説明

普通型コンバイン

【課題】油圧シリンダにて刈取搬送装置を昇降自在に支持するための支持構造を簡素化することが可能となる普通型コンバインを提供する。
【解決手段】コンバイン本体Aの前部に油圧シリンダCYにより駆動昇降自在に連結される刈取搬送装置Bが、刈り取った作物を機体横幅方向中間部に横送り合流する刈取処理部8と、合流された作物を脱穀装置5に向けて後方搬送する角筒状のフィーダ9とを備えて構成され、コンバイン本体Aの前部に機体右側に位置する状態で搭乗運転部3が配備され、刈取処理部8が搭乗運転部3の前方側に位置し、且つ、フィーダ9が搭乗運転部3の機体左側に位置する状態で配備され、油圧シリンダCYが、フィーダ9における機体右端側に位置する縦壁部と底面部とで形成される角部に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン本体の前部に油圧シリンダにより駆動昇降自在に刈取搬送装置が連結され、前記刈取搬送装置が、所定の刈幅で作物を刈り取り且つ刈り取った作物を機体横幅方向中間部に横送り合流する刈取処理部と、その刈取処理部にて合流された作物をコンバイン本体に備えられた脱穀装置に向けて後方搬送する角筒状のフィーダとを備えて構成され、コンバイン本体の前部に機体横幅方向一端側に位置する状態で搭乗運転部が配備され、前記刈取処理部が前記搭乗運転部の前方側に位置し、且つ、前記フィーダが前記搭乗運転部の機体横幅方向他端側に位置する状態で配備されている普通型コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の普通型コンバインでは、従来、刈取搬送装置を駆動昇降させるための油圧シリンダは、フィーダの底面部における下面側に形成された連結部に枢支連結される構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−266656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、油圧シリンダがフィーダの底面部における下面側に形成された連結部に枢支連結される構成であるから、底面部が撓み変形するおそれがある。すなわち、刈取搬送装置の荷重が、フィーダの底面部を介して油圧シリンダにて受止められるので、底面部に対してその下面と略直交する方向に荷重が掛かることになる。その結果、フィーダの底面部に応力が集中して、油圧シリンダとの連結箇所を中心にしてその周囲が下方側に撓み変形するおそれがある。
【0005】
そこで、このようなフィーダの底面部における撓み変形を防止するために、フィーダにおける連結部が備えられる箇所に強度の大きい大型の補強部材を備える等、油圧シリンダにて刈取搬送装置を昇降自在に支持するための支持構造が複雑化する不利があった。
【0006】
本発明の目的は、油圧シリンダにて刈取搬送装置を昇降自在に支持するための支持構造を簡素化することが可能となる普通型コンバインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る普通型コンバインは、コンバイン本体の前部に油圧シリンダにより駆動昇降自在に刈取搬送装置が連結され、前記刈取搬送装置が、所定の刈幅で作物を刈り取り且つ刈り取った作物を機体横幅方向中間部に横送り合流する刈取処理部と、その刈取処理部にて合流された作物をコンバイン本体に備えられた脱穀装置に向けて後方搬送する角筒状のフィーダとを備えて構成され、コンバイン本体の前部に機体横幅方向一端側に位置する状態で搭乗運転部が配備され、前記刈取処理部が前記搭乗運転部の前方側に位置し、且つ、前記フィーダが前記搭乗運転部の機体横幅方向他端側に位置する状態で配備されているものであって、その第1特徴構成は、前記油圧シリンダが、前記フィーダにおける機体横幅方向一端側に位置する縦壁部と底面部とで形成される角部に連結されている点にある。
【0008】
第1特徴構成によれば、刈取搬送装置を昇降駆動する油圧シリンダが、フィーダにおける機体横幅方向一端側に位置する縦壁部と底面部とで形成される角部に連結されているから、刈取搬送装置の荷重が油圧シリンダとの接続箇所にて受止め支持されるとき、荷重は底面部及び縦壁部にて分散される状態で受止められるので、底面部の板厚を厚くしたり、支持強度が大きい大型の補強部材を備えなくても、底面部に応力が集中して撓み変形するおそれは少ないものとなる。又、縦壁部は板面に沿う方向に荷重を受けるので、縦壁部の板厚を厚くしたり、強度が大きい大型の補強部材を備えなくても、支持強度が充分大きいものとなり、撓み変形するおそれは少ない。
【0009】
その結果、撓み変形を防止するために、フィーダを構成する部材の板厚を厚くしたり、フィーダにおける連結部が備えられる箇所に強度が大きい大型の補強部材を備える等の支持構造の複雑化を招くことなく、簡易な構造の支持構造で対応できるものとなる。
【0010】
又、フィーダは、刈取搬送装置における機体横幅方向中央位置よりも機体横幅方向他端側に変位する状態で設けられ、油圧シリンダが機体横幅方向一端側に位置する縦壁部と底面部とで形成される角部に連結されることから、油圧シリンダは刈取搬送装置における機体横幅方向中央位置に近付けた状態で配備されることになり、刈取搬送装置全体を極力左右の重量バランスのよい状態で受止めて駆動昇降させることが可能となる。
【0011】
従って、油圧シリンダにて刈取搬送装置を駆動昇降自在に支持するための支持構造を簡素化することが可能となる普通型コンバインを提供できるに至った。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記フィーダの外周部に装備される補強用枠体における前記角部に相当する箇所に、前記油圧シリンダを接続するための被接続部が設けられ、且つ、この被接続部に、前記油圧シリンダにおける刈取搬送装置側の接続部が枢支連結される連結ピンが備えられている点にある。
【0013】
第2特徴構成によれば、補強用枠体における角部に相当する箇所に設けられた被接続部に連結ピンが備えられ、この連結ピンに油圧シリンダにおける刈取搬送装置側の接続部が枢支連結される。つまり、点検修理等のメンテナンス作業を行うために、油圧シリンダとフィーダとの接続を解除したり再度接続するような場合に、角部に相当する箇所に位置する連結ピンによる連結並びに連結解除を行うので、作業が行い易いものとなる。
【0014】
つまり、油圧シリンダはフィーダにおける機体横幅方向一端側に位置する縦壁部と底面部とで形成される角部に連結されており、しかも、連結ピンは、機体横幅方向一端側に設けられものであるから、作業者がフィーダの上方から手を差し入れて油圧シリンダの接続分離作業を行うような場合に、その作業が行い易いものとなる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、機体前後方向視において、前記刈取処理部における機体横幅方向の両側端部夫々の位置が、コンバイン本体における機体横幅方向の両側端部夫々の位置と同じになるように設定されている点にある。
【0016】
第3特徴構成によれば、機体前後方向視において、刈取処理部における機体横幅方向の幅がコンバイン本体における機体横幅方向での幅と略同じになるから、例えば、作物が存在する圃場の内部に進入して、刈取処理部の機体横幅方向両側部に作物が存在する状態で刈取作業を行うようにしても、コンバイン本体がそれらの作物に接触して押し倒したり損傷を与えるおそれがなく、良好に刈取作業を行うことができる。
又、運転者は車体を走行させる際に、車体前方を目視しながら刈取処理部が畦等の外物に接触しないように運転すると、コンバイン本体が外物に接触することを回避できるので、後方を確認しながら操縦操作する等の煩わしさがなく、使い勝手がよいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】普通型コンバインの全体側面図である。
【図2】普通型コンバインの全体平面図である。
【図3】刈取搬送装置の一部縦断側面図である。
【図4】刈取搬送装置の一部横断平面図である。
【図5】オーガドラムの正面図である。
【図6】カバー取付け用のボルトを示す図である。
【図7】スクレーパを示す図である。
【図8】油圧シリンダ連結箇所の側面図である。
【図9】油圧シリンダ連結箇所の縦断正面図である。
【図10】油圧シリンダ連結箇所の底面図である。
【図11】油圧シリンダの連結状態を示す上下反転した状態での分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、本発明に係る普通型コンバインは、稲、麦などの作物の収穫作業を行なうものであって、コンバイン本体Aの前部に油圧シリンダCYにより駆動昇降自在に刈取搬送装置Bを連結して構成されている。
【0019】
コンバイン本体Aは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって走行自在に構成され、且つ、機体フレーム2によって支持される状態で、運転者が搭乗して操縦操作するための搭乗運転部3、動力を発生する原動部4、作物の脱穀処理を行う脱穀装置5、脱穀処理により得られた穀粒を貯留する穀粒タンク6の夫々を備えて構成されている。
【0020】
図2に示すように、搭乗運転部3は、コンバイン本体Aの前部に機体横幅方向一端側としての機体右側に位置する状態で備えられ、搭乗運転部3の下方に位置する状態で原動部4が備えられている。又、コンバイン本体Aの後部における機体左側に脱穀装置5が備えられ、後部の機体右側に穀粒タンク6が備えられ、この穀粒タンク6には、貯留している穀粒を機体外部に排出させるための穀粒排出用オーガ7が備えられている。
【0021】
刈取搬送装置Bは、所定の刈幅で作物を刈り取り且つ刈り取った作物を機体横幅方向中間部に横送り合流する刈取処理部8と、その刈取処理部8にて合流された作物をコンバイン本体Aに備えられた脱穀装置5に向けて後方搬送する角筒状のフィーダ9とを備えて構成されている。
【0022】
そして、図2に示すように、刈取処理部8が搭乗運転部3の前方側に位置し、且つ、フィーダ9が搭乗運転部3の機体横幅方向他端側としての機体左側に位置する状態で配備されている。
【0023】
図1、図3、図4及び図9に示すように、フィーダ9は、角筒状に形成された搬送ケース10の内部に掻上げコンベア11を装備して構成されている。掻上げコンベア11は、縦回し巻回された左右一対のチェーン12に亘って搬送バー13を横架連結して構成されており、刈取処理部8にて横送りされた作物が搬送ケース10の底面に沿って掻き上げ搬送されて脱穀装置5に投入すべく搬送するように構成されている。
【0024】
コンバイン本体Aの機体フレーム2の前部とフィーダ9の下部との間に油圧シリンダCYが枢支連結され、この油圧シリンダCYの伸縮作動によって、刈取搬送装置B、すなわち、刈取処理部8とフィーダ9とが一体的にコンバイン本体Aに対して横向き軸芯P1周りで駆動昇降自在に構成されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、刈取処理部8は、角パイプやL形材を連結してなる刈取部フレーム14に、後部側の背面部15、搬送デッキ16、左右一対の側板17,17を取付け固定した枠組み構造となっている。そして、図2に示すように、左右側板17,17の前部に作物を刈取り対象と非刈取り対象とに分草するデバイダ18が備えられ、搬送デッキ16の前端に沿って作物の株元を切断するバリカン型の刈取り装置19が配備されるとともに、刈り取った作物を刈幅方向中間部に横送りするオーガ20が左右の側板17,17に亘って架設されている。又、図1及び図2に示すように、刈取部フレーム14の基端側の上部から前方向きに延出している左右一対の支持アーム21に駆動回転自在に支持され、フィーダ9の前方に位置する作物をフィーダ9に掻き込む掻込みリール22が備えられている。
図1に示すように、この掻込みリール22は、その機体前部側端部位置がデバイダ18の機体前部側端部位置よりも機体前方側に突出する状態で設けられ、刈取対象となる作物を良好に掻き込むことができるようになっている。
【0026】
図3及び図4に示すように、オーガ20は、大径のオーガドラム23の外周に回転に伴ってフィーダ9の前端部に向けて横送り機能を発揮する左右一対のスクリュー羽根24,25が備えられるとともに、フィーダ9の前端入口に臨む箇所にオーガドラム23からスライドブッシュ26を通して出退する棒状の掻込み体27が周方向の4箇所に左右2本ずつ備えられ、更に、右側横送り域の途中箇所においてオーガドラム23からスライドブッシュを通して出退する1本の掻込み体28が備えられている。
【0027】
図4に示すように、オーガドラム23の左右両端近傍における内部には蓋板29,30が固設されるとともに、オーガドラム23の内部には間隔をあけて一対の中間支持板31,32が固設されている。右側の蓋板29と右側の中間支持板31により回転支軸33が支持され、回転支軸33にキー連結した連結フランジ34が右側の蓋板29にボルト連結され、回転支軸33がオーガドラム23に一体連結される構成となっている。
【0028】
又、図4に示すように、左側の側板17には、連結フランジ35を介して回転支軸33の軸芯P2と同心上に位置する状態で固定支軸36が連結固定され、この固定支軸36は、ベアリング37及び軸受けブラケット38を介して、オーガドラム23における左側の蓋板30を回動自在に外嵌支持する構成となっている。そして、固定支軸36に対してキー連結によって回転が固定される状態で偏芯支軸39が備えられ、この偏芯支軸39の外周部に取付けボス40を介して掻込み体27,28が固定支軸39に沿う軸芯P3周りで回転自在に装着されている。尚、偏芯支軸39は左右一対備えられるが、左右の偏芯支軸39は、右側の中間支持板32に軸受けブラケット41を介して支持される中継軸42にて連結されている。
【0029】
上記のように構成されたオーガ20は、回転支軸33が駆動回転されてオーガドラム23が図3において反時計方向に回転すると、各掻込み体27,28は追従して偏芯支軸39の軸芯P3周りに回動し、この時、偏芯支軸39とスライドブッシュ26との距離が回動位相によって変化することになり、各掻込み体27,28は、オーガドラム23から出退しながら回動して、搬送デッキ16や背面部15との干渉を回避しながら作物をフィーダ9に掻き込むことになる。
【0030】
図5に示すように、オーガドラム23における掻込み体27,28の装着位置に対応する箇所には、掻込み体27,28を組み付けたり取り外したりするための3つの挿通孔43a,43b,43cが形成され、この挿通孔43a,43b,43cは脱着自在なカバー44a,44b,44cで閉塞するようになっている。
【0031】
このカバー44a,44b,44cは複数のボルト45によってオーガドラム23に固定する構成となっているが、図6に示すように、このカバー44a,44b,44cを取り付けるためのボルト45は、その頭部45Aの外形形状が円筒状となっており、頭部45Aの上面に六角孔45Bが形成され、六角レンチ(図示せず)を用いて締結作業や取り外し作業を行える構成となっている。このように外形を円筒状にすることで作物が引っ掛かるおそれが少ないものとなる。
【0032】
そして、このコンバインでは、図2に示すように、機体前後方向視において、刈取処理部8における機体横幅方向の両側端部夫々の位置が、コンバイン本体Aにおける機体横幅方向の両側端部夫々の位置と同じになるように設定されている。
説明を加えると、刈取処理部8における機体左側端部の位置、言い換えると、左側のデバイダ18の機体横幅方向での位置と、脱穀装置5の機体左側の端部5aの位置とが機体前後方向視において同じ位置になるように構成され、
刈取処理部8における機体右側端部の位置、言い換えると、右側のデバイダ18の機体横幅方向での位置と、穀粒タンク6の機体右側の端部6aの位置とが機体前後方向視において同じ位置になるように構成されている。
【0033】
図1及び図2に示すように、フィーダ9における搬送ケース10の搬送始端部に排塵装置46が備えられ、搬送ケース10に作物と共に入り込んだ土埃などの塵埃やフィーダ9の前方で発生した塵埃を排塵装置46によって搬送ケース10の外部に排出させるようになっている。排塵装置46は、搬送ケース10の外側に設けた排塵フード47と、排塵フード47の内部に設けた軸流形の回転ファン48とを備えて構成してある。
【0034】
図3及び図4に示すように、背面部15におけるフィーダ9の前端入口49に連なる作物送り込み用の開口部50の左右両側箇所であって、開口部50よりも下方側の箇所には、オーガ20によって横送り搬送される作物が上方に向けて持ち回り搬送されて、オーガ20に絡み付くことを防止するためのスクレーパ51,52が設けられている。
【0035】
図4に示すように、機体進行方向視で左側に位置するスクレーパ51は短く形成され、右側に位置するスクレーパ52は長尺状に設けられる構成となっており、左右両側のスクレーパ51,52は、夫々、帯板状の板材を断面がL字状になるように屈曲させた形状にて構成されている。又、図7に示すように、その縦向き姿勢の取り付け部51A,52Aに形成された挿通孔51C,52Cを通して複数箇所がボルトにて背面部15に連結され、水平向き姿勢の掻き取り作用部51B,52Bがオーガ20に向けて突出する状態で取り付け固定されている。
【0036】
このようなスクレーパ51,52を備えることで、オーガ20におけるスクリュー羽根24,25により横送り搬送される際には、スクレーパ51,52の掻き取り作用部51B,52Bにて、作物が上方に向けて持ち回り搬送されてオーガ20に絡み付くことを防止できる。
【0037】
図7に示すように、左右両側のスクレーパ51,52の掻き取り作用部51B,52Bにおける開口部50側の端部が傾斜状に切り欠かれており、この傾斜部分53に、丸棒を平面視で略くの字状に折り曲げた案内部材54が溶接固定されている。案内部材54は、掻き取り作用部51B,52Bにおける開口部50側の端縁よりも開口部50側に向けて突出する状態で設けられている。
【0038】
このように構成することで、開口部50の近くまで横送り搬送されてきた作物を、スクレーパ51,52の掻き取り作用部51B,52Bにおける開口部50側の端部に引っ掛かり滞留することなく、スムーズに案内されて開口部50に向けて送り込むことができる。
【0039】
そして、昇降操作用の油圧シリンダCYは、フィーダ9における右端部側(機体横幅方向一端側に相当)に位置する右側縦壁部10aと底面部10dとで形成される角部Kに連結される構成となっている。
以下、油圧シリンダCYのフィーダ9に対する取付構造について具体的に説明する。
図3、図8及び図9に示すように、フィーダ9における搬送ケース10は、左右両側の縦壁部10a,10b、上面部10c、及び、底面部10dを備えた角筒状に形成されているが、底面部10dにおける前後中央部よりも前部側に位置させる状態で、左右方向に延びる状態で、底面部10dにおける下面側に補強部材55(補強用枠体の一例)が連結固定されている。
【0040】
この補強部材55は、角パイプ材にて構成され、その左側端部(機体横幅方向他端側の端部に相当)は、平面視で搬送ケース10の左側縦壁部10bと同じ位置になるように設けられ、補強部材55の左側端部が縦向きの連結板56を介して搬送ケース10の左側縦壁部10bに一体的に連結固定されている。
【0041】
そして、補強部材55における搬送ケース10の右側縦壁部10aと底面部10dとで形成される角部Kに相当する箇所に、油圧シリンダCYを接続するための被接続部としての取付ブラケット57が設けられ、且つ、この取付ブラケット57の機体横幅方向一端側に、油圧シリンダCYにおける刈取搬送装置側の接続部としてのシリンダロッド58の先端部58aが枢支連結される連結ピン59が備えられている。
【0042】
すなわち、図9、図10及び図11に示すように、補強部材55の右側端部(機体横幅方向一端側の端部に相当)は、平面視で搬送ケース10の右側縦壁部10aよりも外方に突出する状態で設けられ、その補強部材55の右側端部に側面視で階段状(略Z字状)に屈曲形成する状態で取付ブラケット57が連結固定されている。
【0043】
図11に示すように、取付ブラケット57は、下側の水平面部分57Aが補強部材55の下面55Aに当てつける状態で設けられ、縦面部分57Bが補強部材55の後面55Bに当てつける状態で設けられ、上側の水平面部分57Cが搬送ケース10の底面部10dに当てつける状態で設けられて、補強部材55及び搬送ケース10の底面部10dに夫々溶接にて一体的に連結固定されている。
【0044】
又、取付ブラケット57の縦面部分57Bと上側の水平面部分57Cとの夫々に溶接固定される状態で、平面視で後向きに開放されるU字状に形成されたピン保持部材60が設けられ、このピン保持部材60には、それに形成された左右方向に沿って挿通する状態で挿通孔61が形成され、この挿通孔61を挿通する状態で連結ピン59が装着されるように構成されている。
【0045】
連結ピン59の一端側には、抜け止め用の取付板62が一体的に固定される状態で設けられ、この取付板62を補強部材55の下面55Aにボルト63にて固定して、ピン保持部材60からの抜け外れを防止するようになっている。
【0046】
図10及び図11に示すように、油圧シリンダCYにおけるシリンダロッド58の先端部58aがピン保持部材60の中間部に位置する状態で、ピン保持部材60の挿通孔61及びシリンダロッド58の先端部58aを挿通する状態で連結ピン59を装着することにより、油圧シリンダCYがフィーダ9に枢支連結される構成となっている。尚、図3に示すように、シリンダ本体64の後端部は、機体フレーム2の前部に枢支連結されている。
【0047】
油圧シリンダCYとフィーダ9との連結(接続)を解除するときは、ボルト63を緩めて取付板62を取り外して、連結ピン59をピン保持部材60から抜き外すことで、シリンダロッド58とピン保持部材60との枢支連結を解除できる。そして、再度、連結するときは、シリンダロッド58の先端部58aをピン保持部材60の中間部に位置させ,連結ピン59を挿通させている状態で、連結ピン59を挿通し、ボルト63を締め付けて取付板62を固定して抜け止めする。
【0048】
図8、図10及び図11中の符号80は、油圧シリンダCYのシリンダロッド58を伸長させて刈取処理部8を大きく上昇させている状態で油圧シリンダCYをロックするためのロック具である。このロック具80は、断面形状が前後方向視で下向きに開口したコの字状になるように形成され、その前端部が連結ピン59に挿通する状態で支持される構成となっている。
【0049】
刈取作業を行う場合、つまり、このロック具80を使用しないときには、その後端部に備えられた位置保持部81に形成した挿通孔をフィーダ9に備えられた係止ピン82に挿通させて、ベータピン83で抜け止めすることで、図8に示すように、フィーダ9の底面部10dに沿う待機姿勢で保持する構成となっている。尚、ロック具80を使用するときは、ベータピン83を外して図8の仮想線で示すように、油圧シリンダCYのシリンダ本体64の端縁に係止することで、油圧シリンダCYが伸長した状態でロックすることができるようになっている。
【0050】
図4及び図9に示すように、左側縦壁部10bの外面側には、補強部材55の左側端部が連結された縦向きの連結板56に連結される状態で、断面L字形の縦向き補強体67が設けられ、その縦向き補強体67の上部から前端部に連なる状態でチャンネル材からなる前後向き補強体68が設けられている。これらの各補強体67,68は、左側縦壁部10bと補強部材55の夫々に一体的に連結固定されている。
【0051】
又、図4及び図8に示すように、右側縦壁部10aには、チャンネル材からなる縦向き補強体69が右側縦壁部10aの上下方向の全幅にわたって設けられ、この縦向き補強体69の上下途中部から前端部に連なる状態でチャンネル材からなる前後向き補強体70が設けられている。これらの各補強体69,70は、右側縦壁部10aと補強部材55の夫々に一体的に連結固定されている。
【0052】
このように複数の補強体67〜70を備えることで、刈取搬送装置Bの荷重が掛かることにより応力がかかり易い、油圧シリンダCYが連結される箇所と刈取処理部8との接続箇所との間の領域における支持強度を向上させるようにしている。
【0053】
上記構成の普通型コンバインでは、刈取処理部8は、油圧シリンダCYによって機体横向きの昇降軸芯P1周りに脱穀装置5に対して上下に揺動操作されることにより、搬送デッキ16が地面近くに下降した下降作業状態と、地面から高く上昇した上昇非作業状態とにわたって昇降操作される。そして、下降作業状態にしてコンバイン本体Aを走行させると、作物の刈取り処理と刈取り穀稈の脱穀装置5への供給を行うことができる。つまり、左右一対のデバイダ18によって作物を刈取り対象と非刈取り対象とに分草し、刈取対象の作物を、掻込みリール22によって後方側に掻き込みながら刈取り装置19によって作物の株元を切断して刈り取る。そして、作物をオーガ20により横送りし、フィーダ9によって後方に搬送して、作物の株元から穂先までの全体が脱穀装置5に投入され、脱穀作業が行われることになる。
【0054】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、油圧シリンダCYにおける刈取搬送装置側の接続部としてのシリンダロッド58の先端部58aが枢支連結される連結ピン59が着脱自在に備えられる構成を示したが、このような構成に代えて、連結ピン59がフィーダ9に位置固定状態で備えられる構成としてもよい。
又、連結ピン59が機体横幅方向一端側に片持ち状に突出する状態で設けられるものに限らず、両持ち状態で支持される構成としてもよい。
【0055】
(2)上記実施形態では、機体前後方向視において、刈取処理部8における刈幅方向の両側端部夫々の位置が、コンバイン本体Aにおける刈幅方向の両側端部夫々の位置と同じになるように設定されているものを示したが、このような構成に代えて、刈取処理部8における刈幅方向の両側端部夫々の位置と、コンバイン本体Aにおける刈幅方向の両側端部夫々の位置とが異なる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、コンバイン本体の前部に油圧シリンダにより駆動昇降自在に刈取搬送装置が連結されている普通型コンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0057】
3 搭乗運転部
5 脱穀装置
8 刈取処理部
9 フィーダ
10a 縦壁部
10d 底面部
55 補強用枠体
57 被接続部
58a 接続部
59 連結ピン
A コンバイン本体
B 刈取搬送装置
CY 油圧シリンダ
K 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバイン本体の前部に油圧シリンダにより駆動昇降自在に刈取搬送装置が連結され、
前記刈取搬送装置が、所定の刈幅で穀稈を刈り取り且つ刈り取った作物を機体横幅方向中間部に横送り合流する刈取処理部と、その刈取処理部にて合流された作物をコンバイン本体に備えられた脱穀装置に向けて後方搬送する角筒状のフィーダとを備えて構成され、
コンバイン本体の前部に機体横幅方向一端側に位置する状態で搭乗運転部が配備され、
前記刈取処理部が前記搭乗運転部の前方側に位置し、且つ、前記フィーダが前記搭乗運転部の機体横幅方向他端側に位置する状態で配備されている普通型コンバインであって、
前記油圧シリンダが、前記フィーダにおける機体横幅方向一端側に位置する縦壁部と底面部とで形成される角部に連結されている普通型コンバイン。
【請求項2】
前記フィーダの外周部に装備される補強用枠体における前記角部に相当する箇所に、前記油圧シリンダを接続するための被接続部が設けられ、且つ、この被接続部に、前記油圧シリンダにおける刈取搬送装置側の接続部が枢支連結される連結ピンが備えられている請求項1記載の普通型コンバイン。
【請求項3】
機体前後方向視において、前記刈取処理部における刈幅方向の両側端部夫々の位置が、コンバイン本体における刈幅方向の両側端部夫々の位置と同じになるように設定されている請求項1又は2記載の普通型コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−27317(P2013−27317A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163487(P2011−163487)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】