説明

景品自動パッケージ機能を備えたクレーンゲーム機

【課題】プレイヤーが、その獲得した景品をむき出しのまま持ち歩く必要がなく、ゲーム機の運営者側では、プレイヤーに提供する袋等の管理を容易化し得るクレーンゲーム機を提供することを課題とする。
【解決手段】景品払出口(5)の内部に、景品自動パッケージ装置(10)を設けたことを特徴とする。当該景品自動パッケージ装置(10)が、景品キャッチー(2)から投下される景品を受け入れる景品投入口(4)に近接して設けられ、プレイヤーが獲得した景品を一時的に貯留するトレー(103)と、プレイヤーの操作により又はゲーム終了後自動的に、上記景品貯留トレー(103)に溜められた景品を景品投入口(4)に投下する手段(103b〜103d)と、を有するよう構成することが推奨される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーが獲得した景品を、予め用意した袋や箱などでパッケージした上で、プレイヤーに引き渡すように構成した景品自動パッケージ機能を備えたクレーンゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明板で囲ったプレイフィールド内に多数の景品を積み重ねておき、機外から操作されるクレーンに取り付けた昇降可能な景品キャッチャーにより所望の景品を獲得できるように構成したクレーンゲーム機(例えば下記特許文献1に記載のようなもの)は、従来より広く普及し、多くの人に楽しまれている。
しかしながら、従来のクレーンゲーム機においては、プレイヤーが獲得した景品は、むき出しのまま景品払出口に払い出されるため、プレイヤーが鞄や適当な袋を持ち合わせていない場合には、景品をむき出しのまま自宅まで持ち歩くことになり不便であった。
そのため、プレイヤー自身が袋等を持参したり、店舗クルーが袋を調達したりするなど、手間がかかり面倒であった。
持ち帰り用の袋を自由に利用できるよう店内に置いておくと、盗まれたり、いたずらされたりするなど、管理に手間がかかるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開平06−225973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためなされたものであり、その目的とするところは、プレイヤーが、その獲得した景品をむき出しのまま持ち歩く必要がなく、ゲーム機の運営者側では、プレイヤーに提供する袋等の管理を容易化し得るクレーンゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、景品払出口の内部に、景品自動パッケージ装置を設けたことを特徴とするクレーンゲーム機によって達成し得る。
複数個の景品をまとめてパッケージする場合には、上記景品自動パッケージ装置に、景品キャッチーから投下される景品を受け入れる景品投入口に近接して設けられ、プレイヤーが獲得した景品を一時的に貯留するトレーと、プレイヤーの操作により又はゲーム終了後自動的に、上記景品貯留トレーに溜められた景品を景品投入口に投下する手段と、を設けることが推奨される。
【発明の効果】
【0006】
上記の如き構成であると、プレイヤーが獲得した景品は自動的に袋や箱にパッケージされた上で、景品払出口からプレイヤーに引き渡されるので、プレイヤーは、その獲得した景品をむき出しのまま持ち歩く必要がなく、ゲーム機の運営者側においても、プレイヤーに提供する袋等の管理が不要若しくは容易になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に示す実施例を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係るクレーンゲーム機の一実施例を示す全体斜視図、
図2は、本発明に係るクレーンゲーム機において景品がパッケージされる状態を示す説明図、
図3は、パッケージ用の袋を多数連結した袋結合体の一実施例を示す説明図、
図4は、本発明に係るクレーンゲーム機における景品自動パッケージ装置の袋開口機構の一実施例を示す説明図、
図5は、景品自動パッケージ装置の景品貯留トレーを、その開閉底板が閉じた状態において示す側面図、
図6は、図5に示した景品貯留トレーを、その開閉底板が開いた状態において示す側面図、
図7は、図5に示したように開閉底板が閉じた状態における景品貯留トレーを斜め下方から見た斜視図、
図8は、図6に示したように開閉底板が開いた状態における景品貯留トレーを斜め下方から見た斜視図、
図9は、本発明に係るクレーンゲーム機における景品自動パッケージ装置のもう一つの実施例を示す説明図である。
【0008】
これらの図中、1はクレーンゲーム機、2は景品キャッチャー、2a,2bは景品把持アーム、3は景品、4は景品投入口、5は景品払出口、6は操作パネル、7はコイン返却口、8は透明板、9はプレイフィールド、10は景品自動パッケージ装置、100は袋の結合体、101は袋、101aはミシン目状切取線、101bはエンボス加工部、102は袋開口機構、102aは側面板、102bは開閉底板、103はトレー、103aは側面板、103bは開閉底板、103cはレバー、103dはリンクロッド、104は袋開口機構、104a〜104dは袋開口ロッド、104eはロッド駆動機構、104fは袋結合体の取付基板である。
【0009】
図1に示すように、クレーンゲーム機1の筐体内部の天井近くには、X軸方向(左右方向)及びY軸方向(前後方向)に延びるガイドレールに沿って移動可能なように支持されたキャリッジ(図では省略)が設けられ、当該キャリッジには、景品キャッチャー2が昇降可能なように取り付けられている。景品キャッチャー2には、景品把持用の一対のアーム2a,2bが開閉制御可能なように取り付けられている。プレイフィールド9の底部には多数の景品3が並べて置かれ、もしくは積み上げられている。プレイフィールド9の周囲は強化プラスチック板等による透明板8で囲われている。
図示した実施例では、1台のクレーンゲーム機1に景品キャッチャー2や操作パネル6等々が2個づつ設けられ、2人のプレイヤーが同時にプレイできるようになっている。
【0010】
ゲーム開始前の初期状態において、ゲーム機内部の景品台の上方の天井近くに設けた走行クレーンのキャリッジは、天井の片隅近くのホームポジションに待機しており、当該キャリッジに、下方へ向けて降下可能に取り付けられた景品キャッチャー2は引き上げられた状態で停止し、その景品把持アーム2a,2bは閉じた状態になっている。
ゲーム機のコイン徴収装置にプレイヤーがコインを投入すると、ゲーム開始可能な状態となるので、プレイヤーはゲーム機の操作パネル6に設けられた押しボタンスイッチ等を押して、キャリッジをX軸方向及びY軸方向に移動させ、キャリッジに取り付けられている景品キャッチャー2が、プレイヤーの狙った景品の真上に来るように操作する。即ち、まず例えばX軸(又はY軸)方向移動用押しボタンスイッチを押してキャリッジをX軸(又はY軸)方向に所望の位置まで移動させ、次いでY軸(又はX軸)方向移動用押しボタンスイッチを押してキャリッジをY軸(又はX軸)方向に移動させ、キャリッジ及び景品キャッチャーが、プレイヤーの狙った景品の真上と思われる位置に達した時点で、Y軸(又はX軸)方向移動用押しボタンスイッチから手を離す。
【0011】
プレイヤーがY軸(又はX軸)方向移動用押しボタンスイッチから手を離すと、景品キャッチャー2の景品把持アーム2a,2bが予め定められた開度に開き、その状態で景品キャッチャー2が下降を開始し、景品の置かれた所定位置まで降下したところで停止すると共に、アーム2a,2bを閉じるようになっている。このとき、狙った景品に対する開かれたアーム2a,2bの位置関係が適切であれば、景品はアームに把持され、不適切であれば、景品は把持されないか、もしくは運が良いときは別の景品が把持される。
【0012】
次いで、アーム2a,2bに景品が把持されたか否かに関係なく、景品キャッチャー2は引き上げられ、更にそこからプレイフィールド9の片隅に設けられた景品投入口4の真上の位置まで移動せしめられた後、アーム2a,2bが開かれる。
アーム2a,2bに景品が把持されていた場合には、図2に示す如く、景品3は景品投入口4内へ落下し、景品払出口5へ導かれて、プレイヤーが取得可能となるが、本発明においては、景品払出口5の内部に設けられた景品自動パッケージ装置10によって景品3が袋101や箱でパッケージされた上で、これをプレイヤーが取出し可能なように構成される。
なお、景品投入口4の上で景品を投下した景品キャッチャー2は、その後、ホームポジションへ復帰せしめられて、ゲームは終了する。
以下、本発明に係るクレーンゲーム機1に設けられる景品自動パッケージ装置10の構成について説明する。
【0013】
まず、袋を用いて景品のパッケージを行う場合におけるその専用袋の一実施例を図3により説明する。
図3の(A)図は、多数の袋101を連結して成る袋結合体100の外観図であり、(B)図は、(A)図中のb−b線に沿った断面概念図である。
雨天の際、客が自由に引きちぎって使用可能なように店舗の入口に置いてあるビニールの傘袋のように、多数枚の袋101を、その上部でまとめて袋結合体100を形成し、景品自動パッケージ装置のフォルダーに取り付けるための2つの孔101cを明けておくようにする。
多数の袋101は、ミシン目状切取線101aのすぐ上のエンボス加工部101bにおいて互いに接合されており、手前の袋101を引っ張り、ミシン目状切取線101aに沿って切り離すと、次の袋の口が手前に開いて、次のプレイヤーの景品を投入できる状態となるようになっている。
【0014】
図4には、景品自動パッケージ装置10の袋開口機構の一実施例が示されている。
この袋開口機構102は、景品投入口4の内部に取り付けられた側面板102aと、その下端に開閉自在に取り付けられた開閉底板102bとから構成されており、開閉底板102bはスプリング付勢されることにより、常態においては閉じ、上から力が加わると、下方へ開く(図中、破線で示す。)ようになっている。
前記景品キャッチャー2から景品投入口4内へ景品3が投下されると、景品3の重みで開閉底板102bが斜め下方へ向けて開く。このとき、開閉底板102bの先端が袋101の上端縁に引っ掛かって、図示するように袋101の口を開く。
景品3は、斜めに開いた開閉底板102bのスロープに沿って降下し、袋101の中に収容される。
景品3が袋101内へ落ちると、開閉底板102bはスプリング力により上方へ向けて閉じ、プレイヤーが、景品3の入った袋101を景品払出口5から取り出せるようになる。
そのようにして、プレイヤーが景品3の入った手前の袋101を取り出すと、前記図3で説明したように、次の袋の口が開き、次の景品が投下されたとき、開閉底板102bの先端によりその袋の口が更に押し広げられて、次の景品のパッケージが行われるものである。
【0015】
図5〜図8には、景品自動パッケージ装置の景品貯留トレーに複数個の景品を一時的に溜めておき、ゲームをやめるときに、それらの景品をまとめて袋等にパッケージするように構成した実施例が示されている。
図5〜図8に示す景品貯留トレー103は、景品投入口4の内部に取り付けられた側面板103aと、その下端に開閉可能なように取り付けられた開閉底板103bと、開閉底板103bを開閉するためにプレイヤーが操作するレバー103cと、開閉底板103bとレバー103cとを連結するリンクロッド103dとから構成されている。
常態において、開閉底板103bは図5及び図7に示すように閉じられており、景品キャッチャー2から景品投入口4へ投下された景品は景品貯留トレー103内に貯留されるようになっている。プレイヤーがゲームを複数回行い、複数の景品を獲得した場合、それらの景品はすべて一時的に景品貯留トレー103に蓄積されるようになっている。
このように景品貯留トレー103に貯められた景品は、獲得した景品を誇示したり、或いは、当該ゲーム機では景品を獲得し易いというイメージを与え、次のプレイヤーを誘引する一種のデモンストレーション効果も発揮する。
ゲーム終了時に、プレイヤーがレバー103cを引くと、図6及び図8に示すように開閉底板103bが開いて、貯留されていた景品は、図4に示す実施例の場合と同様に袋内に収容され、プレイヤーが取り出し、持ち帰り可能となる。
【0016】
図9には、本発明に係るクレーンゲーム機における景品自動パッケージ装置のもう一つの実施例が示されている。
この景品自動パッケージ装置10の袋開口機構104は、その4本の袋開口ロッド104a〜104dによって袋101の口を開いた状態に保つようになっている。
袋内へ景品が投入、収容されると、ロッド駆動機構104eの作動によりこれらの袋開口ロッド104a〜104dは図中において右方向へ退行せしめられ、プレイヤーは景品の収容された袋101を取り出すことができる。
次いで、袋開口ロッド104a〜104dは図中において左方向へ進出し、次の袋の口を開口する。このとき、各ロッド間の距離s及びtはロッド駆動機構104eの機能により制御可能であり、袋101の大きさに応じて開口量を調節できるようになっている。
【0017】
なお、図9に示した実施例において、前記の如く多数の袋101を連結して成る袋結合体100を景品自動パッケージ装置10にセットするための袋結合体の取付基板104fは、図中において左右に駆動可能なように構成され、袋101の消費量に応じて左方向へ移動し、残りの袋の数の減少に拘わらず次に開口すべき袋の位置を一定位置に保ち、袋開口ロッド104a〜104dによる開口作業が円滑に行われるようになっている。
【0018】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
即ち、上記実施例においては、袋によって景品をパッケージしたが、適宜の箱によってパッケージするようにしてもよい。
また、図5〜図8に示した実施例においては、ゲーム終了時にプレイヤーがレバー103cを引いて、トレー103内に貯留された景品を落下させるように構成したが、プレイヤーが押ボタン等を押すことにより落下させたり、予め定められた回数だけゲームプレイができるようになっている場合には、その回数が終了したとき自動的に景品を落下させるように構成することも可能である。
従って、本発明は、特許請求の範囲に記載の範囲内において本明細書及び図面の記載から当業者が容易に想到し得るすべての変更実施例を包摂するものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は上記の如く構成されるので、本発明によるときは、プレイヤーが、その獲得した景品をむき出しのまま持ち歩く必要がなく、ゲーム機の運営者側では、プレイヤーに提供する袋等の管理を容易化し得るクレーンゲーム機を提供し得るものであり、産業上多大の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るクレーンゲーム機の一実施例を示す全体斜視図である。
【図2】本発明に係るクレーンゲーム機において景品がパッケージされる過程を示す説明図である。
【図3】パッケージ用の袋を多数連結した袋結合体の一実施例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るクレーンゲーム機における景品自動パッケージ装置の袋開口機構の一実施例を示す説明図である。
【図5】景品自動パッケージ装置の景品貯留トレーを、その開閉底板が閉じた状態において示す側面図である。
【図6】図5に示した景品貯留トレーを、その開閉底板が開いた状態において示す側面図である。
【図7】図5に示したように開閉底板が閉じた状態における景品貯留トレーを斜め下方から見た斜視図である。
【図8】図6に示したように開閉底板が開いた状態における景品貯留トレーを斜め下方から見た斜視図である。
【図9】本発明に係るクレーンゲーム機における景品自動パッケージ装置のもう一つの実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 クレーンゲーム機
2 景品キャッチャー
2a,2b 景品把持アーム
3 景品
4 景品投入口
5 景品払出口
6 操作パネル
7 コイン返却口
8 透明板
9 プレイフィールド
10 景品自動パッケージ装置
100 袋の結合体
101 袋
101a ミシン目状切取線
101b エンボス加工部
102 袋開口機構
102a 側面板
102b 開閉底板
103 トレー
103a 側面板
103b 開閉底板
103c レバー
103d リンクロッド
104 袋開口機構
104a〜104d 袋開口ロッド
104e ロッド駆動機構
104f 袋結合体の取付基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品払出口(5)の内部に、景品自動パッケージ装置(10)を設けたことを特徴とするクレーンゲーム機(1)。
【請求項2】
上記景品自動パッケージ装置(10)が、景品キャッチー(2)から投下される景品を受け入れる景品投入口(4)に近接して設けられ、プレイヤーが獲得した景品を一時的に貯留するトレー(103)と、プレイヤーの操作により又はゲーム終了後自動的に、上記景品貯留トレー(103)に溜められた景品を景品投入口(4)に投下する手段(103b〜103d)と、を有することを特徴とする請求項1に記載のクレーンゲーム機(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−297065(P2009−297065A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151496(P2008−151496)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)