説明

映像表示装置

【課題】自己診断処理の実行時に外部から外部入力信号を入力させることなく,実際の動作状態に近い状態で自己診断処理を行うことのできる映像表示装置を提供すること。
【解決手段】外部から入力される外部入力信号に基づいて映像及び音声を再生する映像表示装置において,当該映像表示装置の動作状態を診断する自己診断処理を実行する際に(ステップS3のYes側),当該映像表示装置の通常動作時(ステップS2)に予め不揮発性のバッファメモリ等に予め記憶されていた前記外部入力信号に基づいて映像及び音声を再生させる(ステップS5〜S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,外部から入力される外部入力信号に基づいて映像や音声を再生する映像表示装置に関し,特に,自己の状態を診断する自己診断機能を有する映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビジョン受像機や液晶ディスプレイなどの映像表示装置は,外部から入力される外部入力信号に基づいて映像や音声を再生する。具体的に,液晶テレビジョン受像機では,テレビジョン放送受信アンテナからテレビジョン放送信号を受信し,該テレビジョン放送信号からTS(トランスポート・ストリーム)信号を復調する。そして,そのTS信号から映像信号や音声信号を分離して液晶パネルやスピーカに出力することにより,その映像信号や音声信号に基づく映像や音声を再生する。
このような映像表示装置は,異常の有無や異常の内容などの自己の現在の状態を自動的に診断する自己診断機能を有することがある。この自己診断機能は,例えば映像表示装置の出荷後,該映像表示装置の修理やメンテナンス等を行う際に利用される。なお,例えば特許文献1には,電子回路基板の不良箇所を自動的に検索するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−263571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,映像表示装置で自己診断機能により自己診断処理を実行するとき,実際に外部から外部入力信号を入力せずに,シミュレーションにより生成される擬似信号などを用いて動作を診断することも考えられるが,それでは映像表示装置の実際の動作状態について診断することはできない。即ち,実際の動作状態で診断を行うためには,外部から外部入力信号が実際に映像表示装置に入力されるという状況を作り出す必要がある。
例えば,映像表示装置をテレビジョン放送受信アンテナやDVD再生装置などに接続し,テレビジョン放送信号やDVD再生信号を外部入力信号として映像表示装置に入力させればよい。これにより,実際の動作状態でしか再現しないような異常があったとしてもその異常を検出すること等が可能となる。
しかしながら,映像表示装置の修理やメンテナンス等を行う際に,テレビジョン放送受信アンテナやDVD再生装置などに接続してテレビジョン放送信号やDVD再生信号を外部入力信号として入力させることは必ずしも容易ではない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,自己診断処理の実行時に外部から外部入力信号を入力させることなく,実際の動作状態に近い状態で自己診断処理を行うことのできる映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,外部から入力される外部入力信号に基づいて映像及び音声を再生する映像表示装置に適用されるものであって,当該映像表示装置の動作状態を診断する自己診断処理を実行する自己診断手段と,当該映像表示装置の通常動作時に外部から入力される前記外部入力信号を記憶する外部入力信号記憶手段とを備えてなり,前記自己診断手段が,前記自己診断処理を実行する際に,前記外部入力信号記憶手段に予め記憶された前記外部入力信号に基づいて映像及び音声を再生させることを特徴とする映像表示装置として構成される。例えば,前記外部入力信号記憶手段は,外部から入力される前記外部入力信号の一時記憶に用いられる不揮発性のバッファメモリである。
本発明によれば,前記自己診断処理を実行する際,実際に外部から前記外部入力信号を入力させることなく,前記外部入力信号記憶手段から前記信号再生手段に前記外部入力信号を入力させることにより,容易に実際の動作状態に近い状態を作り出して前記自己診断処理を実行することが可能となる。
例えば,外部から入力されるテレビジョン放送信号からトランスポートストリーム信号を復調する復調手段を更に備えてなり,前記外部入力信号が,前記復調手段によって復調された前記トランスポートストリーム信号であることが考えられる。
本発明のより具体的な構成としては,当該映像表示装置の通常動作時に実行される通常動作プログラムが記憶された第1の記憶手段と,前記自己診断処理を実行するための自己診断プログラムが記憶された第2の記憶手段と,前記自己診断手段が実行するプログラムの読み出し先を前記第1の記憶手段及び前記第2の記憶手段の間で切り替えるプログラム切替手段とを更に備えることが考えられる。この場合,前記自己診断手段が,前記プログラム切替手段によってプログラムの読み出し先が前記第1の記憶手段から前記第2の記憶手段に切り替えられることにより,該第2の記憶手段に記憶された前記自己診断プログラムに従って前記自己診断処理を実行することになる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,前記自己診断処理を実行する際,実際に外部から前記外部入力信号を入力させることなく,前記外部入力信号記憶手段から前記信号再生手段に前記外部入力信号を入力させることにより,容易に実際の動作状態に近い状態を作り出して前記自己診断処理を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機の概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機において実行される自己診断制御処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず,本発明の実施の形態に係る液晶テレビジョン受像機X(映像表示装置の一例)の概略構成について説明する。なお,本発明は,液晶表示パネルを用いた液晶表示装置に限らず,プラズマ表示パネルや有機EL表示パネルなどを用いた各種の映像表示装置に適用可能である。
図1に示すように,液晶テレビジョン受像機Xは,複数のチューナ1,外部信号入力部2,信号分離回路3,制御回路4,不揮発性メモリ5,リモコン受光部6,及びリモコン(リモート操作器)7,映像復号回路11,映像選択・合成回路12,映像処理回路13,液晶ドライバ14,液晶表示パネル15,LED駆動回路16,バックライト装置17,音声復号回路21,音声選択回路22,音声処理回路23,アンプ24,スピーカ25等を備えている。前記液晶テレビジョン受像機Xは,外部から入力されるテレビジョン放送信号に基づいて,前記液晶表示パネル15及び前記スピーカ25によって映像及び音声を再生する。
【0009】
前記リモコン受光部6は,当該液晶テレビジョン受像機Xの操作用のリモコン7から,所定の信号伝送プロトコル(いわゆるリモコンプロトコル)に従って,赤外線による無線信号受信を行う信号伝送インターフェースである。そして,前記リモコン受光部6は,赤外線信号から前記リモコン7に対する操作入力情報を表す信号を抽出し,その信号を前記制御回路4に伝送する。
前記制御回路4は,メインCPU4a,EEPROM4bなどの制御機器を有しており,該メインCPU4aで,前記不揮発性メモリ5から制御プログラムを読み出して前記EEPROM4bに展開し,該制御プログラムに従った処理を実行することにより,当該液晶テレビジョン受像機X全体を制御するものである。
ここに,前記不揮発性メモリ5には,当該液晶テレビジョン受像機Xの通常動作時に実行される通常動作プログラムが予め記憶された記憶領域51(第1の記憶手段の一例)と,当該液晶テレビジョン受像機Xの動作状態を診断する自己診断処理を実行するための自己診断プログラムが予め記憶された記憶領域52(第2の記憶手段の一例)とが設けられている。前記不揮発性メモリ5の記憶領域51,52には,例えば所定のインターフェース(SPI I/Fなど)により外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から,前記通常動作プログラムや前記自己診断プログラムを書き込むことが可能である。もちろん,前記不揮発性メモリ5には,これらの制御プログラムの他,前記液晶テレビジョン受像機Xに関する各種の制御パラメータなども記憶されている。
なお,前記メインCPU4aは,初期状態において,前記不揮発性メモリ5の記憶領域51にアクセスして前記通常動作プログラムを実行するよう構成されている。もちろん,前記記憶領域51,52は,個別に設けられた2つの不揮発性メモリ(第1の記憶手段,第2の記憶手段に相当)に設けられたものであってもよい。
そして,前記メインCPU4aは,前記不揮発性メモリ5におけるアクセス先のメモリアドレスを切り替えることにより,該メインCPU4aで実行するプログラムの読み出し先を前記記憶領域51及び前記記憶領域52の間で切り替える。ここに,係る処理を実行するときの前記メインCPU4aがプログラム切替手段に相当する。なお,前記記憶領域51,52が異なる不揮発性メモリに設けられている場合には,前記メインCPU4aの信号経路の接続先をその2つの不揮発性メモリのいずれかに機械的に切り替えるスイッチを有することも考えられる。この場合には,そのスイッチがプログラム切替手段に相当する。
【0010】
前記チューナ1は,不図示のアンテナによって受信されたテレビジョン放送信号から放送中のコンテンツ(放送番組)の信号を抽出する電子部品である。なお,前記チューナ1は,放送媒体(地上波,BS,CS等)ごとに個別に設けられる。
具体的に,前記チューナ1は,前記メインCPU4aにより選択を指示された放送番組の信号が含まれる搬送波周波数成分の信号をテレビジョン放送信号から抽出し,その搬送波周波数成分からトランスポートストリーム信号(Transport Stream信号:以下,TS信号)を復調する。ここに,前記復調処理を実行するときの前記チューナ1が復調手段に相当する。そして,前記チューナ1で復調された後のTS信号(外部入力信号の一例)は後段の前記信号分離回路3に伝送される。なお,本実施の形態では,前記チューナ1が前記搬送波周波数成分からTS信号を復調する機能を有する構成を例に挙げて説明するが,前記搬送波周波数成分からTS信号を復調する復調回路(復調手段の一例)が前記チューナ1とは別に設けられる構成も他の実施例として考えられる。
さらに,例えば契約者だけが視聴することができるように前記チューナ1で受信されるテレビジョン放送信号にスクランブル処理が施されている場合,前記チューナ1や前記復調回路がその暗号を解除するための所定のカードがカードリーダにセットされていることを条件に該テレビジョン放送信号からTS信号を復調する構成も考えられる。
【0011】
前記信号分離回路3は,通常動作時に前記チューナ1から入力されるTS信号を順に記憶する不揮発性のバッファメモリ31(外部入力信号記憶手段の一例)と,前記バッファメモリ31から順に読み出されるTS信号から映像信号及び音声信号,並びにメタデータ(コンテンツ情報)などを分離して出力する分離処理部32とを備えている。
前記バッファメモリ31は,前記チューナ1と前記分離処理部32との間に介在して,該チューナ1から入力されるTS信号をバッファリング(一時記憶)するために用いられる。前記バッファメモリ31では,前記チューナ1から入力されるTS信号が古いものから順に上書き保存され,上書きされるまでの間は最後のデータが保持される。従って,前記液晶テレビジョン受像機Xによるテレビジョン放送などの視聴が行われた後は,最後に受信したTS信号が常に前記バッファメモリ31に記憶されていることとなる。
前記分離処理部32は,前記メインCPU4aから受けたPID(Packet IDentification)に応じて,視聴対象となる放送番組に対応した映像信号及び音声信号をTS信号から分離し,映像信号を前記映像復号回路11に,音声信号を前記音声復号回路21にそれぞれ伝送する。これにより,前記液晶テレビジョン受像機Xでは,後述するように前記映像信号や前記音声信号に基づいて映像や音声が再生される。
【0012】
前記映像復号回路11は,前記信号分離回路3から伝送される映像信号を復号し,復号した映像信号を前記映像選択・合成回路12に伝送する。
また,前記外部信号入力部2は,例えばDVDプレイヤーやブルーレイディスクプレイヤー,Webストリーミングの受信装置(インターネットモデム等)などの外部装置から映像信号及び音声信号を入力する信号入力インターフェースである。前記外部信号入力部2に入力された映像信号は前記映像選択・合成回路12に伝送され,音声信号は前記音声選択回路22に伝送される。なお,前記外部信号入力部2は,前記映像信号に重畳されたメタデータを抽出して前記メインCPU4aに入力する。
前記映像選択・合成回路12は,前記メインCPU4aからの制御指令に従って,前記映像復号回路11を通じて入力される放送番組のコンテンツの映像信号と,前記外部信号入力部2を通じて入力される外部入力コンテンツの映像信号との中から,1つ又は複数の映像信号を選択して前記映像処理回路13へ伝送する。
前記映像処理回路13は,前記メインCPU4aからの制御指令に従って,前記映像信号に基づく映像を前記液晶表示パネル15に表示させるために前記液晶ドライバ14に供給するフレーム画像信号を生成する。また,前記映像処理回路13は,前記メインCPU4aからの制御指令に従って,前記フレーム画像信号に含められる各コンテンツの画像のサイズを調節する機能なども有している。
【0013】
前記液晶ドライバ14は,前記映像処理回路13から所定周期で順次伝送されてくる前記フレーム画像信号に基づいて前記液晶表示パネル15を制御し,そのフレーム画像信号に対応する1フレーム分(1コマ)の画像を前記液晶表示パネル15に順次表示させる回路である。
前記液晶表示パネル15は,前記液晶ドライバ14による制御に応じて,前記バックライト装置17からの光の透光率を変更し,前記フレーム画像信号に対応する映像を表示する従来周知のアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである。
前記バックライト装置17は,前記液晶表示パネル15の背面側にマトリクス状に配置された多数のLEDを有しており,該液晶表示パネル15を背後から照明する,いわゆる直下型LEDバックライト装置である。また,前記LED駆動回路16は,前記メインCPU4aからの制御指令に従って,前記バックライト装置17の駆動(点灯)を制御する。
【0014】
一方,前記音声復号回路21は,前記信号分離回路3から伝送される音声信号を復号し,復号した音声信号を前記音声選択回路22に伝送する。
また,前記音声選択回路22は,前記メインCPU4aからの制御指令に従って,前記チューナ1により選局された放送番組のコンテンツの音声信号(前記音声復号回路21を通じて入力される音声信号)と,前記外部信号入力部2を通じて入力される音声信号との中から1つの音声信号を選択して前記音声処理回路23へ伝送する回路である。
そして,前記音声処理回路23は,前記メインCPU4aからの指示に従って,前記音声選択回路22により選択された音声信号に対して各種信号処理を行うものである。例えば,前記スピーカ25の特性に合わせたイコライズ処理や,サラウンド処理等を行う。
また,前記アンプ24は,前記音声処理回路23による処理後の音声信号を,前記メインCPU4aからの指示に従って増幅或いは減衰させる処理を行い,前記スピーカ25に出力するものである。これにより前記スピーカ25は,前記アンプ24から入力された前記音声信号に基づく音声を再生(出力)する。
【0015】
そして,前記液晶テレビジョン受像機Xでは,前記メインCPU4aによって後述の自己診断制御処理(図2参照)が実行されることにより,必要に応じて当該液晶テレビジョン受像機Xの状態を診断する自己診断処理が実行される。
以下,図2のフローチャートに従って,前記自己診断制御処理の手順の一例について説明する。ここに,図中のS1,S2,…は処理手順(ステップ)の番号を表している。
【0016】
(ステップS1〜S3)
まず,当該液晶テレビジョン受像機Xの電源が投入されると,前記メインCPU4aは,前記通常動作プログラムが記憶された前記記憶領域51にアクセス先を設定することによって該通常動作プログラムを読み出し,該通常動作プログラムに従ってテレビジョン放送の再生などの通常動作を実行する。
ここで,前記メインCPU4aは,前記信号分離回路3を制御することにより,前記液晶テレビジョン受像機Xの通常動作時において映像及び音声を再生するときに外部から入力され,前記チューナ1によって復調されるTS信号を前記バッファメモリ31に順に記憶させる(ステップS2)。また,前記バッファメモリ31に記憶されたTS信号は順次前記分離処理部32に入力される。なお,前記メインCPU4aは通常動作時,前記ステップS2の他にも通常の液晶テレビジョン受像機が実行する各種の処理を実行するが,それらについては従来と同様であればよいため,ここでは説明を省略する。
そして,続くステップS3では,前記メインCPU4aは,前記自己診断処理の開始要求がなされたか否かを判断する。例えば,前記メインCPU4aは,サービスマン等による前記リモコン7に対する特殊操作により前記自己診断処理の開始要求がなされたか否かを判断する。また,前記自己診断処理の開始要求を行うためのスイッチが前記液晶テレビジョン受像機X本体に設けられていてもよい。もちろん,異常発生時などに自動的に前記メインCPU4aが前記自己診断処理の開始要求があったと判断することも考えられる。
ここで,前記自己診断処理の開始要求がなされたと判断されると(S3のYes側),処理はステップS4に移行し,前記自己診断処理の開始要求がなされていなければ(S3のNo側),処理は前記ステップS2に戻され,通常動作が継続して実行される。
【0017】
(ステップS4〜S7)
一方,前記自己診断処理の開始要求がなされると(S3のYes側),続くステップS4において,前記メインCPU4aは,プログラムの読み出し先を前記記憶領域51から前記記憶領域52に切り替える。これにより,その後,前記メインCPU4aは,前記記憶領域52から前記自己診断プログラムを読み出し,該自己診断プログラムに従って当該液晶テレビジョン受像機Xの動作状態を診断する自己診断処理を実行する(S5)。ここに,係る自己診断処理を実行するときの前記メインCPU4aが自己診断手段に相当する。なお,前記自己診断処理の結果(異常内容や異常箇所など)は前記液晶表示パネル15に表示される。
ここで,前記メインCPU4aは,前記自己診断処理を実行する際,前記液晶テレビジョン受像機Xの通常動作時に前記バッファメモリ31に予め記憶されていたTS信号を,該バッファメモリ31から前記分離処理部32に転送することにより,該液晶テレビジョン受像機XでそのTS信号に基づいて映像及び音声を再生させる(ステップS6)。なお,前記バッファメモリ31から前記分離処理部32へのTS信号の転送は,前記メインCPU4aによって行われてもよいが,例えばDMAコントローラ等を設けておき,該DMAコントローラによるDMA転送によって行われてもよい。
従って,前記液晶テレビジョン受像機Xでは,当該自己診断処理の開始時に,実際に外部からTS信号を入力させることなく,前記バッファメモリ31からTS信号を前記分離処理部32に入力させることにより,実際の動作状態に近い状態で自己診断処理を行うことができる。
なお,前記自己診断処理の具体的内容については,前記バッファメモリ31に予め記憶されていたTS信号を前記分離処理部32に入力させることを除き,従来と同様であればよいため,ここではその詳細な説明を省略するが,例えば,前記自己診断処理では,前記信号分離回路3へのTS信号の入力から前記液晶表示パネル15による映像の表示や前記スピーカ25による音声の出力までの間に介在する各種の電気回路の動作の適否が判断される。
その後,ステップS7において,前記メインCPU4aは,前記自己診断処理が終了したか否かを判断しており,終了したと判断すると(S7のYes側),処理を前記ステップ1に戻して通常動作を再開する。一方,前記自己診断処理が終了するまでの間(S7のNo側),前記メインCPU4aは,処理を前記ステップS5に戻して前記自己診断処理を継続して実行する。
【0018】
なお,本実施の形態では,前記メインCPU4aが,前記自己診断処理(ステップS5)を実行するか否かを判断する場合を例に挙げて説明したがこれに限らない。例えば,前記メインCPU4aの接続先を,前記通常動作プログラムが記憶された不揮発性メモリと前記自己診断プログラムが記憶された不揮発性メモリとのいずれかに切り替える機械的なスイッチが設けられており,サービスマンなどがそのスイッチを操作することによって,前記液晶テレビジョン受像機Xの動作状態を通常動作と自己診断処理とのいずれかに切り替えることも他の実施例として考えられる。
また,前記TS信号に代えて前記テレビジョン放送信号を外部入力信号として捉えてもよく,この場合,前記テレビジョン放送信号を不揮発性のバッファメモリ等に記憶させておき,前記自己診断処理を実行する際に,そのバッファメモリに予め記憶されていたテレビジョン放送信号を前記信号分離回路3に入力させればよい。もちろん,前記外部信号入力部2から入力される映像信号や音声信号を前記外部入力信号として捉えることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は,テレビジョン受像機やディスプレイ装置などの映像表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0020】
X :液晶テレビジョン受像機(映像表示装置の一例)
1 :チューナ
2 :外部信号入力部
3 :信号分離回路
31:バッファメモリ
32:分離処理部
4 :制御回路
4a:メインCPU
4b:EEPROM
5 :不揮発性メモリ
51:記憶領域(第1の記憶手段の一例)
52:記憶領域(第2の記憶手段の一例)
6 :リモコン受光部
7 :リモコン
11:映像復号回路
12:映像選択・合成回路
13:映像処理回路
14:液晶ドライバ
15:液晶表示パネル
16:LED駆動回路
17:バックライト装置
21:音声復号回路
22:音声選択回路
23:音声処理回路
24:アンプ
25:スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される外部入力信号に基づいて映像及び音声を再生する映像表示装置であって,
当該映像表示装置の動作状態を診断する自己診断処理を実行する自己診断手段と,当該映像表示装置の通常動作時に外部から入力される前記外部入力信号を記憶する外部入力信号記憶手段とを備えてなり,
前記自己診断手段が,前記自己診断処理を実行する際に,前記外部入力信号記憶手段に予め記憶された前記外部入力信号に基づいて映像及び音声を再生させることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
外部から入力されるテレビジョン放送信号からトランスポートストリーム信号を復調する復調手段を更に備えてなり,
前記外部入力信号が,前記復調手段によって復調された前記トランスポートストリーム信号である請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
当該映像表示装置の通常動作時に実行される通常動作プログラムが記憶された第1の記憶手段と,前記自己診断処理を実行するための自己診断プログラムが記憶された第2の記憶手段と,前記自己診断手段が実行するプログラムの読み出し先を前記第1の記憶手段及び前記第2の記憶手段の間で切り替えるプログラム切替手段とを更に備えてなり,
前記自己診断手段が,前記プログラム切替手段によってプログラムの読み出し先が前記第1の記憶手段から前記第2の記憶手段に切り替えられることにより,該第2の記憶手段に記憶された前記自己診断プログラムに従って前記自己診断処理を実行するものである請求項1又は2のいずれかに記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記外部入力信号記憶手段が,外部から入力される前記外部入力信号の一時記憶に用いられる不揮発性のバッファメモリである請求項1〜3のいずれかに記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−19423(P2012−19423A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156365(P2010−156365)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】