説明

時計バンドおよび腕時計

【課題】 落下などの衝撃を受けても、尾錠がバンド本体から脱落しないようにすることができる時計バンドおよび腕時計を提供する。
【解決手段】 バンド本体7の先端部7bに一対の取付部8が設けられ、この一対の取付部8間に係止部材12の連結部13が連結パイプ15によって連結されると共に、この一対の取付部8にこれを挟むように尾錠10が配置され、この状態で尾錠10のねじ孔11にねじ部材16のねじ部16bが螺着して、ねじ部材16の軸部16cが連結パイプ15内に挿入することにより、尾錠10がバンド本体7に取り付けられている。従って、高所からの落下などによって尾錠10が強い衝撃を受けて押し広げられても、尾錠10に螺着したねじ部材16の軸部16cが連結パイプ15内に挿入されているので、軸部16cが連結パイプ15内から抜け出すことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計に用いられる時計バンドおよびその時計バンドが取り付けられた腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計の時計バンドにおいては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースに取り付けられるバンド本体と、このバンド本体の先端部にこれを挟むように取り付けられる枠状の尾錠と、バンド本体の先端部における中間部に取り付けられる突棒と、尾錠および突棒をバンド本体の先端部に取り付けるためのばね棒とを備えた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−212107号公報
【0004】
この種の時計バンドでは、バンド本体同士の締結を容易にするために、枠状の尾錠内における先端部間にローラが回転自在に取り付けられている。これにより、この時計バンドは、他方のバンド本体を枠状の尾錠内に差し込む際に、他方のバンド本体がローラの表面に接触してローラが回転することにより、他方のバンド本体が枠状の尾錠内に円滑に挿入するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の時計バンドでは、尾錠および突棒をバンド本体の先端部にばね棒で取り付けた構成であるから、バンド本体を腕時計ケースに取り付けた状態で、高所から落下した際に、枠状の尾錠が衝撃を受けて押し広げられると、枠状の尾錠がばね棒から外れてバンド本体から脱落してしまうという問題がある。
【0006】
例えば、バンド本体を腕時計ケースに取り付けた状態で、卓上(高さ1m程度)から落下させた際には、尾錠に加わる衝撃が小さいので、枠状の尾錠がばね棒から外れることはないが、ビルの上階(高さ10m程度)から落下させた際には、尾錠に加わる衝撃が大きいため、枠状の尾錠が衝撃によって押し広げられてばね棒から外れてしまうことがある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、落下などの衝撃を受けても、尾錠がバンド本体から脱落しないようにすることができる時計バンドおよび腕時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、一端部に一対の取付部が設けられ、この一対の取付部に貫通孔が同一軸上に設けられたバンド本体と、このバンド本体における前記一対の取付部を挟んで配置され、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔にそれぞれ対応するねじ孔を有する枠状の尾錠と、前記一対の取付部間に配置されて前記バンド本体の長手方向に突出し、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔に対応する挿入孔を有する係止部材と、前記一対の取付部の前記各貫通孔および前記係止部材の前記挿入孔に挿入して、前記係止部材を前記バンド本体に取り付ける連結パイプと、前記尾錠の前記ねじ孔から外部に頭部が露呈して、前記尾錠の前記ねじ孔にねじ部が螺着した状態で、前記連結パイプ内に軸部が回転可能に挿入することにより、前記尾錠を前記バンド本体に取り付けるねじ部材と、を備えていることを特徴とする時計バンドである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、一端部に一対の取付部が設けられ、この一対の取付部に貫通孔が同一軸上に設けられたバンド本体と、このバンド本体における前記一対の取付部を挟んで配置され、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔にそれぞれ対応するねじ孔を有する枠状の尾錠と、前記一対の取付部間に配置されて前記バンド本体の長手方向に突出し、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔に対応する挿入孔を有する係止部材と、前記尾錠の前記ねじ孔から外部に頭部が露呈して、前記尾錠の前記ねじ孔にねじ部が螺着した状態で、前記一対の取付部の前記各貫通孔および前記係止部材の前記挿入孔に軸部が回転可能に挿入することにより、前記尾錠および前記係止部材を前記バンド本体に取り付けるねじ部材と、を備えていることを特徴とする時計バンドである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記ねじ部材の前記軸部は、前記バンド本体の前記一対の取付部間に配置された前記係止部材が位置する箇所に到達する長さに形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時計バンドである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記尾錠に、ねじ突起部が前記バンド本体における前記一対の取付部に向けてそれぞれ突出して設けられており、このねじ突起部には、前記一対の取付部の前記各貫通孔に対応する前記ねじ孔がそれぞれ貫通して設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の時計バンドである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記ねじ突起部が位置する前記尾錠の外面に、前記ねじ部材の前記頭部が挿入して配置される座ぐり部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の時計バンドである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の時計バンドと、この時計バンドが取り付けられる腕時計ケースとを備えていることを特徴とする腕時計である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、バンド本体を腕時計に取り付けた状態で、高所から落下させた際に、尾錠が強い衝撃を受けて押し広げられても、尾錠に螺着されたねじ部材の軸部が、バンド本体の一対の取付部における箇所から抜け出すことがないため、尾錠がバンド本体から外れてしまうことがない。このため、落下などの衝撃を受けても、尾錠がバンド本体から脱落しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明を適用した腕時計の実施形態1を示した正面図である。
【図2】図1に示された腕時計の側面図である。
【図3】図1に示された腕時計の12時側に位置する時計バンドを示した拡大斜視図である。
【図4】図3に示された時計バンドの分解斜視図である。
【図5】図3に示された時計バンドの要部を示した拡大正面図である。
【図6】この発明を適用した腕時計の実施形態2において、時計バンドの一部を破断して示した要部の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
以下、図1〜図5を参照して、この発明を適用した腕時計の実施形態1について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、その内部に時計モジュール2が収容されている。この時計モジュール2は、図示しないが、時刻を指示するための指針や、時刻を表示するための表示部などの時計機能に必要な各種の部品を備えている。
【0017】
また、この腕時計ケース1の3時側および9時側の各側部には、図1および図2に示すように、押釦スイッチ3がそれぞれ設けられている。さらに、この腕時計ケース1の12時側および6時側の各側部には、バンド取付部4がそれぞれ設けられている。このバンド取付部4には、腕時計ケース1を使用者の腕に取り付けるための時計バンド5が取り付けられている。
【0018】
時計バンド5は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1の6時側のバンド取付部4に取り付けられるバンド本体6と、腕時計ケース1の12時側のバンド取付部4に取り付けられるバンド本体7とを備えている。6時側のバンド本体6は、ゴムなどの弾力を有する合成樹脂からなり、帯状に形成されている。
【0019】
このバンド本体6は、図1および図2に示すように、その一端部6a(図1では上端部)が腕時計ケース1の6時側に位置するバンド取付部4に取り付けられている。また、このバンド本体6の他端部である先端部6b側、つまり腕時計ケース1と反対側に位置する端部側(図1では下端部側)には、図1に示すように、複数の係止孔6cがバンド本体6の長手方向に沿って等間隔で設けられている。
【0020】
一方、12時側のバンド本体7も、6時側のバンド本体6と同様、ゴムなどの弾力を有する合成樹脂からなり、帯状に形成されている。このバンド本体7は、図1および図2に示すように、その一端部7a(図1では下端部)が腕時計ケース1の12時側に位置するバンド取付部4に取り付けられている。また、このバンド本体7の他端部である先端部7b、つまり腕時計ケース1と反対側に位置する端部(図1では上端部)には、図3〜図5に示すように、一対の取付部8が突出して設けられている。
【0021】
この一対の取付部8は、図4に示すように、それぞれ円筒状をなし、バンド本体7の先端部7bにバンド本体7の長手方向と直交する方向に沿って設けられている。この場合、一対の取付部8は、図4および図5に示すように、その両者の間に予め定められた間隔Sをもって、バンド本体7の先端部7bに設けられている。
【0022】
また、この一対の取付部8は、図4および図5に示すように、その両者の全体の長さL1がバンド本体7の先端部7bにおけるバンド本体7の長手方向と直交する方向の長さLよりも短く形成されている。この一対の取付部8には、それぞれ貫通孔8aがバンド本体7の長手方向と直交する方向に沿って同一軸上に設けられている。
【0023】
また、この12時側のバンド本体7の先端部7bには、図3〜図5に示すように、ほぼ枠状の尾錠10が取り付けられている。この尾錠10は、ステンレスなどの金属または硬質の合成樹脂からなり、バンド本体7の先端部7bと平行で且つその先端部7bの長さLよりも少し長く形成された錠本体10aと、この錠本体10aの両端部からバンド本体7の先端部7bに向けて互いに平行に延設された一対のアーム部10bとを備えている。
【0024】
この一対のアーム部10bは、図3〜図5に示すように、その各先端部がバンド本体7の一対の取付部8を挟むように、一対の取付部8の外側に配置されるように構成されている。また、この一対のアーム部10bの各先端部には、図4に示すように、互いに対向する方向に突出した一対のねじ突起部10cが、バンド本体7における一対の取付部8に対応して設けられている。この一対のねじ突起部10cには、ねじ孔11が、一対の取付部8の各貫通孔8aにそれぞれ対応した状態で、貫通して設けられている。
【0025】
すなわち、このねじ孔11は、図4および図5に示すように、一対のアーム部10bの外部面からねじ突起部10cの内面に貫通して設けられている。また、このねじ孔11の外部に位置するアーム部10bには、後述するねじ部材16の頭部16aが挿入して配置される座ぐり部11aが、それぞれ設けられている。この座ぐり部11aは、図3および図5に示すように、ねじ部材16の頭部16aが、尾錠10のアーム部10bから外部に突出することなく収容するように形成されている。
【0026】
また、バンド本体7の先端部7bには、図3〜図5に示すように、係止部材12が取り付けられている。この係止部材12は、ステンレスなどの金属からなり、バンド本体7の一対の取付部8間に配置される連結部13と、この連結部13に設けられて尾錠10の錠本体10aに向けて延出された一対の係止突起部14とを備えている。連結部13は、図3〜図5に示すように、バンド本体7の一対の取付部8間に配置される円筒状に形成されている。この連結部13には、その内部に一対の取付部8の各貫通孔8aに対応する挿入孔13aが貫通して設けられている。
【0027】
一対の係止突起部14は、図3〜図5に示すように、連結部13から二股に分かれて錠本体10aに向けて突出し、この突出した各先端部が錠本体10a上に接離可能に当接することにより、連結部13を中心とする係止部材12の回転を規制するように構成されている。また、この一対の係止突起部14は、その各先端部が錠本体10a上に設けられた位置規制部10cに接離可能に配置されることにより、係止部材12の横振れ(つまりバンド本体7の長手方向と直交する方向への移動)を規制するように構成されている。
【0028】
また、この係止部材12は、図3〜図5に示すように、連結パイプ15によってバンド本体7の先端部に取り付けられている。この連結パイプ15は、ステンレスなどの金属からなり、バンド本体7の一対の取付部8間に係止部材12の連結部13が配置され、且つ一対の取付部8の各貫通孔8aと連結部13の挿入孔13aとが対応した状態で、一対の取付部8の各貫通孔8aおよび連結部13の挿入孔13aに連続して挿入することにより、係止部材12をバンド本体7の先端部7bに回転可能に取り付けるように構成されている。
【0029】
この場合、連結パイプ15は、図4および図5に示すように、その長さがバンド本体7の一対の取付部8における全体の長さL1とほぼ同じ長さか、それよりも少し短く形成されている。これにより、連結パイプ15は、一対の取付部8の各貫通孔8aに連続して挿入された際に、連結パイプ15の両端部が一対の取付部8から外部に突出しないように構成されている。
【0030】
また、尾錠10は、図3〜図5に示すように、一対のねじ部材16によってバンド本体7の先端部7bに取り付けるように構成されている。このねじ部材16は、ステンレスなどの金属からなり、尾錠10における一対のアーム部10bの外部に露呈する頭部16aと、一対のアーム部10bに設けられた各ねじ突起部10cのねじ孔11に螺着するねじ部16bと、連結パイプ15内に挿入する軸部16cとを備えている。
【0031】
この場合、頭部16aは、図4に示すように、ねじ部16bよりも大径に形成され、尾錠10のアーム部10bに設けられた座ぐり部11a内に配置されて外部に突出しないように形成されている。ねじ部16bは、頭部16aよりも小径に形成され、アーム部10bに設けられた各ねじ突起部10cのねじ孔11に螺着するように形成されている。軸部16cは、ねじ部16bよりも小径に形成され、連結パイプ15内に十分な長さをもって挿入するように形成されている。
【0032】
すなわち、この軸部16cは、図5に示すように、ねじ部16bがアーム部10bに設けられた各ねじ突起部10cのねじ孔11に螺着した際に、軸部16cの先端部が係止部材12の連結部13に位置する箇所付近に到達する程度の長さで、連結パイプ15内に十分に長く挿入するように形成されている。
【0033】
これにより、ねじ部材16は、図3〜図5に示すように、軸部16cが尾錠10のアーム部10bの外側からねじ孔11を通して連結パイプ15内に挿入されると共に、ねじ部16bがアーム部10bのねじ孔11に螺入し、この状態で外部に露呈した頭部16aを回して締め付けられるように構成されている。
【0034】
また、このねじ部材16は、締め付けられと、軸部16cが連結パイプ15内に十分に長く挿入された状態で、ねじ部16bがアーム部10bのねじ孔11に螺着し、頭部16aがアーム部10bの座ぐり部11a内に配置されて、尾錠10をバンド本体7の先端部に取り付けるように構成されている。なお、12時側のバンド本体7には、図1〜図4に示すように、遊環17がバンド本体7に沿って移動可能に設けられている。
【0035】
次に、このような時計バンド5を腕時計ケース1に取り付けて使用する場合について説明する。
このときには、まず、図3〜図5に示すように、12時側のバンド本体7に尾錠10および係止部材12を取り付ける。この場合には、係止部材12の連結部13をバンド本体7における一対の取付部8間に配置して、一対の取付部8の各貫通孔8aと連結部13の挿入孔13aとを対応させる。
【0036】
この状態で、図3〜図5に示すように、一対の取付部8の各貫通孔8aおよび連結部13の挿入孔13aに連結パイプ15を挿入する。これにより、係止部材12がバンド本体7の先端部7bに取り付けられる。このときには、連結パイプ15を一対の取付部8の各貫通孔8aに連続させて挿入し、連結パイプ15の両端部が一対の取付部8から外部に突出しないように配置する。
【0037】
この後、バンド本体7の先端部7bに尾錠10を取り付ける。このときには、まず、尾錠10の一対のアーム部10bがバンド本体7の一対の取付部8を挟むように、一対のアーム部10bの各ねじ突起部10cを一対の取付部8の外側に配置する。そして、一対のアーム部10bの各ねじ突起部10cを一対の取付部8に対応させて、一対のねじ突起部10cの各ねじ孔11を一対の取付部8の各貫通孔8aに対応させる。
【0038】
この状態で、ねじ部材16を尾錠10の各ねじ孔11から連結パイプ15内に挿入させて締め付ける。このときには、まず、ねじ部材16の軸部16cを尾錠10のアーム部10bの外側からねじ孔11に挿入する。そして、この挿入した軸部16cを更に連結パイプ15内に挿入すると共に、ねじ部材16のねじ部16bをアーム部10bのねじ孔11に螺入させる。
【0039】
このときに、頭部16aを回してねじ部材16を締め付けると、ねじ部16bがアーム部10bに設けられたねじ突起部10cのねじ孔11に螺着し、頭部16aがアーム部10bの座ぐり部11a内に配置される。このときには、頭部16aがアーム部10bの外部に突出することなく座ぐり部11a内に収納される。
【0040】
また、このときには、ねじ部材16の軸部16cの先端部が係止部材12の連結部13に位置する箇所付近に到達する程度の長さで、連結パイプ15内に十分に長く挿入する。これにより、尾錠10がねじ部材16によってバンド本体7の一対の取付部8に回転可能な状態で、確実に且つ強固に取り付けられる。
【0041】
この後、12時側のバンド本体7を腕時計ケース1の12側に位置するバンド取付部4に取り付けると共に、6時側のバンド本体6を腕時計ケース1の6側に位置するバンド取付部4に取り付ける。これにより、時計バンド5が腕時計ケース1に取り付けられるので、この時計バンド5によって腕時計ケース1を使用者の腕に取り付けて使用することができる。
【0042】
このときには、6時側のバンド本体6の先端部6bを12時側のバンド本体7の先端部7bに取り付けられた尾錠10内に挿入し、この挿入した6時側のバンド本体6に設けられた複数の係止孔6cに、12時側のバンド本体7に取り付けられた係止部材12の一対の係止突起部14をそれぞれ挿入させる。
【0043】
この状態で、一対の係止突起部14を尾錠10の錠本体10aに当接させると、連結部13を中心とする係止部材12の回転が規制される。また、このときには、一対の係止突起部14の各先端部が錠本体10aの位置規制部10cに接離可能に配置されることにより、係止部材12の横振れ(つまりバンド本体7の長手方向と直交する方向への移動)が規制される。これにより、時計バンド5が緩むことなく使用者の腕に良好に取り付けられる。
【0044】
このように時計バンド5によって腕時計ケース1を使用者の腕に取り付ける際には、尾錠10のねじ孔11にねじ部16bが螺着したねじ部材16の軸部16cが連結パイプ15内に回転可能に挿入されているので、ねじ部材16の軸部16cを中心に尾錠10が回転する際に、ねじ部16bが緩むことがなく、尾錠10が円滑に回転する。このため、6時側のバンド本体6の先端部6bを12時側のバンド本体7に取り付けられた尾錠10内に差し込む際に、差し込み易くすることができる。
【0045】
また、この時計バンド5が取り付けられた腕時計をビルの上階(例えば10m程度の高さ)から誤って落下させた際に、尾錠10が強い衝撃を受けて一対のアーム部10bが押し広げられても、尾錠10のねじ孔11にねじ部16bが螺着したねじ部材16の軸部16cが連結パイプ15内に十分に長く挿入されているので、尾錠10がバンド本体7から脱落することがない。
【0046】
すなわち、ねじ部材16の軸部16cは、図5に示すように、その先端部が係止部材12の連結部13に位置する箇所付近に到達する程度の長さで、連結パイプ15内に十分に長く挿入されているので、一対のアーム部10bが押し広げられても、軸部16cが連結パイプ15内から抜け出すことがない。このため、尾錠10がバンド本体7から脱落することがない。
【0047】
このように、この時計バンド5によれば、12時側のバンド本体7の先端部7bに一対の取付部8を設け、この一対の取付部8間に係止部材12の連結部13を連結パイプ15によって連結すると共に、この一対の取付部8にこれを挟むように尾錠10を配置し、この状態で尾錠10のねじ孔11にねじ部材16のねじ部16bを螺着させてねじ部材16の軸部16cを連結パイプ15内に挿入させることにより、尾錠10をバンド本体7に取り付けた構成であるから、落下などの衝撃を受けても、尾錠10がバンド本体7から脱落しないようにすることができる。
【0048】
すなわち、この時計バンド5では、バンド本体7を腕時計ケース1に取り付けた状態で、ビルの上階(例えば高さ10m程度)などの高所から落下させた際に、尾錠10が強い衝撃を受けて尾錠10の一対のアーム部10bが押し広げられても、尾錠10に螺着されたねじ部材16の軸部16cが、係止部材12をバンド本体7に取り付ける連結パイプ15内に挿入されているので、軸部16cが連結パイプ15内から抜け出すことがない。このため、尾錠10がバンド本体7から外れて脱落するのを防ぐことができる。
【0049】
この場合、ねじ部材16の軸部16cは、バンド本体7の一対の取付部8間に配置された係止部材12の連結部13が位置する箇所付近に到達する長さで、連結パイプ15内に挿入されているので、尾錠10が強い衝撃を受けて尾錠10の一対のアーム部10bが押し広げられても、連結パイプ15内から抜け出すことがない。このため、尾錠10がバンド本体7から外れて脱落するのを確実に防ぐことができると共に、尾錠10をバンド本体7に確実に且つ強固に取り付けることができる。
【0050】
また、ねじ部材16は、そのねじ部16bが尾錠10のねじ孔11に螺着した状態で、軸部16cが連結パイプ15内に回転可能に挿入されているので、ねじ部材16の軸部16cを中心に尾錠10が回転する際に、ねじ部16bが緩むことなく、尾錠10を円滑に回転させることができる。
【0051】
また、このねじ部材16は、その軸部16cが連結パイプ15内に挿入されているので、軸部16cを中心に尾錠10が回転する際に、バンド本体7の一対の取付部8が弾力を有する合成樹脂で形成されていても、尾錠10と共に回転するねじ部材16の軸部16cによって一対の取付部8が磨耗するのを防ぐことができ、これにより耐久性の高いものを提供することができる。
【0052】
さらに、ねじ部材16は、その軸部16cが連結パイプ15内に回転可能に挿入されていることにより、6時側のバンド本体6の先端部6bを12時側のバンド本体7に取り付けられた尾錠10内に差し込む際に、尾錠10を容易に回転させて6時側のバンド本体6の先端部6bを差し込み易くすることができる。これにより、6時側のバンド本体6の先端部6bを12時側のバンド本体7に容易に且つ良好に取り付けることができるので、使い勝手の良いものを提供することができる。
【0053】
また、この時計バンド5によれば、尾錠10に、ねじ突起部10cがバンド本体7における一対の取付部8に向けてそれぞれ突出して設けられており、このねじ突起部10cに、ねじ部材16のねじ部16bが螺着するねじ孔11がそれぞれ貫通して設けられるので、尾錠10における一対のアーム部10bの厚みが薄くても、ねじ突起部10cによってねじ孔11を十分に長く形成することができる。このため、尾錠10のねじ突起部10cのねじ孔11にねじ部材16のねじ部16を強固に螺着することができるので、尾錠10をねじ部材16によってバンド本体7に確実に且つ強固に取り付けることができる。
【0054】
この場合、ねじ突起部10cが位置する尾錠10の外面には、ねじ部材16の頭部16aが挿入して配置される座ぐり部11aがそれぞれ設けられているので、ねじ部材16のねじ部16bを尾錠10のねじ孔11に螺入させて締め付けた際に、ねじ部材16の頭部16aを尾錠10の外部に突出させないように尾錠10の座ぐり部11a内に没入させた状態で配置することができる。
【0055】
このため、ねじ部材16は、落下などの衝撃を頭部16aが直接受けることがないので、勝手に回転して締め付け状態が緩むことがないばかり、頭部16aが尾錠10の外部に突出していないため、時計バンド5によって腕時計ケース1を使用者の腕に取り付けて使用する際に、頭部16aが物や人に打つかって傷付けたりすることなく、安全に且つ良好に使用することができる。
【0056】
さらに、このような腕時計によれば、内部に時計モジュール2を収容した腕時計ケース1に時計バンド5を取り付けた構成であるから、既存の腕時計に容易に時計バンド5を取り付けて使用することができると共に、この時計バンド5によって腕時計ケース1を使用者の腕に容易に取り付けて良好に使用することができる。
【0057】
(実施形態2)
次に、図6を参照して、この発明を腕時計に適用した時計バンドの実施形態2について説明する。
この時計バンド5は、図6に示すように、実施形態1の連結パイプ15を用いずに、一対のねじ部材20によって尾錠10および係止部材12をバンド本体7に取り付けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0058】
すなわち、このねじ部材20は、ステンレスなどの金属からなり、図6に示すように、尾錠10における一対のアーム部10bの外部に露呈する頭部20aと、一対のアーム部10bに設けられた各ねじ突起部10cのねじ孔11に螺着するねじ部20bと、バンド本体7の一対の取付部8に設けられた貫通孔8a内および係止部材12の連結部13に設けられた挿入孔13a内に挿入する軸部20cとを備えている。
【0059】
この場合、頭部20aは、実施形態1と同様、ねじ部20bよりも大径に形成され、尾錠10のアーム部10bに設けられた座ぐり部11a内に配置されて外部に突出しないように形成されている。ねじ部20bは、頭部20aよりも小径に形成され、アーム部10bに設けられた各ねじ突起部10cのねじ孔11に螺着するように形成されている。軸部20cは、ねじ部20bよりも小径に形成され、尾錠10のアーム部10bから係止部材12の連結部13の中間部に到達する長さに形成されている。
【0060】
すなわち、この軸部20cは、図6に示すように、ねじ部20bがアーム部10bに設けられた各ねじ突起部10cのねじ孔11に螺着した際に、軸部20cの先端部が係止部材12の連結部13における中間部付近に到達する程度の長さに形成されている。これにより、軸部20cは、バンド本体7の取付部8の貫通孔8aを通して係止部材12の連結部13の挿入孔13a内に回転可能な状態で挿入することにより、尾錠10と係止部材12とをバンド本体7の先端部7bに取り付けるように構成されている。
【0061】
次に、このような時計バンド5における12時側のバンド本体7に尾錠10および係止部材12を取り付ける場合について説明する。
この場合には、図6に示すように、まず、係止部材12の連結部13をバンド本体7における一対の取付部8間に配置して、一対の取付部8の各貫通孔8aと連結部13の挿入孔13aとを対応させる。
【0062】
この状態で、図6に示すように、バンド本体7の先端部7bに尾錠10を配置する。このときには、尾錠10の一対のアーム部10bがバンド本体7の一対の取付部8を挟むように、一対のアーム部10bの各ねじ突起部10cを一対の取付部8の外側に配置する。そして、一対のアーム部10bの各ねじ突起部10cを一対の取付部8に対応させて、一対のねじ突起部10cの各ねじ孔11を一対の取付部8の各貫通孔8aに対応させる。
【0063】
この後、ねじ部材20を尾錠10の各ねじ孔11からバンド本体7の取付部8の貫通孔8aおよび係止部材12の連結部13の挿入孔13aに挿入させて締め付ける。このときには、まず、ねじ部材20の軸部20cを尾錠10のアーム部10bの外側からねじ孔11に挿入する。そして、この挿入した軸部20cを更に取付部8の貫通孔8aを通して連結部13の挿入孔13aに挿入し、ねじ部材20のねじ部20bをアーム部10bのねじ孔11に螺入させる。
【0064】
この状態で、頭部20aを回してねじ部材20を締め付けると、ねじ部20bがアーム部10bに設けられたねじ突起部10cのねじ孔11に螺着し、頭部20aがアーム部10bの座ぐり部11a内に配置される。このときには、実施形態1と同様、頭部20aがアーム部10bの外部に突出することなく座ぐり部11a内に収納される。
【0065】
また、このときには、ねじ部材20の軸部20cの先端部が係止部材12の連結部13における挿入孔13aの中間付近に到達する。この場合、ねじ部材20は、尾錠10の一対のアーム部10bの各外側から係止部材12の連結部13における挿入孔13aにそれぞれ挿入されるが、各軸部20cの先端部が連結部13の挿入孔13a内における中間部で互いに接触することなく接近して配置される。これにより、尾錠10および係止部材12は、一対のねじ部材20によってバンド本体7の一対の取付部8に回転可能な状態で確実に取り付けられる。
【0066】
このように、この時計バンド5においても、12時側のバンド本体7の先端部7bに一対の取付部8を設け、この一対の取付部8間に係止部材12の連結部13を配置すると共に、一対の取付部8にこれを挟むように尾錠10を配置し、この状態で尾錠10のねじ孔11にねじ部材20のねじ部20bを螺着させて、ねじ部材20の軸部20cをバンド本体7の取付部8の貫通孔8aおよび係止部材12の連結部13の挿入孔13aに挿入させることにより、尾錠10および係止部材12をバンド本体7に取り付けた構成であるから、実施形態1と同様、落下などの衝撃を受けても、尾錠10がバンド本体7から脱落しないようにすることができる。
【0067】
すなわち、この時計バンド5においても、バンド本体7を腕時計ケース1に取り付けた状態で、ビルの上階(例えば高さ10m程度)などの高所から落下させた際に、尾錠10が強い衝撃を受けて尾錠10の一対のアーム部10bが押し広げられても、尾錠10に螺着されたねじ部材20の軸部20cが、バンド本体7の取付部8の貫通孔8aを通して係止部材12の連結部13の挿入孔13aに挿入されているので、軸部20cがバンド本体7の取付部8の貫通孔8aから抜け出すことがない。このため、尾錠10がバンド本体7から外れて脱落するのを防ぐことができる。
【0068】
この場合、ねじ部材20の軸部20cは、バンド本体7の一対の取付部8間に配置された係止部材12の連結部13における挿入孔13aの中間に位置する箇所付近に到達する長さに形成されているので、尾錠10が強い衝撃を受けて尾錠10の一対のアーム部10bが押し広げられても、係止部材12の連結部13の挿入孔13a内から抜け出すことがない。このため、尾錠10および係止部材12がバンド本体7から外れて脱落するのを確実に防ぐことができると共に、尾錠10および係止部材12をバンド本体7に確実に且つ強固に取り付けることができる。
【0069】
また、このねじ部材20も、そのねじ部20bが尾錠10のねじ孔11に螺着した状態で、軸部20cがバンド本体7の取付部8の貫通孔8a内および係止部材12の連結部13の挿入孔13a内に回転可能に挿入されているので、ねじ部材20の軸部20cを中心に尾錠10が回転する際に、ねじ部20bが緩むことなく、尾錠10および係止部材12を円滑に回転させることができる。
【0070】
なお、上述した実施形態1、2では、バンド本体7の一対の取付部8に回転可能に取り付けられる係止部材12の一対の係止突起部14が、連結部13から二股に分かれて形成されている場合について述べたが、必ずしも係止突起部は二股に分かれて形成されている必要はなく、連結部13から尾錠10の錠本体10aに向けて延びる1本の係止突起部を連結部13に形成した構成であっても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 腕時計ケース
2 時計モジュール
4 バンド取付部
5 時計バンド
6 6時側のバンド本体
7 12時側のバンド本体
7b バンド本体の先端部
8 一対の取付部
8a 貫通孔
10 尾錠
10a 錠本体
10b 一対のアーム部
10c ねじ突起部
11 ねじ孔
11a 座ぐり部
12 係止部材
13 連結部
13a 挿入孔
14 一対の係止突起部
15 連結パイプ
16、20 ねじ部材
16a、20a 頭部
16b、20b ねじ部
16c、20c 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に一対の取付部が設けられ、この一対の取付部に貫通孔が同一軸上に設けられたバンド本体と、
このバンド本体における前記一対の取付部を挟んで配置され、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔にそれぞれ対応するねじ孔を有する枠状の尾錠と、
前記一対の取付部間に配置されて前記バンド本体の長手方向に突出し、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔に対応する挿入孔を有する係止部材と、
前記一対の取付部の前記各貫通孔および前記係止部材の前記挿入孔に挿入して、前記係止部材を前記バンド本体に取り付ける連結パイプと、
前記尾錠の前記ねじ孔から外部に頭部が露呈して、前記尾錠の前記ねじ孔にねじ部が螺着した状態で、前記連結パイプ内に軸部が回転可能に挿入することにより、前記尾錠を前記バンド本体に取り付けるねじ部材と、
を備えていることを特徴とする時計バンド。
【請求項2】
一端部に一対の取付部が設けられ、この一対の取付部に貫通孔が同一軸上に設けられたバンド本体と、
このバンド本体における前記一対の取付部を挟んで配置され、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔にそれぞれ対応するねじ孔を有する枠状の尾錠と、
前記一対の取付部間に配置されて前記バンド本体の長手方向に突出し、且つ前記一対の取付部の前記各貫通孔に対応する挿入孔を有する係止部材と、
前記尾錠の前記ねじ孔から外部に頭部が露呈して、前記尾錠の前記ねじ孔にねじ部が螺着した状態で、前記一対の取付部の前記各貫通孔および前記係止部材の前記挿入孔に軸部が回転可能に挿入することにより、前記尾錠および前記係止部材を前記バンド本体に取り付けるねじ部材と、
を備えていることを特徴とする時計バンド。
【請求項3】
前記ねじ部材の前記軸部は、前記バンド本体の前記一対の取付部間に配置された前記係止部材が位置する箇所に到達する長さに形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時計バンド。
【請求項4】
前記尾錠には、ねじ突起部が前記バンド本体における前記一対の取付部に向けてそれぞれ突出して設けられており、このねじ突起部には、前記一対の取付部の前記各貫通孔に対応する前記ねじ孔がそれぞれ貫通して設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の時計バンド。
【請求項5】
前記ねじ突起部が位置する前記尾錠の外面には、前記ねじ部材の前記頭部が挿入して配置される座ぐり部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の時計バンド。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の時計バンドと、
この時計バンドが取り付けられる腕時計ケースと
を備えていることを特徴とする腕時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−148140(P2012−148140A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99359(P2012−99359)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2010−139055(P2010−139055)の分割
【原出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)