曲木工具用部品、およびそれを使用した曲木工具
【課題】 製造コストの削減と一層の軽量化とを果し、曲木加工の曲率半径の大きさに伴う万力部分の必要台数を極力削減可能とし、段取りや曲木製作の作業工数を縮小して労働負担を軽減可能とする新たな曲木加工技術を提供する。
【解決手段】 ベース板部3先端から支承板部4を立ち上げて側断面L字型の装着用金具本体21とし、支承板部4基端にクランプ装着孔43を穿孔すると共に、クランプ装着孔43の直上に載置台5を組み合わせ、支承板部4巾方向両端縁の夫々所定箇所に連結環44,44を形成し、全体側断面形が転倒F字型のクランプ保持金具2とする一方、支承板部4に隣接配置したときに連結環44,44に干渉しない対応連結環71,71を巾方向端縁に形成した全体正面形が巾広I型の連結用金具7を設け、連結環44,44、対応連結環71,71に連結棒73を挿通し蝶番状に連結した曲木工具用部品11である。
【解決手段】 ベース板部3先端から支承板部4を立ち上げて側断面L字型の装着用金具本体21とし、支承板部4基端にクランプ装着孔43を穿孔すると共に、クランプ装着孔43の直上に載置台5を組み合わせ、支承板部4巾方向両端縁の夫々所定箇所に連結環44,44を形成し、全体側断面形が転倒F字型のクランプ保持金具2とする一方、支承板部4に隣接配置したときに連結環44,44に干渉しない対応連結環71,71を巾方向端縁に形成した全体正面形が巾広I型の連結用金具7を設け、連結環44,44、対応連結環71,71に連結棒73を挿通し蝶番状に連結した曲木工具用部品11である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、曲木の加工技術に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであり、特に、二次元的曲線をもつ曲木の製造に必要な工具、治具、作業用台盤などを含む各種の設備、器具類等を製造、使用、提供または販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
曲木加工には、木材(直材)を切断、切削する通常の曲線加工に比較して生産費が安く、軽くて堅牢、しかも継ぎ目がなく外観に独特の美しいデザインが得られるという特徴があり、古くから、回転式曲木機械、押込式曲木機械、レバー式曲木機械、プレス式曲木機械など種々の曲木機械を利用して強力迅速に加工する機械的曲木や、内型の一端に被曲げ加工用材と帯鉄の一端をクランプ止めし、次に、被曲げ加工用材と帯鉄の他端をクランプ止めしてから、徐々に内型に沿って曲げ、要所々々を内型諸共クランプ止めし、全体を曲げて行くといった作業手順に従う手工的曲木など様々な加工法が採られてきた。
【0003】
このような曲木加工は、何れも、製造する曲線形状毎に凹凸型を準備しなければならず、一定形状の製品を大量生産する場合には、その生産効率と経済性とを高めるのに有効といえるが、現在の主流ともいえる多品種少量生産を行う場合には、製品毎に異なる凹凸型をその都度製作、準備する必要があり、生産コストおよび段取り工数の増加によって製品価格を高騰させてしまうという欠点があり、単品の製造や極少量生産などを行う場合には全く経済性を欠いてしまい、発注者または生産者にとって多大な経済的負担を強いられる結果になるという大きな欠点を有していた。
【0004】
(従来の技術)
その打開策として、例えば特開平7−186109号公報「曲板器」発明として提案されているもののように、一端に各別に当板嵌入孔を有し、他端には受台を設け、該受台と前記当板嵌入孔との間には長手方向に沿って長溝孔を形成し、該長溝孔に前記受台より挿通した螺棒を取り付けた取付台を上下一対に形成すると共に複数設けて前記当板嵌入孔外側壁と隣接する当板嵌入孔外側壁とを互いに枢着して横方向に連繋し、対設する上下当板嵌入孔に当板の両端を夫々嵌入取付けし、前記長溝孔の底部に押圧板の両端を挿入して前記当板と前記押圧板との間に挾着部を形成し、上下いずれか一方の取付台を左右に拡開することにより、前記上下取付台を同期に拡開せしめ、前記挾着部に挾着された被処理部材が前記取付台の拡開に対応して彎曲形成可能にすることにより、被処理部材である合板等を挾着する当板と押圧板を着脱自在に形成すると共に極めて簡単な構造にすることにより、容易に分解してコンパクト化し運搬及び収納作業が簡便化し、低コスト化を図ることができ、しかも当板及び押圧板の長さを変化させるだけで、あらゆる幅の板を彎曲させることができるようにしたもの。
【0005】
また、実公昭58−48088号公報「曲板器」考案に開示されている、複数の各取付台の先端に各別に当板を固着し、この当板と隣接の当板とを互いに蝶番附けして横方向に連繋させ、前記取付台を拡開することによって該当板を任意円弧状に形成すると共に、前記取付台に設けたガイドに沿って前後運動するよう前記当板に対向させた押圧板を支杆に挿通した螺棒の先端に取り付け、該当板と押圧板との間に挟着部を拡挟調節自在に構成し、当板と隣接当板との間に蝶番附けして円弧の程度を如何様にも変更して合板を任意円弧状に曲加工し得るようにしたもの等が散見される。
【0006】
しかし、前者および後者の何れの「曲板器」も、構造の複雑な万力部分を含む全体装置が曲木圧締用に専用設計したものとしなければならず、しかも被成型曲木の曲線形状に沿って複数配列された各万力部分は、緻密な曲線成型を得るために隙間を極力狭めるよう密接状に配するようにしなければならず、結果として成型する曲率半径が大きくなる程、より多くの万力部分を要して大型化、複雑化し、曲板器それ自体の製造コストも高騰させてしまうだけではなく、装置重量が増大して運搬や設置作業の労働負担が嵩むと共に、装置全体の段取り工数も増えて曲木製造工程中における万力部分の緊締、弛緩操作の工数などを大幅に増加させてしまうことから、曲板加工の経済効率を落としてしまうという欠点を有していた。
【特許文献1】(1)特開平7−186109号公報 (2)実公昭58−48088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある「曲板器」は、何れもその全体が曲板器を製造するために特別に設計、製造された専用部品の組み合わせによるものとせざるを得ず、しかも最も構造の複雑な万力部分の複数個同士を、曲木の成型曲線に沿って隙間を狭めて密接に隣接させるよう配置しなければならないことから、曲率半径が大きい曲板加工ほどより多くの万力部分を必要とすることになって曲板器自体の価格を高騰させると共に総重量も大幅な増加を招く結果、曲木生産の工程中における運搬や設置、撤収および収納などの段取り工数を増大させるだけに止まらず、成型工程中には、密接状に配した各万力部分の全てに対して緊締、弛緩操作が必要となって製造工数も増加させるなど、生産者の労働負担が大きくなると同時に、製品価格の上昇を招いてしまうという大きな課題を残すことになっていた。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、複数台を要する万力部分の製造コストをできるだけ削減すると共に、装置自体の軽量化を図って取り扱い作業性の改善を可能にした上、曲木加工の曲率半径の大きさに伴う万力部分の必要台数も極力削減可能なものとすることにより、従来型の「曲板器」に比較して段取りや曲木製作中の作業工数を大巾に減少させ、生産者の労働負担を軽減化させると同時にコストの低減化も可能にする新たな曲木加工技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の曲木工具用部品、およびそれを使用した新規な構造からなる曲木工具を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の曲木工具用部品は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、肉厚短冊状のベース板部先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔が穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様の肉厚短冊状のものとなし、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした構成を要旨とする曲木工具用部品である。
【0010】
この基本的な構成からなる曲木工具用部品を、より具体的なものとして示すと、作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした曲木工具用部品となる。
【0011】
(関連する発明)
前記した曲木工具用部品に関連し、この発明には、それを使用した曲木工具も包含している。
即ち、作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具とした上、当該クランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、同可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものとする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした、この発明の基本を成す上記部品を使用した曲木工具である。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明の曲木工具用部品によれば、専用設計によって全体側断面形が転倒F字型となるよう製作したクランプ保持金具に、対象市販クランプを所定姿勢で組み込み可能とし、従来型曲板器の製作コストを引き上げる要因となっていた圧締機構部分それ自体を、市場における価格競争で低廉化、軽量化および品質の安定化が図られている既製の対象市販クランプに置き換え、曲木工具全体として低廉に製造、販売することができるようにし、しかも、老朽化したり破損した場合には、各部のメンテナンスおよび新品との交換が所要部品部分毎に簡単、確実に実施可能になり、曲木工具としての使用利便性に加え、その経済性の面で特に有利な曲木工具を提供することができるという秀れた効果を発揮できるものとなる。
【0013】
更に、全体側断面形が転倒F字型となるよう製作したクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具を隣接配置状とし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結構造となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてあり、夫々に対象市販クランプが組み込まれた各クランプ保持金具の間に連結用金具が介在するようにしてあることから、同じ曲率半径の曲木を製造する場合に、万力部分が密接状に連結された従来型曲板器に比較して大幅な軽量化、低コスト化を図ることができ、曲木生産の段取りおよび製造作業の効率化を推進し、作業者への労働負担を大幅に軽減することが可能となり、しかも従来型では全く想定されたこともない曲木加工曲率円の内側に対象市販クランプを配置するよう設置、利用することも可能となり、単円弧形状だけでなく複雑な湾曲蛇行状の曲木も製造可能になるという効果も得られる。
【0014】
また、ベース板部は、肉厚短冊状に形成したものとしてあって、対象市販クランプを組み込んでなる曲木工具自体を作業用台盤上の任意箇所に安定的に載置可能とし、複数の仮留め孔を上下貫通状に穿設して釘やタッピングネジまたはボルト・ナットなど様々な緊締部品を用いて確実に固定し、複数個の曲木工具を平面配置で所望の彎曲状または彎曲蛇行状に仮固定可能にするという利点を有している。
【0015】
装着用金具本体は、側断面L字型となるよう対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した肉厚短冊状の支承板部を、ベース板部先端から鉛直状に立ち上げて一体化すると共に、該支承板部基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能とするクランプ装着孔を穿孔し、可動アームを取り外した対象市販クランプの固定アームとは反対がわとなるレール部端を支承板部背面がわからクランプ装着孔に装着し、同レール部をベース板部上に引き出すよう操作し、対象市販クランプの固定アーム先端圧締面を支承板部背面に当接させるよう組み合わせ、同支承板部表面が、対象市販クランプレール部端から進退自在に装着してある可動アームの締付ハンドルに対峙して実質的に曲げ加工用材を圧締する壁面を形成するものとなり、当該対象市販クランプを曲木工具の一部として有機的な結びつきをもって組み込むことができ、しかも簡便に分離することもできるという効果が得られる。
【0016】
そして、この支承板部は、載置台上に載置して加工対象となる曲げ加工用材に面するがわの表面に高弾性素材からなる保護板を装着するようにしてあり、曲木加工工程で加圧される曲げ加工用材に損傷を与えるのを簡便且つ確実に防止することができ、更に、支承板部の保護板を、曲木加工曲率円の外側配置とする場合には平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置とする場合には平断面形が曲木加工曲率と同等かまたはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型となるよう、夫々配置具合に応じたものに予め形成しておき、且つ同支承板部表面に着脱自在に装着し得るようにしたものでは、曲げ加工用材の傷付きを更に確実に防止することができる上、従来の帯鉄や凹凸型を用いたものに比較し、加圧面の圧力をより均等に分散することとなって対象曲げ加工用材の損傷を防止し、より精密な曲木仕上げ加工が期待できるものとなる。
【0017】
また、この載置台は、装着用金具本体支承板部のクランプ装着孔直上付近に、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能となるよう組み合わせてあり、支承板部表面と、これに対峙する対象市販クランプ可動アームの締付ハンドルとの間に装着状に配置する曲げ加工用材の底部を、所望する高さ位置に安定的に支持するようにしてあってより正確な曲木加工を実現化できると共に、曲げ加工用材底部が、該載置台の下がわ配置となるように装着した対象市販クランプのレール部に干渉するのを防止し、曲げ加工用材底部を損傷から保護するようにするという効果が得られることになる。
【0018】
更に、支承板部の対象市販クランプ固定アーム、先端圧締面が当接される背面に、同固定アームの適所を着脱自在に仮固定可能とするクランプ用横転防止機構を組み込んだものでは、段取り作業や曲げ加工用材を圧締するまでの準備作業中に、クランプ保持金具に組み込んだ対象市販クランプが不用意に横転して固定アームの先端圧締面が支承板部背面の適正当接位置から離脱してしまう不都合を防止して曲木加工の作業効率を格段に高めることが可能となり、しかも、支承板部背面に着脱自在に仮固定してなる固定アームの先端圧締面は、簡単、迅速に取り外すことができるようになって速やかな分解、組み立てを実現し、曲木工具の分解や運搬、収納、組み立て設置作業などを格段に効率化する特徴を発揮するものとなる。
【0019】
載置台の高さ調節機構は、装着用金具本体支承板部表面への載置台の取り付け高さ位置を所定範囲内の任意箇所に自在に調節、仮固定可能とし、寸法の異なる複数種類の曲げ加工用材にも柔軟に適応させることが可能となり、従前までであれば、圧締面寸法の異なる複数種類の曲板器を準備しておかなければならないところ、一種類のクランプ保持金具で巾広い対応を可能とし、それだけ経済的負担を軽減すると共に、曲板器の交換に要していた段取り工数を大巾に短縮させるという秀れた効果を奏するものとなる。
【0020】
そして、この高さ調節機構は、支承板部の巾方向に左右対称配置で鉛直状に平行する二本の長孔を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台の基端縁で、前記長孔に対応する箇所の夫々に水平ネジ孔を穿孔したものとし、当該支承板部背面がわから、それら各長孔に緩装した二本の位置決めボルトの各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台の各水平ネジ孔に螺着して弛緩自在に締め付け可能としてなるものとしてあり、載置台の上下移動の外、ある程度の傾き姿勢としての固定も可能となるように配慮するなど、従来型のものに比較し、より複雑な形状の曲木加工を実現化することができるという特徴をも兼ね備えている。
【0021】
クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所に連結環を一体形成する一方、連結用金具のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に対応連結環を一体形成したものとし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状に連結可能としてあり、複数個の曲木工具同士を、各連結棒の非常に簡単な抜き挿しだけのワンタッチ操作により、それら複数個を作業用台盤上に平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ、そして分解することができるようになることから、その作業効率は大巾に改善されることになる。
【0022】
連結用金具は、三個以上が平面隣接状配置とされた場合にあっても、それら各クランプ保持金具相互の隣接間隔を等しく保つと同時に、互いを鉛直状軸心回りに蝶番状に連結することとなって、複数個の曲木工具用部品を互いに平面配置で正しく彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能とし、従来型の曲板器のような万力部分の密着状隣接配置を解消し、同一の曲木加工を行う場合には、従来品に比較してクランプ保持金具(従来品の万力部分に相当するもの)の必要数を半減させることができ、しかも、作業者は、それらの配置間隔を一々測定する手間もなく作業用台盤上に載置し、曲木加工の曲率円に沿って複数個のクランプ保持金具を配置させるという手順だけで自動的に互いを等間隔に配置できることになるから、段取り工数をかなりの割合で削減できることになり、しかも、曲げ加工用材を圧締したときにも、各クランプ保持金具同士の隣接間隔を正確且つ十分な強度で規制することとなって精度の高い曲木加工を実現化し得るという効果を享受できる
【0023】
一方、この発明の曲木工具によれば、上述したとおりの曲木工具用部品の効果をそのまま発揮できるのに加え、予め曲木工具用部品に対象市販クランプを組み合わせて販売するようにしたものでは、購入者が、別途、この発明の前記した曲木工具用部品に組み合わせ可能な対象市販クランプを探して購入するという手間を省くことができ、しかも、全ての部品の組み合わせ状態と品質確認とを生産工場において済ませることが可能となり、より安定した品質のものの組み合わせを確保でき、消費者に対し、安全でより秀れた品質の曲木工具を確実に提供することができるという特徴が得られるものである。
【0024】
加えて、当該装着用金具本体支承板部に穿設したクランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものでは、導入当初から支障なく効率的に曲木加工を開始することができ、しかも、自在継ぎ手機構を有する圧締板が、曲げ加工用材の圧締面に均等接合して一部への集中的な加圧を効果的に回避することとなって加工不良の発生を格段に減少するものとなる。
【0025】
そして、対象市販クランプの締付ハンドル先端に装着する圧締板を、その表面に高弾性素材からなる保護板を装着するようにしたものでは、曲げ加工用材の傷付きをより確実に防止でき、更に、その保護板を、曲木加工曲率円の外側配置とする場合には平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置とする場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型と、夫々配置具合に応じたものに予め形成しておいて使い分けできるようにした上、該当圧締板表面に着脱自在に装着して曲木加工するようにしたものでは、加工工程を終えた曲げ加工用材の傷付き現象を回避できることとなって、従来の帯鉄や凹凸型を用いたものに比べ、加圧面圧力をより均等に分散して精密な曲木に仕上げることが可能になるという大きな効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
曲木工具用部品は、その所定箇所に対象市販クランプを、所定の姿勢に組み込むことにより、この発明の最終目的である曲木工具を実現可能とする機能を果たすものであり、対象市販クランプとの組み合わせによって理想的な曲木加工を実現可能とするものとしなければならず、組み立て用工具類など使用せず、対象市販クランプを簡単に着脱可能に組み込み可能なものとし、曲木加工に耐える十分な強度を有するものとしなければならず、一人の作業者が簡単に持ち運べる程度の形状、寸法および重量に設定されたものとするのが望ましく、より具体的には、後述する実施例に示すように、ベース板部先端から、側断面L字型となるよう支承板部を立ち上げて一体化するようにして装着用金具本体となし、当該支承板部基端付近にクランプ装着孔を穿孔し、ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台が組み合わされ、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具と、全体正面形が巾広I型となるよう形成され、支承板部巾方向両端に着脱自在に蝶番状連結可能としてなる連結用金具とからなるものとする。
【0027】
そして、この発明の曲木工具は、基本的に、曲木工具用部品のクランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同対象市販クランプ固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、同可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものにしなければならない。
【0028】
クランプ保持金具は、所定箇所に対象市販クランプを装着し、且つ連結用金具と蝶番状で着脱自在に連結したものの複数個を、平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせるようにしてこの発明の曲木工具を形成可能とする機能を果たし、曲木加工を行うのに十分な強度を有する側断面L字型の装着用金具本体、および、その支承板部に全体側断面形が転倒F字型となるよう十分な強度で取り付けられる載置台からなるものとしなければならず、少なくとも対象市販クランプや連結用金具などを取り外した単体の状態で運搬や保管などの取り扱いが容易に行えるよう、例えば一人の作業者が簡単に持ち運びできる程度の形状、寸法、重量に留めたものとするのが望ましいといえる。
【0029】
装着用金具本体は、クランプ保持金具を作業用台盤上に安定的に設置し、且つ所望の配置とするよう仮留め可能とすると共に、その所定箇所に対象市販クランプを組み込み可能とし、背面に対象市販クランプの固定アームを配した支承板部と、対象市販クランプ可動アームの締付ハンドル先端がわとの間に被曲木加工材を挟み込み圧締可能とし、また、支承板部の所望高さ位置に同曲げ加工用材を載置状に支持可能な載置台を水平状に仮固定可能とする機能を果たすものであり、作業用台盤上への安定的な仮固定を可能とする肉厚短冊状のベース板部を形成し、その先端から側断面L字型となるよう、曲木加工に十分に耐える肉厚短冊状に形成された支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化してなるものとしなければならず、ベース板部と支承板部との結合部分は、夫々を別体に形成して熔接、蝋付け、圧入、ボルト・ナット、リベットなどの各種結合構造によって一体化してなるものとするのが望ましいといえるが、場合によっては鋳造またはプレス加工によって一体成型したものとすることもできる外、一個のブロック材から削り出したものなどとすることも可能である。
【0030】
ベース板部は、クランプ保持金具の装着用金具本体を、作業用台盤上の任意適所に安定的に載置可能とすると共に、作業用台盤上の所望箇所に、曲木加工を行うに十分な強度をもって仮固定可能とする機能を果たし、支承板部、載置台、連結用金具および対象市販クランプを、曲木加工に耐える強度を発揮できるものとして直接または間接的に支持可能とするよう、実質的に肉厚短冊状に形成されたものとしなければならず、左右最大幅寸法が、先端側に立設された支承板部の左右幅寸法を超えないよう設定すべきであり、その長さ寸法を、作業用台盤上への載置安定性を失わない範囲でできるだけ短く設定するのが望ましく、そのために転倒しない重量バランスを確保できるよう肉厚を大きく設定したり、または錘を装着するなどして安定のための重量を確保したものとすることができ、肉厚短冊状の輪郭形状内に収まり、支承板部その他の各部を安定的に支持し得るものとすれば足り、例えば、曲木加工の曲率円の外側配置となるときに展開あるいは延伸して載置安定性を高め、同曲率円の内側配置となるときには折り畳みもしくは縮小させ、隣接するもの同士の干渉を回避可能とする支持脚を設けたものにすることが可能であり、後述する実施例に示すように、業用台盤上への固定用となる仮留め孔を複数、適所に上下貫通状に穿設したものとすべきである。
【0031】
支承板部は、装着用金具本体の所定箇所に対象市販クランプを装着可能とし、背面に当接状となるよう配された対象市販クランプ固定アームの先端圧締面に代わり、その表面が、対象市販クランプ可動アームの締付ハンドルの先端がわとの間に被曲木加工材を挟み込み圧締可能にすると共に、この表面がわとなる所望高さ位置に同曲げ加工用材を載置する載置台を組み込み可能とする上、巾方向両端縁の夫々に連結用金具を着脱自在に蝶番状連結可能とする機能を果たし、ベース板部先端から鉛直状に立ち上げ、一体化された基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を肉厚方向に挿通可能なクランプ装着孔を穿孔すると共に、該クランプ装着孔の直上付近に、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台を組み合わせ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所に、連結用金具の連結用となる連結環を一体形成し、曲木加工に十分に耐える強度を確保し、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した実質的に肉厚短冊状のものとしなければならない。
【0032】
そして、載置台上に載置して加工対象とする曲げ加工用材に対峙するがわとなる表面に、高弾性素材からなる保護板を装着したものとすることが可能であり、必要に応じて後述する実施例に示すように、保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には平断面形凹字型の、また曲木加工曲率円の内側配置となる場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型のものとなるよう、予め配置箇所に応じたものに形成して使い分けができるようにした上、該当支承板部表面に着脱自在に装着し得るようにしたものとすることができる外、対象市販クランプ固定アームの先端圧締面が当接される背面に、同固定アームの適所を着脱自在に仮固定可能とするクランプ用横転防止機構を組み込んでなるものとすることが可能である。
【0033】
クランプ装着孔は、可動アームを取り外した対象市販クランプのレール部を、支承板部基端付近の背面がわから表面がわに貫通させてベース板部上に誘導し、可動アームを進退自在に装着すると共に、同対象市販クランプの固定アーム先端圧締面を支承板部背面に当接させるよう組み合わせ可能とする機能を果たし、支承板部基端付近に肉厚方向に向けて貫通し、対象市販クランプのレール部を緩やかに装着可能とする形状、寸法に開口したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、支承板部基端付近の幅寸法中央に貫通されたものとすべきである。
【0034】
連結環は、クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部の巾方向両端縁夫々に隣接、配置状とした連結用金具の対応連結環に干渉することなく、しかも互いの連結孔同士を同心状とするよう組み合わせ、連結棒の脱抜自在な挿通によって蝶番状に連結可能とする機能を果たすものであり、曲木加工に耐え得る強度を有し、支承板部の巾方向両端縁の夫々所定箇所に一体形成したものとしなければならず、その中心付近であって当該対応連結環の連結孔と同心状配置に組み合わせ可能となる箇所に鉛直方向の連結孔を穿設してなるものとすべきであり、その連結孔は、連結棒を着脱容易に緩挿可能な直径に設定されたものとするのが望ましい。
【0035】
クランプ用横転防止機構は、クランプ保持金具の装着用金具本体、支承板部基端付近に穿孔されたクランプ装着孔にレール部を装着し、固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させた対象市販クランプが、当該支承板部と可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に設けた圧締板との間に曲げ加工用材を挟み込もうとするときや、曲げ加工用材を圧締するときなどに、曲木工具用部品に対して不用意に移動、離脱することなく、所定の位置に仮固定する機能を果たすものであり、少なくとも曲げ加工用材の圧締操作中に対象市販クランプをクランプ保持金具に対して転倒しない程度に保持し得るものとしなければならず、当該支承板部の背面適所に設けられた留め金具やバンドなどからなるものとする外、当該支承板部背面の、同背面に当接する対象市販クランプ先端圧締面直近の左右両側配置となる箇所の夫々から、当該背面に直角状姿勢で水平状に延伸させた左右支持ピンからなるものとすることが可能である。
【0036】
載置台は、曲木加工を行うときに、クランプ保持金具支承板部の表面と、当該曲木工具用部品に組み込まれた対象市販クランプ可動アームに螺着した締付ハンドル先端に設けられた圧締板表面との間に挟み込む曲げ加工用材を、所望の高さ位置に支持可能とする機能を果たすものであり、被曲木加工材を十分に保持できる強度を有するものとし、被曲木加工材の下縁を水平支持可能な形状としなければならず、被曲木加工材の下縁を任意の角度に僅かに傾斜した姿勢に支持できるものとすることが可能であり、上面に曲げ加工用材の底部を保護する軟質または硬質の保護部品を着脱可能に設けることができる外、後述する実施例に示すように、支承板部の適所に対して高さ調節機構を介して仮固定されたものとするのが望ましいといえる。
【0037】
高さ調節機構は、曲げ加工用材が載置できるだけの強度を有し、載置台の基端縁を、ベース板部よりも上方となる支承板部の表面に、同ベース板部に平行配置で水平状姿勢となるよう仮固定可能にすると共に、同載置台の所定上下範囲内の上下移動、および同上下範囲内の任意箇所に所望姿勢で仮固定する機能を果たすものであり、より具体的には、上下移動用の案内レール機能と、所望高さ位置に任意姿勢で仮固定可能とする仮固定機能とを兼ね備えたものとしなければならず、更に具体的に示すならば、後述する実施例に示すように、支承板部の巾方向に左右対称配置で鉛直状に平行する二本の長孔を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台の基端縁で、前記長孔に対応する箇所の夫々に水平ネジ孔を穿孔したものとし、当該支承板部背面がわから、それら各長孔に緩装した二本の位置決めボルトの各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台の各水平ネジ孔に螺着して弛緩自在に締め付け可能としてなるものとすることができる。
【0038】
連結用金具は、クランプ保持金具装着用金具本体支承板部の巾方向両端縁夫々に隣接配置状で蝶番状構造になるように連結し、当該曲木工具の複数個同士が、平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わされたとき、各曲木工具の支承板部同士が、従来型のもののように直接的に隣接されてしまうのを阻止し、当該連結用金具の幅寸法分の距離を維持した配置を可能にするという機能を果たし、しかも、場合によっては支承板部と共に曲げ加工用材の圧締面に接合、支持可能とするという機能を果たすものであり、したがって、支承板部と同様、十分な強度を有する肉厚短冊状のものに形成されていなければならず、当該支承板部の巾方向両端縁夫々の中の何れか任意に選択した一方に、対応する巾方向端縁を着脱可能に蝶番状の連結構造が可能となるようにしなければならず、後述する実施例に示すように、クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したとき、同クランプ保持金具の連結環に干渉しない巾方向端縁適所夫々に鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成し、全体正面形が巾広I型であって両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通し、蝶番状構造に連結できるようにしたものに形成する。
【0039】
また、この連結用金具は、加工対象となる曲げ加工用材に面するがわの表面に、高弾性素材からなる保護板を装着してなるものとすることができ、その保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には平断面形凹字型に、そして曲木加工曲率円の内側配置となる場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型になるよう、配置箇所によって使い分けが可能となるように予め形成しておくようにし、該当連結用金具表面に着脱自在に装着し得るようにしたものにすると好都合のものとなる。
【0040】
連結用金具の対応連結環は、該連結用金具をクランプ保持金具装着用金具本体支承板部の巾方向両端縁の中の任意に選択された何れか一方に隣接に配置させたとき、支承板部の連結環に干渉することなく組み合わされ、連結棒の挿着によって蝶番状の連結を可能とする機能を果たすものであり、曲木加工に耐える強度を有し、連結用金具の巾方向両端縁であって夫々支承板部の連結環と干渉しない配置関係となる所定箇所に一体形成されたものとしなければならず、その中心付近であって当該連結環の連結孔と同心状配置に組み合わせ可能となる箇所に鉛直方向の連結孔を穿設してなるものとすべきであり、前記連結環と同様に、その連結孔は、連結棒を着脱容易に緩挿可能な直径に設定されたものとしなければならない。
【0041】
連結棒は、クランプ保持金具装着用金具本体支承板部に連結用金具を隣接配置させたとき、双方の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として脱抜自在に挿通し、蝶番状の連結構造を実現可能とする機能を果たすものであり、曲木加工によって生ずる連結部分の剪断力に十分に耐え得るだけの強度を有するものとしなければならず、各連結孔に対して抜き挿し操作を容易とする直径に設定すべきであり、作業用台盤上に設置してある曲木工具に挿着したときに、その下端が作業用台盤上面に接地し、且つ上端が支承板部および連結用金具の上部に摘持可能な程度露出するよう寸法設定されたものとするのが望ましく、後述する実施例に示すように、挿通姿勢の上端部分に、連結孔より大きな外径をもつ頭部を設け、上方への脱抜操作を容易となるようにしたものとするのが望ましい。
【0042】
対象市販クランプは、この発明の曲木工具用部品の所定箇所に所定の姿勢となるよう組み込んでこの発明の曲木工具を実現可能とする機能を果たすものであって、より具体的には、所定長さのレール部の一端を、側断面横転J字型かまたは側断面横転L字型とするよう折曲して固定アームを一体形成し、該固定アームの先端には先端圧締面を形成したものとする一方、該レール部の固定アームを形成したのとは反対がわとなる他端からは、先端に締付ハンドルを螺着した可動アームの基端が進退移動自在に装着されるようにしたものであって、独立した市販品として大量に生産され、市場に広く供給されているものであり、当該先端圧締面とこれに対峙させた締付ハンドル先端との間に物品を挟着、圧締使用したときに、レール部と可動アーム基端との間の梃子の原理によって発生する摩擦力により、可動アームをレール部に仮固定状とする機能を発揮できるようにした極めて簡素な構造からなるもので十分であり、後述する実施例でも、ワンタッチクランプ(商品名:ドイツベッセイ社製)や同じベッセイ社製のベッセイクランプ(商品名)などを採用するようにした事例としてある。
【0043】
また、対象市販クランプには、曲木工具用部品に組み込んだとき、支承板部表面に対峙する締付ハンドル先端に支承板部の幅寸法に相当する圧締板を設けたものとしなければならず、より具体的には、可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定されていて、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものとするのが望ましい。
【0044】
圧締板の自在継ぎ手機構は、支承板部表面に対峙する圧締板の姿勢を、同支承板部表面に平行な垂直に支持するだけでなく、支承板部表面に対して僅かに傾斜するようにした姿勢にも支持でき、そのまま圧締可能とするという機能を果たし、締付ハンドル先端への支持角度が、外力を受けて自在に変化するボールジョイントからなり、圧締板が曲げ加工用材に加える圧力を、締め付け操作の過程に自動的に分散、均質化できるようにしたものとするのが望ましいといえる。
【0045】
保護板は、支承板部表面や、これに対峙する圧締板表面などの硬質な部品の強い接触によって曲げ加工用材に損傷を与えるのを阻止すると共に、曲げ加工用材に加わる締付け圧力の分散、均質化を図るという機能を果たし、支承板部や圧締板に比較し、より軟質な素材からなるものとしなければならず、例えば、天然ゴム板、合成ゴム板、発泡樹脂板、フェルト積層体、木板、軟質金属板などの高弾性素材または塑性素材からなるものとすることが可能であり、耐久性や経済性などを考慮すると硬質ゴム板のような高弾性素材からなるものとすべきである。
【0046】
更に、保護板は、装着の対象となる支承板部表面または圧締板表面が、曲木加工曲率円の外側配置となる場合にあっては平断面形凹字型となるように、そして曲木加工曲率円の内側配置となる場合にあっては、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定された凸面円弧型となるように、夫々配置箇所に応じて使い分けができるものとして予め形成したものとしておき、支承板部表面または圧締板表面に着脱自在に装着し得るようにしたものとすべきである。
そして、作業用台盤は、その上面に載置された複数個の曲木工具用部品または曲木工具を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ、その配置関係のまま曲木加工に耐え得る強度で仮固定可能とする機能を果たし、十分な強度と安定性とを兼ね備えたものとしなければならない。
【0047】
曲げ加工用材は、この発明の曲木工具を利用した曲木加工の対象となり得る加工素材であって、木工用の天然ムク木として一般的なヒッコリ、とねりこ、えんじゅ、しおじ、しで、たも、けやき、かえで、さくら、くるみなどといった広葉樹の方が針葉樹よりも塑性が大きく適しているといえるが、必ずしもそれに限定されている訳ではなくて針葉樹のムク木であってもよく、場合によってはそれらを組み合わせた木材を対象とすることも可能であり、更に、接着剤を塗着けた薄単板の多数枚を重ね合わせ、一体化してなる積層合板や集成材に対して曲木加工を行うことも可能であり、当然のことながらそれら全てが対象となり得ることは言うまでもない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0048】
図1のクランプ保持金具の側面図、図2のクランプ保持金具の背面図、図3の連結用金具の背面図、図4の連結用金具の側面図、図5の曲木工具用部品の背面図、および図6の連結棒の正面図に示される事例は、肉厚短冊状のベース板部3先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプ8の固定アーム81長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部4を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体21となし、該装着用金具本体21支承板部4基端付近には、当該対象市販クランプ8のレール部83を挿通可能なクランプ装着孔43が穿孔されると共に、該クランプ装着孔43の直上付近には、当該装着用金具本体21ベース板部3よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台5が組み合わされ、且つ、当該支承板部4巾方向両端縁の夫々所定箇所には連結環44,44を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具2とする一方、該クランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4と同様の肉厚短冊状のものとなし、先のクランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4に隣接配置したときにクランプ保持金具2の連結環44,44に干渉しない適所夫々に対応連結環71,71を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具7となし、両金具の対応する互いの連結環44,44、対応連結環71,71同士に連結棒73を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなる、この発明の曲木工具用部品における代表的な一実施例を示すものである。
【0049】
当該装着用金具本体21は、図1および2中に示すように、機械構造用炭素鋼または一般構造用圧延鋼など耐久性に秀れた鋼材製であって肉厚12mm、左右幅50mm、長さ150mmの肉厚短冊状に形成し、後端から10mmの左右端の二箇所夫々に、直径4mmの仮留め孔31,31を上下貫通状に穿設したベース板部3を有し、該ベース板部3の長さ方向の先端上面に、同ベース板部3と同一素材からなる肉厚9mm、左右幅50mm、長さ228mmの肉厚短冊状に形成した支承板部4となし、その長さ方向の一端を鉛直状に立ち上げるよう熔接して側断面L字型で十分な強度を有するように一体化したものである。
【0050】
ベース板部3との熔接部分直上となる支承板部4基端付近には、同支承板部4の左右幅中央となる箇所に、左右幅18mm、高さ33mmの略矩形状に開口され、その開口下端がベース板部3上面に面一状に連続するようにしたクランプ装着孔43を、その板厚方向に貫通、穿設したものとしており、該クランプ装着孔43の直上付近には、ベース板部3や支承板部4と同様の素材製であって肉厚15mm、左右幅50mm、長さ100mmの肉厚短冊状に形成された載置台5の長さ方向基端縁が、高さ調節機構6を介して水平状に仮固定され、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具2を形成してある。
【0051】
高さ調節機構6は、クランプ装着孔43の直上付近となる支承板部4のベース板部3上面から上方46mmと、同ベース板部3上面から83mm上方との上下範囲に、支承板部4左右端縁から夫々10mm中央寄りとなる箇所に、左右対称配置で鉛直状に平行する幅8.5mmの二本の長孔61,61を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台5の基端縁で、前記長孔61,61に対応する箇所の夫々に、雌ネジの呼びM8、呼び深さ27mmの水平ネジ孔62,62を穿孔したものとし、当該支承板部4背面42がわから、それら各長孔61,61に緩装した二本のネジの呼びM8、呼び長さ25mmのステンレス製六角穴付きボルトである位置決めボルト63,63の各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台5の各水平ネジ孔62,62に螺着して弛緩自在に締め付け可能なものとしてある。
【0052】
また、クランプ保持金具2装着用金具本体21支承板部4の後述する圧締板9に対峙する表面41の載置台5高さ調節機構6より上がわとなる範囲には、厚さ約10mmに設定された高弾性素材である硬質ゴム板からなる保護板Rを、適宜嵌着構造かまたは粘着剤を用いるなどして着脱自在に装着した上、該保護板Rは当該支承板部4が、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には、曲げ加工用材M当接面の中央幅20mmの範囲を上下端に亘って厚さ約7mmとするよう、厚み方向深さ3mmの矩形箱状部分を刳り抜いた平断面形凹字型となるように、また、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率である、例えば曲率半径100mmに設定した凸面円弧型となるように形成したものとする。
【0053】
高さ調節機構6より上がわとなる支承板部4のベース板部3上面から上方147mmの背面42には、同支承板部4左右端縁から中央寄りに6mmの左右箇所夫々に、肉厚方向に穿孔した図示しない下孔に、直径4mmの左右支持ピン46,46を、突出寸法12mmとするよう締まり嵌めによって水平方向に圧入、固定してクランプ用横転防止機構46を形成したものとしている。
【0054】
また、支承板部4巾方向、正面左端縁の上端から10mmの箇所、およびベース板部3の下面から22mmの箇所夫々に鉛直方向の連結孔45(直径6.5mm)を穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの連結環44,44各一個ずつを熔接によって強固に一体化したものにすると共に、同承板部4巾方向、正面右端縁の上端に一致する箇所、およびベース板部3の下面から31mmの箇所夫々に、同じく直径6.5mmの連結孔45を鉛直方向に穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの連結環44,44各一個ずつを熔接によって強固に一体化してある。
【0055】
連結用金具7は、図3および4中に示すように、支承板部4と同一素材からなり、肉厚9mm、左右幅50mm、長さが(ベース板部3の厚さ12mmに支承板部4の長さ228mmを加えた寸法に等しい)240mmの肉厚短冊状であって、全体正面形が巾広I型に形成され、支承板部4巾方向、正面左端縁がわに隣接配置される、正面右端縁の上端に一致する箇所、およびベース板部3の下面から31mmの箇所夫々に、直径6.5mmの連結孔72を鉛直方向に穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの対応連結環71,71各一個ずつを熔接によって強固に一体化し、正面左端縁の上端から10mmの箇所、およびベース板部3の下面から22mmの箇所夫々に、鉛直方向の連結孔72(直径6.5mm)を穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの対応連結環71,71各一個ずつを熔接によって強固に一体化し、支承板部4の左右何れか任意に選択した一方に、隣接状に配置したときに、同支承板部4の各連結環44,44に対応連結環71,71が干渉することなく上下に組み合わすことができ、互いの連結孔45,45,72,72が同心状に配置可能なものしてある。
【0056】
そして、クランプ保持金具2支承板部4の任意に選択された左右端縁の中、何れか一方に連結用金具7を隣接状に配置させ、同心状に配置させた各連結環44,44対応連結環71,71の連結孔45,45,72,72に、図6中に示す直径6mm、長さ240mmの鋼材製丸棒からなり、頭部に直径9mm、長さ10mmの頭部74を同心状に一体化した連結棒73を、図5中に示すよう、下向き縦貫状且つ脱抜自在に装着してクランプ保持金具2支承板部4と連結用金具7とを着脱自在で蝶番状構造となるように連結し、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にした曲木工具用部品11を形成するようにしてある。
【実施例2】
【0057】
図7の曲木工具の側面図、図8の対象市販クランプの側面図、図9の圧締板の側面図、図10の圧締板の正面図、および図11の複数個が連結されて彎曲状に平面配置された曲木工具の平面図に示される事例は、作業用台盤T上への固定用とする複数の仮留め孔31,31が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部3の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプ8の固定アーム81長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部4を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体21となし、該装着用金具本体21支承板部4基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプ8のレール部83を挿通可能なクランプ装着孔43が、その板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔43の直上付近には、当該装着用金具本体21ベース板部3よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構6を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材M載置用とする載置台5が組み合わされ、且つ、当該支承板部4巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔45を穿設してなる連結環44,44,……を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具2とする。
【0058】
そして、当該クランプ装着孔43に対象市販クランプ8のレール部83を装着し、同固定アーム81の先端圧締面82を支承板部4背面42に当接させ、同可動アーム84先端がわに螺着した締付ハンドル85先端に、支承板部4に相当する幅寸法と、当該載置台5に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を設けてなるものとする一方、該クランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4に隣接配置したときにクランプ保持金具2の連結環44,44に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔72を穿設した対応連結環71,71,……を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具7となし、両金具の対応する互いの連結環44,44、対応連結環71,71の連結孔45,45,72,72同士を同心状配置として連結棒73を脱抜自在に挿通して蝶番状の連結構造をなし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなる、この発明の曲木工具における代表的な一実施例を示すものである。
【0059】
当該曲木工具1は、前記実施例1の図1ないし6中に示した、曲木工具用部品11の所定箇所に、図8に示すような対象市販クランプ8、例えば、ワンタッチクランプ(商品名:ドイツベッセイ社製)または同ベッセイ社製のベッセイクランプ(商品名)を組み合わせるようにするもので、この対象市販クランプ8は、長さ約330mmのレール部83先端から、先端に先端圧締面82を形成した長さ160mmの固定アーム81が直角状に延伸され、側面形状が横転L字型に形成された本体を有し、当該レール部83には、先端に締付ハンドル85が送りネジ機構を介して螺着された長さ140mmの可動アーム84を、その基端に形成した図示しない装着用環部が進退自在に遊嵌されるよう装着されたものである。
【0060】
当該対象市販クランプ8は、図7中に示すように、曲木工具用部品11クランプ保持金具2装着用金具本体21の支承板部4基端付近に開口させたクランプ装着孔43に、同支承板部4背面42がわから、可動アーム84を取り外したレール部83先端を、ベース板部3上に誘導するよう貫通状に装着し、同固定アーム81の先端圧締面82を支承板部4背面42に当接させ、しかもこの先端圧締面82の左右が、クランプ用横転防止機構である左右支持ピン46,46間に嵌合状に配されて横転を阻止するよう組み合わせた上、当該レール部83先端がわから、可動アーム84基端の図示しない装着用環部を進退自在に遊嵌状に装着したものとし、更に、同可動アーム84先端がわに送りネジ機構を介して螺着された締付ハンドル85の支承板部4表面41に対峙する先端には、支承板部4に相当する肉厚9mm、左右幅寸法50mm、および当該載置台5に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法となるよう、長さ寸法を86mmに設定した肉厚短冊状の圧締板9を、その背面92中央に設けたボールジョイントからなる自在継ぎ手機構93を介して傾動自在に連結したものとする。
【0061】
また、対象市販クランプ8可動アーム84の締付ハンドル85に設けた圧締板9の表面91全面にも、支承板部4に装着したのと同様の硬質ゴム板からなる保護板Rを着脱自在に装着したものとし、該保護板Rを支承板部4に装着したのと同様に、当該圧締板9が曲木加工曲率円の外側配置となる場合には、曲げ加工用材M当接面の中央幅20mmの範囲を上下端に亘って厚さ約7mmとするよう、厚み方向深さ3mmの矩形箱状部分を刳り抜いた平断面形凹字型になるよう、そして、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率である、例えば曲率半径100mmに設定した凸面円弧型となるよう予め形成しておき、配置箇所に応じて使い分けができるようにしたものとする。
【0062】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の曲木工具用部品11は、図1および2に示したクランプ保持金具2の所定箇所に、図8に示すような対象市販クランプ8を組み込むと共に、必要に応じて当該クランプ保持金具2における装着用金具本体21支承板部4の巾方向左右の何れか一方か、または双方かの何れかに、図3および4に示すとおり、連結用金具7を着脱自在に連結して曲木工具1を形成するものである。
【0063】
曲木工具用部品11のクランプ保持金具2装着用金具本体21の、図1および2に示すベース板部3は、対象市販クランプ8を組み込み、図11の複数の曲木工具を平面彎曲状に配置した状態の平面図に示すように、曲げ加工用材Mのための加工円弧形状に倣って各曲木工具1,1,……を作業用台盤T上に安定に載置した後、予め設けてあるベース板部3の各仮留め孔31,31に釘、タッピングネジ、ボルト・ナットなどを用い、着脱自在に確りと仮固定する。
【0064】
曲木工具用部品11におけるクランプ保持金具2装着用金具本体21の、図1および2に示す支承板部4は、その基端付近の幅寸法中央にクランプ装着孔43を穿設し、同クランプ装着孔43の開口下端縁が、ベース板部3上面に面一状となるよう形成したものとされ、該支承板部4背面42がわから、可動アーム84を取り外した対象市販クランプ8レール部83の先端を、同支承板部4表面41がわに誘導するよう装着し、当該ベース板部3上面の巾方向中央に載置されるようにして対象市販クランプ8レール部83が装着され、しかも同支承板部4の背面42には、図7中に示すように、対象市販クランプ8固定アーム81の先端圧締面82が当接されるようする一方、当該支承板部4表面41が曲げ加工用材M用の圧締面を、前記固定アーム81の先端圧締面82に代わって拡大、当接状とする。
【0065】
図1および2中に示す支承板部4の背面42に突設状にクランプ用横転防止機構を形成する左右支持ピン46,46は、図7に示すように、支承板部4背面42に当接状とした対象市販クランプ8の固定アーム81先端圧締面82の巾方向側端縁の双方適所の夫々を左右がわ(先端圧締面82の巾方向に同じ)から支持するものとなり、曲木工具用部品11に組み込まれた対象市販クランプ8が不用意に横転、離脱してしまったりするのを阻止可能にする一方、対象市販クランプ8の組み込みおよび分解、取り外し方向には係合するなどの支障を来すことはなく、円滑な分解、組み立てを可能にする状態に突設されている。
【0066】
図1および2中に示すように、装着用金具本体21支承板部4に対して高さ調節機構6を介して装着される載置台5は、当該高さ調節機構6の長孔61,61に沿い、弛緩状態にある左右の位置決めボルト63,63夫々を上下動させて適宜高さ調節することを可能にすると共に、各位置決めボルト63,63を螺合、緊締して所望の高さ位置に確りと仮固定することも可能にしてあり、図7側面図中に示すように、水平姿勢に仮固定して曲げ加工用材Mの底面を安定に載置状にするものとする外、左右の位置決めボルト63,63を弛緩させ、長孔61,61の遊び寸法内で互いの高さを異にするよう調節、仮固定してから締め付け操作すれば、底面が傾斜面あるいは曲面状となっている曲げ加工用材Mでも安定的に支持できるものとなり、そのときの当該載置台5は、曲げ加工用材Mの長さ方向何れかへ傾斜状に仮固定状となる。
【0067】
図1および図2中に示す装着用金具本体21支承板部4の曲げ加工用材Mに面することとなる表面41に着脱自在に装着した保護板である硬質ゴム板Rは、曲げ加工用材Mを硬質な支承板部4の直接接触を回避して板面保護をすると共に、それが老朽化や破損したときに簡便、迅速に新しいものへと交換可能にする外、曲げ加工用材Mの加工曲面形状に応じた最適形状、寸法のものにその都度選択、交換可能にし、しかもその高弾性素材により、支承板部4から加えられる圧締力を曲げ加工用材Mの当接面に均質、分散させることとなって有効な曲げ加工力として作用すると共に、集中荷重による曲げ加工用材Mへの損傷を防止するものとなる。
更に、保護板である硬質ゴム板Rは、曲木加工曲率円の外側配置となる場合に平断面形凹字型に形成し、曲木加工曲率円の内側配置となる場合に、平断面形が曲率半径100mmの曲率に設定した凸面円弧型となるように形成したものを選択的に装着するようにすれば、曲率半径100mm以上の曲木加工に適応し得る幅広い曲木加工が可能である。
【0068】
図1および2中に示すように、クランプ保持金具2における装着用金具本体21支承板部4、巾方向両端縁の夫々所定箇所に形成した連結環44,44,……、および、図3および4に示した連結用金具7巾方向両端縁の対応連結環71,71,……は、図5中に示すように、支承板部4と連結用金具7とを隣接状に配すると共に、対応する互いの連結環44,44、対応連結環71,71,……の各連結孔45,45,72,72同士を鉛直同心状に縦列配置した上、同所に連結棒73を下向きに挿通することにより、クランプ保持金具2および連結用金具7を、垂直軸心回りに回動自在とした蝶番状構造に連結して相互の平面配置角度を自在にするものとなり、当該連結棒73の頭部74を掴んで上向きに引き抜くだけでそれらクランプ保持金具2と連結用金具7とを簡便に分離して個々独立した部品となる。
【0069】
(実施例2の作用)
図1ないし6に示した曲木工具用部品11の所定箇所に、図8の対象市販クランプ8を組み込み、可動アーム84締付ハンドル85先端に、図9および10に示す自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を装着し、図7のように形成したこの発明の曲木工具1は、図11中に示すように、その複数個間夫々に連結棒73,73,……を挿し込み、蝶番状構造に連結した上、目的の曲木とするための加工曲線に沿うよう、作業用台盤T上に湾曲状に配置させると共に、個々のクランプ保持金具2における装着用金具本体21ベース板部3の仮留め孔31,31に釘やタッピングネジなどを打ち込み、確りと仮固定して位置取りしてから接着剤を塗布して複数枚の板を積層状とした曲げ加工用材Mを、その表裏面が垂直姿勢となるようにして各曲木工具1,1,……の支承板部4と圧締板9との間に介在、装着すると共に、同曲げ加工用材Mの積層方向に直交する方向(即ち、上下方向)の下端を各載置台5,5,……上に載置した後、所定の如く配してある各曲木工具1,1,……の中の中央のものから始め、その両側に隣接する外側配置のものへの順として、少しずつ均等圧締となるよう各対象市販クランプ8,8,……の締付ハンドル85を締め付け操作し、この発明の曲木工具用部品、およびそれを使用した曲木工具による集成曲板製作方法を実施する。
【0070】
複数個の曲木工具1,1,……は、図12の彎曲蛇行状に組み合わせた複数個の曲木工具の平面図に示すように、各クランプ保持金具2ベース板部3の後端がわを、曲木加工曲率円の外側配置とするよう作業用台盤T上に載置、固定し、例えば、曲げ加工用材Mを平面逆S字状に湾曲するよう曲木加工でき、更に、図13の別の配置関係で彎曲蛇行状に組み合わせた複数個の曲木工具の平面図に示すように、各クランプ保持金具2,2,……間夫々に、それらの支承板部4に等しい幅寸法に設定した連結用金具7,7,……を連結した構造を利用し、従来手段では全く不可能とされていた複数個の曲木工具1,1,……の各クランプ保持金具2ベース板部3の後端がわを曲木加工曲率円の内側に配するようにすることも可能となる。
【0071】
また、図11に示した中の何れか一個の曲木工具1は、図14の曲木工具によって圧締される曲げ加工用材の平面図に示すように、曲げ加工用材Mの加工曲率円の内側に配するクランプ保持金具2支承板部4の表面41に、平断面形を曲率半径100mmの凸面円弧型に形成し、着脱自在とする硬質ゴム板Rが、100mmを超える加工曲率半径の曲げ加工用材Mにおける曲率円内側壁面に圧接状となる一方、これとは反対がわの圧締板9表面91の平断面形凹字型の硬質ゴム板Rが、同曲げ加工用材Mの曲率円外側壁面に圧接状となり、支承板部4に装着した硬質ゴム板Rの平断面凸面円弧型部分が、曲げ加工用材Mを、実質的に同図14中に実線矢印で示すように圧締状とし、また、圧締板9の硬質ゴム板Rが、その平断面凹字型によってその圧締力を均質に受け止めるよう作用するものとなる。
【0072】
図16のあて板や保護板などを用いない圧締状態の平面図に示すように、硬質ゴム板R,Rを装着しない場合には、クランプ保持金具2支承板部4の表面41および圧締板9表面91の硬質部分が、曲げ加工用材Mを直接圧締することになり、正確な曲面が得られず、同曲げ加工用材M曲面の直接加工表面には、支承板部4および圧締板9各表面41、91平坦面が転写状に形成され、しかも曲面の内側には、支承板部4および圧締板9各エッジによる凹みなどの損傷を与える虞があり、これらの現象を解消するため、図17のあて板を用いた圧締状態の平面図に示すように、当該曲げ加工用材Mと、クランプ保持金具2支承板部4の表面41および圧締板9表面91との間に、従前から使用の板A,Aを挟み込む方法の採用も勿論可能となるが、これらあて板A,Aでは、その継ぎ目を避けるために往々にして大型のものとなり易く、運搬や保管など取り扱いが困難となる上、一部が破損、損傷したときにも全体を修理、交換しなければならず、不経済になるという欠点があり、こうした点の解消からも、図15の曲げ加工用材を圧締する曲木工具の平面図に示すように、クランプ保持金具2支承板部4の表面41および圧締板9表面91の夫々に個別の硬質ゴム板Rを着脱自在に装着、使用するようにするのが、取扱い上からも経済性からも有利になる。
また、図15中に示すように、各連結用金具7の曲げ加工用材Mに面する表面にもクランプ保持金具2支承板部4に装着したものと同様の硬質ゴム板Rを着脱自在に装着し、曲げ加工用材Mを圧締、曲げ加工するようにすべきである。
【0073】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の曲木工具用部品11は、前記してあるこの発明の効果の項で取り上げた特徴に加え、図1および2に示したクランプ保持金具2に、図8に示す対象市販クランプ8を組み込むと共に、支承板部4の巾方向左右に、図3および4に示す連結用金具7を、図5に示す如く着脱自在に連結して曲木工具1を形成可能とし、支承板部4の長さの異なるクランプ保持金具2を複数種類準備しておき、曲げ加工用材Mの寸法に応じた長さのクランプ保持金具2を選択して対象市販クランプ8と組み合わせ使用することによって、より経済的な利用を実現化することができる。
【0074】
図1および2に示した、クランプ保持金具2装着用金具本体21の支承板部4背面42に突設され、クランプ用横転防止機構を形成する左右支持ピン46,46は、図7に示すように、当該支承板部4背面42に接合させた対象市販クランプ8固定アーム81先端圧締面82の巾方向側端縁の双方に係合状となり、曲木工具用部品11に組み込んだ対象市販クランプ8が不用意に横転、離脱してしまうのを阻止可能とするばかりでなく、特に緊締したとき、同支承板部4背面42の幅寸法の中央に、対象市販クランプ8固定アーム81先端圧締面82の巾寸法中央を一致させる位置決め機能も発揮して正確な組み合わせ状態を確保するという効果も得られるものとなる。
【0075】
また、図1および2中に示した、載置台5用の高さ調節機構6は、長孔61,61の上下範囲に亘って載置台5の高さ調節を自在に行うことを可能にし、しかも左右の位置決めボルト63,63の締め付け位置を上下に適宜調整して仮固定状とすれば、載置台5を曲げ加工用材Mの長さ方向何れかに傾斜させた姿勢でも支持することができるようになり、その結果、下面が傾斜または曲面状に予め加工の加えられているような曲げ加工用材Mでもその加工面に追随して安定的に載置可能なものとなって、より正確な曲木加工を実現可能とするという効果がある。
【0076】
更に、装着用金具本体21支承板部4の表面41に、保護板である硬質ゴム板Rを着脱自在に装着するようにし、図16の硬質ゴム板Rを装着しないものに比較し、加圧過程における曲げ加工用材Mの損傷や変形の発生を確実に防止することができ、図17の従来型のあて板Aを利用した場合のものに比較しても、継ぎ目を嫌い大型化し易いあて板Aの運搬や装着といった取扱い作業面の負担をかなりの割合で軽減化するだけではなく、その高弾性素材によって巾広い湾曲形状の曲木加工にも十分利用可能なものとなり、しかも、高い耐久性を確保できると同時に、配置箇所に応じたり、曲げ加工用材Mの形状寸法の違いに応じての交換は勿論のこと、破損や変形による新品への交換作業も極めて簡便となって経済的にも秀れるという特徴を得ることができる。
【0077】
図1および2中に示すクランプ保持金具2装着用金具本体21支承板部4、ならびに図3および4に示した連結用金具7は、互いの連結環44,44と対応連結環71,71とに、図6の連結棒73を下向きに挿通するだけの操作で、図5中に示すよう、簡単、迅速に蝶番状に連結構造を実現することができ、一方、当該連結棒73の頭部74を掴んで上向きに引き抜き操作をすれば簡便に分離して取り外すことも可能になることから、図11ないし13に示すように、複数個の曲木工具用部品11,11,……の平面湾曲状の接続および分解を迅速に行うことができ、段取りや曲木製造の工数を大巾に削減することができるという効果も有するものとなる。
【0078】
(実施例2の効果)
図1ないし6に示した曲木工具用部品11に、図8に示すような、例えばワンタッチクランプ(商品名:ドイツベッセイ社製)や同じベッセイ社製のベッセイクランプ(商品名)のような対象市販クランプ8を組み合わせ、同対象市販クランプ8における可動アーム84締付ハンドル85の先端に自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を装着した、図7側面図に示すこの実施例の曲木工具1は、従来品であれば最も複雑な構造を要することとなって製造コストを増大させている圧締用の送りネジ機構部分に、市場への大量供給と価格競争などとのために極力無駄を省いて十分に軽量化され、しかも高い強度を確保した独立工具として簡単に入手可能とするこれら対象市販クランプ8を、特別な技能も必要無く誰でもが簡単に組み込み可能とするものであり、取扱い性のみならず経済性の面においても非常に秀れたものとすることができる。
【0079】
加えてこの曲木工具1は、図8に示してある対象市販クランプ8の可動アーム84締付ハンドル85先端に、図9および10に示す自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を装着するようにし、図7に示すように、クランプ保持金具2における装着用金具本体21支承板部4表面41との間に曲げ加工用材Mを挟み込み成型加工可能な形状および寸法の圧締面を形成し、しかも自在継ぎ手機構93が圧締板9の傾斜姿勢を許容し、傾斜面状の圧締面を有する曲げ加工用材Mであっても正確かつ均質に加圧、成型できるという効果を奏するものとなる。
【0080】
また、図11に示したもののように、平面湾曲状に配置、連結した複数個の曲木工具1,1,……は、相互間の連結部分毎に連結用金具7を介在させてあって相互に蝶番状の連結構造となるようにしてあることから、曲木工具1,1,……の必要台数を、従来型に比較して半減することが可能になる上、図13に示すように、曲木加工曲率円の内側にクランプ保持金具2ベース板部3の後端がわを配置するよう配列することも可能とし、従来型のものよりも更に複雑な曲面形状の曲木可能を簡便に実現化することができるという大きな特徴を兼ね備えている。
【0081】
そして、図15に示すように、圧締板9表面91に保護板である硬質ゴム板Rを着脱自在に装着するようにし、曲木工具用部品11支承板部4に硬質ゴム板Rを装着したものも、前記実施例1の図1および2に示すものの場合と同様、図16のような加圧過程における曲げ加工用材Mの損傷や変形の発生を未然に防止することができ、図17に示してある従来型のあて板A利用によるものに比較し、格段にその取り扱いが容易になって作業者への負担を大巾に軽減し、しかも巾広い湾曲形状の曲木加工に利用可能とする上、構造強度上からも単価上からも秀れたものとすることができるという特徴が得られる。
【0082】
(結 び)
叙述の如く、この発明の曲木工具用部品、およびそれを使用した曲木工具は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、殆ど全てを専用設計の部品として製作した上、万力部分を近接状に隣接配置させなければ目的を達成し得なかった従前の曲板器に比較し、製造も容易であって一部従前からの部品の組み合わせて低廉化し得るものとし、しかも大巾に軽量化可能にするなどして、曲木加工の作業性をかなりの割合で改善し得るものとなることから、かなりの労働負担に甘んじてきた曲木加工業者は勿論のこと、曲木技術のさらなる発展を望む家具業界および木工業界をはじめ、より美しく経済的な曲木加工品の提供を望む消費者からも高い評価を得ることとなって、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図面は、この発明の曲木工具用部品、およびそれを使用した曲木工具の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】クランプ保持金具を示す側面図である。
【図2】クランプ保持金具を示す背面図である。
【図3】連結用金具を示す背面図である。
【図4】連結用金具を示す側面図である。
【図5】曲木工具用部品を示す背面図である。
【図6】連結棒を示す正面図である。
【図7】曲木工具を示す側面図である。
【図8】対象市販クランプを示す側面図である。
【図9】圧締板を示す側面図である。
【図10】圧締板を示す正面図である。
【図11】複数個を彎曲状に組み合わせた曲木工具を示す平面図である。
【図12】複数個を逆S字彎曲状に組み合わせた曲木工具を示す平面図である。
【図13】曲木工具を曲木加工曲率円の内側に配した状態を示す平面図である。
【図14】曲木工具による圧締を受ける曲げ加工用材を示す平面図である。
【図15】曲げ加工用材を圧締する曲木工具を示す平面図である。
【図16】あて板や保護板などを用いない圧締状態を示す平面図である。
【図17】あて板を用いた圧締状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 曲木工具
11 同 曲木工具用部品
2 クランプ保持金具
21 同 装着用金具本体
3 ベース板部
31 同 仮留め孔
4 支承板部
41 同 表面
42 同 背面
43 同 クランプ装着孔
44 同 連結環
45 同 連結孔
46 同 左右支持ピン(クランプ用横転防止機構)
5 載置台
6 高さ調節機構
61 同 長孔
62 同 水平ネジ孔
63 同 位置決めボルト
7 連結用金具
71 同 対応連結環
72 同 連結孔
73 同 連結棒
74 同 頭部
8 対象市販クランプ
81 同 固定アーム
82 同 先端圧締面
83 同 レール部
84 同 可動アーム
85 同 締付ハンドル
9 圧締板
91 同 表面
92 同 背面
93 同 自在継ぎ手機構
R 硬質ゴム板(保護板)
T 作業用台盤
M 曲げ加工用材(被曲木加工材)
【技術分野】
【0001】
この発明は、曲木の加工技術に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであり、特に、二次元的曲線をもつ曲木の製造に必要な工具、治具、作業用台盤などを含む各種の設備、器具類等を製造、使用、提供または販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
曲木加工には、木材(直材)を切断、切削する通常の曲線加工に比較して生産費が安く、軽くて堅牢、しかも継ぎ目がなく外観に独特の美しいデザインが得られるという特徴があり、古くから、回転式曲木機械、押込式曲木機械、レバー式曲木機械、プレス式曲木機械など種々の曲木機械を利用して強力迅速に加工する機械的曲木や、内型の一端に被曲げ加工用材と帯鉄の一端をクランプ止めし、次に、被曲げ加工用材と帯鉄の他端をクランプ止めしてから、徐々に内型に沿って曲げ、要所々々を内型諸共クランプ止めし、全体を曲げて行くといった作業手順に従う手工的曲木など様々な加工法が採られてきた。
【0003】
このような曲木加工は、何れも、製造する曲線形状毎に凹凸型を準備しなければならず、一定形状の製品を大量生産する場合には、その生産効率と経済性とを高めるのに有効といえるが、現在の主流ともいえる多品種少量生産を行う場合には、製品毎に異なる凹凸型をその都度製作、準備する必要があり、生産コストおよび段取り工数の増加によって製品価格を高騰させてしまうという欠点があり、単品の製造や極少量生産などを行う場合には全く経済性を欠いてしまい、発注者または生産者にとって多大な経済的負担を強いられる結果になるという大きな欠点を有していた。
【0004】
(従来の技術)
その打開策として、例えば特開平7−186109号公報「曲板器」発明として提案されているもののように、一端に各別に当板嵌入孔を有し、他端には受台を設け、該受台と前記当板嵌入孔との間には長手方向に沿って長溝孔を形成し、該長溝孔に前記受台より挿通した螺棒を取り付けた取付台を上下一対に形成すると共に複数設けて前記当板嵌入孔外側壁と隣接する当板嵌入孔外側壁とを互いに枢着して横方向に連繋し、対設する上下当板嵌入孔に当板の両端を夫々嵌入取付けし、前記長溝孔の底部に押圧板の両端を挿入して前記当板と前記押圧板との間に挾着部を形成し、上下いずれか一方の取付台を左右に拡開することにより、前記上下取付台を同期に拡開せしめ、前記挾着部に挾着された被処理部材が前記取付台の拡開に対応して彎曲形成可能にすることにより、被処理部材である合板等を挾着する当板と押圧板を着脱自在に形成すると共に極めて簡単な構造にすることにより、容易に分解してコンパクト化し運搬及び収納作業が簡便化し、低コスト化を図ることができ、しかも当板及び押圧板の長さを変化させるだけで、あらゆる幅の板を彎曲させることができるようにしたもの。
【0005】
また、実公昭58−48088号公報「曲板器」考案に開示されている、複数の各取付台の先端に各別に当板を固着し、この当板と隣接の当板とを互いに蝶番附けして横方向に連繋させ、前記取付台を拡開することによって該当板を任意円弧状に形成すると共に、前記取付台に設けたガイドに沿って前後運動するよう前記当板に対向させた押圧板を支杆に挿通した螺棒の先端に取り付け、該当板と押圧板との間に挟着部を拡挟調節自在に構成し、当板と隣接当板との間に蝶番附けして円弧の程度を如何様にも変更して合板を任意円弧状に曲加工し得るようにしたもの等が散見される。
【0006】
しかし、前者および後者の何れの「曲板器」も、構造の複雑な万力部分を含む全体装置が曲木圧締用に専用設計したものとしなければならず、しかも被成型曲木の曲線形状に沿って複数配列された各万力部分は、緻密な曲線成型を得るために隙間を極力狭めるよう密接状に配するようにしなければならず、結果として成型する曲率半径が大きくなる程、より多くの万力部分を要して大型化、複雑化し、曲板器それ自体の製造コストも高騰させてしまうだけではなく、装置重量が増大して運搬や設置作業の労働負担が嵩むと共に、装置全体の段取り工数も増えて曲木製造工程中における万力部分の緊締、弛緩操作の工数などを大幅に増加させてしまうことから、曲板加工の経済効率を落としてしまうという欠点を有していた。
【特許文献1】(1)特開平7−186109号公報 (2)実公昭58−48088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある「曲板器」は、何れもその全体が曲板器を製造するために特別に設計、製造された専用部品の組み合わせによるものとせざるを得ず、しかも最も構造の複雑な万力部分の複数個同士を、曲木の成型曲線に沿って隙間を狭めて密接に隣接させるよう配置しなければならないことから、曲率半径が大きい曲板加工ほどより多くの万力部分を必要とすることになって曲板器自体の価格を高騰させると共に総重量も大幅な増加を招く結果、曲木生産の工程中における運搬や設置、撤収および収納などの段取り工数を増大させるだけに止まらず、成型工程中には、密接状に配した各万力部分の全てに対して緊締、弛緩操作が必要となって製造工数も増加させるなど、生産者の労働負担が大きくなると同時に、製品価格の上昇を招いてしまうという大きな課題を残すことになっていた。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、複数台を要する万力部分の製造コストをできるだけ削減すると共に、装置自体の軽量化を図って取り扱い作業性の改善を可能にした上、曲木加工の曲率半径の大きさに伴う万力部分の必要台数も極力削減可能なものとすることにより、従来型の「曲板器」に比較して段取りや曲木製作中の作業工数を大巾に減少させ、生産者の労働負担を軽減化させると同時にコストの低減化も可能にする新たな曲木加工技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の曲木工具用部品、およびそれを使用した新規な構造からなる曲木工具を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の曲木工具用部品は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、肉厚短冊状のベース板部先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔が穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様の肉厚短冊状のものとなし、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした構成を要旨とする曲木工具用部品である。
【0010】
この基本的な構成からなる曲木工具用部品を、より具体的なものとして示すと、作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした曲木工具用部品となる。
【0011】
(関連する発明)
前記した曲木工具用部品に関連し、この発明には、それを使用した曲木工具も包含している。
即ち、作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具とした上、当該クランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、同可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものとする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした、この発明の基本を成す上記部品を使用した曲木工具である。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明の曲木工具用部品によれば、専用設計によって全体側断面形が転倒F字型となるよう製作したクランプ保持金具に、対象市販クランプを所定姿勢で組み込み可能とし、従来型曲板器の製作コストを引き上げる要因となっていた圧締機構部分それ自体を、市場における価格競争で低廉化、軽量化および品質の安定化が図られている既製の対象市販クランプに置き換え、曲木工具全体として低廉に製造、販売することができるようにし、しかも、老朽化したり破損した場合には、各部のメンテナンスおよび新品との交換が所要部品部分毎に簡単、確実に実施可能になり、曲木工具としての使用利便性に加え、その経済性の面で特に有利な曲木工具を提供することができるという秀れた効果を発揮できるものとなる。
【0013】
更に、全体側断面形が転倒F字型となるよう製作したクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具を隣接配置状とし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結構造となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてあり、夫々に対象市販クランプが組み込まれた各クランプ保持金具の間に連結用金具が介在するようにしてあることから、同じ曲率半径の曲木を製造する場合に、万力部分が密接状に連結された従来型曲板器に比較して大幅な軽量化、低コスト化を図ることができ、曲木生産の段取りおよび製造作業の効率化を推進し、作業者への労働負担を大幅に軽減することが可能となり、しかも従来型では全く想定されたこともない曲木加工曲率円の内側に対象市販クランプを配置するよう設置、利用することも可能となり、単円弧形状だけでなく複雑な湾曲蛇行状の曲木も製造可能になるという効果も得られる。
【0014】
また、ベース板部は、肉厚短冊状に形成したものとしてあって、対象市販クランプを組み込んでなる曲木工具自体を作業用台盤上の任意箇所に安定的に載置可能とし、複数の仮留め孔を上下貫通状に穿設して釘やタッピングネジまたはボルト・ナットなど様々な緊締部品を用いて確実に固定し、複数個の曲木工具を平面配置で所望の彎曲状または彎曲蛇行状に仮固定可能にするという利点を有している。
【0015】
装着用金具本体は、側断面L字型となるよう対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した肉厚短冊状の支承板部を、ベース板部先端から鉛直状に立ち上げて一体化すると共に、該支承板部基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能とするクランプ装着孔を穿孔し、可動アームを取り外した対象市販クランプの固定アームとは反対がわとなるレール部端を支承板部背面がわからクランプ装着孔に装着し、同レール部をベース板部上に引き出すよう操作し、対象市販クランプの固定アーム先端圧締面を支承板部背面に当接させるよう組み合わせ、同支承板部表面が、対象市販クランプレール部端から進退自在に装着してある可動アームの締付ハンドルに対峙して実質的に曲げ加工用材を圧締する壁面を形成するものとなり、当該対象市販クランプを曲木工具の一部として有機的な結びつきをもって組み込むことができ、しかも簡便に分離することもできるという効果が得られる。
【0016】
そして、この支承板部は、載置台上に載置して加工対象となる曲げ加工用材に面するがわの表面に高弾性素材からなる保護板を装着するようにしてあり、曲木加工工程で加圧される曲げ加工用材に損傷を与えるのを簡便且つ確実に防止することができ、更に、支承板部の保護板を、曲木加工曲率円の外側配置とする場合には平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置とする場合には平断面形が曲木加工曲率と同等かまたはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型となるよう、夫々配置具合に応じたものに予め形成しておき、且つ同支承板部表面に着脱自在に装着し得るようにしたものでは、曲げ加工用材の傷付きを更に確実に防止することができる上、従来の帯鉄や凹凸型を用いたものに比較し、加圧面の圧力をより均等に分散することとなって対象曲げ加工用材の損傷を防止し、より精密な曲木仕上げ加工が期待できるものとなる。
【0017】
また、この載置台は、装着用金具本体支承板部のクランプ装着孔直上付近に、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能となるよう組み合わせてあり、支承板部表面と、これに対峙する対象市販クランプ可動アームの締付ハンドルとの間に装着状に配置する曲げ加工用材の底部を、所望する高さ位置に安定的に支持するようにしてあってより正確な曲木加工を実現化できると共に、曲げ加工用材底部が、該載置台の下がわ配置となるように装着した対象市販クランプのレール部に干渉するのを防止し、曲げ加工用材底部を損傷から保護するようにするという効果が得られることになる。
【0018】
更に、支承板部の対象市販クランプ固定アーム、先端圧締面が当接される背面に、同固定アームの適所を着脱自在に仮固定可能とするクランプ用横転防止機構を組み込んだものでは、段取り作業や曲げ加工用材を圧締するまでの準備作業中に、クランプ保持金具に組み込んだ対象市販クランプが不用意に横転して固定アームの先端圧締面が支承板部背面の適正当接位置から離脱してしまう不都合を防止して曲木加工の作業効率を格段に高めることが可能となり、しかも、支承板部背面に着脱自在に仮固定してなる固定アームの先端圧締面は、簡単、迅速に取り外すことができるようになって速やかな分解、組み立てを実現し、曲木工具の分解や運搬、収納、組み立て設置作業などを格段に効率化する特徴を発揮するものとなる。
【0019】
載置台の高さ調節機構は、装着用金具本体支承板部表面への載置台の取り付け高さ位置を所定範囲内の任意箇所に自在に調節、仮固定可能とし、寸法の異なる複数種類の曲げ加工用材にも柔軟に適応させることが可能となり、従前までであれば、圧締面寸法の異なる複数種類の曲板器を準備しておかなければならないところ、一種類のクランプ保持金具で巾広い対応を可能とし、それだけ経済的負担を軽減すると共に、曲板器の交換に要していた段取り工数を大巾に短縮させるという秀れた効果を奏するものとなる。
【0020】
そして、この高さ調節機構は、支承板部の巾方向に左右対称配置で鉛直状に平行する二本の長孔を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台の基端縁で、前記長孔に対応する箇所の夫々に水平ネジ孔を穿孔したものとし、当該支承板部背面がわから、それら各長孔に緩装した二本の位置決めボルトの各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台の各水平ネジ孔に螺着して弛緩自在に締め付け可能としてなるものとしてあり、載置台の上下移動の外、ある程度の傾き姿勢としての固定も可能となるように配慮するなど、従来型のものに比較し、より複雑な形状の曲木加工を実現化することができるという特徴をも兼ね備えている。
【0021】
クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所に連結環を一体形成する一方、連結用金具のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に対応連結環を一体形成したものとし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状に連結可能としてあり、複数個の曲木工具同士を、各連結棒の非常に簡単な抜き挿しだけのワンタッチ操作により、それら複数個を作業用台盤上に平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ、そして分解することができるようになることから、その作業効率は大巾に改善されることになる。
【0022】
連結用金具は、三個以上が平面隣接状配置とされた場合にあっても、それら各クランプ保持金具相互の隣接間隔を等しく保つと同時に、互いを鉛直状軸心回りに蝶番状に連結することとなって、複数個の曲木工具用部品を互いに平面配置で正しく彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能とし、従来型の曲板器のような万力部分の密着状隣接配置を解消し、同一の曲木加工を行う場合には、従来品に比較してクランプ保持金具(従来品の万力部分に相当するもの)の必要数を半減させることができ、しかも、作業者は、それらの配置間隔を一々測定する手間もなく作業用台盤上に載置し、曲木加工の曲率円に沿って複数個のクランプ保持金具を配置させるという手順だけで自動的に互いを等間隔に配置できることになるから、段取り工数をかなりの割合で削減できることになり、しかも、曲げ加工用材を圧締したときにも、各クランプ保持金具同士の隣接間隔を正確且つ十分な強度で規制することとなって精度の高い曲木加工を実現化し得るという効果を享受できる
【0023】
一方、この発明の曲木工具によれば、上述したとおりの曲木工具用部品の効果をそのまま発揮できるのに加え、予め曲木工具用部品に対象市販クランプを組み合わせて販売するようにしたものでは、購入者が、別途、この発明の前記した曲木工具用部品に組み合わせ可能な対象市販クランプを探して購入するという手間を省くことができ、しかも、全ての部品の組み合わせ状態と品質確認とを生産工場において済ませることが可能となり、より安定した品質のものの組み合わせを確保でき、消費者に対し、安全でより秀れた品質の曲木工具を確実に提供することができるという特徴が得られるものである。
【0024】
加えて、当該装着用金具本体支承板部に穿設したクランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものでは、導入当初から支障なく効率的に曲木加工を開始することができ、しかも、自在継ぎ手機構を有する圧締板が、曲げ加工用材の圧締面に均等接合して一部への集中的な加圧を効果的に回避することとなって加工不良の発生を格段に減少するものとなる。
【0025】
そして、対象市販クランプの締付ハンドル先端に装着する圧締板を、その表面に高弾性素材からなる保護板を装着するようにしたものでは、曲げ加工用材の傷付きをより確実に防止でき、更に、その保護板を、曲木加工曲率円の外側配置とする場合には平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置とする場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型と、夫々配置具合に応じたものに予め形成しておいて使い分けできるようにした上、該当圧締板表面に着脱自在に装着して曲木加工するようにしたものでは、加工工程を終えた曲げ加工用材の傷付き現象を回避できることとなって、従来の帯鉄や凹凸型を用いたものに比べ、加圧面圧力をより均等に分散して精密な曲木に仕上げることが可能になるという大きな効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
曲木工具用部品は、その所定箇所に対象市販クランプを、所定の姿勢に組み込むことにより、この発明の最終目的である曲木工具を実現可能とする機能を果たすものであり、対象市販クランプとの組み合わせによって理想的な曲木加工を実現可能とするものとしなければならず、組み立て用工具類など使用せず、対象市販クランプを簡単に着脱可能に組み込み可能なものとし、曲木加工に耐える十分な強度を有するものとしなければならず、一人の作業者が簡単に持ち運べる程度の形状、寸法および重量に設定されたものとするのが望ましく、より具体的には、後述する実施例に示すように、ベース板部先端から、側断面L字型となるよう支承板部を立ち上げて一体化するようにして装着用金具本体となし、当該支承板部基端付近にクランプ装着孔を穿孔し、ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台が組み合わされ、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具と、全体正面形が巾広I型となるよう形成され、支承板部巾方向両端に着脱自在に蝶番状連結可能としてなる連結用金具とからなるものとする。
【0027】
そして、この発明の曲木工具は、基本的に、曲木工具用部品のクランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同対象市販クランプ固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、同可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものにしなければならない。
【0028】
クランプ保持金具は、所定箇所に対象市販クランプを装着し、且つ連結用金具と蝶番状で着脱自在に連結したものの複数個を、平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせるようにしてこの発明の曲木工具を形成可能とする機能を果たし、曲木加工を行うのに十分な強度を有する側断面L字型の装着用金具本体、および、その支承板部に全体側断面形が転倒F字型となるよう十分な強度で取り付けられる載置台からなるものとしなければならず、少なくとも対象市販クランプや連結用金具などを取り外した単体の状態で運搬や保管などの取り扱いが容易に行えるよう、例えば一人の作業者が簡単に持ち運びできる程度の形状、寸法、重量に留めたものとするのが望ましいといえる。
【0029】
装着用金具本体は、クランプ保持金具を作業用台盤上に安定的に設置し、且つ所望の配置とするよう仮留め可能とすると共に、その所定箇所に対象市販クランプを組み込み可能とし、背面に対象市販クランプの固定アームを配した支承板部と、対象市販クランプ可動アームの締付ハンドル先端がわとの間に被曲木加工材を挟み込み圧締可能とし、また、支承板部の所望高さ位置に同曲げ加工用材を載置状に支持可能な載置台を水平状に仮固定可能とする機能を果たすものであり、作業用台盤上への安定的な仮固定を可能とする肉厚短冊状のベース板部を形成し、その先端から側断面L字型となるよう、曲木加工に十分に耐える肉厚短冊状に形成された支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化してなるものとしなければならず、ベース板部と支承板部との結合部分は、夫々を別体に形成して熔接、蝋付け、圧入、ボルト・ナット、リベットなどの各種結合構造によって一体化してなるものとするのが望ましいといえるが、場合によっては鋳造またはプレス加工によって一体成型したものとすることもできる外、一個のブロック材から削り出したものなどとすることも可能である。
【0030】
ベース板部は、クランプ保持金具の装着用金具本体を、作業用台盤上の任意適所に安定的に載置可能とすると共に、作業用台盤上の所望箇所に、曲木加工を行うに十分な強度をもって仮固定可能とする機能を果たし、支承板部、載置台、連結用金具および対象市販クランプを、曲木加工に耐える強度を発揮できるものとして直接または間接的に支持可能とするよう、実質的に肉厚短冊状に形成されたものとしなければならず、左右最大幅寸法が、先端側に立設された支承板部の左右幅寸法を超えないよう設定すべきであり、その長さ寸法を、作業用台盤上への載置安定性を失わない範囲でできるだけ短く設定するのが望ましく、そのために転倒しない重量バランスを確保できるよう肉厚を大きく設定したり、または錘を装着するなどして安定のための重量を確保したものとすることができ、肉厚短冊状の輪郭形状内に収まり、支承板部その他の各部を安定的に支持し得るものとすれば足り、例えば、曲木加工の曲率円の外側配置となるときに展開あるいは延伸して載置安定性を高め、同曲率円の内側配置となるときには折り畳みもしくは縮小させ、隣接するもの同士の干渉を回避可能とする支持脚を設けたものにすることが可能であり、後述する実施例に示すように、業用台盤上への固定用となる仮留め孔を複数、適所に上下貫通状に穿設したものとすべきである。
【0031】
支承板部は、装着用金具本体の所定箇所に対象市販クランプを装着可能とし、背面に当接状となるよう配された対象市販クランプ固定アームの先端圧締面に代わり、その表面が、対象市販クランプ可動アームの締付ハンドルの先端がわとの間に被曲木加工材を挟み込み圧締可能にすると共に、この表面がわとなる所望高さ位置に同曲げ加工用材を載置する載置台を組み込み可能とする上、巾方向両端縁の夫々に連結用金具を着脱自在に蝶番状連結可能とする機能を果たし、ベース板部先端から鉛直状に立ち上げ、一体化された基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を肉厚方向に挿通可能なクランプ装着孔を穿孔すると共に、該クランプ装着孔の直上付近に、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台を組み合わせ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所に、連結用金具の連結用となる連結環を一体形成し、曲木加工に十分に耐える強度を確保し、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した実質的に肉厚短冊状のものとしなければならない。
【0032】
そして、載置台上に載置して加工対象とする曲げ加工用材に対峙するがわとなる表面に、高弾性素材からなる保護板を装着したものとすることが可能であり、必要に応じて後述する実施例に示すように、保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には平断面形凹字型の、また曲木加工曲率円の内側配置となる場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型のものとなるよう、予め配置箇所に応じたものに形成して使い分けができるようにした上、該当支承板部表面に着脱自在に装着し得るようにしたものとすることができる外、対象市販クランプ固定アームの先端圧締面が当接される背面に、同固定アームの適所を着脱自在に仮固定可能とするクランプ用横転防止機構を組み込んでなるものとすることが可能である。
【0033】
クランプ装着孔は、可動アームを取り外した対象市販クランプのレール部を、支承板部基端付近の背面がわから表面がわに貫通させてベース板部上に誘導し、可動アームを進退自在に装着すると共に、同対象市販クランプの固定アーム先端圧締面を支承板部背面に当接させるよう組み合わせ可能とする機能を果たし、支承板部基端付近に肉厚方向に向けて貫通し、対象市販クランプのレール部を緩やかに装着可能とする形状、寸法に開口したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、支承板部基端付近の幅寸法中央に貫通されたものとすべきである。
【0034】
連結環は、クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部の巾方向両端縁夫々に隣接、配置状とした連結用金具の対応連結環に干渉することなく、しかも互いの連結孔同士を同心状とするよう組み合わせ、連結棒の脱抜自在な挿通によって蝶番状に連結可能とする機能を果たすものであり、曲木加工に耐え得る強度を有し、支承板部の巾方向両端縁の夫々所定箇所に一体形成したものとしなければならず、その中心付近であって当該対応連結環の連結孔と同心状配置に組み合わせ可能となる箇所に鉛直方向の連結孔を穿設してなるものとすべきであり、その連結孔は、連結棒を着脱容易に緩挿可能な直径に設定されたものとするのが望ましい。
【0035】
クランプ用横転防止機構は、クランプ保持金具の装着用金具本体、支承板部基端付近に穿孔されたクランプ装着孔にレール部を装着し、固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させた対象市販クランプが、当該支承板部と可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に設けた圧締板との間に曲げ加工用材を挟み込もうとするときや、曲げ加工用材を圧締するときなどに、曲木工具用部品に対して不用意に移動、離脱することなく、所定の位置に仮固定する機能を果たすものであり、少なくとも曲げ加工用材の圧締操作中に対象市販クランプをクランプ保持金具に対して転倒しない程度に保持し得るものとしなければならず、当該支承板部の背面適所に設けられた留め金具やバンドなどからなるものとする外、当該支承板部背面の、同背面に当接する対象市販クランプ先端圧締面直近の左右両側配置となる箇所の夫々から、当該背面に直角状姿勢で水平状に延伸させた左右支持ピンからなるものとすることが可能である。
【0036】
載置台は、曲木加工を行うときに、クランプ保持金具支承板部の表面と、当該曲木工具用部品に組み込まれた対象市販クランプ可動アームに螺着した締付ハンドル先端に設けられた圧締板表面との間に挟み込む曲げ加工用材を、所望の高さ位置に支持可能とする機能を果たすものであり、被曲木加工材を十分に保持できる強度を有するものとし、被曲木加工材の下縁を水平支持可能な形状としなければならず、被曲木加工材の下縁を任意の角度に僅かに傾斜した姿勢に支持できるものとすることが可能であり、上面に曲げ加工用材の底部を保護する軟質または硬質の保護部品を着脱可能に設けることができる外、後述する実施例に示すように、支承板部の適所に対して高さ調節機構を介して仮固定されたものとするのが望ましいといえる。
【0037】
高さ調節機構は、曲げ加工用材が載置できるだけの強度を有し、載置台の基端縁を、ベース板部よりも上方となる支承板部の表面に、同ベース板部に平行配置で水平状姿勢となるよう仮固定可能にすると共に、同載置台の所定上下範囲内の上下移動、および同上下範囲内の任意箇所に所望姿勢で仮固定する機能を果たすものであり、より具体的には、上下移動用の案内レール機能と、所望高さ位置に任意姿勢で仮固定可能とする仮固定機能とを兼ね備えたものとしなければならず、更に具体的に示すならば、後述する実施例に示すように、支承板部の巾方向に左右対称配置で鉛直状に平行する二本の長孔を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台の基端縁で、前記長孔に対応する箇所の夫々に水平ネジ孔を穿孔したものとし、当該支承板部背面がわから、それら各長孔に緩装した二本の位置決めボルトの各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台の各水平ネジ孔に螺着して弛緩自在に締め付け可能としてなるものとすることができる。
【0038】
連結用金具は、クランプ保持金具装着用金具本体支承板部の巾方向両端縁夫々に隣接配置状で蝶番状構造になるように連結し、当該曲木工具の複数個同士が、平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わされたとき、各曲木工具の支承板部同士が、従来型のもののように直接的に隣接されてしまうのを阻止し、当該連結用金具の幅寸法分の距離を維持した配置を可能にするという機能を果たし、しかも、場合によっては支承板部と共に曲げ加工用材の圧締面に接合、支持可能とするという機能を果たすものであり、したがって、支承板部と同様、十分な強度を有する肉厚短冊状のものに形成されていなければならず、当該支承板部の巾方向両端縁夫々の中の何れか任意に選択した一方に、対応する巾方向端縁を着脱可能に蝶番状の連結構造が可能となるようにしなければならず、後述する実施例に示すように、クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したとき、同クランプ保持金具の連結環に干渉しない巾方向端縁適所夫々に鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成し、全体正面形が巾広I型であって両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通し、蝶番状構造に連結できるようにしたものに形成する。
【0039】
また、この連結用金具は、加工対象となる曲げ加工用材に面するがわの表面に、高弾性素材からなる保護板を装着してなるものとすることができ、その保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には平断面形凹字型に、そして曲木加工曲率円の内側配置となる場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型になるよう、配置箇所によって使い分けが可能となるように予め形成しておくようにし、該当連結用金具表面に着脱自在に装着し得るようにしたものにすると好都合のものとなる。
【0040】
連結用金具の対応連結環は、該連結用金具をクランプ保持金具装着用金具本体支承板部の巾方向両端縁の中の任意に選択された何れか一方に隣接に配置させたとき、支承板部の連結環に干渉することなく組み合わされ、連結棒の挿着によって蝶番状の連結を可能とする機能を果たすものであり、曲木加工に耐える強度を有し、連結用金具の巾方向両端縁であって夫々支承板部の連結環と干渉しない配置関係となる所定箇所に一体形成されたものとしなければならず、その中心付近であって当該連結環の連結孔と同心状配置に組み合わせ可能となる箇所に鉛直方向の連結孔を穿設してなるものとすべきであり、前記連結環と同様に、その連結孔は、連結棒を着脱容易に緩挿可能な直径に設定されたものとしなければならない。
【0041】
連結棒は、クランプ保持金具装着用金具本体支承板部に連結用金具を隣接配置させたとき、双方の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として脱抜自在に挿通し、蝶番状の連結構造を実現可能とする機能を果たすものであり、曲木加工によって生ずる連結部分の剪断力に十分に耐え得るだけの強度を有するものとしなければならず、各連結孔に対して抜き挿し操作を容易とする直径に設定すべきであり、作業用台盤上に設置してある曲木工具に挿着したときに、その下端が作業用台盤上面に接地し、且つ上端が支承板部および連結用金具の上部に摘持可能な程度露出するよう寸法設定されたものとするのが望ましく、後述する実施例に示すように、挿通姿勢の上端部分に、連結孔より大きな外径をもつ頭部を設け、上方への脱抜操作を容易となるようにしたものとするのが望ましい。
【0042】
対象市販クランプは、この発明の曲木工具用部品の所定箇所に所定の姿勢となるよう組み込んでこの発明の曲木工具を実現可能とする機能を果たすものであって、より具体的には、所定長さのレール部の一端を、側断面横転J字型かまたは側断面横転L字型とするよう折曲して固定アームを一体形成し、該固定アームの先端には先端圧締面を形成したものとする一方、該レール部の固定アームを形成したのとは反対がわとなる他端からは、先端に締付ハンドルを螺着した可動アームの基端が進退移動自在に装着されるようにしたものであって、独立した市販品として大量に生産され、市場に広く供給されているものであり、当該先端圧締面とこれに対峙させた締付ハンドル先端との間に物品を挟着、圧締使用したときに、レール部と可動アーム基端との間の梃子の原理によって発生する摩擦力により、可動アームをレール部に仮固定状とする機能を発揮できるようにした極めて簡素な構造からなるもので十分であり、後述する実施例でも、ワンタッチクランプ(商品名:ドイツベッセイ社製)や同じベッセイ社製のベッセイクランプ(商品名)などを採用するようにした事例としてある。
【0043】
また、対象市販クランプには、曲木工具用部品に組み込んだとき、支承板部表面に対峙する締付ハンドル先端に支承板部の幅寸法に相当する圧締板を設けたものとしなければならず、より具体的には、可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定されていて、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものとするのが望ましい。
【0044】
圧締板の自在継ぎ手機構は、支承板部表面に対峙する圧締板の姿勢を、同支承板部表面に平行な垂直に支持するだけでなく、支承板部表面に対して僅かに傾斜するようにした姿勢にも支持でき、そのまま圧締可能とするという機能を果たし、締付ハンドル先端への支持角度が、外力を受けて自在に変化するボールジョイントからなり、圧締板が曲げ加工用材に加える圧力を、締め付け操作の過程に自動的に分散、均質化できるようにしたものとするのが望ましいといえる。
【0045】
保護板は、支承板部表面や、これに対峙する圧締板表面などの硬質な部品の強い接触によって曲げ加工用材に損傷を与えるのを阻止すると共に、曲げ加工用材に加わる締付け圧力の分散、均質化を図るという機能を果たし、支承板部や圧締板に比較し、より軟質な素材からなるものとしなければならず、例えば、天然ゴム板、合成ゴム板、発泡樹脂板、フェルト積層体、木板、軟質金属板などの高弾性素材または塑性素材からなるものとすることが可能であり、耐久性や経済性などを考慮すると硬質ゴム板のような高弾性素材からなるものとすべきである。
【0046】
更に、保護板は、装着の対象となる支承板部表面または圧締板表面が、曲木加工曲率円の外側配置となる場合にあっては平断面形凹字型となるように、そして曲木加工曲率円の内側配置となる場合にあっては、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定された凸面円弧型となるように、夫々配置箇所に応じて使い分けができるものとして予め形成したものとしておき、支承板部表面または圧締板表面に着脱自在に装着し得るようにしたものとすべきである。
そして、作業用台盤は、その上面に載置された複数個の曲木工具用部品または曲木工具を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ、その配置関係のまま曲木加工に耐え得る強度で仮固定可能とする機能を果たし、十分な強度と安定性とを兼ね備えたものとしなければならない。
【0047】
曲げ加工用材は、この発明の曲木工具を利用した曲木加工の対象となり得る加工素材であって、木工用の天然ムク木として一般的なヒッコリ、とねりこ、えんじゅ、しおじ、しで、たも、けやき、かえで、さくら、くるみなどといった広葉樹の方が針葉樹よりも塑性が大きく適しているといえるが、必ずしもそれに限定されている訳ではなくて針葉樹のムク木であってもよく、場合によってはそれらを組み合わせた木材を対象とすることも可能であり、更に、接着剤を塗着けた薄単板の多数枚を重ね合わせ、一体化してなる積層合板や集成材に対して曲木加工を行うことも可能であり、当然のことながらそれら全てが対象となり得ることは言うまでもない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0048】
図1のクランプ保持金具の側面図、図2のクランプ保持金具の背面図、図3の連結用金具の背面図、図4の連結用金具の側面図、図5の曲木工具用部品の背面図、および図6の連結棒の正面図に示される事例は、肉厚短冊状のベース板部3先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプ8の固定アーム81長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部4を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体21となし、該装着用金具本体21支承板部4基端付近には、当該対象市販クランプ8のレール部83を挿通可能なクランプ装着孔43が穿孔されると共に、該クランプ装着孔43の直上付近には、当該装着用金具本体21ベース板部3よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台5が組み合わされ、且つ、当該支承板部4巾方向両端縁の夫々所定箇所には連結環44,44を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具2とする一方、該クランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4と同様の肉厚短冊状のものとなし、先のクランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4に隣接配置したときにクランプ保持金具2の連結環44,44に干渉しない適所夫々に対応連結環71,71を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具7となし、両金具の対応する互いの連結環44,44、対応連結環71,71同士に連結棒73を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなる、この発明の曲木工具用部品における代表的な一実施例を示すものである。
【0049】
当該装着用金具本体21は、図1および2中に示すように、機械構造用炭素鋼または一般構造用圧延鋼など耐久性に秀れた鋼材製であって肉厚12mm、左右幅50mm、長さ150mmの肉厚短冊状に形成し、後端から10mmの左右端の二箇所夫々に、直径4mmの仮留め孔31,31を上下貫通状に穿設したベース板部3を有し、該ベース板部3の長さ方向の先端上面に、同ベース板部3と同一素材からなる肉厚9mm、左右幅50mm、長さ228mmの肉厚短冊状に形成した支承板部4となし、その長さ方向の一端を鉛直状に立ち上げるよう熔接して側断面L字型で十分な強度を有するように一体化したものである。
【0050】
ベース板部3との熔接部分直上となる支承板部4基端付近には、同支承板部4の左右幅中央となる箇所に、左右幅18mm、高さ33mmの略矩形状に開口され、その開口下端がベース板部3上面に面一状に連続するようにしたクランプ装着孔43を、その板厚方向に貫通、穿設したものとしており、該クランプ装着孔43の直上付近には、ベース板部3や支承板部4と同様の素材製であって肉厚15mm、左右幅50mm、長さ100mmの肉厚短冊状に形成された載置台5の長さ方向基端縁が、高さ調節機構6を介して水平状に仮固定され、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具2を形成してある。
【0051】
高さ調節機構6は、クランプ装着孔43の直上付近となる支承板部4のベース板部3上面から上方46mmと、同ベース板部3上面から83mm上方との上下範囲に、支承板部4左右端縁から夫々10mm中央寄りとなる箇所に、左右対称配置で鉛直状に平行する幅8.5mmの二本の長孔61,61を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台5の基端縁で、前記長孔61,61に対応する箇所の夫々に、雌ネジの呼びM8、呼び深さ27mmの水平ネジ孔62,62を穿孔したものとし、当該支承板部4背面42がわから、それら各長孔61,61に緩装した二本のネジの呼びM8、呼び長さ25mmのステンレス製六角穴付きボルトである位置決めボルト63,63の各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台5の各水平ネジ孔62,62に螺着して弛緩自在に締め付け可能なものとしてある。
【0052】
また、クランプ保持金具2装着用金具本体21支承板部4の後述する圧締板9に対峙する表面41の載置台5高さ調節機構6より上がわとなる範囲には、厚さ約10mmに設定された高弾性素材である硬質ゴム板からなる保護板Rを、適宜嵌着構造かまたは粘着剤を用いるなどして着脱自在に装着した上、該保護板Rは当該支承板部4が、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には、曲げ加工用材M当接面の中央幅20mmの範囲を上下端に亘って厚さ約7mmとするよう、厚み方向深さ3mmの矩形箱状部分を刳り抜いた平断面形凹字型となるように、また、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率である、例えば曲率半径100mmに設定した凸面円弧型となるように形成したものとする。
【0053】
高さ調節機構6より上がわとなる支承板部4のベース板部3上面から上方147mmの背面42には、同支承板部4左右端縁から中央寄りに6mmの左右箇所夫々に、肉厚方向に穿孔した図示しない下孔に、直径4mmの左右支持ピン46,46を、突出寸法12mmとするよう締まり嵌めによって水平方向に圧入、固定してクランプ用横転防止機構46を形成したものとしている。
【0054】
また、支承板部4巾方向、正面左端縁の上端から10mmの箇所、およびベース板部3の下面から22mmの箇所夫々に鉛直方向の連結孔45(直径6.5mm)を穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの連結環44,44各一個ずつを熔接によって強固に一体化したものにすると共に、同承板部4巾方向、正面右端縁の上端に一致する箇所、およびベース板部3の下面から31mmの箇所夫々に、同じく直径6.5mmの連結孔45を鉛直方向に穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの連結環44,44各一個ずつを熔接によって強固に一体化してある。
【0055】
連結用金具7は、図3および4中に示すように、支承板部4と同一素材からなり、肉厚9mm、左右幅50mm、長さが(ベース板部3の厚さ12mmに支承板部4の長さ228mmを加えた寸法に等しい)240mmの肉厚短冊状であって、全体正面形が巾広I型に形成され、支承板部4巾方向、正面左端縁がわに隣接配置される、正面右端縁の上端に一致する箇所、およびベース板部3の下面から31mmの箇所夫々に、直径6.5mmの連結孔72を鉛直方向に穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの対応連結環71,71各一個ずつを熔接によって強固に一体化し、正面左端縁の上端から10mmの箇所、およびベース板部3の下面から22mmの箇所夫々に、鉛直方向の連結孔72(直径6.5mm)を穿設してなる、外径10.5mm、長さ10mmの対応連結環71,71各一個ずつを熔接によって強固に一体化し、支承板部4の左右何れか任意に選択した一方に、隣接状に配置したときに、同支承板部4の各連結環44,44に対応連結環71,71が干渉することなく上下に組み合わすことができ、互いの連結孔45,45,72,72が同心状に配置可能なものしてある。
【0056】
そして、クランプ保持金具2支承板部4の任意に選択された左右端縁の中、何れか一方に連結用金具7を隣接状に配置させ、同心状に配置させた各連結環44,44対応連結環71,71の連結孔45,45,72,72に、図6中に示す直径6mm、長さ240mmの鋼材製丸棒からなり、頭部に直径9mm、長さ10mmの頭部74を同心状に一体化した連結棒73を、図5中に示すよう、下向き縦貫状且つ脱抜自在に装着してクランプ保持金具2支承板部4と連結用金具7とを着脱自在で蝶番状構造となるように連結し、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にした曲木工具用部品11を形成するようにしてある。
【実施例2】
【0057】
図7の曲木工具の側面図、図8の対象市販クランプの側面図、図9の圧締板の側面図、図10の圧締板の正面図、および図11の複数個が連結されて彎曲状に平面配置された曲木工具の平面図に示される事例は、作業用台盤T上への固定用とする複数の仮留め孔31,31が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部3の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプ8の固定アーム81長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部4を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体21となし、該装着用金具本体21支承板部4基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプ8のレール部83を挿通可能なクランプ装着孔43が、その板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔43の直上付近には、当該装着用金具本体21ベース板部3よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構6を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材M載置用とする載置台5が組み合わされ、且つ、当該支承板部4巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔45を穿設してなる連結環44,44,……を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具2とする。
【0058】
そして、当該クランプ装着孔43に対象市販クランプ8のレール部83を装着し、同固定アーム81の先端圧締面82を支承板部4背面42に当接させ、同可動アーム84先端がわに螺着した締付ハンドル85先端に、支承板部4に相当する幅寸法と、当該載置台5に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を設けてなるものとする一方、該クランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具2の装着用金具本体21支承板部4に隣接配置したときにクランプ保持金具2の連結環44,44に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔72を穿設した対応連結環71,71,……を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具7となし、両金具の対応する互いの連結環44,44、対応連結環71,71の連結孔45,45,72,72同士を同心状配置として連結棒73を脱抜自在に挿通して蝶番状の連結構造をなし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなる、この発明の曲木工具における代表的な一実施例を示すものである。
【0059】
当該曲木工具1は、前記実施例1の図1ないし6中に示した、曲木工具用部品11の所定箇所に、図8に示すような対象市販クランプ8、例えば、ワンタッチクランプ(商品名:ドイツベッセイ社製)または同ベッセイ社製のベッセイクランプ(商品名)を組み合わせるようにするもので、この対象市販クランプ8は、長さ約330mmのレール部83先端から、先端に先端圧締面82を形成した長さ160mmの固定アーム81が直角状に延伸され、側面形状が横転L字型に形成された本体を有し、当該レール部83には、先端に締付ハンドル85が送りネジ機構を介して螺着された長さ140mmの可動アーム84を、その基端に形成した図示しない装着用環部が進退自在に遊嵌されるよう装着されたものである。
【0060】
当該対象市販クランプ8は、図7中に示すように、曲木工具用部品11クランプ保持金具2装着用金具本体21の支承板部4基端付近に開口させたクランプ装着孔43に、同支承板部4背面42がわから、可動アーム84を取り外したレール部83先端を、ベース板部3上に誘導するよう貫通状に装着し、同固定アーム81の先端圧締面82を支承板部4背面42に当接させ、しかもこの先端圧締面82の左右が、クランプ用横転防止機構である左右支持ピン46,46間に嵌合状に配されて横転を阻止するよう組み合わせた上、当該レール部83先端がわから、可動アーム84基端の図示しない装着用環部を進退自在に遊嵌状に装着したものとし、更に、同可動アーム84先端がわに送りネジ機構を介して螺着された締付ハンドル85の支承板部4表面41に対峙する先端には、支承板部4に相当する肉厚9mm、左右幅寸法50mm、および当該載置台5に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法となるよう、長さ寸法を86mmに設定した肉厚短冊状の圧締板9を、その背面92中央に設けたボールジョイントからなる自在継ぎ手機構93を介して傾動自在に連結したものとする。
【0061】
また、対象市販クランプ8可動アーム84の締付ハンドル85に設けた圧締板9の表面91全面にも、支承板部4に装着したのと同様の硬質ゴム板からなる保護板Rを着脱自在に装着したものとし、該保護板Rを支承板部4に装着したのと同様に、当該圧締板9が曲木加工曲率円の外側配置となる場合には、曲げ加工用材M当接面の中央幅20mmの範囲を上下端に亘って厚さ約7mmとするよう、厚み方向深さ3mmの矩形箱状部分を刳り抜いた平断面形凹字型になるよう、そして、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率である、例えば曲率半径100mmに設定した凸面円弧型となるよう予め形成しておき、配置箇所に応じて使い分けができるようにしたものとする。
【0062】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の曲木工具用部品11は、図1および2に示したクランプ保持金具2の所定箇所に、図8に示すような対象市販クランプ8を組み込むと共に、必要に応じて当該クランプ保持金具2における装着用金具本体21支承板部4の巾方向左右の何れか一方か、または双方かの何れかに、図3および4に示すとおり、連結用金具7を着脱自在に連結して曲木工具1を形成するものである。
【0063】
曲木工具用部品11のクランプ保持金具2装着用金具本体21の、図1および2に示すベース板部3は、対象市販クランプ8を組み込み、図11の複数の曲木工具を平面彎曲状に配置した状態の平面図に示すように、曲げ加工用材Mのための加工円弧形状に倣って各曲木工具1,1,……を作業用台盤T上に安定に載置した後、予め設けてあるベース板部3の各仮留め孔31,31に釘、タッピングネジ、ボルト・ナットなどを用い、着脱自在に確りと仮固定する。
【0064】
曲木工具用部品11におけるクランプ保持金具2装着用金具本体21の、図1および2に示す支承板部4は、その基端付近の幅寸法中央にクランプ装着孔43を穿設し、同クランプ装着孔43の開口下端縁が、ベース板部3上面に面一状となるよう形成したものとされ、該支承板部4背面42がわから、可動アーム84を取り外した対象市販クランプ8レール部83の先端を、同支承板部4表面41がわに誘導するよう装着し、当該ベース板部3上面の巾方向中央に載置されるようにして対象市販クランプ8レール部83が装着され、しかも同支承板部4の背面42には、図7中に示すように、対象市販クランプ8固定アーム81の先端圧締面82が当接されるようする一方、当該支承板部4表面41が曲げ加工用材M用の圧締面を、前記固定アーム81の先端圧締面82に代わって拡大、当接状とする。
【0065】
図1および2中に示す支承板部4の背面42に突設状にクランプ用横転防止機構を形成する左右支持ピン46,46は、図7に示すように、支承板部4背面42に当接状とした対象市販クランプ8の固定アーム81先端圧締面82の巾方向側端縁の双方適所の夫々を左右がわ(先端圧締面82の巾方向に同じ)から支持するものとなり、曲木工具用部品11に組み込まれた対象市販クランプ8が不用意に横転、離脱してしまったりするのを阻止可能にする一方、対象市販クランプ8の組み込みおよび分解、取り外し方向には係合するなどの支障を来すことはなく、円滑な分解、組み立てを可能にする状態に突設されている。
【0066】
図1および2中に示すように、装着用金具本体21支承板部4に対して高さ調節機構6を介して装着される載置台5は、当該高さ調節機構6の長孔61,61に沿い、弛緩状態にある左右の位置決めボルト63,63夫々を上下動させて適宜高さ調節することを可能にすると共に、各位置決めボルト63,63を螺合、緊締して所望の高さ位置に確りと仮固定することも可能にしてあり、図7側面図中に示すように、水平姿勢に仮固定して曲げ加工用材Mの底面を安定に載置状にするものとする外、左右の位置決めボルト63,63を弛緩させ、長孔61,61の遊び寸法内で互いの高さを異にするよう調節、仮固定してから締め付け操作すれば、底面が傾斜面あるいは曲面状となっている曲げ加工用材Mでも安定的に支持できるものとなり、そのときの当該載置台5は、曲げ加工用材Mの長さ方向何れかへ傾斜状に仮固定状となる。
【0067】
図1および図2中に示す装着用金具本体21支承板部4の曲げ加工用材Mに面することとなる表面41に着脱自在に装着した保護板である硬質ゴム板Rは、曲げ加工用材Mを硬質な支承板部4の直接接触を回避して板面保護をすると共に、それが老朽化や破損したときに簡便、迅速に新しいものへと交換可能にする外、曲げ加工用材Mの加工曲面形状に応じた最適形状、寸法のものにその都度選択、交換可能にし、しかもその高弾性素材により、支承板部4から加えられる圧締力を曲げ加工用材Mの当接面に均質、分散させることとなって有効な曲げ加工力として作用すると共に、集中荷重による曲げ加工用材Mへの損傷を防止するものとなる。
更に、保護板である硬質ゴム板Rは、曲木加工曲率円の外側配置となる場合に平断面形凹字型に形成し、曲木加工曲率円の内側配置となる場合に、平断面形が曲率半径100mmの曲率に設定した凸面円弧型となるように形成したものを選択的に装着するようにすれば、曲率半径100mm以上の曲木加工に適応し得る幅広い曲木加工が可能である。
【0068】
図1および2中に示すように、クランプ保持金具2における装着用金具本体21支承板部4、巾方向両端縁の夫々所定箇所に形成した連結環44,44,……、および、図3および4に示した連結用金具7巾方向両端縁の対応連結環71,71,……は、図5中に示すように、支承板部4と連結用金具7とを隣接状に配すると共に、対応する互いの連結環44,44、対応連結環71,71,……の各連結孔45,45,72,72同士を鉛直同心状に縦列配置した上、同所に連結棒73を下向きに挿通することにより、クランプ保持金具2および連結用金具7を、垂直軸心回りに回動自在とした蝶番状構造に連結して相互の平面配置角度を自在にするものとなり、当該連結棒73の頭部74を掴んで上向きに引き抜くだけでそれらクランプ保持金具2と連結用金具7とを簡便に分離して個々独立した部品となる。
【0069】
(実施例2の作用)
図1ないし6に示した曲木工具用部品11の所定箇所に、図8の対象市販クランプ8を組み込み、可動アーム84締付ハンドル85先端に、図9および10に示す自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を装着し、図7のように形成したこの発明の曲木工具1は、図11中に示すように、その複数個間夫々に連結棒73,73,……を挿し込み、蝶番状構造に連結した上、目的の曲木とするための加工曲線に沿うよう、作業用台盤T上に湾曲状に配置させると共に、個々のクランプ保持金具2における装着用金具本体21ベース板部3の仮留め孔31,31に釘やタッピングネジなどを打ち込み、確りと仮固定して位置取りしてから接着剤を塗布して複数枚の板を積層状とした曲げ加工用材Mを、その表裏面が垂直姿勢となるようにして各曲木工具1,1,……の支承板部4と圧締板9との間に介在、装着すると共に、同曲げ加工用材Mの積層方向に直交する方向(即ち、上下方向)の下端を各載置台5,5,……上に載置した後、所定の如く配してある各曲木工具1,1,……の中の中央のものから始め、その両側に隣接する外側配置のものへの順として、少しずつ均等圧締となるよう各対象市販クランプ8,8,……の締付ハンドル85を締め付け操作し、この発明の曲木工具用部品、およびそれを使用した曲木工具による集成曲板製作方法を実施する。
【0070】
複数個の曲木工具1,1,……は、図12の彎曲蛇行状に組み合わせた複数個の曲木工具の平面図に示すように、各クランプ保持金具2ベース板部3の後端がわを、曲木加工曲率円の外側配置とするよう作業用台盤T上に載置、固定し、例えば、曲げ加工用材Mを平面逆S字状に湾曲するよう曲木加工でき、更に、図13の別の配置関係で彎曲蛇行状に組み合わせた複数個の曲木工具の平面図に示すように、各クランプ保持金具2,2,……間夫々に、それらの支承板部4に等しい幅寸法に設定した連結用金具7,7,……を連結した構造を利用し、従来手段では全く不可能とされていた複数個の曲木工具1,1,……の各クランプ保持金具2ベース板部3の後端がわを曲木加工曲率円の内側に配するようにすることも可能となる。
【0071】
また、図11に示した中の何れか一個の曲木工具1は、図14の曲木工具によって圧締される曲げ加工用材の平面図に示すように、曲げ加工用材Mの加工曲率円の内側に配するクランプ保持金具2支承板部4の表面41に、平断面形を曲率半径100mmの凸面円弧型に形成し、着脱自在とする硬質ゴム板Rが、100mmを超える加工曲率半径の曲げ加工用材Mにおける曲率円内側壁面に圧接状となる一方、これとは反対がわの圧締板9表面91の平断面形凹字型の硬質ゴム板Rが、同曲げ加工用材Mの曲率円外側壁面に圧接状となり、支承板部4に装着した硬質ゴム板Rの平断面凸面円弧型部分が、曲げ加工用材Mを、実質的に同図14中に実線矢印で示すように圧締状とし、また、圧締板9の硬質ゴム板Rが、その平断面凹字型によってその圧締力を均質に受け止めるよう作用するものとなる。
【0072】
図16のあて板や保護板などを用いない圧締状態の平面図に示すように、硬質ゴム板R,Rを装着しない場合には、クランプ保持金具2支承板部4の表面41および圧締板9表面91の硬質部分が、曲げ加工用材Mを直接圧締することになり、正確な曲面が得られず、同曲げ加工用材M曲面の直接加工表面には、支承板部4および圧締板9各表面41、91平坦面が転写状に形成され、しかも曲面の内側には、支承板部4および圧締板9各エッジによる凹みなどの損傷を与える虞があり、これらの現象を解消するため、図17のあて板を用いた圧締状態の平面図に示すように、当該曲げ加工用材Mと、クランプ保持金具2支承板部4の表面41および圧締板9表面91との間に、従前から使用の板A,Aを挟み込む方法の採用も勿論可能となるが、これらあて板A,Aでは、その継ぎ目を避けるために往々にして大型のものとなり易く、運搬や保管など取り扱いが困難となる上、一部が破損、損傷したときにも全体を修理、交換しなければならず、不経済になるという欠点があり、こうした点の解消からも、図15の曲げ加工用材を圧締する曲木工具の平面図に示すように、クランプ保持金具2支承板部4の表面41および圧締板9表面91の夫々に個別の硬質ゴム板Rを着脱自在に装着、使用するようにするのが、取扱い上からも経済性からも有利になる。
また、図15中に示すように、各連結用金具7の曲げ加工用材Mに面する表面にもクランプ保持金具2支承板部4に装着したものと同様の硬質ゴム板Rを着脱自在に装着し、曲げ加工用材Mを圧締、曲げ加工するようにすべきである。
【0073】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の曲木工具用部品11は、前記してあるこの発明の効果の項で取り上げた特徴に加え、図1および2に示したクランプ保持金具2に、図8に示す対象市販クランプ8を組み込むと共に、支承板部4の巾方向左右に、図3および4に示す連結用金具7を、図5に示す如く着脱自在に連結して曲木工具1を形成可能とし、支承板部4の長さの異なるクランプ保持金具2を複数種類準備しておき、曲げ加工用材Mの寸法に応じた長さのクランプ保持金具2を選択して対象市販クランプ8と組み合わせ使用することによって、より経済的な利用を実現化することができる。
【0074】
図1および2に示した、クランプ保持金具2装着用金具本体21の支承板部4背面42に突設され、クランプ用横転防止機構を形成する左右支持ピン46,46は、図7に示すように、当該支承板部4背面42に接合させた対象市販クランプ8固定アーム81先端圧締面82の巾方向側端縁の双方に係合状となり、曲木工具用部品11に組み込んだ対象市販クランプ8が不用意に横転、離脱してしまうのを阻止可能とするばかりでなく、特に緊締したとき、同支承板部4背面42の幅寸法の中央に、対象市販クランプ8固定アーム81先端圧締面82の巾寸法中央を一致させる位置決め機能も発揮して正確な組み合わせ状態を確保するという効果も得られるものとなる。
【0075】
また、図1および2中に示した、載置台5用の高さ調節機構6は、長孔61,61の上下範囲に亘って載置台5の高さ調節を自在に行うことを可能にし、しかも左右の位置決めボルト63,63の締め付け位置を上下に適宜調整して仮固定状とすれば、載置台5を曲げ加工用材Mの長さ方向何れかに傾斜させた姿勢でも支持することができるようになり、その結果、下面が傾斜または曲面状に予め加工の加えられているような曲げ加工用材Mでもその加工面に追随して安定的に載置可能なものとなって、より正確な曲木加工を実現可能とするという効果がある。
【0076】
更に、装着用金具本体21支承板部4の表面41に、保護板である硬質ゴム板Rを着脱自在に装着するようにし、図16の硬質ゴム板Rを装着しないものに比較し、加圧過程における曲げ加工用材Mの損傷や変形の発生を確実に防止することができ、図17の従来型のあて板Aを利用した場合のものに比較しても、継ぎ目を嫌い大型化し易いあて板Aの運搬や装着といった取扱い作業面の負担をかなりの割合で軽減化するだけではなく、その高弾性素材によって巾広い湾曲形状の曲木加工にも十分利用可能なものとなり、しかも、高い耐久性を確保できると同時に、配置箇所に応じたり、曲げ加工用材Mの形状寸法の違いに応じての交換は勿論のこと、破損や変形による新品への交換作業も極めて簡便となって経済的にも秀れるという特徴を得ることができる。
【0077】
図1および2中に示すクランプ保持金具2装着用金具本体21支承板部4、ならびに図3および4に示した連結用金具7は、互いの連結環44,44と対応連結環71,71とに、図6の連結棒73を下向きに挿通するだけの操作で、図5中に示すよう、簡単、迅速に蝶番状に連結構造を実現することができ、一方、当該連結棒73の頭部74を掴んで上向きに引き抜き操作をすれば簡便に分離して取り外すことも可能になることから、図11ないし13に示すように、複数個の曲木工具用部品11,11,……の平面湾曲状の接続および分解を迅速に行うことができ、段取りや曲木製造の工数を大巾に削減することができるという効果も有するものとなる。
【0078】
(実施例2の効果)
図1ないし6に示した曲木工具用部品11に、図8に示すような、例えばワンタッチクランプ(商品名:ドイツベッセイ社製)や同じベッセイ社製のベッセイクランプ(商品名)のような対象市販クランプ8を組み合わせ、同対象市販クランプ8における可動アーム84締付ハンドル85の先端に自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を装着した、図7側面図に示すこの実施例の曲木工具1は、従来品であれば最も複雑な構造を要することとなって製造コストを増大させている圧締用の送りネジ機構部分に、市場への大量供給と価格競争などとのために極力無駄を省いて十分に軽量化され、しかも高い強度を確保した独立工具として簡単に入手可能とするこれら対象市販クランプ8を、特別な技能も必要無く誰でもが簡単に組み込み可能とするものであり、取扱い性のみならず経済性の面においても非常に秀れたものとすることができる。
【0079】
加えてこの曲木工具1は、図8に示してある対象市販クランプ8の可動アーム84締付ハンドル85先端に、図9および10に示す自在継ぎ手機構93を有する圧締板9を装着するようにし、図7に示すように、クランプ保持金具2における装着用金具本体21支承板部4表面41との間に曲げ加工用材Mを挟み込み成型加工可能な形状および寸法の圧締面を形成し、しかも自在継ぎ手機構93が圧締板9の傾斜姿勢を許容し、傾斜面状の圧締面を有する曲げ加工用材Mであっても正確かつ均質に加圧、成型できるという効果を奏するものとなる。
【0080】
また、図11に示したもののように、平面湾曲状に配置、連結した複数個の曲木工具1,1,……は、相互間の連結部分毎に連結用金具7を介在させてあって相互に蝶番状の連結構造となるようにしてあることから、曲木工具1,1,……の必要台数を、従来型に比較して半減することが可能になる上、図13に示すように、曲木加工曲率円の内側にクランプ保持金具2ベース板部3の後端がわを配置するよう配列することも可能とし、従来型のものよりも更に複雑な曲面形状の曲木可能を簡便に実現化することができるという大きな特徴を兼ね備えている。
【0081】
そして、図15に示すように、圧締板9表面91に保護板である硬質ゴム板Rを着脱自在に装着するようにし、曲木工具用部品11支承板部4に硬質ゴム板Rを装着したものも、前記実施例1の図1および2に示すものの場合と同様、図16のような加圧過程における曲げ加工用材Mの損傷や変形の発生を未然に防止することができ、図17に示してある従来型のあて板A利用によるものに比較し、格段にその取り扱いが容易になって作業者への負担を大巾に軽減し、しかも巾広い湾曲形状の曲木加工に利用可能とする上、構造強度上からも単価上からも秀れたものとすることができるという特徴が得られる。
【0082】
(結 び)
叙述の如く、この発明の曲木工具用部品、およびそれを使用した曲木工具は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、殆ど全てを専用設計の部品として製作した上、万力部分を近接状に隣接配置させなければ目的を達成し得なかった従前の曲板器に比較し、製造も容易であって一部従前からの部品の組み合わせて低廉化し得るものとし、しかも大巾に軽量化可能にするなどして、曲木加工の作業性をかなりの割合で改善し得るものとなることから、かなりの労働負担に甘んじてきた曲木加工業者は勿論のこと、曲木技術のさらなる発展を望む家具業界および木工業界をはじめ、より美しく経済的な曲木加工品の提供を望む消費者からも高い評価を得ることとなって、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図面は、この発明の曲木工具用部品、およびそれを使用した曲木工具の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】クランプ保持金具を示す側面図である。
【図2】クランプ保持金具を示す背面図である。
【図3】連結用金具を示す背面図である。
【図4】連結用金具を示す側面図である。
【図5】曲木工具用部品を示す背面図である。
【図6】連結棒を示す正面図である。
【図7】曲木工具を示す側面図である。
【図8】対象市販クランプを示す側面図である。
【図9】圧締板を示す側面図である。
【図10】圧締板を示す正面図である。
【図11】複数個を彎曲状に組み合わせた曲木工具を示す平面図である。
【図12】複数個を逆S字彎曲状に組み合わせた曲木工具を示す平面図である。
【図13】曲木工具を曲木加工曲率円の内側に配した状態を示す平面図である。
【図14】曲木工具による圧締を受ける曲げ加工用材を示す平面図である。
【図15】曲げ加工用材を圧締する曲木工具を示す平面図である。
【図16】あて板や保護板などを用いない圧締状態を示す平面図である。
【図17】あて板を用いた圧締状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 曲木工具
11 同 曲木工具用部品
2 クランプ保持金具
21 同 装着用金具本体
3 ベース板部
31 同 仮留め孔
4 支承板部
41 同 表面
42 同 背面
43 同 クランプ装着孔
44 同 連結環
45 同 連結孔
46 同 左右支持ピン(クランプ用横転防止機構)
5 載置台
6 高さ調節機構
61 同 長孔
62 同 水平ネジ孔
63 同 位置決めボルト
7 連結用金具
71 同 対応連結環
72 同 連結孔
73 同 連結棒
74 同 頭部
8 対象市販クランプ
81 同 固定アーム
82 同 先端圧締面
83 同 レール部
84 同 可動アーム
85 同 締付ハンドル
9 圧締板
91 同 表面
92 同 背面
93 同 自在継ぎ手機構
R 硬質ゴム板(保護板)
T 作業用台盤
M 曲げ加工用材(被曲木加工材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚短冊状のベース板部先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔が穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様の肉厚短冊状のものとなし、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとしたことを特徴とする曲木工具用部品。
【請求項2】
作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとしたことを特徴とする曲木工具用部品。
【請求項3】
載置台用の高さ調節機構は、支承板部の巾方向に左右対称配置で鉛直状に平行する二本の長孔を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台の基端縁で、前記長孔に対応する箇所の夫々に水平ネジ孔を穿孔したものとし、当該支承板部背面がわから、それら各長孔に緩装した二本の位置決めボルトの各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台の各水平ネジ孔に螺着して弛緩自在に締め付け可能としてなるものとした、請求項2記載の曲木工具用部品。
【請求項4】
支承板部は、載置台上に載置して加工対象となる曲げ加工用材に面するがわの表面に、高弾性素材からなる保護板を装着してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の曲木工具用部品。
【請求項5】
支承板部の保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型となるように形成したものとなし、該当支承板部表面に着脱自在に装着し得るようにした、請求項1ないし4何れか一項記載の曲木工具用部品。
【請求項6】
支承板部は、対象市販クランプ固定アームの先端圧締面が当接される背面に、同固定アームの適所を着脱自在に仮固定可能とするクランプ用横転防止機構を組み込んでなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の曲木工具用部品。
【請求項7】
作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具とした上、当該クランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、同可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものとする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載の部品を使用した曲木工具。
【請求項8】
対象市販クランプは、その締付ハンドル先端に装着される圧締板が、その表面に高弾性素材からなる保護板を装着してなるものとした、請求項7記載の曲木工具。
【請求項9】
対象市販クランプ圧締板の保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には、平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定された凸面円弧型となるように形成したものとなし、該当圧締板表面に着脱自在に装着し得るようにした、請求項7または8何れか一項記載の曲木工具。
【請求項1】
肉厚短冊状のベース板部先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔が穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置で水平状の仮固定が可能な載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様の肉厚短冊状のものとなし、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環同士に連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとしたことを特徴とする曲木工具用部品。
【請求項2】
作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるようにしたクランプ保持金具とする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとしたことを特徴とする曲木工具用部品。
【請求項3】
載置台用の高さ調節機構は、支承板部の巾方向に左右対称配置で鉛直状に平行する二本の長孔を板厚方向に貫通したものとする一方、載置台の基端縁で、前記長孔に対応する箇所の夫々に水平ネジ孔を穿孔したものとし、当該支承板部背面がわから、それら各長孔に緩装した二本の位置決めボルトの各ネジ部先端がわを、対応する前記載置台の各水平ネジ孔に螺着して弛緩自在に締め付け可能としてなるものとした、請求項2記載の曲木工具用部品。
【請求項4】
支承板部は、載置台上に載置して加工対象となる曲げ加工用材に面するがわの表面に、高弾性素材からなる保護板を装着してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の曲木工具用部品。
【請求項5】
支承板部の保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定した凸面円弧型となるように形成したものとなし、該当支承板部表面に着脱自在に装着し得るようにした、請求項1ないし4何れか一項記載の曲木工具用部品。
【請求項6】
支承板部は、対象市販クランプ固定アームの先端圧締面が当接される背面に、同固定アームの適所を着脱自在に仮固定可能とするクランプ用横転防止機構を組み込んでなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載の曲木工具用部品。
【請求項7】
作業用台盤上への固定用とする複数の仮留め孔が上下貫通状に穿設された肉厚短冊状のベース板部の先端から、側断面L字型となるよう、対象市販クランプの固定アーム長よりも長く設定した同じく肉厚短冊状の支承板部を鉛直状に立ち上げ、一体化して装着用金具本体となし、該装着用金具本体支承板部基端付近の幅寸法中央には、当該対象市販クランプのレール部を挿通可能なクランプ装着孔がその板厚方向に貫通、穿孔されると共に、該クランプ装着孔の直上付近には、当該装着用金具本体ベース板部よりも上方に平行状配置となり、高さ調節機構を介して水平状の仮固定が可能で、曲げ加工用材載置用とする載置台が組み合わされ、且つ、当該支承板部巾方向両端縁の夫々所定箇所には、鉛直方向の連結孔を穿設してなる連結環を一体形成したものとし、全体側断面形が転倒F字型となるクランプ保持金具とした上、当該クランプ装着孔に対象市販クランプのレール部を装着し、同固定アームの先端圧締面を支承板部背面に当接させ、同可動アーム先端がわに螺着した締付ハンドル先端に、支承板部に相当する幅寸法と、当該載置台に干渉せずに進退移動可能となる上下寸法とに設定され、傾き締め付け可能とする自在継ぎ手機構を有する圧締板を設けてなるものとする一方、該クランプ保持金具の装着用金具本体支承板部と同様に肉厚短冊状のものとし、その巾方向端縁で、先のクランプ保持金具の装着用金具本体支承板部に隣接配置したときにクランプ保持金具の連結環に干渉しない適所夫々に、鉛直方向の連結孔を穿設した対応連結環を一体形成したものとし、全体正面形が巾広I型となるようにした連結用金具となし、両金具の対応する互いの連結環、対応連結環の連結孔同士を同心状配置として連結棒を脱抜自在に挿通して蝶番状連結となし、それら複数個を平面配置で彎曲状または彎曲蛇行状に組み合わせ可能にしてなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載の部品を使用した曲木工具。
【請求項8】
対象市販クランプは、その締付ハンドル先端に装着される圧締板が、その表面に高弾性素材からなる保護板を装着してなるものとした、請求項7記載の曲木工具。
【請求項9】
対象市販クランプ圧締板の保護板は、曲木加工曲率円の外側配置となる場合には、平断面形凹字型、曲木加工曲率円の内側配置となる場合には、平断面形が曲木加工曲率と同等か、またはそれより小さな曲率に設定された凸面円弧型となるように形成したものとなし、該当圧締板表面に着脱自在に装着し得るようにした、請求項7または8何れか一項記載の曲木工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−188871(P2008−188871A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25512(P2007−25512)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(591005453)青森県 (52)
【出願人】(507039420)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(591005453)青森県 (52)
【出願人】(507039420)
【Fターム(参考)】
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