説明

時分割デュプレックスシステムにおいて同期検出を行う装置、方法及び端末装置

【課題】TDDモードによるシステムにおいて同期検出を実行する装置を提供する。
【解決手段】当該装置は、同期検出を実行する端末装置により受信された信号の中の同期検出用のサンプルシーケンスに対して、当該サンプルシーケンスの中のサンプルのそれぞれが当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関するパラメータに基づいて正規化されるように、正規化処理を行うように配置される正規化手段と、前記正規化手段により出力された、正規化されたサンプルシーケンスに応じて同期検出を実行するように配置される同期検出手段とを備える。更に、TDDモードによるシステムにおいて同期検出を実行する方法を提供する。同期検出用のサンプルをその周囲の所定範囲における全てのサンプルの、電力に関する要素に基づいて正規化し、正規化されたサンプルを用いて同期検出を行うため、同期検出における上り信号の干渉を抑制でき、検出時間を短くすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信技術分野に関し、特にTDD(時分割デュプレックス)モードによる通信システムにおいて同期検出を行う装置、方法及びこのような装置を含む端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPPのロング・ターム・エボリューション(Long term evolution, LTE)システムにおいて、時分割デュプレックス[双方向](Time Division Duplex, TDD)モードと周波数分割デュプレックス[双方向](Frequency Division Duplex, FDD)モードがある。なお、周波数分割デュプレックスモードにおいては、上り信号と下り信号は異なる周波数で伝送される。その一方、時分割デュプレックスモードにおける上り信号と下り信号は、同じキャリアの異なる時間帯において伝送される。
【0003】
時分割デュプレックスモードによるTDD−LTEシステムにおいては、下記の表1に示されるように、3GPP規格により7種類のフレーム構造の配置が規定された。表1では、「D」は下りサブフレーム、「U」は上りサブフレーム、「S」は特別サブフレームをそれぞれ示す。各サブフレームは、長さ1msと長さ0.5msの二つのスロット(slot)により構成される。
【0004】
図1はハーフサブフレームのTDDフレーム構造を示している。その中の特別サブフレームには、下りスロットDwPTSと、上り・下り変換間隔GPと、上りスロットUpPTSとがある。プライマリ同期信号(Primary synchronization symbol, PSS)は#1サブフレームと#6サブフレーム(図示しない別のハーフサブフレームにある)に位置し、セカンダリ同期信号(Secondary synchronization symbol, SSS)は#0サブフレームと#5サブフレーム(図示しない別のハーフサブフレームにある)に位置する。図1に示されるように、PSSはDwPTSの3番目のシンボルに位置する一方、SSSは#0サブフレームの最後のシンボルに位置する。TDDによる通信システムにおいて、端末装置は、PSS検出を行うことにより、適当なセルの時間及び周波数との同期が得られる。そして、PSS検出を行ったうえで、更にSSS検出を行うことにより、フレームタイミングとセルIDが得られる。これによりセルサーチが実現される。
【表1】

【0005】
3GPP規格の規定によれば、下記の数式(1)に示されるように、PSS信号は、長さが62のZadoff−Chuシーケンスであり、三つのものがある。
【数1】

【0006】
ここで、nZCは{25,29,34}から一つが選択されたものである。
【0007】
図2は当該シーケンスを示す模式図である。同図に示されるように、当該シーケンスはDCを中心とする左右に31個ずつサブキャリアに位置し、DCサブキャリアに対応するcnZC(31)は0に設定される。シーケンスの両側にある五つのサブキャリアも同様に0に設定される。合計72個のサブキャリアは中心における六つのRB(resource block, リソースブロック)に対応する。サブフレーム#1とサブフレーム#6におけるPSSシーケンスは同様である。
【0008】
一般的に、PSS信号の検出には整合フィルタによる検出方法が採用される。タイミングを知らない場合にPSSシンボルの位置を検出するためには、少なくとも5msのサーチタイムが必要である。
【0009】
下記の数式(2)に示されるように、SSS信号は長さが31である二つのmシーケンスが織り成して構成され、合計168個のシーケンスが有する。図3に示されるように、PSSと同様にキャリアを中心とする六つのRBに位置し、シーケンスの両側にある5個ずつサブキャリアが0に設定される。相違点は、サブフレーム#0とサブフレーム#5に位置するSSSシーケンスが異なることにある。
【数2】

【0010】
前記の各シーケンスの具体的な生成手段は、関連規格3GPP 36.211を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0011】
SSS検出手段は、一般的に周波数領域におけるコードシーケンスの整合検出によるものである。また、CP(cyclic prefix,循環プレフィックス)の種類が未知の場合に、SSSを利用してCPの種類をブラインド検出する必要がある。
【0012】
説明の便宜上、以下において、PSS検出、及びPSS検出とSSS検出との組合せは「同期検出」と呼ばれる。同期検出は、例えば端末装置による、基地局との時間同期及び周波数同期、あるいはセルサーチ処理の実現のために用いられることが可能である。セルサーチの種類については、主に初期セルサーチと隣接セルサーチがある。初期セルサーチは、初期のネットワークアクセスのために用いられ、端末装置と目標基地局との間で時間及び周波数を同期させ、更に端末装置によって信号の最も良いセルIDを検出してネットワークアクセスを実現することを目的とするものである。隣接セルサーチは、隣接セル選択とセルスイッチとを含む。端末装置は、隣接セルサーチにおいて、サーチを行って隣接セルとの同期を確立し、且つ隣接セルID及び隣接セルの信号強度を検出する必要がある。
【0013】
図4はTDD−LTEシステムにおいて端末装置が同期検出を行う一例を示した。当該例では、端末装置UE1が初期のネットワークアクセス(例えばUE1が起動される時)用の同期検出を行うことを想定する。一般的に、端末装置UE1は、タイミング情報が取得されていない場合、少なくともハーフフレームの時間だけサーチを行ってフレームタイミングを取得する必要がある。以上のように、TDD−LTEシステムにおいては上り・下り信号が同じ周波数で動作するため、端末装置UE1は、一つのフレームの時間内に、基地局(eNodeB)からの下り(Downlink, DL)信号と隣接した端末装置UE2及びUE3からの上り(Uplink, UL)信号を受信することになる。無線チャンネルの減衰のため、例えば端末装置がセルのエッジに位置した場合に、端末装置UE1に受信される基地局eNodeBからの下り信号が非常に弱くなる可能性がある。逆に、隣接した端末装置UE2及びUE3は同期検出を行う端末装置UE1とのダイレクトパスが存在する場合が多い。図5に示されるように、距離が近いため、端末装置UE1に受信された上り信号は下り信号よりも何十dBか高くなる可能性がある。この時、常用の同期信号検出アルゴリズムは、上り干渉の影響で失効することになる。SSS検出はPSS検出による検出結果情報を利用する必要があるので、前記のような不利な影響がPSS検出及び/又はSSS検出の両方にも存在する。従って、PSS検出及びSSS検出によるセルサーチの処理性能にも影響する。なお、同期検出を行う端末装置UE1に不利な影響を与える可能性のある端末装置の数は、図4に示されたものと異なる可能性があり、例えば一つ又は二つより多いこともあるが、同様の問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上からわかるように、無線通信システムにおいて上り信号の干渉を効率的に抑制できる同期検出をどのように実現するかについては、依然として解決すべき問題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下に、本発明を簡単に説明して本発明の幾つかの態様の基本的な理解を提供する。この簡単な説明は、本発明に対する網羅的なものではない。その目的としては、本発明の肝心部分又は重要部分を決定する意図はなく、本発明の範囲を限定する意図もなく、単に簡単な形式で幾つかの概念を提供して後述のより詳しい説明の先行説明とすることにある。
【0016】
前記従来の技術に存在する問題に鑑み、本発明の実施例に提供された同期検出装置及び方法によれば、TDDモードによるシステムの同期検出において、同期検出用のサンプルを、その周囲の所定範囲における全てのサンプルの振幅に関するパラメータ(例えば振幅に関する統計量又は振幅に関する平均値)に基づいて正規化〔規格化〕(normalization)した後、正規化されたサンプルを用いて同期検出を行う。
【0017】
本発明による実施例は、TDDモードによる通信システムにおいて同期検出を実行する装置であって、同期検出を実行する端末装置により受信された信号の中の同期検出用のサンプルシーケンスに対して、前記サンプルシーケンスの中のサンプルのそれぞれが当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関するパラメータに基づいて正規化されるように、正規化処理を行うように構成される正規化手段と、前記正規化手段により出力された、正規化されたサンプルシーケンスに応じて同期検出を実行するように構成される同期検出手段とを備える装置を提供した。
【0018】
本発明による別の実施例は、TDDモードによる通信システムにおいて同期検出を実行する方法であって、同期検出を実行する端末装置により受信された信号の中の同期検出用のサンプルシーケンスに対して、前記サンプルシーケンスの中のサンプルのそれぞれが当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関するパラメータに基づいて正規化されるように、正規化処理を行い、前記正規化処理で得られた正規化されたサンプルシーケンスに基づいて同期検出を実行することを含む方法を提供した。
【0019】
本発明による別の実施例は、機械実行可能なプログラムを更に提供した。機械で前記プログラムを読み取って実行する時に、前記の同期検出方法を実行することができる。
【0020】
本発明による別の実施例は、更に前記プログラムを記憶する記憶媒体に関する。
【0021】
前記の本発明の各実施例による装置及び方法を利用して同期検出を行うことにより、TDD−LTDシステムの同期検出における上り信号の干渉を抑制し、同期検出性能を向上するという利益が得られる。また、同期検出の時間を短くするという利益も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下に図面に基づいて本発明に係る実施例を説明することにより、本発明の以上及びその他の目的、特徴と利点をより容易に理解することができる。図面における諸部分は、比例して描画されるものではなく、本発明の原理を示すに過ぎない。本発明の一部を便宜に示し、及び説明するために、図面において対応する部分が拡大される可能性がある。即ち、本発明により実際に製造される例示的な装置における別の部分より大きくなるように拡大して図示する可能性がある。図面において、同一又は類似の技術的特徴又は部分は、同一又は類似の図面符号で示される。
【図1】TDD−LTEシステムにおいて3GPP規格により規定された、ある種類のフレーム構造配置のハーフフレームのTDDフレーム構造フレームを示す模式図である。
【図2】3GPP規格により規定されたPSSシーケンスの構成を示す模式図である。
【図3】3GPP規格により規定されたSSSシーケンスの構成を示す模式図である。
【図4】TDD−LTEシステムにおいて端末装置UE1が初期のネットワークアクセス用の同期検出を行うことを示す模式図である。
【図5】図4に示されたような同期検出において隣接した端末装置からの上り信号の不利な影響を受けることを示す模式図である。
【図6】本発明による実施例の、TDD−LTDシステムにおいて同期検出を行うための装置を示す構造図である。
【図7】図6に示された同期検出装置に含まれる正規化手段の一実施例を示す構造図である。
【図8】本発明による実施例の同期検出装置に含まれる正規化手段が正規化処理を実現することを示す模式図である。
【図9】本発明による実施例の同期検出装置における正規化手段が実行したエッジ処理を示す模式図である。
【図10】3GPP規格により規定された、異周波数セルをサーチするために用いられる区間GAPの構成を示す模式図である。
【図11】図6に示された本発明による実施例の同期検出装置の変形例を示す構造図である。
【図12】図6に示された本発明による実施例の同期検出装置の同期検出手段の別の変形例を示す構造図である。
【図13】図6に示された本発明による実施例の同期検出装置の同期検出手段の別の変形例を示す構造図である。
【図14】本発明による実施例のTDD−LTDシステムにおいて同期検出を行うための方法を示すフローチャートである。
【図15】図14に示された同期検出方法に含まれる正規化処理ステップの一実施例を示す構造図である。
【図16A】(a)〜(b)は、従来の方法と、本発明による実施例の同期検出装置及び方法とを利用した場合に、端末装置が受信したTDD信号をそれぞれ示す比較図である。
【図16B】(c)〜(d)は、従来の方法と、本発明による実施例の同期検出装置及び方法とを利用して取得できる同期検出結果をそれぞれ示す比較図である。
【図16C】従来の方法と、本発明による実施例の同期検出装置及び方法とを利用して取得されたPSSのエラー検出確率を示す比較図である。
【図17】本発明による実施例の同期検出装置及び方法を実現できる汎用コンピュータシステムを示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して本発明の実施例を説明する。本発明の一個の図面又は一種類の実施形態において説明された要素と特徴は、一個又はそれ以上の他の図面あるいは実施形態において示された要素及び特徴と結合することができる。ここで、分かりやすくするために、図面及び説明において、当業者にとって既知の、本発明とあまり関係のない部品と処理の表示及び説明は省略した。
【0024】
図6は本発明による実施例のTDD−LTDシステムにおいて同期検出を行うための装置600を示す構造図である。同図に示されたように、同期検出の装置600は正規化手段610と、同期検出手段620とを備える。正規化手段610は、同期検出を実行する端末装置により受信された信号における同期検出用のサンプルのシーケンスに対して、サンプルのシーケンスのうちの各サンプルが当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルのパラメータであって幅に関連するパラメータに基づいて正規化されるように、正規化処理を行うように構成される。同期検出手段620は、正規化手段610により出力された、正規化されたサンプルのシーケンスに基づいて同期検出を行うように構成される。
【0025】
上記のように、従来の同期検出方法における上り信号による干渉は信号振幅又は電力レベル等に関連する。本発明による当該実施例の同期検出装置により実行される正規化は、正規化処理が行われるサンプルの周囲の特定範囲における全てのサンプルの振幅又は電力に関する要素を考慮して行われるものであるため、同期検出を実行している端末装置に近い別の端末装置の上り信号の当該端末装置による同期検出に対する悪影響を効率的に解消し、あるいは少なくとも著しく低減することができる。例えば、判断ミスが低減し、同期検出の精度が向上する等。後述の図16Aの(a)〜(b)ではシミュレーションの一例が与えられ、従来の方法、及び本発明による実施例の同期検出装置及び方法を利用した場合に端末装置が受信するTDD信号の比較図を示している。図16Aの(a)に示されるように、端末により受信されたTDD信号は、基地局からの下り(DL)信号と、GP内のノイズ信号と、その他のUEからの上り(UL)信号とを含む。ここで、上り信号電力は下り信号電力より40dB程度高く、信号に非安定信号の特性が現れる。図16Aの(b)に示されるように、本発明による実施例における正規化処理が行われた後には、信号は急激な起伏のない波形になり、非常に安定になる。特に、下り干渉より大幅に高い上り干渉は抑制される。
【0026】
図7は図6に示された同期検出装置600に含まれる正規化手段の一実施例700を示す構造図である。同図に示されるように、当該実施例による正規化手段700は、サンプルのシーケンスのうちの各サンプルに対して、当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関する平均値又は振幅に関する統計値を算出し、当該平均値又は統計値を当該サンプルに対応する正規化因子とするように構成される正規化因子算出サブ手段720と、サンプルのシーケンスを当該所定範囲の時間の長さの一部に対応する時間だけ遅延させるように配置される遅延サブ手段710と、サンプルのシーケンスのうちの各サンプルに対して、遅延サブ手段710により出力された、当該サンプルに対応する遅延サンプルを、前記正規化因子算出サブ手段720により出力された当該サンプルに対応する正規化因子で除算して当該サンプルを正規化するように構成される正規化サブ手段730とを備える。
【0027】
以下に具体的な例を用いて当該正規化手段の動作について説明する。
同期検出処理において、端末装置のアンテナから受信された信号のうち、キャリアの中心にある六つのRB (resource block,リソースブロック)に対応する時間領域の信号r(m,k)を、同期検出を実行するサンプルとする。当該サンプルは実部と虚部を有する信号である。ここで、mはm個目の受信アンテナからの信号に対応し、kはサンプルの連番である。このような複数のサンプルにより同期検出用のサンプルのシーケンスが構成される。
【0028】
正規化因子算出手段720において、例えば下記の数式を用いて入力されたサンプルr(m,k)に関連する正規化因子N(m,k)を算出する。
【数3】

【0029】
前記の数式(3)において、Wnormは正規化窓(normalize window)の長さを示す。ここで、「正規化窓」は、以前に言及した、サンプルr(m,k)に対する正規化処理に係る所定範囲の一例である。当該所定範囲は、正規化処理が行われるサンプルのまわりの範囲である(当該サンプルを含む)。当該正規化窓内の全てのサンプル(サンプルr(m,k)を含む)が前記の数式(3)により与えられる処理に参加する必要がある。正規化窓の長さは整数であり、2〜256のうちの値、例えば{2,4,8,16,64,128,256}のうちの何れかを取ることができる。好ましくは、例えば8〜128のうちの何れかを取ることができる。正規化窓の長さは、例えば、通信システムのパラメータ及び所望の性能(例えば同期検出が用いられるセルサーチの時間等)に基づき、シミュレーション試験等の方式を介して特定されることが可能である。ここでは、詳細について説明しない。
【0030】
以上からわかるように、前記の数式(3)による処理は、サンプルの振幅値の情報を全面的に表現すると共に、実現の便宜性を考慮するために、実際に正規化窓における各サンプルの実部のノルムと虚部のノルムとの和に対して平均値を算出する方法を採用して、入力されたサンプルr(m,k)に対応する正規化因子N(m,k)を算出する。
【0031】
遅延サブ手段710において、受信された信号サンプルを例えばWnorm/2個のサンプル時間だけ遅延させて、遅延されたサンプルr(m,k)delayを得る。これは中心の正規化窓で正規化を行うことを実現することを目的とする。即ち、受信信号サンプルr(m,k)については、その正規化因子は、当該サンプルの前のWnorm/2個のサンプルから当該サンプルの後のWnorm/2個のサンプルまで(当該サンプルr(m,k)を含む)の情報(例えばサンプルの実部のノルム、虚部のノルム等)に基づいて算出される。
【0032】
正規化サブ手段730において、遅延されたサンプルr(m,k)delay及びそれに対応する正規化因子N(m,k)を用いて、以下の数式により正規化を行う。
【数4】

【0033】
図8は前記の中心の正規化窓により正規化処理を実現する一例を示した。上記のように、このような正規化処理において、正規化されたサンプルを遅延させることにより、当該サンプルに対応する正規化出力が、正規化窓の一番右側ではなく、当該窓の中央部から出力される。即ち、因果窓の採用が防止される。因果窓が採用されれば、当該窓においてあるサンプルr(m,k)の前に受信されたサンプルが、サンプルr(m,k)に対応する正規化出力を特定するために用いられる。即ち、正規化出力は当該窓の一番右側から出力されるべきである。図8に示されるように、正規化窓の一番右側がGPと上り(UL)信号の境界に位置する場合、正規化窓の一部又は全体がGPの区間に位置する可能性があるので、前記の数式(3)で計算して非常に小さい正規化因子が得られる。このため、GPと上り信号の境界における大きい信号r(m,k)を小さい正規化因子で除算することにより信号が誤って増幅される現象が発生し、同期検出の精度に不利な影響が与えられてしまうのである。
【0034】
図8に示された例においては、中心の正規化窓が正規化窓として採用されている。即ち、正規化処理が行われたサンプルr(m,k)の正規化出力は当該中心の正規化窓の中心から出力される。代わりの実施例として、以下のような適当な各種の偏心の正規化窓を用いて正規化因子を算出することができる。
【数5】

【0035】
前記の数式(5)及び(6)は、正規化窓の一番左側からそれぞれWnorm/4及び3Wnorm/4離れた偏心の正規化窓の配置を採用して正規化因子を算出する構成である。即ち、正規化処理が行われるサンプルの正規化出力は、正規化窓の一番左側からそれぞれWnorm/4及び3Wnorm/4離れた所から出力される。それに対して、この二つの場合に、遅延サブ手段710では、受信された信号サンプルはそれぞれWnorm/4及び3Wnorm/4個のサンプル時間だけ遅延される。つまり、遅延サブ手段は、同期検出用のサンプルのシーケンスを、正規化窓の時間の長さの一部に対応する時間だけ遅延させる。
【0036】
前記の実施例においては、正規化窓における全てのサンプルの実部のノルム及び虚部のノルムの和に対して平均値を求めることにより正規化因子を算出している。受信信号の実部と虚部の統計特性が一致するため、代わりの実施例として、以下のように正規化窓における全てのサンプルの実部のノルムの平均値、又は虚部のノルムの平均値等を用いて正規化因子を求めることができる。
【数6】

【0037】
前記の数式(7)は正規化窓における全てのサンプルの実部のノルムの平均値により正規化因子を算出し、数式(8)は正規化窓における全てのサンプルの虚部のノルムの平均値により正規化因子を算出する。サンプルの実部のノルムの平均値、虚部のノルムの平均値、又は両者の和の平均値は、何れもサンプルの振幅又は電力に関する平均値である。しかしながら、本発明は、これらに限定されず、サンプルの振幅による任意の他の好適なパラメータ値を採用して正規化因子を算出することが考えられても良い。例えば、サンプルの振幅又は電力に相関する任意の他の好適な統計量、例えばサンプルのノルムの、平均値や最大値等のような1次の統計量、或は平均電力等のような高次の統計量を採用して正規化因子の算出を行ってもよい。また、前記の数式(7)と(8)には、中心の正規化窓の配置が用いられた。勿論、このような正規化因子の算出手段は、偏心の正規化窓の配置に適用されても良い。
【0038】
正規化処理すべきサンプルに対して前記の遅延処理を行ったため、更に同期検出の精度を改善することができる。
【0039】
置換可能な実施例によれば、正規化因子算出サブ手段720は、更にエッジ処理部(未図示)を備えることができる。図9は、本発明による実施例の同期検出装置における正規化手段により実行されるエッジ処理の一例を示す模式図である。
【0040】
当該例において、正規化窓Wnormの長さを8とする。説明の便宜上、ここでは中心の正規化窓の配置を用いる。アラビア数字1,2,……,9は、正規化処理すべきサンプルの連番を示す。図9の(a)に示された正規化窓902において、Wnorm/2個のサンプルだけ遅延した後に、受信されたサンプルr(1)に対応して1個目の正規化出力が始まる。即ち、当該正規化窓902の左側から4個目のサンプルにおいてサンプルr(1)の正規化出力を与える。明らかに、サンプルのシーケンスが正規化窓902の左側から順に進入するため、図9の(a)に示された正規化処理の初期段階において1個目のサンプルr(1)を正規化しようとする時には、正規化窓902の全体はサンプルで充填されておらず、即ち当該正規化窓902の右側は空である。この場合、適当なサンプルで当該正規化窓902の全体を充填すれば、正規化処理のスピードを向上させ、更に同期検出処理のスピードを向上させることができる。
【0041】
具体的には、エッジ処理部は、正規化処理の初期段階において正規化処理が行われたサンプルに基づいて前へ延在させ〔つまり、コピーし〕、即ち、当該サンプルから前方向に、当該サンプルを利用して当該正規化窓の全体を充填するように構成されても良い。例えば、図9の(b)に示されるように、現在の正規化処理が行われているサンプルr(1)をその前の4個のサンプルまで延在させて正規化窓902における8個のサンプルを構成し、その後に当該充填された正規化窓に基づいてサンプルr(1)に対する正規化処理を行う。図9の(c)に示されるように、正規化処理が行われるサンプルr(2)に対応して、r(2)をその前の3個のサンプルまで延在させる。同様に、4個目のサンプルr(4)に対応する正規化結果の出力まで処理を行えば(図9の(e)に示されるように)、初期段階に対応するエッジ処理が完成し、図9の(f)、(g)に示されるように、一般的な正規化処理に進めることができる(例えば前記の数式(3)〜(8)による処理)。図9に示された例において、正規化処理の初期段階は、1個目のサンプルに対して正規化処理が始まってから、正規化窓において、処理すべきサンプルで充填する必要のある空白のスペースがなくなるまでの時間帯である。勿論、必要に応じて、別の好適な時間帯を正規化処理の初期段階として選択しても良い。
【0042】
前例において、正規化処理の初期段階で正規化処理が行われるサンプルを用いて正規化窓902を充填したが、置換可能な実施例によれば、固定値を用いて当該正規化窓902を充填しても良い。例えば、A−D変換器のレンジの半分に対応する値を採用してこのような前向きの延在充填を行っても良い。
【0043】
同様に、正規化処理の終了段階(図9に未図示)においては、新たな処理すべきサンプルがはいってこないため、図9に示された正規化窓902の左側においてサンプルが一つずつ空になっていく。そのため、エッジ処理部は、正規化処理の終了段階において、正規化処理が行われるサンプルに基づいて後へ延在し、即ち、当該サンプルから後方向に当該サンプルを用いて当該正規化窓の全体を充填するように構成されても良い。同様に、置換可能な実施例によれば、別の好適な値、例えばA−D変換器のレンジの半分に対応する値を用いてこのような後向きの延在充填を行っても良い。勿論、ここでの充填に用いられる固定値は、前記正規化処理の初期段階において行われた充填に使用される固定値と同じであっても良く、異なっていても良い。また、図9に示された例において、正規化処理の終了段階は、正規化窓の一番左側に空白の空間が出現し始めてから、最後のサンプルに対する正規化処理が終了するまでの時間帯である。勿論、必要に応じて、別の好適な時間帯を正規化処理の終了段階として選択しても良い。
【0044】
試験からわかるように、採用された正規化窓が大きい場合、このようなエッジ処理方法により少なくとも半分の窓の長さの時間を節約でき、同期検出のスピードを向上させることができる。
【0045】
また、3GPP規格の規定により、異周波数の隣接セルサーチは、GAP(異周波数の隣接セルのサーチ区間)内に完成する必要がある。GAPの時間は6msしかなく、この期間に端末装置はキャリアの変換、同期信号の検出及び測定を完成する必要がある。非同期ネットワークにおいて、セルサーチの完成に少なくとも5msが必要である。検出されたPSS信号に基づいて相関検出を行うSSS検出については、SSS検出におけるチャンネル推定が三つのシンボルを空けたPSSに基づいて得られたものであるために(図1に示されたTDDフレーム構造を参照)、異周波数のセルサーチの完成には5ms+4個のシンボル(symbol)の時間が必要である。図10は、3GPP規格により規定された、異周波数のセルサーチ用の空間GAPの構成を示す模式図である。図10において、VCOはサービスセルと隣接セルの間で切替を行う時にキャリアを変換する電圧制御発振器を示す。高性能のVCOを使えばキャリア変換に必要な時間を短くできることは言うまでもないが、価格もそれだけ高くなる。TDD−LTEシステムにおいてプライマリ同期信号(PSS)とセカンダリ同期信号(SSS)との間に二つのシンボルを空けていることを考慮した上で、価格の高い電圧制御発振器を使用することを避けるために、異周波数のセルサーチ用の同期検出時間をできるだけ短くする必要がある。そのため、異周波数のセルサーチの同期検出において前記のエッジ処理方法を使用することが特に有益である。例えば、特に正規化窓の長さが大きい、例えば128個のサンプルの場合に、本発明による前記実施例のエッジ処理方法により、正規化の開始及び終了において合計一つの窓の長さの時間を減少することができる。
【0046】
下記の数式(9)と(10)により、前記のエッジ処理を含む正規化因子の算出の実現方法が示される。
【数7】

【0047】
なお、Tnormは同期検出に関するセルサーチ(例えば、初期同期サーチであっても良く、隣接セルサーチであっても良い)の時間に対応するサンプルの長さである。当該パラメータは、例えばシステム同期検出に含まれるPSS検出及び/又はSSS検出による検出性能に基づいて予め特定することができる。例えば、実際の状況に応じて、5ms+4symbol、5ms+2symbol等の時間の長さに対応するサンプルの長さを採用することができる。
【0048】
固定値(即ち定数)を採用して正規化窓に対して前向き又は後向きの延在を行う場合に、下記の数式(11)と(12)により、前記のエッジ処理を含む正規化因子の算出の実現方法が示される。
【数8】

【0049】
前記の数式(9)〜(12)は対応するサンプルの実部のノルムと虚部のノルムとの和の平均値を用いてサンプルに対応する正規化因子を算出するが、同様に、前記の数式(7)と(8)のように、対応するサンプルの実部のノルムの平均値、あるいは虚部のノルムの平均値などの手段により、このようなエッジ処理を含む正規化処理を行っても良い。詳細については、ここでは説明しない。
【0050】
図11は図6に示された本発明による実施例の同期検出装置の、制御手段を備える変形例を示す構造図である。同図に示されるように、当該変形例による同期検出装置1100は、図6に示された同期検出手段600と比べて、更に制御手段1102を備えることが異なる。当該制御手段1102は、端末装置の位置した異なるセルサーチの段階に基づいて、異なるモードで正規化処理を実行するように同期検出装置を制御する。
【0051】
具体的には、例えば最初の電源投入やシャットダウン後の再起動等のような、端末装置が通信システムへ新たにアクセスする時には、初期セルサーチを行う必要がある。この場合に、制御手段1102は、同期検出手段1106で前記端末装置にサービスを提供できるサービスセルのIDを検出するまで、常に正規化処理を実行するように正規化手段1104を制御する。
【0052】
セルスイッチを行う必要がある時、例えば端末装置が現在のサービスセルのエッジまで移動することによりサービスの品質が低下した時には、端末装置の現在のサービス基地局は、端末装置が隣接セルサーチを行うように指示する。サービス基地局が端末装置が同周波数の隣接セルサーチを行うように指示する場合、3GPPにより同周波数のセルが同期であることが規定されるため、制御手段1102はサービスセルの同期信号の左右における2個、又は2.5個のサブフレームの範囲内で正規化処理を行うように正規化手段1104を制御する。例えば、前記の図1に示されたTDDフレーム構造の構成により、サービスセルのタイミングによるサブフレーム#0とサブフレーム#1との間、或はサブフレーム#5とサブフレーム#6との間で正規化処理を行うように正規化手段1104を制御することができる。当該時間は、例えば、基地局の同期精度(3GPP規格により規定される)と相関セルの半径の伝送遅延に基づいて特定することができる。詳細については、ここでは説明しない。
【0053】
サービス基地局が端末装置が異周波数の隣接セルサーチを行うように指示する場合、制御手段1102は上り信号と下り信号との間の各異周波数の隣接セルの捜索空間GAP内に正規化処理を実行するように正規化手段1104を制御する。例えば、TDDモードによるシステムにおいて、SSS検出アルゴリズムにより、正規化手段による正規化処理の実行時間を、例えば5ms+1symbol ないし5ms+4symbolsの範囲内の任意の時間に設定できることが考えられる。ここで、5ms+4symbolsを選択することが好ましい。
【0054】
前記のその実行の時間区間を限定するように、実際の状況に応じて正規化処理の実行手段を制御できるため、同期検出の性能を改善できると共に、同期検出に関する電力コスト等を低減できる。例えば、このような同期検出装置を利用して同期検出を行う端末装置により、省電力、省エネルギー等の性能向上を実現することができる。
【0055】
図11における同期検出装置1100の正規化手段1102と同期検出手段1106の構成及び動作例については、例えば前記の図6〜図7に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0056】
図12は図6に示された本発明による実施例の同期検出装置の同期検出手段の別の変形例を示す構造図である。図12に示されるように、当該変形例による同期検出装置1200における検出手段1204は、三つの可能なPSSシーケンス(図2に示されたように)をそれぞれ採用して正規化処理が行われた信号rnorm(m,k)と相関演算を行い、同期検出範囲内に相関値の最大値、又はある閾値より大きい相関値に対応するPSSシーケンス(PSS ID)及び対応するタイミング位置(SSSタイミング)を検出するように構成されるPSS検出サブ手段1212を備える。更に、PSSシーケンスで端末と基地局の周波数オフセットを検出することができる。同期検出装置1200における正規化手段1202の構成及び動作例については、前記の図6〜図7に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0057】
図13は図6に示された本発明による実施例の同期検出装置の同期検出手段の更に別の変形例を示す構造図である。図13に示されるように、当該変形例による同期検出装置1300における検出手段1304は、PSS検出サブ手段1312と、SSS検出サブ手段1316とを備える。PSS検出サブ手段1312は、例えば前記図12に示されたPSS検出サブ手段1212と類似する機能及び動作を実行することができる。SSS検出サブ手段1316は、PSS検出サブ手段1312の検出結果に含まれるタイミング位置に基づき、拡張CP(循環プレフィックス)と正常CPの長さ毎に応じて、FFTの位置を推定すると共に、信号を周波数領域に変換してそれぞれ検出することができる。最終的に、二つの位置における最大相関ピークの大きさを比較し、拡張CPであるか、又は正常CPであるかを判断することができる。CPの種類を検出する時に、同期検出処理がGPと上り信号による干渉の影響を受けることにより検出性能が低下することを想定したため、当該実施例にも正規化手段1302により処理された信号rnorm(m,k)をSSS検出サブ手段に入力して検出を行う。SSS検出にはPSS信号による相関検出手段、又は差分による非相関検出手段を採用することができる。相関検出が行われた後に、隣接した基地局のCell ID(セルID)を取得することができる。同期検出装置1300における正規化手段1302の構成及び動作例については、例えば前記の図6〜図7に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0058】
以上のように、改善された性能を有する正規化処理を用いてPSS及び/又はSSS同期検出を行えるため、更に端末装置のセルサーチの能力を向上させることもできる。
【0059】
図14は本発明による別の実施例における、TDDモードによる通信システムにおいて同期検出を行うための方法1400を示すフローチャートである。同図に示されるように、方法1400はステップS1410から始まる。ステップS1420において、同期検出を実行する端末装置により受信された信号における同期検出用のサンプルシーケンスに対して正規化処理を行うことにより、当該サンプルシーケンスのうちのサンプル毎に対して当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの振幅に関するパラメータに基づいて当該サンプルを正規化する。ステップS1430において、ステップS1420で得られた、正規化されたサンプルシーケンスに基づいて同期検出を行う。例えば、前記の図6に示された同期検出装置600を用いて当該方法を実行することができる。具体的な動作や利点については、例えば前記の図6に対する説明を参照でき、ここでは説明しない。
【0060】
図15は図14に示された同期検出方法に含まれた、正規化処理を行うステップS1420の実施例を示すフローチャートである。同図に示されるように、当該実施例による同期検出方法1500は、正規化処理を行うステップS1520と、同期検出を行うステップS1530とを含む。なお、ステップS1520は三つのサブステップを含む。サブステップS1522において、サンプルシーケンスのうちのサンプル毎に対して、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関する平均値又は振幅に関する統計値を算出し、当該平均値又は統計値を当該サンプルに対応する正規化因子とする。サブステップS1526において、サンプルシーケンスを所定範囲の時間の長さの一部に対応する時間だけ遅延させる。サブステップS1528において、サンプルシーケンスのうちのサンプル毎に対して、サブステップS1526で出力された、当該サンプルに対応する遅延サンプルを、サブステップS1522で出力された当該サンプルに対応する正規化因子で除算することにより、当該サンプルが正規化される。例えば、前記の図7に示された同期検出装置700を用いて当該方法を実行することができる。具体的な動作や利点については、例えば前記の図7に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0061】
ここで、図中に示されたサンプルに対して正規化処理を行うサブステップS1522と、サンプルシーケンスを遅延させるサブステップS1526とは、図中では示された手順に従って実行されているが、並行に実行してもよ良い、あるいはサブステップS1526を実行してからサブステップS1522を実行しても良い。
【0062】
当該方法1500の一実施例によれば、正規化因子を算出するサブステップS1522は、サンプルシーケンスのうちのサンプル毎に対して、当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの実部のノルムの平均値、虚部のノルムの平均値、及び実部のノルムと虚部のノルムとの和の平均値のうちの少なくとも一つにより、当該サンプルに対応する正規化因子を算出することを含む。例えば、前記の図7に示された同期検出装置700を用いて当該方法を実行することができる。具体的な動作や利点については、前記の図7に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0063】
当該方法1500の別の置換可能な実施例によれば、正規化因子を算出するサブステップS1522は、正規化処理の初期段階で前向きに延在させるエッジ処理を実行し、正規化処理の初期段階で後向きに延在させるエッジ処理を実行するようにエッジ処理を実施することができる。例えば、前記の図7に示された同期検出装置700を用いて当該方法を実行することができる。具体的な動作や利点については、例えば前記の図7〜10に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0064】
方法1400と1500の置換可能な実施例によれば、更に制御ステップを含んでも良い。当該制御ステップにおいて、端末装置が初期セルサーチ、同周波数の隣接セルサーチ、及び異周波数の隣接セルサーチを実行する場合に、正規化処理を行うステップをそれぞれ制御して異なる正規化処理を実行する。例えば、前記図11に示された同期検出装置1100を用いて当該方法を実行することができる。具体的な動作や利点については、例えば前記の図11に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0065】
方法1400と1500の置換可能な実施例によれば、更に、PSS同期検出を行うサブステップ、あるいはPSS同期検出を行うサブステップとSSS同期検出を行うサブステップとの両者を含んでも良い。例えば、前記の図12〜図13に示された同期検出装置1200と1300を用いて当該方法を実行することができる。具体的な動作や利点については、例えば前記の図12と図13に対する説明を参照できるため、ここでは説明しない。
【0066】
本発明の前記各実施例による同期検出装置は、例えばソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、あるいはそれらの組み合わせにより実現されることが可能である。当該同期検出装置がハードウェアにより実現される場合、ICチップ、ネットワークカード、USB−bar等の方式を採用することができる。
【0067】
勿論、本発明の前記各実施例による同期検出装置は、独立な機能構成として実現されても良く、対応する端末装置と集積して実現されても良い。したがって、このような同期検出装置を備える端末装置も本発明の保護範囲内に含まれる。このような端末装置は、例えば携帯電話、パーソナル・デジタル・アシスタント、ラップトップコンピュータ等を含んでも良い。
【0068】
前記の説明はTDD−LTEシステムのコンテキストにおいて行われているが、本発明の前記各実施例による同期検出装置、方法及び端末装置は、TDD−LTEシステムだけではなく、TD-LTE Advanced〔LTEA〕システム等のような未来においてLTEシステムと相続性のあるIMT-Advancedシステムに適用することもできる。
【0069】
図16Aの(a)〜(b)は、従来の同期検出方法と、本発明の実施例による同期検出装置及び方法を利用して取得可能な同期検出結果をそれぞれ示す比較図である。従来の同期検出においては、正規化されていない受信サンプル信号r(n)を用いてPSSシーケンスと直接に相関する〔相関を取る〕。即ち、
【数9】

【0070】
なお、idは前記図2に示されたPSSの三つの既知シーケンス、Tsymbolは一つのシンボルの長さに対応するサンプルの数、nはサンプルの連番、「*」は共役の演算を示す。
【0071】
本発明の各実施例による同期検出装置及び方法においては、正規化されたサンプル信号rN(n)を用いてPSSシーケンスと相関を行う。即ち、
【数10】

【0072】
図16Bの(c)と(d)との比較からわかるように、上り干渉信号が大きい場合に、従来の同期検出方法においては相関値の最大値が上り部分(UL)にあった。正しいタイミング(即ち正しい相関ピーク)はPSSに対応する場所にあるはずなので、これは誤ったタイミングである。本発明の各実施例による同期検出装置及び方法においては、相関ピークは正しいタイミング位置(即ち正しい相関ピーク)にある。したがって、同期検出の性能は著しく改善された。
【0073】
また、本発明の発明者は、上り干渉電力が下り電力より10dB高い条件でAWGNチャンネルに対してシミュレーションを行い、PSSのエラー検出確率を測定した。図16Cはシミュレーション試験の結果を示した。図16Cに示されるように、正規化処理を利用しない従来の方法においては、PSSのエラー検出確率は66%程度となり、且つSN比が高くなるにつれて下がることもない。これは、同期検出アルゴリズムの完全失効を意味する。それに対して、本発明の実施例による同期検出装置及び方法を利用した場合には、エラー検出確率はSN比の上昇につれて0まで下がる。
【0074】
以上のように、ブロック図、フローチャート及び/又は実施例を通して詳細説明を行い、本発明の実施例による装置及び/又は方法の異なる実施手段を説明した。これらブロック図、フローチャート及び/又は実施例に一つ又は複数の機能及び/又は操作が含まれる場合、当業者にとって、これらブロック図、フローチャート及び/又は実施例における各機能及び/又は動作を、各種のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組合せによって個別及び/又は共同に実施できることが明らかである。ある種の実施手段においては、本明細書に記述された主題の幾つかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル信号処理装置(DSP)、又は他の集積形態で実現可能である。一方、本明細書に記述された実施手段の幾つかの方面について、全体又は部分的に、一つ又は複数のコンピュータで実行される一つ又は複数のコンピュータプログラムの形式(例えば、一つ又は複数のコンピュータシステムで実行される一つ又は複数のコンピュータプログラムの形式)、一つ又は複数のプロセッサで実行される一つ又は複数のプログラムの形式(例えば、一つ又は複数のマイクロプロセッサで実行される一つ又は複数のプログラムの形式)、ファームウェアの形式、又はそれらの任意の組合せの形式で集積回路において同等の実装ができることは、当業者にとって想定できるものである。そして、本明細書に開示された内容によれば、本開示用の回路を設計し、及び/又は、本開示のソフトウェア及び/又はファームウェアに用いられるコードをプログラミングすることは、当業者にとって能力の範囲内である。
【0075】
例えば、前記図6〜図7、図11〜図13に示された同期検出装置における各構成モジュール、手段、サブ手段は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアあるいはそれらの組み合わせの方式で構成可能である。ソフトウェア又はファームウェアにより実現される場合には、記憶媒体又はネットワークから専用のハードウェア構成を持つコンピュータ(例えば図17に示された汎用コンピュータ1700)へ当該ソフトウェアを構成するプログラムをインストールする。当該コンピュータは各種プログラムがインストールされると各種機能等を実行することができる。
【0076】
図17は本発明の実施例による同期検出装置及び方法を実現可能な汎用コンピュータシステムを示す構造図である。コンピュータシステム1700は、本発明の方法及び装置の使用範囲又は機能を暗黙的に限定するものではなく、単なる例示である。また、コンピュータシステム1700は、例示的なコンピューティングシステム1700に示された任意のコンポーネント、又はその組合せに依存するものではない。
【0077】
図17において、中央処理装置(CPU)1701が、読み出し専用メモリ(ROM)1702に記憶されたプログラム又はメモリ部1708からランダムアクセスメモリ(RAM)1703にアップロードされたプログラムにより、各種の処理を実行する。RAM1703には更に、必要に応じてCPU1701が各種の処理等を実行するために必要なデータが記憶されている。CPU1701、ROM1702とRAM1703はバス1704を介して互いに接続されている。入力/出力インターフェース1705もバス1704に接続されている。
【0078】
入力部1706(キーボード、マウス等を含む)と、出力部1707(ディスプレイ、例えばブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等とスピーカ等を含む)と、メモリ部1708(ハードディスク等を含む)と、通信部1709(ネットワークインターフェースカード、例えばLANカード、モデム等を含む)とは、入力/出力インターフェース1705に接続されている。通信部1709がネットワーク、例えばインターネットを経由して通信処理を実行する。必要に応じて、入力/出力インターフェース1705にはドライブ1710も接続されている。磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等のような取り外し可能な媒体1711が、必要に応じてドライブ1710に取り付けられ、その中から読み出されたコンピュータプログラムが必要に応じてメモリ部1708にインストールされる。
【0079】
ソフトウェアで前記の一連の処理を実現する場合、ネットワーク例えばインターネット、又は記憶媒体例えば取り外し可能な媒体1711からソフトウェアを構成するプログラムをインストールする。
【0080】
このような記憶媒体は、図17に示したような、その中にプログラムが記憶されているものであって、デバイスから離れて配送されることでユーザにプログラムを提供する取り外し可能な媒体1711には限定されないことを、当業者は理解すべきである。取り外し可能な媒体1711の例として、磁気ディスク(フロッピディスク含む)、光ディスク(コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)やディジタルヴァーサタイルディスク(DVD)を含む)、光磁気ディスク(ミニディスク(MD)(登録商標)含む)及び半導体メモリを含む。または、記憶媒体はROM1702、メモリ部1708に含まれるハードディスクなどでも良い。その中にプログラムが記憶されており、且つこれらを含むデバイスと一緒にユーザに配送される。
【0081】
本発明は更に、機械読取可能な命令コードが記憶されたプログラム製品を提供する。前記の命令コードが機器で読み取られて実行されると、前記の本発明による実施例の、TDDモードによる通信システムにおいて同期検出を行う方法を実行することができる。それに対して、このようなプログラムを搭載するために用いられる前記の列挙された各記憶媒体も本発明の開示に含まれる。
【0082】
以上の本発明の具体的な実施例の記述において、ある種の実施形態について記述及び/又は図示した特徴は同一あるいは類似の形態で一つ又は複数の他の実施形態で使用されたり、他の実施形態における特徴と組み合わせたり、あるいは他の実施形態における特徴の代替とすることができる。
【0083】
ここで、用語「含む/有する」が本文で使用される場合には、特徴、要素、ステップ又はコンポーネントの存在を意味するが、一つ又は複数の他の特徴、要素、ステップ又はコンポーネントの存在又は付加を排除しない。用語「第一」、「第二」等は、これら専門用語により限定された特徴、要素、ステップ又はコンポーネントの実施手順又は重要性の程度を示すものではなく、説明を明瞭にするためにこれら特徴、要素、ステップ又はコンポーネントの間で標識を行うものに過ぎない。
【0084】
また、本発明の各実施例の方法は明細書に記述され、又は図面に示された時間順に実行することには限られず、その他の時間順序に従って、並行にあるいは個別に実行されてもよい。従って、本明細書で記述した方法の実行順序は本発明の技術的範囲を制約しない。
【0085】
前記各実施例を含む実施手段について、更に下記の付記を開示する。
(付記1)TDDモードによる通信システムにおいて同期検出を実行する装置であって、
当該装置により受信された信号の中の同期検出用のサンプルシーケンスに対して、前記サンプルシーケンスの中の各サンプルを、当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関するパラメータに基づいて正規化する正規化処理を行う正規化手段と、
前記正規化手段により出力された、正規化されたサンプルシーケンスに応じて同期検出を実行する同期検出手段と、を備える装置。
(付記2)前記正規化手段は、
前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関する平均値又は振幅に関する統計値を算出し、当該平均値又は統計値を当該サンプルに対応する正規化因子として出力する正規化因子算出サブ手段と、
前記サンプルシーケンスを、前記所定範囲の時間の長さのある割合に対応する時間だけ遅延させる遅延サブ手段と、
前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、前記遅延サブ手段により出力された当該サンプルに対応する遅延サンプルを、前記正規化因子算出サブ手段により出力された当該サンプルに対応する正規化因子で除算することにより、当該サンプルを正規化する正規化サブ手段と、を備える付記1に記載の装置。
(付記3)前記正規化因子算出サブ手段は、前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの実部のノルムの平均値、虚部のノルムの平均値、及び実部のノルムと虚部のノルムとの和の平均値のうちの少なくとも一つを介して、当該サンプルに対応する正規化因子を算出するよう構成される、付記2に記載の装置。
(付記4)前記遅延サブ手段は、前記サンプルシーケンスを、前記所定範囲の時間の長さの半分、1/4、又は3/4に対応する時間だけ遅延させるよう構成される、付記2又は3に記載の装置。
(付記5)前記正規化因子算出サブ手段は、
正規化処理の初期段階において、正規化されるサンプルの周囲の前記所定範囲における当該正規化されるサンプルの前方向の空きを、当該サンプル又は当該装置の性能に関連する第1の固定値を利用して充填し、当該充填された所定範囲に基づいて当該サンプルに対応する正規化因子を算出する、及び/又は、
正規化処理の終了段階において、正規化されるサンプルの周囲の前記所定範囲における当該正規化されるサンプルの後方向の空きを、当該サンプル又は当該装置の性能に関連する第2の固定値を利用してを充填し、当該充填された所定範囲に基づいて当該サンプルに対応する正規化因子を算出する、
ように構成されるエッジ処理部を備える、付記2又は3に記載の装置。
(付記6)更に制御手段を備え、
前記制御手段は、
当該装置が初期セルサーチを実行する場合に、前記同期検出手段が当該装置にサービスを提供できるサービスセルのIDを検出するまで、前記正規化手段を正規化処理を実行するように制御し、
当該装置がそれに対応するサービスセルにおける基地局の指令に応答して、同周波数の隣接セルサーチを実行する場合に、前記正規化手段を、前記端末装置のサービスセルの同期信号の左右における2個、又は2.5個のサブフレームの範囲内に正規化処理を実行するように制御し、及び、
当該装置がそれに対応するサービスセルにおける基地局の指令に応答して、異周波数の隣接セルサーチを実行する場合に、前記正規化手段を、上り信号と下り信号との間の各異周波数の隣接セルサーチの区間GAP内に正規化処理を実行するように制御するように構成される、付記1〜3の何れか一項に記載の装置。
(付記7)前記同期検出手段は、
三つの既知のPSSシーケンスをそれぞれ用いて前記正規化手段により出力された正規化されたサンプルシーケンスと相関演算を行うことにより、相関値の最大値に対応するPSSシーケンス、又はある閾値より高い相関値に対応するPSSシーケンスを検出し、対応するタイミング位置を検出するよう構成されるプライマリ同期信号PSS検出サブ手段を備える、付記1〜3の何れか一項に記載の装置。
(付記8)前記同期検出手段は、更に、
前記プライマリ同期信号PSS検出手段の出力及び前記正規化手段により出力された正規化されたサンプルシーケンスに基づいて、前記TDDモードによる通信システムにおいて要求を満足するセルのCELL−ID、循環プレフィックスCPの種類、及びフレームタイミングを検出するよう構成セカンダリ同期信号SSS検出サブ手段を備える、付記7に記載の装置。
(付記9)前記TDDモードによる通信システムは、TDD−LTEシステム又はTDD−LTEAシステムである、付記1〜8の何れか一項に記載の装置。
(付記10)TDDモードによる通信システムにおいて同期検出を実行する方法であって、
同期検出を実行する端末装置により受信された信号の中の同期検出用のサンプルシーケンスに対して、前記サンプルシーケンスの中の各サンプルを、当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの振幅に関するパラメータに基づいて正規化する正規化処理を行い、
前記正規化処理で得られた、正規化されたサンプルシーケンスに基づいて同期検出を実行すること、を含む方法。
(付記11)前記の正規化処理は、
前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関する平均値又は振幅に関する統計値を算出し、当該平均値又は統計値を当該サンプルに対する正規化因子として出力し、
前記サンプルシーケンスを、前記所定範囲の時間の長さのある割合に対応する時間だけ遅延させ、
前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、前記のサンプルシーケンスを遅延させるサブステップで出力された当該サンプルに対応する遅延サンプルを、前記の正規化因子を算出するサブステップで出力された当該サンプルに対応する正規化因子で除算することにより、当該サンプルを正規化すること、を含む付記10に記載の方法。
(付記12)前記の正規化因子を算出することは、前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの実部のノルムの平均値、虚部のノルムの平均値、及び実部のノルムと虚部のノルムとの和の平均値のうちの少なくとも一つを介して、当該サンプルに対応する正規化因子を算出することを含む、付記11に記載の方法。
(付記13)前記のサンプルシーケンスを遅延させることは、前記サンプルシーケンスを、前記所定範囲の時間の長さの半分、1/4、又は3/4に対応する時間だけ遅延させることを含む、付記11又は12に記載の方法。
(付記14)前記の正規化因子を算出することは、更に、
正規化処理の初期段階において、正規化されるサンプルの周囲の前記所定範囲における当該正規化されるサンプルの前方向の空きを、当該サンプル又は前記端末装置の性能に関連する第1の固定値を利用して充填し、当該充填された所定範囲に基づいて当該サンプルに対応する正規化因子を算出する、及び/又は、
正規化処理の終了段階において、正規化されるサンプルの周囲の前記所定範囲における当該正規化されるサンプルの後方向の空きを、当該サンプル又は前記端末装置の性能に関連する第2の固定値を利用して充填し、当該充填された所定範囲に基づいて当該サンプルに対応する正規化因子を算出する、
ことを含む、付記11又は12に記載の方法。
(付記15) 前記端末装置が初期セルサーチを実行する場合に、前記の同期検出を行うステップにおいて、前記端末装置にサービスを提供できるサービスセルのIDを検出するまで、前記の正規化処理を行うよう制御し、
前記端末装置がそれに対応するサービスセルにおける基地局の指令に応答して、同周波数の隣接セルサーチを実行する場合に、前記の正規化処理を行うステップを、前記端末装置のサービスセルの同期信号の左右における2個、又は2.5個のサブフレームの範囲内に前記正規化処理を実行するように制御し、及び、
前記端末装置がそれに対応するサービスセルにおける基地局の指令に応答して、異周波数の隣接セルサーチを実行する場合に、前記の正規化処理を行うステップを、上り信号と下り信号との間の各異周波数の隣接セルサーチの区間GAP内に前記正規化処理を実行するように制御することを更に含む、
付記10〜12の何れか一項に記載の方法。
(付記16)前記の同期検出を行うことは、
三つの既知のプライマリ同期信号PSSシーケンスをそれぞれ用いて前記の正規化処理を行うステップで出力された正規化されたサンプルシーケンスと相関演算を行うことにより、相関値の最大値に対応するPSSシーケンス、又はある閾値より高い相関値に対応するPSSシーケンスを検出し、対応するタイミング位置を検出することを含む、付記10〜12の何れか一項に記載の方法。
(付記17)前記の同期検出を行うことは、更に、
前記のプライマリ同期信号PSS検出による検出結果及び前記の正規化処理を行うステップで出力された正規化されたサンプルシーケンスに基づいてセカンダリ同期信号SSS検出を行うことにより、前記通信システムにおいて要求を満足するセルのCELL−ID、循環プレフィックスCPの種類、及びフレームタイミングを検出することを含む、付記16に記載の方法。
(付記18)付記1〜9の何れか一項に記載の同期検出を実行する装置を備える端末装置。
(付記19)付記10〜17の何れか一項に記載のTDDモードによる通信システムにおいて同期検出を実行する方法を実行させるプログラム。
(付記20)付記10〜17の何れか一項に記載のTDDモードによる通信システムにおいて同期検出を実行する方法を実行させるプログラムを記憶した記憶媒体。

以上のように本発明は具体的な実施例を説明することにより開示されたが、当業者は請求項の要旨と範囲内において本発明に対する様々な修正、改善又は同等物を設計することができる。これら修正、改善又は同等物は本発明の保護範囲内に含まれるものと認められるべきである。
【符号の説明】
【0086】
600 同期検出装置
610 正規化手段
620 動機検出手段
700 正規化手段
710 遅延サブ手段
720 正規化因子算出サブ手段
730 正規化サブ手段
1100 同期検出装置
1102 制御手段
1104 正規化手段
1106 同期検出手段
1200 同期検出装置
1202 正規化手段
1204 検出手段
1212 PSS検出サブ手段
1300 同期検出装置
1302 正規化手段
1304 検出手段
1312 PSS検出サブ手段
1316 SSS検出サブ手段
1400 同期検出方法
1410 開始
1420 同期検出を実行する端末装置により受信された信号における同期検出用のサンプルシーケンスに対して正規化処理を行うことにより、当該サンプルシーケンスのうちのサンプル毎に対して当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの振幅に関するパラメータに基づいて当該サンプルを正規化する
1430 正規化されたサンプルシーケンスに基づいて同期検出を行う
1440 終了
1500 同期検出方法
1510 開始
1522 サンプルシーケンスのうちのサンプル毎に対して、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関する平均値又は振幅に関する統計値を算出
1526 サンプルシーケンスを遅延させる
1528 遅延されたサンプルを対応する正規化因子で除算
1530 正規化されたサンプルシーケンスに基づいて同期検出を実行
1540 終了
1700 コンピューティングシステム
1701 CPU
1702 ROM
1703 RAM
1704 バス
1705 入出力インターフェース
1706 入力部
1707 出力部
1708 記憶部
1709 通信部
1710 ドライブ
1711 取り外し可能な媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおける同期検出を実行する装置であって、
当該装置により受信された信号の中の同期検出用のサンプルシーケンスに対して、前記サンプルシーケンスの中の各サンプルを、当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関するパラメータに基づいて正規化する正規化処理を行う正規化手段と、
前記正規化手段により出力された、正規化されたサンプルシーケンスに応じて同期検出を実行する同期検出手段と、を備える装置。
【請求項2】
前記正規化手段は、
前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの、振幅に関する平均値又は振幅に関する統計値を算出し、当該平均値又は統計値を当該サンプルに対応する正規化因子として出力する正規化因子算出サブ手段と、
前記サンプルシーケンスを、前記所定範囲の時間の長さのある割合に対応する時間だけ遅延させる遅延サブ手段と、
前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、前記遅延サブ手段により出力された当該サンプルに対応する遅延サンプルを、前記正規化因子算出サブ手段により出力された当該サンプルに対応する正規化因子で除算することにより、当該サンプルを正規化する正規化サブ手段と、を備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記正規化因子算出サブ手段は、前記サンプルシーケンスの中の各サンプルについて、当該サンプルの周囲の前記所定範囲における全てのサンプルの実部のノルムの平均値、虚部のノルムの平均値、及び実部のノルムと虚部のノルムとの和の平均値のうちの少なくとも一つを介して、当該サンプルに対応する正規化因子を算出するよう構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記遅延サブ手段は、前記サンプルシーケンスを、前記所定範囲の時間の長さの半分、1/4、又は3/4に対応する時間だけ遅延させるよう構成される、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記正規化因子算出サブ手段は、
正規化処理の初期段階において、正規化されるサンプルの周囲の前記所定範囲における当該正規化されるサンプルの前方向の空きを、当該サンプル又は当該装置の性能に関連する第1の固定値を利用して充填し、当該充填された所定範囲に基づいて当該サンプルに対応する正規化因子を算出する、及び/又は、
正規化処理の終了段階において、正規化されるサンプルの周囲の前記所定範囲における当該正規化されるサンプルの後方向の空きを、当該サンプル又は当該装置の性能に関連する第2の固定値を利用してを充填し、当該充填された所定範囲に基づいて当該サンプルに対応する正規化因子を算出する、
ように構成されるエッジ処理部を備える、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項6】
更に制御手段を備え、
前記制御手段は、
当該装置が初期セルサーチを実行する場合に、前記同期検出手段が当該装置にサービスを提供できるサービスセルのIDを検出するまで、前記正規化手段を正規化処理を実行するように制御し、
当該装置がそれに対応するサービスセルにおける基地局の指令に応答して、同周波数の隣接セルサーチを実行する場合に、前記正規化手段を、前記端末装置のサービスセルの同期信号の左右における2個、又は2.5個のサブフレームの範囲内に正規化処理を実行するように制御し、及び、
当該装置がそれに対応するサービスセルにおける基地局の指令に応答して、異周波数の隣接セルサーチを実行する場合に、前記正規化手段を、上り信号と下り信号との間の各異周波数の隣接セルサーチの区間GAP内に正規化処理を実行するように制御するように構成される、請求項1〜3の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記同期検出手段は、
三つの既知のPSSシーケンスをそれぞれ用いて前記正規化手段により出力された正規化されたサンプルシーケンスと相関演算を行うことにより、相関値の最大値に対応するPSSシーケンス、又はある閾値より高い相関値に対応するPSSシーケンスを検出し、対応するタイミング位置を検出するよう構成されるプライマリ同期信号PSS検出サブ手段を備える、請求項1〜3の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
無線通信システムにおいて同期検出を実行する方法であって、
同期検出を実行する端末装置により受信された信号の中の同期検出用のサンプルシーケンスに対して、前記サンプルシーケンスの中の各サンプルを、当該サンプルの周囲の所定範囲における全てのサンプルの振幅に関するパラメータに基づいて正規化する正規化処理を行い、
前記正規化処理で得られた、正規化されたサンプルシーケンスに基づいて同期検出を実行すること、を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図16C】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−34366(P2012−34366A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165969(P2011−165969)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】