説明

暖房機

【課題】面接触による伸縮により発生する「カンカン」音を阻止した暖房機を提供する。
【解決手段】バーナ部1の燃焼で発生した燃焼ガスを流通させて放熱する放熱器4と、この放熱器4内には放熱面となる前面側と、燃焼ガスの流入口5と流出口6を有する背面側とを仕切る横長板状の仕切板7を備えたもので、前記仕切板7は、中央下端を一点スポット溶接10し、左右上端を仕切板7表面と複数の点で接触した左支持金具12と右支持金具13で支持されていることにより、仕切板7が熱膨張や収縮で伸縮しても「カンカン」音の発生を防止するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はバーナ部の燃焼による燃焼ガスで放熱器を加熱して室内の暖房を行う暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、放熱器内を前後に仕切る仕切板を備え、後方から放熱器内に流入する燃焼ガスを前面側に案内することで、放熱部分となる放熱器の前面側が強力に加熱され、前方への放熱が良好に行われるものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−298194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、仕切板自体が強力に加熱されることで、燃焼時の熱膨張と消火時の収縮により、仕切板とこの仕切板を放熱器内で固定する固定金具との間で、膨張収縮が抑制されることいで「カンカン」と言う金属音が発生し極めて耳障りになる課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決するため、特にその構成を、バーナ部の燃焼で発生した燃焼ガスを流通させて放熱する放熱器と、この放熱器内には放熱面となる前面側と、燃焼ガスの流入口と流出口を有する背面側とを仕切る横長板状の仕切板を備えたものに於いて、前記仕切板は、中央下端を一点スポット溶接し、左右上端を仕切板表面と複数の点で接触した左支持金具と右支持金具で支持されているものである。
【0006】
又請求項2では、前記仕切板表面と左右支持金具との間には、金網を設けて複数の点での接触を可能としたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、横長板状の仕切板を3点で支持し、中央下端を一点スポット溶接して、左右上端を仕切板表面と複数の点で接触した左右支持金具で支持したことで、面接触とは異なり複数点接触となり接触面積が少なく、支持はするが伸縮の抑制は行われないので、「カンカン」音の発生を防止して静かで良好な暖房を得ることが出来、長期に渡って安心して使用出来るものである。
【0008】
又請求項2によれば、仕切板表面と左右支持金具との間には、金網を設けて複数点接触としたので、極めて容易に複数点接触が可能となり、簡単な構成でありながら異音のしない良好な効果を得ることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態の暖房機の斜視図。
【図2】同一部分解した斜視図。
【図3】同要部の一部切断斜視図。
【図4】同要部の他の一部切断斜視図。
【図5】同金網取り付け状態の仕切板の説明図。
【図6】同要部の熱膨張前の断面図。
【図7】同要部の熱膨張状態の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明に係る暖房機を図面に示された一実施形態に基づいて説明する。
1はバーナ部で、燃焼ファン2からの燃焼空気の供給及び、燃料供給手段(図示せず)からの燃料の供給を受けて、燃焼して燃焼ガスを生成するものである。
【0011】
3はバーナ部1上に位置し、該バーナ部1と連通した角柱状の燃焼筒で、上方には扁平最中状の放熱器4が連通している。
この放熱器4の背面側はやや外方に突出した形状で、この正面側の向かって下側に燃焼ガスの流入口5を有し、向かって右側には流出口6が設けられている。
【0012】
7は放熱器4内を前後に仕切るように中央に備えられた横長板状の仕切板で、向かって右側の流入口5側を密の直径5mmの小穴8を複数ここでは45個形成し、左側の流出口6側には直径4.5mmの小穴9を粗に54個形成して、流入口5側では流入してくる燃焼ガスを積極的に前方へ流入させて、放熱器4前面を加熱して遠赤の放熱量を増大させるようにし、流出口6側では前方へ流出した燃焼ガスが後方へ逃げず逆に前方へ流出するようにしているものである。
【0013】
又前記仕切板7は放熱器4内で3点支持されており、中央下端の一点スポット溶接10で固定し、正面から見て向かって左端上端及び右端上端には、33メッシュ、線径φ0.29、材質がカンタルAFからなる金網11をそれぞれ折り返して背面上端まで覆ってスポット溶接で固定され、そして、この2つの金網11の上から通常時は接触せず、加熱による熱膨張時のみ金網11の編み込みの交差部分と複数の点接触するように左右支持金具12、13で支持されるものであり、この左支持金具12の他端は放熱器4内で仕切板7の側方に溶接固定され、右支持金具13の他端は放熱器4内で仕切板7の上方に溶接固定されているものである。
【0014】
一方放熱器4の前面側には、遠赤塗料が塗布されて遠赤外線を放射すると共に、補強用に複数本のビード14が形成されている。
【0015】
15は放熱器4を通過後の燃焼ガスが流通する熱交換器で、放熱器4背面に位置し複数本のパイプを並設して構成され、放熱器4を加熱後の燃焼ガスを流通させることにより、対流ファン(図示せず)の駆動による送風を熱交換で温風として室内に放出するものである。
【0016】
16は燃焼筒3の正面に形成された大きな覗き窓で、バーナ部1の燃焼により形成される青い炎が見られるようにしたものである。
17は器具本体18の正面上部に備えられた操作部、19は操作部17の操作内容や運転状態を表示する表示部、20は器具本体18正面を覆ったガード体である。
【0017】
次にこの一実施形態の作動について説明すれば、今バーナ部1の燃焼で発生した燃焼ガスが、燃焼筒3から流入口5を通り放熱器4に流入し、ここで燃焼ガスは仕切板7自身に邪魔されるが、流入口5と対向する位置には複数の小穴8、9が形成されているので、この小穴8、9を通り一部の燃焼ガスは放熱器4内前面に流通して該前面を加熱することにより、放熱器4から遠赤外線を放射させて良好な暖房を行うものである。
【0018】
一方放熱器4を加熱後に仕切板7一側方の小穴9を通過した燃焼ガス及び、流入口5から流入し小穴8、9を通過しなかった燃焼ガスは、放熱器4一側方の流出口6から熱交換器15に流入し、対流ファン(図示せず)からの室内空気の送風を熱交換で温風として室内を温風暖房するものである。
【0019】
前記仕切板7は、放熱器4内前面への大量の燃焼ガスの流通を抑制し、且つ調整して赤熱を防止しながら遠赤外線を良好に放出させる為のもので、流入口5と対向する部分の小穴8を密に形成し、そこから離れると粗になるように小穴9を形成したことで、放熱器4前面の過熱による赤熱を防止して使用者に不安感を与えないようにしているものである。
【0020】
更に仕切板7は加熱されることで熱膨張して図 に示すように、左右支持金具12、13に接触しようとするが、この左右支持金具12、13と対向する仕切板7の表面には金網11が設けられているので、左右支持金具12、13はそれぞれの金網11の交差部分と複数の点接触し、従来のように面接触で膨張を抑制することがないので、「カンカン」音を防止することが出来、又仕切板7の冷却による収縮の時も複数の点接触による支持のため、抑制力は弱く「カンカン」音の発生は防止出来、使用者に不安感を与えることがなく安心して使用出来るものである。
【0021】
又仕切板7は高さ方向の中央部から前方へ向かって「く」の字に屈曲されており、大きな熱が加えられても変形しないように強度を持たせているものであり、この点からも変形や焼損が阻止され、長期に渡って燃焼ガスの案内を良好に行うことが出来るものである。
【0022】
尚、ここで仕切板7は下端が一点スポット溶接10されていることから、熱膨張で上方へ約2mm伸びて上記のように左右支持金具12、13と接触するものである。
又複数の点で接触するものとして、金網11の他に、仕切板7或いは左右支持金具12、13のそれぞれの接触する部分に複数の突起を形成するようにしても良いものである。
【符号の説明】
【0023】
1 バーナ部
4 放熱器
5 流入口
6 流出口
7 仕切板
8、9 小穴
10 一点スポット溶接
12、13 左右支持金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ部の燃焼で発生した燃焼ガスを流通させて放熱する放熱器と、この放熱器内には放熱面となる前面側と、燃焼ガスの流入口と流出口を有する背面側とを仕切る横長板状の仕切板を備えたものに於いて、前記仕切板は、中央下端を一点スポット溶接し、左右上端を仕切板表面と複数の点で接触した左支持金具と右支持金具で支持されている事を特徴とする暖房機。
【請求項2】
前記仕切板表面と左右支持金具との間には、金網を設けて複数の点での接触を可能とした事を特徴とする請求項1記載の暖房機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−167839(P2012−167839A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27500(P2011−27500)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)