説明

映像音声再生装置及びその信号出力方法

【課題】 接続された機器の音声再生能力に合わせて、出力すべき映像仕様とは独立に、音声仕様(音声フォーマット)を設定可能な映像音声再生装置及びその信号出力方法を提供する。
【解決手段】この発明の1つの実施の形態によれば、再生装置が再生可能な音声データおよび映像データのフォーマットを取得する検出/判定部201と、検出/判定部により取得された再生装置が再生可能な音声データおよび映像データのフォーマットのうち、再生装置の内で、ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置が接続されていることを検出する設定処理部213と、設定処理部213により、ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置が接続されていることが検出された場合に、ビットストリームデータを、直接受信し、再生可能な再生装置に出力する出力信号処理部と、を有する映像音声再生装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接続された機器の音声再生能力に合わせて、出力すべき映像仕様とは独立に、音声仕様(音声フォーマット)を設定可能な映像音声再生装置及びその信号出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクを記録媒体として提供される映像及びオーディオ情報を再生可能な装置として、DVD規格の光ディスクから映像を再生するプレーヤ装置や、同規格の光ディスクに映像情報を記録可能なレコーダ装置が実用化されて久しい。
【0003】
今日、DVD規格を発展させたHD(High−Definition) DVD規格の光ディスクや、HD DVD規格と同様に1枚のディスクに多くの映像を高密度に記録可能なBlu−Ray(ブルーレイ)規格の光ディスクも既に実用化され、それぞれ、プレーヤ装置やレコーダ装置が入手可能である。
【0004】
なお、HD DVD規格の光ディスクに収容されているコンテンツから映像及び音声を再生可能なプレーヤ装置の多くには、例えばHDMI(High−Definition Multimedia Interface)に代表される双方向通信インタフェースが搭載されている。
【0005】
このため、HDMIを介して、プレーヤ装置と接続される音響機器や映像音声再生装置すなわちAVコントローラ(及びスピーカ)やテレビ受像機が再生可能な音声仕様(音声フォーマット)が、プレーヤ装置側で検出可能である。
【0006】
反面、HD DVD規格の光ディスクにおいては、Standard content(スタンダードコンテンツ)規格に加え、スタンダードコンテンツと独立して用意されたAdvaced content(アドバンスドコンテンツ)規格が規定されており、アドバンスドコンテンツ規格に準拠したアドバンスドコンテンツが収容されている映像ソフトも既に入手可能であるが、一部ソフト(コンテンツ)には、音声(オーディオ)の一部に、メインオーディオ/サブオーディオ/エフェクトオーディオの仕様の異なるコンテンツも存在する。
【0007】
特許文献1には、再生機が、複数の符号化された音声データを有するコンテンツを再生する場合、利用者がどの符号化方式を再生するかを意識せずとも、再生機がデジタルインタフェースを介して出力機側の機器固有情報部から音声再生条件を示す情報を獲得することによって、再生機の再生音声の符号化方式を選択するとともに、出力機側で受信再生できる出力データフォーマット形式に変換して出力するものが示されている。
【特許文献1】特開2006−294120
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、受信側から音声再生条件(EDID(Extended Display Identification Data)より)を取得するが、ユーザ設定や音声ストリームの種類により、メイン/サブ/エフェクトオーディオ、メイン/サブビデオの出力方法を変更する方法については、開示されていない。
【0009】
このため、例えばサブオーディオに加え、エフェクトオーディオも用意されているコンテンツを再生する場合、ユーザに、再生機(受信側)の再生能力を把握し、特定の音声(オーディオ)を出力させない、等の特別な操作が求められる。
【0010】
この発明の目的は、出力すべき映像仕様とは独立に、再生機が再生可能な出力音声仕様を設定可能で、ユーザの特別な操作が不要な映像音声再生装置及びその信号出力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第1の音声および映像再生装置ならびに任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第2の音声および映像再生装置から、それぞれの再生装置が再生可能な前記音声データおよび前記映像データのフォーマットを取得する手段と、前記取得する手段により取得された前記それぞれの再生装置が再生可能な前記音声データおよび前記映像データのフォーマットのうち、前記それぞれの再生装置の内で、ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置が接続されていることを検出する手段と、前記検出する手段により、前記ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置が接続されていることが検出された場合に、前記ビットストリームデータを、直接、前記ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置に出力する手段と、
を有する映像音声再生装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施の形態の1つによれば、HBRオーディオを再生する際、メインオーディオとサブオーディオ及びエフェクトオーディオを同時に出力できない再生モードにおいては、ユーザに分かりやすいユーザインタフェースを提供できる。
【0013】
また、HD DVDのアドバンストコンテンツを再生する場合において、メインビデオとメインオーディオに加え、サブビデオとサブオーディオ及びエフェクトオーディオを同時に出力(再生)可能な装置が接続されている場合には、ユーザによりHBRオーディオを再生しないことが指定されない場合に、HBRオーディオを、ビットストリームとして再生可能な装置に出力可能である。
【0014】
従って、接続された機器の音声再生能力に合わせて、出力すべき映像仕様とは独立に、ユーザが、音声仕様(音声フォーマット)を設定する必要がなくなり、操作性が向上し、さらにコンテンツに含まれる最良のオーディオ出力が再生される。
【0015】
さらに、現在再生されている音声モードがHBRオーディオであるか否かを、ユーザに明確に意識づけすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の一例について説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態の一例が適用可能な映像音声再生装置(プレーヤ装置)の概略ブロック図を示す。なお、本発明による映像音声再生装置は、プレーヤ装置に限定されるものではなく、映像及び音声が記録可能なレコーダ装置やビデオカメラ等も含まれる。もちろん、パーソナルコンピュータ(PC)もしくはPCに接続可能なディスクドライブ装置、あるいは自動車等に搭載されるナビゲーション装置であってもよいことはいうまでもない。また、映像音声再生装置は、接続されるTV(テレビジョン)受信機やTV放送等を表示可能なモニタ装置、もしくはAV(Audio−Video)アンプ(コントローラ)に対しては、信号伝送装置(送信装置)としての機能を提供することから、単に送信装置(または送受信装置)と呼ばれることもある。
【0018】
図1に示す映像音声再生装置1は、記録媒体、例えばHD規格のDVDディスク(High Definition Digital Versatile Disc,以下、HD DVDと略称する)Mがセットされることで、光ディスクMに収容されている情報を再生することのできるディスクドライブユニット3、パーシステントストレージ(Persistent Storage,以下P−ストレージと呼称する)として用いられるハードディスクHDを含むハードディスクドライブ(HDD)ユニット5および、不揮発性メモリである半導体メモリ、例えばフラッシュメモリ7等を有する。
【0019】
ディスクドライブユニット3、ハードディスクドライブユニット5、フラッシュメモリ7は、CPUを含む主制御ブロック(Main Control Block)11に、データバス13、I/Oコントローラ21を介して接続されている。また、データバス13には、メインメモリ(SDRAM)15、ネットワークコントローラ17およびOSD19等が接続されている。
【0020】
HD DVDディスクM、HDD5、およびフラッシュメモリ7等に保持されるデータは、周知のパケタイズド゛ストリーム(Packetized stream,以降“PS”と称する)と呼ばれるデータ形式である。また、詳述しないが、HDD5の容量を増大させたレコーダ装置である場合には、図示しないテレビチューナ部により受信された(もしくは外部入力を経由して入力される)地上および衛星からのデジタル放送波等の録画(記録)も可能である。なお、デジタル放送は、TS(Transport stream,以降“TS”と称する)形式である。
【0021】
PSには、映像(ビデオ)と音声(オーディオ)およびその他の制御データが、時分割多重されている。さらに、映像(ビデオ)と音声(オーディオ)は、それぞれ送信すべきデータ量を低減する目的で圧縮された形態で送られてきている。また、データの多くは、ビデオデータであり、例えばH.264、VC1、MPEG2、MPEG4 AVC(単に、AVCと称されることも多い)と呼ばれる規格により圧縮されている。
【0022】
I/Oコントローラ21を介して取り込まれたデータ、例えばHD DVDディスクのコンテンツは、データバス13を経由してSDRAM(メインメモリ)15に格納され、再生時には、ストリームパーサ23に入力される。
【0023】
ストリームパーサ23に入力されたデータは、出力信号処理部101において、映像すなわちビデオ信号と音声(音楽を含む)すなわちオーディオ信号、並びにそのまま(デコードなしに)受信器(テレビ受信装置やAVアンプ)に供給されるHigh−Bits Rate Audio(ハイビットレートオーディオ,以下HBRオーディオと略す)とに分離され、HBRオーディオ以外のデータは、それぞれに対応するビデオ系デコーダ25およびオーディオ系デコータ27により復号され、後段のビデオミキサ111及びオーディオミキサ121に供給される。一方、HBRオーディオ信号は、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)1.3ユニット29を経由して、そのままHDMI入出力部301に出力される。
【0024】
復号されたビデオ信号すなわち映像は、HDMI入出力部301を通じ、例えば一般的なTV(テレビ)装置A、例えば液晶ディスプレイやCRTに代表されるモニタBあるいはモニタCにおいて表示可能に、出力される。
【0025】
一方、HBRオーディオ信号(復号なし)またはオーディオ系デコータ27により復号されたオーディオ信号すなわち音楽あるいは音声は、HDMI入出力部301から、スピーカ内蔵のTV装置A、あるいは図示しないスピーカ等と接続されるAVアンプNもしくはモニタ装置BまたはCと接続された(あるいは一体的に内蔵されている場合もある)図示しないスピーカに出力される。なお、図1では、モニタ装置Bは、外部スピーカが一体的に用意されているものとし、モニタ装置Cは、外部スピーカが無く、HDMI入出力部301から出力される音声(音楽)が、AVアンプNに接続される図示しないスピーカにより出力されるものとする。また、光ディスクMに記録されているコンテンツが、HBRオーディオ信号(復号なし)を含むか否かは、図2ないし図4を用いて後段に説明する光ディスクMのデータ構造の内の、Advanced object群記録領域内のAVOBU(Advanced video object unit)内のA_pack内に規定されている「sub_stream_id」を参照することで、容易に識別できる。
【0026】
ネットワークコントローラ17は、公衆通信回線あるいはローカルエリアネットワーク(LAN)を経由して、外部サーバ(webサイト)やLAN上の任意数のディスク再生装置との間で、データの受け渡しおよび転送が可能である。
【0027】
なお、外部サーバとしては、例えばHD DVDディスクMの供給元が展開するwebサイトや、ディスク供給元が指定もしくは提携する特定の接続先であって、コンテンツを無償あるいは有償で提供する配信サイト(コンテンツプロバイダ)等が含まれる。また、ネットワーク上には、ディスク再生装置1と実質的に同一の機能を含む携帯可能型のディスク再生装置や、例えば家庭内に別の場所に設けられている同形式あるいはHD DVDディスクMを再生可能な別の形式のディスク再生装置が接続可能である。
【0028】
図1に示したディスク再生装置1においては、市販されているHD DVDディスク、すなわちビデオソフトをディスクドライブユニット3にセットして再生する場合、ネットワークコントローラ17を経由して、光ディスクに収容されているコンテンツの供給元へのアクセスを推奨するアドレスあるいはリンク先情報、として用意されたディスクの供給元のwebサイト、ならびにディスク供給元が提携する特定の接続先へのアクセスが可能である。
【0029】
HD DVDディスクに用意されているディスク供給元のwebサイトへアクセスすることにより、ビデオソフトが製造された後に追加された映像、例えばビデオソフトの購入者への特典として用意されたオリジナルプログラムやビデオソフトには収容されていない別の言語の音声等の付加的なコンテンツを、任意にダウンロードできる。なお、付加的なコンテンツとしては、例えば同じ供給元が供給する他のビデオソフトの案内等である新着案内と呼ばれるコンテンツも存在する。
【0030】
ダウンロードにより取得した付加的なコンテンツは、例えばHDDユニット5のハードディスクHDまたはフラッシュメモリ7に記憶される。
【0031】
このため、ディスク再生装置において光ディスクを再生する場合に、コンテンツ供給元が提供する付加的なコンテンツをネットワークからダウンロードすることにより、HD DVDディスクに収容されているコンテンツと同時にまたは、並行して再生可能である。
【0032】
ところで、ディスク再生装置(プレーヤ)1のディスクドライブユニット3に装填された記録媒体がHD DVDディスクである場合、HD DVDディスクに格納されているコンテンツとしては、図2を用いて以下に説明するように、アドバンスドコンテンツ(Advanced Content)と呼ばれるコンテンツ及び図3を用いて以下に説明するように、アドバンスドディレクトリ(Advanced Directory)と呼ばれるコンテンツが含まれている。
【0033】
図2に示すように、HD DVD規格の光ディスクは、アドバンスドコンテンツとスタンダード(標準)コンテンツの両方を保存できる。アドバンスドコンテンツのデータタイプとして考えられるものとしては、アドバンスドナビゲーション、アドバンスドエレメント、プライマリビデオセット、セカンダリビデオセットなどがある。
【0034】
アドバンスドストリーム(Advanced Stream)は、プライマリビデオセット(Primary Video Set)を除く何れかのタイプのアドバンスドコンテンツファイルをアーカイブ化するデータフォーマットである。アドバンスドストリームは、プライマリエンハンスドビデオオブジェクトタイプ2(P−EVOBS−TY2)に多重化され、プライマリビデオプレーヤに供給されるP−EVOBS−TY2データとともに引き出される。
【0035】
アドバンスドストリームにアーカイブ化され、アドバンスドコンテンツ再生用に必須な同一のファイルは、ファイルとして保存する必要がある。これらの複製されたコピーは、アドバンスドコンテンツの再生を保証するものである。これは、プライマリビデオセットの再生をジャンプしたときに、アドバンスドストリームの供給が完了していないことがあるためである。この場合、指定されたジャンプ位置から再生を再開する前に、必要なファイルが直接ディスクからデータキャッシュ(Data Cache)に読み込まれる。
【0036】
アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation):
アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation)ファイルは、ファイルとして位置づけられる。アドバンスドナビゲーションファイルは、起動シーケンスの間に読み込まれ、アドバンスドコンテンツの再生用に解釈される。
【0037】
アドバンスドエレメント(Advanced Element):
アドバンスドエレメント(Advanced Element)は、ファイルとして位置づけることができ、またP−EVOB−TY2データに多重化されるアドバンスドストリームにアーカイブ化することもできる。
【0038】
プライマリビデオセット(Primary Video Set(s)):
ディスク上にあるプライマリビデオセットは、ただ一つだけである。
【0039】
セカンダリビデオセット(Secondly Video Set):
セカンダリビデオセット(Secondly Video Set)は、ファイルとして位置づけることができ、またP−EVOB−TY2データに多重化されるアドバンスドストリームにアーカイブ化することもできる。
【0040】
その他のファイル(Other File):
アドバンスドコンテンツによっては、その他のファイル(Other File)が用意されている(存在する)こともある。
【0041】
図3は、図2に示したHD DVDディスクに保存されるファイルシステム、すなわちディレクトリ(directory)とファイルの構成(file)を説明する概略図である。図3に示すように、アドバンスドコンテンツ用のファイルは、ディレクトリ内に位置づけることが好ましい。
【0042】
HD DVD_TSディレクトリ(HD DVD_TS directory):
「HD DVD_TS」ディレクトリ(HD DVD_TS directory)41は、ルートディレクトリ(Root Derectory)のすぐ下層に規定されている。プライマリビデオセット用の一つのアドバンスドVTS42,43および一つまたは複数の標準ビデオセットが、このディレクトリ以下に定義されている。
【0043】
ADV_OBJディレクトリ(Advanced Video_Object):
「ADV_OBJ」ディレクトリ(Advanced Video_Object)44は、ルートディレクトリ41のすぐ下にある。アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation)45に属する起動ファイルは、総てこのディレクトリにある。アドバンスドナビゲーション(Advanced Navigation)45に加え、アドバンスドエレメント(Advanced Element)46、セカンダリビデオセット(Primary Video Set(s))の全ファイルがこのディレクトリにある。
【0044】
アドバンスドコンテンツ用のその他のディレクトリ(Other Directory for Advanced content)47:
「アドバンスドコンテンツ用のその他のディレクトリ」(Other Directory for Advanced content)47は、「ADV_OBJ」ディレクトリ以下にのみ存在することができる。アドバンスドナビゲーション48、アドバンスドエレメント49、セカンダリビデオセットのファイルであればこのディレクトリに置くことができる。このディレクトリ名はd文字とd1文字で構成される。「ADV_OBJ」サブディレクトリの総数(「ADV_OBJ」ディレクトリを除く)は512未満とする。ディレクトリ階層の深さは8またはそれ以下とする。
【0045】
図4は、図2及び図3により上述したHD DVDディスクのファイルシステムの例を示す。
【0046】
図4に示すように、光ディスクドライブユニット3(図1参照)において再生される光ディスクMが、HD DVDである場合、図4(a)に示すディスクMの半径方向には、図4(b)に概略を示す通り、リードイン領域とリードアウト領域との間に、少なくともボリューム/ファイル構造情報領域11Mとデータ領域12Mが用意されている。
【0047】
データ領域12Mは、図4(c)に示すように、少なくとも1つのAVデータ記録領域21Mを含む。
【0048】
AVデータ記録領域21Mには、図4(d)に示す通り、AVデータ管理情報記録領域31M、ROM_Video object群記録領域32M、VR object群記録領域33M、Stream object群記録領域34M、及びAdvanced object群記録領域35Mが、配列されている。
【0049】
Advanced object群記録領域35Mには、図4(e)に示すように、任意数のAVOB(Advanced object)41Mが配置され、それぞれのAVOB41Mには、図4(f)に示す通り、任意数のAVOBU(Advanced object unit)51Mが用意されている。
【0050】
個々のAVOBU51Mは、図4(g)に示すように、少なくとも、RDI_Pack(Realtime Data Information パック)61M、V_Pack(Video パック)62M、及びA_Pack(Audio パック)63Mを含む。
【0051】
また、A_Pack63Mは、図4(h)に示すように、Pack header71M、Packet header72M、sub_stream_id73M、Advanced_data_header74M、及びAdvanced Data75M、を含む。
【0052】
すなわち、HD DVDコンテンツに特有のアドバンストコンテンツとして、製造元であるコンテンツサービス事業者において、サブオーディオ(Sub−audio)、あるいはサブオーディオに加え、エフェクトオーディオ(Effect−audio)であるHBRオーディオが用意されているか否かは、図4(h)に示したAdvanced object群記録領域内のAVOBU(Advanced video object unit)内のA_pack内に規定されている「sub_stream_id」を参照することで、容易に識別できる。
【0053】
次に、図1に示した出力信号処理部について、図5により、より詳細に説明する。
【0054】
図5に示す通り、図1に示した出力信号処理部101は、既に説明したが、ビデオ系デコーダ25、オーディオ系デコータ27及びHDMI1.3ユニット29を含む。
【0055】
ビデオ系デコーダ25は、メインビデオデコーダ113及びサブビデオデコーダ115を含み、その出力がビデオミキサ111によりミキシングされ、HDMI入出力部301に出力される。
【0056】
オーディオ系デコーダ27は、メインオーディオデコーダ123及びサブオーディオデコーダ125を含み、その出力がオーディオミキサ121によりミキシングされ、HDMI入出力部301に出力される。
【0057】
これに対し、ストリームパーサ23において、復号すべきオーディオ信号すなわち音楽あるいは音声と分離されたHBRオーディオ信号は、そのまま、HDMI入出力部301から、スピーカ内蔵のTV装置A、あるいは図示しないスピーカ等と接続されるAVアンプNもしくはモニタ装置BまたはCと接続された(あるいは一体的に内蔵されている場合もある)図示しないスピーカに出力される。
【0058】
しかしながら、HBRオーディオ信号は、例えばDolby Digital PlusやDolby TrueHD,DTS−HDという高音質で多チャンネルの音声フォーマットを含むことから、HDMI入出力部301を介して接続されるAVレシーバ(受信機)の種類によっては、「サブオーディオ」及び「エフェクトオーディオ」を、メインビデオ(サブビデオを含む)と同時に出力できない場合が生じる(HBRオーディオは、HDMI1.3およびIEC61937の規定に従い、ビットストリーム(ビットストリームパッキング)として出力可能である)。
【0059】
すなわち、HBRオーディオは、AVレシーバ(受信機)側において、音声ストリームをデコードすることでより多彩な音声を提供できるが、AVレシーバ(受信機)がHBRオーディオをサポートしていない場合には、当然、サブビデオは出力されるものの「サブオーディオ」及び「エフェクトオーディオ」が再生されず、結果としてユーザが困惑する場合が考えられる。
【0060】
従って、図6により以下に説明するフローに従って、HBR選択を選択し、図1に示したホットプラグ検出/判定部201により判定されたHBRオーディオを再生できるAVレシーバが接続されている場合(もしくはユーザによる選択があった場合)にのみ、HDMI入出力部301に、HBRオーディオを出力することが好ましい。
【0061】
詳細には、ユーザ設定により、「HBRオーディオ」の再生が選択されているか否かが判断され(S1)、「HBRオーディオ」の再生が選択されている場合(S1−YES)において、AVレシーバ(受信機)において、HBRオーディオ、すなわちDolby Digital Plus(以下、DD+と略称する)やDolby TrueHD(以下、TrueHDと略称する),DTS−HDがデコード可能か否かが、ホットプラグ検出/判定部201により検出されたEDID(Extended Display Identification Data)に基づいて判定される(S2)。
【0062】
ステップS2において、AVレシーバ(受信機)すなわち、図1において、TV(テレビ)装置A、モニタB、AVアンプNのいずれかにおいて、「HBRオーディオ」の再生が可能であることが検出された場合(S2−YES)、HD DVDディスクMに収容されているコンテンツの内の、Advanced object群記録領域内のAVOBU(Advanced video object unit)内のA_pack内に規定されている「sub_stream_id」(図4(h)参照)が参照され、オーディオ信号のフォーマットがLPCM(Linear PCM)のみであるか、すなわちDD+またはTrueHDもしくはDTS−HDの少なくとも1つのフォーマットでフォーマットされたHBRオーディオが記録されているか(S3)、HBRオーディオとしてDTS−HDフォーマットでフォーマットされたオーディオが記録されているか(S4)が、順に判断され、ステップS3においてLPCM以外のオーディオが記録されていることが検出され(S3−NO)、さらにHBRオーディオとしてDTS−HDフォーマットでフォーマットされたオーディオが記録されていることが検出された場合(S4−YES)には、ステップS2におけるAVレシーバ(受信機)のの再生能力が参照され(S5)、AVレシーバ(受信機)がHBRオーディオを再生可能である場合(S5−YES)には、ビデオとしては、メインビデオとサブビデオが同時に出力され、HBRオーディオとしては、DTS−HDのメインオーディオ及びサブオーディオとLPCMのエフェクトオーディオが、出力される(S6)。
【0063】
一方、ステップS4においてHBRオーディオとしてDTS−HDフォーマットでフォーマットされたオーディオが記録されていることが検出された場合(S4−YES)であって、AVレシーバ(受信機)がHBRオーディオに対応していない場合(S5−NO)には、ビデオとしては、メインビデオのみが出力され、オーディオとしては、DTS−HDのメインオーディオが、出力される(S7)。
【0064】
また、ステップS4においてHBRオーディオであるDTS−HDフォーマットでフォーマットされたオーディオが記録されていることが検出できなかった場合(S4−NO)には、ビデオとしては、メインビデオのみが出力され、オーディオとしては、DD+またはTrueHDのメインオーディオが、出力される(S8)。
【0065】
また、ステップS3において、記録されているオーディオのフォーマットがLPCMのみであることが検出された場合(S3−YES)、ステップS2において、AVレシーバ(受信機)が、オーディオ再生としてミックスPCMのみに対応していることが検出された場合(S2−NO)あるいは、ステップS1において、ユーザからオーディオ再生としてミックスPCMが選択された場合には、ホットプラグ検出/判定部201により検出されたEDIDに基づいて接続されている受信機(AVレシーバ)の再生能力に合わせて、メインオーディオ及びサブオーディオがオーディオ系デコーダ27によりデコードされ、オーディオミキサ121によりミックスされて、出力される(S1)。
【0066】
なお、上述したHBRオーディオ出力とcodecすなわち個々のAVレシーバ(受信機)における対応フォーマット(再生可能なオーディオフォーマット)との関係は、図7に示す通りである。
【0067】
また、実際のコンテンツの再生中には、ユーザに、サブオーディオやエフェクトオーディオ並びにサブビデオが再生されないことの注意を促す意味で、再生中または再生開始後一定時間の間、図8に示すように、OSD19による表示出力として、例えば「HBRオーディオモード」による再生中であることが表示される。なお、「HBRオーディオ」再生中であることを、OSD19による表示出力として常時表示することは、映像の一部が見えづらくなり、ユーザにとっては煩わしさを感じさせることも考えられるため、例えばAVアンプNとモニタ装置Cによりオーディオ及びビデオを再生している場合においては、上述の「HBRオーディオ」再生中であることを示す表示を、再生機器(AVアンプN)のフロントディスプレイやプレーヤ装置1のフロントパネル中の表示部等に表示することも可能である。
【0068】
なお、DTS−HD(「HBRオーディオ」)を再生する場合には、メインオーディオに、サブオーディオとエフェクトオーディオが多重化され、HDMI入出力部301から対応するAVレシーバ(受信機)に出力される。従って、多重化したHBRオーディオが受信できない(サブ/エフェクトオーディオが同時にデコードできない)AVレシーバが接続されている場合には、メインビデオとメインオーディオのみ出力し、サブビデオとサブオーディオ及びエフェクトオーディオは出力しない(ミュートする)ことは、図6において説明した通りであるが、その場合には、例えば、図9に示すように、アラート表示をOSD19を介して表示させることが好ましい。また、DD+(Dolby Digital Plus)やTrueHD(Dolby TrueHD)を再生する場合においても、サブオーディオとエフェクトオーディオ及びサブビデオを同時に出力することが規格上できないので、サブビデオは出力せず、サブオーディオとエフェクトオーディオについてはミュート(出力しない)とする。この場合も、図9のようなアラートをOSD19により表示することとする。
【0069】
なお、図1に示したホットプラグ検出/判定部201によるHDMI入出力部301を介してプレーヤ装置1に接続される任意数の出力装置である受信機(AVレシーバ)すなわちスピーカ内蔵のTV装置A、あるいは図示しないスピーカ等と接続されるAVアンプNもしくはモニタ装置BまたはCの検出は、「ホットプラグ検出」が可能な装置が接続されたこと/既に接続されていることを検出するホットプラグ検出部211、ホットプラグ検出部211により検出された任意数の装置から取得された個々の出力装置に固有の個別識別情報(EDID(Extended Display Identification Data))」をデコードするEDIDデコード部212、EDIDデコード部212にてデコードされた結果、すなわち取得したEDIDデータに基づいて検出され、HDMI入出力部301に出力すべき音声データのフォーマットおよび映像データの解像度を設定する設定処理部213により主制御ブロック11に報知される。例えばTV受信装置A,モニタ装置B,モニタ装置C,・・・,AVアンプNのそれぞれが検出/判定部201(ホットプラグ検出部211)により「ホットプラグ検出」されることで、それぞれの機器のEDIDが取得される。検出されたEDIDは、EDIDデコード部212によりデコードされ、設定処理部213を経由して、主制御ブロック(CPU)11の図示しない内蔵メモリ部等に記憶される。なお、デコードにより得られる情報としては、個々のシンク機器またはリピータ機器が再生(音声出力)可能な音声フォーマットの種別(Audio情報)や、個々のシンク機器またはリピータ機器が表示(映像出力)可能な解像度(Video情報)に加え、製造者識別(Manufacture ID)、製品(製造物)識別(Product ID)、製造番号(Serial Number)なども含まれる。
【0070】
以上説明したように、この発明の実施の形態の1つによれば、HBRオーディオを再生する際、メインオーディオとサブオーディオ及びエフェクトオーディオを同時に出力できない再生モードにおいては、ユーザに分かりやすいユーザインタフェースを提供できる。
【0071】
また、HD DVDのアドバンストコンテンツを再生する場合において、メインビデオとメインオーディオに加え、サブビデオとサブオーディオ及びエフェクトオーディオを同時に出力(再生)可能な装置が接続されている場合には、ユーザによりHBRオーディオを再生しないことが指定されない場合に、HBRオーディオを、ビットストリームとして再生可能な装置に出力可能である。
【0072】
従って、接続された機器の音声再生能力に合わせて、出力すべき映像仕様とは独立に、ユーザが、音声仕様(音声フォーマット)を設定する必要がなくなり、操作性が向上し、さらにコンテンツに含まれる最良のオーディオ出力が再生される。
【0073】
さらに、現在再生されている音声モードがHBRオーディオであるか否かを、ユーザに明確に意識づけすることができる。
【0074】
なお、本発明の内容はここに記述した形態だけに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、他にも様々な形態を取り得ることはいうまでもない。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明の実施の形態の一例が適用可能な映像音声再生装置(プレーヤ装置)の一例を示す概略ブロック図。
【図2】図1に示したプレーヤ装置において再生可能なHD DVD規格の光ディスクに収容されるコンテンツの一例を説明する概略図。
【図3】図2に示したHD DVDディスクのファイルシステムの構成の一例を説明する概略図。
【図4】図2及び図3により説明したHD DVDディスクのファイルシステムの一例を示す概略図。
【図5】図1に示した出力信号処理部の構成の一例を説明する概略図。
【図6】HBRオーディオを再生可能なレシーバの検出方法及びHBRオーディオの出力の制御の一例を説明するフローチャート。
【図7】図6において識別されるHBRオーディオの出力とレシーバ(受信機)における対応フォーマット(再生可能なオーディオフォーマット)との関係を説明する概略図。
【図8】図6において識別されたHBRオーディオを再生中であることを報知する表示の一例を示す概略図。
【図9】図6において識別されたHBRオーディオが再生できないことを報知する表示の一例を示す概略図。
【符号の説明】
【0076】
1…ディスク再生装置、3…ディスクドライブユニット、5…HDDユニット、7…カードスロット、11…主制御ブロック(CPU)、13…データバス、15…メインメモリ、17…ネットワークコントローラ、19…AACSデコーダ/エンコーダ、21…I/Oコントローラ、23…ストリームパーサ、25…ビデオ系デコーダ、27…オーディオ系デコータ、29…HDMI1.3ユニット、101…出力信号処理部、111…ビデオ系デコーダ、121…オーディオ系デコーダ、201…検出/判定部、201…検出/判定部、301…HDMI入出力部(HDMIインタフェース)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第1の音声および映像再生装置ならびに任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第2の音声および映像再生装置から、それぞれの再生装置が再生可能な前記音声データおよび前記映像データのフォーマットを取得する手段と、
前記取得する手段により取得された前記それぞれの再生装置が再生可能な前記音声データおよび前記映像データのフォーマットのうち、前記それぞれの再生装置の内で、ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置が接続されていることを検出する手段と、
前記検出する手段により、前記ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置が接続されていることが検出された場合に、直接前記ビットストリームデータを受信し、再生可能な再生装置に出力する手段と、
を有する映像音声再生装置。
【請求項2】
前記ビットストリームデータは、ハイビットレートオーディオ信号を含むことを特徴とする請求項1記載の映像音声再生装置。
【請求項3】
前記出力する手段は、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)に代表される双方向通信インタフェースを含むことを特徴とする請求項1記載の映像音声再生装置。
【請求項4】
再生対象である記録媒体にHD DVD規格のアドバンストコンテンツが含まれていることを検出するコンテンツ検出手段と、
任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第1の音声および映像再生装置ならびに任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第2の音声および映像再生装置から、それぞれの再生装置が再生可能な前記音声データおよび前記映像データのフォーマットを取得する手段と、
前記取得する手段により取得された前記それぞれの再生装置が再生可能な前記音声データおよび前記映像データのフォーマットのうち、前記それぞれの再生装置の内で、ビットストリームデータを再生可能な再生装置が接続されていることを検出する手段と、
前記検出する手段により前記ビットストリームデータを再生可能な再生装置が接続されていることが検出された場合であって、前記コンテンツ検出手段により前記ビットストリームデータが含まれていることが検出された場合に、前記ビットストリームデータを再生可能な再生装置に、前記ビットストリームデータを、直接、出力する手段と、
を有する映像音声再生装置。
【請求項5】
前記出力する手段は、前記ビットストリームデータとは異なるフォーマットの音声データ及び映像データを、選択的に出力可能であることを特徴とする請求項4記載の映像音声再生装置。
【請求項6】
前記出力する手段は、前記検出する手段により前記ビットストリームデータを再生可能な再生装置が接続されていないことが検出された場合に、前記ビットストリームデータの出力及び対応する映像データの出力を抑止することを特徴とする請求項4記載の映像音声再生装置。
【請求項7】
前記出力する手段により、前記ビットストリームデータを再生可能な再生装置に、前記ビットストリームデータが出力されていることを報知可能な表示手段をさらに有することを特徴とする映像音声再生装置。
【請求項8】
再生対象である記録媒体にHD DVD規格のアドバンストコンテンツが含まれていることを検出し、
任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第1の音声および映像再生装置が再生可能な音声フォーマット(仕様)および映像フォーマット(仕様)を取得し、
任意のフォーマットで音声データおよび映像データを再生可能な第2の音声および映像再生装置が再生可能な音声フォーマット(仕様)および映像フォーマット(仕様)を取得し、
それぞれの再生装置の内、ビットストリームデータを再生可能な再生装置が接続されていることを検出し、
検出されたビットストリームデータを再生可能な再生装置に、ビットストリームデータを、直接、出力する
ことを特徴とする映像音声再生装置の信号出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−287792(P2008−287792A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130974(P2007−130974)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】