤである場合における例について説明する。図1は、第1の実施形態による映像再生装置であるBDプレーヤ1を示す。BDプレーヤ1は、BD(Blu−ray Disc)に光を照射して得られる反射光を読み取り光として電気信号に変換する光ピックアップユニット(Optical Pickup Unit:以下、「OPU」という)6を有し、このOPU6とBDとを駆動することにより、BDに記録されたデータ(図中のDiskデータ)を読み出すディスクドライブ7を備えている。
【0020】
また、BDプレーヤ1は、映像信号の再生機能を含む、自機の主要な機能を実現するための各種回路を搭載した半導体チップであるSoC(System−on−a−Chip)2と、このSoC2から入力された再生処理後の映像信号に対して、この映像信号をテレビジョン受像機(以下、TV受像機という)等の表示装置の画面の画素数に合致した映像信号に変換するためのスケーリング処理やノイズ・リダクション処理等の画像処理を行って、処理後の映像信号(とSoC2から入力された音声信号と)を表示装置に出力するスケーラ8とを備えている。
【0021】
上記のSoC2は、装置全体の制御を行うCPU3と、ディスクドライブ7で読み出された映像、音声等のデータをデコードして、映像信号(ディジタル・ビデオ信号)と音声信号(ディジタル・オーディオ信号)とを生成するデコーダ4と、装置の起動時にSoC制御プログラム(SoC2(のCPU3)を動作させるためのプログラム)や各種のデータがローディグされるRAM(Random Access Memory)5とを有している。
【0022】
また、上記のスケーラ8は、HDMIの規格に応じた通信により映像信号等を送信するためのインタフェース回路であるHDMIトランスミッタ9を有している。スケーラ8は、スケーリング処理やノイズ・リダクション処理等の画像処理後の映像信号とSoC2から入力された音声信号とを、上記のHDMIトランスミッタ9により、TMDS差動信号の形式でHDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブル21を介してTV受像機等の表示装置に出力する。
【0023】
上記のSoC2とスケーラ8との間は、映像信号(ディジタル・ビデオ信号)と音声信号(ディジタル・オーディオ信号)との伝送用のデータ信号ラインL1と、SoC2からスケーラ8への制御信号伝送用のラインであるIC通信用の制御信号ラインL2とで接続されている。
【0024】
また、BDプレーヤ1は、上記のSoC制御プログラムとスケーラ8の設定用のパラメタ(スケーラ側設定パラメタ)とを格納した、パラレルデータ転送可能なメモリであるNAND型フラッシュメモリ(以下、メモリと略す)10と、メモリ10の接続先をSoC2とスケーラ8のいずれかに切り換えるためのバススイッチ(バスSW)11、12(メモリ接続先切換手段)とを有している。
【0025】
上記のバスSW11、12は、いずれもFET等の半導体素子から構成されたものであり、一方のバスSWは、ノーマリーオンタイプのスイッチであり、他方のバスSWは、ノーマリーオフタイプのスイッチである。ここでは、メモリ10とSoC2(のRAM5)との間を接続するライン上に設けられたバスSW11が、ノーマリーオンタイプのスイッチであり、メモリ10とスケーラ8(の不図示の記憶素子)との間を接続するライン上に設けられたバスSW12が、ノーマリーオフタイプのスイッチである。従って、SoC2のCPU3からSW制御信号ラインL3を介してバスSW11、12に出力されるSW制御信号がLowの時に、バスSW11がオンになって、メモリ10の接続先が、SoC2(のRAM5)に切り換えられ、SW制御信号がHighの時に、バスSW12がオンになって、メモリ10の接続先が、スケーラ8(の不図示の記憶素子)に切り換えられる。
【0026】
上記のノーマリーオンタイプのバスSW11としては、例えば、接合形FET等のノーマリーオンタイプの半導体スイッチング素子を用いればよい。また、ノーマリーオフタイプのバスSW12としては、例えば、MOS FET等のノーマリーオフタイプの半導体スイッチング素子を用いればよい。
【0027】
上記のバスSW11を介してメモリ10とSoC2(のRAM5)との間を接続するラインL4a、L4bは、図示では簡単にするために一本のラインで示しているが、これらのラインは、いずれも、メモリ10からSoC2へのパラレルデータ転送を可能にするために、複数のラインから構成されている。また、バスSW12を介してメモリ10とスケーラ8(の不図示の記憶素子)との間を接続するラインL5a、L5bも、メモリ10からスケーラ8へのパラレルデータ転送を可能にするために、複数のラインから構成されている。
【0028】
また、BDプレーヤ1は、各種のメッセージ等を表示するための表示部13と、リモートコントロール信号(以下、リモコン信号と略す)を受信するためのリモコン信号受信部14とを備えている。また、BDプレーヤ1は、ユーザからの指示操作に応じたリモコン信号を送信するリモートコントローラ(以下、リモコンと略す)20を有している。
【0029】
上記構成のBDプレーヤ1では、装置の起動時には、SoC2のCPU3からSW制御信号ラインL3を介してバスSW11、12に出力されるSW制御信号がLowになるので、バスSW11がオンになり、バスSW12がオフになる。このため、バスSW11を介してメモリ10とSoC2(のRAM5)との間が接続され、メモリ10からSoC2のRAM5にSoC制御プログラムがローディングされる。このSoC制御プログラムのローディングが完了すると、SoC2のCPU3は、SoC制御プログラムに従って、スケーラ8を起動させるために、バスSW11、12に出力するSW制御信号をHighにする。これにより、バスSW11がオフになり、バスSW12がオンになるので、バスSW12を介してメモリ10とスケーラ8(の不図示の記憶素子)との間が接続され、スケーラ8からの要求に基づいて、メモリ10に格納されたスケーラ8の設定用のパラメタが、スケーラ8にパラレルデータ転送で送信されて、スケーラ8(の不図示の記憶素子)に格納される。
【0030】
なお、上記のスケーラ8の起動時には、スケーラ8は、SoC2のスレーブではなく、マスタとして動作するが、起動が完了すると、スケーラ8は、上記図3に示される従来のBDプレーヤ101と同様、IC通信用の制御ラインL2を介してSoC2から送信される制御信号に基づき、SoC2のスレーブとして動作する。
【0031】
上記のように、本実施形態のBDプレーヤ1によれば、スケーラ8の起動時に、バスSW11とバスSW12によって、メモリ10の接続先をスケーラ8に切り換えて、メモリ10に格納されたスケーラ設定用のパラメタを、メモリ10からパラレルデータ転送でスケーラ8に送信することができるので、従来のIC通信用(シリアルデータ転送用)の制御ラインを介して、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに送信する映像再生装置と比べて、スケーラ設定用のパラメータをスケーラ8に高速に送信することができる。これにより、スケーラ8の設定に要する時間を短縮することができるので、装置の起動時に、TV受像機等の表示装置に映像信号を出力すること(出画)ができるようになるまでの時間を短縮することができる。
【0032】
また、メモリ10の接続先をSoC2とスケーラ8のいずれかに切り換えるためのバスSW11、12を設けたことにより、SoC制御プログラムの格納用のメモリ10を、スケーラ設定用のパラメタの格納用のメモリとして兼用することができるので、スケーラ設定用のパラメタの格納用に専用のメモリを設けた場合と比べて、装置全体の製造コストの削減を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態のBDプレーヤ1によれば、スケーラ8の設定用のパラメータを格納するメモリ10として、安価でパラレルデータ転送可能なNAND型フラッシュメモリを用いたことにより、装置全体の製造コストの削減を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態のBDプレーヤ1によれば、請求項におけるメモリ接続先切換手段として、FET等の半導体素子から構成されたバスSW11、12を用いるようにしたことにより、簡単な制御で、メモリ10の接続先を切り換えることができる。
【0035】
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施形態による映像再生装置であるテレビジョン受像機(以下、TV受像機という)31について説明する。ここでは、TV受像機31が、ディジタルテレビジョン放送の映像と音声を出力可能な液晶テレビジョン受像機である場合の例について説明する。図2に示されるように、TV受像機31は、映像信号の再生機能を含む、自機の主要な機能を実現するための各種回路を搭載した半導体チップであるSoC32と、このSoC32から入力された再生処理後の映像信号に対して、この映像信号を液晶モジュール39が有する液晶パネルの画面の画素数に合致した映像信号に変換するためのスケーリング処理やノイズ・リダクション処理等の画像処理を行って、処理後の映像信号を液晶モジュール39に出力するスケーラ38とを備えている。
【0036】
上記のSoC32は、装置全体の制御を行うCPU33と、アンテナ51を介してディジタルテレビジョン放送信号(トランスポートストリーム)を受信するためのチューナ34と、チューナ34で受信したトランスポートストリーム中のパケットをデコードすることにより、映像信号(ディジタル・ビデオ信号)、音声信号(ディジタル・オーディオ信号)、及びデータ信号を生成するデコーダ35と、装置の起動時にSoC制御プログラム(SoC32(のCPU33)を動作させるためのプログラム)や各種のデータがローディグされるRAM(Random Access Memory)36を有している。
【0037】
上記のSoC32とスケーラ38との間は、上記の映像信号、音声信号及びデータ信号の伝送用のデータ信号ラインL11と、SoC32からスケーラ38への制御信号伝送用のラインであるIC通信用の制御信号ラインL12とで接続されている。
【0038】
また、TV受像機31は、上記のメモリ10と同様なNAND型フラッシュメモリであるメモリ40と、上記のバスSW11と同様なノーマリーオンタイプのスイッチであるバスSW41と、上記のバスSW12と同様なノーマリーオフタイプのスイッチであるバスSW42と、(上記のSW制御信号ラインL3と同様な、)SoC32のCPU33からバスSW41、42にSW制御信号を出力するためのSW制御信号ラインL13とを有している。SoC32のCPU33からSW制御信号ラインL13を介してバスSW41、42に出力されるSW制御信号がLowの時に、バスSW41がオンになって、メモリ40の接続先が、SoC32(のRAM36)に切り換えられ、SW制御信号がHighの時に、バスSW42がオンになって、メモリ40の接続先が、スケーラ38(の不図示の記憶素子)に切り換えられる。
【0039】
また、TV受像機31は、バスSW41を介してメモリ40とSoC32(のRAM36)との間を接続するラインL14a、L14bと、バスSW42を介してメモリ40とスケーラ38(の不図示の記憶素子)との間を接続するラインL15a、L15bとを有しており、これらのラインL14a、L14b、L15a、L15bは、いずれもメモリ10からSoC2又はスケーラ38へのパラレルデータ転送を可能にするために、複数のラインから構成されている。
【0040】
また、TV受像機31は、スケーラ38から出力された画像処理後の映像信号に基づく画像を表示するための液晶モジュール39と、SoC32のデコーダ35から入力された音声信号(ディジタル・オーディオ信号)を増幅してD/A(Digital to Analog)変換する音声信号処理回路45と、音声信号処理回路45から出力されたアナログ形式の音声信号に基づく音声を出力するスピーカ46とを備えている。上記の液晶モジュール39は、主に、液晶パネルと、駆動用プリント基板と、バックライトから構成されている。
【0041】
また、TV受像機31は、リモコン信号を受信するためのリモコン信号受信部44と、ユーザからの指示操作に応じたリモコン信号を送信するリモコン50とを有している。
【0042】
上記構成のTV受像機31では、装置の起動時には、SoC32のCPU33からSW制御信号ラインL13を介してバスSW41、42に出力されるSW制御信号がLowになるので、バスSW41がオンになり、バスSW42がオフになる。このため、バスSW41を介してメモリ40とSoC32(のRAM36)との間が接続され、メモリ40からSoC32のRAM36にSoC制御プログラムがローディングされる。このSoC制御プログラムのローディングが完了すると、SoC32のCPU33は、SoC制御プログラムに従って、スケーラ38を起動させるために、バスSW41、42に出力するSW制御信号をHighにする。これにより、バスSW41がオフになり、バスSW42がオンになるので、バスSW42を介してメモリ40とスケーラ38(の不図示の記憶素子)との間が接続され、スケーラ38からの要求に基づいて、メモリ40に格納されたスケーラ38の設定用のパラメタが、スケーラ38にパラレルデータ転送で送信されて、スケーラ38(の不図示の記憶素子)に格納される。
【0043】
なお、上記のスケーラ38の起動時には、スケーラ38は、SoC32のスレーブではなく、マスタとして動作するが、起動が完了すると、スケーラ38は、上記図3に示される従来のBDプレーヤ101と同様、IC通信用の制御ラインL12を介してSoC32から送信される制御信号に基づき、SoC32のスレーブとして動作する。
【0044】
上記のように、第2の実施形態のTV受像機31によれば、スケーラ38の起動時に、バスSW41とバスSW42によって、メモリ40の接続先をスケーラ38に切り換えて、メモリ40に格納されたスケーラ設定用のパラメタを、メモリ40からパラレルデータ転送でスケーラ38に送信することができるので、従来のIC通信用(シリアルデータ転送用)の制御ラインを介して、スケーラ設定用のパラメータをスケーラに送信する映像再生装置と比べて、スケーラ設定用のパラメータをスケーラ38に高速に送信することができる。これにより、スケーラ38の設定に要する時間を短縮することができるので、装置の起動時に、液晶モジュール39の液晶パネルの画面に映像信号を出力すること(出画)ができるようになるまでの時間を短縮することができる。
【0045】
また、メモリ40の接続先をSoC32とスケーラ38のいずれかに切り換えるためのバスSW41、42を設けたことにより、SoC制御プログラムの格納用のメモリ40を、スケーラ設定用のパラメタの格納用のメモリとして兼用することができるので、スケーラ設定用のパラメタの格納用に専用のメモリを設けた場合と比べて、装置全体の製造コストの削減を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態のTV受像機31によれば、スケーラ38の設定用のパラメータを格納するメモリ40として、安価でパラレルデータ転送可能なNAND型フラッシュメモリを用いたことにより、装置全体の製造コストの削減を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態のTV受像機31によれば、請求項におけるメモリ接続先切換手段として、FET等の半導体素子から構成されたバスSW41、42を用いるようにしたことにより、簡単な制御で、メモリ40の接続先を切り換えることができる。
【0048】
なお、本発明は、上記の各実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記第1及び第2の実施形態では、本発明をBDプレーヤ及びTV受像機に適用した場合の例を示したが、本発明を、ハードディスクレコーダ、DVDプレーヤ、DVDレコーダ、BDレコーダ等の映像再生装置に適用してもよい。また、上記第1及び第2の実施形態では、スケーラ8、38の設定用のパラメータを格納するメモリ10、40として、NAND型フラッシュメモリを用いた場合の例を示したが、スケーラ設定用のパラメータを格納するメモリは、これに限られず、パラレルデータ転送可能なメモリであればよい。
【符号の説明】
【0049】
1 BDプレーヤ(映像再生装置)
2 SoC
8 スケーラ
10 メモリ
11 バスSW(メモリ接続先切換手段)
12 バスSW(メモリ接続先切換手段)
31 TV受像機(映像再生装置)
32 SoC
38 スケーラ
39 液晶モジュール(表示手段)
40 メモリ
41 バスSW(メモリ接続先切換手段)
42 バスSW(メモリ接続先切換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号の再生機能を含む、自機の主要な機能を実現するための各種回路を搭載した半導体チップであるSoC(System−on−a−Chip)と、
前記SoCから入力された再生処理後の映像信号に対して、この映像信号を表示手段の画面の画素数に合致した映像信号に変換するためのスケーリング処理を含む画像処理を行って、前記表示手段に出力するスケーラと、
前記SoCを動作させるためのプログラムを格納した、パラレルデータ転送可能なメモリとを備えた映像再生装置において、
前記メモリの接続先を、前記SoCと前記スケーラのいずれかに切り換えるためのメモリ接続先切換手段をさらに備え、
前記メモリは、前記SoCを動作させるためのプログラムに加えて、前記スケーラの設定用のパラメタを格納することを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
前記メモリは、パラレルデータ転送可能なフラッシュメモリであることを特徴とする請求項1に記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記メモリは、パラレルデータ転送可能なNAND型フラッシュメモリであることを特徴とする請求項2に記載の映像再生装置。
【請求項4】
前記メモリ接続先切換手段は、半導体素子から構成されたバススイッチを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の映像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−5010(P2013−5010A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131053(P2011−131053)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】