説明

時間計測機能付きアナログ電子時計

【課題】
駆動速度に制約のある一般的な時計用電磁変換手段において、レトログラード形態によるクロノグラフ1/20秒計時表示をリアルタイムに近い形で行う。
【解決手段】
クロノグラフの計時動作中は、指針の指し示す目盛の値とクロノグラフ計時値をある1点以上の基準位置でのみ同期させ、その他は電磁変換手段の性能の範囲内で指針駆動を行うことで、特殊な電磁変換手段を用いずにリアルタイムに近い表示を実現できた。また、その指針駆動制御をカウンタ等の計数手段に拠らず、実際の計時を行う計時手段により制御することで特殊かつ複雑な駆動制御回路を不要とし、様々な表示形態を持つクロノグラフ機能付き電子時計を安価に製造することが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針により計測時間を表示する時間計測機能付アナログ電子時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アナログ電子時計の限られた指針表示手段により多機能を実現するため、通常の時計表示と他の機能表示(クロノグラフ,タイマー,アラーム,カレンダー等)とを切り替えて表示する多機能電子時計は、文献を挙げるまでもなく公知である。
【0003】
その中でも、クロノグラフ(ストップウオッチ)機能を備えた電子時計において、単一の指針を用いて、時刻秒とクロノグラフの1/10秒とを切り替えて表示するものも特許文献1などで公知である。
【0004】
近年、扇型の表示領域を指針にて指し示すことで、クロノグラフに限らず時刻や日付、曜日等を表示する所謂「レトログラード」式表示が流行している。上記のように、時刻秒とクロノグラフの1/10秒を切り替えて表示するとともに、クロノグラフの1/10秒表示の形態を扇型としたものも、特許文献2,3により公知である。
【0005】
特許文献2には、「クロノグラフ計時終了後、時刻秒針を早送りし計時したクロノグラフの1/10秒を扇型の表示領域を持つクロノグラフ1/10秒表示目盛上に一定時間停止させ、クロノグラフ1/10秒を表示する」技術が、特許文献3には「時刻秒針を兼ねるクロノグラフ1/10秒針をモード切替により扇型のクロノグラフ1/10秒表示領域の基準位置へと移動させ、クロノグラフ計時中、クロノグラフ1/10秒カウンタの値に従い、時刻秒針を兼ねるクロノグラフ1/10秒針を0/10秒から9/10秒までは1/10秒毎に1目盛分正転で駆動し、9/10秒から10/10秒、すなわち0/10秒までの間に9目盛分逆転で駆動することで、1/10秒を扇型の表示領域でリアルタイムに表示する」技術が、開示されている
【特許文献1】特許2979091号公報(第1,5図)
【特許文献2】特開昭59−195184号公報(第1図)
【特許文献3】特許2542939号公報(第2,3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の技術は、クロノグラフ計時中の表示を秒以上の単位とすることで低消費電力化に有利に働くとともに、クロノグラフの1/10秒表示をクロノグラフ計時終了後に一定時間のみ行うことで、クロノグラフ動作中も現在時刻の秒を知ることができるという利点があるが、クロノグラフの1/10秒表示がリアルタイムでないため、扇型表示によりユーザに与える印象が弱いという難点がある。
【0007】
また、特許文献3の技術は、クロノグラフの1/10秒表示が実際の計時時間と完全に同期している。すなわちリアルタイムであることから、ユーザへの印象を強く与えるという点で良い技術である。しかしながら、特許文献3の技術ではクロノグラフ1/10秒が9/10秒から10/10秒、すなわち0/10秒となるときに、クロノグラフ1/10秒を示す指針を1/10秒の間に9目盛分、つまり90Hzの速度で逆転させねばならず、32Hz程度の逆転速度が限界である一般的な通常の時計用電磁変換手段では実現が困難である。
【0008】
このため、時計用電磁変換手段が通常、逆転(反時計回り)よりも正転(時計回り)のほうが早い速度で駆動可能であることを利用して、扇型のクロノグラフ1/10秒表示領域を、時計回りではなく半時計回りとしたり、歯車等の機械的手段により電磁変換手段の正転・逆転と、実際の指針の回転方向を逆にすることにより、9目盛分の駆動を高速化するなど、その実施にあたっては様々な制約が出てくる。
【0009】
さらに近年、1/10秒よりも高い時間分解能を備えたクロノグラフ機能付きアナログ電子時計が登場している。このため、時刻秒とクロノグラフの1秒未満の計時を切り替えて表示するとともに、クロノグラフの1秒未満の計時表示の形態を扇型としたものにおいても、
1/10秒表示を上回る高分解能が要求されている。
【0010】
しかしながら、特許文献3の技術をベースにクロノグラフの1秒未満の計時を1/20秒に高精度化した場合、19/20秒から20/20秒、すなわち0/20秒の間に電磁変換手段を19目盛分駆動する必要があり、380Hzという極めて速い駆動速度が要求されることとなる。これは、一般的な時計用電磁変換手段ではほぼ不可能な速度である。
【0011】
すなわち、最小計時単位時間をT(本明細書における実施例では1/20秒)、計測結果表示用指針にて、前記最小計時単位時間を表示するのに必要な駆動区間目盛数をS(本明細書における実施例では、19/20秒から0/20秒に移動する際の目盛(ステップ)数19)、それにより導き出される前記指針駆動手段の必要最高駆動周波数をF、前記指針駆動手段の駆動可能最高周波数をK(本明細書における実施例では32Hz)、とした時、計時動作状態において

S/T=F>K (1)

となるような計時区間が1ヶ所でも存在する場合、クロノグラフの計時時間と指針が指し示す目盛の値が常に一致するような表示形態は、明らかに実現不可能ということである。
【0012】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、1/20秒などの高精度なクロノグラフ機能を備え、かつその指針表示が扇型の表示領域を持つアナログ電子時計において、クロノ計時中のクロノグラフ計時指針を簡単な回路構成でリアルタイムに近い形で駆動することで、ユーザへの印象を強く与えるクロノグラフ機能付きアナログ電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、(1)式を満たす区間が1つ以上存在する指針を持つ、クロノグラフ機能付きアナログ電子時計において、計時中の前記指針がつねに

S/T=F≦K (2)

を満たすように駆動する制御手段を持つことを特徴とする。
【0014】
前記制御手段は、(1)式を満たす区間が1つ以上存在する指針において、ある1点以上の基準位置においては、実際の計時に基づく値と、指針が指し示す値との同期させることを特徴とする。
【0015】
前記制御手段は、(1)式を満たす区間が1つ以上存在する指針において、計時停止時には実際の計時に基づく値と、指針が指し示す値との同期を行うことを特徴とする。
【0016】
前記制御手段は、(1)式を満たす区間が1つ以上存在する指針において、計時中の指針駆動制御をカウンタ等の計数手段に拠らず、実際の計時を行なう計時手段により制御することを特徴とする。
【0017】
前記制御手段は、(1)式を満たす区間が1つ以上存在する指針において、計時停止時に実際の計時に基づく値と指針が指し示す値の同期がなされている状態から、計時開始により実際の計時に基づく値と指針が指し示す値の同期が行なわれない状態に移行する場合、計時中に実際の計時に基づく値と指針が指し示す値の同期させるある1点以上の基準位置のいずれかに指針を移動させ、実際の計時に基づく値と、指針が指し示す値の同期が取れた時点で指針駆動を開始することを特徴とする。
【0018】
前記制御手段は、複数機能における表示機能をあわせもつ指針において、指針が計時機能外の目的により計時開始基準位置以外の場所を指示している場合、計時中に実際の計時に基づく値と指針が指し示す値の同期が行なわれるある1点以上の基準位置に指針を移動させ、実際の計時に基づく値と、指針が指し示す値の同期が取れた時点で指針駆動を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
高い時間分解能を持ちながらも扇型の表示領域への1秒未満のクロノグラフ計時表示を、特異な指針駆動や特殊な電磁変換手段、複雑な制御回路なしに実現することができるので、高い時間分解能と、扇型の表示範囲を持つ1秒以下のクロノグラフ表示指針を併せ持ち、リアルタイムに近い運針駆動によりユーザに強い印象を与える安価なクロノグラフ機能付き電子時計が実現可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のクロノグラフ機能付電子時計は、クロノグラフ機能の表示手段として指針を用い、かつ扇型の表示形態をとるものである。さらに、この指針はモード切替により時計機能の表示手段として円形の表示形態もとる。
【0021】
図1に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計の外観を示す。時計ケース1前面には指針表示部2が設けられており、該指針表示部2内の文字板3上には時針4、分針5(以後、この2つを合わせたものを時分針と呼ぶ)、クロノグラフ秒針6、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7、クロノグラフ分針8、クロノグラフ時針9が設けられている。
【0022】
上記文字板3上の小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の周囲には、図4にように1周を60分割した時刻秒目盛10と、時刻秒目盛10の40秒の位置から21秒の位置までを半時計周りに19分割した扇型のクロノグラフ1/20秒目盛11が表示されている。
【0023】
図4では全ての目盛を図示していないが、時刻秒目盛10とクロノグラフ1/20秒目盛11との関係は、図4の右側の表の通りとなっている。
【0024】
また、同様に本実施例の主要部ではないため全てを図示していないが、上記文字板3上時分針とクロノグラフ秒針6の周囲には、1周を60分割したクロノグラフ秒兼時刻分目盛12と、1周を12分割した時刻時目盛13が表示されている。
【0025】
さらに、上記文字板上クロノグラフ分針8の周囲には、1周を60分割したクロノグラフ分目盛14が、クロノグラフ時針9の周囲には、1周を12分割したクロノグラフ時目盛15が表示されている。
【0026】
また、時計ケース1の側面にはクロノグラフ機能を操作するための操作ボタンPB1とPB2が設けられている。
【0027】
図2に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計の回路構成を示す。回路は大まかに、本実施例の時計機能及びクロノグラフ機能に用いる基準時間信号を生成する発振・分周回路部16と、本実施例の時計機能を動作させるための時計回路部17、本実施例のクロノグラフ機能の計時を行うためのクロノグラフ回路部18、本実施例の時計機能を利用する場合とクロノグラフ機能を利用する場合の切替と、クロノグラフ機能の計時状態を決定するためのモード切替回路部19、時分針を駆動して現在時刻の時分を表示するための時分針駆動回路部20、クロノグラフ秒針6を駆動してクロノグラフ機能における秒を表示するためのクロノグラフ秒針駆動回路部21、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7を駆動し現在時刻の秒またはクロノグラフ機能における1/20秒を表示するための小秒針兼クロノグラフ1/20秒針駆動回路部22により構成されている。
【0028】
時針4と分針5は互いに歯車(不図示)によって機械的に結合され、時針4と分針5(時分針)が60回駆動される毎に分針5はクロノグラフ秒兼時刻分目盛12の1目盛分回転するようになっている。また、分針5が1周する毎に時針6は時刻時目盛13の1目盛分するようになっている。
【0029】
また、クロノグラフ秒針6とクロノグラフ分針8、クロノグラフ時針9も互いに歯車(不図示)により機械的に結合されており、クロノグラフ秒針6が1回転する毎にクロノグラフ分針8はクロノグラフ分目盛14の1目盛分回転するようになっている。クロノグラフ時針9は、クロノグラフ分針8が1回転する毎にクロノグラフ時目盛15の1目盛分回転するようになっている。
【0030】
なお、各指針の駆動は専用の電磁変換手段(モータ、不図示)にて行う。以下、指針駆動制御とは、この電磁変換手段への駆動信号の出力のことを指す。
【0031】
発振・分周回路部16において、発振回路23は一定周波数の信号を生成する回路である。分周回路24は発振回路23により生成された信号を分周して60Hzおよび1Hzの信号を生成する回路である。
【0032】
時計回路部17において、秒カウンタ25は分周回路24から得られた1Hzの信号をカウントし、60秒を計数する毎にその計数値を0として、現在時刻の秒を得る回路である。
【0033】
時分針駆動回路部20は、分周回路24からの1Hz信号を受けて時分針の駆動を行う回路である。本実施例において、時分針はクロノグラフの動作状態に関わらず常に1秒に1回駆動される。なお、時分針駆動回路部20などの時分針駆動系は本実施例の主要部では無いため、これ以上の説明は省略する。
【0034】
クロノグラフ回路部18において、クロノグラフ1/60秒カウンタ26は分周回路から得られた60Hzの信号を3カウントする毎にその計数値を0として20Hzのキャリー(桁上げ)信号を生成するとともに、後述する後段カウンタより得た値とあわせてクロノグラフの1/60秒を得る前段カウンタ回路27と、前段カウンタ27のキャリー信号をカウントし、20/20秒を計数する毎にその計数値を0として1Hzのキャリー信号を生成するとともに、クロノグラフの1/20秒を得る後段カウンタ回路28により構成されている。
【0035】
クロノグラフ秒針駆動回路部21において、クロノグラフ秒針制御回路32はクロノグラフ回路部18からの1Hzキャリー信号と、モード切替回路19からの信号を受けてクロノグラフ秒針6の駆動・停止制御を行う回路である。クロノグラフ秒針位置カウンタ33はクロノグラフ秒針制御回路32からの指針駆動信号をカウントし、60回を計数する毎にその計数値を0として、クロノグラフ秒針6の位置を得る回路である。
【0036】
小秒針兼クロノグラフ1/20秒針駆動回路部22において、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34はモード切替回路19内のフラグ(詳細後述)からの信号、秒カウンタ25からの現在時刻秒計数値STS、クロノグラフ1/60秒カウンタ26からのクロノグラフ1/60秒計数値を受けて小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の駆動・停止制御を行う回路である。小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置カウンタ35は小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34からの指針駆動信号SCKをカウントし、60回を計数する毎にその計数値を0として、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置を得る回路である。
【0037】
モード切替回路部19は、PB1、PB2に付属する入力回路(不図示)からの信号を受け、本実施例の電子時計の動作状態を決定する回路である。
【0038】
モード切替回路部19において時刻秒フラグ29は、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7を小秒針として機能させるか、クロノグラフ1/20秒針として機能させるかを決定する。クロノ動作フラグ30は、クロノグラフ機能における計時動作の許可・停止を決定する。リセットフラグ31は、クロノグラフ機能が計時状態にあるか否かを決定する。
【0039】
図3に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計のモード遷移図を示す。モードは時計機能36とクロノグラフ機能37に大別され、さらにクロノグラフ機能は計時動作状態38,計時停止状態39,計時終了状態40の3つの状態を持つ。各フラグは1(電圧高)あるいは0(電圧低)によりフラグの状態を決定する論理信号保持回路と、操作ボタンPB1,PB2に対応したスイッチS1,S2からの入力を受けて、自己を含めた各フラグより得られる時計動作状態を判断して信号を保持するか、あるいは変化させるかを決定する判断回路を内蔵しており、それらの出力信号の組み合わせによって、モードを識別する。
【0040】
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計における時計機能の動作について、図面を用いて説明する。なお、図3の(1)から(8)は以下の説明の(1)から(8)に対応している。
(1)クロノグラフ機能の非使用時
図3に示すように、時計機能36動作時、時刻秒フラグ29は時刻モードを示す1となっている。このとき、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は分周回路24からの1Hz信号を受けて小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の駆動信号を生成する。
【0041】
このとき、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置カウンタ35と小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置は秒カウンタ25の値と一致している。また、クロノグラフ秒針6は0秒を指す基準位置で停止しており、クロノグラフ秒針位置カウンタ33は計数値0となっている。また、クロノグラフ1/60秒カウンタ26も計数値0となっている。
(2)クロノグラフのスタート(時計機能から)
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計におけるクロノグラフ機能37の時計機能動作中からの計時スタート時の動作について説明する。
【0042】
時計機能動作中にPB1を操作すると、それに対応するスイッチS1からの信号を受けてクロノ動作フラグ30は0から1へと変化し、クロノグラフ計時動作を許可する。クロ
ノグラフ計時動作が許可された時点から、クロノグラフ1/60秒カウンタ26は分周回路24からの60Hz信号を受けて、クロノグラフ計時を開始する。
【0043】
また同時に、モード切替回路部19の時刻秒フラグ29はクロノグラフモードを示す0へと、リセットフラグ31は計時状態を示す0へと切り替わる。このとき、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7を、扇型のクロノグラフ1/20秒目盛11の0/20秒を指すクロノグラフ基準位置まで駆動するための駆動信号を出力する。
【0044】
具体的には、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置カウンタ35により得られた小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置と、時刻秒目盛10の40秒、すなわちクロノグラフ1/20秒目盛11の0/20秒の位置であるクロノグラフ基準位置とを時刻秒目盛10の0秒の位置である秒基準位置を基準として比較し、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置がクロノグラフ基準位置よりも前ならば正転(時計回り)で、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置がクロノグラフ基準位置よりも後ならば逆転(反時計回り)で駆動を行う。小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7がクロノグラフ基準位置と一致すると、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7はその位置で停止する。
【0045】
クロノグラフ計時動作開始から1秒が経過すると、クロノグラフ1/60秒カウンタ26から1Hzキャリー信号が出力される。クロノグラフ秒針制御回路32はこの信号を受けて、クロノグラフ秒針6への指針駆動信号を出力する。この時点から、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34はデモンストレーション動作を開始する。
【0046】
ただし、スタート時の指針位置比較の結果、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置がクロノグラフ基準位置と一致していた場合は、1秒の経過を待たずに後述するデモンストレーション動作に即座に移行する。
(3)クロノグラフ動作中のデモンストレーション動作
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計におけるクロノグラフ機能の計時動作中のデモンストレーション動作について説明する。
【0047】
本実施例における小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7は、電磁変換手段の性能上の制約により、針を1目盛分正転させるために1/60秒の時間を要する。また、針を1目盛分逆転させるためには2/60秒の時間を要する。
【0048】
このため、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7が指すクロノグラフ1/20秒目盛11と実際のクロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値とを一致させることは、19/20秒目盛から20/20秒、すなわち0/20秒目盛へ移行する際の19目盛分の正転時間38/60秒を確保することができないため、不可能である。
【0049】
このため、クロノグラフ計時中はクロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値とは必ずしも対応しない、1秒間に0/20秒目盛から19/20秒目盛までの往復動作を1回のみ行うデモンストレーション動作を行う。
【0050】
デモンストレーション動作が開始されると、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34はクロノグラフ1/60秒カウンタ26から得たクロノグラフ1/60秒値をもとに、デモンストレーション動作を行う。指針駆動タイミングと指針位置の関係を図5に示す。クロノグラフ1/60秒の値が2/60秒以上40/60秒未満のときは小秒針兼ク
ロノグラフ1/20秒針7を逆転で、クロノグラフ1/60秒の値が41/60秒以上60/60秒、すなわち0/60秒未満のときは小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7を正転で駆動するための駆動信号を出力する。
【0051】
小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の駆動時間より、図5に示したようにデモンストレーション中の小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7はクロノグラフ基準位置から19目盛分逆転したのち、19目盛分正転して再度クロノグラフ基準位置へと復帰する動作を1秒かけて行う。
【0052】
このデモンストレーション動作により、扇表示をリアルタイム相応に行うことができる。指針位置と計時内容は0/20秒を除いて一致しないが、高速に運針を行っているためユーザーが瞬間の経過時間を読み取ることは不可能であり、実用上大きな問題は生じない。
(4)クロノグラフのストップ
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計におけるクロノグラフ機能の計時ストップ時の動作について説明する。
【0053】
クロノグラフ計時中にPB1を操作すると、それに対応するスイッチS1からの信号を受けてクロノ動作フラグ30はクロノグラフ計時動作を停止させる信号を出力する。この時点でのクロノグラフ秒針6が指し示す目盛の値がクロノグラフ計時開始からの秒単位の経過時間である。そして、クロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値がクロノグラフ計時開始からの1/20秒単位の経過時間である。
【0054】
スイッチ操作によりクロノグラフ計時動作が停止されると、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は即座に小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7のデモンストレーション動作を停止する。本実施例における小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7は、計時中はデモンストレーション動作を行っているため、計時中はその指し示す目盛の値とクロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値とは、クロノグラフ計時開始からの1/20秒単位の経過時間が0/20秒のときを除いて一致しない。
【0055】
このため、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34はクロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値に対応する小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置と、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置カウンタ35により得られた小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置を比較し、正転方向(時計回り)でクロノグラフ1/20秒値に対応する針位置よりも小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置が前の場合は正転で、クロノグラフ1/20秒値に対応する針位置よりも小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置が後の場合は逆転で、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7をクロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値に対応した位置まで駆動するための駆動信号を出力する。比較の結果、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置がクロノグラフ1/20秒値と一致していた場合は、そのまま停止する。
【0056】
小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7がクロノグラフ1/20秒値と対応する位置と一致すると、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7はその位置で停止する。
【0057】
以上の動作により、クロノグラフ秒針6および小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7はどちらもクロノグラフ計時開始からの経過時間に対応する位置を指し示すこととなる。
(5)クロノグラフのスタート(再スタート)
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計におけるクロノグラフ機能の計時を再開させた時の動作について説明する。
【0058】
クロノグラフ停止中にPB1を操作すると、それに対応するスイッチS1からの信号を受けてクロノ動作フラグ30はクロノグラフ計時動作を許可する。クロノグラフ計時動作が許可された時点から、クロノグラフ1/60秒カウンタ26は分周回路24からの60Hz信号を受けて、クロノグラフ計時を開始する。このとき、クロノグラフ1/60秒カウンタには前回計時のときの経過時間が残されており、クロノグラフはこの経過時間の続きとして計時を行なう。
【0059】
本実施例における小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7は、計時中はデモンストレーション動作を行っているため、計時中はその指し示す目盛の値とクロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値とは、クロノグラフ計時開始からの1/20秒単位の経過時間が0/20秒のときを除いて一致しない。
【0060】
このため、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7がクロノグラフ1/60秒カウンタ26の後段カウンタ28より得られたクロノグラフ1/20秒値、すなわちクロノグラフ計時開始からの1/20秒単位の経過時間を指し示している状態からそのままデモンストレーション動作に移行すると、デモンストレーション動作の位置がクロノグラフ1/20秒目盛11の範囲から外れてしまうことになる。
【0061】
このため、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置カウンタ35により得られた小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置と、クロノグラフ基準位置とを秒基準位置を基準として比較し、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置がクロノグラフ基準位置よりも前ならば正転で小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7をクロノグラフ基準位置まで駆動するための駆動信号を出力する。
【0062】
小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7がクロノグラフ基準位置と一致した後、クロノグラフ計時によりクロノグラフ1/60秒カウンタ26から1Hzキャリー信号が出力されると、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34はデモンストレーション動作を再度開始する。
【0063】
ただし、クロノグラフ停止中の小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置がクロノグラフ基準位置と一致している場合、すなわち0/20秒であった場合、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7はデモンストレーション動作に即座に移行する。
(6)クロノグラフのリセット
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計におけるクロノグラフ機能の計時リセット時の動作について説明する。
【0064】
クロノグラフ計時中、またはクロノグラフ停止中にPB2を操作すると、それに対応するスイッチS2からの信号を受けてクロノ動作フラグ30はクロノグラフ計時動作を停止させる。また、同時にリセットフラグ31はクロノグラフモードを終了させる。
【0065】
リセットフラグ31により計時終了がなされた時点で、クロノグラフ1/60秒カウンタ26は計数値を初期値である0にリセットして、次の計時開始に備える。
【0066】
また、クロノグラフ秒針制御回路32はクロノグラフ秒針6を0秒位置である基準位置まで駆動する。同様に、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34も小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7を扇型のクロノグラフ1/20秒目盛11の0/20秒を指すクロノグラフ基準位置まで駆動する。
【0067】
また同時に、PB2と機械的に連動しているレバー(不図示)と、クロノグラフ分針8とクロノグラフ時針9にそれぞれ機械的に結合されているハートカム(不図示)の働きにより、クロノグラフ分針とクロノグラフ時針はそれぞれ0分及び0時間を示す位置へと機械的に駆動される。
【0068】
これにより、クロノグラフ機能に関わる全ての指針は基準位置へと移動し、0時間0分0秒と0/20秒を表示することになる。
(7)クロノグラフのスタート(リセットから)
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計におけるクロノグラフ機能37の計時終了状態からの計時スタート時の動作について説明する。
【0069】
計時終了状態でPB1を操作すると、それに対応するスイッチS1からの信号を受けてモード切替回路部19はクロノグラフ計時を許可し、クロノグラフ計時が開始する。
【0070】
計時終了状態からの計時スタートでは、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置は必ずクロノグラフ基準位置と一致している。このため、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は計時開始後すぐにデモンストレーション動作を開始する。
【0071】
以降は(3)での説明と同じ動作であるため、説明は省略する。
(8)クロノグラフ機能と時計機能の切替
次に、本実施例を適用したクロノグラフ機能付き電子時計におけるクロノグラフ機能と時計機能切替時の動作について説明する。
【0072】
本実施例における小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の、時計機能への切替はクロノグラフリセット中に、再度スイッチPB2を操作することで可能となる。
【0073】
クロノグラフリセット中にPB2を操作すると、それに対応するスイッチS2からの信号を受けて時刻秒フラグ29は時刻モードとなる。
【0074】
このとき、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置カウンタ35より取得した現在の小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7の位置と、秒カウンタ25から得られる現在の時刻秒位置と比較する。そして、比較の結果位置が異なっていた場合は、秒カウンタ25と対応する位置まで小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7を駆動する。
【0075】
小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7が現在時刻秒と一致した後、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は分周回路24からの1Hz信号が来る毎に小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7を1目盛分駆動する。
【0076】
これにより、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7は常に現在の時刻秒と同期した位置を指示する。
【0077】
さらに、時計機能36動作中にスイッチPB2を操作すると、クロノグラフスタート時に小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7は即座にデモンストレーション運針を行うことが可能な、クロノグラフリセット状態に切り替えることができる。
【0078】
時計機能36動作中にスイッチPB2を操作すると、時刻秒フラグ29はクロノグラフモードを示す0となる。
【0079】
このとき、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路34は小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7をクロノグラフ基準位置まで駆動する。駆動終了後、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7は、そのままクロノグラフ基準位置で停止する。
(本実施例の変形例)
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成可能な範囲においての変形、改良等も本発明には含まれる。例えば、上記の実施形態において、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針7は円形の表示形態と扇型の表示形態とを併せ持っていたが、電磁変換手段から指針に至る歯車などの機械的結合手段の回転比を可変させたり、あるいはより高速に駆動可能な電磁変換手段を用いることで、より角度の大きい扇や、半円、あるいは一部の扇型の部分のみが欠けたような円など、さまざまな表示形態を持ってもよい。
【0080】
また、円形の表示形態と扇型の表示形態とを併せ持っている場合においても、上記実施例におけるクロノグラフ1/20秒の表示範囲は、時刻秒目盛10の40秒位置から21秒位置までに限定される必要はなく、実施にあたって適宜設定すればよい。
【0081】
さらに、円形の実施形態においても、要求される時間分解能に対して電磁変換手段の性能の制約が大きい場合、本発明は有効であると考えられる。
【0082】
上記実施形態において、クロノグラフ1/20秒針は小秒針と兼用されているが、この指針の指し示す計時単位や機能については限定されるものではなく、実施にあたって時計の機能や指針の配置等によって適宜設定すればよい。
【0083】
上記実施形態において、各指針の指し示す目盛は文字板上に付されているが、目盛を付す場所については文字板上に限定されるものではなく、見返しやレジスタリング,ベゼル等、実施にあたって適宜設定すればよい。
【0084】
上記実施形態においては、クロノグラフの最大時間分解能は1/20秒であったが、例えば1/10秒や1/5秒などの低い分解能であっても、電磁変換手段の性能上の制約が大きい場合は同様に本発明が有効であると考えられる。また、より分解能を増した場合においても、同様に有効であり、時間分解能や駆動するべき指針のステップ数は、実施にあたって適宜設定すればよい。
【0085】
上記実施形態において、計時値と指針位置とを同期させる基準位置として0/20秒位置を用いたが、これは10/20秒など他の位置にしてもよく、実施にあたって適宜設定すればよい。
【0086】
上記実施形態において、クロノグラフ動作中のデモンストレーション動作は1秒間に38目盛分の指針駆動を行っており、さらに一般的な時計用電磁変換手段においては正転よりも逆転において大きな電力を消費することを考慮すると、一般的に時計で用いられる一次電池,二次電池等のエネルギー供給手段に与える負荷は大きいと考えられる。このため、一定時間を計測するカウンタ(タイマ)手段を設け、一定時間経過後はデモンストレーション動作を停止するなどの工夫が考えられる。
【0087】
電子時計においては要求される電池寿命実現のために、消費電力の制約が非常に大きいため、実施に際してはこれらの消費電力削減手段を適宜設けてもよい。
【0088】
上記実施形態においては、主要な機構である時計回路部17、クロノグラフ回路部18、モード切替回路部19、時分針駆動回路部20、クロノグラフ秒針駆動回路部21、小秒針兼クロノグラフ1/20秒針駆動回路部22などは全て論理素子により構成された専
用のハードウェアとして構成しているが、これらをマイクロプロセッサ等の汎用処理装置に置き換え、その処理装置に前記各制御を実現させるようなプログラム(処理手順)を実行させることで、前記機能を実現する形態でもよい。
【0089】
上記実施形態においては機構上の制約から、クロノグラフ機能の主要な付加機能であるスプリット(途中積算時間)計測機能、及びラップ(区間時間)計測機能を有していないが、上記機能を有したクロノグラフ機能付電子時計においても、本発明は有効であると考えられる。
【0090】
上記実施形態においては、時間計測機能をクロノグラフ機能のみとしているが、本発明は減算を行うタイマー機能などクロノグラフ機能以外の時間計測機能においても同様に有効と考えられる。実施に際しては、本発明を適用する機能について適宜設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施例であるクロノグラフ機能付きアナログ電子時計の外観図である。
【図2】本発明の一実施例であるクロノグラフ機能付きアナログ電子時計の回路構成を概略で示したブロック図である。
【図3】本発明の一実施例であるクロノグラフ機能付きアナログ電子時計の機能動作状態遷移図である。
【図4】本発明の一実施例であるクロノグラフ機能付きアナログ電子時計の時刻秒目盛10とクロノグラフ1/20秒目盛11との関係を示した図である。
【図5】本発明の一実施例であるクロノグラフ機能付きアナログ電子時計のクロノグラフ動作状態中のデモンストレーション動作について、その駆動形態を時間軸で示した図である。
【符号の説明】
【0092】
1 時計ケース
2 指針表示部
3 文字板
4 時針
5 分針
6 クロノグラフ秒針
7 小秒針兼クロノグラフ1/20秒針
8 クロノグラフ分針
9 クロノグラフ時針
10 時刻秒目盛
11 クロノグラフ1/20秒目盛
12 クロノグラフ秒兼時刻分目盛
13 時刻時目盛
14 クロノグラフ分目盛
15 クロノグラフ時目盛
PB1 クロノグラフ計時開始/停止操作スイッチ
PB2 クロノグラフ計時リセット操作兼クロノグラフ機能/時刻機能切替スイッチ
16 発振・分周回路部
17 時計回路部
18 クロノグラフ回路部
19 モード切替回路部
20 時分針駆動回路部
21 クロノグラフ秒針駆動回路部
22 小秒針兼クロノグラフ1/20秒針駆動回路部
23 発振回路
24 分周回路
25 秒カウンタ
26 クロノグラフ1/60秒カウンタ
27 クロノグラフ1/60秒カウンタ前段カウンタ
28 クロノグラフ1/60秒カウンタ後段カウンタ
29 時刻秒フラグ
30 クロノ動作フラグ
31 リセットフラグ
32 クロノグラフ秒針制御回路
33 クロノグラフ秒針位置カウンタ
34 小秒針兼クロノグラフ1/20秒針制御回路
35 小秒針兼クロノグラフ1/20秒針位置カウンタ
36 時計機能
37 クロノグラフ機能
38 クロノグラフ計時動作状態
39 クロノグラフ計時停止状態
40 クロノグラフ計時終了状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時計測結果を指針にて表示する時間計測機能付アナログ電子時計であって、該計測結果表示用指針により計測結果を表示するための目盛と、該目盛にて示される最小計測単位時間に等しいか、それより短い周期の基準信号を発生する計時計測基準信号源と、該基準信号をカウントする計時動作を行い、かつ、計時動作の作動/停止が可能な計時計測カウンタと、少なくとも該計時計測カウンタの停止時に、その計測結果を前記目盛により表示するために前記計測結果表示用指針を駆動する指針駆動手段と、各種制御を行う制御部を有する時間計測機能付アナログ電子時計において、前記最小計測単位時間をT、前記計測結果表示用指針にて、前記最小計測単位時間を表示するのに必要な駆動ステップ数をS、前記指針駆動手段の最高駆動可能周波数をKとした時、

S/T>K (1)

が成立する前記目盛による表示区間が存在し、かつ、前記制御部は、前記計時計測カウンタのカウント動作中は、前記計測結果表示用指針の駆動周波数がK以下になるように、前記指針駆動手段を連続駆動することを特徴とする時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項2】
前記計時計測カウンタは所定カウント数毎にリセットされるカウンタであり、所定カウント数のカウント動作中に、前記計時計測カウンタの内容と前記計測結果表示用指針が示す目盛とは、少なくとも1目盛について一致していることを特徴とする請求項1記載の時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項3】
前記計時計測カウンタの内容と目盛が一致するのは前記計時計測カウンタのリセット時であることを特徴とする請求項2記載の時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項4】
前記制御部は、カウント停止状態からカウント動作状態に移行する際、前記計測結果表示用指針を前記計時計測カウンタのリセット時に対応する目盛に駆動後停止させ、その後の前記計時計測カウンタのリセット時から前記カウント動作時の運針を行うことを特徴とする請求項3記載の時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項5】
前記計測結果表示用指針は時刻表示用指針として兼用されることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項6】
前記目盛は扇形に配置され、少なくとも、扇形配置目盛の一端から他端への移動の区間が前記(1)式が成立する区間に相当することを特徴とする請求項1から5いずれか記載の時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項7】
外部操作部材とその操作に対応した信号を出力する入力回路を有し、前記制御部は該操作信号に基づき前記計時計測カウンタの動作/停止制御を行うことを特徴とする請求項1から6いずれか記載の時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項8】
前記計時計測機能は、クロノグラフ機能、あるいはタイマー機能のいずれか、または両方であることを特徴とする請求項1から7いずれか記載の時間計測機能付アナログ電子時計。
【請求項9】
前記最小表示時間が1/20秒であることを特徴とする請求項1から8いずれか記載の時間計測機能付アナログ電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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