説明

時刻同期および周波数同期のための同期トレイルを有する同期ネットワーク構成

同期ネットワークのノード(410)を構成する方法であって、ノードでの時刻同期のための時刻同期情報を搬送するように構成された、可能性のある代替時刻同期トレイルと、ノードでの周波数同期のための周波数同期情報を搬送するように構成された、可能性のある代替周波数トレイルとを特定するステップ(10)を含む。ソースに関する情報を用い(20)、トレイルの比較(30)が、同一のソースを共用する時刻同期トレイルおよび周波数トレイルが選択される確率が、異なるソースを用いるトレイルが選択される確率よりも高くなるようにバイアスされる。これは、異なるソースを有するトレイルに起因する位相誤差による相違および結果として生じるビット誤りの回避に役立つ。これは、例えば両方のトレイルを新たな共通ソースに変更したり、一方のトレイルを変更して他方のトレイルは古い共通ソースを用い続けるようにしたりすることを包含してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は同期ネットワークのノードを構成する方法、このようなネットワークのためのノード、このようなネットワークのための管理システム、同期ネットワーク、およびこのようなネットワークの構成に用いるための対応するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地点間で情報を搬送するための通信ネットワークには様々なタイプのものがある。例えば、通信プロバイダ、インターネットサービスプロバイダ、企業イントラネット、ケーブルテレビ配信システムに属する広域ネットワークおよび他のデータ通信ネットワークは、光ファイバを通じ、光信号の形態でデジタル情報を搬送する光ネットワークを用いることができる。通信ネットワーク内のデジタル情報は、非同期形式と同期形式とに分類することができる。SDH(同期デジタルハイアラーキ)のような同期形式は、正確に動作するための共通タイミング基準を必要とする。つまり、ネットワークのあるノード内のクロックは、そのネットワーク内の他の複数のノード内のクロックと同じスピードで動作しなくてはならない。
【0003】
共通タイミング基準を提供するため、デジタル情報を搬送する通信ネットワークは同期ネットワークを含むことが可能であり、同期ネットワークの責務は通信ネットワーク全体を通じて共通タイミング基準が用いられることを保証することである。このような同期ネットワークの1つが、欧州電気通信標準化機構(ETSI)文書 欧州ガイド(EG)201 793 v1.1.1 (2000-10)、「送信および多重化(TM);同期ネットワークエンジニアリング」に記載されている。この文書は、同期ネットワークを作り上げる様々な要素や、このようなネットワークが、いわゆる基準クロック供給装置(PRC)からネットワーク中の他の複数の機器に配置されたクロックに正確なタイミング情報を分配する動作原理について解説している。PRCはネットワーク内で最も高品質なクロック供給装置であり、非常に高精度なクロック性能を提供する自走式セシウムビーム発振器に基づくのが一般的である。
【0004】
網同期の精度が低いと、多量のジッタやワンダの原因となり、結果として伝送誤りやバッファアンダーフロー/オーバフローにつながる。これらはいずれも、高い誤り率およびサービス停止を引き起こすサービス問題となるであろう。低い同期精度は、最良のケースでは他のネットワークレイヤに若干の不都合を生じさせるに過ぎないが、最悪のケースでは通信ネットワーク全体でトラフィックを麻痺させうる。従って、トラフィックネットワークにおける重大な故障のリスクを回避あるいは削減するためには、うまく計画されかつ維持される同期ネットワークが必須条件である。
【0005】
同期ネットワークの計画は、関連するITU-T勧告(例えばITU-T G.803)および他の関連標準(例えば上述したETSI EG 201 793)に規定されるような規則に従い、手作業で行われるのが一般的である。例えば基準タイミング信号配信のオフライン設計を支援したり、同期ネットワーク通常動作および故障シナリオのシミュレーションを提供したりすることにより、コンピュータを用いたツールが同期ネットワーク計画および維持を補助することもできる。
【0006】
非専用同期ネットワークの正確な計画は一般に複雑な仕事である。仮に当初の計画を完璧にやり遂げたとしても、他のネットワークタイプ/レイヤが変更される都度、同期ネットワークを再計画するには相当の労力を要する。
【0007】
新規かつ異種の技術を展開する際には、別の問題も起こりうる。例えば、同期ネットワークは、同期通信を用いる部分と、パケットベースの通信を用いる別の部分とを有するトレイルから構成されるハイブリッドネットワークであってよい。例えば、TDMレガシ(例えばPDH,SDH)または同期イーサネット(登録商標)をサポートするノードと、同期情報を伝達するためにパケットベースの技術を用いるノードとが混在されうる。この場合、同期ネットワーク管理は非常にチャレンジングであろうし、オペレータのOPEX(運用費用)を大幅に増加させるであろう。
【0008】
例えばキャリアイーサネットワークが通信品質クロックをネットワークノードに搬送することができるようにパケットネットワーク上で同期情報を送信することは、高精度時間プロトコル(PTP)(ネットワーク接続された測定および制御システムのための高精度クロック同期プロトコルについてのIEEE標準1588-2008規格)から知られている。この規格はタイミングパケット送信時のマスタクロックの出力に基づく構造化タイムスタンプと、そのためのイーサネットまたはIPパケット位置を規定している。
【0009】
PTPは周波数、時刻、および位相合わせがスレーブノードで可能なように、双方向(two way)伝送技術を用いる。PTPはマスタノード、境界ノード、および透過ノードを規定する。パケットはどのイーサネットノードを通過してもよく、通常のデータパケットとして取り扱うことができる。
【0010】
より正確な時刻または位相同期基準を生成するため、別のトレイルから得られるパケットベースの同期情報を用いて物理層から得られる周波数同期情報に基づいて同期基準をノードで生成することも知られている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一目的は、同期ネットワークを構成するための改良された装置または方法の提供にある。第1の見地によれば、本発明は同期ネットワークのノードを構成する方法であって、同期ソースから前記ノードへ同期情報を受け渡すための、可能性のある複数の代替同期トレイルを特定するステップと、前記可能性のある複数の代替同期トレイルのソースに関する情報を決定するステップとを有し、前記可能性のある複数の代替同期トレイルは、前記ノードでの時刻(位相)同期のための時刻(または位相)同期情報を搬送するように構成された複数の時刻同期トレイルと、前記ノードでの周波数同期のための周波数同期情報を搬送するように構成された複数の周波数トレイルとを有する方法を提供する。前記可能性のある複数の代替同期トレイルは、時刻同期に用いるために前記ノードについての前記複数の時刻同期トレイルの1つを選択するとともに、周波数同期に用いるために前記ノードについての前記複数の周波数トレイルの1つを選択するため、前記ソースに関する情報を用いて自動的に比較され、前記比較は、同一のソースを共有する時刻同期トレイルおよび周波数トレイルを選択する確率を異なるソースを用いるトレイルを選択する確率よりも高めるようにバイアスされる。
【0012】
これは、異なるソースを有するトレイルに起因する位相誤差による相違および結果として生じるビット誤りの回避に役立つ。方法は、例えば両方のトレイルを新たな共通ソースに変更したり、一方のトレイルを変更して他方のトレイルは古い共通ソースを用い続けるようにしたりすることを含んでもよい。また、2つの既存の選択アルゴリズムが存在する場合、一方の選択アルゴリズムを他方に依存させることによってバイアスをかけることを包含してもよい。方法は、他方のトレイルによって用いられるソースを決定するための一方のアルゴリズムを適合させることを包含してもよい。
【0013】
これは、いかなるソース制御も用いられていない場合に問題がありうるという認識に基づくものである。つまり、トレイルが共通のソースを用いて始まったとしても、ノードにおいていずれかのトレイルのトレイル選択が再設定された場合には周波数および時刻同期の少なくとも一方について異なるソースが選択されやすい機会が存在し、その結果共通ソースの利点が失われるということである。
【0014】
上述した機能に対し、さらなる機能を追加することも可能であり、その一部は以下で詳細に説明する。
【0015】
本発明の別の見地は、同期ネットワークのノードを含むことができ、前記ノードは同期ソースから前記ノードへ同期情報を受け渡すための、可能性のある複数の代替同期トレイルを特定するとともに、前記可能性のある複数の代替同期トレイルのソースに関する情報を決定するように構成された構成マネージャを有し、前記可能性のある複数の代替同期トレイルは、前記ノードでの時刻同期のための時刻同期情報を搬送するように構成された複数の時刻同期トレイルと、前記ノードでの周波数同期のための周波数同期情報を搬送するように構成された複数の周波数トレイルとを有する。前記ノードはさらに、時刻同期に用いるために前記ノードについての前記複数の時刻同期トレイルの1つを選択するとともに、周波数同期に用いるために前記ノードについての前記複数の周波数トレイルの1つを選択するため、前記可能性のある複数の代替同期トレイルを前記ソースに関する情報を用いて自動的に比較するように構成された比較器を有し、前記比較は、同一のソースを共有する時刻同期トレイルおよび周波数トレイルを選択する確率を異なるソースを用いるトレイルを選択する確率よりも高めるようにバイアスされる。前記ノードについての同期基準を提供するため、前記選択されたトレイルからの前記時刻同期情報および前記周波数に切り替えるための、前記比較器によって制御されるトレイルセレクタがさらに提供される。
【0016】
他のいかなる機能も追加可能である。別の見地は、上述した構成方法を実行するように構成された同期ネットワークのための管理システムを提供する。このような集中型構成は、大きなネットワーク内での伝播遅延の変化を回避することを可能にし、オペレータによる監視や介入を一層容易にする。
【0017】
別の見地は、複数のノードと、同期ソースからハイブリッド同期ネットワークの前記複数のノードへ同期情報を受け渡すための複数の同期トレイルとを有する同期ネットワークを提供し、前記ハイブリッド同期ネットワークは上述した構成方法を実行するように構成された管理システムを有する。
【0018】
別の見地は、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたコンピュータプログラムであって、上述した構成方法をプロセッサに実行させる、前記プロセッサによって実行可能な命令を有するコンピュータプログラムを提供する。
【0019】
任意の追加機能を、上述した見地の任意のものと組み合わせることができる。他の利点、特に他の従来技術に対する利点は、本技術分野の当業者に明らかになるであろう。本発明の特許請求の範囲の範囲内で、多数の変更や変形を行うことが可能である。そのため、本発明の形態は単に例示的なものであって本発明の範囲を限定する意図はないことを明確に理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】周波数トレイルの故障を示す、同期ネットワークの模式図である。
【図2】共通ソースを有する代替トレイルの選択後の同様のネットワークを示す図である。
【図3】一実施形態に係る同期ネットワークのノードの模式図である。
【図4】実施形態に係る同期ネットワークの構成手順を示す図である。
【図5】実施形態に係る同期ネットワークの構成手順を示す図である。
【図6】実施形態に係る同期ネットワークの構成手順を示す図である。
【図7】実施形態に係る同期ネットワークの構成手順を示す図である。
【図8】実施形態に係る同期ネットワークの構成手順を示す図である。
【図9】実施形態に係る同期ネットワークの構成手順を示す図である。
【図10】実施形態に係る、トレイルについてのソースおよび伝送特性のデータベーステーブルを示す図である。
【図11】トレイルの故障後の位相誤りの経時変化を示す図である。
【図12】ノードCでの故障前後における、実施形態に係るネットワークの模式図である。
【図13】ノードCでの故障前後における、実施形態に係るネットワークの模式図である。
【図14】ノードCでの故障前後における、実施形態に係るネットワークの模式図である。
【図15】実施形態に係る、同期ネットワークのノードおよび集中型同期管理システムのノードの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面に関する例を通じて、本発明をどのように実施しうるかについて説明する。
以下、本発明を特定の実施形態ならびに所定の図面に関して説明するが、本発明はそれらではなく特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。説明される図面は単に模式的なものであって、非限定的なものである。図面において、複数の要素の一部の大きさは、便宜上、誇張され、縮尺通りに図示されないことがある。
【0022】
定義
本明細書および特許請求の範囲において「有する」という用語が用いられる場合、他の要素やステップを排除しない。単数の名詞を参照する際に不定冠詞または定冠詞が用いられる場合、これは特段の記載がないかぎりその名詞の複数形を含む。
【0023】
特許請求の範囲において用いられる「有する」という用語は、その後に列挙される手段に限定解釈されるべきではなく、他の要素またはステップを排除しない。
【0024】
説明されるノードまたはネットワークの要素または部品は、任意の情報処理を実行するために媒体にエンコードされたロジックを含みうる。ロジックはディスクまたは他のコンピュータ可読媒体にエンコードされたソフトウェアおよび/または特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプロセッサあるいはハードウェアにエンコードされた命令を含みうる。
【0025】
交換ノードに対する言及は、説明されるタイプに限定されず、任意のタイプの交換ノードを包含しうる。
【0026】
ソフトウェアに対する言及は、処理ハードウェア上で直接または間接的に実行可能な、任意の言語で記述された任意のタイプのプログラムを包含しうる。
【0027】
ハードウェア、処理ハードウェアまたは回路に対する言及は、任意の程度集積された任意のタイプのロジックまたはアナログ回路を包含しうる。そして、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、ASIC、FPGA、ディスクリート部品またはロジックなどに限定されない。
【0028】
トレイルに対する言及は、ノードのリスト、ノード間のリンクのリスト、あるいは辿るすべき位置または方向のリスト、そのようなリストまたは方向を計算するためのアルゴリズムといった、同期情報が辿る経路の任意の表示または記述や、他のいかなる同様の表示または記述をも包含しうる。
【0029】
同期情報に対する言及は、例えばそのような情報を搬送することに特化した独特なパケットや、クロックを抽出可能な同期データ伝送のような、他の目的のための信号が本質的に含む同期情報を包含しうる。
【0030】
時刻同期に対する言及は、例えばITU-Tによって規定されるようなリアルタイムクロックへの時計時刻同期や、例えばITU-Tによって規定されるようなクロック位相の同期などを包含することを意図しており、また時刻同期情報に対する言及は対応する情報を包含する。
【0031】
時刻同期トレイルに対する言及は、時計時刻同期情報のためのトレイルや、クロックの位相同期情報の包含を意図している。
【0032】
ネットワークのノードに対する言及は、ルーティング、交換、多重化、多重分離、OTNやSDHといった様々な伝送技術をサポートするための機能、あるいはネットワーク内を通過する情報の任意の種類の処理などの任意の機能を有する、ネットワーク内の任意の種類の特定可能な位置を包含しうるものであり、いかなる集積度、大きさ、帯域、ビットレートなどにも限定されない。
【0033】
パケットベースという言及は、任意の種類のヘッダ、フレーム構成を有し、非同期伝送されても同期リンク上で伝送されてもよい任意の種類のパケットを包含しうる。同期という点からは、そのようなパケットは例えばヘッダまたはペイロードにタイムスタンプを有するであろう。RFC1305に規定されるようなNTPパケットやPTPパケットが一例であり、他の多くのタイプを想定可能である。
【0034】
ハイブリッド同期ネットワークに対する言及は、パケットを用いないネットワークとは対照的に、同期情報(例えば周波数または位相)が物理層およびパケットベースの通信によって搬送されるネットワーク、あるいは全ての情報がパケットによって搬送されるネットワーク(このパケットが同期物理レイヤ上で搬送されるものであるとしても)を包含しうる。ソースに対する言及は、同期トレイル内の任意のタイミングソースを包含しうるとともに、周波数についてはPRC、位相情報については基準時刻クロック供給装置PRTCを例えば包含しうる。例えば、GPS(global positioning system)または原子時計によって実施されてもよい。
【0035】
これらの定義は、周知のG.810のような規格における類似部分の規定に適合する拡張がなされてもよい。
【0036】
同期伝送特性に対する言及は、通過ノード数、用いられるリンクのスピード、用いられる部分またはリンクの状態、パケット遅延変動のような品質特性といった同期情報を伝送する効果を有する任意の特性、例えば経路に沿った中間点で測定を実行することによって同期情報を再生成するノード、同期情報を拡張するノードを包含しうる。
【0037】
略語
BMC ベストマスタクロック
ESMC イーサネット同期メッセージチャネル
GPS 全地球測位システム
GSM(登録商標) グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ
HW ハードウェア
IEEE 電気電子技術者協会
ITU−T 国際電気通信連合・電気通信標準化部門
LC リンクコンポーネント
LMP リンク管理プロトコル
LSA リンクステートアドバタイズメント
LTE ロングタームエボリューション
MPLS マルチプロトコルラベルスイッチング
NTP ネットワークタイムプロトコル
OPS オンパスサポート
OSPF オープンショーテストパスファースト
PDV パケット遅延変動
PRC 基準クロック供給装置
PTP 高精度時刻プロトコル
QoS サービス品質
SSM 同期ステータスメッセージ
SyncE 同期イーサネット
TE トラフィックエンジニアリング
TLV タイプレングス値
WCDMA 広帯域符号分割多元アクセス
実施形態の説明の準備段階として、実施形態の機能および、この機能が既存のネットワークの機能をどのように補完するか、またはどのように対照的であるのかの理解を容易にするため、同期ネットワークの従来機能の問題を説明する。
【0038】
同期ネットワークおよびその構成
典型的なデジタル通信ネットワークは、同期ネットワークを含むことができる。通信ネットワークのノードにおいて、周知の交換機があってもよい。そういった機器は図に明示していない。トランスポートリンクは概して実線で示され、同期情報を搬送する同期トレイル(トレイルは一連のリファレンスリンクにより構成される)は破線で示される。基準クロック信号のような同期信号のソースとレシピエントを示すために、同期トレイルを示す破線の一端には矢印が含まれている。あるノードが複数のソースから基準クロックを受信する可能性を有する場合、主基準リンク(すなわち、あるノードから他のノードへ基準クロックを供給するために用いることが好ましい同期リンク)が、そのリンクを表す破線に隣接した番号「1」によって示されている。副基準リンク(すなわち、主同期リンクが利用できない場合に用いられる同期リンク)は、リンクを示す破線に隣接する番号「2」で示されている。同期トレイルを形成する基準リンクの一部がパケットベースのプロトコルを用いるように構成されている場合、同期ネットワークはハイブリッド同期ネットワークとして知られる。そのようなパケットベースのプロトコルは、下層のトランスポートネットワークの同期物理レイヤリンク場で搬送されてよい。
【0039】
通信ネットワークは光メディア上の同期データ伝送のための標準技術である同期デジタルハイアラーキ(SDH)を用いることができる。これは、同期光ファイバネットワーク(SONET)の国際等価物である。
【0040】
完全に同期がとれたネットワークでは、全てのソースは最終的にはPRCまで追跡可能でなければならない。例示的なネットワークにおいて、これはPRCAと呼ぶことができる。PRC Aは自身の高品質計時信号(「クロック」)を、例えばスタンドアローン同期機器(SASE)であってよい隣のノードに供給する。SASEは、高品質スレーブクロックである同期供給ユニット(SSU)を有する同期機器の1つである。SASEは自身のクロック信号を例えばデジタル交換機であってよい(あるいは代替実施形態では電話交換機かもしれない)隣のノードに配信する。次のノードは例えばSDH多重化器(MUX)であってよい。
【0041】
他のノードは例えばSDHデジタルクロスコネクト手段(SDH DXC)またはSDHアドドロップ多重化器(ADM)であってよい。
【0042】
merely forwarded directly to a next node.供給されたクロック信号自体を用いずに、SDH ADMは「バイパス」モードで動作可能であり(「NON-SETSロックト」:「SETS」は「同期機器タイミングソース(Synchronous Equipment Timing Source)」の略)、それによって同期クロックは単に次のノードに転送される。これは例えばADMおよび次のノードが同じ建物内で実施される場合には一般的である。バイパス機能にも関わらず、SDH ADMは同期クロックを必要とし、次のノードから供給を受ける。SDH ADMは自身の同期クロックを別のSDH ADMに提供するように構成されてもよく、これは副リンクとして扱われるであろう。
【0043】
タイミングループ
同期ネットワークは、通常動作中はもとより、故障によって1つ以上のノードが計画された受信ノードに自身の基準クロックを供給できなくなった場合においても、タイミングループの発生を回避できるような方法で計画されることが重要である。タイミングループは、クロックが自分自身に直接的又は間接的に同期した場合に生成される。タイミングループの状況では、ループに属する全てのクロックは通常と比較して大きな周波数オフセットを呈する可能性があり、残りの同期ネットワークから孤立する可能性が高い。タイミングループを回避するため、リング内の要素は、タイミングループが生成される可能性を検出可能とする手段を備えなくてはならない。そのような要素は通常、1つのソースがタイミングループの原因となることが判明した際に、代替ソースの1つを選択することによりタイミングループを回避する可能性を持たせるため、各々が少なくとも2つの同期ソースを有するように接続される。タイミングループを回避するためには、この代替ソースから供給されるクロックもまた自身から得られるものでないことが重要である。
【0044】
SDHネットワークでは、同期ステータスマネージャ(SSM)の利用は、タイミングループの回避にある程度役立つ。SSMは、同期インタフェース通じて受け渡される信号であって、このインタフェースが最終的に追跡可能なクロックの品質レベルを示す。すなわち、ネットワーク要素クロックのチェイン(「同期トレイル」)を介して(どれほどクロックのチェインが長くても)直接的または間接的に同期されるクロックのグレードを示す。完全に同期がとれたネットワークでは、全てのソースは究極的にはPRCを追跡可能とすべきであり、そのことを示す予め定められたコードが存在する。タイミングループを防ぐために別のコード「同期用には使用しないこと」が用いられ、機器のクロックを同期させるために用いられるインタフェース上を逆方向に送信される。
【0045】
SDHやSONETリングのような一部の用途ではSSMアルゴリズムは良いコンセプトだが、SSMは追跡可能な同期基準ソースの品質に関する情報を提供するに止まり、実際の物理ソースの関する情報は提供されないので、いかなるタイミングループの発生も防止されることを保証することはできない。例えば、ETS 300 417-6-1の第4.13章、「機器のトランスポート機能に対する一般要件:同期レイヤ機能」を参照されたい。SSMアルゴリズムの別の問題は、SASEまたはSDH/SONETネットワーク要素以外のネットワーク要素には通常サポートされていない(すなわち、SDH/SONETネットワーク要素間でしか用いることができない)ことである。タイミングループはトラフィックネットワークにおける重度障害の要因となり得るが、これら障害の影響が同期ネットワークの障害が起きた場所を容易に認識可能な表示を与えることは極めてまれである。そのため、ネットワークに障害が発生した際に、タイミングループを生成することなしに許容できる同期品質を維持するためにネットワークをどのように再構成するかを決定可能なように同期ネットワークを管理するための効率的な方法を提供することが重要である。
【0046】
構成管理問題
現状、同期ネットワークの管理は、いくつかのプラットフォーム間で分散されるべきとされている。その理由は、同期に特化した機器(例えばSASE)または同期およびトラフィック用の機器(例えばSDH多重化器やデジタル交換機のような)のいずれかでありうる、異なるタイプの機器から同期ネットワークが構成されることが非常に多いからである。その結果、いくつかの管理システム(例えば、SASEネットワーク用に1つ、SDH機器用に1つ、交換ネットワーク用に1つ等)を、並行して維持する必要がある。例えば、第1の交換ネットワーク管理ネットワークはデジタル交換機を管理し、SASE管理ネットワークはSASEノードを管理し、第1のSDH管理ネットワークはSDH多重化器を管理するために設けられ、第2の交換ネットワーク管理ネットワークは別のノードでデジタル交換機を管理するために設けられる。「同じ」タイプの機器(例えばSDH ADM)が、機器管理戦略を用いて自社の機器を設計する異なるベンダーによって製造されうるので、この状況は現実的ではない。管理システムの一部または全部は、隣接ノードおよび、様々なソースからそのノードに同期情報を提供する異なるトレイルのローカルマップを維持するように構成されてもよい。これら管理システムは、自身の制御範囲外の任意の変化の詳細を用いて個別に構成される必要がある。
【0047】
ハイブリッド同期ネットワーク
パケットベースの通信を用いるために一部のノードで同期情報を処理するための方法を置き換えることにより、同期ネットワークはハイブリッドネットワークになる。パケットで同期情報が搬送されるネットワークは、位相および時刻情報ならびに周波数情報の分配を可能にする。これらトレイルの一部がパケットベースの通信を用いる場合、これは最初の計画または試運転段階およびネットワークの耐用年数の間の動作中の構成の両方において、同期ネットワークの構成の管理をより複雑にしうる。これは、要員による継続的なメンテナンスを必要とし、要員は異なるノードの多数のサイトに駐在する必要があるであろう。同期ネットワークの地理的な分散により、ほとんどの場合、個々のサイトに要員を駐在させることは困難かつ効果である。
【0048】
パケットベースの方法では、タイムスタンプ情報を格納したパケットを送信することによってパケットネットワーク中を同期が搬送される。タイムスタンプはGPSのような正確な基準にアクセスできるマスタ(サーバ)によって生成される。同期情報を配信するパケットベースの方法は、周波数同期に加えて正確な時刻同期を提供可能であるという利点を有するが、ネットワーク負荷および輻輳状況に依存するという問題の影響をうける。
【0049】
それに対し、物理レイヤに基づく方法は、ネットワーク負荷および輻輳状況に依存しないという利点を有するが、(現在のアプリケーションの多くが要求するにもかかわらず)周波数同期のほかにいかなる時刻同期も提供できないという問題を有する。物理レイヤ方法は、ITU-T同期イーサネット構想によってイーサネットの観点で現在再定義中である(例えば、G.8261 パケットネットワーク内のタイミングおよび同期、G.8262 同期イーサネット機器スレーブクロック(EEC)のタイミング特性、およびG.8264 パケットネットワークを通じたタイミング情報の配信を参照されたい)。
【0050】
つまり、古い物理レベルベースの方法は時刻情報を搬送できず、パケットベースの方法はサーバ負荷または輻輳状況では正常に機能しないという、いずれの方法も重大な問題を有している。
【0051】
これら2つの方法の問題を解決し、両者の利点を活かす1つの可能性のあるアプローチが電気通信コミュニティで現在検討中であり、それには2つの方法を新たなハイブリッド同期ネットワークへの合成することが含まれている。
【0052】
この解決手法は、物理方法の優れた周波数配信特性を採用し、専用のパケット配信を用いた時刻配信を組み合わせることにより、物理方法における時刻配信の欠落を解決するものである。組み合わせの一例として、トラフィック負荷が低い限定的な期間(例えば夜間)にのみ時刻を同期させ、(SyncEのような)物理レイヤで搬送される正確な周波数にリモート時刻生成を駆動させるということが考えられる。
【0053】
ハイブリッド同期ネットワークの問題
ハイブリッド手法を用いた問題解決の試みは、位相と周波数のために選択されている同期ソースが異なりうることに関する別の問題をもたらす。リモート基準マスタは、独立アルゴリズム、すなわちベストマスタクロックアルゴリズム(例えば上述したIEEE 1588 PTPプロトコルに記載されている)に従ってスレーブノードが選択するであろう時刻情報のソースとして用いられる。周波数情報のソースとして用いられるリモート基準マスタは、予め割り当てされた優先順位ならびに帯域内SSM(同期状態メッセージ)に基づく周知のITU-T階層化法に従ってスレーブノードによって選択されるであろう。
【0054】
SDH/SyncE再編成の場合、同期ネットワークの故障により、SDH/SyncE基準交換機で許容される位相誤りおよび同期ネットワークに実装されたクロックのホールドオーバ特性により、周波数と時刻との間で数マイクロ秒までの誤差が生じうる。
【0055】
このような同期トレイルの再編成および再選択は、周波数同期トレイル用と時刻同期トレイル用とで異なるマスタを使用する結果となり得る。その場合、(±1011周波数差により)1時間あたり約70nsの誤差が生じうる。これは、トランスポートネットワークでのタイミングサポートにより(例えばIEEE 1588境界クロックを介して)時刻同期が実現される場合に重大な問題となり得る。潜在的に異なる周波数同期マスタにロックされるそれぞれの境界クロックにより、終端ノードにおける目標要件を超える総位相誤差が生じる可能性がある。
【0056】
この振る舞いは、時刻同期を利用する必要のあるアプリケーション(例えばTD-SCDMA、CDMA2000、WCDMA TDD)において特に問題を生じさせうる。なぜなら、これらのアプリケーションは1〜3μsという、より厳しい要件を有するからである。
【0057】
実施形態の特徴
2つの方法の最良の部分を組み合わせ、精度の悪化原因となりうる独立した選択基準による問題を解決するために、データの同期ストリームから同期を回復するための、物理レイヤに基づくTDMネットワークのための古典的な手法がパケットベースの方法に組み合わされる。これにより、上述した問題のいくつかを解決し、関連するOPEXを削減する。
【0058】
少なくとも一部の実施形態は、2つの方法についての同一のマスタを有するように、トレイル選択方法を調整する。一部の実施形態において、これら方法はPTPおよびSyncEまたは他の物理レイヤベースの同期方法に基づく。
【0059】
従って、新たなプロトコルは、SnycE(またはSDH)およびIEEE 1588がハイブリッド同期ネットワークでどのように効率的に用いられるかを規定し、また詳述する。ここでは、基準となるパケットベースの方法としてPTPを用いる場合を説明するが、他のパケットベースの方法も使用可能であることに留意すべきである。周波数を配信するための、基準となる物理レイヤベースの方法としての同期イーサネットについても同様である。一部の実施形態では、異なるマスタを選択させないように、2つの方法の1つのリモートマスタ選択アルゴリズムが無効化される。
【0060】
マスタ選択のために、PTPはIEEE 1588に規定されるアルゴリズム(ITU-T通信プロファイルに詳述されるベストマスタクロックアルゴリズム)を用いるが、同期イーサネットおよびSDHはITU-T G.803, G81xxおよびG.826x群に規定される従前のITU-T階層化手法を用いる。可能性のある1手法は、通常は周波数配信に関するものである、最も重要なパスに特権を与えることであり、従ってSyncE(またはSDH)選択アルゴリズムを、要求される振る舞いを実現可能とするための拡張アルゴリズムを実現するための開始点と考えることである (逆の手法もまた考えられる)。
【0061】
これは、ESMCチャネルが、従前のSSM情報の搬送に加え、完全同期トレイルに関する情報、特に利用可能な全ての同期基準のアクティブマスタに関する情報を搬送する方法に基づいて実現可能である。
【0062】
過渡的状態(例えば故障)中およびその後、2つの選択アルゴリズムが高速かつ効率的な方法で自己整合されつづけるようにすることが考えられる。
【0063】
追加機能
一部の実施形態は、以下の追加機能を含みうる:
比較ステップは、選択された周波数トレイルと同一のソースを有する時刻同期トレイルを選択する可能性を高めるために、周波数トレイルを最初に選択するステップと、続いて時刻同期トレイルの選択にバイアスをかけるステップとを有することができる。周波数同期がより重要である場合、品質の良いトレイルを確保するために、または周波数トレイルをより早く選択することを可能とするために、周波数トレイル選択を優先させてもよい。これは、膨大な数のポートが存在し、それによって多数のトレイルの評価および比較で大きな遅延が生じる場合や、周波数同期が行われない期間が長くなることが許容できない場合に特に有用であろう。
【0064】
時刻同期の方がより重要であれば、品質の良いトレイルを確保するために、または時刻トレイルをより早く選択することを可能とするために、時刻トレイル選択を優先させるため、原理的には順序を逆転することができる。これは、膨大な数のポートが存在し、それによって多数のトレイルの評価および比較で大きな遅延が生じる場合や、時刻同期が行われない期間が長くなることが許容できない場合に特に有用であろう。
【0065】
比較ステップは、同一ソースを共用している周波数トレイルと時刻同期トレイルの組を複数決定し、どの組を使用するかを選択するために比較を行うようにしてバイアスされてもよい。これは、周波数も時刻同期も同等の重要性であり、妥協が優先される場合に有用かもしれない。
【0066】
少なくとも一部の周波数トレイルは、同調して送信されるデータが用いる物理レイヤパスを有することができ、周波数同期情報を得るためにこのデータからクロック信号を抽出することができる。これにより、ネットワークのトラフィック負荷と無関係に良好な品質の周波数同期を提供することができる。
【0067】
方法は、少なくとも一部の同期トレイルに、パケットベースの通信を用いるように構成された同期トレイルを有することができる。これにより、切り替え可能で、リンクまたはノード故障の影響をより受けづらいトレイルを提供することができるほか、物理レイヤでは容易に実行できない遅延測定を可能にする双方向フローを提供できる場合もある。ソースに関する情報を決定するステップは、トレイルに沿って送信された、そのトレイルのソースに関する情報をノードで受信するステップを有することができる。これにより、情報をそのトレイルと関連付ける必要性が低く、関連付けは物理的な関連付けなので、ノードの処理を簡略化することができる。さらに、集中的に保持されるネットワークの地図のような他のソースからこのソース情報を取得したり導出したりするために要する遅延を回避することができる。
【0068】
比較ステップは、可能性のある異なる代替トレイルのソースの品質を比較するステップを有することができる。これにより、ノードで得られる同期品質の最も有用な品質表示を提供できる。
【0069】
ノードはトレイルに関する情報を記憶するデータベースを有することができ、方法は、ノードにおいて隣接ノードからトレイルに関する更新された情報を受信して記憶するステップと、ノードにおいて、周波数および時刻同期トレイルの選択を更新された情報に基づいて再評価するステップと、新たに選択された周波数および時刻同期トレイルを同期のためにノードで用いるステップと、更新を受け渡し、新たなトレイル選択を示すために、更新を隣接ノードに送信するステップとを有することができる。これを初期設定のみならず継続中の再構成に適用することにより、OPEXをより多く削減することができる。
【0070】
少なくとも一部の周波数トレイルは、同調して送信されるデータが用いる物理レイヤパスを有することができ、ノードは、クロック信号を抽出し、周波数同期情報を得るように構成された回路を有することができ、少なくとも一部の時刻同期トレイルがパケットベースの通信を用いるように構成される。
【0071】
一部の実施形態は同期ネットワークの構成の分散管理を有することができ、分散管理においては、同期ネットワーク自身およびその同期トレイルの図式を構築するために、同期ネットワークに関与する全てのノードが情報を交換する。これは、図式を維持するため(例えば予め定められた規則に従った同期基準の選択)や、トポロジの変化またはネットワークの故障が検出された際の、再構成による適切な対応を可能とするために用いることができる。
【0072】
これは中央集約的な方法でも分散的な方法でも実行可能である。中央集約的な方法では、ネットワーク管理中央ノードが全ての必要な情報および構成コマンドの分配を受け持つ。分散的な方法では、ネットワーク全体に関する全ての情報を格納したデータベースを各ノードが維持する。
【0073】
ネットワークの初期セットアップはオペレータが設計してもよい。動作中のいかなる再構成も自律的に実行されてよく、あるいは、自動化は同期ネットワークの初期セットアップの一部または全部にまで及んでも良い。
【0074】
これは、上述したIEEE 1588ベストマスタクロックアルゴリズムに規定された内容を、パケットベースの同期の領域に適用した場合と似ている。全てのIEEE 1588ノード間で通信するため、また各ノードに関してはネットワーク内の役割を規定するため、そしてスレーブに関してはそのマスタを規定するために、シグナリングチャネル(アナウンスメッセージ)が用いられる。
【0075】
図1および図2:選択された周波数トレイルの故障と、再構成結果
図1はハイブリッド同期ネットワークの一部の例を示している。明瞭さのために2,3のノードしか図示していないが、通常、ネットワークはより多くのノードを有し、またずっと大きい。第1のノード120は周波数同期情報の第1のソースを有し、バックアップ用の第2のソースがノード170に設けられている。同期ネットワークの目的は、基地局100および110のような終端に達するよう、物理レイヤのノードおよびリンク上で動作するパケットネットワーク190の形式を有する通信ネットワークのノードおよびリンク上で同期情報を渡すことである。ノード130上の×印は故障を示している。当初構成されたように、この故障の前、周波数同期情報はノード120からノード130、150、および160を介して基地局ノード100および110に延びる小さな点線の矢印で示される周波数トレイルによって渡されていた。時刻同期情報は同じソースノード120からノード140、150、および160を介する大きな点線の矢印で示される若干異なるルートを有する時刻同期トレイル上で、パケット形式で渡されていた。
【0076】
故障に続いて、終端ノードは現在選択されている第1のソースから抽出される同期障害を検出するであろう(例えば周波数外れアラーム、信号検出不能アラームなど)。これは従前の技術を用いて検出され、終端ノードにホールドオーバ状態への遷移と新たなソースの選択処理の開始を促す。これによりハイブリッド同期ネットワークは、図1に示すように、周波数トレイルが故障ノード130を用いないように再構成される。第1のソース120からの代替トレイルがないため、再構成は、周波数基準番号2で示されるノード170の第2のソースから開始する代替周波数トレイルの選択を含む。時刻同期トレイルは故障ノード130に用いられていないため、この時点では変更されない。この再構成の量は、機能している周波数トレイルを基地局に復元するのに十分であるが、周波数トレイルおよび時刻同期トレイルが異なるソースを有するようになったことで、上述した問題を引き起こす。図1に示す再構成の量は、ハイブリッドネットワークに関する再構成の従前の量と見なすことができるし、あるいは本発明の実施形態に係る2段階再構成の第1段階と見なすこともできる。
【0077】
図2は図1と同じネットワークにおける、実施形態に係る2段階再構成の第2段階の結果を示す図である。この図は、周波数トレイルおよび時刻同期トレイルが再び共通のソースを有するように、ノード170の第2のソースから始まり、ノード180、150、および160を通る別の時刻同期トレイルが選択された状態を示している。
【0078】
図3:実施形態に係るノード
図3は、ノードの一例を示す模式図である。この図は、通信ネットワークのノード400を示している。ノード400は、同期ネットワークのノード410および、同期通信プロセッサ470のような同期ネットワークには用いられない他の機能を有している。同期通信プロセッサ470は、従前のやり方に従って、通信ネットワークのトランスポートリンク上の同期トラフィックを処理するためのものである。同期通信プロセッサ470は、同期ネットワークのノード410から出力される同期基準またはクロックCKによって同期が取られている。
【0079】
この同期ネットワークのノードは、このノードに通じる様々な周波数トレイルのうち、周波数同期情報を提供するためにどの1つが選択されるかを選択するための周波数トレイルセレクタ440を有する。同期情報は、クロックを生成するため、通常の方法で同期基準発生器450によって用いられる。周波数トレイルセレクタは周波数トレイル比較器430の出力によって制御される。この出力は、複数のトレイルのどれを選択するかを制御することにより、同期ネットワークのこの部分の構成を効率的に管理する。
【0080】
周波数トレイル比較器は、データベース435に記憶されているようなソースに関する情報およびトレイルに関する情報を用いることができる。トレイル情報マネジャ420は隣接ノードが気付いているトレイルに関する情報を、図中「トレイル情報群」と示すように隣接ノードと交換することにより、このデータベースにデータを入力したり維持したりする。
【0081】
時刻同期情報を同期通信プロセッサ470に供給するための時刻同期トレイルセレクタ442も図示されている。時計の時刻またはクロック位相のようなこの時刻同期情報は、例えば小さな位相差からデータが失われることを最小化するため、自身のクロック精度を高めたり、自身のバッファを正しく中央合わせするために同期通信プロセッサ470によって通常の方法で用いられる。時刻同期トレイルセレクタは時刻同期トレイル比較器432の出力によって制御される。この出力は、複数の時刻同期トレイルのどれを選択するかを制御することにより、同期ネットワークのタイミング部分の構成を効率的に管理する。
【0082】
実際には、この、ソースおよびトレイルの同期伝送特性に関するトレイル情報は、通信ネットワークが用いているのと同じ物理パス上で、同期トレイル自身が用いている物理パス上で、あるいは独立したパス上で搬送可能である。同様に、同期トレイルは、通信ネットワークトラフィックと同じ物理パスあるいは独立したパスを用いることができる。トレイル情報マネジャおよびトレイル比較器は、例えば汎用プロセッサが実行するソフトウェアモジュールとして実装されても良いし、別個のハードウェアによって実行されるソフトウェアとして実装されても良い。ノードは従前のやりかたに従って、通信ネットワーク内のトラフィックの分散制御のために通信ネットワークの全てのノードに拡がった制御プレーン425の一部を有して良い。この制御プレーンは、トレイル情報マネージャおよびトレイル比較器の機能を実施するように適合され、また用いられて良い。
【0083】
複数のノードに分散された管理構成を有する実施形態において、各ノードにおける機器はIPをサポート可能なインタフェースを有し、この機器の全てはあるIPネットワークに接続される。しかし、IP標準の使用は必須ではなく、以下に説明するようなノード間での情報通信を許すものであれば、他の電気通信プロトコル標準を代わりに用いてもよい。
【0084】
一部の実施形態において、各ノードはさらに、同期ネットワーク内の各ノードと他の物理リンクとの関係を規定するテーブルを記憶する記憶装置を有する。
【0085】
図4:同期トレイルを構成する際の動作ステップ
最初に、汎用的な用語を用いて動作ステップの概要を説明する。各ノード内のテーブルは、同期ネットワークの初期状態を反映するように初期化される。これは、上述したように任意のノード間通信プロトコルによって実現できる。これにより、(統合同期ネットワーク管理ノードが本実施形態に含まれる場合にはそれを含む)各ノードは、基準クロックがネットワーク中をどのように伝播されているかを示す、トレイルの完全な図式を有している。次に、同期ネットワークが、トレイル沿いの各ノードに同期基準クロックを配信するため、周知の技術を用いて動作する。問題も変更も無ければ、これが無制限に継続する。
【0086】
しかし、ノードの状態が変化すると、そのノード内のテーブルが更新される。そして、この情報を同期ネットワークで他の全てのノード(統合同期ネットワーク管理ノードが本実施形態に含まれる場合にはそれを含む)に伝播するため、ノード間プロトコルが用いられる。更新情報は同期ネットワークの隅々まで伝搬されるため、1つ以上のノードが自身の状態/構成変化で応答してくる場合があり、それによってテーブルのさらなる更新が必要となる。従って、既知の反復技術およびノード間プロトコルを通じて、さらなる更新情報が同期ネットワークで他の全てのノード(統合同期ネットワーク管理ノードが本実施形態に含まれる場合にはそれを含む)に伝播されてよい。
【0087】
いずれはどのノードにも変更がなされない状態に達し、この時点で各ノードは、基準クロックがネットワークの隅々までどのように伝播されているかの完全な図式を再び有することになる。そして、同期ネットワークが、各ノードに同期基準クロックを配信するために周知の技術を用いて再び動作可能となる。上述の技術により、全ての同期ネットワーク管理機能を統一された方法で、依然として複数のノードで分散して、あるいは1つの(集中型)ノードの制御下で、完全に実行することが可能になる。新たなタイプの機器(特にIPルータ)が、同期ネットワーク管理ネットワークによっても制御されることを必要とし始めているので、これはとても重要なことである。
【0088】
図4は、集中型管理システムによって、あるいは各ノードにおける分散的な方法によって、ノードを構成する方法の一部のステップを示している。このような構成動作は、故障や何らかの変更の後におけるノード再構成を含んでよい。ステップ10では、そのノードへ、可能性のある代替周波数トレイルと時刻同期トレイルのどれが通じているかを調べる。ステップ20では、各トレイルのソースに関する情報を調べる。ソース情報の調査は、ノード間での情報の転送またはデータベースに保存されている情報の参照を含んでも良い。トレイル情報はおそらくは故障や警告がなされる状況の結果として、あるいは通信ネットワークのどこかの再構成の結果として、周期的に更新されてよい。これは、以下により詳細に説明するようなノード間の情報交換によって、あるいは集中型管理システムを通じて、実行することができる。
【0089】
ステップ30で、ノードに同期基準を提供するためにどのトレイルを用いるかを選択するため、異なる複数のトレイルが比較される。この比較は、共通のソースを有する周波数トレイルと時刻同期トレイルが選択される可能性が高くなるようにバイアスされている。これらのステップは、必要に応じてハードウェア、または汎用プロセッサで実行可能なソフトウェアで実施することができ、また集中的にもノードで局所的にも実行することができる。これらステップの一部がどのように実施されうるかのより詳細な例を以下に説明する。
【0090】
図5,6:トレイル比較におけるステップ
図5は、バイアスをかけて比較ステップを実施するための1方法に含まれるステップのフローチャートである。構成が必要と判定されると、ステップ210では、新たな時刻同期トレイルの自動選択をすべて無効化する。ステップ220で、そのノードでどれを使用すべきかを選択するため、可能性のある代替周波数トレイルが予め定められた条件と比較される。このステップを実施するいくつかの方法を以下により詳細に説明する。新たな選択が必要に応じて記録される。この記録は、必要に応じて、以下に説明される図10に示すようなテーブルに行う。また、残りの周波数トレイルについて、2番目および3番目以降の優先順位が決定されている場合、これらの優先順位についても記録することができる。これは、必要な際にノードが、優先順位の完全な再評価を行うことなくバックアップトレイルにすぐ切り替えることを可能にする。
【0091】
ステップ230は、可能性のある代替時刻同期トレイルのどれが、選択された周波数トレイルと同じソースを有するかを判定することにより、時刻同期トレイルの選択が開始されることを示している。もし1つも見つからなければ、ステップ240において、別の周波数トレイルが選択され、ステップ230が繰り返される。時刻同期トレイルの選択を、選択済みの周波数トレイルと同じソースを有するものに制限することは、共通ソースの可能性が高まるようにトレイルの比較にバイアスをかける1つの方法である。
【0092】
図6は、図5の代替図であり、バイアスをかけて比較ステップを実施するための1方法に含まれるステップのフローチャートである。構成が必要と判定されると、ステップ310では、共通ソースを有する周波数トレイルと時刻同期トレイルの組が複数特定される。ステップ320では、最良のものを選択するため、これら複数の組が所定の条件と比較される。同一ソースを有する組に選択を制限することは、共通ソースの可能性が高まるようにトレイルの比較にバイアスをかける別の方法である。
【0093】
図7:トレイル比較用の条件
図5および図6の実施形態は、最適なトレイルまたはトレイルの組を選択する条件の一部として、ソースの品質の比較を含むことができる。他の条件は例えばトレイルの長さ、信頼度、または輻輳統計値、あるいはデータレートを含むことができる。他のファクタは、境界クロックノードのような、同期情報を再生成するノードの存在有無であってよい。これもまた、以下で説明する、図10に示すデータベースの8番目の列に含まれるノード機能情報に基づくことができる。ステップ350で、トレイルに沿って送信された情報を抽出することにより、ソースのIDおよび/または品質を判定する。これは物理レイヤベースのトレイルにも、パケットベースのトレイルにも適用できる。ソースの品質は、例えばジッタ、ワンダ、または信頼性といった事項で表されてよい。
【0094】
図8:再構成の例
図8は、使用中にネットワークを再構成する際に含まれるいくつかのステップを示している。ステップ380で、新たなノードの追加、あるいは故障といった変化が同期ネットワークで発生する。ステップ382で、自身が有するトレイル情報のデータベースを更新するため、ノードが互いに通信する。ステップ384で、更新の影響を受けるノードが、自身に通じる、可能性のある代替周波数トレイルと時刻同期トレイルを調べる。ステップ386で、各トレイルについてのソース情報を調べる。共通ソースであることを容易に保証できるよう、あるいは上述したようにソースの品質特性の判定を包含できるよう、このソース情報はソースIDであってよい。
【0095】
ステップ388で、周波数トレイルと時刻同期トレイルの選択が、更新されたトレイル情報に基づいて再評価される。これは、例えば図5〜図7に示したステップの繰り返しを含んでよい。ステップ390で、選択された時刻同期トレイルおよび周波数トレイルが、ノードに同期基準を提供するために用いられる。隣接ノードが同期ネットワークのトレイルのマップおよび状況のローカルコピーを更新できるように、隣接ノードへ更新が送信されてもよい。
【0096】
図9:2段階構成の例
図9の例は、図5に対応するステップを有し、その詳細を示している。まず周波数トレイルが選択され、時刻同期トレイルの選択は禁止される。ステップ610で、ノードは、自身に通じる、可能性のある周波数トレイルを特定するため、自身のトレイルテーブルを参照する。ステップ620で、各周波数トレイルについてソースのIDおよび/またはソースの品質を調べるため、各周波数トレイルの下層の物理層からESMCパケットが読み取られる。ステップ630で、可能性のある周波数トレイルが比較され、このソース情報並びにデータベース内のトレイル情報に基づいてランク付けされる。
【0097】
ステップ640で、最適な周波数トレイルが選択され、このトレイルに対応するポートに到達したデータからクロックを抽出することによりトレイルが用いられる。抽出されたクロックは、例えばローカルクロックを導出されたクロックにロックさせるために位相ロックループを用いることにより、あるいはローカルクロックを他の方法で比較することにより、周波数基準に関する根拠として用いることができる。
【0098】
ステップ650で時刻同期トレイルの選択禁止が解除され、ステップ660でノードは、可能性のある時刻同期トレイルであって、自身に通じ、かつ選択された周波数トレイルと同一のソースを有するものを特定するため、自身のトレイルテーブルを参照する。1つも見つからない場合、ステップ680でノードは、次のランクを有する周波数トレイルと同一のソースを有する時刻同期トレイルを探す。時刻同期トレイルが見つかるまで順次この動作を繰り返す。そして、これら選択された複数の時刻同期トレイルの最良のものを、上述した所与の基準に照らして比較することによって見出す。必要であれば周波数トレイルを変更し、ステップ690で、パケットストリームからタイムスタンプを抽出することにより、時刻同期トレイルの使用が開始される。必要に応じて、往復パケット遅延を測定し、この遅延をソースからの出方向における遅延の推定に用いることにより、タイミング情報の送信遅延が補償されてもよい。
【0099】
OSPF原理を用いるトレイル比較および選択
このトレイル情報を用いることにより、ノード(任意のネットワーク要素)は、タイミングループを生成するリスクを負うことなく、かつネットワーク同期計画に従って、代替同期ソースを規定することが可能である。あるいは、既に説明したように、適切な(例えばトレイルの長さを最小化する)アルゴリズムに基づいて、最も利便性の高い同期基準をネットワーク要素が選択する、より発展した仕組みを用いることもできる。どのトレイルを選択すべきかを示す出力が、ノードのトレイルセレクタを制御するために送信される。この点に関し、図示はしていないが、トレイルが内部的なものであることを単に表示することによって内部トレイルを表すことができるならば、セレクタは内部同期生成器からの内部トレイルであって、他のいかなるノード(あるいはノード間のいかなるリンク上)も通る必要の無い内部トレイルを含めてもよいことは当然である。そのようなトレイル選択処理の一例は、例えば 2004年3月23日にStefano Ruffiniに与えられた米国特許第6,711,411号、「同期ネットワークの管理」に示されるようなOSPF(Open Shortest Path First)プロトコルで用いられる原理を用いることができる。OSPFはネットワークトポロジが変化した際の高速な反応および適切な最適化アルゴリズムに基づく再構成における柔軟性を提供することができる。OSPFプロトコルの拡張を通じて、同期ネットワーク内の全てのノードは、同期ネットワーク全体の同期リンクステータスについての情報を所有する。
【0100】
基本原理はネットワーク同期アプリケーションに適用可能である。各ノードは割り当てられた固有アドレスを有する必要があるものとする。
【0101】
他のノードからの同期ネットワークのトレイルに関する情報の自動判定は、OSPF(Open Shortest Path First)データルーティングプロトコルのようなリンクステートルーティングプロトコルに関連して知られている原理を用いることができる。これらの原理は、ネットワークトポロジが変化した場合の高速な応答、小さなトラフィックオーバヘッド、および適切な最適化アルゴリズムに基づくネットワーク再構成における柔軟性を提供するため、同期ネットワーク管理に関する本発明に有利に適用可能である。
【0102】
これは、従来のリンクステートルーティングプロトコルが同期ネットワークを管理するために必ず有用であるという意味ではない。例えば、同期ネットワーク管理機能に関するデータ(同期トレイルおよびステータスに関するデータ)の交換を提供しない場合には有用でない。しかし、OSPFルーティングプロトコルは、各データパケットをその送信元ノードから意図された宛先ノードへルーティングできるように、IPネットワーク内の全てのルータがIPネットワークの完全な図式を所有することを可能にする。そして、これらのコンセプトが同期ネットワークの管理を容易にするためにどうやって有用に適用されるのかを以下に説明する。
【0103】
OSPFでは、各ルータに、自身のリンクステート(すなわち、接続されているリンク状態の変化に関する情報)を、IPネットワーク内の他の隣接ルータへ送信させることにより、全ルータがIPネットワークの完全な図式を有することを実現している。再帰的な方法において、同一の情報を各ルータが有するようになるまでその情報がネットワーク中に拡散され、それによってIPパケットのルーティングに使用可能なIPネットワークの完全な図式を生成することができる。
【0104】
トレイル情報のノード間交換に用いられるメッセージ
本発明の少なくとも一部の実施形態によれば、同期ネットワーク内の各ノードに、同期ネットワーク内の他の全てのノードのリンクステータスに関する完全な情報を提供するため、同様の手法を用いることができる。これを行うために必要な情報は、アクティブ同期基準およびそのステータス(すなわち、追跡可能な同期ソースおよびその品質、ならびに待機(バックアップ)同期基準およびそのステータス)である。ノード間で情報を配信するためには複数のメッセージが必要である。OSPFで規定されているのと同様に、以下のタイプのメッセージが必要である。
(Sync) Hello 接続されているノードに、送信者の同期ステータスを周期的に知らせるためのメッセージ
(Sync) Database Description 初期化フェーズにおける、アクティブおよびスタンバイ同期基準、およびそれらの品質ステータスに関する情報を知らせるためのメッセージ
(Sync) Link State Request 例えばdatabase descriptionがノードで受信された後、自身のデータベースが最新で無いことがわかった場合に同期データを更新するためのメッセージ
(Sync) Link State Update 他のノードに同期ステータスの変化を知らせるためのメッセージ
(Sync) Link State Acknowledgement Link State Updateの受信を確認するためのメッセージ
注:これら全てのメッセージは隣接ノードに送信される。しかし、ネットワークの全ノードは、この情報を再帰的に受信する。
【0105】
メッセージが(受信ノードが有するトポロジ情報に従った)隣接ノード以外のノードから受信された場合、そのメッセージは破棄される。隣接ノードのリストは、(Sync) Helloメッセージを通じて形成される。セットアップ処理を高速化するため、隣接ノードのリストはネットワークセットアップの際にネットワーク管理ノードによって規定されても良い。
【0106】
ネットワークの準備およびセットアップのために、例えば以下のメッセージがさらに必要である。
同期基準候補としてどの基準が許容されるべきかを設定するためのコマンド;
異なる複数の基準に対して優先順位を設定するためのコマンド;
必要に応じて管理パラメータに閾値を設定するための1つ以上のコマンド。
【0107】
そのようなネットワークを管理する一連のステップは、以下のように要約することができる。
集中型システムにより、基本情報(例えばマスタについての特性および、一般にはオペレータが規定した同期ネットワークトポロジに関する情報)を用いてノードが構成される;
各ノード内のテーブルが、(Sync) Helloおよび(Sync) Database Descriptionメッセージを用いて更新される。これは上述した図3のステップ20に対応する。各ノード(集中型ノードだけの場合もある)が、同期ネットワークの完全な図式を所有する;
それに従ってネットワークが動作する;
ノードXで変化が生じた場合、このノードのテーブルが更新され(これもステップ20に対応する)、そのノードについてのトレイルの選択が再評価されうる(図3のステップ30に対応)。そして、新たな情報が、(Sync) Link State Updateメッセージを介して、ネットワーク内の他の全てのノード(集中型ノードを含む)に伝播される。
情報がネットワークの隅々まで伝播するにつれ、1つ以上のノードが自身の変化で応答するかもしれず、その場合にはさらにノードXのテーブルを変更する必要がある。反復的な処理により、最終的には同期ネットワークの新しいステータスが得られる。
【0108】
いくつかの類似ステップを有する別の例が、以下で説明する他の図面に示されている。完全に自動化されたネットワークの場合、初期構成が基本データ(1以上のマスタの名称および位置のような)と、オペレータが規定した他の制限事項のみを有してもよい。各ノードで実行されるトレイル選択(同期基準選択とも呼ぶ)は、(ネットワークが故障から回復した場合と同様)いくつかの反復処理に従って、またいくつかの適切な規則およびアルゴリズムに基づいて実行されてよい。
【0109】
図10:パケットフォーマットおよび状態テーブル
個々のノードがある時刻に所有するデータベース情報の例を図10に示す。このテーブル全体を、(Sync) Database Descriptionメッセージ内で隣接ノードに転送することができる。(Sync) Link State Updateは通常、(Sync) Link State Requestで要求された、テーブルの一部(例えば、特定のノードに関する行)のみを含むであろう。(Sync) Helloパケットは、送信元ステータスの情報(例えば接続されている同期リンクのステータス)のみを含んでも良い。
【0110】
テーブルは、例示的なネットワークの各ノードについて複数の行を有しており、各ノードにはA, B, C, D, E, F, G, H, N,およびOのラベルが付されている。この例において各行は、各ノードに通じる、異なるトレイルまたはそのノードについての内部トレイルに対応している。テーブルの第1列301には、同期ネットワーク200内の各ノードが規定されている。各ノードに対し、テーブルの第2列303内のエントリはノードの同期ソースを特定している。例えば、ノードAはPRCであるため、他のソースを有していない。ノードBはノードAから同期を受信するリンクを有し、それが第2列303に示されている。さらに、ノードBについて、これが好ましい同期ソースであるため、テーブルの第3列305にはこのソースに最高の優先度(例えば優先度「1」)が与えられていることが示されている。
【0111】
多くのノードは複数の可能性のある同期ソースを有している。例えば、上述の通りノードBはノードAから同期を受信するリンクを有するが、代わりの同期基準として使用可能な内部クロックも有している。それらの各々には、可能性のある同期ソースの利用優先順位を示す相対優先度が割り当てられている。例えば、ノードBの最高優先度の同期基準はノードAから受信され、次に高い優先度を有する同期基準(この場合、優先度「2」)は、ノードB自身が有する内部クロックから到来する。
【0112】
テーブルの第4列307は、同期基準を追跡することが可能な一連のノードを示している。例えば、ノードAはPRCであるため、自身の同期基準を得るための他のノードは存在しない。ノードBに関しては、最高優先度の基準(すなわち、ノードAから提供される基準)が用いられている場合には同期基準はノードAに追跡可能であり、ノードB自身の内部クロックが用いられている場合にはノードB自身に追跡可能である。第4列で用いられている括弧は、ノードがシンクオーバパケットチェーンの一部であるが、タイミングパケットを転送するだけで、タイミングパケットを処理したり拡張したりしない場合を示している。
【0113】
第5列309はネットワーク要素について、対応する同期基準のステータスを示している。可能性のある状態は、「ネットワークPRC(G.811)」、「ロック(G.811)」、「スタンバイ(G.812)」、および「スタンバイ(G.813)」を含み、スタンバイ(G.813)はG.812で規定されるよりも低品質のクロックである。これらの状態は本技術分野で周知であり、例えばITU-T勧告G.811(2/97)、「基準クロック供給装置のタイミング特性」、ITU-T勧告G.812 (2/97)、「スレーブクロック供給装置のタイミング特性」、ITU-T勧告G.813 (8/96)、「SDH機器スレーブクロック(SEC)のタイミング特性」において規定されている。これらのITU-T勧告の全体を、本明細書に援用する。
【0114】
第6列311は、トレイルがパケットベースの部分を有するかどうか、または同期リンクによって搬送されるかどうかを示している。テーブルの第7列313は、最大タイムインタバルエラー(MTIE)、時間偏差(TDEV)、周波数偏差(FDEV)などの管理結果(Supervision Result)を示している。リンクがパケットベースの場合、これはPDV測定であってよい。PDV測定はG.8261規格の一部として検討中である。これらの管理結果は通常の周期的な管理の結果であり、管理テストを実施するネットワーク要素のルーチンによって設定される。これらの結果は同期ネットワークの品質をチェックするためオペレータが読んでもよいあが、(例えばリンク品質が悪い場合に)同期ネットワークを再構成するために同期ネットワークが自動的な方法で用いることもできる。管理結果MTIEおよびTDEVは本技術分野で周知であり、ITU-T勧告G.810 (5/96)、「同期ネットワークに関する定義および用語」に規定されているため、これ以上の詳細についての説明は不要である。管理結果SSMもまた周知であり、上述したETSIドキュメントEG 201 783に規定されている。周波数偏差も周知の概念であるため、ここで定義する必要はない。第8列315は、トレイルに沿ったノードのうち、同期伝送特性に影響しうるノードの機能を示している。これにより、テーブルが、トレイルのうちパケットベースの通信を用いる部分のいくらかの同期伝送特性を含むことが可能になる。
【0115】
図10:パケットベース部分についての同期伝送特性
物理層ベースの通信とパケットベースの通信(例えばIEEE 1588(PTP)パケットで搬送されるタイミング)との主な違いは、前者の場合は同期ネットワークの一部である全てのネットワーク要素によって同期が配信され、再生成されることである。後者の場合、タイイングはマスタからスレーブに配信され、中間ノードはタイミングを処理する必要がある(例えば再生成を通じて)かもしれないし、ないかもしれない。他の根本的な違いは、スレーブの観点からは従前の物理レイヤ同期方法の場合と同様に、スタンバイ基準をリンクベースではなくマスタクロックに基づいて規定可能なことである。これは、トレイルのパケットベース部分についてはノード間で異なる情報を交換する必要があること、またトレイル比較ステップがこの新しい情報を考慮可能な必要があることを意味する。原則的には、パケットベースおよび同期部分についての異なるタイプの情報は異なるプロトコルによって収集され、必要に応じて別々の場所に保存され、これらの場所は異なるタイプを比較できるようにトレイル比較器によりアクセスされるが、一部の実施形態においては、制御プレーン上で動作する単独かつ統一された管理プロトコルが、異なるタイプの同期ネットワーク(例えばSyncEおよびIEEE 1588)を同時に処理可能である。
【0116】
以下のパケットベースの通信を特定することができる。
コネクションオリエンテッドパケットネットワーク上で稼働する完全パケットベースのネットワーク;
コネクションレスパケットネットワーク上で稼働する完全パケットベースのネットワーク;
物理レイヤ/パケットベースが混在するネットワーク
【0117】
パケットベースの方法は、ネットワークのタイミングサポート(例えばトレイルに沿ったネットワークノードの少なくとも一部で再生成または修正されたタイミングパケット)を用いて展開されてもよいし、用いなくてもよい。
【0118】
コネクションレスの場合は遅延の予測が付きにくいため、詳細には説明しない。遅延の予測可能性を高めるため、予め定められたパス上におけるQoSの仕組みを用いることができる。同期ネットワークのパケットベース部分の一部であるノードは、(他のタイプも想定されうるが)例えば以下のタイプのものであってよい。
タイミングパケットを転送するだけの(従っていくらかのパケットジッタを付加する)ノード;
時刻を再生成するノード(例えばIEEE 1588境界クロック);これは、物理レイヤベースのクロックと(例えばスタンバイ基準、クロック品質などについて)非常に似ている。
ノーでで検出された遅延値を示すようにデータを拡張する、パケットデータを拡張するノード(例えばIEEE 1588透過クロックノード)、および
ネットワークが故障した際にルーティングプロコトルによって代替パスとして規定されるノード(この場合、利用可能なルーティングパスの図式を取得するために、ルーティングプロトコルデータ(例えばOSPF LSA)を用いたやりとりが行われても良い)。
【0119】
これらの様々なタイプのノードは、パケットが搬送している同期情報のタイミングに影響を与えうる。そして、これらノードに関する情報は、トレイルの同期伝送特性を表しうる。この点に関し、トレイル比較および選択手法は例えばトレイル中のノードの数、タイミングサポートを提供しないノードの数、境界クロックノードの数、透過クロックノードの数といった伝送特性を考慮するように拡張されても良い。
【0120】
物理レイヤ/パケットベース混在方法の場合、この情報は各ノードによっても付加されうる。比較および選択手法はさらに、ある方法の、他の方法に対する信頼度のような他のファクタを考慮してもよい(特に物理レイヤベースの方法は、パケット遅延変動に影響を受けないため、最優先と考えられてもよいであろう)。
【0121】
従って、ノード間で管理ネットワークを用いて交換されるデータは、上述の情報を含むことができる。
【0122】
テーブルが大きくなり過ぎないように、同期ネットワークは必要に応じて、個々の部分が同期ネットワーク全体のサブセットに関するデータのみを含むように、テーブルを複数の部分に分割してもよい。
【0123】
タイミングループを回避するデータベーステーブルの更新
次に、同期ネットワークが故障した際にテーブルの内容がどのように修正されるかについて説明する。ノードFとGの間の同期リンクが例えば動作不能となる故障(例えばケーブルの切断)が発生したものとする。これらのノードIDは、図10のテーブルの行に示されるIDに対応している。つまり、ノードGは同期を他のソースから取得する必要があり、タイミングループを回避するために、他のノードの再構成も必要となるかもしれない。これは、各ノードが再構成の根拠とする完全な情報を有することができるよう、テーブル更新を配信するためのプロトコルを用いることによって連携させることができる。情報は区分単位で変化し、そのため更新された複数のテーブルが生成され、連続して配信される。
【0124】
例えば、同期ソースが失われたことの検出後、ノードGは自身が所有するテーブルを調べ、ノードHと特定されている別のノードから自身の同期基準を受信することが、タイミングループを引き起こすおそれがあるためすぐには選択できないことを知る。(ノードHのソースがノードGに追跡可能であることがテーブルに示されている。)そのため、ノードGは代わりに自身の内部クロックから同期基準を受信することを選択する。
【0125】
ノードGはこの変更を反映させるためテーブル300を更新し、同期ネットワーク内の他のノードにテーブルを配信する。テーブルがノードからノードへ配信されるにつれ、以前の変更に適用するように徐々に変更が行われる。特に、例えば管理者がフレーム同期外れ(loss of frame)や所定の閾値を超えるMITEのような、何か機能していないものを検出した結果として「警告」を示す管理結果がノードGで生成されている場合、この「警告」は、ノードGの最優先リンクを「ロック」状態から「故障」状態に遷移させる。この故障に応答して、ノードGの優先度第3位の同期基準ソースが、「スタンバイ」モードから「ロック」状態(ノードGに使用されていることを意味する)に遷移する。これは、基準選択アルゴリズムにおいて、最高の優先度を有する基準を選択することよりも、タイミングループを回避する状況に重きが置かれているという事実を強調するものである。このほか、ノードHが、G.811品質基準からG.813品質基準へ遷移するであろう。
【0126】
図11:再構成中の位相誤差のグラフ
図11は、この動作の例において、再構成中のホールドオーバ中に、周波数とタイミングとの間の位相誤差がどのように増大しうるかをITU-T勧告G.813に説明されているような方法で示している。最初の傾きは、ロックされている状態から外部基準に切り替わり、ホールドオーバ状態へ入るクロックに関するものである(これは、出力に最大120 nsの大きさの位相ジャンプをもたらすかもしれず、この場合、SHDおよびSyncE/SDHシステムのタイミング要求を前提とすると少なくとも0.016秒以内にクロックがホールドオーバに入るであろう)。
【0127】
初期ジャンプの後、約15秒まで(クロックが再び第2の基準にロックした際の第2ジャンプによって0.016が必要になる)、終端ノードは50ppbを超えてはならない低い位相誤差傾きを有するホールドオーバ状態に入る。この期間中、終端ノードは自身のソース選択テーブルを常に参照し、テーブル内の最高優先度の最良の選択肢の状態を検証しなければならない。
【0128】
最良の第2ソースを検証した後、終端ノードは自身をそのソースにロックさせ、位相誤差傾きをゼロにリセットする。
【0129】
説明した構成例に従い、SyncE/SDHマスタと同じマスタによってPTPフローが生成されることを保証するような方法で新たなソースを選択するために、終端ノードは約15秒までの時間ウィンドウを用いるであろう。
【0130】
さらに、故障回復(これはSyncEトレイル用のマスタの変更による結果であってもなくてもよいが、いずれの場合も位相ジャンプがおそらく生成される)を通知された終端ノードは、適切な行動(例えば、SyncE/SDHトレイルによって過度の位相誤差が搬送される可能性があるため、適切なタイムインターバルでの時刻同期動作をサポートするためにSyncE/SDHを用いない)を取ることが可能である。
【0131】
提案するトレイル選択アルゴリズムは、時刻および周波数についての新しいソースを、そのソースが追跡可能な基準がどれであるのか、およびそれらの基準が常に一致し続けることという要件を考慮して常に選択する。
【0132】
その結果、スレーブノードは基準情報を、ネットワークを通じて同期情報を伝播するために用いられるプロトコルから取り戻す必要があるであろう。
【0133】
暗示や限定を行わない例として用いる具体的な事象において、PTPプロトコルを位相情報伝播用に採用し、同期イーサネットを周波数情報伝播用に用い、スレーブノードはPTPパケットの相対フィールド内のPTP受信フローのそれぞれの基準クロックと、相対ESMCチャネル内の同期イーサネットリンクのそれぞれの基準を読み取る必要がある。
【0134】
図12〜図14:故障後の再構成の他の例
図12は、5つのノードA, B, C, D,およびEを有するハイブリッド同期ネットワークを示している。これらのノードIDは図10に示したノードIDとは関連していない。PRC/PTPグランドマスタの形式のソースが、ノードA, C, D,およびEへの(周波数および時刻)同期の配信を受け持っている。第2PRC/PTPグランドマスタの形式の第2ソースが、ノードBへの(周波数および時刻)同期の配信を受け持っている。この同期は、ノードAへの第2位の代替トレイル組としてノードAへ受け渡される。矢印付き点線は周波数トレイルを示し、矢印付き破線は時刻同期トレイルを示している。特に、ノードAはその同期イーサネット優先度テーブルに周波数トレイルのエントリを2つ有し、1つはノードCからの(「1」と付された)線で、ノードBからの(「2」と付された)線よりも高い優先度を有する。同様に、ノードEはノードD(優先度2)またはノードC(優先度1)から、物理レイヤで周波数を取得することができる。ノードAはさらに、PTPベストマスタクロックアルゴリズムを有し、このアルゴリズムは現在PTPグランドマスタ#1からのPTPパケットを選択中である。
【0135】
図12は、エラーのない初期状態での周波数トレイルおよび時刻同期トレイルの構成を示している。図13および図14は可能性のある再構成を示している。図13において、故障はノードCで発生するものとなっており、ノードCにコンタクトできないことを示すために、ノードCの場所にシンボルを示している。ノードAおよびノードEは上述した手順を用い、自身の有する同期ソーステーブルに従って、ノードBおよびノードDからそれぞれ同期を取得するであろう。図13には、共通ソースを有するトレイルを選択するようにしなかった場合に何が起こりうるかを示している。ノードAを見ると、周波数をノードBから、時刻をノードEから取得している状態にある。そのため、既に説明したように、精度の問題が生じる可能性が高い。
【0136】
図14には、同じ故障がノードCで発生した場合であるが、実施形態に係る、同一ソースを有するトレイルを選択するための手順が適用された場合を示している。ノードAおよびノードEは図12の場合と同様、いずれも自身の有する同期ソーステーブルに従って周波数ソースを選択することになるが、今回ノードAは、全ての入来リンクのタイミングを生成するPRCマスタを(拡張ESMCによって)知っている。具体的には、選択された周波数同期基準の周波数同期マスタがPRC2(ノードBからのリンク)であることを知っている。このようにして、ノードAは時刻同期トレイルと周波数トレイルの両方について共通のソースが存在するように、PTPマスタ2が時刻同期についても選択されることを確実にすることができる。
【0137】
上述の例は、境界クロックが用いられる場合に汎用化できる。この場合、各境界クロックで選択される周波数同期基準リンク(および関連するPRC)は、現在用いられているPTPグランドマスタの知見に基づいてもよい。物理レイヤ(例えば同期イーサネット)およびパケットベースの方法(例えばIEEE 1588)に基づくハイブリッド手法は、2つの方法の良い部分を用いて全体的な同期アーキテクチャの改善を良好な性能とともに実現することにより、これらが単独で展開されていた場合の従前の問題を解決する事ができる。
【0138】
少なくとも一部の実施形態の主な利点は、大きなコストをかけることなく、ハイブリッド同期手法をより最適な実装を可能にできることである。これは、位相および周波数の両者のマスタを揃え、マスタ相違およびその結果としての位相誤差を回避するために、移動および周波数の両方に対するマスタ選択アルゴリズムを制御する任意の方法によって実現することができる。
【0139】
とりわけ、特別な専用ハードウェアを何ら必要とすることなく容易に実施可能である。実際、比較的単純な拡張を実装することにより、既存のアルゴリズム(例えばSDHマスタ選択技術)でも利益を享受することが可能である。
【0140】
図15:集中型トレイル比較
図15は、図3と同様の機能を示す一例であるが、トレイル比較のような構成に関する機能が、集中的に行われる点で異なっている。図は、トレイル情報マネージャ420、トレイル情報データベース435、周波数トレイル比較器930、および時刻同期トレイル比較器932を有する集中型同期ネットワーク管理装置500を示している。
【0141】
同期ネットワークのノード410があり、通信ネットワークの同期部分が用いるための同期基準またはクロックを出力している。この同期ネットワークのノードは、このノードに通じる様々な同期トレイルのうち、同期情報を提供するためにどの1つが選択されるかを選択するための周波数トレイルセレクタ440および時刻同期トレイルセレクタ442を有する。図3と同様、この同期情報は、クロックを生成し、同期通信プロセッサにクロックを供給するため、通常の方法で同期基準生成器450に用いられる。周波数トレイルセレクタは集中型同期ネットワーク管理システムから、周波数トレイル比較器930の出力によって制御される。時刻同期トレイルセレクタは集中型同期ネットワーク管理システムから、時刻同期トレイル比較器932の出力によって制御される。
【0142】
トレイル比較器はデータベース435に記憶されているようなソースおよびトレイルに関する情報を用いる。トレイル情報マネージャ420は、同期ネットワーク内の全てのノードから情報を取得し、このデータベースにデータを追加し、また維持する。これらの機能を全てのノードに分散させる代わりに集中させることの利点は、大規模なネットワーク内で情報を伝播することによる遅延を削減できることである。また、集中型バージョンのほうがオペレータの介在が容易である。トレイル情報データベースを中央集約的に保持し、トレイル比較器アルゴリズムを各ノードで実行することもすることも考えられる。これは計算リソースへの要求を拡散するが、ノードと集中型データベースとの間で必要となる通信を増加させるであろう。
【0143】
他の機能
OSPFは、同期情報も搬送可能なTEリンクLSA(リンクステートアドバタイズメント)の定義を通じて拡張されても良い。特に、ここで説明した同期アプリケーションについて、G.OSPF-TEは、トレイルが比較され、かつトレイルが共通のソースを有することを可能にするために有用な同期ネットワークトポロジ情報を配信するために適合可能である。拡張されたOSPFを通じて配信される情報は、ノードが同期パスを適切にセットアップするのに十分であるため、シグナリングプロトコルを拡張する必要は無いことに留意されたい。
【0144】
ネットワーク内の各TEリンクは、OSPFにより、リンクTLV(タイプレングス値)を含んだTEリンクLSA(RFC 3630-OSPFバージョン2に対するトラフィックエンジニアリング(TE)拡張に規定される)を用いて記述される。TEリンクLSAは、サブTLVと呼ばれる所定数のサブオブジェクトを有する。これらサブオブジェクトの各々は、TEリンクのいくつかの特性を記述している。
【0145】
各TEリンクは、2つの隣接ノード間の物理コネクションを表すリンクコンポーネント(LC)を1つ以上含んでいる。LCに付随する第1のパラメータは、一義的にLCを特定可能なローカル識別子、リンクコンポーネントIDである。他のパラメータは技術に固有なものであり、この特定の文脈においては同期に関する。
【0146】
OSPF以外にも、付加機能を提供するものであれば、他の既存の、または新たなプロトコルが検討されても良い。例えば、一対のノード間で稼動し、TEリンク管理を目的としたLMP(リンク管理プロトコル)を、同期ソリューションを拡張するために用いることができるかもしれない。
【0147】
共通ソースを可能にするための新たな部分は、既存の同期メカニズムと共存するように構成することができる。何らかの競合が生じる部分では、起こりうる不整合を回避するため、「SSM」プロトコルのような部分は、ノードに無視させる必要があるかもしれない。
【0148】
物理レイヤベースの同期ネットワーク(例えばSyncE、SDH)の場合、上述した全てのプロトコルパケットは単独のIPホップを伝達する。つまり、同期ネットワークに参加する(または同期ネットワークを終端する)全てのネットワーク要素は、適切にアドレス指定されねばならない(プロトコルはリンクに基づいて動作しなくてはならない)。換言すれば、パケットは、同期ネットワークの一部であるネットワーク要素上で透過的に搬送されるべきではない。
【0149】
他のバリエーションおよび実施形態が特許請求の範囲内に含まれることが想定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期ネットワークのノードを構成する方法であって、
前記ノードでの時刻同期のための時刻同期情報を搬送するように構成された複数の時刻同期トレイルと、前記ノードでの周波数同期のための周波数同期情報を搬送するように構成された複数の周波数トレイルとを有し、同期ソースから前記ノードへ同期情報を受け渡すための、可能性のある複数の代替同期トレイルを特定するステップと、
前記可能性のある複数の代替同期トレイルのソースに関する情報を決定するステップと、
時刻同期に用いるために前記ノードについての前記複数の時刻同期トレイルの1つを選択するため、および周波数同期に用いるために前記ノードについての前記複数の周波数トレイルの1つを選択するために、前記ソースに関する情報を用いて前記可能性のある複数の代替同期トレイルを自動的に比較するステップとを有し、
前記比較するステップは、同一のソースを共用する時刻同期トレイルおよび周波数トレイルが選択される確率が、異なるソースを用いる時刻同期トレイルおよび周波数トレイルが選択される確率よりも高くなるようにバイアスされることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記比較ステップは、選択された周波数トレイルと同一のソースを有する時刻同期トレイルが選択される確率を高めるために、
周波数トレイルを最初に選択するステップと、
続いて時刻同期トレイルの選択にバイアスをかけるステップとを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記比較ステップは、同一ソースを共用している周波数トレイルと時刻同期トレイルの組を複数決定し、どの組を使用するかを選択するために比較することによりバイアスされることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記周波数トレイルの少なくとも一部は、同調して送信されるデータが用いる物理レイヤパスであって、周波数同期情報を得るために前記データからクロック信号を抽出することが可能な物理レイヤパスを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記時刻同期トレイルの少なくとも一部が、パケットベースの通信を用いるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ソースに関する情報を決定する前記ステップが、トレイルに沿って送信された、該トレイルのソースに関する情報を前記ノードで受信するステップを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記比較するステップが、可能性のある異なる代替同期トレイルのソースの品質を比較するステップを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ノードが、前記トレイルに関する情報を記憶するデータベースを有し、
前記方法が、
前記ノードにおいて隣接ノードから前記トレイルに関する更新された情報を受信して記憶するステップと、
前記ノードにおいて、前記周波数および時刻同期トレイルの前記選択を、前記更新された情報に基づいて再評価するステップと、
新たに選択された周波数および時刻同期トレイルを同期のためにノードで用いるステップと、
前記更新を受け渡し、前記新たなトレイル選択を示すために、更新を隣接ノードに送信するステップとを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
同期ネットワークのためのノードであって、
a)前記ノードでの時刻同期のための時刻同期情報を搬送するように構成された複数の時刻同期トレイルと、前記ノードでの周波数同期のための周波数同期情報を搬送するように構成された複数の周波数トレイルとを有する、同期ソースから前記ノードへ同期情報を受け渡すための可能性のある複数の代替同期トレイルを特定するとともに、前記可能性のある複数の代替同期トレイルのソースに関する情報を決定するように構成された構成マネージャと、
b)時刻同期に用いるために前記ノードについての前記複数の時刻同期トレイルの1つを選択するとともに、周波数同期に用いるために前記ノードについての前記複数の周波数トレイルの1つを選択するため、前記可能性のある複数の代替同期トレイルを前記ソースに関する情報を用いて自動的に比較するように構成された比較器と、
c)前記ノードについての同期基準を提供するため、前記選択されたトレイルからの前記時刻同期情報および前記周波数に切り替えるための、前記比較器によって制御されるトレイルセレクタと、を有し、
前記比較は、同一のソースを共用する時刻同期トレイルおよび周波数トレイルが選択される確率が、異なるソースを用いるトレイルが選択される確率よりも高くなるようにバイアスされることを特徴とするノード。
【請求項10】
前記比較器は、選択された周波数トレイルと同一のソースを有する時刻同期トレイルが選択される確率を高めるために、周波数トレイルを最初に選択し、続いて時刻同期トレイルの選択にバイアスをかけるように構成されることを特徴とする請求項9記載のノード。
【請求項11】
前記比較器は、同一ソースを共用している周波数トレイルと時刻同期トレイルの組を複数決定し、どの組を使用するかを選択するために比較するように構成されることを特徴とする請求項9記載のノード。
【請求項12】
前記周波数トレイルの少なくとも一部は、同調して送信されるデータが用いる物理レイヤパスを有し、
前記ノードは、クロック信号を抽出し、周波数同期情報を得るように構成された回路を有し、前記時刻同期トレイルの少なくとも一部がパケットベースの通信を用いるように構成されることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のノード。
【請求項13】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された、前記ノードから離れた、同期ネットワークのための集中型管理システム。
【請求項14】
同期ネットワークであって、複数のノードと、同期ソースから前記同期ネットワークの前記複数のノードへ同期情報を受け渡すための複数の同期トレイルと、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された管理システムとを有することを特徴とする同期ネットワーク。
【請求項15】
コンピュータ読み取り可能な媒体に格納されたコンピュータプログラムであって、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法をプロセッサに実行させる、前記プロセッサによって実行可能な命令を有するコンピュータプログラム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−514688(P2013−514688A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543535(P2012−543535)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050522
【国際公開番号】WO2011/072881
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】