説明

暖房設備用熱源供給装置

【課題】 加熱炉のスペースを設けることなく、またレール又はベルトコンベアを敷設することなく、コストを安く、しかも遠赤外線の放射量を多くするようにした暖房設備用熱源供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 室内に設置した熱源供給装置本体1の内部に複数のカーボンヒーター4を並設し、前記カーボンヒーター4を保護カバー6で包囲する。保護カバー6の周囲に所定の間隔をもって安全カバー3を設け、保護カバー6と安全カバー3との間の空間11に麦飯石等の鉱石10を多数収納した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、麦飯石等の鉱石を熱源とする暖房設備用熱源供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康ランド等の暖房付きリラクゼーションルームやサウナ施設では、暖房設備の一種に炉内で加熱した鉱石を室内に移動して暖めるプル釜装置がある。即ち、図7に示すように麦飯石等の鉱石aを3m×1m×1m程度の直方体状のトロッコbに積み上げ、これをリラクゼーションルームeとは別に設けた加熱炉cへ移動し、700℃〜800℃まで加熱し、灼熱状態になると自動的にレール又はベルトコンベアdに載せて室内eへ出てくる。利用者はその周りに集まって熱せられた麦飯石等の鉱石aから放射される遠赤外線を浴びることができ、血流を促進させ、新陳代謝を活発にし、疲労回復・美肌効果があるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のプル釜装置は、トロッコbに積み上げた麦飯石等の鉱石aを加熱炉cで加熱させるため、加熱炉cのスペースを別途必要とするほか、移動させるためのレール又はベルトコンベアdを敷設する必要があった。また加熱後、所定時間経過したら再びトロッコbを加熱炉cに戻し、再加熱して室内eに戻すようにしている。このため利用者が常時使用するためには、二つの加熱炉cと2台のトロッコbを用いて交互に加熱する必要がある。このように施設にレール又はベルトコンベアdを敷設し、トロッコbを移動して交互に加熱するためコスト高となっていた。また熱せられた麦飯石等の鉱石aも放熱によって急激に温度が下がるので、遠赤外線の放射量も少なくなる。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、加熱炉のスペースを設けることなく、またレール又はベルトコンベアを敷設することなく、コストを安く、しかも遠赤外線の放射量を多くするようにした暖房設備用熱源供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような目的を達成するために、本発明の暖房設備用熱源供給装置は、室内に設置した熱源供給装置本体にカーボンヒーターを内蔵するとともに麦飯石等の鉱石を多数収納したことを特徴とするものである。
【0006】
また本発明の暖房設備用熱源供給装置は、室内に設置した熱源供給装置本体の内部に複数のカーボンヒーターを並設し、前記カーボンヒーターを保護カバーで包囲するとともに該保護カバーの周囲に所定の間隔をもって安全カバーを設け、前記保護カバーと安全カバーとの間の空間に麦飯石等の鉱石を多数収納することを特徴とするものである。
【0007】
また本発明の暖房設備用熱源供給装置は、室内に設置した熱源供給装置本体の下部に複数のカーボンヒーターを内蔵した加熱部を設けるとともに、前記加熱部の上方に麦飯石等の鉱石を多数収納することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の本発明によれば、以下の効果がある。
<イ>熱源供給装置本体にカーボンヒーターを内蔵するとともに麦飯石等の鉱石を多数収納したので、熱源供給装置を加熱炉へ移動させる必要がなく、コストの安い暖房設備用熱源供給装置を提供することができる。
<ロ>内蔵したカーボンヒーターにより麦飯石等の鉱石を加熱しているので、常時、麦飯石等の鉱石から一定の遠赤外線が放射され、利用者はこれを浴びることができる。
<ハ>内蔵したカーボンヒーターからも遠赤外線が放射されるので、遠赤外線の放射量をより多くした暖房設備用熱源供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0010】
<イ>熱源供給装置(図1、図2)
熱源供給装置本体(以下、本体という)1は、基台2と、この基台2に設けられた安全カバー3及び保護カバー6と、カーボンヒーター4と、麦飯石等の鉱石10とからなる。安全カバー3の内側に、所定の間隔をもって保護カバー6を設けてあり、保護カバー6内にカーボンヒーター4を多数設けている。この保護カバー6と安全カバー3との間にできる空間11、及び保護カバー6の上面に、麦飯石等の鉱石10を多数積み上げて収納する。
【0011】
安全カバー3及び保護カバー6は、麦飯石等の鉱石10が本体1外へ転がり落ちないように保持し、またカーボンヒーター4が破損したりしないようにこれを保護するためのものである。また、カーボンヒーター4の熱が麦飯石等の鉱石10に効率よく伝わり、麦飯石等の鉱石10からの遠赤外線が十分に放射されるように、安全カバー3及び保護カバー6は、例えば基台2の上面周囲から熱伝導のよいスチール棒等を立設して構成している(または孔明き鋼板等で構成してもよい)。本体1は、基台2の基礎ボルト21で床13に固定されている。
【0012】
なお、基台2に着脱自在に車輪22を設け、本体1を自由に移動できるようにしてもよい。本体1の大きさは適宜で良いが、本実施例では長さ3400ミリメートル×奥行き1000ミリメートル×高さ1000ミリメートルとなっている。基台2にシロッコファン20等の送風機を上方に向けて設置して、カーボンヒーター4からの熱が本体1内に万遍なく行き渡るようにしてもよい。
【0013】
麦飯石は、古来より皮膚病・外傷などの治療に用いられた石英斑岩で、麦飯石を熱すると遠赤外線を放射するものである。麦飯石等の鉱石10へカーボンヒーター4で加熱を行い、一定のマイナスイオンと遠赤外線を引き出し、利用者の血流を促進させ、新陳代謝を活発にし、人体にとって様々な効果をもたらすようになっている。
【0014】
<ロ>カーボンヒーター(図2、図3、図4)
保護カバー6内には、図3に示すような直方体状の枠体5の周面(底面を除く5面)に多数のカーボンヒーター4が取付けネジ等(図示せず)によって固定されている。カーボンヒーター4の熱が麦飯石等の鉱石10へ均等に伝わるように、これら多数のカーボンヒーター4は、互いに平行に所定の間隔をもって固定されている。図3に一部拡大して示すようにカーボンヒーター4の枠体5側半周に金粉等を塗布して遮熱部48を形成し、カーボンヒーター4の熱を、効率よく麦飯石等の鉱石10に伝達するようにしている。あるいはカーボンヒーター4と枠体5との間に、湾曲した反射板を設けてもよい。
【0015】
カーボンヒーター4の一例を図4に示す。カーボンヒーター4は、コイル状のカーボンコイル体(発熱体)40と、これを封入する石英ガラス管41とからなる。カーボンコイル体40は、例えばポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維素線を多数束ねて炭素繊維糸とし、この炭素繊維糸を複数本撚り合わせた後、これをコイル状に巻き上げて構成したものである。コイル状に形成したカーボンコイル体40の両端には、固定端子44、内部リード線45、モリブデン箔46、外部リード線47からなる端子部43,43が設けられている。カーボンコイル体4を石英ガラス管41に挿入し、端子部43,43で封止42してカーボンヒーター4が構成される。端子部43,43に導通することでカーボンコイル体40が発熱する。
なお、カーボンヒーター4の発熱体は、カーボンコイル体に限らず直線状のカーボン体、あるいは糸状でなくフェルト状や固形のカーボン体であってもよい。
【0016】
<ハ>リラクゼーションルーム、サウナ施設
本発明の熱源供給装置本体1を設置したリラクゼーションルームやサウナ施設を図6に示す。室内12の適当な場所に熱源供給装置本体1を設置することができ、従来のように加熱炉を別途設ける必要がなく、またレールやコンベアを敷設する必要がない。
【0017】
<ニ>作用
【0018】
電源を入れてカーボンヒーター4に通電することによりカーボンコイル体40が発熱し、麦飯石等の鉱石10を加熱していく。麦飯石等の鉱石10が加熱されることで、麦飯石等の鉱石10より遠赤外線が放射され、また運転しているカーボンヒーター4からも遠赤外線が放射される。カーボンヒーター4の設定温度を調節することで、麦飯石等の鉱石10からは常時遠赤外線が放射され、これまでのように麦飯石等の鉱石10の放熱による急激な温度低下で、遠赤外線の放射量が少なくなるなどの問題はない。これらの遠赤外線が作用して、ゆっくり時間をかけて発汗することができ、体を芯から温める役目をすると同時に体のツボに作用して発汗作用を促すのに好適である。このように本発明は、内蔵したカーボンヒーター4により麦飯石等の鉱石10を加熱しているので、常時麦飯石等の鉱石10から一定の遠赤外線が放射され、血流を促進させ、新陳代謝を活発にし、体を芯から暖めることができるものである。
【0019】
<ホ>他の実施例その1
本発明の他の例を図5(A)に示す。本例は、カーボンヒーター4を半円筒状の枠体5の半円外周面に沿って所定の間隔で並設している。このようにカーボンヒーター4を並設した枠体5を基台2に設置し、さらにカーボンヒーター4の外側を熱伝導のよい保護カバー6で包囲している。保護カバー6の上面であって安全カバー3の内側にできる空間11に、麦飯石等の鉱石10を多数積み上げて収納し、本体1を構成している。なお安全カバー3及び保護カバー6は、前記した実施例と同様に麦飯石等の鉱石10が本体1外へ転がり落ちないように保持し、またカーボンヒーター4が破損したりしないようにこれを保護する。
【0020】
<ヘ>他の実施例その2
本発明のさらに他の例を図5(B)に示す。本例は、本体1の下部に複数のカーボンヒーター4を内蔵した加熱部7を設けるとともに、加熱部7の上方に麦飯石等の鉱石10を多数収納したものである。加熱部7は、例えば基台2上に設けた枠体5に多数のカーボンヒーター4を取り付けて構成することができる(図3参照)。加熱部7の上面は前記した保護カバー6で覆うか、熱伝導のよい材質(孔明き鋼板など)で構成する。加熱部7の上面であって安全カバー3の内側にできる空間11に、麦飯石等の鉱石10を多数積み上げて収納し、本体1を構成している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】熱源供給装置本体を示す概略斜視図。
【図2】熱源供給装置本体の正面図。
【図3】カーボンヒーターの取付け状態を示す概略斜視図。
【図4】カーボンヒーターの一例を示す概略図。
【図5】熱源供給装置本体の他の実施例を示す概略図。
【図6】本発明の熱源供給装置を設置したリラクゼーションルームを示す概略平面図。
【図7】従来のリラクゼーションルームを示す概略図。
【符号の説明】
【0022】
1・・・・熱源供給装置本体(本体)
2・・・・基台
3・・・・安全カバー
4・・・・カーボンヒーター
40・・・カーボンコイル体
41・・・石英ガラス管
43・・・端子部
5・・・・枠体
6・・・・保護カバー
7・・・・加熱部
10・・・麦飯石等の鉱石
11・・・空間
12・・・リラクゼーションルーム
13・・・床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置した熱源供給装置本体にカーボンヒーターを内蔵するとともに麦飯石等の鉱石を多数収納したことを特徴とする、暖房設備用熱源供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載する暖房設備用熱源供給装置において、熱源供給装置本体の内部に複数のカーボンヒーターを並設し、前記カーボンヒーターを保護カバーで包囲するとともに該保護カバーの周囲に所定の間隔をもって安全カバーを設け、前記保護カバーと安全カバーとの間の空間に麦飯石等の鉱石を多数収納することを特徴とする、暖房設備用熱源供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載する暖房設備用熱源供給装置において、熱源供給装置本体の下部に複数のカーボンヒーターを内蔵した加熱部を設けるとともに、前記加熱部の上方に麦飯石等の鉱石を多数収納することを特徴とする、暖房設備用熱源供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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