説明

書架

【課題】受金具の固定位置を統一して部品の位置合わせを容易にできる書架を提供すること。
【解決手段】一対の側板2,3の間に複数の架設板4〜8が架設される書架1において、一方に開口する溝12aが長手方向に形成された受金具12を、架設板4,6,7の側板2,3に面する端部に固定する。一対の側板2,3は、受金具付き架設板4,6,7の取付位置に、受金具12の溝12aに係合する係合部材14を固定する。受金具付き架設板4,6,7は、受金具12の幅寸法と同一幅に設けられて受金具12が固定される固定面37と、固定面37の長辺に対して垂直に設けられた垂直面38とを有し、受金具12は、固定面37の端と垂直面38とに位置合わせされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底板と天板と棚板とを一対の側板の間に配置する書架に関する。
【背景技術】
【0002】
書架などの箱物は、完成させた状態では占有スペースが大きくなり、輸送コストが高くなる。輸送コストを下げるために、通常、箱物は部品に分けられて現場へ輸送され、組み立てられる。
【0003】
図17は、従来の箱物101を示す外観斜視図である。図18は、図17の要部分解斜視図である。
例えば、図17に示す箱物101は、底板102と一対の側板103,104と前板105と後板106と蓋110により外観が構成されている。前板105と後板106と蓋110は、一対の側板103,104に着脱可能に取り付けられている。図18に示すように、一対の側板103,104は、蝶番107を介して底板102に固定されている。後板106は、一対の側板103,104に当接する当接面106a,106bに受金具109がねじ止めされている。一対の側板103,104の内壁には、受金具109に対応する位置に軸108が固定されている。後板106は、底板102に対して垂直に立設された一対の側板103,104に対して、受金具109の溝109aに軸108をそれぞれ係合させることにより固定される。後板106は、一対の側板103,104との間に隙間ができないように、当接面106a,106bに切り欠いて形成した切欠溝106cに受金具109を固定している。切欠溝106cは、受金具109より大きく設けられ、箱物101の内側面を形成する面側に開口しており、箱物101の組立後に受金具109が外側から見えないようになっている。尚、前板105は、後板106と同様に形成されているため、説明を省略する。
【0004】
このような箱物101は、前板105と後板106と蓋110を取り外した状態で、一対の側板103,104を底板102側へ倒して底板102に重ねるように折り畳めるので、輸送時の占有スペースを小さくして輸送コストを安価にできる。そして、現場においては、一対の側板103,104を底板102に対して回動させ、前板105と後板106の受金具109に側板103,104の軸108を係合させれば、工具を用いずに箱物101の本体を完成させることができる(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−282312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の箱物101は、製造者が受金具109の幅寸法及び長手方向寸法より大きく切欠溝106cを形成し、その切欠溝106cの任意の位置に受金具109をねじ止めしていた。受金具109の固定位置により前板105及び後板106と一対の側板103,104と底板102の位置関係が決まるため、受金具109の固定位置によっては、前板105及び後板106と一対の側板103,104と底板102との間に隙間ができることがあった。特に、近年、箱物は、コストダウン等の目的で国内のみならず海外でも部品を製造され、部品製造従事者が多い。よって、受金具109の固定位置を統一することは、製品品質を安定させる上でとても重要である。とりわけ、箱物が書架である場合、受金具109の固定位置が統一されていないと組立後のバランスが不安定になり、本などを収納した場合に傾く等の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、受金具の固定位置を統一して部品の位置合わせを容易にできる書架を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る書架は、次のような構成を有している。
(1)一対の側板と、前記一対の側板の間に架け渡して設けられる複数の架設板とを有する書架において、前記複数の架設板は、一方に開口する溝が長手方向に形成された受金具を、前記側板に面する端部に固定された受金具付き架設板を含み、前記一対の側板は、前記受金具付き架設板の取付位置に、前記受金具の前記溝に係合する係合部材が固定され、前記受金具付き架設板は、前記受金具の幅寸法と同一幅に設けられて前記受金具が固定される固定面と、前記固定面の長辺に対して垂直に設けられた垂直面とを有し、前記受金具は、前記固定面の端と前記垂直面とに位置合わせされている。
【0009】
(2)(1)に記載の発明において、前記受金具付き架設板は、厚さが前記受金具の前記幅寸法と同一である板状の芯材の両面に薄板を固定した合成材からなり、前記薄板が前記芯材の前記側面に面する端部から側方へそれぞれ突出しており、前記芯材の端部により前記固定面を構成し、前記薄板により前記垂直面を構成している。
【0010】
(3)(2)に記載の発明において、前記受金具付き架設板は、前記一対の側板に面する端部に対して直交する端部に、前記薄板の間に形成された隙間を塞ぐように取り付けられる装飾板を有する。
【0011】
(4)(3)に記載の発明において、前記受金具付き架設板は、前記固定面の端で前記装飾板より内側の位置に固定される補強ブロックを有し、前記受金具は、前記補強ブロックに当接した状態で前記固定面に固定されている。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の書架は、受金具付き架設板の一対の側板に面する端部に、受金具の幅寸法と同一幅に設けられて受金具が固定される固定面と、固定面の長辺に対して垂直に設けられた垂直面とを有する。その固定面の端と垂直面とに受金具を位置合わせして受金具付き架設板に固定することにより、受金具は、受金具付き架設板に対して一義的に位置決めされる。よって、受金具付き架設板の固定面の端と垂直面とに受金具を位置合わせして受金具付き架設板に固定すれば、誰でも受金具付き架設板の同じ位置に受金具を固定することができ、受金具の固定位置を統一できる。また、受金具の固定位置が統一され、係合部材と受金具との位置関係にずれが生じにくいので、一対の側板と受金具付き架設板との位置合わせを行いやすい。
【0013】
上記構成の書架は、厚さが受金具の幅寸法と同一である板状の芯材の両面に薄板を固定した合成材により、受金具付き架設板を構成している。受金具付き架設板は、薄板が芯材の側面に面する端部から側方へそれぞれ突出しており、芯材の端部により固定面を構成し、薄板により垂直面を構成している。これにより、垂直面の間隔が芯材の厚さにより受金具の幅に安定するので、受金具の長手方向両端部を薄板に当接させると共に受金具の長手方向端部に対して直交する端部を固定面の端に位置合わせすることにより、受金具を受金具付き架設板に対してより正確に位置決めして固定することができる。
【0014】
上記構成の書架は、金具付き架設板の一対の側板に面する端部に対して直交する端部に、薄板の間に形成された隙間を塞ぐように装飾板を取り付けているので、受金具付き架設板を一対の側板に固定した場合に、受金具が薄板と装飾板に隠されて外部から見えない。
【0015】
上記構成の書架は、固定面の端で装飾板より内側の位置に固定した補強ブロックに、受金具を当接させて、固定面に固定することにより、係合部材を受金具の溝に係合させて受金具付き架設板を一対の側板に取り付ける場合に発生する力を補強ブロックで受けるようにしたので、係合部材を受金具に係合させる場合に発生する力で装飾板が破壊されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る書架の外観斜視図である。
【図2】書架の正面図である。
【図3】図2のAA断面図である。
【図4】図2のBB断面図である。
【図5】背板の端部を拡大した部分断面図である。
【図6】天板の端部を拡大した部分断面図である。
【図7】図2のCC断面図であり、図中点線は天板、棚板、底板、基台の位置を示す。
【図8】一対の側板の外観斜視図である。
【図9】図8のD部拡大図である。
【図10】受金具とショルダーねじの概略構成図である。
【図11】書架の組立説明図であって、基台を一対の側板に取り付ける方法を示す。
【図12】書架の組立説明図であって、基台を一対の側板に取り付けた後の状態を示す。
【図13】書架の組立説明図であって、底板と天板を一対の側板に取り付ける方法を示す。
【図14】書架の組立説明図であって、背板を一対の側板に取り付ける方法を示す。
【図15】書架の組立説明図であって、棚板を一対の側板に取り付ける方法を示す。
【図16】書架ユニットの一例を示す図である。
【図17】従来の箱物を示す外観斜視図である。
【図18】図17の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る書架の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<書架の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る書架1の外観斜視図である。図2は、書架1の正面図である。尚、以下の説明において、書架1に本等を収納する正面間口を「前」、正面間口と対向する面を「後ろ」、底板5側を「下」、天板6側を「上」、正面間口から書架1を見て左側を「左」、正面間口から書架1を見て右側を「右」ということにする。
図1及び図2に示す書架1は、図書館等に設置され、本や用紙それらに類似する保管物を保管するものである。書架1は、一対の側板2,3の間に架設板(本実施形態では、基台4、底板5、天板6、背板7、棚板8)を架け渡して、組み立てられている。書架1は、一対の側板2,3と底板5との間に形成される隙間に基台4が配置され、基台4が底板5を介して書架1にかかる荷重を受けることにより、底板5や一対の側板2,3等の変形を防いでいる。
【0019】
図2に示すように、書架1は、基台4と天板6と背板7が受金具12とショルダーねじ(係合部材の一例)14を用いて一対の側板2,3に着脱自在に取り付けられ、底板5が基台4と背板7との間に挟み込まれて固定されている。そして、棚板8は、一対の側板2,3の任意の高さに着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0020】
<受金具とショルダーねじの概略構成>
先ず、部品を連結する受金具12とショルダーねじ14の概略構成を説明する。図10は、受金具12とショルダーねじ14の概略構成図である。
金属製のショルダーねじ14は、頭部14aと軸部14bと雄ねじ14cと鍔部14dとを一体に設けたものである。ショルダーねじ14は、雄ねじ14cのねじ込み量が鍔部14dにより規制され、頭部14aの突出量を均一にしている。受金具12は、コの字型に形成され、両端部12b,12cが外向きに折り曲げられている。受金具12は、両端部12b,12cに形成された挿通孔12e,12fに固定ねじ13(図4参照)が挿通され、その固定ねじ13により基台4や天板6、背板7に固定される。受金具12は、溝12aがショルダーねじ14の頭部14aの直径より小さい溝幅で一方に開口するように長手方向に形成され、その開口部分に挿入部12dがショルダーねじ14の頭部14aより大きく設けられている。ショルダーねじ14は、頭部14aが挿入部12dから溝12aの内側へ挿入されて溝12aの両端に引っ掛けられ、受金具12に連結される。
【0021】
<各部構成>
図3は、図2のAA断面図である。図4は、図2のBB断面図である。
図3及び図4に示すように、基台4と底板5と天板6と背板7と棚板8は、板状の芯材31に薄板32を接着剤等で固定した合成材からなり、木目の印刷された装飾板33が組立後に外から見える面に貼られている。
【0022】
基台4は、前板21と後板22とを一対の梁板23,24の両端に固定して箱状に組み立てられ、書架1の荷重に耐え得る強度が確保されている。前板21と後板22は、一対の側板2,3に面する端部に、受金具12を収納するための収納溝21a,21b,22a,22bがそれぞれ形成されている。基台4は、受金具12が溝12aを下方に開口させるように固定され、一対の側板2,3の間で下方へスライドさせて一対の側板2,3に連結されるようになっている。
【0023】
各収納溝21a,21b,22a,22bの構成は同じであるので、ここでは、収納溝21bの構成についてのみ説明する。図3及び図4に示すように、収納溝21bは、前板21の側面3に面する端部の全長に渡って切り欠くように形成されている。収納溝21bは、受金具12の幅と同一幅で形成されて受金具12を固定される固定面37と、固定面37の長辺に対して垂直に設けられた垂直面38とで構成され、前板21の内側と、前板21の側板3に面する端部と、前板21の上下端面に開口している。収納溝21bの深さは、前板21の端部と側板3を当接させた状態で、受金具12の溝12aにショルダーねじ14の頭部14aを引っ掛けられるように設けられている。このような収納溝21bに対して、受金具12は、図4に示すように、長手方向端部を垂直面38に当接させると共に、上端部を固定面37の図中上端に位置合わせすることにより一義的に位置決めされ、固定ねじ13により両端部12b,12cを固定されている。
【0024】
図4に示すように、底板5の上面には、背板7を固定するための固定溝5aが、後端(図中右側)と平行に形成されている。底板5の下面には、棒状の位置決め部材17,17が、基台4の前板21と後板22と梁板23,24の内側面に当接して底板5を基台4に対して位置決めするように設けられている。
【0025】
図4に示すように、背板7は、底板5の固定溝5aの嵌め合わされる嵌合凸部7aが、底板5に面する下端部に設けられている。背板7は、側板2,3に面する端部に、受金具12が溝12aを下方に開口させるように固定ねじ13で固定され、一対の側板2,3の間を下方へスライドさせて底板5に対して垂直に立設されるようになっている。
【0026】
図5は、背板7の端部を拡大した部分断面図である。尚、図5では、収納凹部35の構造を分かりやすくするために、薄板32に貼られる装飾板33を省略して記載している。
背板7の左右端部に受金具12を取り付ける構造は、同様なので、ここでは、背板7の右端部(側板3に面する端部)に受金具12を取り付ける構造についてのみ説明する。
【0027】
背板7に使用される芯材31は、幅寸法が受金具12の幅寸法と同一にされている。一対の薄板32,32は、芯材31の側板3に対向する右端部から右側方(側板3側)へ突出している。一対の薄板32,32の突出量は、薄板32,32の端部と側板3とを当接させた状態で、受金具12の溝12aにショルダーねじ14の頭部14aを引っ掛けられるように設けられ、書架1の組立後に受金具12とショルダーねじ14を前後方向から隠すようにしている。背板7は、芯材31の側面2,3に面する端部により受金具12が固定される固定面37が構成され、一対の薄板32,32により固定面37の長辺に対して垂直に設けられた垂直面38が構成されている。そして、固定面37と一対の垂直面38,38により、受金具12の幅と同一幅の収納凹部35が設けられている。
【0028】
背板7の上端部には、装飾板33が固定され、収納凹部35の開口部を装飾板33で塞いで受金具12とショルダーねじ14が書架1の組立後に外部から見えないようにしている。収納凹部35は、固定面37の端であって装飾板33の内側の位置に補強ブロック36が接着剤等で固定され、受金具12にかかる力が装飾板33に作用しないようにしている。受金具12は、端部12bが補強ブロック36に当接し、長手方向両端部が薄板32,32に当接することにより背板7に対して一義的に位置決めされ、固定ねじ13により背板7に固定されている。
【0029】
図4に示すように、天板6は、天板部6aの後端部に背面部6bを下方へ突出するように固定している。天板部6aの端部には、受金具12が溝12aの開口部を後方へ向けるように固定され、一対の側板2,3の間に天板6を前側(図中左側)から後側(図中右側)へ挿し込むことにより一対の側板2,3に連結されるようになっている。
【0030】
図6は、天板6の端部を拡大した部分断面図である。尚、図6では、収納凹部35の構造を分かりやすくするために、薄板32に貼られる装飾板33を省略して記載している。
天板部6aに使用される芯材31は、幅寸法が受金具12の幅寸法と同一にされている。天板部6aの一対の薄板32,32は、芯材31の側板2に対向する端部と芯材31の側板3に対向する端部から側方へそれぞれ突出している。一対の薄板32,32の突出量は、薄板32,32の端部と側板3とを当接させた状態で、受金具12の溝12aにショルダーねじ14の頭部14aを引っ掛けられるように設けられ、書架1の組立後に受金具12とショルダーねじ14を上下方向から隠すようにしている。天板部6aは、芯材31の側面2,3に面する端部により受金具12が固定される固定面37が構成され、一対の薄板32,32により固定面37の長辺に対して垂直に設けられた垂直面38が構成されている。そして、一対の薄板32,32の間には、受金具12の幅と同一幅の収納凹部35が設けられている。天板部6aの前後端部には、装飾板33が固定され、収納凹部35の前後開口部を装飾板33で塞いで受金具12やショルダーねじ14が書架1の組立後に見えないようにしている。天板6は、固定面37の端であって装飾板33の内側の位置に補強ブロック36が接着剤等で固定され、受金具12にかかる力が装飾板33に作用しないようにしている。
【0031】
天板6は、一対の側板2,3の間に水平に設置されるように、天板部6aの収納凹部35に2個の受金具12が固定されている。一方の受金具12は、溝12aが後方に開口するように収納凹部35に配置され、端部12bを収納凹部35の前側に設けられた補強ブロック36に当接させると共に長手方向両端部を収納凹部35の垂直面38,38に当接させることにより、天板6に対して一義的に位置決めされ、固定ねじ13により天板6に固定されている。他方の受金具12は、端部12cを収納凹部35の後側に設けられた補強ブロック36に当接させ、上記一方の受金具12と同様に天板6に固定されている。
【0032】
図4に示すように、棚板8は、棚板部8aの後端部に背面部8bを固定し、棚板8に収納される本が書架1の後方へ落ちることを防いでいる。棚板部8aは、側面2,3に面する端部に係止金具16がネジ止めされている。係止金具16には、側板2,3の受け止め具9に対応する位置に係止孔16aが形成されている。
【0033】
図7は、図2のCC断面図である。図8は、一対の側板の外観斜視図である。図9は、図8のD部拡大図である。
側板2,3は同一の構成なので、ここでは側板2についてのみ説明する。図7及び図8に示すように、側板2は、一対の受け止め具9が内側の面に平行に固定されている。側板2は、底板5の取付位置と天板6の取付位置との間に形成された取付溝2a,2aに受け止め具9が固定ねじ11により固定され、受け止め具9が表面に突出していない。側板2は、図8に示すように受け止め具9の掛け止め孔9aに引っ掛けられた掛け止め爪10を介して、棚板8を保持する。図9に示すように、掛け止め爪10は、略S字形をなし、掛け止め孔9aと棚板8の係止孔16aに着脱自在に引っ掛けられて、一対の側板2の任意の高さに棚板8を簡単に取り付けられるようになっている。
【0034】
また、図7に示すように、側板2は、基台4と天板6の受金具12に対応する位置にそれぞれショルダーねじ14が固定され、背板7に対応する位置に1個のショルダーねじ14が固定されている。各ショルダーねじ14は、鍔部14dを側板2の表面に突き当てるまで雄ねじ14cが側板2にねじ込まれ、各受金具12の溝12aと各ショルダーねじ14の頭部14aとの位置関係が一定にされている。
【0035】
<組立方法>
次に、書架1の組立方法について説明する。図11〜図15は、書架1の組立説明図である。
図11に示すように、先ず、一対の側板2,3の下方に設けた各ショルダーねじ14を基台4に設けた受金具12の挿入部12dにそれぞれ位置合わせし、基台4を下方へスライドさせる。これにより、各ショルダーねじ14の頭部14aが受金具12の溝12aの内側へ案内されて溝12aの両端に引っ掛けられ、抜け不能となる。この結果、図12に示すように、基台4が一対の側板2,3の間に固定される。
【0036】
次に、図13に示すように、底板5を基台4に載せる。底板5は、位置決め部材17,17を基台4の内側に当接させるように設置され、基台4及び一対の側板2,3に対して水平方向に位置ずれするのを防止される、そして、一対の側板2,3の上方に設けた各ショルダーねじ14を天板6に設けた受金具12の挿入部12dにそれぞれ位置合わせし、天板6を後方へ向かって水平にスライドさせる。これにより、各ショルダーねじ14の頭部14aが受金具12の溝12aの内側へ案内されて溝12aの両端に引っ掛けられ、抜け不能となる。この結果、天板6が一対の側板2,3の間に取り付けられる。
【0037】
次に、図14に示すように、一対の側板2,3の後方に設けた各ショルダーねじ14を背板7の両端に設けた受金具12の挿入部12dにそれぞれ位置合わせし、背板7を下方へスライドさせ、背板7の嵌合凸部7aを底板5の固定溝5aに嵌め合わせる。これにより、各ショルダーねじ14の頭部14aが受金具12の溝12aの内側へ案内されて溝12aの両端に引っ掛けられ、抜け不能になる。この結果、背板7が一対の側板2,3に固定される。また、背板7は、嵌合凸部7aが底板5に係合することにより、底板5に対して垂直に固定される。底板5は、背板7と基台4との間で挟み込まれて固定される。
【0038】
このように、書架1は、工具を用いなくても、基台4、天板6、背板7を一対の側板2,3の間でスライドさせ、受金具12の溝12aにショルダーねじ14を係合させるだけで、一対の側板2,3に基台4、底板5、天板6、背板7を隙間無く固定し、外枠を簡単に組み立てることができる。書架1の外枠は、一対の側板2,3が、基台4と天板6の天板部6aに上下を支えられて平行性を確保されると共に、背板7と天板6の背面部6bにより左右に傾かないように支えられるので、バランス良く組み立てられる。
【0039】
書架1は、基台4が底板5に上方を覆われるため、基台4の前板21と後板22の内側に露出する受金具12が外から見えない。また、天板6と背板7の受金具12と一対の側板2,3のショルダーねじ14は、一対の薄板32,32と装飾板33に囲われた空間内に納められ、書架1の組立後に外から見えない。よって、書架1は、外部にねじ等の金属を露呈させることなく外枠が組み立てられ、美感が良い。
【0040】
尚、基台4や天板6、背板7を一対の側板2,3に取り付けるときに、ショルダーねじ14が受金具12の溝12aの内壁にぶつかることがある。この場合でも、ショルダーねじ14が受金具12にぶつかる衝撃が、補強ブロック36に作用し、装飾板33に作用しない。そのため、ショルダーねじ14が受金具12にぶつかる衝撃で装飾板33が破損せず、組み立て作業を行いやすい。
【0041】
上記のように外枠が完成したら、図15に示すように、棚板8を任意の位置に取り付ける。具体的には、一対の側板2,3に固定した各受け止め具9の任意の掛け止め孔9aに掛け止め爪10を引っ掛ける。そして、棚板8の係止金具16に設けた引っ掛け孔16aに掛け止め爪10を引っ掛ける。これにより、棚板8が、掛け止め爪10を介して一対の側板2,3に隙間無く取り付けられる。棚板8は、金属板をS字形に成形した掛け止め爪10を用いて一対の側板2,3に引っ掛けるようにして取り付けられるので、一対の側板2,3との間に大きな隙間ができない。以上により、書架1の組立が完了する。
【0042】
組み立てられた書架1は、一対の側板2,3と基台4又は天板6、背板7、棚板8との間に隙間がなく、バランス良く組み立てられるので、品質が安定し、本を収納してもがたつかない。
【0043】
<書架ユニット>
図16は、書架ユニットの一例を示す図である。
完成した書架1は、他の書架1の上に積み上げて図示しないボルトで固定することにより、他の書架1とユニット化される。また、書架1は、他の書架1と隣り合わせに配置することによりユニット化することもできる。
尚、書架1は、受け止め具9の掛け止め孔9aに掛け止め爪10を引っ掛ければ、棚の高さや数を簡単に調整できる。
また、側板2,3の全高を変えれば、基台4と底板5と天板6と背板7と棚板8を共通で使用し、全高の異なる書架1を作ることができるので、部品の在庫数を減らしてコストを安くできる。
【0044】
<作用効果>
本実施形態の書架1は、基台4を構成する前板21と後板22の一対の側板2,3に面する端部に、受金具12の幅寸法と同一幅に設けられて受金具12が固定される固定面37と、固定面37の長辺に対して垂直に設けられた垂直面38とからなる収納溝21a,21b,22a,22bを設けている。また、天板6と背板7の一対の側板2,3に面する端部に、固定面37と一対の垂直面38からなる収納凹部35を設けている。それらの固定面37の端と垂直面38とに受金具12を位置合わせして、基台4と天板6と背板7にそれぞれ受金具12を固定することにより、受金具12は、基台4と天板6と背板7に対して一義的に位置決めされる。よって、基台4と天板6と背板7の固定面37の端と垂直面38とに受金具12を位置合わせして基台4と天板6と背板7に固定すれば、誰でも基台4と天板6と背板7の同じ位置に受金具12を固定することができ、受金具12の固定位置を統一できる。また、受金具12の固定位置が統一され、ショルダーねじ14と受金具12との位置関係にずれが生じにくいので、一対の側板2,3と基台4又は天板6、背板7との位置合わせを行いやすい。尚、この効果は、書架1の部品を多数の作業者に製造させる場合に、特に有効である。
【0045】
本実施形態の書架1は、厚さが受金具12の幅寸法と同一である板状の芯材31の両面に薄板32,32を固定した合成材により、天板6と背板7を構成している。天板6と背板7は、薄板32,32が芯材31の側面2,3に面する端部から側方へそれぞれ突出しており、芯材31の端部により固定面37を構成し、薄板32,32により垂直面38を構成している。これにより、垂直面38の間隔が芯材31の厚さにより受金具12の幅に安定するので、受金具12の長手方向両端部を薄板32,32に当接させると共に受金具12の長手方向端部に対して直交する端部12b(又は12c)を固定面37の端に位置合わせすることにより、受金具12を天板6、背板7に対してより正確に位置決めして固定することができる。
【0046】
本実施形態の書架1は、天板6と背板7の一対の側板2,3に面する端部に対して直交する端部に、薄板32,32の間に形成された隙間を塞ぐように装飾板33を取り付けているので、天板6と背板7を一対の側板2,3に固定した場合に、受金具12が薄板32,32と装飾板33に隠されて外部から見えない。
【0047】
本実施形態の書架1は、固定面37の端で装飾板33より内側の位置に固定した補強ブロック36に、受金具12を当接させて、固定面37に固定することにより、ショルダーねじ14を受金具12の溝12aに係合させて天板6と背板7を一対の側板2,3に取り付ける場合に発生する力を補強ブロック36で受けるようにしたので、ショルダーねじ14を受金具12に係合させる場合に発生する力で装飾板33が破壊されることを防止できる。
【0048】
本実施形態の書架1は、組立られた後、側板2,3に立設したショルダーねじ14と、天板6と背板7に固定される受金具12との結合部分が、天板6と背板7の薄板32と化粧板33で囲まれた空間に納まり、外から見えない。また、側板2,3のショルダーねじ14と基台4に固定される受け金具12との結合部分も、天板6の薄板32と底板5に隠され、外から見えない。よって、書架1は、あたかもショルダーねじ14や受け金具12などの金属部品を用いずに組み立てられたように見え、見栄えが良い。
【0049】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
上記実施形態では、固定面37に補強ブロック36を固定したが、装飾板33が衝撃に耐えうるものであれば、補強ブロック36を省いても良い。
上記実施形態では、係合部材の一例としてショルダーねじ14を用いたが、受金具12の溝12aに係合可能なピンを側板2,3に圧入固定しても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 書架
2,3 側板
4 基台(受金具付き架設板の一例)
5 底板(架設板の一例)
6 天板(受金具付き架設板の一例)
7 背板(受金具付き架設板の一例)
8 棚板(架設板の一例)
12 受金具
12a 溝
14 ショルダーねじ(係合部材の一例)
31 芯材
32 薄板
33 装飾板
36 補強ブロック
37 固定面
38 垂直面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側板と、前記一対の側板の間に架け渡して設けられる複数の架設板とを有する書架において、
前記複数の架設板は、一方に開口する溝が長手方向に形成された受金具を、前記側板に面する端部に固定された受金具付き架設板を含み、
前記一対の側板は、前記受金具付き架設板の取付位置に、前記受金具の前記溝に係合する係合部材が固定され、
前記受金具付き架設板は、前記受金具の幅寸法と同一幅に設けられて前記受金具が固定される固定面と、前記固定面の長辺に対して垂直に設けられた垂直面とを有し、
前記受金具は、前記固定面の端と前記垂直面とに位置合わせされている
ことを特徴とする書架。
【請求項2】
請求項1に記載する書架において、
前記受金具付き架設板は、厚さが前記受金具の前記幅寸法と同一である板状の芯材の両面に薄板を固定した合成材からなり、前記薄板が前記芯材の前記側面に面する端部から側方へそれぞれ突出しており、前記芯材の端部により前記固定面を構成し、前記薄板により前記垂直面を構成している
ことを特徴とする書架。
【請求項3】
請求項2に記載する書架において、
前記受金具付き架設板は、前記一対の側板に面する端部に対して直交する端部に、前記薄板の間に形成された隙間を塞ぐように取り付けられる装飾板を有する
ことを特徴とする書架。
【請求項4】
請求項3に記載する書架において、
前記受金具付き架設板は、前記固定面の端で前記装飾板より内側の位置に固定される補強ブロックを有し、
前記受金具は、前記補強ブロックに当接した状態で前記固定面に固定されている
ことを特徴とする書架。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−45638(P2011−45638A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198145(P2009−198145)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(509243643)株式会社桜屋 (1)
【Fターム(参考)】