景品獲得ゲーム機
【課題】 プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせない構成とし、飽きずに繰り返し楽しむことができる新規な景品獲得ゲーム機を提供する。
【解決手段】 景品獲得ゲーム機1は、前方を遮る壁板6に備わった窓穴5を楕円形状とし、X方向とY方向に移動する押出し機4に備わってZ方向に移動する棒状部材3の先端部を円形とし、棒状部材3の先端部の外径寸法を窓穴5の短辺側の内径寸法よりも小さく設定する。
【解決手段】 景品獲得ゲーム機1は、前方を遮る壁板6に備わった窓穴5を楕円形状とし、X方向とY方向に移動する押出し機4に備わってZ方向に移動する棒状部材3の先端部を円形とし、棒状部材3の先端部の外径寸法を窓穴5の短辺側の内径寸法よりも小さく設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーが操作スイッチを操作し、押出し機によって陳列棚の景品を押し出すことで景品を取得できる景品獲得ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手前から順に、操作スイッチ、前後(Z)に動く横長で薄い平板を備えた押出し機、横長でスリット形状の窓穴を有し前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配された構成で、硬貨を入れて、プレイヤーが、手前の操作スイッチを操作することで、制御回路が景品の押出し機を左右(X)及び上下(Y)に動かして、透明なアクリル材質の壁板に形成された横長でスリット形状の窓穴と前記平板とを位置合わせした後、前記平板を前方(Z)に動かすことで、前記窓穴を通過させて陳列棚の景品を押し出した場合に景品を取得できる景品獲得ゲーム機が知られている(特許文献1,2)。
また、手前から順に、操作スイッチ、時計回り(又は反時計回り)に回動してから前後(Z)に動く棒状部材の前面に取り付けられた鍵付き円盤を備えた押出し機、前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配された景品獲得ゲーム機であって、硬貨を入れて、プレイヤーが、手前の操作スイッチを操作することで、制御回路が景品の押出し機を左右(X)及び上下(Y)に動かして、透明なアクリル材質の壁板に形成された鍵穴付き円盤形状の窓穴に位置合わせした後、前記鍵付き円盤を前方(Z)に動かすことで、前記窓穴を通過させて陳列棚の景品を押し出した場合に景品を取得できる景品獲得ゲーム機が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54796号公報
【特許文献2】特開2008−12157号公報
【特許文献3】特開2005−204718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の景品獲得ゲーム機は、押出し機に付設された横長の薄い平板と壁板に形成されたスリット形状の窓穴を位置合わせする構成(特許文献1,2)、又は押出し機に付設された棒状部材の前面に取り付けられた鍵付き円盤と壁板に形成された鍵穴付き円盤形状の窓穴を位置合わせする構成(特許文献3)であり、複数ある操作ボタンのうち最初の操作ボタンの操作を誤ると押出し機に付設された薄い平板又は鍵付き円盤と壁板に形成された窓穴との位置がずれたことが明白となる。このため、二番目の操作ボタンを操作する前に結果が判明してしまい、ゲームに対する興趣が薄れて進行がつまらなくなってしまうとともに、プレイヤーからみてゲームの難易度が高く感じられ、その結果、ゲームが飽きられ易いという問題点を有する。
また、従来の景品獲得ゲーム機では、押出し機に付設された薄い平板又は鍵付き円盤はその厚みが薄く強度が弱いため、壁板に衝突した場合に、変形し易く、当該平板又は鍵付き円盤が変形した場合には、ゲーム機として正常に機能しなくなるという耐久性上の問題点や、壁板に形成されたスリット形状の窓穴や鍵穴付き円盤形状の窓穴は、前記平板又は鍵付き円盤が壁板に衝突することで、前記スリット形状の角部や鍵穴形状の角部に亀裂が入り易いという耐久性上の問題点がある。
【0005】
上述した従来技術の問題点に鑑みて、本願発明者は、飽きずに繰り返し楽しむことができる新規な景品獲得ゲーム機が出来ないかと鋭意研究を重ね、上述の問題点を解消する新しい景品獲得ゲーム機を着想するに至った。
【0006】
本発明の目的は、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせない構成とし、飽きずに繰り返し楽しむことができる新規な景品獲得ゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の景品獲得ゲーム機は、手前から順に、操作スイッチ、前後(Z)に動く棒状部材を備えた押出し機、窓穴を有し前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配され、プレイヤーが前記操作スイッチを操作することで前記押出し機がX方向とY方向に移動して前記棒状部材がZ方向に移動し、その結果、前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出した場合に前記景品を取得できる構成とされ、
前記窓穴を楕円形状とし、前記窓穴側から見て前記棒状部材の先端部を円形とし、前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくすることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記窓穴を楕円形状として前記棒状部材の先端部を円形とし、かつ、前記窓穴側(陳列棚の側)から見て前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくしているので、従来の横長の薄い平板とスリット形状の窓穴との組み合わせや鍵付き円盤と鍵穴付き円盤形状の窓穴との組み合わせと比較するまでもなく、プレイヤーから見て明らかにゲームの難易度を低く感じさせる組み合わせといえる。
例えば、前記窓穴を横長の楕円形状とした場合には、最初の操作ボタンで前記押出し機をX方向に移動させた後、二番目の操作ボタンで前記押出し機をY方向に移動させるので、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、X方向の位置ずれの許容範囲はY方向の位置ずれの許容範囲よりも大きいことから、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことへの期待感があるので、興趣が維持できる。また例えば、前記窓穴を縦長の楕円形状とした場合には、最初の操作ボタンで前記押出し機をY方向に移動させた後、二番目の操作ボタンで前記押出し機をX方向に移動させるので、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、Y方向の位置ずれの許容範囲はX方向の位置ずれの許容範囲よりも大きいことから、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことへの期待感があるので、興趣が維持できる。
さらに、前記円形状の棒状部材は、従来の薄い平板や鍵付き円盤と比べてその形状から堅牢で変形し難く、かつ、前記壁板に形成された楕円形状の窓穴は、従来のスリット形状の窓穴や鍵穴付き円盤形状の窓穴と比べて角部が大きなR形状となっており亀裂が入り難い形状であるから、高い耐久性が得られる。
【0009】
本発明は、前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定し、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定することで、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、Y方向の位置ずれの許容範囲がX方向の位置ずれの許容範囲よりも十分大きくなる。そして、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することで、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことが十分に可能である。よって、プレイヤーの興趣をより高められる。
【0011】
本発明では、前記景品がよく見えるように前記壁板が透明な素材からなることが好ましい。前記壁板の素材としてはアクリル、ポリカーボネート、ガラス等が挙げられる。前記壁板に形成された窓穴は、手前側から見てストレート加工としてもよいが、前記窓穴の外周に奥に向かって穴径が小さくなるテーパー加工とするか、前記窓穴の外周に段差を形成するか、前記窓穴の外周に細かい凹凸をつけ不透明にすることが好ましい。これらの加工を施すことで、前記窓穴を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせない。
【0012】
本発明は、前記押出し機をX方向に移動させる第1のモータと、前記押出し機をY方向に移動させる第2のモータと、前記棒状部材をZ方向に移動させる第3のモータと、これらを制御する制御回路が備わっており、前記制御回路が前記第1から第3のモータの動作を独立制御することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記制御回路が前記第1から第3のモータの動作を独立制御することで、前記制御回路が前記操作スイッチからの信号に連動して前記第1から第3のモータを順番に動作させることの他、前記第1、第2、第3のモータをそれぞれ別個に動作させることや、前記第1と第2のモータを同期させて動作させることが容易である。
【0014】
本発明は、前記モータにはそれぞれロータリーエンコーダが備わっており、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算することで前記棒状部材先端部の正確な座標位置をデータとして把握することができ、蓄積手段にデータ蓄積することで景品獲得ゲーム機の管理に必要な情報をデータベースとして構築できる。より具体的には、前記棒状部材先端部と前記窓穴との位置関係から、前記景品の陳列位置ごとのゲームにトライした回数が把握でき、ゲームした回数と前記景品の陳列位置ごとの前記景品の獲得回数の関係が把握できる。
【0016】
本発明は、前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかないしは全てに少なくとも1回位置合わせすることで前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が前記窓穴の座標を示すデータを前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前記制御回路が前記窓穴の座標を示すデータを前記蓄積手段にデータ蓄積することで前記棒状部材先端部と前記窓穴との位置関係を正確に把握することができる。
【0018】
本発明は、最初のゲーム開始前に、前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかに位置合わせし、前記制御回路にm行,n列(m,nは自然数)の前記窓穴の座標を示すデータW(Xm,Yn)を演算処理させて前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする。
ここで、最初のゲーム開始前とは、前記ゲーム機が設置された後の最初のゲーム開始前、前記ゲーム機がレイアウト変更された後の最初のゲーム開始前、又は前記ゲーム機が修理された後の最初のゲーム開始前を指している。
【0019】
前記景品獲得ゲーム機は、製造工場にて製造され、ゲームセンター、温浴場、ショッピングモール等の施設に輸送、搬入、設置される。輸送、搬入、設置の際に前記ゲーム機には各種の振動や衝撃が加わり、前記壁板に配された前記各窓穴の座標と、前記押出し機に備わった前記棒状部材先端部の原点との位置関係は、基準(例えば工場出荷時の状態)に対して、数ミリないし数センチ程度ずれる。また、景品入れ替えの際には前記陳列棚のレイアウトが変更されることがあり、前記陳列棚のレイアウトに応じて前記窓穴の寸法形状や配置が異なる壁板を配置することとなる。そして、前記壁板や前記棒状部材等の構成部材の修理交換等を行った際には、前記各窓穴の座標と前記棒状部材先端部の原点との位置関係が基準からずれてしまう。
本発明では、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段にデータ蓄積する構成であり、最初のゲーム開始前に前記棒状部材先端部の出発点を原点i(0,0)として前記蓄積手段にデータ蓄積しておき、次に、前記制御回路からの指令によって前記モータを動かして前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかの座標に位置合わせしてm行,n列(m,nは自然数)の前記窓穴の座標を示すデータW(Xm,Yn)を前記制御回路に演算処理させて前記蓄積手段にデータ蓄積する。前記壁板に備わった窓穴の配列位置が予め判っていれば前記制御回路の演算処理によって前記窓穴の全ての座標を示すデータが得られる。例えば前記窓穴が等間隔でマトリックス状に配置されている場合には、横に並んだ幾つかの前記窓穴と縦に並んだ幾つかの前記窓穴の座標を確認することで、前記窓穴の配列の規則性から前記窓穴の全ての座標を示すデータを得ることが容易である。
本発明によれば、前記制御回路が前記壁板に配された前記各窓穴のそれぞれの座標と、前記押出し機に備わった前記棒状部材先端部の原点との位置関係を計測学習するため、前記各窓穴と前記棒状部材先端部との位置関係が正確に把握でき、精度の高い位置制御ができる。
【0020】
本発明は、前記棒状部材の左側と右側にはZ方向の溝部が形成され、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、前記棒状部材の左側と右側にZ方向の溝部を形成し、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることによって、前記棒状部材を左右にぶれさせることなく正確なストロークで真っ直ぐZ方向に前進後退させることができる。
【0022】
本発明は、前記第3のモータが載置されたスライド板をZ方向に移動可能に前記押出し機内のスライドレールに取り付けるとともに、前記スライド板の後退を抑制するバネ部材を前記押出し機内の壁面に取り付け、かつ、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサを前記押出し機内に配することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、例えば前記棒状部材が前記壁板に当接した場合に、前記第3のモータが載置されたスライド板が後退することで前記第3のモータとギヤ接続された前記棒状部材が後退し、前記バネ部材のバネ荷重を超える過度な力で前記壁板を押すことがなく、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサからの検出信号を受けた前記制御回路によって前記第3のモータが速やかに停止する。また例えば前記棒状部材が前記景品に当接した場合に、前記バネ部材の働きによってバネ荷重を超えない適度な力で前記景品を押すこととなり、前記景品を痛める心配がない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記窓穴を楕円形状として前記棒状部材の先端部を円形とし、かつ、前記窓穴側(陳列棚の側)から見て前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくしているので、プレイヤーからゲームの難易度を低く感じさせる。
本発明によれば、前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定することで、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、Y方向の位置ずれの許容範囲がX方向の位置ずれの許容範囲よりも十分大きくなる。そして、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することで、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことが十分に可能である。よって、プレイヤーの興趣をより高められる。
【0025】
本発明によれば、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算することで前記棒状部材先端部の正確な座標位置をデータとして把握することができ、蓄積手段にデータ蓄積することで景品獲得ゲーム機の管理に必要な情報をデータベースとして構築できる。
本発明によれば、前記壁板に配された前記各窓穴のそれぞれの座標と、前記押出し機に備わった前記棒状部材先端部の原点との位置関係を計測学習するため、前記各窓穴と前記棒状部材先端部との位置関係が正確に把握でき、精度の高い位置制御ができる。
【0026】
本発明によれば、前記棒状部材の左側と右側にZ方向の溝部を形成し、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることによって、前記棒状部材を左右にぶれることなく正確なストロークで真っ直ぐZ方向に前進後退させることができる。
本発明によれば、例えば前記棒状部材が前記壁板に当接した場合に、前記第3のモータが載置されたスライド板が後退することで前記第3のモータとギヤ接続された前記棒状部材が後退し、前記バネ部材のバネ荷重を超える過度な力で前記壁板を押すことがなく、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサからの検出信号を受けた前記制御回路によって前記第3のモータが速やかに停止する。また例えば前記棒状部材が前記景品に当接した場合に、前記バネ部材の働きによってバネ荷重を超えない適度な力で前記景品を押すこととなり、前記景品を痛める心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図である。
【図2】上記ゲーム機の要部を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図3】上記ゲーム機の押出し機の配置構成を示す正面図である。
【図4】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の押出し機を例示する側面図である。
【図5】上記ゲーム機の押出し機を示す平面図である。
【図6】上記ゲーム機の押出し機を示す底面図である。
【図7】上記ゲーム機の押出し機を示す正面図である。
【図8】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の棒状部材と窓穴との関係を例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。
【図9】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の棒状部材と窓穴との関係を例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。
【図10】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の棒状部材と窓穴との関係を例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。
【図11】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の制御機構を示すブロック図である。
【図12】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の座標データ取得手順を示すフローチャート図である。
【図13】本発明を適用した景品獲得ゲーム機のゲーム進行手順を例示するフローチャート図である。
【図14】本発明を適用した景品獲得ゲーム機のゲーム進行手順を例示するフローチャート図である。
【図15】本発明を適用した第2の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明の第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図を図1に示す。本実施形態の景品獲得ゲーム機は、2人で別個にゲームができる2人用のゲーム機1であり、正面から見て筐体101の左と右とに線対称で同様のゲーム機構が配されている(図1、図2)。本実施形態の景品獲得ゲーム機1は、プレイヤーがゲーム機1の正面側と向かい合って立って筐体101の正面側に突出して配された硬貨カウンタ102に所定金額の硬貨を投入し、操作スイッチ(操作ボタン)21,22を操作し、景品獲得ゲームを行う装置である。本実施形態の景品獲得ゲーム機1は、手前から順に、操作スイッチ21,22、前後(Z)に動く棒状部材3を備えた押出し機4、複数配列された窓穴5を有し前方を遮る壁板6、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品105を陳列する陳列棚104が配されている。
【0029】
本実施形態では、プレイヤーが操作ボタン21を押すことで押出し機4がX方向(左側の機構はXa方向、右側の機構はXb方向)に移動し、操作ボタン21から手を離すと押出し機4が停止する。次に、プレイヤーが操作ボタン22を押すことで押出し機4がYa方向に移動し、操作ボタン22から手を離すと押出し機4が停止し、引き続き棒状部材3がZ方向に移動して、その結果、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通して景品105を陳列棚104の後方に押し出した場合に景品105が落下しシュータを経由して景品取り出し口103に搬送され景品105を取得できる構成となっている(図1)。
【0030】
図2(a)は景品獲得ゲーム機1の要部を透視した正面図であり、図2(b)はゲーム機1の要部を透視した側面図である。本実施形態では、壁板6は透明なアクリル製であり、楕円形状の窓穴5が景品105の正面側に配されるようにマトリックス状に配されている(図2(a))。
また景品105や中の様子が見やすいように、ゲーム機1の正面側や側面側は透明な材質の大きな窓ガラス(又はアクリル)が配されている。本実施形態では、窓穴5が所定間隔で、m行,n列(m,nは自然数)で配されており、例えば図2(a)では4行,4列の場合を示している。
【0031】
図3は上記ゲーム機1の押出し機4の配置構成を示す正面図である。本実施形態では、押出し機4は、水平に配されたガイドレール111に沿ってX方向(左右方向)に移動し、垂直に配されたガイドレール112に沿ってY方向(上下方向)に移動する。ガイドレール111,112は、壁板6と平行に配されているので、棒状部材3の先端部は窓穴5に直角に進入することとなる。
【0032】
押出し機4は第1のモータM1によってX方向に移動し、第2のモータM2によってY方向に移動する。そして棒状部材3は第3のモータM3によってZ方向に移動する。モータM1,M2,M3は、ギヤモータ、サーボモータ、パルスモータ、ステッピングモータ、シンクロナスモータ等の各種モータが適用される。本実施形態では静音で高速移動が容易なギヤモータが好ましい。モータM1,M2,M3にはそれぞれ対応するロータリーエンコーダe1,e2,e3が備わっている。ロータリーエンコーダe1はモータM1の回転数から押出し機4のX方向の原点からの移動距離を算出するためのものであり、ロータリーエンコーダe2はモータM2の回転数から押出し機4のY方向の原点からの移動距離を算出するためのものであり、ロータリーエンコーダe3はモータM3の回転数から棒状部材3のZ方向の原点からの移動距離を算出するためのものである。つまり、ロータリーエンコーダe1,e2,e3からの信号を受けて制御回路(コンピュータ)9が、演算処理によって棒状部材3のX,Y,Zの座標を求めることができる(図12を参照)。本実施形態では制御回路9はゲーム機1に内蔵されているが、これに限定されるものではなく、例えば、制御に必要な機能のみをゲーム機1に内蔵し、必要に応じてコンピュータを外部接続して制御に必要なプログラム92等を外部から入力する方式としてもよい。
【0033】
ガイドレール111と112との交点(図3では右下の角)は、押出し機4のX方向(横方向)及びY方向(縦方向)の原点となる。ガイドレール111には横移動の原点を検知するホームポジションセンサK11が配され、ガイドレール112には縦移動の原点を検知するホームポジションセンサK21が配されている(図3)。また、ガイドレール111には押出し機4の横移動の限界地点を検知するリミットポジションセンサK12が配されており、また、ガイドレール112には押出し機4の縦移動の限界地点を検知するリミットポジションセンサK22が配されている(図3)。つまり、センサK11とK12からの信号を受けて制御回路9がモータM1の動作を制御して押出し機4のX方向の移動範囲を規制し、センサK21,K22からの信号を受けて制御回路9がモータM2の動作を制御して押出し機4のY方向の移動範囲を規制する。これらセンサK11,K12,K21,K22は、非接触式の赤外線センサや光センサが好ましいが、機械式スイッチでも代用できる。
【0034】
図4は上記ゲーム機1の押出し機4の要部を透視した側面図であり、図5は押出し機4の要部を透視した平面図であり、図6は押出し機4の要部を透視した底面図であり、図7は押出し機4の要部を透視した正面図である。
本実施形態の棒状部材3は、概ね円柱形状を呈しており、円柱部32の先端(Za方向の先端)に台形円柱の広いほうの面を先端面としたターゲットブロック31が取り付けられている(図4)。棒状部材3の外径寸法のうち最大寸法は、ターゲットブロック31の先端面(Za方向の先端)の外径寸法3Hとなるよう設定される。円柱部32の材質は、アルミ、鉄等の金属や、強化プラスチックが用いられるが、軽量で高強度であることからアルミニウムが好ましい。ターゲットブロック31の材質は、金属やプラスチックが適用可能であるが、壁板6や景品105にダメージを加えない観点からはプラスチックが好ましく、例えばABS、ポリアセタール、ポリカーボネート、フッ素樹脂等の軟質材料が好ましい。
【0035】
本実施形態では、ターゲットブロック31は、ネジ等の固定手段によって円柱部32の先端に着脱可能に取り付けられている。これによって、ターゲットブロック31を交換することで棒状部材3の先端部の外径寸法3Hを変更することができ、また、壁板6や景品105に当接することで消耗したターゲットブロック31を交換することが容易となる。
【0036】
本実施形態では、棒状部材3の左側と右側にはそれぞれZ方向に向けた溝部33が形成されており、かつ、2つのガイド部材43が棒状部材3の左右両側で押出し機4の上面側に配され、ガイド部材43に備わった複数のガイドローラ431が回転容易に溝部33に当接することで、棒状部材3をZ方向に動き易くするとともに、ガイドローラ431が左右のぶれがないように棒状部材3を支えている(図7)。本実施例では、2つのガイド部材43にはそれぞれ所定間隔で2つのガイドローラ431が備わっている。また、棒状部材3の円柱部32の下面にはZ方向に向けたラックギヤR33が配設されており(図6)、当該ラックギヤR33と、押出し機4に内蔵された第3のモータM3とが、ギヤ接続されている。つまり、第3のモータM3がギヤヘッドM31に接続され、ギヤヘッドM31に取り付けられたギヤM33がラックギヤR33に接続されている(図4)。
本実施形態の構成によって、棒状部材3を左右にぶれさせることなく正確なストロークで真っ直ぐZ方向に前進後退させることができる。
【0037】
本実施形態では、ギヤM33と同軸でスリット付き円盤M34が取り付けられており、スリット付き円盤M34のスリットの通過をカウントするセンサK31を組み合わせて第3のモータM3のロータリーエンコーダe3を構成している(図4)。
【0038】
本実施形態では、第3のモータM3はギヤヘッドM31を介してスライド板M32に載置されており(図4)、当該スライド板M32はZ方向に移動可能に押出し機4内のスライドレール42に取り付けられている(図6)。本実施形態では、2つのスライドレール42がスライド板M32の左右両側で押出し機4の底面側に配され、スライドレール42の内側の側面にはそれぞれZ方向に向けた溝部423が形成されており、かつ、スライド板M32の左側と右側にはそれぞれ複数のガイドローラ421が備わっており、当該ガイドローラ431が回転容易に溝部423に当接することで、スライド板M32をZ方向に動き易くするとともに、ガイドローラ431が左右のぶれがないようにスライド板M32を支えている(図7)。本実施例では、2つのスライドレール42にはそれぞれ所定間隔で2つのガイドローラ421が備わっている。
【0039】
本実施形態では、スライド板M32の後退を抑制するバネ部材B1が押出し機4内の壁面に取り付けてられており、かつ、スライド板M32のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサK32が押出し機4内に配されている(図4)。つまり、本実施形態では引っ張りバネB1を押出し機4内の前方側の内壁面とスライド板M32の前面側とに取り付けておき、スライド板M32の後方側の下方に突出させた板(ドグ)M321が位置検出センサK32の検出領域に入るとセンサK32からの検出信号を受けた制御回路9がスライド板M32のZ方向の後退限界位置であると判定し、第3のモータM3を停止させる。バネ部材B1は、スライド板M32の後退を抑制する機能を有していればよく、引っ張りバネには限られず、押圧バネ、ゴムや易変形性樹脂等の弾性部材でもよい。
【0040】
本実施形態によれば、例えば棒状部材3が壁板6に当接した場合に、棒状部材3とギヤ接続された第3のモータM3が載置されたスライド板K32が押出し機4内で後退するので、バネ部材B1のバネ荷重を超える過度な力で壁板6を押すことがなく、スライド板K32のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサK32からの検出信号を受けた制御回路9によって第3のモータM3が速やかに停止する。また例えば棒状部材3が景品105に当接した場合に、バネ部材B1の働きによってバネ荷重を超えない適度な力で景品105を押すこととなり、景品105を痛める心配がない。
【0041】
本実施形態では、押出し機4内の上方の前方側には棒状部材3の前後移動の原点を検知するホームポジションセンサK33が配され、押出し機4内の上方の後方側には棒状部材3の前進移動の限界位置を検知するリミットポジションセンサK34が配されている(図4)。ホームポジションセンサK33は棒状部材3が原点復帰したことを検知するためのセンサであり、リミットポジションセンサK34は棒状部材3が景品105を押出すときの前進移動の限界位置を検知するためのセンサである。これらセンサK33,K34は、非接触式の赤外線センサや光センサが好ましいが、機械式スイッチでも代用できる。
【0042】
本実施形態における棒状部材3と窓穴5との関係を図8から図10に例示する。ここで図8(a)から図10(a)は正面図であり、図8(b)から図10(b)はそれぞれの場合のA−A線断面図である。
本実施形態では、壁板6に所定間隔で配された窓穴5の形状は長楕円形状であり、棒状部材3の先端部の形状は円形状である。そして、窓穴5の短辺側の内径寸法を符号5H、窓穴5の長辺側の内径寸法を符号5Lとし、棒状部材3の先端部の外径寸法を符号3Hとすると、棒状部材3の先端部の外径寸法3Hは、窓穴5の短辺側の内径寸法5Hよりも小さく設定される(図8から図10)。
本実施形態では、長楕円形状の窓穴5とこれよりも寸法が小さい円形状の棒状部材3の先端部との組み合わせであるから、プレイヤーから見て明らかにゲームの難易度を低く感じさせる組み合わせといえる。そして、窓部5の角部が大きなR形状となっており亀裂が入り難い形状であるから、高い耐久性が得られる。
【0043】
本実施形態では、窓穴5の長辺側の内径寸法5Lを窓穴5の短辺側の内径寸法5Hの1.5倍以上大きく設定している。また、棒状部材3の先端部の外径寸法3Hを窓穴5の短辺側の内径寸法5Hよりも1mm以上小さく設定している。より具体的には、例えば窓穴5の長辺側の内径寸法5Lを30mmから50mmの範囲内とし、窓穴5の短辺側の内径寸法5Hから棒状部材3の先端部の外径寸法3Hを引いた値(5H−3H)を1.5mmから2.5mmの範囲内とすることが好ましい。プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0044】
本実施形態では、例えば、壁板6に形成された窓穴5は、手前側から見てストレート加工としてもよく(図8)、窓穴5の外周に奥に向かって穴径が小さくなるテーパー521を施したテーパー加工としてもよく(図9)、窓穴5の外周に段差521を形成するか、さらに窓穴5の外周の段差521に細かい凹凸をつけ不透明にしてもよい(図10)。これらの加工を施すことで、窓穴5を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0045】
本実施形態では、例えば、棒状部材3は、真っ直ぐな円柱形状としてもよく(図8)、棒状部材3の先端(Za方向の先端)に台形円柱の広いほうの面を先端面としたターゲットブロックを取り付けてもよく(図9)、棒状部材3の左右の側面を削ぎ落とした面取り加工を施してもよい(図10)。これらの加工を施すことで、棒状部材3の先端部を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0046】
図12は、本実施形態の景品獲得ゲーム機1の座標データ取得手順を示すフローチャート図であり、棒状部材3の原点データを取得するステップS1と、窓穴5の座標データを取得するステップS2とからなる。
本実施形態では、景品獲得ゲーム機1の設置後や、壁板6並びに棒状部材3等の構成部材の入れ替え等を行った際には、景品獲得ゲーム機1の座標データ取得を行う。つまり、図11に示すように、ロータリーエンコーダe1,e2,e3からの信号を受けた制御回路9が演算手段によって棒状部材3の先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段(データベース)95にデータ蓄積する構成であり、最初のゲーム開始前に棒状部材3の先端部の出発点を原点i(0,0)として蓄積手段95にデータ蓄積しておき(ステップS1)、次に、制御回路9からの指令によってモータM1,M2,M3を動かして棒状部材3の先端部を窓穴5の幾つかの座標に位置合わせしてm行,n列(m,nは自然数)の窓穴5の座標を示すデータW(Xm,Yn)を制御回路9に演算処理させて蓄積手段95にデータ蓄積する(ステップS2)。
本実施形態では、壁板6に備わった窓穴5の配列位置が予め判っているので制御回路9の演算処理によって窓穴5の全ての座標を示すデータが得られる。例えば窓穴5が等間隔でマトリックス状に配置されているときには、横に並んだ幾つかの窓穴5と縦に並んだ幾つかの窓穴5の座標を確認することで、窓穴5の配列の規則性から窓穴5の全ての座標を示すデータを得ることが容易である。
【0047】
本実施形態によれば、制御回路9が壁板6に配された各窓穴5のそれぞれの座標と、押出し機4に備わった棒状部材3の先端部の原点との位置関係を計測学習するため、各窓穴5と棒状部材3の先端部との位置関係が正確に把握でき、精度の高い位置制御ができる。
【0048】
本実施形態の景品獲得ゲーム機1のゲーム進行手順を、図13に例示するフローチャート図に沿って以下に説明する。最初にプレイヤーが硬貨カウンタ102に所定金額の硬貨を投入すると、硬貨カウンタ102が硬貨の峻別と投入硬貨をカウントし(ステップS3)、カウントした金額からゲーム可能な回数を算出して表示画面にプレイ回数を表示し(ステップS4)、スピーカ107からBGMや音声にて合図をする。
【0049】
次に、押出し機4をX方向に移動させるための操作ボタン21が点灯(または点滅)するので、プレイヤーは好みの景品105を狙って操作ボタン21を押すことで押出し機4がX方向(左側の機構はXa方向、右側の機構はXb方向)に移動させ、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4を停止させる(ステップS5)。押出し機4がX方向に移動して停止すると次に、押出し機4をY方向に移動させるための操作ボタン22が点灯(または点滅)するので、プレイヤーは好みの景品105を狙って操作ボタン22を押すことで押出し機4がYa方向に移動させ、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4を停止させ(ステップS6)、押出し機4がYa方向に移動して停止すると、引き続き棒状部材3がZ方向に移動する(ステップS9)。そして、棒状部材3がZ方向に移動した結果、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通して景品105を陳列棚104の後方に押し出した場合には景品105が落下しシュータを経由して景品取り出し口103に搬送され、景品105が取得できる。いっぽう、棒状部材3の先端部が壁板6に当接した場合には棒状部材3とギヤ接続された第3のモータM3が載置されたスライド板K32が押出し機4内で後退し、制御回路9によって第3のモータM3が速やかに停止する。なお、操作ボタン21,22の可動時間は、タイマー99によって時間制限してもよい。
【0050】
そして、制御回路9からの指令によってモータM3,M2,M1が動作し、押出し機4(棒状部材3)が原点復帰する(ステップS11)。押出し機4が原点復帰すると、ホームポジションセンサK11,K21,K33から検知信号が制御回路9に送出され、これらのセンサからの検知信号を受けた制御回路9が、上述のプレイ回数を1つ減算し、ゲーム終了か否かを判定する(ステップS12)。つまり、プレイ回数の減算結果が0(Yes)であるならばゲーム終了となり、プレイ回数の減算結果が1以上(No)であるならば再度プレイ回数の表示(ステップS4)工程からゲームを繰り返す。
【0051】
図14は、上記実施形態の景品獲得ゲーム機1のゲーム進行手順の他の例を示すフローチャート図である。以下、同じステップ符号については同一内容であるのでその説明を省略しつつ、本実施形態の景品獲得ゲーム機1のゲーム進行手順を、図14に例示するフローチャート図に沿って以下に説明する。
【0052】
プレイヤーが操作ボタン21を押すと押出し機4がX方向(左側の機構はXa方向、右側の機構はXb方向)に移動し、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4が停止する(ステップS5)。次に、プレイヤーが操作ボタン22を押すことで押出し機4がYa方向に移動し、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4が停止する(ステップS6)。押出し機4がYa方向に移動して停止すると、ロータリーエンコーダe1,e2からの信号を受けた制御回路9が演算手段によって棒状部材3の先端部の座標を示すデータを演算し、得られた座標データi(Xd, Yd)と、予め蓄積手段(データベース)95にデータ蓄積されたm行,n列の窓穴5の座標を示すデータW(Xm,Yn)とをデータ比較して、棒状部材3の先端部と窓穴5との相対位置を算出し(ステップS7)、制御回路9がG/NG判定をする(ステップS8)。ここでのG/NG判定とは、つまり、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通しないことが明らかな場合と、ペイアウト率が設定値を越えている場合(採算が合う場合)のいずれかないし両方の場合にはG判定となり、引き続き棒状部材3がZ方向に移動する(ステップS9)。いっぽう、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通することが明らかな場合、かつ、ペイアウト率が設定値以下の場合(採算が合わない場合)にはNG判定となり、制御回路9がモータM1,M2に指令をだして棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通しない程度にX方向やY方向にずらしながら引き続き棒状部材3がZ方向に移動する(ステップS9)。
そして、棒状部材3がZ方向に移動した結果、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通して景品105を陳列棚104の後方に押し出した場合には景品105が落下しカウントセンサによって景品取得回数をカウントし(ステップS10)、シュータを経由して景品取り出し口103に搬送され、景品105が取得できる。いっぽう、棒状部材3の先端部が壁板6に当接した場合には棒状部材3とギヤ接続された第3のモータM3が載置されたスライド板K32が押出し機4内で後退し、制御回路9によって第3のモータM3が速やかに停止する。以下、ステップS11とS12については上述のとおりである。
【0053】
(本発明の第2の実施形態)
本発明を適用した第2の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図を図15に示す。本実施形態の景品獲得ゲーム機は、1人用のゲーム機1であり、窓穴5の配置数が第1の実施形態の2倍となっている。そして、窓穴5の外周に段差521が形成され、さらに窓穴5の外周の段差521に細かい凹凸をつけ不透明にしている(図10を参照)。これらの加工を施すことで、窓穴5を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0054】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、窓穴は縦長楕円形状としてもよく、斜め方向の楕円形状であってもよい。棒状部材3は伸縮動作する棒状部材とすることも可能である。操作スイッチは操作ボタンに限られず、ジョイステックやマウスでもよい。楕円形状の窓穴は不揃いな大きさや不規則な配列とすることも可能である。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 景品獲得ゲーム機、
101 筐体、
102 硬貨カウンタ、
104 陳列棚、
21,22 操作スイッチ(操作ボタン)、
3 棒状部材、
4 押出し機、
5 窓穴、
6 壁板、
M1,M2,M3 モータ、
e1,e2,e3 ロータリーエンコーダ、
9 制御回路(コンピュータ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーが操作スイッチを操作し、押出し機によって陳列棚の景品を押し出すことで景品を取得できる景品獲得ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手前から順に、操作スイッチ、前後(Z)に動く横長で薄い平板を備えた押出し機、横長でスリット形状の窓穴を有し前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配された構成で、硬貨を入れて、プレイヤーが、手前の操作スイッチを操作することで、制御回路が景品の押出し機を左右(X)及び上下(Y)に動かして、透明なアクリル材質の壁板に形成された横長でスリット形状の窓穴と前記平板とを位置合わせした後、前記平板を前方(Z)に動かすことで、前記窓穴を通過させて陳列棚の景品を押し出した場合に景品を取得できる景品獲得ゲーム機が知られている(特許文献1,2)。
また、手前から順に、操作スイッチ、時計回り(又は反時計回り)に回動してから前後(Z)に動く棒状部材の前面に取り付けられた鍵付き円盤を備えた押出し機、前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配された景品獲得ゲーム機であって、硬貨を入れて、プレイヤーが、手前の操作スイッチを操作することで、制御回路が景品の押出し機を左右(X)及び上下(Y)に動かして、透明なアクリル材質の壁板に形成された鍵穴付き円盤形状の窓穴に位置合わせした後、前記鍵付き円盤を前方(Z)に動かすことで、前記窓穴を通過させて陳列棚の景品を押し出した場合に景品を取得できる景品獲得ゲーム機が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54796号公報
【特許文献2】特開2008−12157号公報
【特許文献3】特開2005−204718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の景品獲得ゲーム機は、押出し機に付設された横長の薄い平板と壁板に形成されたスリット形状の窓穴を位置合わせする構成(特許文献1,2)、又は押出し機に付設された棒状部材の前面に取り付けられた鍵付き円盤と壁板に形成された鍵穴付き円盤形状の窓穴を位置合わせする構成(特許文献3)であり、複数ある操作ボタンのうち最初の操作ボタンの操作を誤ると押出し機に付設された薄い平板又は鍵付き円盤と壁板に形成された窓穴との位置がずれたことが明白となる。このため、二番目の操作ボタンを操作する前に結果が判明してしまい、ゲームに対する興趣が薄れて進行がつまらなくなってしまうとともに、プレイヤーからみてゲームの難易度が高く感じられ、その結果、ゲームが飽きられ易いという問題点を有する。
また、従来の景品獲得ゲーム機では、押出し機に付設された薄い平板又は鍵付き円盤はその厚みが薄く強度が弱いため、壁板に衝突した場合に、変形し易く、当該平板又は鍵付き円盤が変形した場合には、ゲーム機として正常に機能しなくなるという耐久性上の問題点や、壁板に形成されたスリット形状の窓穴や鍵穴付き円盤形状の窓穴は、前記平板又は鍵付き円盤が壁板に衝突することで、前記スリット形状の角部や鍵穴形状の角部に亀裂が入り易いという耐久性上の問題点がある。
【0005】
上述した従来技術の問題点に鑑みて、本願発明者は、飽きずに繰り返し楽しむことができる新規な景品獲得ゲーム機が出来ないかと鋭意研究を重ね、上述の問題点を解消する新しい景品獲得ゲーム機を着想するに至った。
【0006】
本発明の目的は、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせない構成とし、飽きずに繰り返し楽しむことができる新規な景品獲得ゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の景品獲得ゲーム機は、手前から順に、操作スイッチ、前後(Z)に動く棒状部材を備えた押出し機、窓穴を有し前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配され、プレイヤーが前記操作スイッチを操作することで前記押出し機がX方向とY方向に移動して前記棒状部材がZ方向に移動し、その結果、前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出した場合に前記景品を取得できる構成とされ、
前記窓穴を楕円形状とし、前記窓穴側から見て前記棒状部材の先端部を円形とし、前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくすることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記窓穴を楕円形状として前記棒状部材の先端部を円形とし、かつ、前記窓穴側(陳列棚の側)から見て前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくしているので、従来の横長の薄い平板とスリット形状の窓穴との組み合わせや鍵付き円盤と鍵穴付き円盤形状の窓穴との組み合わせと比較するまでもなく、プレイヤーから見て明らかにゲームの難易度を低く感じさせる組み合わせといえる。
例えば、前記窓穴を横長の楕円形状とした場合には、最初の操作ボタンで前記押出し機をX方向に移動させた後、二番目の操作ボタンで前記押出し機をY方向に移動させるので、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、X方向の位置ずれの許容範囲はY方向の位置ずれの許容範囲よりも大きいことから、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことへの期待感があるので、興趣が維持できる。また例えば、前記窓穴を縦長の楕円形状とした場合には、最初の操作ボタンで前記押出し機をY方向に移動させた後、二番目の操作ボタンで前記押出し機をX方向に移動させるので、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、Y方向の位置ずれの許容範囲はX方向の位置ずれの許容範囲よりも大きいことから、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことへの期待感があるので、興趣が維持できる。
さらに、前記円形状の棒状部材は、従来の薄い平板や鍵付き円盤と比べてその形状から堅牢で変形し難く、かつ、前記壁板に形成された楕円形状の窓穴は、従来のスリット形状の窓穴や鍵穴付き円盤形状の窓穴と比べて角部が大きなR形状となっており亀裂が入り難い形状であるから、高い耐久性が得られる。
【0009】
本発明は、前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定し、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定することで、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、Y方向の位置ずれの許容範囲がX方向の位置ずれの許容範囲よりも十分大きくなる。そして、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することで、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことが十分に可能である。よって、プレイヤーの興趣をより高められる。
【0011】
本発明では、前記景品がよく見えるように前記壁板が透明な素材からなることが好ましい。前記壁板の素材としてはアクリル、ポリカーボネート、ガラス等が挙げられる。前記壁板に形成された窓穴は、手前側から見てストレート加工としてもよいが、前記窓穴の外周に奥に向かって穴径が小さくなるテーパー加工とするか、前記窓穴の外周に段差を形成するか、前記窓穴の外周に細かい凹凸をつけ不透明にすることが好ましい。これらの加工を施すことで、前記窓穴を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせない。
【0012】
本発明は、前記押出し機をX方向に移動させる第1のモータと、前記押出し機をY方向に移動させる第2のモータと、前記棒状部材をZ方向に移動させる第3のモータと、これらを制御する制御回路が備わっており、前記制御回路が前記第1から第3のモータの動作を独立制御することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記制御回路が前記第1から第3のモータの動作を独立制御することで、前記制御回路が前記操作スイッチからの信号に連動して前記第1から第3のモータを順番に動作させることの他、前記第1、第2、第3のモータをそれぞれ別個に動作させることや、前記第1と第2のモータを同期させて動作させることが容易である。
【0014】
本発明は、前記モータにはそれぞれロータリーエンコーダが備わっており、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算することで前記棒状部材先端部の正確な座標位置をデータとして把握することができ、蓄積手段にデータ蓄積することで景品獲得ゲーム機の管理に必要な情報をデータベースとして構築できる。より具体的には、前記棒状部材先端部と前記窓穴との位置関係から、前記景品の陳列位置ごとのゲームにトライした回数が把握でき、ゲームした回数と前記景品の陳列位置ごとの前記景品の獲得回数の関係が把握できる。
【0016】
本発明は、前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかないしは全てに少なくとも1回位置合わせすることで前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が前記窓穴の座標を示すデータを前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前記制御回路が前記窓穴の座標を示すデータを前記蓄積手段にデータ蓄積することで前記棒状部材先端部と前記窓穴との位置関係を正確に把握することができる。
【0018】
本発明は、最初のゲーム開始前に、前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかに位置合わせし、前記制御回路にm行,n列(m,nは自然数)の前記窓穴の座標を示すデータW(Xm,Yn)を演算処理させて前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする。
ここで、最初のゲーム開始前とは、前記ゲーム機が設置された後の最初のゲーム開始前、前記ゲーム機がレイアウト変更された後の最初のゲーム開始前、又は前記ゲーム機が修理された後の最初のゲーム開始前を指している。
【0019】
前記景品獲得ゲーム機は、製造工場にて製造され、ゲームセンター、温浴場、ショッピングモール等の施設に輸送、搬入、設置される。輸送、搬入、設置の際に前記ゲーム機には各種の振動や衝撃が加わり、前記壁板に配された前記各窓穴の座標と、前記押出し機に備わった前記棒状部材先端部の原点との位置関係は、基準(例えば工場出荷時の状態)に対して、数ミリないし数センチ程度ずれる。また、景品入れ替えの際には前記陳列棚のレイアウトが変更されることがあり、前記陳列棚のレイアウトに応じて前記窓穴の寸法形状や配置が異なる壁板を配置することとなる。そして、前記壁板や前記棒状部材等の構成部材の修理交換等を行った際には、前記各窓穴の座標と前記棒状部材先端部の原点との位置関係が基準からずれてしまう。
本発明では、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段にデータ蓄積する構成であり、最初のゲーム開始前に前記棒状部材先端部の出発点を原点i(0,0)として前記蓄積手段にデータ蓄積しておき、次に、前記制御回路からの指令によって前記モータを動かして前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかの座標に位置合わせしてm行,n列(m,nは自然数)の前記窓穴の座標を示すデータW(Xm,Yn)を前記制御回路に演算処理させて前記蓄積手段にデータ蓄積する。前記壁板に備わった窓穴の配列位置が予め判っていれば前記制御回路の演算処理によって前記窓穴の全ての座標を示すデータが得られる。例えば前記窓穴が等間隔でマトリックス状に配置されている場合には、横に並んだ幾つかの前記窓穴と縦に並んだ幾つかの前記窓穴の座標を確認することで、前記窓穴の配列の規則性から前記窓穴の全ての座標を示すデータを得ることが容易である。
本発明によれば、前記制御回路が前記壁板に配された前記各窓穴のそれぞれの座標と、前記押出し機に備わった前記棒状部材先端部の原点との位置関係を計測学習するため、前記各窓穴と前記棒状部材先端部との位置関係が正確に把握でき、精度の高い位置制御ができる。
【0020】
本発明は、前記棒状部材の左側と右側にはZ方向の溝部が形成され、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、前記棒状部材の左側と右側にZ方向の溝部を形成し、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることによって、前記棒状部材を左右にぶれさせることなく正確なストロークで真っ直ぐZ方向に前進後退させることができる。
【0022】
本発明は、前記第3のモータが載置されたスライド板をZ方向に移動可能に前記押出し機内のスライドレールに取り付けるとともに、前記スライド板の後退を抑制するバネ部材を前記押出し機内の壁面に取り付け、かつ、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサを前記押出し機内に配することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、例えば前記棒状部材が前記壁板に当接した場合に、前記第3のモータが載置されたスライド板が後退することで前記第3のモータとギヤ接続された前記棒状部材が後退し、前記バネ部材のバネ荷重を超える過度な力で前記壁板を押すことがなく、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサからの検出信号を受けた前記制御回路によって前記第3のモータが速やかに停止する。また例えば前記棒状部材が前記景品に当接した場合に、前記バネ部材の働きによってバネ荷重を超えない適度な力で前記景品を押すこととなり、前記景品を痛める心配がない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記窓穴を楕円形状として前記棒状部材の先端部を円形とし、かつ、前記窓穴側(陳列棚の側)から見て前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくしているので、プレイヤーからゲームの難易度を低く感じさせる。
本発明によれば、前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定することで、プレイヤーが最初の操作ボタンの操作を誤って前記棒状部材の先端部の位置が前記窓穴の中心位置からずれたとしても、Y方向の位置ずれの許容範囲がX方向の位置ずれの許容範囲よりも十分大きくなる。そして、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することで、二番目の操作ボタンの操作如何によっては前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出すことが十分に可能である。よって、プレイヤーの興趣をより高められる。
【0025】
本発明によれば、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算することで前記棒状部材先端部の正確な座標位置をデータとして把握することができ、蓄積手段にデータ蓄積することで景品獲得ゲーム機の管理に必要な情報をデータベースとして構築できる。
本発明によれば、前記壁板に配された前記各窓穴のそれぞれの座標と、前記押出し機に備わった前記棒状部材先端部の原点との位置関係を計測学習するため、前記各窓穴と前記棒状部材先端部との位置関係が正確に把握でき、精度の高い位置制御ができる。
【0026】
本発明によれば、前記棒状部材の左側と右側にZ方向の溝部を形成し、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることによって、前記棒状部材を左右にぶれることなく正確なストロークで真っ直ぐZ方向に前進後退させることができる。
本発明によれば、例えば前記棒状部材が前記壁板に当接した場合に、前記第3のモータが載置されたスライド板が後退することで前記第3のモータとギヤ接続された前記棒状部材が後退し、前記バネ部材のバネ荷重を超える過度な力で前記壁板を押すことがなく、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサからの検出信号を受けた前記制御回路によって前記第3のモータが速やかに停止する。また例えば前記棒状部材が前記景品に当接した場合に、前記バネ部材の働きによってバネ荷重を超えない適度な力で前記景品を押すこととなり、前記景品を痛める心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図である。
【図2】上記ゲーム機の要部を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図3】上記ゲーム機の押出し機の配置構成を示す正面図である。
【図4】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の押出し機を例示する側面図である。
【図5】上記ゲーム機の押出し機を示す平面図である。
【図6】上記ゲーム機の押出し機を示す底面図である。
【図7】上記ゲーム機の押出し機を示す正面図である。
【図8】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の棒状部材と窓穴との関係を例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。
【図9】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の棒状部材と窓穴との関係を例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。
【図10】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の棒状部材と窓穴との関係を例示する図であり、(a)は正面図であり、(b)はそのA−A線断面図である。
【図11】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の制御機構を示すブロック図である。
【図12】本発明を適用した景品獲得ゲーム機の座標データ取得手順を示すフローチャート図である。
【図13】本発明を適用した景品獲得ゲーム機のゲーム進行手順を例示するフローチャート図である。
【図14】本発明を適用した景品獲得ゲーム機のゲーム進行手順を例示するフローチャート図である。
【図15】本発明を適用した第2の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明の第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図を図1に示す。本実施形態の景品獲得ゲーム機は、2人で別個にゲームができる2人用のゲーム機1であり、正面から見て筐体101の左と右とに線対称で同様のゲーム機構が配されている(図1、図2)。本実施形態の景品獲得ゲーム機1は、プレイヤーがゲーム機1の正面側と向かい合って立って筐体101の正面側に突出して配された硬貨カウンタ102に所定金額の硬貨を投入し、操作スイッチ(操作ボタン)21,22を操作し、景品獲得ゲームを行う装置である。本実施形態の景品獲得ゲーム機1は、手前から順に、操作スイッチ21,22、前後(Z)に動く棒状部材3を備えた押出し機4、複数配列された窓穴5を有し前方を遮る壁板6、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品105を陳列する陳列棚104が配されている。
【0029】
本実施形態では、プレイヤーが操作ボタン21を押すことで押出し機4がX方向(左側の機構はXa方向、右側の機構はXb方向)に移動し、操作ボタン21から手を離すと押出し機4が停止する。次に、プレイヤーが操作ボタン22を押すことで押出し機4がYa方向に移動し、操作ボタン22から手を離すと押出し機4が停止し、引き続き棒状部材3がZ方向に移動して、その結果、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通して景品105を陳列棚104の後方に押し出した場合に景品105が落下しシュータを経由して景品取り出し口103に搬送され景品105を取得できる構成となっている(図1)。
【0030】
図2(a)は景品獲得ゲーム機1の要部を透視した正面図であり、図2(b)はゲーム機1の要部を透視した側面図である。本実施形態では、壁板6は透明なアクリル製であり、楕円形状の窓穴5が景品105の正面側に配されるようにマトリックス状に配されている(図2(a))。
また景品105や中の様子が見やすいように、ゲーム機1の正面側や側面側は透明な材質の大きな窓ガラス(又はアクリル)が配されている。本実施形態では、窓穴5が所定間隔で、m行,n列(m,nは自然数)で配されており、例えば図2(a)では4行,4列の場合を示している。
【0031】
図3は上記ゲーム機1の押出し機4の配置構成を示す正面図である。本実施形態では、押出し機4は、水平に配されたガイドレール111に沿ってX方向(左右方向)に移動し、垂直に配されたガイドレール112に沿ってY方向(上下方向)に移動する。ガイドレール111,112は、壁板6と平行に配されているので、棒状部材3の先端部は窓穴5に直角に進入することとなる。
【0032】
押出し機4は第1のモータM1によってX方向に移動し、第2のモータM2によってY方向に移動する。そして棒状部材3は第3のモータM3によってZ方向に移動する。モータM1,M2,M3は、ギヤモータ、サーボモータ、パルスモータ、ステッピングモータ、シンクロナスモータ等の各種モータが適用される。本実施形態では静音で高速移動が容易なギヤモータが好ましい。モータM1,M2,M3にはそれぞれ対応するロータリーエンコーダe1,e2,e3が備わっている。ロータリーエンコーダe1はモータM1の回転数から押出し機4のX方向の原点からの移動距離を算出するためのものであり、ロータリーエンコーダe2はモータM2の回転数から押出し機4のY方向の原点からの移動距離を算出するためのものであり、ロータリーエンコーダe3はモータM3の回転数から棒状部材3のZ方向の原点からの移動距離を算出するためのものである。つまり、ロータリーエンコーダe1,e2,e3からの信号を受けて制御回路(コンピュータ)9が、演算処理によって棒状部材3のX,Y,Zの座標を求めることができる(図12を参照)。本実施形態では制御回路9はゲーム機1に内蔵されているが、これに限定されるものではなく、例えば、制御に必要な機能のみをゲーム機1に内蔵し、必要に応じてコンピュータを外部接続して制御に必要なプログラム92等を外部から入力する方式としてもよい。
【0033】
ガイドレール111と112との交点(図3では右下の角)は、押出し機4のX方向(横方向)及びY方向(縦方向)の原点となる。ガイドレール111には横移動の原点を検知するホームポジションセンサK11が配され、ガイドレール112には縦移動の原点を検知するホームポジションセンサK21が配されている(図3)。また、ガイドレール111には押出し機4の横移動の限界地点を検知するリミットポジションセンサK12が配されており、また、ガイドレール112には押出し機4の縦移動の限界地点を検知するリミットポジションセンサK22が配されている(図3)。つまり、センサK11とK12からの信号を受けて制御回路9がモータM1の動作を制御して押出し機4のX方向の移動範囲を規制し、センサK21,K22からの信号を受けて制御回路9がモータM2の動作を制御して押出し機4のY方向の移動範囲を規制する。これらセンサK11,K12,K21,K22は、非接触式の赤外線センサや光センサが好ましいが、機械式スイッチでも代用できる。
【0034】
図4は上記ゲーム機1の押出し機4の要部を透視した側面図であり、図5は押出し機4の要部を透視した平面図であり、図6は押出し機4の要部を透視した底面図であり、図7は押出し機4の要部を透視した正面図である。
本実施形態の棒状部材3は、概ね円柱形状を呈しており、円柱部32の先端(Za方向の先端)に台形円柱の広いほうの面を先端面としたターゲットブロック31が取り付けられている(図4)。棒状部材3の外径寸法のうち最大寸法は、ターゲットブロック31の先端面(Za方向の先端)の外径寸法3Hとなるよう設定される。円柱部32の材質は、アルミ、鉄等の金属や、強化プラスチックが用いられるが、軽量で高強度であることからアルミニウムが好ましい。ターゲットブロック31の材質は、金属やプラスチックが適用可能であるが、壁板6や景品105にダメージを加えない観点からはプラスチックが好ましく、例えばABS、ポリアセタール、ポリカーボネート、フッ素樹脂等の軟質材料が好ましい。
【0035】
本実施形態では、ターゲットブロック31は、ネジ等の固定手段によって円柱部32の先端に着脱可能に取り付けられている。これによって、ターゲットブロック31を交換することで棒状部材3の先端部の外径寸法3Hを変更することができ、また、壁板6や景品105に当接することで消耗したターゲットブロック31を交換することが容易となる。
【0036】
本実施形態では、棒状部材3の左側と右側にはそれぞれZ方向に向けた溝部33が形成されており、かつ、2つのガイド部材43が棒状部材3の左右両側で押出し機4の上面側に配され、ガイド部材43に備わった複数のガイドローラ431が回転容易に溝部33に当接することで、棒状部材3をZ方向に動き易くするとともに、ガイドローラ431が左右のぶれがないように棒状部材3を支えている(図7)。本実施例では、2つのガイド部材43にはそれぞれ所定間隔で2つのガイドローラ431が備わっている。また、棒状部材3の円柱部32の下面にはZ方向に向けたラックギヤR33が配設されており(図6)、当該ラックギヤR33と、押出し機4に内蔵された第3のモータM3とが、ギヤ接続されている。つまり、第3のモータM3がギヤヘッドM31に接続され、ギヤヘッドM31に取り付けられたギヤM33がラックギヤR33に接続されている(図4)。
本実施形態の構成によって、棒状部材3を左右にぶれさせることなく正確なストロークで真っ直ぐZ方向に前進後退させることができる。
【0037】
本実施形態では、ギヤM33と同軸でスリット付き円盤M34が取り付けられており、スリット付き円盤M34のスリットの通過をカウントするセンサK31を組み合わせて第3のモータM3のロータリーエンコーダe3を構成している(図4)。
【0038】
本実施形態では、第3のモータM3はギヤヘッドM31を介してスライド板M32に載置されており(図4)、当該スライド板M32はZ方向に移動可能に押出し機4内のスライドレール42に取り付けられている(図6)。本実施形態では、2つのスライドレール42がスライド板M32の左右両側で押出し機4の底面側に配され、スライドレール42の内側の側面にはそれぞれZ方向に向けた溝部423が形成されており、かつ、スライド板M32の左側と右側にはそれぞれ複数のガイドローラ421が備わっており、当該ガイドローラ431が回転容易に溝部423に当接することで、スライド板M32をZ方向に動き易くするとともに、ガイドローラ431が左右のぶれがないようにスライド板M32を支えている(図7)。本実施例では、2つのスライドレール42にはそれぞれ所定間隔で2つのガイドローラ421が備わっている。
【0039】
本実施形態では、スライド板M32の後退を抑制するバネ部材B1が押出し機4内の壁面に取り付けてられており、かつ、スライド板M32のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサK32が押出し機4内に配されている(図4)。つまり、本実施形態では引っ張りバネB1を押出し機4内の前方側の内壁面とスライド板M32の前面側とに取り付けておき、スライド板M32の後方側の下方に突出させた板(ドグ)M321が位置検出センサK32の検出領域に入るとセンサK32からの検出信号を受けた制御回路9がスライド板M32のZ方向の後退限界位置であると判定し、第3のモータM3を停止させる。バネ部材B1は、スライド板M32の後退を抑制する機能を有していればよく、引っ張りバネには限られず、押圧バネ、ゴムや易変形性樹脂等の弾性部材でもよい。
【0040】
本実施形態によれば、例えば棒状部材3が壁板6に当接した場合に、棒状部材3とギヤ接続された第3のモータM3が載置されたスライド板K32が押出し機4内で後退するので、バネ部材B1のバネ荷重を超える過度な力で壁板6を押すことがなく、スライド板K32のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサK32からの検出信号を受けた制御回路9によって第3のモータM3が速やかに停止する。また例えば棒状部材3が景品105に当接した場合に、バネ部材B1の働きによってバネ荷重を超えない適度な力で景品105を押すこととなり、景品105を痛める心配がない。
【0041】
本実施形態では、押出し機4内の上方の前方側には棒状部材3の前後移動の原点を検知するホームポジションセンサK33が配され、押出し機4内の上方の後方側には棒状部材3の前進移動の限界位置を検知するリミットポジションセンサK34が配されている(図4)。ホームポジションセンサK33は棒状部材3が原点復帰したことを検知するためのセンサであり、リミットポジションセンサK34は棒状部材3が景品105を押出すときの前進移動の限界位置を検知するためのセンサである。これらセンサK33,K34は、非接触式の赤外線センサや光センサが好ましいが、機械式スイッチでも代用できる。
【0042】
本実施形態における棒状部材3と窓穴5との関係を図8から図10に例示する。ここで図8(a)から図10(a)は正面図であり、図8(b)から図10(b)はそれぞれの場合のA−A線断面図である。
本実施形態では、壁板6に所定間隔で配された窓穴5の形状は長楕円形状であり、棒状部材3の先端部の形状は円形状である。そして、窓穴5の短辺側の内径寸法を符号5H、窓穴5の長辺側の内径寸法を符号5Lとし、棒状部材3の先端部の外径寸法を符号3Hとすると、棒状部材3の先端部の外径寸法3Hは、窓穴5の短辺側の内径寸法5Hよりも小さく設定される(図8から図10)。
本実施形態では、長楕円形状の窓穴5とこれよりも寸法が小さい円形状の棒状部材3の先端部との組み合わせであるから、プレイヤーから見て明らかにゲームの難易度を低く感じさせる組み合わせといえる。そして、窓部5の角部が大きなR形状となっており亀裂が入り難い形状であるから、高い耐久性が得られる。
【0043】
本実施形態では、窓穴5の長辺側の内径寸法5Lを窓穴5の短辺側の内径寸法5Hの1.5倍以上大きく設定している。また、棒状部材3の先端部の外径寸法3Hを窓穴5の短辺側の内径寸法5Hよりも1mm以上小さく設定している。より具体的には、例えば窓穴5の長辺側の内径寸法5Lを30mmから50mmの範囲内とし、窓穴5の短辺側の内径寸法5Hから棒状部材3の先端部の外径寸法3Hを引いた値(5H−3H)を1.5mmから2.5mmの範囲内とすることが好ましい。プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0044】
本実施形態では、例えば、壁板6に形成された窓穴5は、手前側から見てストレート加工としてもよく(図8)、窓穴5の外周に奥に向かって穴径が小さくなるテーパー521を施したテーパー加工としてもよく(図9)、窓穴5の外周に段差521を形成するか、さらに窓穴5の外周の段差521に細かい凹凸をつけ不透明にしてもよい(図10)。これらの加工を施すことで、窓穴5を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0045】
本実施形態では、例えば、棒状部材3は、真っ直ぐな円柱形状としてもよく(図8)、棒状部材3の先端(Za方向の先端)に台形円柱の広いほうの面を先端面としたターゲットブロックを取り付けてもよく(図9)、棒状部材3の左右の側面を削ぎ落とした面取り加工を施してもよい(図10)。これらの加工を施すことで、棒状部材3の先端部を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0046】
図12は、本実施形態の景品獲得ゲーム機1の座標データ取得手順を示すフローチャート図であり、棒状部材3の原点データを取得するステップS1と、窓穴5の座標データを取得するステップS2とからなる。
本実施形態では、景品獲得ゲーム機1の設置後や、壁板6並びに棒状部材3等の構成部材の入れ替え等を行った際には、景品獲得ゲーム機1の座標データ取得を行う。つまり、図11に示すように、ロータリーエンコーダe1,e2,e3からの信号を受けた制御回路9が演算手段によって棒状部材3の先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段(データベース)95にデータ蓄積する構成であり、最初のゲーム開始前に棒状部材3の先端部の出発点を原点i(0,0)として蓄積手段95にデータ蓄積しておき(ステップS1)、次に、制御回路9からの指令によってモータM1,M2,M3を動かして棒状部材3の先端部を窓穴5の幾つかの座標に位置合わせしてm行,n列(m,nは自然数)の窓穴5の座標を示すデータW(Xm,Yn)を制御回路9に演算処理させて蓄積手段95にデータ蓄積する(ステップS2)。
本実施形態では、壁板6に備わった窓穴5の配列位置が予め判っているので制御回路9の演算処理によって窓穴5の全ての座標を示すデータが得られる。例えば窓穴5が等間隔でマトリックス状に配置されているときには、横に並んだ幾つかの窓穴5と縦に並んだ幾つかの窓穴5の座標を確認することで、窓穴5の配列の規則性から窓穴5の全ての座標を示すデータを得ることが容易である。
【0047】
本実施形態によれば、制御回路9が壁板6に配された各窓穴5のそれぞれの座標と、押出し機4に備わった棒状部材3の先端部の原点との位置関係を計測学習するため、各窓穴5と棒状部材3の先端部との位置関係が正確に把握でき、精度の高い位置制御ができる。
【0048】
本実施形態の景品獲得ゲーム機1のゲーム進行手順を、図13に例示するフローチャート図に沿って以下に説明する。最初にプレイヤーが硬貨カウンタ102に所定金額の硬貨を投入すると、硬貨カウンタ102が硬貨の峻別と投入硬貨をカウントし(ステップS3)、カウントした金額からゲーム可能な回数を算出して表示画面にプレイ回数を表示し(ステップS4)、スピーカ107からBGMや音声にて合図をする。
【0049】
次に、押出し機4をX方向に移動させるための操作ボタン21が点灯(または点滅)するので、プレイヤーは好みの景品105を狙って操作ボタン21を押すことで押出し機4がX方向(左側の機構はXa方向、右側の機構はXb方向)に移動させ、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4を停止させる(ステップS5)。押出し機4がX方向に移動して停止すると次に、押出し機4をY方向に移動させるための操作ボタン22が点灯(または点滅)するので、プレイヤーは好みの景品105を狙って操作ボタン22を押すことで押出し機4がYa方向に移動させ、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4を停止させ(ステップS6)、押出し機4がYa方向に移動して停止すると、引き続き棒状部材3がZ方向に移動する(ステップS9)。そして、棒状部材3がZ方向に移動した結果、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通して景品105を陳列棚104の後方に押し出した場合には景品105が落下しシュータを経由して景品取り出し口103に搬送され、景品105が取得できる。いっぽう、棒状部材3の先端部が壁板6に当接した場合には棒状部材3とギヤ接続された第3のモータM3が載置されたスライド板K32が押出し機4内で後退し、制御回路9によって第3のモータM3が速やかに停止する。なお、操作ボタン21,22の可動時間は、タイマー99によって時間制限してもよい。
【0050】
そして、制御回路9からの指令によってモータM3,M2,M1が動作し、押出し機4(棒状部材3)が原点復帰する(ステップS11)。押出し機4が原点復帰すると、ホームポジションセンサK11,K21,K33から検知信号が制御回路9に送出され、これらのセンサからの検知信号を受けた制御回路9が、上述のプレイ回数を1つ減算し、ゲーム終了か否かを判定する(ステップS12)。つまり、プレイ回数の減算結果が0(Yes)であるならばゲーム終了となり、プレイ回数の減算結果が1以上(No)であるならば再度プレイ回数の表示(ステップS4)工程からゲームを繰り返す。
【0051】
図14は、上記実施形態の景品獲得ゲーム機1のゲーム進行手順の他の例を示すフローチャート図である。以下、同じステップ符号については同一内容であるのでその説明を省略しつつ、本実施形態の景品獲得ゲーム機1のゲーム進行手順を、図14に例示するフローチャート図に沿って以下に説明する。
【0052】
プレイヤーが操作ボタン21を押すと押出し機4がX方向(左側の機構はXa方向、右側の機構はXb方向)に移動し、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4が停止する(ステップS5)。次に、プレイヤーが操作ボタン22を押すことで押出し機4がYa方向に移動し、操作ボタン21から手を離すことで押出し機4が停止する(ステップS6)。押出し機4がYa方向に移動して停止すると、ロータリーエンコーダe1,e2からの信号を受けた制御回路9が演算手段によって棒状部材3の先端部の座標を示すデータを演算し、得られた座標データi(Xd, Yd)と、予め蓄積手段(データベース)95にデータ蓄積されたm行,n列の窓穴5の座標を示すデータW(Xm,Yn)とをデータ比較して、棒状部材3の先端部と窓穴5との相対位置を算出し(ステップS7)、制御回路9がG/NG判定をする(ステップS8)。ここでのG/NG判定とは、つまり、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通しないことが明らかな場合と、ペイアウト率が設定値を越えている場合(採算が合う場合)のいずれかないし両方の場合にはG判定となり、引き続き棒状部材3がZ方向に移動する(ステップS9)。いっぽう、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通することが明らかな場合、かつ、ペイアウト率が設定値以下の場合(採算が合わない場合)にはNG判定となり、制御回路9がモータM1,M2に指令をだして棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通しない程度にX方向やY方向にずらしながら引き続き棒状部材3がZ方向に移動する(ステップS9)。
そして、棒状部材3がZ方向に移動した結果、棒状部材3の先端部が窓穴5を挿通して景品105を陳列棚104の後方に押し出した場合には景品105が落下しカウントセンサによって景品取得回数をカウントし(ステップS10)、シュータを経由して景品取り出し口103に搬送され、景品105が取得できる。いっぽう、棒状部材3の先端部が壁板6に当接した場合には棒状部材3とギヤ接続された第3のモータM3が載置されたスライド板K32が押出し機4内で後退し、制御回路9によって第3のモータM3が速やかに停止する。以下、ステップS11とS12については上述のとおりである。
【0053】
(本発明の第2の実施形態)
本発明を適用した第2の実施形態の景品獲得ゲーム機を示す斜視図を図15に示す。本実施形態の景品獲得ゲーム機は、1人用のゲーム機1であり、窓穴5の配置数が第1の実施形態の2倍となっている。そして、窓穴5の外周に段差521が形成され、さらに窓穴5の外周の段差521に細かい凹凸をつけ不透明にしている(図10を参照)。これらの加工を施すことで、窓穴5を実際の寸法よりも大きく見せることができるので、プレイヤーからみてゲームの難易度を高く感じさせず、実際には適切な難易度とすることができる。
【0054】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、窓穴は縦長楕円形状としてもよく、斜め方向の楕円形状であってもよい。棒状部材3は伸縮動作する棒状部材とすることも可能である。操作スイッチは操作ボタンに限られず、ジョイステックやマウスでもよい。楕円形状の窓穴は不揃いな大きさや不規則な配列とすることも可能である。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 景品獲得ゲーム機、
101 筐体、
102 硬貨カウンタ、
104 陳列棚、
21,22 操作スイッチ(操作ボタン)、
3 棒状部材、
4 押出し機、
5 窓穴、
6 壁板、
M1,M2,M3 モータ、
e1,e2,e3 ロータリーエンコーダ、
9 制御回路(コンピュータ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手前から順に、操作スイッチ、前後(Z)に動く棒状部材を備えた押出し機、窓穴を有し前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配され、プレイヤーが前記操作スイッチを操作することで前記押出し機がX方向とY方向に移動して前記棒状部材がZ方向に移動し、その結果、前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出した場合に前記景品を取得できる構成とされ、
前記窓穴を楕円形状とし、前記窓穴側から見て前記棒状部材の先端部を円形とし、前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくすることを特徴とする景品獲得ゲーム機。
【請求項2】
前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定し、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することを特徴とする請求項1記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項3】
前記押出し機をX方向に移動させる第1のモータと、前記押出し機をY方向に移動させる第2のモータと、前記棒状部材をZ方向に移動させる第3のモータと、これらを制御する制御回路が備わっており、前記制御回路が前記第1から第3のモータの動作を独立制御することを特徴とする請求項1記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項4】
前記モータにはそれぞれロータリーエンコーダが備わっており、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする請求項3記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項5】
前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかないしは全てに少なくとも1回位置合わせすることで前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が前記窓穴の座標を示すデータを前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする請求項4記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項6】
最初のゲーム開始前に、前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかに位置合わせし、前記制御回路にm行,n列(m,nは自然数)の前記窓穴の座標を示すデータW(Xm,Yn)を演算処理させて前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする請求項5記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項7】
前記棒状部材の左側と右側にはZ方向の溝部が形成され、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることを特徴とする請求項3記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項8】
前記第3のモータが載置されたスライド板をZ方向に移動可能に前記押出し機内のスライドレールに取り付けるとともに、前記スライド板の後退を抑制するバネ部材を前記押出し機内の壁面に取り付け、かつ、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサを前記押出し機内に配することを特徴とする請求項7記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項1】
手前から順に、操作スイッチ、前後(Z)に動く棒状部材を備えた押出し機、窓穴を有し前方を遮る壁板、左右(X)及び上下(Y)の陳列位置にマトリックス状に景品を陳列する陳列棚が配され、プレイヤーが前記操作スイッチを操作することで前記押出し機がX方向とY方向に移動して前記棒状部材がZ方向に移動し、その結果、前記棒状部材の先端部が前記窓穴を挿通して前記景品を前記陳列棚の後方に押し出した場合に前記景品を取得できる構成とされ、
前記窓穴を楕円形状とし、前記窓穴側から見て前記棒状部材の先端部を円形とし、前記棒状部材の先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも小さくすることを特徴とする景品獲得ゲーム機。
【請求項2】
前記窓穴の長辺側の内径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法の1.5倍以上大きく設定し、前記棒状部材先端部の外径寸法を前記窓穴の短辺側の内径寸法よりも1mm以上小さく設定することを特徴とする請求項1記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項3】
前記押出し機をX方向に移動させる第1のモータと、前記押出し機をY方向に移動させる第2のモータと、前記棒状部材をZ方向に移動させる第3のモータと、これらを制御する制御回路が備わっており、前記制御回路が前記第1から第3のモータの動作を独立制御することを特徴とする請求項1記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項4】
前記モータにはそれぞれロータリーエンコーダが備わっており、前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が演算手段によって前記棒状部材先端部の座標を示すデータを演算し蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする請求項3記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項5】
前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかないしは全てに少なくとも1回位置合わせすることで前記ロータリーエンコーダからの信号を受けた前記制御回路が前記窓穴の座標を示すデータを前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする請求項4記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項6】
最初のゲーム開始前に、前記棒状部材先端部を前記窓穴の幾つかに位置合わせし、前記制御回路にm行,n列(m,nは自然数)の前記窓穴の座標を示すデータW(Xm,Yn)を演算処理させて前記蓄積手段にデータ蓄積することを特徴とする請求項5記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項7】
前記棒状部材の左側と右側にはZ方向の溝部が形成され、前記押出し機に配されたガイドローラを回転容易に前記溝部に当接させて、前記棒状部材の下面に設けたラックギヤを前記押出し機に内蔵された前記第3のモータとギヤ接続させることを特徴とする請求項3記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項8】
前記第3のモータが載置されたスライド板をZ方向に移動可能に前記押出し機内のスライドレールに取り付けるとともに、前記スライド板の後退を抑制するバネ部材を前記押出し機内の壁面に取り付け、かつ、前記スライド板のZ方向の後退限界位置を検出する位置検出センサを前記押出し機内に配することを特徴とする請求項7記載の景品獲得ゲーム機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−167247(P2011−167247A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31494(P2010−31494)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(598096913)株式会社山崎屋 (6)
【出願人】(510042921)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(598096913)株式会社山崎屋 (6)
【出願人】(510042921)
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