説明

晶析装置及び晶析方法

【課題】大きな動力を要することなく晶析処理能力を高めることができる晶析装置を提供すること。
【解決手段】反応槽2内を、水面上に突出する仕切板3によって下部同士が連通する反応部4と固液分離部5とに区画するとともに、前記反応部4を、水没する仕切板6によって通気を行う通気部4Aと通気を行わない循環部4Bとに区画し、前記通気部4Aの下部に散気管7を設置するとともに、廃水導入管10を開口させて該通気部4Aに廃水の上向流を形成し、前記反応部4の底面を前記循環部4Bから前記通気部4Aに向かって斜め下方に傾斜する斜面2aとし、前記反応部4内で種晶を循環流動させつつ、これに薬剤を添加し、反応部4内の種晶の循環流動流の一部を前記固液分離部5に流入させ、該固液分離部5における固液分離によって清澄化された処理水を処理水排出管10から反応槽2外へ排出する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、晶析法によって廃水中からイオン類を除去するための晶析装置と晶析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃水中からイオン類を除去する方法の1つとして晶析法が知られているが、この晶析法は、処理対象であるイオンに適宜薬剤を添加して難溶性塩を生成させ、この難溶性塩を廃水中から取り出すことによってイオン類を除去する方法である。具体的には、反応槽において一定以上の粒径の粒子(好ましくは、生成させようとする難溶性塩と同種の粒子)を種晶として懸濁或いは流動させ、この種晶に新たに難溶性塩を析出させていくことによって、最終的に得られる難溶性塩を或る程度の大きさの固定粒子として廃水中から取り出す方法である。
【0003】
この晶析法において起こる化学反応は凝集沈澱法におけるそれと基本的には同じであるが、凝集沈澱法によって得られる所謂無機汚泥に対して、晶析法によって得られる固体粒子は極めて脱水性が良いため、脱水機を必要とせず、簡単な水切りだけで固定粒子の含水率を下げることができる。
【0004】
ところで、斯かる晶析法を実施するための晶析装置においては、粒径が数十μm程度の比較的小さな粒子を種晶として使用する場合には、反応槽内に粒子を懸濁させて撹拌する方式が採用される。これに対して、粒径が数百μm程度の比較的大きな粒子を種晶として使用する場合には、反応塔に粒子を充填して固定床にて処理する方式、或は反応塔に廃水を上向流にて通液することによって粒子を展開させて流動床にて処理する方式が採用される。
【0005】
ここで、上記固定床式と流動床式を比較すると、固定床式では、難溶性塩を生成させるための薬剤を反応槽導入前の廃水に添加する必要があるため、廃水中の被処理イオン濃度が低い場合のみに適用が限定される。これに対して、流動床式は、流動床内部への薬剤の添加が可能となるため、固定床式に比べて幅広い濃度範囲の廃水に対して適用が可能である。
【0006】
次に、反応槽内に小粒径の粒子を懸濁させて撹拌する方式を採用する晶析装置と流動床式を採用する晶析装置について両者を比較しながら以下に説明する。
【0007】
晶析法の処理能力を決める要因の1つとして、反応槽内において廃水中の被処理イオンと添加された薬剤との分散速度が挙げられる。仮に廃水中の被処理イオンと添加された薬剤とが共に高濃度のまま接触すると、直ちに微細な難溶性塩のSSが発生し、このSSが種晶上に補足されることなく廃水中に流出してしまう。従って、廃水中の被処理イオンと添加された薬剤を速やかに分散させるためには、反応槽内を十分撹拌することが効果的である。
【0008】
反応槽内を十分撹拌するためには、反応槽内の粒子を小さく懸濁させた状態とすることが有利である。即ち、反応槽内の粒子を小さく懸濁させた状態とすると、成長する粒子径は比較的小さいものの、除去不能な微細なSSの発生を抑制し易いという点で粒子懸濁型の反応槽を備えた晶析装置は優れている。
【0009】
他方、比較的大きな粒子を種晶として使用して流動床を形成する晶析装置においては、粒子が大きいためにその沈降速度が速く、流動床自体が固液分離機能を有しているため、固液分離を別途行う必要がない。又、この晶析装置によって回収された粒子は脱水性が極めて良く、簡単な水切り程度で粒子の含水率を下げることができるため、脱水機が不要となる。
【0010】
流動床式を採用する晶析装置は、粒子と処理水とを分離する固液分離性には優れている反面、上向流のみによる流動床の流動状態では、流動層内の流動性が弱く、添加される薬剤の分散性が悪いという問題がある。
【0011】
そこで、空気或いは撹拌機等を用いた機械撹拌によって流動層内を強制的に撹拌混合する提案がなされている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0012】
又、特許文献3には、撹拌機によって反応塔内に設置されたドラフトチューブ内に下降流を形成する構成が提案されている。更に、特許文献4には、空気撹拌による方式として、反応塔内に内筒を設置し、この内筒内に上向流を形成する構成が提案されている。何れの提案も、粒子の流動性を高めて薬剤の分散性を高めることを目的としているが、特に特許文献4において提案された空気撹拌を用いるものが低動力であるために有効である。
【特許文献1】特開2004−321992号公報
【特許文献2】特開2000−288556号公報
【特許文献3】特開2003−305481号公報
【特許文献4】特開2006−289099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献3において提案された晶析装置においては、粒子の機械的な破砕を避けるために反応槽内で撹拌羽根を低回転で回す必要があり、大きな動力を必要とするという問題があった。
【0014】
又、特許文献4において提案された晶析装置においては、円筒体の内部に空気を供給する方式を採用しているため、円筒体の内部に上向流を発生させ、その外側に下降流を生じさせるために必要な空気量が多く、空気による乱れのために粒子同士の接触によって粒子が破砕されるという問題があった。
【0015】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、大きな動力を要することなく晶析処理能力を高めることができる晶析装置及び晶析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、反応槽の下部から廃水又は廃水と処理水の一部を通液するとともに気体を通気し、反応槽内に析出核となる種晶を上向流にて流動させ、廃水中の被処理イオンに薬剤を添加して前記種晶に難溶性塩を析出させることによって廃水中からイオン類を除去するとともに、気液分離した後の処理水を反応槽外へ排出する晶析装置において、
前記反応槽内を、水面上に突出する仕切板によって下部同士が連通する反応部と固液分離部とに区画するとともに、前記反応部を、水没する仕切板によって通気を行う通気部と通気を行わない循環部とに区画し、
前記通気部の下部に散気管を設置するとともに、廃水導入管を開口させて該通気部に廃水の上向流を形成し、
前記反応部の底面を前記循環部から前記通気部に向かって斜め下方に傾斜する斜面とし、
前記反応部内で種晶を循環流動させつつ、これに薬剤を添加し、反応部内の種晶の循環流動流の一部を前記固液分離部に流入させ、該固液分離部における固液分離によって清澄化された処理水を処理水排出管から反応槽外へ排出することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記反応部の循環部の水平断面積を通気部の水平断面積の1.1倍以上に設定したことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の晶析方法は、請求項1又は2記載の晶析装置を用いて晶析処理を行う方法であって、前記反応部の通気部における廃水の水量又は廃水と循環処理水の合計水量を線速度で50m/h以上に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載によれば、反応槽内の仕切り板の下方において大部分の固液混合流が反応部の通気部と循環部との間を循環する旋回流を形成し、この旋回流が維持されるため、通気部の下部に導入された廃水に含まれる被処理イオンは、通気部に供給された薬剤と接触する際に旋回流によって希釈されるために過飽和度が低減され、この結果、晶析反応が一層効率的になされ、当該晶析装置の晶析処理能力が高められる。
【0020】
又、本発明に係る晶析装置においては、固液の撹拌に空気を用いるため、機械的な大きな動力が不要となり、省エネルギー化を実現することができる。
【0021】
ところで、本発明者は、反応槽内の循環部の水平断面積を通気部の水平断面積の1.1倍以上に設定するとともに、通気部の水平断面積を下部から導入される廃水の水量(或いは廃水と処理水の一部(循環処理水)の合計水量)が線速度で50m/h以上となるよう設定することによって、散気管からの空気の供給量を必要最小限に抑えつつ、通気部と循環部に固液の旋回流を一層効率的に形成することができることを発見した。
【0022】
従って、請求項2及び3記載の発明によれば、晶析処理において良好な旋回流を発生させることができ、晶析装置の晶析処理能力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明に係る晶析装置の縦断面図であり、図示の晶析装置1は、反応槽2の下部から廃水又は廃水と処理水の一部を通液するとともに空気を通気し、反応槽2内に析出核となる種晶を上向流にて流動させ、廃水中の被処理イオンに薬剤を添加して前記種晶に難溶性塩を析出させることによって廃水中からイオン類を除去するとともに、気液分離した後の処理水を反応槽2外へ排出する装置であって、以下の特徴を有している。
【0025】
即ち、上方が開口した反応槽2内は、水面上に突出する仕切板3によって下部同士が連通する反応部4と固液分離部5とに区画されており、更に前記反応部4は、水没する仕切板6によって通気を行う通気部4Aと通気を行わない循環部4Bとに区画されている。ここで、反応槽2の底面は、固液分離部5から反応部4に向かって斜め下方に傾斜する斜面2aを形成しており、この斜面2aによって反応槽2の下部は下方に向かって絞られている。従って、反応部4Aの底面は、斜面2aの一部を構成しており、循環部4Bから通気部4Aに向かって斜め下方に傾斜している。
【0026】
又、反応槽2内の通気部4Aの下部には散気管7が設置され、この散気管7には空気供給管8が接続されている。そして、反応槽2内の通気部4Aの上部には薬剤供給管9が導入されている。
【0027】
更に、反応槽2内の通気部4Aの底部には廃水導入管10が開口しており、反応槽2の固液分離部5の上端からは処理水排出管11が導出しており、この処理水排出管11からは処理水供給管12が分岐し、この処理水供給管12は廃水導入管10に接続されている。
【0028】
次に、以上のように構成された晶析装置1を用いて実施される晶析方法について説明する。
【0029】
反応槽2内には、廃水中の被処理イオンを難溶性塩として析出させる核となる同種の粒子が種晶として所定高さ位置まで収容されており、廃水導入管10からは廃水が反応槽2の通気部4Aの下部から導入される。或いは、後述のように反応槽2の固液分離部5において固液分離されて処理水排出管11から反応槽2の外部へと排出される処理水の一部が処理水供給管12から廃水導入管10を流れる廃水に加えられ、これらの廃水と処理水の一部が反応槽2の通気部4Aの下部から導入される。この導入は、不図示ディストリビュータを介して原水を均一に上昇させるようにしても良い。又、同時に空気供給管8から散気管7へと供給される空気が反応槽2の通気部4Aの下部に通気されるとともに、通気部4Aに導入された廃水或いは廃水と処理水には薬剤供給管9から供給される薬剤が添加される。
【0030】
而して、上述のように反応槽2の通気部4Aに廃水(或いは廃水と処理水の一部)が下方から通液されるとともに、散気管7から空気が通気されると、空気の浮上によって通気部4Aに廃水(或いは廃水と処理水の一部)と種晶とが混合流となって通気部4Aを上向きに流れ、その過程で晶析反応が進行して種晶に廃水中の被処理イオンが難溶性塩として析出し、或る程度の大きさの固定粒子が生成される。又、空気は仕切板3より上方で大気中に排出される。
【0031】
晶析反応によって生成された固体粒子を含む固液混合流は、反応槽2内の仕切板6の上端を乗り越えて循環部4Bへと流れ込み、該循環部4Bを下向きに流れ、その一部は仕切板3の下方で固液分離部5側へと流れ込み、この固液分離部5を上向きに流れる過程で固液が分離され、固体粒子は重力によって沈降し、反応槽2の底部の斜面2aに沿って通気部4Aの底部へと移動して堆積する。又、イオン類が固体粒子として除去された後の廃水は清澄化されて処理水として処理水排出管11から反応槽2外へと排出され、必要に応じてその一部は処理水供給管12から反応槽2へと戻されて循環する。
【0032】
他方、反応槽内2の仕切板3の下方においては、大部分の固液混合流は通気部4Aにおける気固液混合流の上向きの流れに誘引されて反応部4の通気部4Aと循環部4Bとの間で旋回流となって循環する。
【0033】
而して、本実施の形態に係る晶析装置1においては、上述のように反応槽2内の仕切板3の下方において大部分の固液混合流が反応部4の通気部4Aと循環部4Bとの間を循環する旋回流を形成し、この旋回流が維持されるため、通気部4Aの下部に導入された廃水に含まれる被処理イオンは、薬剤供給管9から通気部4Aに供給された薬剤と接触する際に旋回流によって希釈されるために過飽和度が低減され、この結果、晶析反応が一層効率的になされ、当該晶析装置1の晶析処理能力が高められる。
【0034】
又、本実施の形態に係る晶析装置1においては、固液の撹拌に空気を用いるため、機械的な大きな動力が不要となり、省エネルギー化を実現することができる。
【0035】
ところで、本発明者は、反応槽2内の循環部4Bの水平断面積を通気部4Aの水平断面積の1.1倍以上に設定するとともに、通気部4Aの水平断面積を下部から導入される廃水の水量(或いは廃水と処理水の一部(循環処理水)の合計水量)が線速度で50m/h以上となるよう設定することによって、散気管7からの空気の供給量(通気量)を必要最小限に抑えつつ、通気部4Aと循環部4Bに固液の旋回流を一層効率的に形成することができることを発見した。このときの通気量は、通気部4Aの下部から導入される廃水の水量(或いは廃水と処理水の一部(循環処理水)の合計水量)の1〜5倍、望ましくは1.5〜3倍程度が適当であり、このように設定すると通気部4Aにおける混合流の平均流速を300〜500m/hとすることができる。
【0036】
晶析反応を効率的に進めるためには、反応槽内で被処理イオンは可能な限り希釈され、添加された薬剤は速やかに分散されることが必要である。即ち、被処理イオンと薬剤は互いに濃度が高い状態での接触は避けた方が良い。これを実現するためには、例えば図1に示す晶析装置1における反応槽2内の通気部4Aと循環部4B間における旋回流速は高い方が望ましい。
【0037】
旋回流速を高めるためには、散気管7からの空気供給量(通気量)を上げることが効果的であるが、空気供給量を上げ過ぎると気泡による液の乱れが大きくなり過ぎ、結果として粒子同士の接触による破砕が生じて処理水質の悪化を招いてしまう。
【0038】
本発明では、反応部4の循環部4Bの水平断面積を通気部4Aの水平断面積の1.1倍以上に設定し、通気部4Aにおける廃水の水量又は廃水と循環処理水の合計水量を50m3
/h以上に設定することによって、晶析処理において良好な旋回流を発生させることができ、当該晶析装置1の晶析処理能力を高めることができた。
【実施例】
【0039】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0040】
本実施例では、図2に示す晶析装置1’を用いて、被処理イオンとしてリン酸イオンを含む廃水の晶析処理を薬剤としてCa塩を添加することによって行った。晶析装置1’の仕様と処理条件は以下の通りである。
【0041】
反応槽寸法 :図2参照
廃水リン濃度 :100mgP/L
廃水流量 :4.5L/min
通気部での上向流速:54m/h
通気量 :10NL/min
種晶 :リン鉱石(粒径0.2mmφ)
種晶充填高さ :25cm
使用薬剤 :消石灰
操作pH :9
処理水循環水量 :0
<比較例1>
比較例1として図2に示す晶析装置1’を用いて晶析処理を行った。処理条件としては廃水流量を1L/min(通気部4Aでの上向流速12/h)、通気量を65NL/minとして以外は実施例と同じとした。通気量は、目視により反応槽2内に旋回流が形成され、粒子が良好に流動している状態となるよう調整した結果、65NL/minとなった。
【0042】
<比較例2>
比較例2として図3に示す晶析装置1”を用いて実施例と同条件で晶析処理を行った。この場合、通気量は、目視により反応槽2内に旋回流が形成され、粒子が良好に流動している状態となるよう調整した。尚、図2及び図3においては、図1に示したものと同一要素には同一符号を付している。
【0043】
以上の実施例と比較例1,2における処理結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

実施例と比較例1,2においては、晶析装置1’,1”の本体構造は同一とし、仕切板3,6の位置を変えたため、反応槽2内の固液分離部5の水平断面積が異なったが、両晶析装置1’,1”において固定粒子の分離は良好に行われた。
【0045】
実施例と比較例1においては晶析装置1’は共通ではあるが、反応槽2内の通気部4Aへの廃水流量が1L/minと少ない比較例1では、旋回流を生じさせるための通気量が65NL/minと増加するため、晶析処理能力が低下した。具体的には、実施例の除去率が79%と高いのに対して、比較例1では除去率は59%と低い値を示す。
【0046】
又、実施例と比較例2において、反応槽2の通気部4Aの水平断面積を実施例のそれに対して大きくすると(実施例における断面積比(循環部4Bの水平断面積/通気部4Aの水平断面積)が1.2であるのに対して、比較例2における断面積比は0.86と1.1よりも小さくなる)、通気量が増加し、晶析処理能力は低下した(実施例の除去率が79%であるのに対して比較例2の除去率は65%を示す)。これは、通気部4Aの水平断面積が増加したために該通気部4Aでの流速が低下し、旋回流を形成するために必要な通気量が増加したために液の乱れが大きくなり、粒子同士の破砕によって処理水質の悪化を招いた結果であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る晶析装置の縦断面図である。
【図2】実施例と比較例1に係る晶析装置の断面斜視図である。
【図3】比較例2に係る晶析装置の断面斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 晶析装置
2 反応槽
2a 反応槽の斜面
3 仕切板
4 反応部
4A 反応部の通気部
4B 反応部の循環部
5 固液分離部
6 仕切板
7 散気管
8 空気供給管
9 薬剤供給管
10 廃水導入管
11 処理水排出管
12 処理水供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応槽の下部から廃水又は廃水と処理水の一部を通液するとともに気体を通気し、反応槽内に析出核となる種晶を上向流にて流動させ、廃水中の被処理イオンに薬剤を添加して前記種晶に難溶性塩を析出させることによって廃水中からイオン類を除去するとともに、気液分離した後の処理水を反応槽外へ排出する晶析装置において、
前記反応槽内を、水面上に突出する仕切板によって下部同士が連通する反応部と固液分離部とに区画するとともに、前記反応部を、水没する仕切板によって通気を行う通気部と通気を行わない循環部とに区画し、
前記通気部の下部に散気管を設置するとともに、廃水導入管を開口させて該通気部に廃水の上向流を形成し、
前記反応部の底面を前記循環部から前記通気部に向かって斜め下方に傾斜する斜面とし、
前記反応部内で種晶を循環流動させつつ、これに薬剤を添加し、反応部内の種晶の循環流動流の一部を前記固液分離部に流入させ、該固液分離部における固液分離によって清澄化された処理水を処理水排出管から反応槽外へ排出することを特徴とする晶析装置。
【請求項2】
前記反応部の循環部の水平断面積を通気部の水平断面積の1.1倍以上に設定したことを特徴とする請求項1記載の晶析装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の晶析装置を用いて晶析処理を行う方法であって、前記反応部の通気部における廃水の水量又は廃水と循環処理水の合計水量を線速度で50m/h以上に設定することを特徴とする晶析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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