説明

景品取得ゲーム装置

【課題】景品の獲得を目的とするゲーム装置において、景品を配置するフィールドの形状が容易に変更可能である景品取得ゲーム装置を提供することを目的とする。
【解決手段】景品取得ゲーム装置100は、景品を配置するフィールド15を備える。フィールド15は、ベースフレーム60と、ベースフレーム60に連結される支持アーム70と、ベースフレーム60および支持アーム70に支持されるパネル50からなる。支持アーム70は、パネル50を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、景品取得ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
景品の獲得を目的とするゲーム装置には、筐体内に配置された景品を、プレイヤーが操作するクレーンで把持して運ばせ、取出口に落下させて取り出すという方法でゲームを行うものがある。このようなゲーム装置の一部では、景品を配置するフィールドの形状が変更可能となっている。たとえば、特許文献1に記載される景品獲得ゲーム装置では、梁部および枠部の上にパネル部材をマトリクス状に配置できるようにし、パネル部材の配置を変化させてフィールドの形状を変更できるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−205169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のゲーム装置では、フィールドの外観が美しくないという問題があった。
たとえば、特許文献1に記載される景品獲得ゲーム装置では、梁にはパネルを固定するための穴が設けられており、この穴がプレイヤーから見える状態となっている。また、このような穴を設けない構成のものもあるが、これらは固定手段としてネジ等の螺合手段を用いており、パネルの着脱に手間がかかる。
【0005】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、フィールドの外観を美しく保ち、かつパネルの着脱を容易にする景品取得ゲーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題を解決するため、この発明に係る景品取得ゲーム装置は、景品配置領域に配置された景品を、景品取得領域に移動させて取得する、景品取得ゲーム装置であって、景品取得ゲーム装置は、景品を把持する把持手段と、把持手段を移動させる移動手段と、移動手段に対する操作を受け付ける入力手段と、入力手段が受け付けた操作に応じて、移動手段および把持手段を制御する制御手段と、景品配置領域を構成するパネルと、パネルを支持するベースフレームであって、ベースフレームの一部が景品取得領域を構成する、ベースフレームと、パネルを固定支持する支持アームであって、支持アームは伸縮可能であり、伸縮することによってベースフレームに係脱可能に固定される、支持アームとを備える。
【0007】
パネルには、前記パネルを貫通する穴が設けられてもよい。
ベースフレームは螺合手段によらずパネルを支持してもよい。
パネルの少なくとも1つは正方形であってもよい。
パネルの少なくとも1つは上方向に延びる壁面を有してもよい。
パネルは縁部に切り欠きを有してもよい。
また、この発明に係る景品取得ゲーム装置は、景品配置領域に配置された景品を、景品取得領域に移動させて取得する、景品取得ゲーム装置であって、景品取得ゲーム装置は、景品を把持する把持手段と、把持手段を移動させる移動手段と、移動手段に対する操作を受け付ける入力手段と、入力手段が受け付けた操作に応じて、移動手段および把持手段を制御する制御手段と、景品配置領域を構成するパネルと、パネルを支持するベースフレームであって、ベースフレームの一部が景品取得領域を構成する、ベースフレームとを備え、ベースフレームが配置される高さは変更可能である。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る景品取得ゲーム装置によれば、ベースフレームには支持アームが係脱可能に固定され、この支持アームがパネルを固定するので、パネルを固定するための穴は不要である。なお、この固定には螺合手段は不要である。したがって、本発明によれば、フィールドの外観を美しく保ち、かつパネルの着脱を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、実施の形態1に係る景品取得ゲーム装置100の構成を示す。景品取得ゲーム装置100は略直方体状の筐体10を含む。
ここで、筐体10の3直交軸の方向を、図1に示すX軸、Y軸、およびZ軸とする。すなわち、筐体10は、X軸に垂直な面と、Y軸に垂直な面と、Z軸に垂直な面(すなわち水平な面)とを有する。また、以下では、+X方向を右方向、−X方向を左方向、+Y方向を奥方向または後方向、−Y方向を手前方向または前方向、+Z方向を上方向、−Z方向を下方向として参照する。
【0010】
筐体10の内部には、景品を配置するフィールド15が水平に設けられる。筐体10の内部空間のうち、フィールド15よりも上側の部分は、プレイヤーの取得対象となる景品を配置するための景品配置空間11である(なお景品は図示しない)。また、フィールド15よりも下側の部分は、プレイヤーが取得した景品がもたらされる景品取得空間12である。
フィールド15は、枠組となるベースフレーム60と、ベースフレーム60上に配置される複数のパネル50とを含む。ベースフレーム60に配置されたパネル50は、景品を配置するための景品配置領域を構成し、ベースフレーム60のうちパネル50が配置されない領域は、景品落下口14として景品取得領域を構成する。この景品落下口14を介して、景品配置空間11と景品取得空間12とが連通している。すなわち、景品配置空間11内で景品落下口14の上方に運ばれた景品は、景品落下口14を通って落下し、景品取得空間12に達することになる。
また、筐体10は、その前面に、景品を筐体10から取り出すための取出口13を有する。プレイヤーは、景品取得空間12に落下した景品を、取出口13から取り出すことができるようになっている。
ベースフレーム60は、その配置される高さを変えることが可能である。高さの変更は、たとえば走り高跳びのバーの高さを変えるような感じで行うことができる。ただし、ベースフレーム60はバーではなく平面であるため、その形状を考慮して高さの変更が行われる。ベースフレーム60の左右の下部には、高さ固定部材(図示せず)を差込める穴があり、通常は同じ高さの四隅などに高さ固定部材が差し込まれており、ベースフレーム60が水平になっている。これらの高さ固定部材のそれぞれの差込む高さを変えることにより、ベースフレーム60全体の高さを単純に変更したり、ベースフレーム60全体が傾斜する様にセッティングすることも可能である。また、これらの変更も工具不要で簡単に変更可能である。
【0011】
筐体10の内部に、景品を把持する把持手段20と、把持手段20を移動させる移動手段30とが設けられる。把持手段20および移動手段30は、いわゆるクレーンを構成する。
把持手段20は、クレーン本体21と、クレーン本体21に回動可能に取り付けられた2本の指部22とを含む。指部22の先端には爪部23が取り付けられる。2本の指部22は向かい合っており、互いに逆方向に回動することで開閉動作を行うようになっている。指部22が閉じると、把持手段20は、クレーン本体21の下方、所定の位置に存在する景品を把持することができる。また、把持手段20が景品を把持して持ち上げた状態で指部22が開くと、把持していた景品は開放され、自由落下することになる。
【0012】
移動手段30は、筐体10の内部上端付近に設けられる可動レール31を含む。可動レール31は、左右方向に筐体10内のほぼ全長にわたって延びる形状であり、また、筐体10内を前後に平行移動可能である。
可動レール31の下側にはクレーン基部32が取り付けられ、可動レール31に沿って左右に平行移動可能となっている。さらに、クレーン基部32の下側にはクレーン伸縮部33が取り付けられる。クレーン伸縮部33は、クレーン基部32とクレーン本体21とを連結し固定する。クレーン伸縮部33は同軸に配置される複数のパイプ状部材からなっており、これらのうち最も外側のものがクレーン基部32の下部に固定され、最も内側のものがクレーン本体21の上部に固定される。これらのパイプ状部材が軸方向に互いにずれる方向に運動することでクレーン伸縮部33の全長は伸び、互いに重なる方向に運動することでクレーン伸縮部33の全長は縮む。このようにしてクレーン伸縮部33は伸縮可能となっている。
【0013】
このように構成される移動手段30において、可動レール31が筐体10内を前後に移動することによって把持手段20が前後に移動し、クレーン基部32が可動レール31に沿って左右に移動することによって把持手段20が左右に移動し、クレーン伸縮部33が伸縮することによって把持手段20が上下に移動する。なお、ゲーム開始前は、把持手段20は筐体10内の所定の位置、たとえばその可動範囲の左前上端に配置される。
【0014】
筐体10の前面には、コントロールボックス40が設けられる。コントロールボックス40は、プレイヤーが景品取得ゲーム装置100を用いてゲームを行う際に、入出力動作を行う部分である。
コントロールボックス40は、プレイヤーがコインを投入したことを検出し、これに応じてコイン投入信号を出力するコイン投入口41を含む。
また、コントロールボックス40は、ゲームに関連してプレイヤーが操作するボタンとして、右移動ボタン43および奥移動ボタン42を含む。右移動ボタン43および奥移動ボタン42は、移動手段30に対する操作を景品取得ゲーム装置100が受け付けるための入力手段として機能する。右移動ボタン43は把持手段20を右方向に移動させるためのボタンであり、たとえば押下による操作を受け付けて右方向移動指示信号を出力する。また、奥移動ボタン42は把持手段20を奥方向に移動させるためのボタンであり、たとえば押下による操作を受け付けて奥方向移動指示信号を出力する。
さらに、コントロールボックス40は、ゲームに関連する情報をプレイヤーに対して出力すなわち表示する表示部44を含む。さらに、コントロールボックス40は、ゲームに関連する音声をプレイヤーに対して出力すなわち再生するスピーカー45を含む。
【0015】
なお、図示しないが、筐体10の内部には、景品取得ゲーム装置100の動作を制御する制御装置が配置される。この制御装置は、コイン投入口41からのコイン投入信号、右移動ボタン43からの右方向移動指示信号、および、奥移動ボタン42からの奥方向移動指示信号を受信するとともに、これらの信号に応じて表示部44、スピーカー45、可動レール31、クレーン基部32、クレーン伸縮部33、および指部22の動作を制御する。
【0016】
さらに、この制御手段は、フィールド15における景品落下口14の位置を入力する機能と、入力された景品落下口14の位置を記憶する機能とを有する。景品取得ゲーム装置100の管理者は、図示しない入力手段を用いて、景品落下口14の位置(1箇所または複数箇所)を制御手段に入力することができる。
ただし、制御手段は、このような機能を有しないものであってもよい。すなわち、制御手段は、景品落下口14の位置等に関連する情報を一切記憶しないものであってもよい。
【0017】
図2〜図4は、フィールド15を構成する各構成要素を示す。
図2は、ベースフレーム60の形状を示す斜視図である。ベースフレーム60は、正方形状の外枠62と、長方形状の内枠63からなる。外枠62の一辺の長さを3とすると、内枠63の短辺の長さは1であり、長辺の長さは2である。内枠63の短辺の一方63aは、外枠62の一辺62aの中央に含まれている。すなわち、外枠62の一辺62aの中央1/3が、内枠63の短辺の一方63aを構成する。言い換えれば、ベースフレーム60は、外枠62の内側にU字形状の内枠が設けられた形状である。
また、ベースフレーム60の外枠62および内枠63は、ベースフレーム60にラッチが係合し得る複数の係合穴、すなわち複数のフレーム係合穴64を有する。このフレーム係合穴64は、外枠62および内枠63の上面でなく側面に設けられている。
【0018】
図3(a)および図3(b)は、支持アーム70の形状を示す斜視図である。支持アーム70は、ベースフレーム60と係合して固定され、ベースフレーム60とともにパネル50を固定し支持する。
支持アーム70は、アーム本体71と、アーム本体71の長手方向両端に設けられるラッチ72とを含む。ラッチ72は、支持アーム70の長手方向に摺動可能であり、これによって支持アーム70の全体は伸縮可能となっている。また、ラッチ72は、図示しない弾性部材、たとえばバネによって支持アーム70の外側に向けて付勢される。ここで、図3(a)はラッチ72が外力を受けず支持アーム70が伸びた状態を示し、図3(b)はラッチ72が内側方向に力を受けて支持アーム70が縮んだ状態を示す。
【0019】
また、支持アーム70およびラッチ72の形状は、ベースフレーム60の対向する2つのフレーム係合穴64に、支持アーム70の両端のラッチ72が係合するようになっている。このように、支持アーム70は伸縮することによってベースフレーム60に係脱可能(着脱可能)に固定される。すなわち、管理者がラッチ72をつまんで支持アーム70を縮め、一端のラッチ72を1つのフレーム係合穴64に係合させ、このフレーム係合穴64と対向する別のフレーム係合穴64に他端のラッチ72を係合させることで、支持アーム70をベースフレーム60に固定することができ、再びラッチ72を縮めることでフレーム係合穴64から取り外すことができる。このように、支持アーム70はワンタッチでベースフレーム60に取り付け・取り外し可能となっている。
【0020】
さらに、支持アーム70は、その両側面において、長手方向中央に、他の支持アーム70のラッチ72が係合し得る係合穴、すなわちアーム係合穴73を備える。アーム係合穴73によって、支持アーム70は、ベースフレーム60のみならず、他の支持アーム70に係合し、これによって支持されることもできるようになっている。
【0021】
図4(a)および図4(b)は、実施の形態1に係るパネルの形状を示す斜視図である。図4(a)のパネル50は、パネル本体51と、パネル本体51の下面に形成される4つの下部突起52とを含む。
パネル本体51は正方形の板状である。このため、パネル50を上方向から投影すると正方形となる。また、4つの下部突起52は、パネル本体51の四隅それぞれにおいて、それぞれの隅から所定の距離をおいて形成される。パネル50は、水平面内において90度単位で回転対称となっている。すなわち、XY平面において、90度単位で回転させても、外部から見た形状が変化しない。
図4(b)のパネル50’は、パネルの形状の変形例を示す。このパネル50’は、図4(a)のパネル50において、パネル本体51を貫通する(したがってパネル50’を貫通する)貫通孔53を設けたものである。貫通孔53は、人間の指が通せる程度のサイズおよび形状に形成されており、たとえば直径2cmの円筒形状をなす。
また、図示しないが、別の変形例として、パネルは縁部に切り欠きを有してもよい。この切り欠きは、人間の指が通せる程度のサイズおよび形状に形成されており、たとえば直径2cmの半円筒形状をなす。すなわち、パネルの上方向から見て半円形となる。この切り欠きは、正方形のパネルの少なくとも1辺に形成されればよいが、4辺すべてに形成されてもよい。また、この切り欠きは、たとえば辺の中央に形成される。
【0022】
図5は、パネル50、ベースフレーム60、および支持アーム70が組み合わされる構造の一例を示す。この例は図1の構成に対応するものである。ベースフレーム60に7本の支持アーム70が取り付けられ、内枠63とともに3×3のマトリックスに仕切られた枠組を構成する。マトリックスはいずれも正方形であり、この枠組に8枚のパネル50が乗せられる。なお、3×3のマトリックスのうち左奥のものにはパネル50が乗せられず、この部分が図1の景品落下口14を構成する。
なお、図1の例では景品落下口14はマトリックスの左奥に形成されているが、これはベースフレーム60内でいかなる位置に形成されてもよく、たとえば左手前に形成されてもよい。なお、実施の形態1では、パネル50の位置を変更することによって景品落下口14の位置を変更することができるが、これは変更できないものであってもよい。たとえば、景品落下口14はマトリックスの左手前に固定されてもよい。
また、マトリックスのそれぞれは正方形であり、パネル50も正方形であるので、パネル50はいずれの向きでもベースフレーム60および支持アーム70に取り付けることができる。すなわち、ベースフレーム60および支持アーム70に取り付けられたパネル50は、XY平面内において90度単位で回転させても、回転前と同様にベースフレーム60および支持アーム70に取り付けることができる。
【0023】
図6は、ベースフレーム60がパネル50を支持する状態を示す断面図である。パネル50が、ベースフレーム60に上方から嵌め込まれ、外枠62と内枠63とにまたがって配置されている。対向する2つの下部突起52は、それぞれ外枠62および内枠63に当接する。対向する2つの下部突起52の外側端間の距離、すなわち長さAは、外枠62と内枠63との間隔に等しい。または、製造誤差等を考慮して、外枠62と内枠63との間隔よりも所定の長さだけ短く設計されてもよい。
なお、図6ではパネル50の両端はそれぞれ外枠62および内枠63によって支持されているが、両端が内枠63によって支持される場合や、一端または両端が支持アーム70によって支持される場合も、図6と同様である。
このようにして、ベースフレーム60および支持アーム70は、ネジ等の螺合手段によらずにパネル50を支持する。
【0024】
ここで、ベースフレーム60は、仮に支持アーム70が取り付けられない状態であってもすべてのパネル50を支持することができるが、そのような状態ではパネル50の位置を固定することができない。
たとえば、支持アーム70が取り付けられない状態において、図5の3×3のマトリックスの左中央部分に対応するパネル50では、外枠62がパネル50の左辺全長を支持し、内枠63がパネル50の右辺全長を支持するので、パネル50がベースフレーム60から落下することはない。しかしながら、この状態では、パネル50は奥方向に滑って移動する可能性がある。支持アーム70は、このようなパネル50の移動を防ぎ、パネル50を固定する。
なお、ここでいう「固定」とは、パネル50の前後方向、左右方向、および下方向への移動を防ぐものであり、上方向への移動を防ぐものではないが、景品取得ゲーム装置100が通常使用される状態ではパネル50の自重によってパネル50を固定することができる。
【0025】
図1および図5の例では、3×3のマトリックスの左奥が景品落下口14を構成するが、管理者はパネル50の配置場所を変更することにより、景品落下口14の位置を任意に変更することができる。たとえば、中央のパネル50を持ち上げて左奥に移動させれば、景品落下口14は中央に形成されることなる。このようにして、管理者はフィールド15の形状を容易に変更することができる。
さらに、変形例として、図4(b)のパネル50’のように貫通孔53を有する形状のものを用いれば、管理者は、たとえば中央のパネル50’の貫通孔53に上から指を入れ、裏側で指を曲げた状態でパネル50’をひっかけて持ち上げることで、容易に中央のパネル50’を取り外して持ち上げることができる。
【0026】
また、パネル50およびパネル50’は正方形であり、水平面内において90度単位で回転対称となっているので、管理者はパネル50およびパネル50’の向きを揃える必要がなく、90度単位の置きやすい向きで置くことができる。
【0027】
以上のように構成される景品取得ゲーム装置100の動作を、ゲームに関連するプレイヤーの操作と併せて、以下に説明する。
まず、景品取得ゲーム装置100を用いてゲームを行うプレイヤーは、コイン投入口41にコインを投入する。コイン投入口41はコインが投入されたことを検出し、制御装置に伝達する。所定のコインが所定数投入されると、制御装置は、右移動ボタン43の操作を促す表示を表示部44に表示させる。
【0028】
次に、制御装置は、右移動ボタン43が受け付けた操作に応じて、移動手段30を制御する。たとえば、右移動ボタン43が押下されている間は、クレーン基部32を所定の速度で右方向に移動させ続ける。この結果、把持手段20も同様に右方向に移動し続ける。右移動ボタン43の押下が解除されると、クレーン基部32の移動を終了する。
右移動ボタン43の操作が終了すると、制御装置は、奥移動ボタン42の操作を促す表示を表示部44に表示させる。そして、奥移動ボタン42が受け付けた操作に応じて、移動手段30を制御する。たとえば、奥移動ボタン42が押下されている間は、可動レール31を所定の速度で奥方向に移動させ続ける。この結果、把持手段20も同様に奥方向に移動し続ける。奥移動ボタン42の押下が解除されると、可動レール31の移動を終了する。
【0029】
奥移動ボタン42の操作が終了すると、制御装置は、移動手段30および把持手段20を制御して、景品把持動作を行わせる。景品把持動作では、まずクレーン伸縮部33を所定量だけ伸ばし、把持手段20を下に移動させる。次に把持手段20の指部22を閉じさせる。これによって、指部22および爪部23が景品を把持する。ただし、景品の形状および把持手段20との位置関係によっては、景品を把持しない場合もある。最後に、クレーン伸縮部33を所定量だけ縮め、把持手段20を上に移動させる。
このようにして景品把持動作が終了する。この時点で、把持手段20が景品を把持していれば、景品はフィールド15の上方に持ち上げられた状態となっている。
【0030】
景品把持動作が終了すると、制御装置は、移動手段30および把持手段20を制御して、景品取出動作を行わせる。景品取出動作では、まず移動手段30を制御して、把持手段20を景品落下口14の上方に移動させる。ここで、景品落下口14の位置はあらかじめ制御手段が記憶しており、たとえば図1および図5のような構成の場合は、3×3のマトリックスの左奥部分の上方向に移動させることになる。次に、制御手段は把持手段20の指部22を開放する。これによって、景品が把持されていた場合には、その景品は景品落下口14に落下することになる。このようにして景品取出動作が終了する。
【0031】
なお、制御手段は、景品落下口14の位置等を記憶しないものであってもよく、その場合は景品落下口14の位置にかかわらず常に一定の位置で把持手段20の指部22を開放するものであってもよい。この場合、景品取得ゲーム装置100の管理者は、指部22が開放される位置と整合するように景品落下口14を形成しておく必要がある。
景品取出動作が終了すると、制御装置は移動手段30を制御し、把持手段20を所定の位置に移動させる。たとえば、ゲーム開始前、すなわち右移動ボタン43が操作される前の位置に戻す。
【0032】
景品が景品落下口14に落下した場合、景品は景品落下口14を通過して景品取得空間12に達する。プレイヤーは、景品取得空間12内の景品を取出口13から取り出すことができる。なお、景品取得空間12の形状は、落下した景品が取出口13の近くに移動するような形状、たとえばスロープを含んでもよい。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1に係る景品取得ゲーム装置100において、パネルの形状および配置方法をより多様にしたものである。
図7〜図11は、実施の形態2において用いられるパネルの形状を示す斜視図である。実施の形態2においては、実施の形態1における図4(a)のパネル50のいずれかまたはすべてを、図7〜11のパネルのいずれかに置き換えて用いる。
【0034】
図7のパネル150は、図4(a)のパネル50に、比較的低い壁を形成したものである。すなわち、図7のパネル150は、図4(a)のパネル50と同様に、正方形の板状であるパネル本体151と、パネル本体151の下面に形成される4つの下部突起152とを備える。また、パネル150は、パネル本体151の一辺から鉛直上方向に立ち上がる壁面154を備える。
【0035】
パネル150は、壁面154を備えるので、パネル150上に配置された景品がパネル150上を滑って、または転がって、壁面154の方向に移動することを阻止する。たとえば、パネルのうち少なくとも1つをパネル150とし、パネル150に隣接して景品落下口14を設け、景品落下口14に接する辺に壁面154を配置しておけば、パネル150上の景品を単にクレーン本体21が押したり、指部22や爪部23が接触して衝撃で景品が転がったり、または偶発的な衝撃で景品が滑ったりしても、景品は景品落下口14には容易に落下しないことになる。このように、壁面154は、把持手段20に把持されない景品がパネル150上から壁面154を越えて移動することを阻止する。すなわち、景品が壁面154を越えて景品落下口14に達するためには把持手段20に把持されて持ち上げられることが必要となり、景品を把持するための正確な操作が要求され、ゲームの難易度が上昇する。
【0036】
図8のパネル160は、図4(a)のパネル50に、比較的高い壁を形成したものである。すなわち、図8のパネル160は、図4(a)のパネル50と同様に、正方形の板状であるパネル本体161と、パネル本体161の下面に形成される4つの下部突起162とを備える。また、パネル160は、パネル本体161の一辺から鉛直上方向に立ち上がる壁面164を備える。この壁面164は、図7のパネル150の壁面154よりも高くなっており、把持手段20に把持されない景品がパネル160上から壁面164を越えて移動することをより確実に阻止する。
【0037】
図9のパネル170は、図4(a)のパネル50を二分割した長方形状としたものである。すなわち、図7のパネル170は、長方形の板状であるパネル本体171と、パネル本体171の下面に形成される4つの下部突起172とを備える。ここで、パネル本体171の長辺の長さは短辺の2倍となっている。
パネル170は、より小さい単位でフィールド15を形成することができるので、フィールド15を形成する際の自由度を向上させることができる。たとえば、図4(a)のパネル50一枚分のスペースに、一枚のパネル170のみを配置してスペースの半分を塞ぎ、残る半分を景品落下口14とすることができる。
なお、図2に示すように、ベースフレーム60のフレーム係合穴64は、3×3のマトリックスそれぞれの辺に対応する位置のみならず、各マトリックスの中央にも形成されている。これによって、支持アーム70は各マトリックスの中央を左右方向に横切る位置に係合することができ、パネル170を固定することができる。
【0038】
図10のパネル180は、図4(a)のパネル50をより立体的な形状とし、坂を構成したものである。図10のパネル180は、中空三角柱形状のパネル本体181を備える。パネル本体181は、坂を構成する長方形の傾斜面181aと、正方形の底面181bとを備える。また、パネル本体181は、底面181bの三辺から鉛直上方向に立ち上がり傾斜面181aを支持する側面として、長方形の第一側面181cと、直角三角形の第二側面181dおよび第三側面181eとを備える。第二側面181dおよび第三側面181eの斜辺が傾斜面181aを傾斜させて支持する。また、図4(a)のパネル50と同様に、図10のパネル180の底面181bの下面には4つの下部突起182が形成される。
パネル180は、坂を構成する傾斜面181aを備えるので、フィールド15のデザインを立体的なものとすることができる。
【0039】
図11のパネル190は、図4(a)のパネル50をより立体的な形状とし、高台を構成したものである。図11のパネル190は、中空直方体形状のパネル本体191を備える。パネル本体191は、高台を構成する正方形の上面191aと、正方形の底面191bと、長方形の4つの側面191cとを備える。また、図4(a)のパネル50と同様に、図11のパネル190の底面191bの下面には4つの下部突起192が形成される。
パネル190は、高台を構成する上面191aを備えるので、フィールド15のデザインを立体的なものとすることができる。なお、パネル190の高さは、たとえばパネル180の高さと同一に形成され、パネル190の高台とパネル180の坂とが段差なく連続するように構成される。しかしながら、これらの高さはそれぞれ異なるものであってもよい。
【0040】
なお、図7〜図11に示されるパネルのそれぞれについて、図4(b)の貫通孔53のような貫通穴が設けられてもよい。
【0041】
図12〜図16は、実施の形態2において用いられるパネルの配置状態を示す斜視図である。
図12の配置では、景品落下口14が3×3のマトリックスの左手前および中央手前に形成されている。また、景品落下口14を横切る位置には支持アーム70は設置されない。このように景品落下口14が複数のマトリックスに渡って形成されてもよい。なお、この場合、景品取得ゲーム装置100の制御手段は、景品落下口14を構成するすべてのマトリックスの位置を記憶し、把持した景品をそのいずれかに落下させてもよいし、景品落下口14を構成するマトリックスのうちいずれか1つの位置を記憶し、把持した景品をそこに落下させてもよい。
【0042】
また、景品落下口14の周囲のパネル、すなわち、マトリックスの左中央、中央、および右手前に配置されるパネルはすべて壁面164を有するパネル160であり、それぞれの壁面164は景品落下口14に接する辺に配置されている。この配置では、把持手段20に把持されない景品が景品落下口14に落下することが壁面164によって阻止されるので、プレイヤーは景品を正確に把持する動作を要求されることになり、ゲームの難易度が上昇する。
【0043】
なお、マトリックスはすべて正方形であるので、パネル160の壁面164は任意の辺に配置することができる。すなわち、図12の左中央のパネル160と、右手前のパネル160とは同一形状のパネルであり、少ない種類のパネルで複雑な配置を実現することができる。さらに、奥方向の3枚のパネル160も壁面164を備えるが、これらの壁面164はフィールド15の縁に配置されており、フィールド15上の景品の移動を制限しないようになっている。このように、パネル160を、壁面を備えないパネル50の代用として用いることもできる。
【0044】
図13の配置では、ベースフレーム60が前後反転されている。また、景品落下口14がマトリックスの中央手前および中央に形成されている。さらに、図12と同様に、パネル160の壁面164が景品落下口14に接する辺に配置されている。
ベースフレーム60の全体は正方形であるので、ベースフレーム60を任意の方向に90度単位で回転させて配置することができ、このように前後反転させて配置させることもできる。
【0045】
図14の配置では、マトリックスの奥の行(すなわち、左奥、中央奥、右奥)に配置されたパネル160が、すべて壁面164を手前に向けて配置されている。このような配置によれば、奥の行に配置される景品が景品落下口14に落下することがないので、手前行および中央行に配置されるゲーム対象の景品と、奥の行に配置される展示専用の商品とを区別することができ、景品の配置の自由度が高まる。なお、このような配置は、把持手段20の可動範囲をたとえば中央の行および手前の行のみに限定する制御とともに用いられる。
【0046】
図15の配置では、ベースフレーム60にパネルは一切設置されず、支持アーム70のみが梯子状に取り付けられている。すなわち、マトリックスの中央列において、内枠63と支持アーム70とによって梯子状の構造が形成され、この構造上に景品が配置されることになる。このような構造は、たとえば比較的大きい景品に適している。
このように、ベースフレーム60および支持アーム70のみで直接的に景品を支持してもよく、その場合、パネルは配置されなくともよい。
【0047】
図16の配置では、マトリックスの中央に配置された坂を構成するパネル180と、中央奥に配置された高台を構成するパネル190とが立体的な構造を形成する。また、その周囲は景品落下口14となっている。
このような配置では、景品を把持手段20で正確に把持しなくとも、クレーン本体21、指部22、または爪部23等が接触するだけで容易に景品を景品落下口14に落下させることができ、ゲームがより容易になる。
なお、マトリックスはすべて正方形であるので、パネル180の傾斜面181aは任意の方向に向けて配置することができる。すなわち、奥から手前に向けて下る坂だけでなく、右から左に向けて下る坂等も、同一のパネル180を用いて構成することができる。
【0048】
以上、実施の形態2に係る景品取得ゲーム装置によれば、図7〜11に例示する各種パネルを用いて、図12〜図16に例示する各種フィールドを構成することができ、フィールド15の構成における自由度が高まり、フィールド15の形状を容易に変更することができる。さらに、ゲームの難易度の調節もより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態1および2に係る景品取得ゲーム装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1および2に係るベースフレームの形状を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1および2に係る支持アームの形状を示す斜視図である。
【図4】図1のパネルの形状を示す斜視図である。
【図5】図4のパネル、図2のベースフレーム、および図3の支持アームが組み合わされる構造の一例を示す図である。
【図6】図2のベースフレームが図4のパネルを支持する状態を示す断面図である。
【図7】実施の形態2において用いられるパネルの形状の一例を示す斜視図である。
【図8】実施の形態2において用いられるパネルの形状の一例を示す斜視図である。
【図9】実施の形態2において用いられるパネルの形状の一例を示す斜視図である。
【図10】実施の形態2において用いられるパネルの形状の一例を示す斜視図である。
【図11】実施の形態2において用いられるパネルの形状の一例を示す斜視図である。
【図12】実施の形態2において用いられるパネルの配置状態の一例を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2において用いられるパネルの配置状態の一例を示す斜視図である。
【図14】実施の形態2において用いられるパネルの配置状態の一例を示す斜視図である。
【図15】実施の形態2において用いられるパネルの配置状態の一例を示す斜視図である。
【図16】実施の形態2において用いられるパネルの配置状態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
14 景品落下口(景品取得領域)、20 把持手段、30 移動手段、42 奥移動ボタン(入力手段)、43 右移動ボタン(入力手段)、50,150,160,170,180,190 パネル(景品配置領域)、53 貫通孔(パネルを貫通する穴)、60 ベースフレーム、70 支持アーム、100 景品取得ゲーム装置、154,164 壁面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品配置領域に配置された景品を、景品取得領域に移動させて取得する、景品取得ゲーム装置であって、
前記景品取得ゲーム装置は、
前記景品を把持する把持手段と、
前記把持手段を移動させる移動手段と、
前記移動手段に対する操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が受け付けた前記操作に応じて、前記移動手段および前記把持手段を制御する制御手段と、
前記景品配置領域を構成するパネルと、
前記パネルを支持するベースフレームであって、前記ベースフレームの一部が前記景品取得領域を構成する、ベースフレームと、
前記パネルを固定支持する支持アームであって、前記支持アームは伸縮可能であり、伸縮することによって前記ベースフレームに係脱可能に固定される、支持アームと
を備える、景品取得ゲーム装置。
【請求項2】
前記パネルには、前記パネルを貫通する穴が設けられる、請求項1に記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項3】
前記ベースフレームは螺合手段によらず前記パネルを支持する、請求項1または2に記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項4】
前記パネルの少なくとも1つは正方形である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項5】
前記パネルの少なくとも1つは上方向に延びる壁面を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項6】
前記パネルは縁部に切り欠きを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項7】
景品配置領域に配置された景品を、景品取得領域に移動させて取得する、景品取得ゲーム装置であって、
前記景品取得ゲーム装置は、
前記景品を把持する把持手段と、
前記把持手段を移動させる移動手段と、
前記移動手段に対する操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が受け付けた前記操作に応じて、前記移動手段および前記把持手段を制御する制御手段と、
前記景品配置領域を構成するパネルと、
前記パネルを支持するベースフレームであって、前記ベースフレームの一部が前記景品取得領域を構成する、ベースフレームと
を備え、
前記ベースフレームが配置される高さは変更可能である
景品取得ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−68915(P2010−68915A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237929(P2008−237929)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(500362763)株式会社AQインタラクティブ (5)