説明

書込装置、表示装置、表示媒体、及び表示プログラム

【課題】色の異なる少なくとも2種類以上の粒子を含む表示媒体における混色を防止することを目的とする。
【解決手段】正に帯電したマゼンタ色に着色されたマゼンタ泳動粒子24M及び負に帯電したシアン色に着色されたシアン泳動粒子24Cの2種類の電気泳動粒子24を基板間に封入すると共に、電気泳動粒子24に加えて白色に着色された白色粒子26を基板間に封入する。このとき、電圧V2では分離して互いに逆方向に移動し、電圧V1(V2>V1)以下では、凝集体を形成して移動する電気泳動粒子24を基板間に封入する。そして、基板上で凝集体を形成するように基板間に印加する電圧を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書込装置、表示装置、表示媒体、及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一方が透光性を有する一対の電極間に、電気泳動粒子を封入した電気泳動表示素子により、白黒表示や、カラー表示を行う種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、表示部となる第1の基板と、第1の基板と対向して配置された第2の基板と、各基板間に設けられ、互いに色彩と電気泳動移動度とが異なる複数種の電気泳動粒子と、各電気泳動粒子を分散させる液相分散媒とを含む電気泳動分散液を封入してなる画素空間と、各電気泳動粒子に電界を作用させることにより、各電気泳動粒子間の電気泳動移動度の差を利用して、各電気泳動粒子を種類ごとに分離する一対の分離用電極と、分離された各電気泳動粒子のうちの特定の電気泳動粒子を選別し、電界を作用させることにより、この電気泳動粒子を画素空間の表示部側へ移動する一対の移送用電極とを備える表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−116512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、色の異なる少なくとも2種類以上の粒子を含む表示媒体における混色を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の書込装置は、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、少なくとも1種類の粒子は他の種類の粒子の極性と逆極性に帯電した少なくとも2種類以上の粒子と、前記基板の透光性を有する一方の基板側に設けられた、透光性を有する第1電極と、前記第1電極に対向して他方の前記基板側に設けられた第2電極と、を備えた表示媒体に対して、前記一対の基板のうち一方の基板上で、前記2種類以上の粒子のうち相互に逆極性に帯電した少なくとも2種類の粒子が凝集体を形成するように、前記第1電極と前記第2電極間に電圧を印加して前記表示媒体に画像を書き込むことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記2種類の粒子は、予め定めた第1の電圧以下で凝集体を形成して凝集体として移動し、前記第1の電圧より大きい第2の電圧で前記凝集体が分離して、互いに逆方向へ移動することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記2種類の粒子は、基板間を移動する閾値電圧がそれぞれ異なり、閾値電圧が高い方の粒子の閾値電圧以下で閾値電圧が低い方の粒子が移動して凝集体を形成することを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、前記少なくとも2種類以上の粒子は、それぞれ移動速度が異なることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の表示装置は、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、少なくとも1種類の粒子は他の種類の粒子の極性と逆極性に帯電した少なくとも2種類以上の粒子と、前記基板の透光性を有する一方の基板側に設けられた、透光性を有する第1電極と、前記第1電極に対向して他方の前記基板側に設けられた第2電極と、前記一対の基板のうち一方の基板上で、前記2種類以上の粒子のうち相互に逆極性に帯電した少なくとも2種類の粒子が凝集体を形成するように前記第1電極と前記第2電極間へ印加する電圧を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の表示媒体は、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、前記一対の基板の間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、かつそれぞれ逆極性に帯電されて、予め定めた第1の電圧以下の電圧が前記一対の基板の間に印加された場合に、前記一対の基板のうち一方の基板上で凝集体を形成して前記凝集体として移動し、前記第1の電圧より大きい第2の電圧が前記一対の基板の間に印加された場合に、前記凝集体が分離して互いに逆方向へ移動する2種類の粒子と、を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の表示プログラムは、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、少なくとも1種類の粒子は他の種類の粒子の極性と逆極性に帯電した少なくとも2種類以上の粒子と、前記基板の透光性を有する一方の基板側に設けられた、透光性を有する第1電極と、前記第1電極に対向して他方の前記基板側に設けられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間へ電圧を印加する印加手段と、を備えた表示装置に対して、前記一対の基板のうち一方の基板上で、前記2種類以上の粒子のうち相互に逆極性に帯電した少なくとも2種類の粒子が凝集体を形成するように、前記印加手段を制御する処理をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜7に記載の発明によれば、色の異なる少なくとも2種類以上の粒子を含む表示媒体において、2種類の粒子が基板上で凝集体を形成しない場合に比して、混色を防止することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係わる表示装置の概略を示す図である。
【図2】移動速度が異なる3種類の粒子が封入された表示装置の粒子の移動を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる表示装置の粒子の移動を説明するための図であり、(A)はシアン色を表示した例を示し、(B)はマゼンタ色を表示した例を示し、(C)は白色を表示した例を示し、(D)は青色を表示した例を示す。
【図4】(A)は基板間で電気泳動粒子を凝集させた例を示す図であり、(B)は基板上で電気泳動粒子を凝集された例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる表示装置の色表示の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係わる表示装置の概略を示す図である。
【0017】
本発明の実施の形態に係わる表示装置10は、少なくとも2種類以上の電気泳動粒子24の移動によって画像を表示する電気泳動表示素子12と、電気泳動表示素子12に画像を表示させるための電圧を印加する電圧印加装置14と、パーソナルコンピュータ等の外部の画像信号出力装置16からの画像表示指示を受けて電圧印加装置14の駆動を制御する駆動制御装置18と、を含んで構成されている。
【0018】
電気泳動表示素子12は、画像表示面とされる透光性を有する表示基板20と、表示基板20に予め定めた間隔を持って対向配置された背面基板22と、を含んで構成されている。なお、透光性とは、可視光の透過率が70%以上、好ましくは90%以上であることを示すものとする。
【0019】
表示基板20と背面基板22の間には、透光性を有する分散液28が封入されており、分散液28中に着色された少なくとも2種類以上の電気泳動粒子24が封入されている。少なくとも2種類以上の電気泳動粒子24は、少なくとも1種類は逆極性に帯電し、それぞれ異なる光学特性とされている(異なる色に着色)。
【0020】
本実施の形態では、マゼンタ色に着色されたマゼンタ泳動粒子24M及びシアン色に着色されたシアン泳動粒子24Cの2種類の電気泳動粒子24が基板間に封入されていると共に、電気泳動粒子24に加えて白色に着色された白色粒子26が基板間に更に封入されている例を示す。また、各電気泳動粒子24は、基板間に形成された電界強度に応じて移動する。
【0021】
本実施の形態では、マゼンタ泳動粒子24Mは正に帯電し、シアン泳動粒子24Cは負に帯電している。また、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cは、それぞれ閾値電圧が異なり、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cが凝集した場合には、その凝集体は負に帯電した状態となるものとする。なお、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cの移動速度はそれぞれ異なるものとするが、同一であってもよい。
【0022】
表示基板20は、支持基板34上に表面電極36が設けられており、背面基板22は、表面電極36に対向して支持基板38上に背面電極40が設けられている。
【0023】
上記支持基板34、38としては、ガラスやプラスチックを適用することができ、プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
【0024】
表面電極36及び背面電極40には、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等を使用することができる。これらは単層膜、複合膜あるいは複合膜と蒸着法、スパッタリング法、塗布法等で形成することができる。
【0025】
なお、図1では、表面電極36を支持基板34上に積層し、背面電極40を支持基板38上に積層した例を示すが、表面電極36及び背面電極40は、各支持基板に埋め込むようにしてもよい。また、表面電極36及び背面電極40を各支持基板に埋め込む場合には、支持基板34、38の材料が各電気泳動粒子24の電気的特性や流動性に影響を及ぼすことがあるので、各電気泳動粒子24の組成等に応じて選択する必要がある。
【0026】
また、表面電極36及び背面電極40の各々を、表示基板20及び背面基板22と分離させて、電気泳動表示素子12の外部に配置するようにしてもよい。本実施の形態では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極36及び背面電極40)を備える場合を説明するが、何れか一方だけ設けるようにしてもよい。
【0027】
各電気泳動粒子24が分散される分散液28としては、高抵抗液体であることが好ましい。ここで、「高抵抗」とは、体積抵抗率が10Ω・cm以上、好ましくは、1010Ω・cm以上、より好ましくは1012Ω・cm以上であることを示している。
【0028】
高抵抗液体として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジククロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、高純度石油、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用できる。
【0029】
なお、高抵抗液体には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的として安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することができるが、上記で示した特定の体積抵抗値の範囲となるように添加することが好ましい。
【0030】
また、高抵抗液体には、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加して使用できる。
【0031】
イオン性および非イオン性の界面活性剤としては、より具体的には以下があげられる。ノニオン活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等がある。カチオン界面活性剤としては、第一級ないし第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら帯電制御材は、粒子固形分に対して0.01重量%以上、20重量%以下が好ましい、特に、0.05〜10重量%の範囲が好ましい。0.01重量%を下回ると、希望とする帯電制御効果が不充分であり、また20重量%を越えると、分散液の過度な電導度の上昇を引き起こす。
【0032】
分散液28中に分散させられる各電気泳動粒子24や着色粒子26としては、ガラスビーズ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物粒子等、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂粒子、これらの樹脂粒子の表面に着色剤を固定したもの、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂中に着色剤を含有する粒子、及びプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子等が挙げられる。
【0033】
粒子の製造に使用される熱可塑性樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体を例示することができる。
【0034】
また、粒子の製造に使用される熱硬化性樹脂としては、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体や架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
【0035】
着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等を使用することができ、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤を挙げることができる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等を代表的なものとして例示することができる。
【0036】
粒子の樹脂には、必要に応じて、帯電制御剤を混合してもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子を挙げることができる。
【0037】
粒子の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。外添剤の色は、粒子の色に影響を与えないように、透明であることが好ましい。外添剤としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物等の無機粒子が用いられる。粒子の帯電性、流動性、及び環境依存性等を調整するために、これらをカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理することができる。カップリング剤には、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタン系カップリング剤、ニトリル系カップリング剤等の正帯電性のものと、窒素原子を含まない(窒素以外の原子で構成される)シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等の負帯電性のものがある。また、シリコーンオイルには、アミノ変性シリコーンオイル等の正帯電性のものと、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の負帯電性のものが挙げられる。
【0038】
各電気泳動粒子24を作製する方法としては、従来公知のどの方法を用いてもよい。例えば、特開平7−325434公報記載のように、樹脂、顔料および帯電制御剤を予め定めた混合比になるように計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機を用いて粒子を調製し、得られた粒子をその後分散媒に分散する方法が使用できる。また、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法で帯電制御剤を粒子中に含有させた粒子を調製し、その後分散媒に分散して粒子分散媒を作成してもよい。さらには、樹脂が可塑化可能で、分散媒が沸騰せず、かつ、樹脂、帯電制御剤および/または着色剤の分解点より低温で、前記の樹脂、着色剤、帯電制御剤および分散媒の原材料を分散および混錬することができる適当な装置を用いる方法がある。具体的には、流星型ミキサー、ニーダー等で顔料と樹脂、帯電制御剤を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を撹拌しながら冷却し、凝固/析出させて粒子を作成することができる。
【0039】
一方、電圧印加装置14は、表面電極36及び背面電極40のそれぞれに接続されており、電圧印加装置14によって表面電極36及び背面電極40に電圧を印加することにより、基板間に電界が形成される。
【0040】
電圧印加装置14は、駆動制御装置18に接続されており、駆動制御装置18には画像信号出力装置16が接続されている。駆動制御装置18は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク等を備えて構成され、CPUは、ROMやハードディスク等に記憶されているプログラムに従って表示装置10への画像表示を行う。画像信号出力装置16は、ハードディスク等を適用し、電気泳動表示素子12に画像を表示するための表示用画像を記憶して出力するようにしてもよい。すなわち、画像信号出力装置16に記憶された表示用画像に応じて駆動制御装置18が電圧印加装置14を制御して基板間に電圧を印加することにより、電圧に応じて各電気泳動粒子24が移動して画像が表示される。なお、画像信号出力装置16に記憶される表示用画像は、CD−ROMやDVD等の各種記録媒体やネットワークを介して画像信号出力装置18に取り込んでもよい。
【0041】
なお、各電気泳動粒子24は、基板間への電圧の印加を停止した後も、ファンデルワールス力や鏡像力等の付着力によって、電圧が印加された時の状態が維持される。
【0042】
ところで、複数種類の電気泳動粒子24を含む表示装置では、移動速度の差を用いて所望の粒子を移動させる技術がある。しかしながら、実際には、移動速度の大きい粒子が先に基板に到達するため混色が発生する。
【0043】
例えば、図2示すように、赤(R)色、G(緑)色、B(青)色の3つの正に帯電した粒子が封入され、それぞれの移動速度がR>B>Gの場合、表面電極36の電圧を0として、背面電極に+Vの電圧を印加すると、図2(A)に示すように、R色、B色、G色の順に移動速度が速いため、R色が始めに背面基板22に到達し、R色、B色、G色の順に積層される。そして、この状態から表面電極に−Vの電圧を印加して背面電極40の電圧を0にすると、図2(B)に示すように、上層の移動速度の遅いG色の粒子から順に剥離するが、遅い粒子の一部は速い粒子より先に基板に到達して、図2(C)に示すように、混色が発生する。
【0044】
そこで、本実施の形態では、このような混色を防止するために、混色発生しやすい色を表示する際に、基板上で凝集体を形成するように電気泳動粒子24を移動するようにしている。なお、基板上とは、基板(表示基板20や背面基板22)と接する面を指す。
【0045】
具体的には、シアン泳動粒子24Cと、マゼンタ泳動粒子24Mとは、上述したように、逆極性に帯電されている。そして、電圧V2では分離して互いに逆方向に移動し、電圧V1(V2>V1)以下では、凝集体を形成して移動する電気泳動粒子24を封入する。
【0046】
例えば、表面電極36に+V2の電圧を印加して背面電極40の電圧を0とすると、図3(A)に示すように、シアン泳動粒子24Cが表示基板20側へ移動し、マゼンタ泳動粒子24Mが背面基板22側へ移動するため、表示基板20側からはシアン泳動粒子24Cが観察されてシアン色が表示される。
【0047】
一方、表面電極36の電圧を−V2として背面電極40に0の電圧を印加すると、図3(B)に示すように、マゼンタ泳動粒子24Mが表示基板20側へ移動し、シアン泳動粒子24Cが背面基板22側へ移動するため、表示基板20側からはマゼンタ泳動粒子24Mが観察されてマゼンタ色が表示される。
【0048】
また、シアン色を表示した状態(図3(A)の状態)で、表面電極36の電圧を0として背面電極40に+V1の電圧を印加すると、図3(C)に示すように、シアン泳動粒子24Cが背面基板22側へ移動してシアン泳動粒子24Cとマゼンタ泳動粒子24Mとが背面基板22側で凝集体を形成して、表示基板20側からは白色粒子26が観察される。この状態で、表面電極36の電圧を+V1として背面電極40の電圧を0とすると、図3(D)に示すように、シアン泳動粒子24C及びマゼンタ泳動粒子24Mが凝集した状態で表示基板20側へ移動して、青色表示される。凝集状態で表示基板20側へ移動するため混色が抑制される。
【0049】
また、マゼンタ色を表示した状態(図3(B)の状態)で、背面電極40の電圧を0として表面電極36に+V1の電圧を印加しても、図3(D)に示すように、シアン粒子24が表示基板20側へ移動してマゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cとが表示基板20側で凝集体を形成して、表示基板20側からは青色が観察される。この状態で、表面基板36の電圧を0として背面電極30に+Vの電圧を印加すると、図3(C)に示すように、マゼンタ泳動粒子24M及びシアン泳動粒子24Cが凝集した状態で背面基板22側へ移動して、白色表示される。凝集状態で背面基板22側へ移動するため混色が抑制される。
【0050】
このように、本実施の形態では、基板上でシアン泳動粒子24Cとマゼンタ泳動粒子24Mが凝集体を形成するように電圧を印加したり、電気泳動粒子24が凝集した状態で移動するように基板間に電圧を印加することにより、混色が抑制される。
【0051】
また、逆極性に帯電した2種類の電気泳動粒子24を同時に同一方向へと移動させることができるため、2種類の電気泳動粒子24を凝集させない場合と比較して応答速度が高速となる。例えば、図3(C)に示すように、シアン泳動粒子24C及びマゼンタ泳動粒子24Mが背面基板22側へ移動した白表示から、図3(D)に示すようにシアン泳動粒子24C及びマゼンタ泳動粒子24Mが表示基板20側へ移動した青色表示へと変更する場合、2種類の電気泳動粒子24を凝集させない場合は、図3(B)に示すように表面電極36の電圧を−V2として背面電極40の電圧を0にして、シアン泳動粒子24Cを背面基板22側に残したままマゼンタ泳動粒子24Mを表示基板20側へ移動させた後、図3(D)に示すように表面電極36の電圧を+V1として背面電極40の電圧を0にしてシアン泳動粒子を表示基板20側に移動させる必要がある。2種類の粒子が凝集する場合は、前述のように表面電極36の電圧を+V1として背面電極40の電圧を0にするのみでよく、応答速度が高速となる。
【0052】
さらに、マゼンタ泳動粒子24M及びシアン泳動粒子24Cが凝集した状態では、凝集体はみかけの粒子径が大きくなるため、凝集しない状態と比較して粒子の移動速度が速くなり、応答速度が高速となる。
【0053】
なお、基板上に電気泳動粒子24が凝集するように電圧を印加する際に、交流電圧等をさらに印加することにより、電気泳動粒子24を振動させて、凝集力を向上させるようにしてもよい。
【0054】
また、上記の実施の形態では、移動速度は同一でも異なるようにしてもよいとしたが、移動速度(応答速度)が異なる電気泳動粒子24を用いることでも、一方の電気泳動粒子のみが移動して2種類の電気泳動粒子が凝集される。
【0055】
さらに、図4(A)に示すように、基板間で電気泳動粒子24を凝集するように電圧を印加して、凝集状態で電気泳動粒子24を移動させるようにしてもよいが、2粒子が接触するときの粒子密度が基板上で凝集させる場合に比べて小さく、互いに逆方向に移動して凝集されない電気泳動粒子24が発生してしまう。これに対して、本実施の形態では、図4(B)に示すよう、基板上で凝集させることにより、基板間で凝集状態を形成する場合よりも電気泳動粒子24の接触密度が高くなり、また、粒子移動も少なくなる(一方の電気泳動粒子24は停止または低速で移動する)ため、凝集状態が確実に形成される。
【0056】
ここで、表示装置10の具体的な色表示の処理について一例を挙げて説明する。図5は、本発明の実施の形態に係わる表示装置10の色表示の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以下の処理では、初期状態として、図4(A)に示すシアン色を初期状態とした例を示すが、これに限るものではなく、マゼンタ色を初期状態としてもよい。
【0057】
ステップ100では、初期状態が表示されてステップ102へ移行する。すなわち、表面電極36に+V2の電圧を印加して背面電極40の電圧が0になるように、駆動制御装置18が電圧印加装置14を制御する。すなわち、負に帯電したシアン泳動粒子24Cが表示基板20側へ移動して、正に帯電したマゼンタ泳動粒子24Mが背面基板22側へ移動してシアン色が表示される。
【0058】
ステップ102では、青色表示か否かが判定される。該判定は、画像信号出力装置16から出力される画像の色が青色か否かを駆動制御装置18が判定し、該判定が肯定された場合にはステップ104へ移行し、否定された場合にはステップ108へ移行する。
【0059】
ステップ104では、表面電極36の電圧を0とし背面電極40に+V1となるように、電圧印加装置14が駆動制御装置18によって制御されてステップ106へ移行する。これによって、シアン泳動粒子24Cが背面基板22側へ移動して、シアン泳動粒子24Cとマゼンタ泳動粒子24Mが背面基板22上で凝集体を形成する。
【0060】
ステップ106では、表面電極36に+V1の電圧を印加して背面電極40の電圧が0になるように、電圧印加装置14が駆動制御装置18によって制御されて一連の処理がリターンされる。すなわち、シアン泳動粒子24Cとマゼンタ泳動粒子24Mが凝集体を形成した状態で、表示基板20側へ移動して青色が表示される。このとき凝集体を形成して移動するので、粒子が纏まって移動して混色が抑制される。
【0061】
一方、ステップ108では、白色表示か否かが判定される。該判定は、画像信号出力装置16から出力される画像の色が白色か否かを駆動制御装置18が判定し、該判定が肯定された場合にはステップ110へ移行し、否定された場合にはステップ112へ移行する。
【0062】
ステップ110では、表面電極36の電圧を0とし背面電極40に+V1となるように、電圧印加装置14が駆動制御装置18によって制御されて一連の処理がリターンされる。これによって、シアン泳動粒子24Cが背面基板22側へ移動して、シアン泳動粒子24Cとマゼンタ泳動粒子24Mが背面基板22上で凝集体を形成し、白色が表示される。このとき凝集体が背面基板22上で形成されるので、基板間に浮遊する電気泳動粒子24がなくなって混色が抑制される。
【0063】
また、ステップ112では、マゼンタ色表示か否かが判定される。該判定は、画像信号出力装置16から出力される画像の色がマゼンタ色か否かを駆動制御装置18が判定し、該判定が肯定された場合にはステップ114へ移行し、否定された場合には、初期状態のシアン色表示として一連の処理がリターンされる。
【0064】
ステップ114では、表面電極に−V2の電圧を印加して背面電極40の電圧が0になるように、電圧印加装置14が駆動制御装置18によって制御されて一連の処理がリターンされる。すなわち、正に帯電したマゼンタ泳動粒子24Mが表示基板20側へ移動して、負に帯電したシアン泳動粒子24Cが背面基板22側へ移動してマゼンタ色が表示される。
【0065】
本実施の形態では、このように制御することにより、シアン色、白色、マゼンタ色、及び青色の4色表示が行われる。また、白色や青色を表示する際には、シアン泳動粒子24Cとマゼンタ泳動粒子24Mが基板上で凝集体を形成するので、混色が抑制される。
【0066】
なお、上記の色表示の処理では、背面基板40側にシアン泳動粒子24C及びマゼンタ泳動粒子24Mを凝集された状態から、凝集した状態で表示基板20側へ移動するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、マゼンタ色を表示する状態から表示基板20側にシアン泳動粒子24Cが移動するように電圧を印加して表示基板20側に粒子を凝集させるようにしてもよい。
【0067】
続いて、上述の表示装置10を具体的に構成して、基板上で凝集させた場合の効果について検証した結果を以下に説明する。
【0068】
まず、表示装置10に封入する白色粒子26の分散液Aの調製について説明する。
【0069】
還流冷却管を取り付けた100ml三口フラスコに、2-ビニルナフタレン(新日鐵化学社製)を5重量部、シリコーンマクロマFM-0721(チッソ社製)を5重量部、開始剤として過酸化ラウロイル(和光純薬社製)を0.3重量部、シリコーンオイルKF-96L-1CS(信越化学社製)20重量部を加え、窒素ガスによるバブリングを15分間行った後、窒素雰囲気下にて65℃、24時間の重合を行った。
【0070】
得られた白色粒子をシリコーンオイルにて固形分濃度40wt%に調製し、白色粒子分散液Aとした。このとき、白色粒子の粒子径は、450nmであった。
【0071】
次に、マゼンタ泳動粒子24Mの分散液M1の調製について説明する。
【0072】
サイラプレーンFM−0711 (チッソ社製) 95質量部、メタクリル酸メチル:3質量部、グリシジルメタクリレート2質量部をシリコーンオイル:50質量部と混合し、重合開始剤としてアゾビスバレロニトリルを0.5質量部添加して重合し、シリコーン系高分子Aを作製した。作製したシリコーン系高分子Aを、ジメチルシリコーンオイル(信越化学社製:KF−96−2cs)に3質量%で溶解させ、シリコーン系高分子Aの3質量%シリコーンオイル溶液を準備した。
【0073】
次に、N−ビニルピロリドンとN,N−ジエチルアミノエチルアクリレートとの質量比で9/1の共重合体(重量平均分子量6万)をラジカル溶液重合で合成した。
【0074】
次に、マゼンタ顔料(Ciba製:ユニスパース)1質量部に、上記共重合体の10%水溶液3質量部を混合し、この混合溶液を上記シリコーン系高分子Aの3質量%シリコーンオイル溶液10質量部に混合し、これを超音波破砕機で10分間攪拌し、帯電基を持つ高分子及び顔料を含む水溶液をシリコーンオイル中に分散・乳化した懸濁液を調製した。
【0075】
次に、この懸濁液を2kPa、70℃で水分を除去した後、100℃で3時間加熱し、マゼンタ粒子が分散したシリコーンオイル分散液を得た。次に分散液中に粒子固形分中のN,N−ジエチルアミノエチルアクリレートのモル量の50%に相当する臭化ブチルを添加し80℃で3時間加熱した後、遠心分離装置を用いて粒子の洗浄及び分級を行い、固形分濃度4wt%に調整し、マゼンタ泳動粒子分散液M1を作製した。作製したマゼンタ色粒子の体積平均粒子径は400nm(大塚電子社製、FPAR-1000で測定)で、シリコーンオイル中で正帯電であった。
【0076】
次に、比較例で使用するマゼンタ粒の分散液M2の合成について説明する。
【0077】
第1シリコーン系モノマーとしてサイラプレーンFM−0725(チッソ社製) 12質量部、第2シリコーン系モノマ ーとしてサイラプレーンFM−0721(チッソ社製) 36質量部、フェノキシエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製、AMP−10G) 20質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート (和光純薬社製)32質量部を、イソプロピルアルコール(IPA) 300質量部に混合し、重合開始剤としてAIBN(2,2−アゾビスイソブチルニトリル) 1質量部を溶解し、窒素下で70℃、6時間重合を行なった。これによる生成物 を、ヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥し、シリコーン系高分子Bを得た。
【0078】
また、イソプロピルアルコール(IPA) 9gに上記シリコーン系高分子B 0.5gを加え、溶解させた後、マゼンタ顔料(Pigment Red 3090) 0.5gを添加し、0.5mmΦのジルコニアボールを使用し、48時間分散させ、顔料含有高分子溶液を得た。
【0079】
この顔料含有高分子溶液を3g取り出し、これを40℃に加熱させた後、超音波を印加させながら、シリコーンオイル(信越化学社製:KF96−2cs)12gを少量ずつ滴下させたところ、シリコーン系高分子が顔料表面に析出した。その後、溶液を、60℃に加温・減圧乾燥させ、IPAをエバポレートさせ、シリコーン系高分子が顔料表面に付着したマゼンタ粒子を得た。得られたマゼンタ粒子を、遠心分離装置を用いて洗浄及び分級を行い、固形分濃度4wt%に調整し、マゼンタ泳動粒子分散液M2を作製した。作製したマゼンタ粒子の体積平均粒子径は200nm(大塚電子社製、FPAR-1000で測定)で、シリコーンオイル中で正帯電であった。
【0080】
続いて、シアン泳動粒子24Cの分散液C1の合成について説明する。
【0081】
第1シリコーン系モノマーとしてサイラプレーンFM−0725(チッソ社製) 19質量部、第2シリコーン系モノマ ーとしてサイラプレーンFM−0721(チッソ社製) 29質量部、メタクリル酸メチル(和光純薬社製)9質量部、メタクリル酸オクタフルオロペンチル(和光純薬社製)5質量部、及び、ヒドロキシエチルメタクリレート (和光純薬社製)38質量部を、イソプロピルアルコール(IPA) 300質量部に混合し、重合開始剤としてAIBN(2,2−アゾビスイソブチルニト リル) 1質量部を溶解し、窒素下で70℃、6時間重合を行なった。これによる生成物 を、ヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥しシリコーン系高分子Cを得た。
【0082】
上記マゼンタ泳動粒子分散液M2の調整において、シリコーン系高分子Bの代わりにシリコーン系高分子Cを使用し、マゼンタ顔料の代わりにシアン顔料(山陽色素製、シアニンブルー4973) を用いた以外は全て、上記マゼンタ泳動粒子分散液M2の合成と同様にしてシアン泳動粒子分散液C1を作製した。得られたシアン粒子の体積平均粒径は300nm(大塚電子社製、FPAR-1000で測定)で、負帯電であった。
(比較例1)
厚さ0.7mmのガラスからなる基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜した。さらに、ITO上にCYTOP(旭硝子社製)をスピンコート法により80nmの厚さで塗布した。この基板を2枚用意し、表示基板20及び背面基板22とした。50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして、表示基板20上に背面基板22を重ね合わせて、クリップにて固定した。
【0083】
その後、白色粒子分散液A:50質量部とシアン泳動粒子24Cの分散液C1:25質量部、マゼンタ泳動粒子24Mの分散液M2:25質量部、を混合した混合液を上記基板のスペーサー部に注入し、評価用セルとした。
【0084】
このようにして作製した評価用セルを用いて、表面電極36がプラスとなるように電極間に30Vの電位差を5秒間印加した。分散された負帯電のシアン泳動粒子24Cはプラス側電極、すなわち、表面電極36側へ移動し、正帯電のマゼンタ泳動粒子24Mはマイナス側電極、すなわち、背面電極40側へ移動し、表示基板20側から観察するとシアン色が観察された。
【0085】
その後、表面電極36がマイナスとなるように電極間に30Vの電位差を5秒間印加したところ、正帯電のマゼンタ泳動粒子24Mは、マイナス側電極、すなわち、表面電極36側へ移動し、負帯電のシアン泳動粒子24Cはプラス側電極、すなわち、背面電極40側へ移動し、表示基板20側から観察するとマゼンタ色が観察された。
【0086】
さらにその後、表面電極36がプラスとなるように電極間に30Vの電位差を0.5秒間印加したところ、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cが共に基板から剥離した。その後、15Vの電圧を5秒間印加したところ、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cは電極間で凝集体を形成し、凝集体として、表面電極36側、すなわち、プラス側電極へ移動し、表示基板20側から観察すると青色が観察された。
【0087】
その後、表面電極36がマイナスとなるように電極間に15Vの電位差を5秒間印加したところ、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cの凝集体は、背面電極40側、すなわち、プラス側電極へ移動し、表示基板20側から観察すると白色が観察された。
【0088】
白色表示状態の色濃度をX−Riteで測定したところ、反射率24%であった。
(実施例1)
厚さ0.7mmのガラスからなる基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜した。さらに、ITO上にCYTOP(旭硝子社製)をスピンコート法により80nmの厚さで塗布した。この基板を2枚用意し、表示基板20及び背面基板22とした。50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして、表示基板20上に背面基板22を重ね合わせて、クリップにて固定した。
【0089】
その後、白色粒子26の分散液A:50質量部とシアン泳動粒子24Cの分散液C1:25質量部、マゼンタ泳動粒子24Mの分散液M1:25質量部、を混合した混合液を上記基板のスペーサー部に注入し、評価用セルとした。
【0090】
このようにして作製した評価用セルを用いて、表面電極36がプラスとなるように電極間に30Vの電位差を5秒間印加した。分散された負帯電シアン粒子はプラス側電極、即ち表面電極36側へ移動し、正帯電マゼンタ泳動粒子24Mはマイナス側電極、即ち背面電極40側へ移動し、表示基板20側から観察するとシアン色が観察された。
【0091】
その後、表面電極36がマイナスとなるように電極間に30Vの電位差を5秒間印加したところ、正帯電マゼンタ泳動粒子24Mは、マイナス側電極、即ち、表面電極36側へ移動し、負帯電シアン粒子はプラス側電極、すなわち、背面電極40側へ移動し、表示基板20側から観察するとマゼンタ色が観察された。
【0092】
更にその後、表面電極36がプラスとなるように電極間に10Vの電位差を5秒間印加したところ、シアン泳動粒子24Cは表面電極36側へ移動したが、マゼンタ泳動粒子24Mは表示基板20上から移動せず、表示基板20上でシアン泳動粒子とマゼンタ泳動粒子24Mが互いに凝集した。このとき、表示基板20側から観察すると青色が観察された。
【0093】
その後、表面電極36がマイナスとなるように電極間に15Vの電位差を5秒間印加したところ、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cが凝集体を形成したまま、背面電極40側、すなわち、プラス側電極へ移動し、表示基板20側から観察すると白色が観察された。
【0094】
この白色表示状態の色濃度を、X−Rite404で測定したところ、反射率28%であった。比較例1のように粒子を基板間で凝集させた時よりも反射率が向上している。すなわち、粒子を基板上で凝集させない場合には、凝集しないシアン粒子が発生して混色となり、粒子を基板上に凝集させることにより、混色が抑制されていることが分かる。
【0095】
なお、第1実施例において、マゼンタ色を表示した状態から青色を表示する際に、直流電圧に加えて交流電圧を印加して駆動するようにしてもよい。これによって電気泳動粒子24が振動しながら凝集するので、凝集力が向上して、白色の反射率が向上する。
(第2実施例)
厚さ0.7mmのガラスからなる基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜した。さらに、ITO上にCYTOP(旭硝子社製)をスピンコート法により80nmの厚さで塗布した。この基板を2枚用意し、表示基板20、及び背面基板22とした。50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして、表示基板20上に背面基板22を重ね合わせて、クリップにて固定した。
【0096】
その後、白色粒子分散液A:50質量部とシアン泳動粒子24Cの分散液C1:25質量部、マゼンタ泳動粒子24Mの分散液M1:25質量部、を混合した混合液を上記基板のスペーサー部に注入し、評価用セルとした。
【0097】
このようにして作製した評価用セルを用いて、表面電極36がプラスとなるように電極間に30Vの電位差を5秒間印加した。分散された負帯電のシアン泳動粒子24Cはプラス側電極、即ち表面電極36側へ移動し、正帯電のマゼンタ泳動粒子24Mはマイナス側電極、すなわち背面電極40側へ移動し、表示基板20側から観察するとシアン色が観察された。
【0098】
その後、表面電極36がマイナスとなるように電極間に30Vの電位差を5秒間印加したところ、正帯電のマゼンタ泳動粒子24Mは、マイナス側電極、すなわち、表面電極36側へ移動し、負帯電のシアン泳動粒子24Cはプラス側電極、すなわち、背面電極40側へ移動し、表示基板20側から観察するとマゼンタ色が観察された。
【0099】
さらにその後、表面電極36がプラスとなるように電極間に10Vの電位差を5秒間印加したところ、シアン泳動粒子24Cは表面電極36側へ移動したが、マゼンタ泳動粒子24Mは表示基板20上から移動せず、表示基板20上でシアン泳動粒子24Cとマゼンタ泳動粒子24Mが互いに凝集した。このとき、表示基板20側から観察すると青色が観察された。
【0100】
その後、電極間に10Vの電位差の交番電界を、周波数5Hzで5サイクル印加し、その後、表面電極36がマイナスとなるように電極間に15Vの電位差を5秒間印加したところ、マゼンタ泳動粒子24Mとシアン泳動粒子24Cが凝集体を形成したまま、背面電極40側、すなわち、プラス側電極へ移動し、表示基板20側から観察すると白色が観察された。
【0101】
この、白色表示状態の色濃度を、X−Rite404で測定したところ、反射率30%であった。
【0102】
このように交番電界を印加することにより、反射率が増加している。すなわち、交番電界により粒子を振動・衝突させることで、凝集しない粒子をより減少させることができることがわかる。
【0103】
なお、上記の実施の形態では、逆極性に帯電した2種類の電気泳動粒子24及び帯電していない白色粒子26が基板間に封入された例を示すが、これに限るものではなく、上記2種類の電気泳動粒子24に加えて、異なる色かつ閾値特性の電気泳動粒子24をさらに封入するようにしてもよい。
【0104】
また、上記の実施の形態では、駆動制御装置18が電圧印加装置14を制御して、電気泳動粒子24の移動制御(凝集するように電圧を制御)を行う例を説明したが、これに限るものではなく、電気泳動粒子24の移動制御をプログラムとしてコンピュータが当該プログラムを実行することにより駆動制御装置18が行う電気泳動粒子24の移動制御を行うようにしてもよい。
【0105】
また、上記の実施の形態では、電気泳動粒子24の色として、シアン色とマゼンタ色を基板間に封入した例を説明したが、これに限るものではなく、他の色の電気泳動粒子24を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 表示装置
12 電気泳動表示素子
14 電圧印加装置
18 駆動制御装置
20 表示基板
22 背面基板
24 電気泳動素子
24C シアン泳動粒子
24M マゼンタ泳動粒子
36 表面電極
40 背面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、少なくとも1種類の粒子は他の種類の粒子の極性と逆極性に帯電した少なくとも2種類以上の粒子と、前記基板の透光性を有する一方の基板側に設けられた、透光性を有する第1電極と、前記第1電極に対向して他方の前記基板側に設けられた第2電極と、を備えた表示媒体に対して、
前記一対の基板のうち一方の基板上で、前記2種類以上の粒子のうち相互に逆極性に帯電した少なくとも2種類の粒子が凝集体を形成するように、前記第1電極と前記第2電極間に電圧を印加して前記表示媒体に画像を書き込む書込装置。
【請求項2】
前記2種類の粒子は、予め定めた第1の電圧以下で凝集体を形成して凝集体として移動し、前記第1の電圧より大きい第2の電圧で前記凝集体が分離して、互いに逆方向へ移動する請求項1に記載の書込装置。
【請求項3】
前記2種類の粒子は、基板間を移動する閾値電圧がそれぞれ異なり、閾値電圧が高い方の粒子の閾値電圧以下で閾値電圧が低い方の粒子が移動して凝集体を形成する請求項1又は請求項2に記載の書込装置。
【請求項4】
前記少なくとも2種類以上の粒子は、それぞれ移動速度が異なる請求項1〜3の何れか1項に記載の書込装置。
【請求項5】
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、少なくとも1種類の粒子は他の種類の粒子の極性と逆極性に帯電した少なくとも2種類以上の粒子と、
前記基板の透光性を有する一方の基板側に設けられた、透光性を有する第1電極と、
前記第1電極に対向して他方の前記基板側に設けられた第2電極と、
前記一対の基板のうち一方の基板上で、前記2種類以上の粒子のうち相互に逆極性に帯電した少なくとも2種類の粒子が凝集体を形成するように前記第1電極と前記第2電極間へ印加する電圧を制御する制御手段と、
を備えた表示装置。
【請求項6】
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板の間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、かつそれぞれ逆極性に帯電されて、予め定めた第1の電圧以下の電圧が前記一対の基板の間に印加された場合に、前記一対の基板のうち一方の基板上で凝集体を形成して前記凝集体として移動し、前記第1の電圧より大きい第2の電圧が前記一対の基板の間に印加された場合に、前記凝集体が分離して互いに逆方向へ移動する2種類の粒子と、
を備えた表示媒体。
【請求項7】
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入されると共に、光学特性がそれぞれ異なり、少なくとも1種類の粒子は他の種類の粒子の極性と逆極性に帯電した少なくとも2種類以上の粒子と、前記基板の透光性を有する一方の基板側に設けられた、透光性を有する第1電極と、前記第1電極に対向して他方の前記基板側に設けられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間へ電圧を印加する印加手段と、を備えた表示装置に対して、
前記一対の基板のうち一方の基板上で、前記2種類以上の粒子のうち相互に逆極性に帯電した少なくとも2種類の粒子が凝集体を形成するように、前記印加手段を制御する処理をコンピュータに実行させるための表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−253008(P2011−253008A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126051(P2010−126051)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】