説明

暖房用ヒートポンプシステム

【課題】熱エネルギーや資源を無駄に捨てることなく、暖房用ヒートポンプユニットのCOPを比較的高く保つことを目的とする。
【解決手段】貯湯槽5の比較的下方から採取した中温水を循環させて貯湯槽5に戻す中温水循環経路11および中温水循環手段10と、中温水循環経路11の途中に位置して中温水の熱を放熱する放熱手段12と、屋内気温よりも低温の外気を導入する熱交換換気装置15と、ヒートポンプユニットおよび水循環手段7および温水循環手段8および中温水循環手段10とを制御する制御手段14とを備え、放熱手段12は熱交換換気装置15によって導入される外気に対して放熱して中温水の水温を所定の温度以下に冷却してから水循環手段7を作動させてヒートポンプユニットにより加熱するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ技術を利用した家庭用暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にヒートポンプにおいて、使用冷媒で加熱できる温度範囲のうち比較的低い温度域で冷凍サイクルを構成するとエネルギー効率(COP)が高く、比較的高い温度域で運転するとCOPが低くなる。給湯用ヒートポンプでは比較的低温(10〜25℃)の水道水から65℃程度の温水を作り出すため大きな問題とならないが、温水を循環使用する暖房用ヒートポンプでは課題となる。多くの暖房機器では出入り口の温度差が比較的小さいため、比較的高い温度域での運転が多くなるためである。
【0003】
この課題を解決するため、特許文献1では水道水の一部を貯湯槽の下部に設置した熱交換器に導入して下部の水温を下げることによって、COPが下がらないような構成にしている。また、温められた水道水を出湯温度の調整用に利用するため、熱エネルギーを無駄に捨てることのないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−39305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術を欧州の一般家庭など給湯水の使用量の比較的少ない環境で用いようとすると、貯湯槽の下部の水温を下げる効果と、出湯温度を調整する効果を両立する必要があるために極めて限られた条件でしか稼動できないという課題がある。そのため、実際の使用条件では、貯湯槽の下部の水を十分に冷却することが出来ずCOPが低下してしまう、あるいは冷却用の水道水と熱エネルギーの一部を無駄に捨てるという問題が生じると思われる。後者の場合は、名目上のCOPを向上することにはなっても実際にはCOP向上効果と同じ量の熱を無駄に捨てることになるため、実質的な効果は無いといえる。
【0006】
本発明は、熱エネルギーや資源を無駄に捨てることなく、暖房用ヒートポンプのCOPを比較的高く保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機から構成されるヒートポンプユニットと、前記凝縮器から熱を受け取って生成した温水を貯蔵する貯湯槽と、前記貯湯槽に水道水を供給する給水手段と、前記貯湯槽と前記凝縮器との間で水を循環する水循環手段と、前記ヒートポンプユニットによって生成した熱を室内で放出する暖房端末機器と、前記暖房端末機器と前記貯湯槽との間で温水を循環する温水循環手段と、前記貯湯槽の比較的下方から採取した中温水を循環させて前記貯湯槽に戻す中温水循環経路および中温水循環手段と、前記中温水循環経路の途中に位置して中温水の熱を放熱する放熱手段と、屋内気温よりも低温の外気を導入する換気手段と、前記ヒートポンプユニットおよび前記水循環手段および前記温水循環手段および前記中温水循環手段とを制御する制御手段とを備え、前記放熱手段は前記換気手段によって導入される外気に対して放熱して前記中温水の水温を所定の温度以下に冷却してから前記水循環手段を作動させてヒートポンプユニットにより加熱するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
その結果、熱エネルギーや水資源を無駄に捨てることなく、暖房用ヒートポンプユニットのCOPを比較的高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態における暖房用ヒートポンプシステムの構成図
【図2】第2の実施形態における暖房用ヒートポンプシステムの構成図
【図3】本発明の実施の形態2における熱交換換気装置の構成図
【図4】第3の実施形態における暖房用ヒートポンプシステムの構成図
【図5】第4の実施形態における暖房用ヒートポンプシステムの構成図
【図6】従来技術のヒートポンプシステムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機から構成されるヒートポンプユニットと、前記凝縮器から熱を受け取って生成した温水を貯蔵する貯湯槽と、前記貯湯槽に水道水を供給する給水手段と、前記貯湯槽と前記凝縮器との間で水を循環する水循環手段と、前記ヒートポンプユニットによって生成した熱を室内で放出する暖房端末機器と、前記暖房端末機器と前記貯湯槽との間で温水を循環する温水循環手段と、前記貯湯槽の比較的下方から採取した中温水を循環させて前記貯湯槽に戻す中温水循環経路および中温水循環手段と、前記中温水循環経路の途中に位置して中温水の熱を放熱する放熱手段と、屋内気温よりも低温の外気を導入する換気手段と、前記ヒートポンプユニットおよび前記水循環手段および前記温水循環手段および前記中温水循環手段とを制御する制御手段とを備え、前記放熱手段は前記換気手段によって導入される外気に対して放熱して前記中温水の水温を所定の温度以下に冷却してから前記水循環手段を作動させてヒートポンプユニットにより加熱するようにした暖房用ヒートポンプシステムである。屋内の空気は常に所定量以上の換気がおこなわれるので、導入空気に放熱することによって、前記中温水を冷却してCOPを比較的高い値に保つことが出来る。また、導入空気を暖めるために熱エネルギーを用いるので熱カスケード利用により屋内空調に役立てることが出来る。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、中温水の温度を検知する水温検知手段を有し、制御手段は前記水温検知手段により前記中温水の温度が水道水よりも高く前記温水の温度よりも低い所定の温度域であると検知した場合に中温水循環手段を作動させて前記中温水を放熱してその水温を所定の温度以下に冷却してから水循環手段を作動させてヒートポンプユニットにより加熱するようにしたものである。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、ヒートポンプユニットは冷媒がCO2であることを特徴とするものである。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、屋外気温を検知し制御手段に屋外気温を伝達する屋外気温検知手段を有し、制御手段は前記屋外気温検知手段によって検知した屋外気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させるようにしたものである。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器よりも屋内側に設けられた水/空気熱交換器であり、熱交換後の屋内導入気温を検知し制御手段に導入気温を伝達する導入気温検知手段を有し、制御手段は前記導入気温検知手段によって検知した導入気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させるようにしたものである。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器内の温度勾配と中温水の温度勾配とが並列になるように前記熱交換器と一体に設けられ、屋外気温を検知する屋外気温検知手段を有し、制御手段は前記屋外気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させるようにしたものである。
【0016】
第7の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器よりも屋外側および屋内側に分離して設けられた二つの水/空気熱交換器であり、熱交換後の屋内導入気温を検知する導入気温検知手段とを有し、制御手段は前記導入気温に基づいて中温水循環手段を作動させるようにしたものである。
【0017】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明の暖房用ヒートポンプシステムにおいて、制御手段は、換気手段の屋内導入空気の温度が屋内の気温以上となるように中温水循環手段の循環流量を制御するようにしたものである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態における暖房用ヒートポンプシステムの構成図を示すものである。
【0020】
図1において、凝縮器1と膨張弁2と蒸発器3と圧縮機4はヒートポンプユニットを構成する。貯湯槽5は水道などの給水手段6により導入された低温水を一時的に貯水する。水循環手段7は低温水を凝縮器1で熱交換して加熱し、生成した高温水は貯湯槽5の上部から貯水される。温水循環手段8は貯湯槽5上部の温水を暖房端末機器9に導入して熱供給する。温水はやや温度が低下した中温水となり貯湯槽5に戻されて、比重が比較的大きいため主に下部に溜まる。中温水循環手段10は中温水を中温水循環経路11に流し、放熱手段12で放熱させてから再度、貯湯槽5の下部に戻す。貯湯槽5内の下部には貯水の温度を検知するための水温検知手段13が設けられる。また、制御手段14は前記ヒートポンプユニットおよび水循環手段7および温水循環手段8および中温水循環手段10の動作制御をおこなう。放熱手段12は、換気手段のひとつである熱交換換気装置15の熱交換器16よりも室内側の換気流路内に設置される。導入気温検知手段17は、熱交換器16と放熱手段12との間に設置される。水温検知手段13および導入気温検知手段17により検知された温度情報は制御手段14に入力される。貯湯槽5内の湯の一部はシャワーやカランなどの給湯出口18から出湯されるが、本発明の実施例では給湯出口18からの出湯よりも暖房端末機器9による熱消費が相対的に大きく、したがって湯の循環使用が多い場合を想定している。
【0021】
前記ヒートポンプユニットの作動媒体としては、R22、R410A、R407C、R744(CO2)などの各種冷媒が用いられ、本発明ではいずれの冷媒の場合でも、単体のヒートポンプユニットに比べてCOPを向上する効果がある。特に、CO2冷媒の場合は他の冷媒に比べてCOP値が凝縮器の出口温度により鋭敏に反応するため、より大きなCOP向上効果が期待できる。
【0022】
暖房端末機器9としては、暖房用ラジエターや床暖房ユニットを想定している。また、放熱手段12は水と導入空気の間で熱交換するためのものであり、クロスフィン型熱交換器を一般的な形態として考える。
【0023】
熱交換換気装置15は、汚れた室内の空気と新鮮な外気との間で熱交換するためのものである。その熱交換効率は一般に70%程度であり、例えば室内気温20℃で屋外気温0℃の場合には、熱交換後の室内導入空気の温度は式(1)に従って14℃と見込まれる。
【0024】
(20℃−0℃)×70%+0℃=14℃ 式(1)
したがって、熱交換換気装置15は熱交換をおこなっているとはいえ厳寒期の導入空気は室温より低く、熱交換換気装置15単独で用いると屋内の人に冷感を与える可能性がある。
【0025】
以上のように構成された暖房用ヒートポンプシステムの特徴的な部分について、以下その作用を説明する。
【0026】
通常、貯湯槽5内に貯湯される温度は衛生上有害な細菌の増殖を抑えるために65℃以上である。また、暖房端末機器9では快適性を保つために入口と出口の温度差は5℃程度に制御される。暖房端末機器9との間の熱交換を工夫しても温水循環手段8による戻り水は通常35℃程度であることが多い。本実施例では、戻り水が35℃であり、したがって貯湯槽5の下部に溜まる中温水の温度が35℃の例について述べる。また、下記の例で室温は20℃、屋外気温は0℃、熱交換換気装置15の熱交換効率は70%とする。
【0027】
水温検知手段13および中温水循環経路11の採取口は、貯湯槽5内の略同じ深さに設けられる。制御手段14は以下の二つの条件がそろうと、中温水循環手段10を作動させて、中温水の冷却をおこなう。
【0028】
条件1:水温検知手段13によって貯湯槽5内に中温水の存在が検知されること
条件2:導入気温検知手段17によって検知される導入気温が中温水の温度を下回ること
上記の2条件が満たされると、制御手段14は中温水循環手段10を作動させて中温水を放熱手段12により冷却したのち、貯湯槽5の底部に導入する。冷却後の水は35℃よりも低温であるため主に底部に溜まる。中温水循環手段10の稼動は、水温検知手段13がその設置深さにおける水温が35℃よりも低くなったことを検知するまで継続する。中温水循環手段10の停止後、制御手段14は水循環手段7およびヒートポンプユニットを稼動させて冷却後の水から65℃まで沸きあげる。35℃の中温水から沸きあげるよりもCOP値は高くなる。
【0029】
以上のように、凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機から構成されるヒートポンプユニットと、前記凝縮器から熱を受け取って生成した温水を貯蔵する貯湯槽と、前記貯湯槽に水道水を供給する給水手段と、前記貯湯槽と前記凝縮器との間で水を循環する水循環手段と、前記ヒートポンプユニットによって生成した熱を室内で放出する暖房端末機器と、前記暖房端末機器と前記貯湯槽との間で温水を循環する温水循環手段と、前記貯湯槽の比較的下方から採取した中温水を循環させて前記貯湯槽に戻す中温水循環経路および中温水循環手段と、前記中温水循環経路の途中に位置して中温水の熱を放熱する放熱手段と、屋内気温よりも低温の外気を導入する換気手段と、前記ヒートポンプユニットおよび前記水循環手段および前記温水循環手段および前記中温水循環手段とを制御する制御手段とを備え、前記放熱手段は前記換気手段によって導入される外気に対して放熱して前記中温水の水温を所定の温度以下に冷却してから前記水循環手段を作動させてヒートポンプユニットにより加熱することによって、熱エネルギーや資源を無駄に捨てることなく、暖房用ヒートポンプユニットのCOPを比較的高く保つことができる。
【0030】
また、以上のように中温水の温度を検知する水温検知手段を有し、制御手段は前記水温検知手段により前記中温水の温度が水道水よりも高く前記温水の温度よりも低い所定の温
度域であると検知した場合に中温水循環手段を作動させて前記中温水を放熱してその水温を所定の温度以下に冷却してから水循環手段を作動させてヒートポンプユニットにより加熱することによって、中温水が存在する場合のみ中温水循環手段10を稼動することが可能で中温水循環のためのエネルギー消費を最小化することができる。
【0031】
なお、中温水の温度は暖房端末機器9の仕様によって異なるため、設置の際に組み合わせる暖房端末機器に応じて中温水の温度設定を変更できるように制御手段14を構成する。
【0032】
一方、熱交換換気装置15で、熱交換器16から室内側に導入される空気の温度は計算上14℃であるが、放熱手段12を通過することによって加熱される。単独の熱交換換気装置であれば冬の室内導入空気は室内気温よりも低く、換気導入口付近では居住者に冷感を与えるという欠点があったが、本実施形態のように暖房用ヒートポンプユニットとシステム化することによって冷感の課題が解決可能である。
【0033】
以上のように、換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器よりも屋内側に設けられた水/空気熱交換器であり、熱交換後の屋内導入気温を検知し制御部に導入気温を伝達する導入気温検知手段を有し、制御手段は前記導入気温検知手段によって検知した導入気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させることによって、換気による冷感を防ぎつつ同時にCOP向上効果が発揮可能である。
【0034】
また、本発明のヒートポンプシステムを用いることによって、暖房端末機器9だけでなく熱交換換気装置15の室内導入空気が部分的にまかなって暖房をおこなうことも可能である。例えば、必要な暖房出力の7〜9割程度を暖房端末機器9によってまかない、残りの1〜3割を室内導入空気によっておこなうことができる。その場合は、室内導入空気の温度は室温の20℃よりも高くなる。換気導入口を室内の低い位置に設置した場合には、足元に温感を与えることができて快適性を向上させることができる。また、暖房端末機器9だけで暖房する場合に比べて暖房端末機器9の出力を下げることができるため、中温水の冷却手段を小出力化することが可能で、結果的に放熱手段12および中温水循環手段10を小型化することが可能となる。
【0035】
以上のように、制御手段は、換気手段の屋内導入空気の温度が屋内の気温以上となるように中温水循環手段の循環流量を制御することによって、比較的小型の構成によってCOP向上効果が発揮可能で、かつ室内導入空気を暖めることによる温感効果を発揮可能である。
【0036】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態の暖房用ヒートポンプシステムの構成図である。本実施の形態の構成および動作は第1の実施の形態と共通の部分が多いため、異なる部分のみを以下に説明する。
【0037】
本実施の形態の放熱手段12は、図3に示すように熱交換換気装置15の熱交換器16と一体化して構成され、熱交換器内の空気の温度勾配と中温水循環経路11内の水の温度勾配とが並列になるように設けられたものである。図3の着色部は高温流体を表す。また、矢印は熱交換器に導入される空気を示す。
【0038】
本実施例では、屋外気温検知手段19が熱交換換気装置15の外気導入部に設けられる。制御手段14は以下の二つの条件がそろうと、中温水循環手段10を作動させて、中温水の冷却をおこなう。
【0039】
条件1:水温検知手段13によって貯湯槽5内に中温水の存在が検知されること
条件2:屋外気温検知手段19によって検知される屋外気温が中温水の温度を下回ること
熱交換器16の外部に放熱手段12を設けた実施の形態1に比べて、放熱手段12の設置スペースが不要であり全体として小型に構成することが可能であるという特長を持つ。また、図3左側の低温部では、低温の外気と中温水循環経路11とが接しているために、中温水を低温化する効果が大きい。一方で、中温水の熱の一部が熱交換換気によって屋外に捨てられるため、その点で熱エネルギー的には無駄を生じうる。
【0040】
以上のように、換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器内の温度勾配と中温水の温度勾配とが並列になるように前記熱交換器と一体に設けられ、屋外気温を検知する屋外気温検知手段を有し、制御手段は前記屋外気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させることによって、小型なシステムとすることおよび中温水を冷却しやすいという特長がある。
【0041】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態の暖房用ヒートポンプシステムの構成図である。本実施の形態の構成および動作は第1の実施の形態と共通の部分が多いため、異なる部分のみを以下に説明する。
【0042】
本実施の形態の放熱手段12は、図4に示すように二つに分割され、その一つ12bは実施の形態1と同じく熱交換換気装置15の熱交換器16よりも屋内側に、もう一つ12aは熱交換器16の屋外側のそれぞれ空気流路内に設けられる。
【0043】
本実施の形態では、導入気温検知手段17が熱交換器16の屋内側に設けられる。中温水循環手段10の作動条件は実施の形態1と同じである。
【0044】
放熱手段の一つ12aを熱交換器の屋外側に設けることにより、実施の形態1に比べて中温水を冷却する効果がより大きいためCOP値を向上する効果がより大きいものと期待できる。また、実施例1よりも高い外気温の場合でも冷却可能である。一方で、中温水の熱の一部が熱交換換気によって屋外に捨てられるため、その点で熱エネルギー的には無駄を生じうる。
【0045】
以上のように、換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器よりも屋外側および屋内側に分離して設けられた二つの水/空気熱交換器であり、熱交換後の屋内導入気温を検知する導入気温検知手段を有し、制御手段は前記導入気温に基づいて中温水循環手段を作動させることによって、中温水を冷却しやすいという特長がある。
【0046】
(実施の形態4)
図5は、本発明の第4の実施の形態の暖房用ヒートポンプシステムの構成図である。本実施の形態の構成および動作は第1の実施の形態と共通の部分が多いため、異なる部分のみを以下に説明する。
【0047】
本実施の形態の換気手段20は熱交換を伴わない換気をおこなう。放熱手段12は、換気手段20の屋内側の空気流路内に設けられる。
【0048】
本実施の形態では、屋外気温検知手段19が放熱手段12の屋外側に設けられる。制御手段14は以下の二つの条件がそろうと、中温水循環手段10を作動させて、中温水の冷却をおこなう。
【0049】
条件1:水温検知手段13によって貯湯槽5内に中温水の存在が検知されること
条件2:屋外気温検知手段19によって検知される屋外気温が中温水の温度を下回ること
本実施の形態では、実施の形態1〜3に比べて最も低い屋外気温で中温水を冷却することができるためCOP値を向上する効果がより大きいものと期待できる。また、換気手段20をヒートポンプユニットと組み合わせなかった場合に比べて、室内導入空気の気温を向上させる効果が大きいという特長がある。一方で、屋内のどこかで排気がおこなわれているため、組み合わせなかった場合と家屋からの放熱量は同じである。
【0050】
以上のように、屋外気温を検知し制御部に屋外気温を伝達する屋外気温検知手段を有し、制御手段は前記屋外気温検知手段によって検知した屋外気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させることにより、比較的小型の構成によってCOP向上効果が発揮可能で、かつ室内導入空気を暖めることによる温感効果を発揮可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる暖房用ヒートポンプシステムは、熱エネルギーや資源を無駄に捨てることなく、暖房用ヒートポンプユニットのCOPを比較的高く保つことができるので、食品加工や醸造、化学工業など様々な産業での恒温(反応)槽での槽温度一定化のための加熱用途などにも適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 凝縮器
2 膨張弁
3 蒸発器
4 圧縮機
5 貯湯槽
6 給水手段
7 水循環手段
8 温水循環手段
9 暖房端末機器
10 中温水循環手段
11 中温水循環経路
12 放熱手段
13 水温検知手段
14 制御手段
15 熱交換換気装置
16 熱交換器
17 導入気温検知手段
18 給湯出口
19 屋外気温検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機から構成されるヒートポンプユニットと、
前記凝縮器から熱を受け取って生成した温水を貯蔵する貯湯槽と、
前記貯湯槽に水道水を供給する給水手段と、
前記貯湯槽と前記凝縮器との間で水を循環する水循環手段と、
前記ヒートポンプユニットによって生成した熱を室内で放出する暖房端末機器と、
前記暖房端末機器と前記貯湯槽との間で温水を循環する温水循環手段と、
前記貯湯槽の比較的下方から採取した中温水を循環させて前記貯湯槽に戻す中温水循環経路および中温水循環手段と、
前記中温水循環経路の途中に位置して中温水の熱を放熱する放熱手段と、
屋内気温よりも低温の外気を導入する換気手段と、
前記ヒートポンプユニットおよび前記水循環手段および前記温水循環手段および前記中温水循環手段とを制御する制御手段とを備え、
前記放熱手段は前記換気手段によって導入される外気に対して放熱して前記中温水の水温を所定の温度以下に冷却してから前記水循環手段を作動させてヒートポンプユニットにより加熱するようにした暖房用ヒートポンプシステム。
【請求項2】
中温水の温度を検知する水温検知手段を有し、制御手段は前記水温検知手段により前記中温水の温度が水道水よりも高く前記温水の温度よりも低い所定の温度域であると検知した場合に中温水循環手段を作動させて前記中温水を放熱してその水温を所定の温度以下に冷却してから水循環手段を作動させてヒートポンプユニットにより加熱するようにした請求項1記載の暖房用ヒートポンプシステム。
【請求項3】
ヒートポンプユニットは冷媒がCO2であることを特徴とする請求項1または2記載の暖房用ヒートポンプシステム。
【請求項4】
屋外気温を検知し制御手段に屋外気温を伝達する屋外気温検知手段を有し、制御手段は前記屋外気温検知手段によって検知した屋外気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させるようにした請求項1〜3のいずれか1項記載の暖房用ヒートポンプシステム。
【請求項5】
換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器よりも屋内側に設けられた水/空気熱交換器であり、熱交換後の屋内導入気温を検知し制御手段に導入気温を伝達する導入気温検知手段を有し、制御手段は前記導入気温検知手段によって検知した導入気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させるようにした請求項1〜3のいずれか1項記載の暖房用ヒートポンプシステム。
【請求項6】
換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器内の温度勾配と中温水の温度勾配とが並列になるように前記熱交換器と一体に設けられ、屋外気温を検知する屋外気温検知手段を有し、制御手段は前記屋外気温が中温水の温度よりも低い場合に中温水循環手段を作動させるようにした請求項1〜3のいずれか1項記載の暖房用ヒートポンプシステム。
【請求項7】
換気手段は熱交換換気装置であり、放熱手段は前記熱交換気装置の熱交換器よりも屋外側および屋内側に分離して設けられた二つの水/空気熱交換器であり、熱交換後の屋内導入気温を検知する導入気温検知手段を有し、制御手段は前記導入気温に基づいて中温水循環手段を作動させるようにした請求項1〜3のいずれか1項記載の暖房用ヒートポンプシステム。
【請求項8】
制御手段は、換気手段の屋内導入空気の温度が屋内の気温以上となるように中温水循環手段の循環流量を制御するようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の暖房用ヒートポンプシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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