説明

景品獲得ゲーム機

【課題】景品の獲得しやすさをプレーヤにアピールし、プレーヤのゲームに対する興趣をなるべく維持させるようにした景品獲得ゲーム機を提供すること。
【解決手段】プレーヤの操作に基づいてプッシャー36をまず左右方向に移動させ次いで上下方向に移動させることでショーウィンドウ14の任意の窓孔17の前方位置に停止させるようにし、停止後にプッシャー36を窓孔17内に進出させて景品Pを陳列位置から落下させて獲得することを目的とする景品獲得ゲーム機において、プッシャー36を左右に幅広でかつ上下幅(厚み)の狭い薄板状に構成する。そして窓孔17の左右幅に対するプッシャー36の左右幅との間の最小通過間隔と窓孔17の上下幅に対するプッシャー36の上下幅との間の最小通過間隔とを比較して最初に移動する方向の最小通過間隔を大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーウィンドウの奥に陳列された景品をショーウィンドウの窓孔を通してプッシャーにより押して落下させてその景品を獲得する景品獲得ゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりショーウィンドウの奥に景品を陳列し、ショーウィンドウの前面の景品に対応した位置に窓孔を開口させるとともに、ショーウィンドウの前面に縦横自在に移動可能にプッシャーを備えた移動体を配置させプレーヤの操作でこの移動体をちょうどプッシャーを窓孔内に挿通することができる位置に停止させてプッシャーを押動させショーウィンドウの後方より落下させてその景品を獲得する景品獲得ゲーム機がある。通常プレーヤには移動体の水平方向と垂直方向の2方向において停止させる機会を与えられており、停止ボタン等の手段を操作して移動体は停止させられることとなる。
このような景品獲得ゲーム機の一例を特許文献1として示す。特許文献1ではターゲットボード15の開口した穴42や隙間15Gに対応する位置に伸縮ポール12を移動させ、次いで同ポール12を伸長させることで景品を押して後方位置から落下させ獲得するようになっている。
【特許文献1】特開2005−143682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1の景品獲得ゲーム機においては次のような問題があった。
1)伸縮ポール12はごく小径の断面円形形状のものを使用している。そのため、プレーヤがうまく伸縮ポール12をターゲットボード15内に進入させることができたとしても景品を「点」で押動するだけであるため、必ずしも景品を後方に落下させることができない場合があった。つまり、押動位置が景品の中心からずれている場合には景品は伸縮ポール12に押動されてもその場で回転してしまって後方に移動しない場合があるためである。
2)穴42に対して伸縮ポール12は非常にピンポイント的に挿入されなければならないため、初期位置から伸縮ポール12がまず初めに上方に移動する段階で景品を後方に落下させることができるような穴42の前方に正確に伸縮ポール12を停止させられないとその段階で既に景品を獲得することができないことが判明してしまうので、ゲームの興趣が醒めてしまっていた。
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、その目的は、景品の獲得しやすさをプレーヤにアピールし、プレーヤのゲームに対する興趣をなるべく維持させるようにした景品獲得ゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、複数の景品をショーウィンドウの奥に陳列収容するとともに、各景品と対面するショーウィンドウの一部に窓孔が形成された景品収容部と、前記ショーウィンドウと所定間隔を離間した前方位置であって同ショーウィンドウ方向に対して進退可能なプッシャーと、同プッシャーを進退させるプッシャー駆動手段とを備えるとともに同ショーウィンドウ面と一定間隔を維持しながら移動可能な移動体と、同移動体を移動させる移動体駆動手段とを備え、プレーヤの操作に基づいて前記移動体を原点からまず第1の移動方向に移動させ、次いで同第1の移動方向と交叉する第2の移動方向に移動させて、前記プッシャーを前記ショーウィンドウの任意の前記窓孔の前方位置に停止配置させた後、同プッシャーを同窓孔から前記景品収容部内に進出させることで景品を陳列位置から落下させて獲得することを目的とする景品獲得ゲーム機において、
前記プッシャーは幅広長尺の板状体から構成され、前記移動体の第1の移動方向を同プッシャーの幅方向とし、第2の移動方向を厚み方向とする一方、同プッシャーが通過する前記窓孔をスリット状に形成し、前記窓孔に対する前記プッシャー側の第1の移動方向における最小通過間隔を前記プッシャー側の第2の移動方向における最小通過間隔よりも広く設定したことをその要旨とする。
【0005】
請求項1のような構成では、プレーヤの操作に基づいて移動体は原点からまず第1の移動方向に移動させられ、次いで同第1の移動方向と直交する第2の移動方向に移動させられる。移動体はこのように第1及び第2の移動方向移動することによってショーウィンドウの前面を二次元的に所望の位置に移動して停止させられることとなる。ショーウィンドウに形成された複数の各スリット状の窓孔は、長手方向がプッシャーの幅方向と平行に延出されることとなる。
プレーヤはまず移動体に第1の移動方向に移動させてプッシャーの幅を所望の窓孔の長手方向幅内に配置されるように停止させるようにプレーすることとなる。次いで、プレーヤは移動体をその停止状態から第1の移動方向と直交する第2の移動方向に移動させてプッシャーの厚みを所望の窓孔の短手方向幅内に配置されるように停止させるようにプレーすることとなる。
この時、プッシャーは第1の移動方向における通過間隔を前記プッシャーの第2の移動方向における通過間隔よりも広く設定されているため、まず第1の移動方向においてプッシャーを窓孔の長手方向幅内に配置させるプレーはその後に続く第2の移動方向においてプッシャーを窓孔の短手方向幅内に配置させるプレーよりも容易に行うことができる。つまり、ゲームの開始から第2の移動が完了するまで景品獲得の期待度を維持することができる。更に、プッシャーは幅広であるため窓孔内に進出すると線状に景品に当接して景品を後方に押し出す能力が高いので一旦窓孔内にプッシャーが挿入されれば景品獲得の期待値も非常に高くなることからプレーヤのゲームに対する興趣が保たれることとなる。
ここに、「プッシャーが幅広」とはプッシャーの厚み方向に対して幅方向の比率が十分大きく、景品に対して線状に当接してこれを後方に押動させることが可能であることを意味する。また、「最小通過間隔」とはプッシャー側に異形部が一部存在し、そのため幅や厚みが異なるケースを考慮したものであって、最も窓孔の縁に近いプッシャー側の通過部分を基準にするとの意味である。
【0006】
請求項2に記載の発明では請求項1の発明の構成に加え、前記プッシャーの先端には前記窓孔に対する同プッシャーの通過間隔を変更するためのアダプターが着脱可能に装着されるようにしたことをその要旨とする。
これによって窓孔に対するプッシャーの通過間隔を変更でき、プッシャーの窓孔に対する通過しやすさを調節することが可能となる。
請求項3のような構成では請求項1又は2の発明の構成に加え、前記窓孔には前記プッシャーとの間の通過間隔を変更するためのアダプターが着脱可能に装着されるようにしたことをその要旨とする。
これによって窓孔に対するプッシャーの通過間隔を変更でき、プッシャーの窓孔に対する通過しやすさを調節することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
上記各請求項に記載の発明によれば、第1の移動方向においてプッシャーを窓孔の長手方向幅内に配置させるプレーはその後に続く第2の移動方向においてプッシャーを窓孔の短手方向幅内に配置させるプレーよりも容易に行うことができる。つまり、ゲームの開始から第2の移動が完了するまで景品獲得の期待度を維持することができる。更に、プッシャーは幅広であるため窓孔内に進出すると線状に景品に当接して景品を後方に押し出す能力が高いので一旦窓孔内にプッシャーが挿入されれば景品獲得の期待値も非常に高くなることからプレーヤのゲームに対する興趣が保たれることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の景品獲得ゲーム機を具体化した実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明においてはプレーヤ側を前側とし、ゲーム機の奥側を後側とする。またプレーヤ側からゲーム機を見た際の左方向を左側とし、右方向を右側とする。
図1に示すように、筐体10の上部には透明なフロントウィンドウ11及びサイドウィンドウ12に三方から包囲されたプレイゾーン13a,13bが形成されている。本実施の形態ではプレイゾーン13a,13bは中央を境界として左右に分割され左側プレイゾーン13aと右側プレイゾーン13bとして同時に2人のプレーヤがプレー可能とされている。
プレイゾーン13a,13b内の奥寄りには平面状の透明なショーウィンドウ14によって隔てられた景品収容部15が設けられている。景品収容部15内には上下二段の棚板16が設置され、同棚板16上に複数の景品Pが載置されている。隣接する各景品Pの収容されるスペースは透明な仕切プレート18によって均等に仕切られている。仕切プレート18は着脱可能とされている。棚板16の後方は図示しない景品落下ゾーンFとされ落下した景品が通路を通って後述する景品取り出し口PTに導かれるようになっている。各景品Pと対面するショーウィンドウ14には横長スリット状の窓孔17が形成されている。本実施の形態では各景品P毎に上下方向に平行に3つの同形状の窓孔17が形成されている。これは景品Pの形状や載置態様に応じてプレーヤが景品Pを獲得しやすい窓孔17を選択できるようにするためである。各プレイゾーン13a,13bは各々6つの景品が格納可能であるため各ショーウィンドウ14には窓孔17が整然と配置されることとなる。
【0009】
景品収容部15の前方、つまりショーウィンドウ14の前方位置には同ショーウィンドウ14と所定間隔を開けてプレイゾーン13a,13b毎にそれぞれ縦レール20が配設されている。図2に示すように、縦レール20は上下に配設された左右に延びる水平レール21間に支持されている。縦レール20は下側の水平レール21に配設された移動体駆動手段としての縦レール用モータ22によって駆動され水平レール21に沿って左右方向にスライド移動可能とされている。水平レール21には縦レール20の水平方向の原点位置を決定する第1の位置センサ23と最も進出した位置を決定する第2の位置センサ24がそれぞれ下側の水平レール21の左右寄り位置に配設されている。縦レール20の下部には図示しないドグ(被検出部材)が形成され、同ドグが両センサ23,24に対して非接触状態で近接することで検出されて縦レール20の振幅が決定されるようになっている。
【0010】
図1〜図3に示すように、フロントウィンドウ11は左右一対のスライド移動可能なスライドウィンドウから構成されている。フロントウィンドウ11は図3に示すように上部の鴨居金具19aと下部の敷居金具19b間に支持されており、これら金具19a,19bをレールとして左右方向に移動可能とされている。図1及び図11に示すように、フロントウィンドウ11の左右端部位置には錠部材26が設けられている。錠部材26はキー26aによって回動させられるキータング26bを備えており、筐体10の一部をなすサイドフレーム27の掛止部28に対して同キータング26bを掛止させることでロック可能とされている。
同じくショーウィンドウ14も左右一対のスライド移動可能なスライドウィンドウから構成されている。ショーウィンドウ14は図3に示すように上部の鴨居金具29aと下部の敷居金具29b間に支持されており、これら金具29a,29bをレールとして左右方向に移動可能とされている。図1に示すように、ショーウィンドウ14もフロントウィンドウ11と同様錠部材26が設けられおり掛止部28に対してキータング26bを掛止させることでロック可能とされている。
【0011】
縦レール20には移動体としてのプッシャーユニット25が配設されている。プッシャーユニット25は縦レール20の下部位置に配設された移動体駆動手段としてのプッシャーユニット用モータ31によって上下方向にスライド移動可能とされている。プッシャーユニット用モータ31はアブソリュート型のロータリーエンコーダ31aが併設されたステッピングモータから構成されている。ロータリーエンコーダ31aは垂直方向の距離を検出する。
縦レール20にはプッシャーユニット25の垂直方向の原点位置を決定する第3の位置センサ32と最も進出した位置を決定する第4の位置センサ33それぞれ縦レール20の上下寄り位置に配設されている。プッシャーユニット25には図示しないドグが形成され、同ドグが両センサ32,33に対して非接触状態で近接することで検出されてプッシャーユニット25の振幅が決定されるようになっている。
【0012】
筐体10の前部には左右のプレイゾーン13a,13bに対応して操作パネル34が設けられ、同操作パネル34にはそれぞれにスタート手段及び停止手段としての第1及び第2ボタンB1,B2、モニタM及び硬貨投入口Cが設けられている。また、筐体10の前方下部にはプレイゾーン13a,13b毎の景品取り出し口PTが設けられている。図1に示すように、景品取り出し口PTに連通する通路内には各プレイゾーン13a,13bにおいて獲得された景品Pの通過を検出する光電センサ30が配設されている。
【0013】
プッシャーユニット25について更に詳しく説明する。尚、プッシャーユニット25に関する説明ではプレーヤ側からゲーム機の奥側に進出することを前進とし、この前進方向をもって前側とする。
図4〜図6に示すように、プッシャーユニット25はユニット本体35とプッシャー36を備えている。ユニット本体35の本体ケース37は天板38と、天板38の三方縁から下垂された後方、側方及び前方の各側壁39a〜39cと、天板38裏面側に配置された断面L字状の一対のガイドレール40より構成されている。図5に示すように、本体ケース37の天板38の四方角寄り位置には案内ローラ41が回動自在に配設されている。ユニット本体35の側方側壁39bにはブラケット42が固着され、ユニット本体35は同ブラケット42を介して前記縦レール20側に連結されている。
本体ケース37内であって前記両ガイドレール40上にはスライドテーブル43が配設されている。図4〜図6に示すように、スライドテーブル43は同テーブル43の四方に配置された車輪44によって本体ケース37側のガイドレール40上に載置されている。その結果、スライドテーブル43はガイドレール40の長手方向に沿ってスライド移動可能とされている。スライドテーブル43の前方であって前方側壁39cとの間には左右一対のコイルバネ45が配設されている。
スライドテーブル43の天板38の裏面側であって右寄り位置(図4では上方寄り位置)にはテンションセンサ46が配設されている。図7及び図8に示すように天板38の上面であって前方寄り位置にはホームポジションセンサ47とリミットポジションセンサ48が配設されている。
【0014】
スライドテーブル43の裏面側にはプッシャーモータ50が配設されている。図7に示すようにプッシャーモータ50の回転軸51の先端側はスライドテーブル43から更にユニット本体35を貫通して天板38上面に突出させられている。回転軸51先端にはウォームギア53が取着されている。回転軸51の基端側にはインクリメント型ロータリエンコーダ52のスリット円板52aが取着されている。スリット円板52aに隣接してフォトラプタからなるエンコーダ本体52bが配設されている。エンコーダ本体52bはスリット円板52aの回転に基づくスリットの透光数をカウントすることでプッシャーモータ50の回転量を数値化し、間接的にプッシャーユニット25の原点位置からの移動距離を計測する。
図4〜図6に示すように、スライドテーブル43の後方右側方には後方向に突起したドグ49が形成されている。ドグ49はスライドテーブル43がユニット本体35に対して相対的に後方に移動させられた場合に前記テンションセンサ46によって検出される。
【0015】
プッシャー36は長尺のプラスチック製の板体であって、その裏面には図4〜図6に示すように長手方向に沿ってラック55が形成されている。
図9に示すように、プッシャー36の先端には着脱可能なキャップ状のヘッド部56が装着されている。図10に示すように、ヘッド部56はプッシャー36先端が挿入される凹部56aを備え、同凹部56a内にプッシャー36の先端が嵌合された状態で下方から固定ネジ59によって固定されている。本実施の形態では図16に示すように各窓孔17においてはヘッド部56は窓孔17の左右方向の幅Mに対して通過間隔mは約20mmとされ上下方向の幅Nに対して通過間隔nは約4mmとされている。つまり、本実施の形態では左右方向の通過間隔mが上下方向の通過間隔nよりも約5倍ほど大きく構成されている。この結果、左右方向についてはプッシャー36は比較的通過間隔に余裕があり、一方上下方向には余裕は少ない。
図7及び図8に示すように、プッシャー36の側縁部に形成された長溝36a内には4つの案内ローラ41が嵌合させられており、これら案内ローラ41によってプッシャー36は進退可能に保持されている。プッシャー36のラック55は前記ウォームギア53と噛合されており、プッシャーモータ50の回転に伴ってウォームギア53が回転させられるとその回転力がラック55に伝達されてプッシャー36の前後方向の進退運動に変換されることとなる。プッシャー36の裏面側の間隔を開けた前後位置にはそれぞれ前記ホームポジションセンサ47とリミットポジションセンサ48のドグ57,58が配設されている。つまり、プッシャー36はこの両ドグ57,58間の距離を最大ストロークとすることとなる。尚、上記各モータ22,31,50は図示しないコントローラによって制御されている。
【0016】
このような構成のゲーム機は次のようにゲームが実行される。
まず、ゲーム開始時点においてはプッシャー36は原点位置にある。原点位置とは縦レール20側のドグが第1の位置センサ23に検出されるとともに、プッシャーユニット25側のドグが第3の位置センサ32に検出されている位置であって、右側プレイゾーン13bにおいては図2に示すように右側下方位置がプッシャー36の原点位置となる。以下、右側プレイゾーン13b側のプッシャー36の挙動を例として図示して説明する。また、説明の都合上所定の窓孔17の位置を説明するため、図12〜図15において縦の列をA、B、Cで示し、横の行をp、q、rで示す。本実施の形態ではプレーヤは例えばB−qの位置の窓孔17にプッシャー36を停止させるつもりでプレーを行うものとする。
コイン投入後、プレーヤが第1ボタンB1を押下する。すると縦レール用モータ22が駆動されて縦レール20は原点位置から水平レール21に沿って移動を開始する。つまり、図2に示すようにプッシャーユニット25は原点位置からそのまま水平方向に横移動することとなる。第1ボタンB1を押下し続けることで縦レール用モータ22の駆動は維持され縦レール20の移動は継続される(図12の状態)。
プレーヤはプッシャー36がB列に至った段階で第1ボタンB1の押下を解除(例えばボタンB1から指を離す)し、プッシャー36をB列の窓孔17の横幅内に停止させる(図13の状態)。
【0017】
続いて、プレーヤはプッシャー36を上方に移動させるために第2ボタンB2を押下する。するとプッシャーユニット用モータ31が駆動されてプッシャーユニット25は図13の状態から縦レール20に沿って上方に移動を開始する。第2ボタンB2を押下し続けることでプッシャーユニット用モータ31の駆動は維持され、プッシャーユニット25の移動は継続される(図14の状態)。
プレーヤはプッシャー36がq行に至った段階で第2ボタンB2の押下を解除し、プッシャー36をB−qの位置の窓孔17の上下横幅内に停止させるようにする(図15の状態)。
このようにしてプレーヤによる第1及び第2ボタンB1,B2の操作が完了すると自動的にプッシャー36がショーウィンドウ14方向に進出する。
【0018】
この時、プッシャー36は次のような動作を行う。
まず、プッシャー36を図15のようにうまく窓孔17の上下左右横幅内に停止させることができた場合には、図3に示すようにプッシャー36はショーウィンドウ14に衝突することなく窓孔17を通過することができる。そして、プッシャー36はドグ58がリミットポジションセンサ48(図8参照)に検出されるまで進出する。この間にプッシャー36は景品Pを突き倒して後方へ落下させる。そして、リミットポジションセンサ48がドグ58を検出するとプッシャーモータ50は停止し、更に逆駆動してプッシャー36を後退させる。後退したプッシャー36のドグ57がホームポジションセンサ47(図8参照)に検出されることでプッシャーモータ50は停止しプッシャー36が原点位置に復帰することとなる。
【0019】
一方、図5に示すように、プッシャー36がショーウィンドウ14の窓孔17を通過できず、ショーウィンドウ14の前面に衝突してしまった場合には、プッシャーモータ50の駆動力によってプッシャー36と連結されているスライドテーブル43がユニット本体35に対して相対的に後方(プレーヤ側)に移動させられるようになっておりショーウィンドウ14への衝突によりプッシャー36が押し戻される方向に荷重がかかる際の駆動伝達系の過負荷による不具合の発生を防止するようになっている。スライドテーブル43の移動に伴ってスライドテーブル43側のドグ49がテンションセンサ46によって検出されるとプッシャーモータ50は停止し、更に逆駆動してプッシャー36を後退させる。後退したプッシャー36のドグ57がホームポジションセンサ47に検出されることでプッシャーモータ50は停止しプッシャー36が原点位置に復帰することとなる。
【0020】
更に、プッシャー36がショーウィンドウ14の窓孔17を通過したとしても景品がごく重い場合にはショーウィンドウ14衝突のケースと同様コイルバネ45の付勢力があるにも関わらずプッシャー36が押し戻されてしまうこととなる。しかし、この場合にはショーウィンドウ14とは異なり駆動伝達系にそれほど大きな過負荷がかかるわけではないのでプッシャー36で景品を押し切ってしまえばよい。そのため、プッシャー36がショーウィンドウ14の窓孔17を通過している場合にはスライドテーブル43側のドグ49がテンションセンサ46によって検出されてもこれをキャンセルする。そのため、本実施の形態では図6に示すようにスライドテーブル43後端は後方側壁39aに当接することとなり、その状態ではプッシャー36は前進する。そして、リミットポジションセンサ48がドグ58を検出するとプッシャーモータ50は停止し、更に逆駆動してプッシャー36を後退させる。後退したプッシャー36のドグ57がホームポジションセンサ47に検出されることでプッシャーモータ50は停止しプッシャー36が原点位置に復帰することとなる。
そして、プッシャー36の進退動作が終了すると、プッシャーユニット25はXY軸方向の原点位置に移動して1ゲームが終了する。このとき、景品Pが落下しているとプレーヤは景品取り出し口PTからその景品を取り出すことができる。
【0021】
上記実施の形態のゲーム機では次のような効果が奏される。
(1)窓孔17の横幅はプッシャー36先端のヘッド部56の横幅よりもかなり広く設定されており、プレーヤは原点位置からプッシャー36を水平方向に移動させて所望の縦列A、B、C位置に停止させる際にそれほどの正確さを要求されない。一方、垂直方向に移動させる際には窓孔17の横幅はプッシャー36先端のヘッド部56の上下幅よりもそれほど広く設定されていない。
そのため、プレーヤはプッシャー36を上方に移動させて停止させる際には非常な正確さを要求される。つまり、プレーヤに与えられた二回のプッシャー36の停止操作において一回目の水平方向の位置決めは比較的容易にクリアできるため二回目の垂直方向の位置決め操作が完了するまでプレーヤのゲームへの興趣が保たれる可能性が高く最初の水平方向の位置決め操作を失敗してしまうことによるプレーヤのゲームへの興趣が醒めてしまう可能性が低くなる。
(2)筐体10に正対したままでフロントウィンドウ11を開放でき、更にショーウィンドウ14も前方から開放できるため前方から景品Pを追加したり交換することが可能である。つまり別途、景品Pの追加・交換のための出入り口を筐体10の背面側に設ける必要がない。そのため、景品Pの追加・交換のためにゲーム機を動かす必要はなく、景品Pの追加・交換の作業が軽減される。
(3)プッシャー36の先端にはアダプターとしての着脱可能なキャップ状のヘッド部56が装着されている。ヘッド部56はいくつかの先端の上下幅の異なるものが用意され適宜取り替えることで窓孔17への挿入の難易度、つまりゲームの難易度を設定変更することが可能である。例えば図17(a)のように難易度を低くする場合には通過間隔を広くし、難易度を高く設定したい場合には図17(b)のように通過間隔が狭くなるようなヘッド部56に変更することが考えられる。図17(a)(b)では上下方向の通過間隔を調整したが、左右方向の通過間隔を調整するようにしても構わない。
【0022】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・プッシャー36(ヘッド部56)の通過間隔を変更するための手段として図18に示すように窓孔17側に窓孔17よりも狭い上下あるいは左右幅の透孔60が形成されたアダプターとしての通過間隔変更パネル61を取り付けるようにしても構わない。
・プッシャー36先端にヘッド部56を装着しなくとも構わない。
・ショーウィンドウ14の窓孔17は各景品P毎に複数あることが好ましいが、1つでも構わない。また、その形状は問わない。
・上記実施の形態ではプッシャーユニット25の機械的構成は上記に限定されることはない。例えばプッシャーユニット25のプッシャー36をプレーヤの操作で進出させるようにしてもよい。
・プッシャー36の形状は上記に限定されない。
・上記景品獲得ゲーム機ではプッシャーユニット25は水平・垂直方向はそれぞれ一方向しか進まずプレーヤはその一回の移動において第1及び第2ボタンB1,B2を操作しなければならなかった。しかしプッシャーユニット25を往復運動させるような景品獲得ゲーム機であっても構わない。
・上記実施の形態ではプッシャーユニット25は初めに水平方向に移動するような構成であったが、まず上下方向に動くような構成でもよい。
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる実施の形態におけるゲーム機の斜視図。
【図2】プッシャーユニットの水平及び垂直方向の動きを説明する説明図。
【図3】プッシャーユニットの内部構造の概略を説明する説明図。
【図4】プッシャーユニットにおいてプッシャーがショーウィンドウの窓孔内に進入した状態の底面図。
【図5】プッシャーユニットにおいてプッシャーがショーウィンドウの前面に衝突した状態の底面図。
【図6】プッシャーユニットにおいてプッシャーがショーウィンドウの窓孔内に進入し、なおかつ重量のある景品を押動している状態の底面図。
【図7】図4のA−A線におけるプッシャーユニットの断面図。
【図8】プッシャーユニットの平面図。
【図9】プッシャーとショーウィンドウの窓孔との位置関係を説明する部分斜視図。
【図10】プッシャー先端部分の分解斜視図。
【図11】フロントウィンドウの錠部材及び筐体側の掛止部の部分拡大斜視図。
【図12】プッシャー先端のヘッド部と窓孔との位置関係を説明する説明図。
【図13】プッシャー先端のヘッド部と窓孔との位置関係を説明する説明図。
【図14】プッシャー先端のヘッド部と窓孔との位置関係を説明する説明図。
【図15】プッシャー先端のヘッド部と窓孔との位置関係を説明する説明図。
【図16】ヘッド部の窓孔に対する通過間隔を説明する説明図。
【図17】(a)は窓孔に対する通過間隔が広いヘッド部をプッシャーに装着した状態の側面図、(b)は窓孔に対する通過間隔が狭いいヘッド部をプッシャーに装着した状態の側面図。
【図18】窓孔と同窓孔に取り付ける通過間隔変更パネルの斜視図。
【符号の説明】
【0024】
14…ショーウィンドウ、15…景品収容部、17…窓孔、25…移動体としてのプッシャーユニット、22…移動体駆動手段としての縦レール用モータ、36…プッシャー、P…景品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の景品をショーウィンドウの奥に陳列収容するとともに、各景品と対面するショーウィンドウの一部に窓孔が形成された景品収容部と、前記ショーウィンドウと所定間隔を離間した前方位置であって同ショーウィンドウ方向に対して進退可能なプッシャーと、同プッシャーを進退させるプッシャー駆動手段とを備えるとともに同ショーウィンドウ面と一定間隔を維持しながら移動可能な移動体と、同移動体を移動させる移動体駆動手段とを備え、
プレーヤの操作に基づいて前記移動体を原点からまず第1の移動方向に移動させ、次いで同第1の移動方向と交叉する第2の移動方向に移動させて、前記プッシャーを前記ショーウィンドウの任意の前記窓孔の前方位置に停止配置させた後、同プッシャーを同窓孔から前記景品収容部内に進出させることで景品を陳列位置から落下させて獲得することを目的とする景品獲得ゲーム機において、
前記プッシャーは幅広長尺の板状体から構成され、前記移動体の第1の移動方向を同プッシャーの幅方向とし、第2の移動方向を厚み方向とする一方、同プッシャーが通過する前記窓孔をスリット状に形成し、前記窓孔に対する前記プッシャー側の第1の移動方向における最小通過間隔を前記プッシャー側の第2の移動方向における最小通過間隔よりも広く設定したことを特徴とする景品獲得ゲーム機。
【請求項2】
前記プッシャーの先端には前記窓孔に対する同プッシャーの通過間隔を変更するためのアダプターが着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項3】
前記窓孔には前記プッシャーとの間の通過間隔を変更するためのアダプターが着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の景品獲得ゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−54796(P2008−54796A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233192(P2006−233192)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000207702)大平技研工業株式会社 (7)