説明

暗渠用疎水材及びその製造方法並びに暗渠及びその施工方法

【課題】暗渠排水がアルカリ性とならず、不溶性の水酸化鉄が再流出せず、軽量でありかつ安価である暗渠用疎水材を提供する。
【解決手段】暗渠用疎水材の製造方法が、珪質泥岩の地盤から採取した原石を平均粒径150mm以下となるように破砕する一次破砕工程と、一次破砕工程で破砕された珪質泥岩を平均粒径80mm以下となるように破砕する二次破砕工程とを有し、好適には二次破砕工程で破砕された珪質泥岩から選別用ふるい機により粒径5mm以上の範囲を取り出すふるい工程とを有する。暗渠施工方法が、暗渠溝を掘削する掘削工程と、暗渠溝の溝底に暗渠管を敷設する暗渠管敷設工程と、平均粒径80mm以下で粒径5mm以上の珪質泥岩を、暗渠用疎水材として暗渠溝の溝底から所定深度まで充填する疎水材充填工程と、暗渠用疎水材の上層を形成するために掘削工程で掘削された土を埋め戻す埋め戻し工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コスト高性能の暗渠用疎水材及びその製造方法並びに暗渠及びその施工方法に関し、特に、暗渠用疎水材として珪質泥岩を用いたものに関する。
【背景技術】
【0002】
北海道内には広く泥炭土が分布しており、石狩、空知、十勝管内やサロベツ湿原、釧路湿原を中心に、農耕地で約98,000ha、それ以外も含めると200,000haに達する。この泥炭土は、湿地に発達する有機質土壌で、枯死したヨシやミズゴケなどの湿性植物遺骸が過湿条件下で分解が抑制されて生成したもので、自然状態では地下水位が高く、地耐力が弱く、排水不良であるため農地には適していない。また、pHが低く、二価鉄などの溶出が大きいという特徴も持つ。このため、古くから排水改良や客土などの土地改良が施された結果、現在では広く農地として利用されるようになった。
その結果、排水改良の進捗とともに、多くの二価鉄が溶存する泥炭からの流出水が大量に河川等に流入するようになった。
一方、同時期に天塩川水系等で特産品となっているヤマトシジミに、商品価値を損なう赤さび付着が多く発生し始めた。
【0003】
このため、赤さび付着原因の検討がなされた結果、鉄バクテリアが河川水中の二価鉄を酸化し、水に不溶な酸化鉄(三価鉄)に変化させることが直接的な原因と判明した。また、これらが急速に増加した真の原因は、二価鉄を多く含む泥炭地からの排水の増加と考えられている。ヤマトシジミは地域の特産品でもあることから、漁業従事者を中心に、早急な鉄流出対策が望まれている。
【0004】
さらに、鉄バクテリアによる溶解性の二価鉄の不溶化は、上述の問題のほかに、農地の暗渠管等の閉塞も引き起こすことが知られている。泥炭農地に暗渠排水を施工すると、暗渠配水管内に鉄バクテリアが増殖して酸化鉄が沈積し、暗渠配水管が極めて短期間で閉塞する現象である。このことは、施工した暗渠排水の機能が短期間で消失することを意味するため大きな問題である。
また、この現象は泥炭農地以外にも、火山噴火に伴う強酸性泥流が下層に堆積した酸性硫酸塩土壌をもつ農地においても発生する。
【0005】
これらの問題を受け、北海道開発局や北海道立中央農業試験場において、主に泥炭土からの二価鉄流出防止対策が検討され、暗渠の疎水材に石灰石及びロックウールを用いる方法が提唱されている(特許文献1、2等)。石灰石は、炭酸カルシウムを主成分とし、水に溶けると化学反応により水酸化物イオンOHが増加して弱アルカリ性となり、溶解性の二価鉄と結合して不溶解性の水酸化第一鉄を形成し、これらを疎水材に沈着させて鉄分の流出を抑制するものである。ロックウールは、珪酸カルシウムを主成分とし、石灰石より強いアルカリ性となることから水酸化第一鉄が形成されやすく、鉄分の流出抑制効果はより高くなる。このように、いずれの資材も暗渠排水をアルカリ性にして不溶性の水酸化第一鉄を形成させ、それらを疎水材で沈着・ろ過して溶存する二価鉄を取り除く原理である。
【特許文献1】特開2007−100402号公報
【特許文献2】特開2000−73347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術には、一応下記のような問題点を指摘することができる。
石灰石及びロックウールを暗渠用疎水材に用いた場合の二価鉄除去効果は、過去に実施された各種試験により実証されているが、同時に以下の欠点の存在も明らかとなっている。
(1)排水がアルカリ性になる。
泥炭農地における暗渠施工試験では、石灰石を疎水材に用いた場合の排水のpHは最高7.6、ロックウールを用いた場合のpHは最高12.4に達した。泥炭は酸性を示すため、泥炭涵養水のpHは通常4〜6程度であることから、これらの資材を用いた場合、自然状態では考えられない高pHの排水を河川に排出することになる。泥炭農地は湿原周辺に分布することが多いが、これらの泥炭農地から排出される高pH水は、希少な野生動植物が生息する独特の湿原生態系に影響を及ぼす可能性が高い。
【0007】
(2)沈着ろ過された水酸化鉄が再流出する。
石灰石、ロックウールとも、不溶性の水酸化鉄を物理的にろ過し流出を防ぐ原理であるため、排水路の水位が上昇し疎水材が水に浸かるような場合、沈着した水酸化第一鉄が再流出した事例が報告されている。
(3)比重が重いため泥炭土の不等沈下が生じる。
泥炭土は地耐力が低く地盤が軟弱なため、比重の高く重い疎水材を使用した場合、不等沈下、すなわち地面が不規則に沈み込む現象が生じ、暗渠管の破断等が起きる可能性が高くなる。通常、疎水材に用いられる砂利のかさ比重は1.9kg/L程度であるのに対し、ロックウールのかさ比重は0.3kg/L程度と軽いが、石灰石は砂利と同等かそれ以上である。このため、石灰石を疎水材に用いた場合、不等沈下が生じる懸念がある。
(4)価格が高い。
通常、疎水材に用いられる砂利の単価は3,700円/m程度であるのに対し、石灰石は9,000円/m、ロックウールは18,000円/m程度と高い。
【0008】
本発明は、従来の暗渠用疎水材における上記の問題点を解決することを目的とする。すなわち、暗渠排水がアルカリ性とならず、不溶性の水酸化鉄が再流出せず、軽量でありかつ安価である暗渠用疎水材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述のような問題を解決するため、下記のようになるものである。
本発明による、珪質泥岩からなる暗渠用疎水材の製造方法は、珪質泥岩の地盤から採取した原石を平均粒径150mm以下となるように破砕する一次破砕工程と、前記一次破砕工程で破砕された珪質泥岩を平均粒径80mm以下となるように破砕する二次破砕工程とを有する。この製造方法においてさらに好適には、前記二次破砕工程で破砕された珪質泥岩から粒径5mm以上となるように選別するふるい工程をさらに有する。
【0010】
本発明による、暗渠施工方法は、暗渠溝を掘削する掘削工程と、前記暗渠溝の溝底に暗渠管を敷設する暗渠管敷設工程と、平均粒径80mm以下の珪質泥岩を、暗渠用疎水材として前記暗渠溝の溝底から所定深度まで充填する疎水材充填工程と、前記暗渠用疎水材の上方に位置する層を形成するために前記掘削工程で掘削された土を埋め戻す埋め戻し工程とを有する。この暗渠施工方法においてさらに好適には、前記珪質泥岩の粒径が5mm以上である。
【0011】
本発明による、暗渠用疎水材は、暗渠管の周囲に充填される疎水材であって、平均粒径80mm以下の珪質泥岩からなる。
また、本発明による、暗渠は、平均粒径80mm以下の珪質泥岩を、疎水材として暗渠管の周囲に充填したものである。
【発明の効果】
【0012】
第1発明である、珪質泥岩からなる暗渠用疎水材の製造方法により期待できる効果は、下記の通りである。
珪質泥岩は、露天採掘法によって安価に入手することができる。例えば、稚内層の珪質泥岩は、幌延町では約45平方km にわたって分布している。よって、石灰石やロックウールに比べて材料コストを低減できる。
【0013】
珪藻遺骸に起源を持つ非晶質シリカ鉱物がオパールCT化した珪質泥岩は、間隙率が高く、乾燥比重が低い。すなわち軽量である。例えば、稚内層の珪質泥岩は、間隙率40%程度、乾燥比重は1.5前後である。また、空隙半径は0.004μm付近と0.02μm付近のものが卓越し、空隙半径が0.1μm以上のものはほとんど存在しない。この細孔分布の特徴は、優れた調湿性及び吸着性と密接な関係があるとされている。放吸湿材や臭いの吸着剤として利用されている。この効果は、珪質泥岩の平均粒径が小さいほど比表面積が大きくなるため良好となり、平均粒径が80mm以下であれば有効である。但し、あまりに微細粒子になると、暗渠管を閉塞させるおそれがあるので、平均粒径の下限は5mm程度が好ましい。
【0014】
発明者らは、珪質泥岩を用いた予備実験において、珪質泥岩が水に溶存する鉄、アンモニア性窒素、重金属等を吸着する性質があることを確認した。この性質は、珪質泥岩の表面がマイナスに帯電していることから、プラスに帯電している陽イオンを引き寄せる現象に起因している。因みに、土壌やゼオライトも同様の性能を持つことが知られている。しかしながら、珪質泥岩は、岩石として産出するので最適の寸法に加工することができる点や、扱いが容易であるという点で土壌と比較して優位である。また、珪質泥岩は、価格が安い点で、ゼオライトと比較してコスト面で優位である。
【0015】
従来の泥炭土からの二価鉄流出防止対策として、暗渠の疎水材に石灰石及びロックウールを用いる方法が北海道開発局や北海道立中央農業試験場において提唱され、使用されている。これらが鉄分の流出を抑制する機構は次の通りである。
すなわち、水は、炭酸カルシウムを主成分とする石灰石に触れると弱アルカリ性となり、珪酸カルシウムを主成分とするロックウールに触れると、より強いアルカリ性を示す。この雰囲気の中において、溶解性の二価鉄Fe2+は、不溶解性の水酸化第一鉄Fe(OH)になり疎水材に沈着する。
【0016】
そこで、疎水材としての優劣を、珪質泥岩と石灰石又はロックウールとで比較すると、次の通りである。
泥炭土からの流出水のpHは通常4〜6程度である。珪質泥岩は、酸素に触れるとpH4〜6程度となることから、これを疎水材として使用してもpHはほとんど変化しない。
【0017】
これに対して、泥炭農地における暗渠施工試験では、排水のpHは、石灰石を用いた場合、最高で7.6、ロックウールを用いた場合、最高で12.4に達した。石灰石又はロックウールこれらの材料を用いた場合、自然状態では考えられない高pHの排水が河川に排出されることになる。泥炭農地は湿原周辺に分布することが多いが、これらの泥炭農地から排出される高pH水は、希少な野生動植物が生息する独特の湿原生態系に影響を及ぼす可能性が高い。
【0018】
第2発明である、珪質泥岩からなる暗渠用疎水材を用いた暗渠の施工方法により期待できる効果は、下記の通りである。
珪質泥岩(例えば、稚内層のもの)を泥炭地帯の暗渠用疎水材に利用した場合、従来の石灰石又はロックウールを暗渠用疎水材として用いた場合に比べて、次のような利点がある。
(1)疎水材として石灰石やロックウールを用いると、暗渠排水路周辺の地下水位が上昇し疎水材が水に浸かるような場合、これらの材料に沈着した水酸化鉄が流出する可能性があり、実際にそのような事例が報告されている。これに対し、珪質泥岩に電気的に吸着した水酸化鉄の急激な再流出はないと考えられる。
(2)泥炭土は地耐力が低いために、比重が高い疎水材を使用した場合、不等沈下現象が生じ、暗渠管の破断等が起きる可能性が高くなる。通常、疎水材に用いられる砂利のかさ比重は1.9kg/L程度であるのに対し、石灰石は同等かそれ以上である。このため、石灰石を疎水材に用いた場合、不等沈下が生じる懸念がある。
(3)通常、疎水材に用いられる砂利の単価は3,700円/m程度であるのに対し、石灰石は9,000円/m、ロックウールは18,000円/m程度と高い。一方、珪質泥岩は4,500円/m程度と安価である。
【0019】
第3発明である、破砕した珪質泥岩からなる暗渠用疎水材の効果は、上記第1発明と同様である。
第4発明である、破砕した珪質泥岩からなる暗渠用疎水材を用いた暗渠の効果は、上記第2発明と同様である。
【0020】
以上まとめると、本発明は以下の効果が得られる。
・周辺環境への影響が少ない。
・鉄の除去が確実である。
・泥炭農地への利用に問題がない。
・低コストの施工が可能である。
などの優位性をもつ、泥炭農地における水質浄化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図面を参照して実施の形態の詳細を説明する。
本発明で用いる珪質泥岩(「珪藻質泥岩」、「珪藻泥岩」とも称される)は、珪藻遺骸に起源を持つ非晶質シリカ鉱物がオパールCT化したものである。例えば、北海道幌延町周辺で産出され、この地域には、稚内層及び声問層と呼ばれる珪質泥岩の地層が分布している。特に、この地域の珪質泥岩は、有効間隙率が、通常40%程度であり、50〜65%の高い値を示すものもある。またSiO含有率は、通常70wt%程度であるが、80〜90wt%の大きな値を示すものもある。これらは、珪質泥岩の優れた吸着性と調湿性の要因である。また有効間隙率が高く、多孔質であることは、吸着性に加えて軽量であるという利点がある。
【0022】
第1発明は、珪質泥岩からなる暗渠用疎水材の製造方法であり、下記の各工程から構成されている。
・第1工程:珪質泥岩地盤から原石(平均粒径400mm程度)を採取する。
・第2工程:第1工程で採取された珪質泥岩の原石を破砕用機械に投入し、平均粒径150mm以下になるように破砕する(一次破砕)。
・第3工程:一次破砕された珪質泥岩を破砕用機械に投入し、平均粒径80mm以下になるように破砕する(二次破砕)。
・第4工程:この工程は、必須ではないが実施することが好ましい。二次破砕された珪質泥岩を選別用ふるい機に投入し、平均粒径をさらに小さくし、あるいは、微細過ぎる粒子を除去する。より小さい平均粒径となるように粒径の大きい粒子を除去することにより全体的に比表面積を増やし、吸着性等の珪質泥岩の機能をさらに向上させることができる。また、微細すぎる粒子は暗渠管を閉塞させるおそれがあるため、これらを除去することで暗渠管の閉塞を回避できる。これらの観点から、最終的に選別用ふるい機で選別される珪質泥岩の粒子は、粒径5mm以上であることが好ましい。
【0023】
なお、本明細書における「粒径」は、ふるい分け試験におけるふるいの目の大きさであり、「平均粒径」は、多数の粒子を含む集合体の粒径分布において50重量%に位置する粒径をいう。
【0024】
第1発明は、珪質泥岩からなる暗渠用疎水材の製造方法の好適例であるが、これ以外の工程であっても平均粒径80mm以下で、粒径5mm以上の範囲の暗渠用疎水材が得られればよい。
【0025】
第2発明は、第1発明で得た暗渠用疎水材を用いた暗渠の施工方法であり、下記の各工程から構成されている。
・第1工程(渠線の設定):計画平面図、標準図等に基づいて渠線の設定を行う。
・第2工程(掘削):暗渠溝を掘削する。掘削は、現場条件及び目的によって、人力掘削、トレンチャー掘削、又はショベル掘削で施工する。掘削深度は標準図等に基づき設定するが、計画された管路勾配の維持を優先する。
・第3工程(暗渠管敷設):第2工程で掘削した溝底を整地し、暗渠管を溝底に敷設する。暗渠管には、土管や樹脂管があり、管壁に多数の孔を穿設した有孔管もある。
・第4工程(疎水材の投入):第1発明で得た珪質泥岩から製造された暗渠疎水材を、計画された深度まで投入する。溝が崩壊して土砂が管を覆ってしまうことがないよう実施する。
・第5工程(埋め戻し):掘削時に生じた土を、掘削とは逆の順序に心土、表土の順に埋め戻す。また、土層中の透水は、主として亀裂などの構造を通して行われるので、粘質土地、過湿地等に暗渠を施工する場合は、掘削後、埋め戻すまで、できるだけ長期間乾燥させることが好ましい。
なお、第5工程においては、暗渠疎水材を充填した上に砂利などを充填し、その上層として掘削土を埋め戻してもよい。
【0026】
第2発明の暗渠の施工方法は、第1発明で得た暗渠用疎水材を用いることが好適であるが、第1発明以外の製造方法で得られた平均粒径80mm以下で、粒径5mm以上の範囲の暗渠用疎水材を用いてもよい。
【0027】
第3発明は、珪質泥岩を破砕して得た暗渠用疎水材である。特に、平均粒径80mm以下で、粒径5mm以上の範囲のものが好適である。
【0028】
第4発明は、珪質泥岩を破砕して得た暗渠用疎水材を用いた暗渠である。特に、平均粒径80mm以下で、粒径5mm以上の範囲のものが好適である。
【0029】
図1は、第4発明の暗渠の実施例を示す断面図である。この暗渠1は、対象土壌5を地表から掘削して形成した所定の深度の暗渠溝の溝底に敷設された暗渠管2と、溝底から所定深度まで充填された第3発明による暗渠用疎水材3と、暗渠用疎水材の上端から地表まで充填された埋戻土4とを有する。暗渠管の埋設深度、暗渠用疎水材の投入厚、埋戻土厚等は、土壌や地形等の条件により変化する。標準的な寸法の例としては、溝底の幅W1が150mm、地表での溝幅W2が350mm、溝の深さD1が1000mm、暗渠用疎水材3の深度方向の長さD2が150〜600mm、埋戻土4の深度方向の長さD3が850〜400mmである(但し、D2+D3=D1)。
【実施例】
【0030】
珪質泥岩を用いて泥炭土層地下水中の鉄分除去試験を行った。
(1)試験方法
北海道天塩郡幌延町内の泥炭土農地に敷設された通常疎水材(砂利)を使用した暗渠から流出する暗渠排水を採取し、第1発明で得た破砕した珪質泥岩からなる暗渠用疎水材中を通過させ、通過前後における鉄分量を分析することにより、鉄分の減少量を計測した。珪質泥岩は、稚内層のものを用いた。
(2)試験結果
通常疎水材(砂利)使用の暗渠から流出する暗渠排水中の鉄濃度が2.4mg/Lであったのに対し、第1発明で得た暗渠用疎水材を通過させた後は、0.33mg/Lに低下した。この結果から、第1発明で得た暗渠用疎水材の鉄除去率は86%と見積もられた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による珪質泥岩による暗渠用疎水材を用いて施工された暗渠の実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 暗渠
2 暗渠管
3 暗渠用疎水材
4 埋戻土
5 対象土壌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪質泥岩の地盤から採取した原石を平均粒径150mm以下となるように破砕する一次破砕工程と、
前記一次破砕工程で破砕された珪質泥岩を平均粒径80mm以下となるように破砕する二次破砕工程とを有することを特徴とする珪質泥岩からなる暗渠用疎水材の製造方法。
【請求項2】
前記二次破砕工程で破砕された珪質泥岩から粒径5mm以上となるように選別するふるい工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の珪質泥岩からなる暗渠用疎水材の製造方法。
【請求項3】
暗渠溝を掘削する掘削工程と、
前記暗渠溝の溝底に暗渠管を敷設する暗渠管敷設工程と、
平均粒径80mm以下の珪質泥岩を、暗渠用疎水材として前記暗渠溝の溝底から所定深度まで充填する疎水材充填工程と、
前記暗渠用疎水材の上方に位置する層を形成するために前記掘削工程で掘削された土を埋め戻す埋め戻し工程とを有することを特徴とする暗渠施工方法。
【請求項4】
前記珪質泥岩の粒径が5mm以上であることを特徴とする請求項3に記載の暗渠施工方法。
【請求項5】
暗渠管の周囲に充填される疎水材であって、平均粒径80mm以下の珪質泥岩からなることを特徴とする暗渠用疎水材。
【請求項6】
平均粒径80mm以下の珪質泥岩を、疎水材として暗渠管の周囲に充填したことを特徴とする暗渠。

【図1】
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【公開番号】特開2009−91776(P2009−91776A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262309(P2007−262309)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(507331818)幌延砂利工業株式会社 (1)
【出願人】(505149446)株式会社ズコーシャ (8)
【Fターム(参考)】