説明

映像記録再生装置

【課題】テレビジョン放送の番組内容を画像認識により認識し、希望するジャンルの番組のみを一定の録画エリアに順次録画することで、常に最新の番組をみることができるようにし使い勝手を向上させる。
【解決手段】希望するジャンルの番組の特徴を記憶しておく手段(12)、とテレビジョン放送の番組を記憶する手段(11)と、希望するジャンルの番組かどうかを画像認識で判断する手段(10)と、希望する番組を受信したと判断した時にそのジャンルの番組を一定の場所に録画する手段(14、15)と、により構成し、希望するジャンルの番組のみを一定の録画エリアに順次録画することで、つねに最新の番組をみることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本件は、映像記録再生装置に係り、特にテレビジョン放送信号から番組内容を判断し特定のジャンル(ニュース、天気予報等)の番組のみを録画する映像記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】こうした装置に類する従来技術の一例としては、特開平6−276454号公報に記載の希望するジャンルの番組を受信したらチャンネルを自動的に切換えて希望する番組を表示するものがある。これは、テレビ局が放送電波の映像信号として有効に利用できない部分(垂直帰線消去期間)を利用してジャンル別コードを送信する。ユーザは希望するジャンルコード(映画、ドラマ、ニュース等)を予約しておくと、チューナ部からの受信したジャンルコードを判定部で比較し、一致した場合はチャンネルを現在見ている番組から希望するジャンルの番組放送に切換えるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術においては、希望のジャンルの放送が始まった段階でその番組に自動的に切換えるがユーザはその場にいて視聴しなければならないし、あとでみることもできない。また、放送局側から送信される文字多重放送によるジャンルコードによって希望するジャンルの番組かどうかを判断しているが、日本国内の場合のジャンルコードは付加されておらずジャンルコード自体による判断ができないなどの問題があった。
【0004】本発明は上記従来技術の問題を解決するもので、ユーザが希望するジャンル(例えば「ニュース」、「天気予報」等)を映像信号から認識し、しかも、希望ジャンル毎に記憶媒体の決められた位置に録画する映像記録再生装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するために、放送局側から送信されるジャンルコードなどの情報によらず、ユーザが希望するジャンル番組の画像の特徴(例えば「ニュース」は特定人物が大きく映っているなど)を予め記憶しておき、該記憶している画像と放送される画像とを比較し、その画像の傾向が比較的一致する場合、ユーザの希望するジャンルの番組と判断し録画を開始し、ユーザが任意の時間に希望するジャンルの番組を視聴できるようにするために以下に示すような手段を設ける。
(1)ジャンルを判断する比較画像を記憶する手段。
【0006】(2)比較画像と番組の画像を比較してジャンルを判断する手段。
【0007】(3)希望するジャンルの番組を特定位置に録画する手段。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図1のブロック図によって説明する。図1において、1は磁気テープ、2は回転シリンダ、3は磁気ヘッド、4は切り換えスイッチ、5は映像信号処理回路、6はアンテナ、7はチューナ、8は音声信号処理回路、9はテープ位置情報読み書き回路、10はマイクロコンピュータ(以下マイコン)、11は画像メモリ、12は比較認識画像メモリ、13は録画ジャンル設定、14は録画位置設定、15はテープ駆動回路、16はモータ、以下に動作概要を説明する。
【0009】磁気テープ1に接して回転シリンダ2上に取付られて回転する磁気ヘッド3は磁気テープ1から再生信号を拾い出す。これを磁気ヘッド切り換えスイッチ4にて切り換えることにより、時間的に連続した再生信号を得る。ここで磁気ヘッド切り換えスイッチ4は磁気テープ1に2つの回転ヘッドのうち何れかの方が接しているかに従って、接している側の再生信号を選択して切り換える。このタイミングは回転シリンダ5に取り付けられた磁石(図示せず)が作る磁場をセンサ(図示せず)で検出するなどして得るのが一般的である。この様にして得られた再生信号は信号処理回路5で変換処理され、RF信号あるいはベースバンドの映像信号として出力される。
【0010】ここでテープ1を挿入して、テレビジョン放送を録画する場合を説明する。
【0011】テレビジョン放送の電波はアンテナ6に入力されチューナ7に供給される。チューナ7において希望の放送局を選局する。チューナ7において選局された番組は音声信号処理回路8において音声信号として出力される。また映像信号処理回路5において映像信号として出力される。この音声信号と映像信号を磁気テープ1に録画する場合、音声信号と映像信号はスイッチ4に供給され磁気ヘッド3によって磁気テープ1に録画される。録画開始と同時にテープ位置情報読み書き回路9では、テープの位置情報であるタイムコード等を磁気テープ1に録画する。この情報は例えば映像信号のブランキング部分などにコード化して書き込むなどの手段がある。
【0012】一方、音声信号処理回路8において音声信号として出力された信号をマイコン10に供給する。このマイコン10では内部で音声信号のレベルの大きさを検出し、番組放送中かコマーシャルメッセージ放送中かを判断するための要素として利用する。
【0013】他方、映像信号処理回路5において映像信号として出力された信号はディジタル信号として画像メモリ11に供給する。この画像メモリ11では少なくとも1フィールド以上の容量を持つ。画像メモリ11に供給した信号は画像メモリ内に蓄積される。また、比較認識画像メモリ12には、希望するジャンルの番組を認識するためのジャンル毎の特徴の画像パターンが予め記憶されている。録画ジャンル設定13により希望ジャンルを設定すると、マイコン10は希望するジャンルの特徴を画像パターンとして比較認識画像メモリ12に設定する。マイコン10では、画像メモリ10の画像情報と、比較認識画像メモリ12の画像パターンを比較し、希望するジャンルの番組かどうかを認識する。マイコン10内部で希望するジャンルの番組と認識した場合、マイコン10はこの認識した番組を録画する動作に入る。まず、そのジャンルの番組を最後に録画した位置の情報を録画位置記憶14から読み取り、テープ駆動回路15にテープの位置を番組を録画するための位置へ移動するよう指示を出し、テープ駆動回路15はモータ16を回転させてテープを録画する位置に移動させる。テープ位置情報読み書き回路9で読み取るテープ位置の情報から録画する位置にまで移動を完了したら番組の録画を開始する。この時、録画を開始した位置に頭出し信号を録画しておく。番組が終了した時点で録画を終了しその時の終了位置をテープ位置情報読み書き回路9から読み取り、マイコン10を通して録画位置記憶14に記録しておく。
【0014】ここで、番組認識から番組のテープへの録画、終了について詳細を説明する。図2はマイコン7内におけるジャンル別番組認識から番組の録画の開始、終了の仕組みの一例をPAD図で示したものである。まず、録画したいジャンルを設定する。たとえば「ニュース」や「天気予報」などのように設定する。この設定したジャンルに基づいて、比較認識画像メモリ12に希望するジャンルの特徴的な画像のパターンを設定する。この特徴的な画像のパターンとは例えばジャンルが「ニュース」の場合、アナウンサーやキャスターが中心に映る事や、また、その背後にニュースの見出しが映ること多い。そこで図3に示すように中心に人物、背後に見出しという輪郭の特徴を画像のパターンとする。「天気予報」の場合は、先ずは日本全国の天気概況を解説するために日本地図が映し出される事が多いので図4に示すように「日本地図」の輪郭を画像のパターンとする。この比較認識画像メモリ12に設定した画像のパターンと画像メモリ11に記憶した現在受信中の番組の画像パターンの輪郭部分などを比較する。比較した結果、全く一致することは有り得ないが、比較パターンとの傾向が類似するようであれば、希望するジャンルの番組が開始したと認識し録画を開始する。また、既に録画を開始している場合は録画を継続する。ここで、録画する場合について説明する。図5はテープ1の長手方向にジャンル毎に番組が録画されている様子を模式した図である。図5の場合、「ニュース」と「天気予報」の2つのジャンルを設定してある。ニュース番組を録画するエリアと天気予報番組を録画するエリアがあり、それぞれニュース番組が3つ録画、天気予報番組が2つ既に放送された順番に録画されている。つまり「ニュース3」、「天気予報2」が受信した最新の番組ということとなる。いま、上述した番組認識によりニュース番組が認識された時は、このニュース番組は「ニュース3」のあとの未記録部分に「ニュース4」として録画する。そこで「ニュース3」の終了信号を検出しこれを検出した後、頭出し信号をまず最初に録画して「ニュース4」として録画を開始する。ニュース番組の録画エリアとして確保したエリア以上にニュース番組を録画する場合は過去の古い番組(この場合は「ニュース1」)に重ね書きを行なう。これによって常にニュース番組の録画エリアには最新のニュース番組が録画されることになる。つぎに、比較画像パターンと受信番組の画像パターンの比較をした結果、一定時間類似しない場合、番組自体がコマーシャルメッセージ(以下CM)を放送中かどうかを判断しCMが放送中であったら録画を継続し、CMを放送中でなければ、希望するジャンルと異なる番組が開始し、希望するジャンルの番組が終了したと判断して録画を停止し終了信号を記録する。なお、CMが放送中かの判断は、音声信号や映像信号の特徴から判断することができる。
【0015】以上説明したように、本実施例によればテレビジョン番組の内容を画像認識により判断し、希望するジャンルの番組であればその番組を一定の録画エリアに順次録画していくことができ常に最新の希望するジャンルの番組を録画し再生して見ることができる。
【0016】なお、上記の説明では録画媒体として磁気テープを用いているが、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの映像信号や音声信号を記憶できるものなら種類は問わない。
【0017】図6は本発明の他の実施例を説明するブロック図である。図1の実施例と同じ要素には同一の番号を付加してある。第1の実施例と異なるのは番組を認識する手段が画像認識ではなく番組コードで認識する点である。図6において17は番組コード認識回路である。テレビジョン番組自体にジャンル別のコードが付加されている場合は、このジャンル別のコードを認識するだけで簡単に放送番組のジャンルが分類できる。
【0018】ここでテープ1を挿入して、テレビジョン放送を録画する場合を説明する。
【0019】テレビジョン放送の電波はアンテナ6に入力されチューナ7に供給される。チューナ7において希望の放送局を選局する。チューナ7において選局された番組は音声信号処理回路8において音声信号として出力される。また映像信号処理回路5において映像信号として出力される。この音声信号と映像信号を磁気テープ1に録画する場合、音声信号と映像信号はスイッチ4に供給され磁気ヘッド3によって磁気テープ1に録画される。録画開始と同時にテープ位置情報読み書き回路9では、テープの位置情報であるタイムコード等を磁気テープ1に記録する。この情報は例えば映像信号のブランキング部分などにコード化して書き込むなどの手段がある。
【0020】チューナ7からの信号を番組コード認識回路17に供給する。番組コード認識回路17ではテレビジョン放送に付加されている番組のジャンル別のコードを認識し、マイコン10にジャンル別のコードを供給する。マイコン10では録画ジャンル設定13で設定した希望するジャンル別コードと番組コード認識回路17から供給されたジャンル別コードと比較し、希望するジャンルの番組かどうかを認識する。マイコン10内部で希望するジャンルの番組と認識した場合、マイコン10はこの認識した番組を録画する動作に入る。まず、そのジャンルの番組を最後に録画した位置の情報を録画位置記憶14から読み取り、テープ駆動回路15にテープの位置を番組を録画するための位置へ移動するよう指示を出し、テープ駆動回路15はモータ16を回転させてテープを録画する位置に移動させる。テープ位置情報読み書き回路9で読み取るテープ位置の情報から録画する位置にまで移動を完了したら番組の録画を開始する。この時、録画を開始した位置に頭出し信号を記録しておく。番組コード認識回路17からのジャンル別コードと録画ジャンル設定13で設定したジャンル別コードを比較し一致しなくなった時点で番組が終了したと判断し録画を終了しその時の終了位置をテープ位置情報読み書き回路9から読み取り、マイコン10を通して録画位置記憶14に録画しておく。
【0021】以上説明したように、本実施例によればテレビジョン番組のジャンルをテレビジョン放送に付加されるジャンルコードにより判断し、希望するジャンルの番組であればその番組を一定の録画エリアに順次録画していくことができ常に最新の希望するジャンルの番組を録画し再生して見ることができる。
【0022】なお、上記の説明では録画媒体として磁気テープを用いているが、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの映像信号や音声信号を記憶できるものなら種類は問わない。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明によれば以下のような効果を奏する。
【0024】1)テレビジョン番組の希望するジャンルの番組を認識することができる。
【0025】2)希望するジャンルの番組を一定のエリアに順次録画していき、常に最新の番組を録画し再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のブロック図。
【図2】本発明の1アルゴリズム。
【図3】本発明のニュース番組認識用比較パターンの例。
【図4】本発明の天気予報番組認識用比較パターンの例。
【図5】本発明の番組録画位置の例。
【図6】本発明の他の実施例のブロック図。
【符号の説明】
1…磁気テープ、
2…回転シリンダ、
3…磁気ヘッド、
4…切り換えスイッチ、
5…映像信号処理回路、
6…アンテナ、
7…チューナ、
8…音声信号処理回路、
9…テープ位置情報読み書き回路、
10…マイクロコンピュータ、
11…画像メモリ、
12…比較認識画像メモリ、
13…画像ジャンル設定、
14…画像位置設定、
15…テープ駆動回路、
16…モータ、
17…放送コード認識回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】テレビジョン放送信号を記録媒体に記録し、また、この記録媒体からテレビジョン放送信号を再生する映像記録再生装置において、上記テレビジョン放送信号の中の映像信号を記憶する手段(11)と、録画を希望するジャンルの番組を設定しておく手段(13)と、録画を希望するジャンルの番組の特徴を記憶しておく手段(12)と、録画を希望するジャンルの番組を認識する手段(10)と、録画を希望するジャンルの番組を一定の場所に録画する手段(14、15、16)と、を備えたことを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項2】テレビジョン放送信号を記録媒体に記録し、また、この記録媒体からテレビジョン放送信号を再生する映像記録再生装置において、上記テレビジョン放送信号の中の放送コードを認識する手段(17)と、録画を希望するジャンルの番組を設定しておく手段(13)と、録画を希望するジャンルの番組を認識する手段(10)と、録画を希望するジャンルの番組を一定の場所に録画する手段(14、15、16)と、を備えたことを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項3】請求項1に記載の映像記録再生装置において、録画を希望するジャンルの番組を認識する手段は、録画を希望するジャンルの番組の画像パターンと受信しているテレビジョン放送の画像パターンとを比較することで番組を認識することを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項4】請求項1又は請求項2に記載の映像記録再生装置において、録画を希望するジャンルの番組を一定の場所に録画する手段は、録画を希望するジャンルの番組が認識されるごとに一定の場所に順次録画され、常に最新の希望するジャンルの番組が録画されることを特徴とする映像記録再生装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平9−293360
【公開日】平成9年(1997)11月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−106789
【出願日】平成8年(1996)4月26日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)