説明

暖房装置

【課題】燃焼ガスを用いて遠赤外線を輻射させることで暖房効果を高めると共に安全性の高い暖房装置を提供する。
【解決手段】暖房装置1に、給気口3と排気口4とを屋外に開口させ一部が屋内に配置されると共に燃焼ガスが流通可能な燃焼ガス流路5と、燃焼ガス流路5内に配置され、燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼ガス発生手段6と、燃焼ガス発生手段6の下流側で、燃焼ガス流路5の屋内に配置された部位に備えられ、燃焼ガスのエネルギーを用いて所定の遠赤外線を屋内に輻射する赤外線輻射手段7と、赤外線輻射手段7に用いられた燃焼ガスを吸引して燃焼ガス流路5の排気口4から排気させる排気手段8とを具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房装置に関するもので、特に、所定の燃料を燃焼させると共に燃焼ガスを強制的に屋外に排気する強制給排気型の暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、暖房装置として、薪や、薪の代わりに粉砕した木材をペレット状に成形した植物性燃料ペレット等を燃料とし、その燃焼による熱輻射や熱対流等によって暖房を行う薪ストーブ等の暖房装置が知られている。しかしながら、この暖房装置では、燃焼による熱量の多くが煙突から屋外に無為に排出されるため、総合的な燃効率が低く、燃料消費量が大きいと共に、燃焼ガスが室内に充満して一酸化炭素や二酸化炭素等の増加により室内環境が悪化する問題がある。
【0003】
そこで、暖房装置として、屋外の外気を燃焼用の空気として吸引して燃焼部に供給し、所定の燃料を燃焼部で燃焼させ、発生した燃焼ガスを熱交換器に流通させた上で屋外に排出し、燃焼ガスにより加熱された熱交換器周りの空気を送風機により室内に送風して室内を暖房するようなものが知られている(所謂、強制給排気型の暖房装置)。この暖房装置では、熱交換器と送風機とにより熱風を室内に送ることで、室内の空気を強制的に循環させて室内全体の温度を早期に上昇させることができると共に、強制的に給排気することで燃焼ガスが室内に漏れるのを防止して室内環境が悪化するのを防止できるようになっている。なお、所定の燃料として燃料油や燃料ガスの他に、上述の植物性燃料ペレットを用いたものも知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−191015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の暖房装置では、燃焼により発生した燃焼ガスを熱交換器に送って熱交換器周りの空気を加熱して室内を暖房するようにしている、つまり、燃焼ガス(気体)のエネルギーを一旦、熱交換器(固体)に伝達させた上で、熱交換器(固体)から室内の空気(気体)に伝達させるようにしているので、伝熱効率の悪い気体と固体との間の伝熱が二回行われることで燃焼ガスと室内空気との間の伝熱率が低くなると共に、昇温した空気を介して間接的に人体を暖めるようにしているので、相対的に熱効率や暖房効率の低いものとなっていた。
【0006】
また、従来の暖房装置では、熱交換器により昇温した空気を室内に送風しているので、暖房装置からの温風が人体に当ることで、その表面から気化熱を奪うこととなり、温風の温度に対して体感温度が低くなる問題がある。そこで、温風の温度を高くするためにより多くの燃料を燃焼させてしまい、燃料消費量が多くなってしまう問題がある。
【0007】
更に、燃焼ガスを屋外へ排気するための排気ファンが、室内に設置した暖房装置本体の内部に備えられているので、暖房装置本体から燃焼ガスを屋外へ排出するための排気管内が室内よりも高圧となり、排気管の損傷や接続部分等におけるシールの劣化等、何らかの原因が発生すると、排気管から燃焼ガスが室内に漏れ出す恐れがある。
【0008】
また、室内に設置された暖房装置の本体内に、燃焼ガスを排出するための排気ファンや、熱交換器によって加熱された空気を室内に送風するための送風機を備えているので、排気ファンや送風機の駆動により騒音が発生する問題がある。
【0009】
そこで、本願発明は上記の実状に鑑み、燃焼ガスを用いて遠赤外線を輻射させることで暖房効果を高めると共に安全性の高い暖房装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る暖房装置は、
「給気口と排気口とを有し、少なくとも該排気口が屋外に開口し一部が屋内に配置されると共に、燃焼ガスが流通可能な燃焼ガス流路と、
該燃焼ガス流路内に配置され、所定の燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼ガス発生手段と、
該燃焼ガス発生手段の下流側で、前記燃焼ガス流路の屋内に配置された部位に備えられ、前記燃焼ガス発生手段により発生した燃焼ガスのエネルギーを用いて所定の遠赤外線を屋内に輻射する赤外線輻射手段と、
該赤外線輻射手段に用いられた燃焼ガスを吸引して前記燃焼ガス流路の前記排気口から排気させる排気手段とを具備する」ことを特徴とする。
【0011】
ここで、「所定の燃料」としては、特に限定するものではないが、「木材等の植物を粉砕してペレット状に成形した植物性燃料ペレット」、「薪や炭」、「木材をチップ状に粉砕した燃料チップ」、「石炭、石油、天然ガス等の化石燃料」、等を例示することができる。なお、燃料として植物性燃料ペレット等の木材を原料とした燃料を用いることが望ましく、これにより、燃焼による二酸化炭素の排出量を相対的に抑制することができ、環境にかかる負荷を軽減させることができる。
【0012】
また、「赤外線輻射手段」としては、具体的な構成を特に限定するものではないが、「吸熱による昇温に伴って所定波長(8〜14μm)の遠赤外線を輻射することのできる金属板等からなる放熱板を備えたもの」、「上記の放熱板の両面に、吸熱性能及び遠赤外線の輻射性能に優れたコーティング材(金属酸化物を分散させたもの、例えば、酸化チタン等の無機性の耐熱ペイント、アルミナやジルコニア等によるセラミック溶射等)をコーティングしたもの」、等を例示することができる。なお、赤外線(遠赤外線)の波長を8〜14μmとしているのは、この範囲以外の波長では、人体を快適に暖められる効果が少なくなるためである。
【0013】
本発明によると、燃焼ガス発生手段の下流側で、燃焼ガス流路の屋内に配置された部位に備えられた赤外線輻射手段によって、燃焼ガスのエネルギーを用いて遠赤外線を屋内(室内)に輻射して暖房するようにしているので、従来の暖房装置のように気体と固体との間での伝熱が二回行われるものと比較して、暖房装置内での伝熱が燃焼ガス(気体)から赤外線輻射手段(固体)のみの一回となり、伝熱による熱損失を可及的に少なくすることができ、熱効率を向上させることができる。
【0014】
また、赤外線輻射手段から遠赤外線を輻射することで主に暖房するようにしているので、室内温度が上昇しなくても遠赤外線により直接人体を暖めることができ、暖房効果を高めることができる。また、従来のように温風を当てて暖めるようにしておらず、温風により体感温度が低下することがないので、必要以上に燃料を燃焼させるのを抑制することができ、燃料消費量が多くなるのを防止することができる。
【0015】
更に、燃焼ガスによって赤外線輻射手段や燃焼ガス流路等が加熱されるので、蓋然的にそれらの周りの空気(室内空気)が昇温して上昇し、対流によって燃焼ガスの熱エネルギーを室内空気に伝熱させて室内温度を上昇させることができ、より熱効率の高いものとすることができる。
【0016】
また、上述の通り、送風機を用いて室内に温風を供給しなくても充分な暖房効果が得られるので、送風機を備える必要が無く、騒音の発生源を少なくして室内の静寂性を高めることができると共に、暖房装置のランニングコスト(消費電力)や製造コストを低減させることができる。
【0017】
更に、排気手段によって燃焼ガスを吸引して屋外に排出するようにしているので、室内に燃焼ガスが排出されることが無く、室内環境が悪化するのを防止して安全性を高めることができる。なお、燃焼ガス流路の給気口を屋外に開口するようにしても良く、燃焼ガスの流路を室内空間と遮断することができ、より安全性を高めることができる。
【0018】
なお、赤外線輻射手段において、例えば、燃焼ガス流路を蛇行させて流路を長くしたり、燃焼ガス流路内に複数のフィンを備えるようにしたりすることが望ましく、これにより、燃焼ガスとの接触面積が大きくなって熱交換率を高めることができる。また、赤外線輻射手段での熱交換率を高めることで、赤外線輻射手段を通った燃焼ガス(排気ガス)の温度を低下させることができるので、燃焼ガスを吸引する排気手段に耐熱性の低い安価なものを用いることが可能となり、暖房装置のコストを低減させることができる。
【0019】
また、所定の燃料としては、植物性燃料ペレット等のような、空気を供給しないと燃焼しないような燃料を用いることが望ましく、これにより、何らかの不具合により、燃焼ガスの排出や、給気口からの空気の供給が停止して酸素不足の状態となると、燃料の燃焼が停止するので、一炭化酸素等の有毒ガスが大量に発生したり、火災発生の原因となったりするのを防止することができる。
【0020】
因みに、同じ熱量の燃料を燃焼させた場合、従来の暖房装置の排気温度が約150℃であるのに対し、本発明を適用した暖房装置の一例では排気温度が約100℃前後とかなり低下しており、熱効率が従来よりも高いことが確認されている。
【0021】
本発明に係る暖房装置は、上記の構成に加えて、
「前記排気手段が屋外に配置されている」ことを特徴とする。
【0022】
本発明によると、排気手段が屋外に配置されているので、屋内側の燃焼ガス流路内を負圧とすることができ、燃焼ガス流路で何らかの不具合が発生しても、燃焼ガスが屋内に漏れ出すのを防止することができ、暖房装置の安全性を高めることができる。また、騒音の発生源となる排気手段を屋外に配置しているので、より室内の静寂性の高い暖房装置とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
上記のように、本発明によると、燃焼ガスを用いて遠赤外線を輻射させることで暖房効果を高めると共に安全性の高い暖房装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1に基づいて詳細に説明する。図1(A)は本発明に係る暖房装置の一例を概略構成で示す正面図であり、(B)は(A)の暖房装置の側面図である。
【0025】
まず、本実施形態の暖房装置1の具体的な構成について説明する。図示するように、本例の暖房装置1は、暖房装置本体2を屋内(室内)に設置する形態のものであり、給気口3と排気口4とが屋外に開口し、給気口3と排気口4との間の流路が室内の暖房装置本体2内に配置される燃焼ガス流路5と、暖房装置本体2内の燃焼ガス流路5内に配置され所定の燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼ガス発生手段6と、燃焼ガス発生手段6の下流側で暖房装置本体2内に配置され、燃焼ガスのエネルギーを用いて遠赤外線を室内に輻射する赤外線輻射手段7と、屋外に配置され赤外線輻射手段7に用いられた燃焼ガスを吸引して排気口4から排気させる排気手段8とを備えている。
【0026】
また、暖房装置1には、所定の燃料として木材等の植物を粉砕してペレット状に成形乾燥させた植物性燃料ペレットを収容する燃料タンク9と、燃料タンク9内の燃料を燃焼ガス発生手段6に供給するための燃料フィーダ10と、燃料フィーダ10を駆動するためのモータ11とを更に備えている。この燃料フィーダ10は、例えば、長尺状のスクリューを回転させることで、スクリュー内の燃料を移送させて燃焼ガス発生手段6に供給するものであり、公知の燃料フィーダが用いられている。
【0027】
本例の暖房装置1における燃焼ガス発生手段6は、燃料フィーダ10によって燃料が供給される燃焼室12と、燃焼室12の下部に備えられ供給された燃料を燃焼させる燃焼器13と、燃焼器13で燃焼した灰を除去する灰除去装置14とを備えている。この燃焼ガス発生手段6は、燃焼器13の下側からは、給気口3から吸気された空気(外気)が供給されて燃料が燃焼すると共に、発生した燃焼ガスが燃焼室12を通って赤外線輻射手段7に送られるようになっている。
【0028】
なお、具体的な構造は省略するが、燃焼室12内の燃焼ガスが燃料フィーダ10側に流入しないような構造になっていると共に、図示するように、燃焼室12に燃料を供給する燃料フィーダ10の供給口を、燃焼器13から離れた上方に開口させることで、燃料の燃焼による炎や火の粉等によって燃料フィーダ10内の燃料が着火するのを防止している。
【0029】
また、本例の暖房装置1における赤外線輻射手段7は、図示するように、蛇行状に形成された燃焼ガス流路5の前側に配置され、暖房装置本体2の前面に露出する矩形状の放熱板15を備えている。この放熱板15は、その裏面側が燃焼ガス流路5内を流通する燃焼ガスと接触するようになっていると共に、両面に吸熱性能及び遠赤外線の輻射性能に優れた公知のコーティング材がコーティングされており、燃焼ガスの熱エネルギーを効率良く吸収すると共に、吸収した熱エネルギーにより昇温することで、波長が8〜14μmの遠赤外線を室内に輻射できるようになっている。
【0030】
なお、暖房装置本体2には、赤外線輻射手段7を流通した燃焼ガスを暖房装置本体2外に排出する燃焼ガス排出口16が設けられている。また、図示するように、燃焼ガス排出口16の上側には、暖房装置本体2内に燃焼用の空気を導入するための燃焼用空気導入口17が設けられており、この燃焼用空気導入口17から導入された空気が燃焼器12に供給されるようになっている。
【0031】
また、暖房装置本体2には、燃焼ガス発生手段6の前面側に耐熱ガラス等からなる燃焼窓18が備えられており、燃焼窓18を通して燃焼室12内が視認できるようになっていると共に、燃焼窓12を介して熱エネルギーが輻射できるようになっている。また、燃焼窓18の下方には、排除去装置14によって燃焼器13から除去された灰を取出すための灰取出口19が設けられている。
【0032】
更に、暖房装置本体2には、燃料タンク9の前面側に、燃料窓20が備えられており、燃料タンク9内の燃料の量を外部から確認できるようになっている。なお、符号21は、燃料タンク9の上部を開閉する蓋である。
【0033】
この暖房装置本体2の後側には、図1(B)に示すように、建物の壁Wを貫通して屋外へ延びだす給排気管22が備えられている。この給排気管22は、内側に暖房装置本体2の燃焼ガス排出口16と連通する排気管22aが配置され、排気管22aの外側に暖房装置本体2の燃焼用空気導入口17と連通する給気管22bが配置された二重管とされており、燃焼ガスの流通により排気管22aの温度が高くなっても、外側に配置された給気管22bによって壁Wに熱が伝わるのを防止できるようになっている。
【0034】
また、給排気管22の先端には、排気管22aと連通する排気手段8が備えられており、排気手段8の図示しない排気ファンを回転駆動させることで、排気管22aを介して燃焼ガス流路5内を負圧の状態にして、屋外に開口する給気口22bから外気を吸引し、燃焼ガス流路5内に給気口22bから排気口22aに向かう空気の流れを形成すると共に、その空気の流れによって燃焼ガス発生手段6で発生した燃焼ガスを排気口4から排気するようになっている。
【0035】
なお、この暖房装置1では、赤外線輻射手段7において、燃焼ガス流路5が蛇行状に長く形成されていると共に吸熱性能の優れたコーティング材によって、高温の燃焼ガスに対する吸熱効率が高く、排気管22aを通って排気手段8に到達するまでに燃焼ガスの温度が約100℃前後まで低下するようになっている。そのため、本例では、排出手段8に備えられている排気ファンに、従来の暖房装置に用いられてる排気ファンよりも耐熱性の低い安価なものが用いられている。
【0036】
また、図示は省略するが、本例の暖房装置1には、地震発生等の緊急時の際に速やかに燃料の燃焼を停止させることのできる緊急消火装置が備えられている。
【0037】
次に、本例における暖房装置1の動作の一例について説明する。まず、燃料タンク9に植物性燃料ペレットからなる燃料を収容し、モータ11を駆動させて燃料フィーダ10により所定量の燃料を燃焼ガス発生手段6の燃焼室12内に供給する。続いて、屋外に配置された排気手段8の排気ファンを駆動させて、燃焼ガス流路5の給気口3から外気の吸気を開始させる。具体的には、排気手段8の駆動によって、排気管22a、暖房装置本体2の燃焼ガス排出口16、赤外線輻射手段7、燃焼ガス発生手段6の燃焼室12、燃焼器13、燃焼用空気導入口17、給気管22bの順に燃焼ガス流路5内の空気が吸引されて負圧となり、排気手段8近傍の給排気管22に開口する給気口3から外気が吸気され、給気口3から排気口4に向かう空気の流れが形成されることとなる。
【0038】
そして、排気手段8を駆動させた状態で、燃焼器13の図示しない着火装置により燃料に点火して燃料の燃焼を開始させて高温の燃焼ガスを発生させる。燃焼器13で発生した燃焼ガスは、排気手段8の吸引により燃焼室12を通って赤外線輻射手段7へと吸引され、赤外線輻射手段7内の蛇行状に形成された燃焼ガス流路5を流通することで放熱板15の温度を昇温させる。その際に、燃焼ガスと接触する放熱板15の裏面には、吸熱性能に優れたコーティング材がコーティングされており、より燃焼ガスの熱エネルギーを効率良く吸収できるようになっている。
【0039】
放熱板15の裏面から吸収された燃焼ガスの熱エネルギーは、放熱板15全体へと広がると共に前面側にも伝熱される。この放熱板15の前面には、遠赤外線の輻射性能に優れたコーティング材がコーティングされており、放熱板15と共にコーティング材が昇温することで室内に遠赤外線を輻射し、輻射された遠赤外線が人体等に当ることで、人体や室内を暖めて暖房するようになっている。
【0040】
ところで、この暖房装置1では、燃料の燃焼により放熱板15の温度が昇温されるだけでなく、暖房装置1全体の温度も昇温するため、それらの周りに接する室内空気を昇温させることができ、昇温された室内空気が上昇して室内を対流することでも、室内を暖めて暖房することができるようになっている。
【0041】
続いて、赤外線輻射手段7により熱交換された燃焼ガスは排気ガスとして、燃焼ガス排出口16から給排気管22の排気管22aへと吸引されて暖房装置本体2外へと排出されると共に、給排気管22を介して壁Wを貫通し排気手段8を介して排気口4から屋外へ排出される。
【0042】
このように、本実施形態の暖房装置1によると、室内に備えられた暖房装置本体2の赤外線輻射手段7によって、燃焼ガスのエネルギーを用いて遠赤外線を室内に輻射して暖房するようにしているので、従来の暖房装置のように気体と固体との間での伝熱が二回行われるものと比較して、暖房装置1内での伝熱が燃焼ガス(気体)から赤外線輻射手段7(固体)のみの一回となり、伝熱による熱損失を可及的に少なくすることができ、熱効率を向上させることができる。
【0043】
また、赤外線輻射手段7から遠赤外線を輻射することで主に暖房するようにしているので、室内温度が上昇しなくても遠赤外線により直接人体を暖めることができ、暖房効果を高めることができる。また、従来のように温風を当てて暖めるようにしておらず、温風により体感温度が低下することがないので、必要以上に燃料を燃焼させるのを抑制することができ、燃料消費量が多くなるのを防止することができる。
【0044】
更に、燃焼ガスによって赤外線輻射手段7や燃焼ガス流路5等の暖房装置本体2が加熱されるので、蓋然的にそれらの周りの室内空気が昇温して上昇し、自然対流によって燃焼ガスの熱エネルギーを室内空気に伝熱させて室内温度を上昇させることができ、より熱効率の高いものとすることができる。
【0045】
また、暖房装置本体1内には室内に温風を供給する送風機を備えておらず、また、騒音の発生源となる排気手段8を屋外に配置しているので、より室内の静寂性の高いものとすることができると共に、暖房にかかるランニングコスト(消費電力)や製造コストを低減させることができる。
【0046】
また、給気口3、排気口4、及び排気手段8が屋外に配置されているので、燃焼ガスの流路5を室内空間と遮断すると共に、屋内側の燃焼ガス流路5内つまり暖房装置本体2内を負圧とすることができ、燃焼ガス流路5で何らかの不具合が発生しても、燃焼ガスが屋内に漏れ出すのを防止することができ、室内環境が悪化するのを防止すると共に安全性を高めることができる。
【0047】
更に、空気を供給しないと燃焼しない植物性燃料ペレットを燃料としているので、何らかの不具合により、燃焼ガスの排出や、給気口3からの空気の供給が停止して酸素不足の状態となると燃料の燃焼が停止するので、一炭化酸素等の有毒ガスが大量に発生したり、火災発生の原因となったりするのを防止することができる。
【0048】
以上、本発明を実施するための最良の実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0049】
すなわち、上記の実施形態では、燃焼ガス発生手段6や赤外線輻射手段7等を備えた暖房装置本体2を室内に設置するものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図2に示すような、暖房装置31としても良い。この暖房装置31は、暖房装置本体32から赤外線輻射手段7を分離させた上で、赤外線輻射手段7を備えた室内ユニット33を室内に設置し、それ以外を屋外に設置したものである。なお、上記の実施形態と同様な構成については、同じ符号を付すと共に詳細な説明は省略する。この、暖房装置31の給排気管22では、排気管22aを通る燃焼ガス(排気ガス)よりも、給気管22bを通る燃焼ガスの方が温度が高いため、給気管22bの外側を排気管22aが覆うような形態となっている。従って、この暖房装置31によっても、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0050】
また、上記の実施形態では、燃料として植物性燃料ペレットを用いたものを示したが、これに限定するものではなく、薪や炭、燃料チップ等の他、石油やガス等の化石燃料を燃料とした暖房装置に適用しても良く、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(A)は本発明に係る暖房装置の一例を概略構成で示す正面図であり、(B)は(A)の暖房装置の側面図である。
【図2】図1とは異なる本発明に係る暖房装置の一例を概略構成で示す側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 暖房装置
2 暖房装置本体
3 給気口
4 排気口
5 燃焼ガス流路
6 燃焼ガス発生手段
7 赤外線輻射手段
8 排気手段
31 暖房装置
32 暖房装置本体
33 室内ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気口と排気口とを有し、少なくとも該排気口が屋外に開口し一部が屋内に配置されると共に、燃焼ガスが流通可能な燃焼ガス流路と、
該燃焼ガス流路内に配置され、所定の燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼ガス発生手段と、
該燃焼ガス発生手段の下流側で、前記燃焼ガス流路の屋内に配置された部位に備えられ、前記燃焼ガス発生手段により発生した燃焼ガスのエネルギーを用いて所定の遠赤外線を屋内に輻射する赤外線輻射手段と、
該赤外線輻射手段に用いられた燃焼ガスを吸引して前記燃焼ガス流路の前記排気口から排気させる排気手段と
を具備することを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記排気手段が屋外に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の暖房装置。

【図1】
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【図2】
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