替芯ケース
【課題】 替芯を指で摘むことなく、また、替芯を折ることなく、替芯を替芯ケースから取り出すことができる替芯ケースを提供すること。
【解決手段】 替芯排出口1hを有する外ケース1と、この外ケース1内の替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動可能で、替芯Lを収容する内ケース3とを備え、この内ケース3を、替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動させることで内ケース3内の替芯Lを外ケース1内へ移動させ、替芯排出口1hから替芯Lを排出させる。
【解決手段】 替芯排出口1hを有する外ケース1と、この外ケース1内の替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動可能で、替芯Lを収容する内ケース3とを備え、この内ケース3を、替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動させることで内ケース3内の替芯Lを外ケース1内へ移動させ、替芯排出口1hから替芯Lを排出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャープペンシルの替芯を収容する替芯ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の替芯ケースは、複数の替芯を収容するケース本体に、このケース本体を開閉する蓋を設けた構造となっている。
したがって、替芯ケースから替芯を取り出す場合、蓋を開けてケース本体を開放させた後、ケース本体から替芯を突出させ、替芯を必要本数数えるとともに、その必要本数の替芯の端部を指で摘んでケース本体から取り出し、替芯をシャープペンシルへ挿入した後、蓋を閉じる。
【0003】
このように、替芯ケースに収容されている替芯をシャープペンシルへ挿入する場合、必要本数の替芯の端部を指で摘んでケース本体から取り出し、シャープペンシルへ挿入しなければならなかった。
そこで、替芯ケースに収容されている替芯をシャープペンシルへ挿入する場合、替芯を指で摘まずに替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することのできる替芯ケースが提案されている。
【0004】
この替芯を指で摘まずに替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することのできる替芯ケースについて図8に基づいて説明する。
図8(a)に示すように、内ケース102の内側傾斜面102aで案内されて替芯吐出口102bから下側へ突出し、外ケース101の内側傾斜面101aに当接している状態で、外ケース101から上側へ突出している内ケース102の頭部102cを、図8(b)に示すように、ノックする。
このノックによって、内ケース102の下側に設けられる共に外ケース101の内側端に当接しているばね片103が撓む。その結果、外ケース101内を内ケース102が下降するとともに、内ケース102の下側がばね片103で押されて外ケース101内を右側から左側へと移動する。
【0005】
このように、内ケース102の下側が外ケース101内を右側から左側へと移動すると、替芯吐出口102bが外ケース101に設けられている替芯取出口101bの真上に位置することとなり、替芯取出口101bから替芯Lが1本ずつ連続的に落下するので、替芯Lを替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することができる。
そして、内ケース102の下側が外ケース101内を右側から左側へと移動すると、内ケース102の左側に設けられた可撓片104の凸部105が外ケース101の内側を押圧する。その結果、可撓片104が内ケース102の内側へ撓み、替芯Lの側面に接触して替芯Lを僅かに押圧し、替芯取出口101bから落下する替芯Lにブレーキを掛け、替芯Lの落下速度を遅くすることができる。
【特許文献1】実用新案登録第3086382号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に開示されている替芯ケースの場合、替芯ケースから所定本数ずつ替芯Lを取り出すことができなかった。
また、替芯Lの取り出しを止めようとして頭部102cのノックを解除すると、図8(b)の状態から図8(a)の状態に戻る。そのため替芯Lが替芯取出口101bと替芯吐出口102bとに跨った状態にあると、替芯Lが折れるなどの不都合があった。
【0007】
この発明は、上記した不都合を解消するためになされたもので、替芯を指で摘むことなく、また替芯を折ることなく、所定本数の替芯を替芯ケースから取り出すことができる替芯ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる替芯ケースは、替芯排出口を有する外ケースと、この外ケース内の替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動可能に構成された、替芯を収容する内ケースと、この内ケースを替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段とを備え、前記内ケースに前記替芯が通過するスリットを設けると共に、前記外ケースに前記替芯を所定本数収容する溝を設け、前記内ケースを前記付勢手段の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることで前記スリットが前記溝に一致して所定本数の前記替芯が前記内ケース内から前記溝内へ移動し、前記内ケースが前記付勢手段の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで前記内ケースは前記溝を開放させ、前記替芯排出口から前記替芯を排出させることを特徴としている。
【0009】
このように、この発明にかかる替芯ケースにあっては、内ケースを付勢手段の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることでスリットが溝に一致して所定本数の替芯が内ケース内から溝内へ移動し、内ケースが付勢手段の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで、内ケースは溝を開放させ、替芯排出口から替芯を排出させることができる。
その結果、替芯を指で摘むことなく、また、替芯を折ることなく、所定本数の替芯を替芯ケースから取り出すことができる。なお、所定本数の替芯を替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することもできる。また、前記所定本数とは、一本及び複数本を意味するものである。
【0010】
ここで、前記内ケースを、前記外ケースの一端部分を中心にして回動させるのが望ましい。このように内ケースを、外ケースの一端部分を中心にして回動させることにより、片手で簡単に操作して替芯を替芯ケースから取り出すことができる。
また、前記付勢手段がトーションスプリングであり、このトーションスプリングを前記内ケースの回動中心に配置するのが好ましい。このように構成することで、安価な構成で所期の目的を達成することができる。
【0011】
更に、前記内ケースを替芯受渡位置にロックする内ケースロック機構を設けるのが望ましい。
このように、内ケースを替芯受渡位置にロックする内ケースロック機構を設けたので、不用意に作動して替芯が替芯排出口から排出されるのを防止することができる。
【0012】
また前記内ケースロック機構は前記内ケースを替芯受渡位置にロックした状態で前記替芯排出口を閉じるのが望ましい。
このように、内ケースロック機構は内ケースを替芯受渡位置にロックした状態で替芯排出口が閉じられるので、替芯が内ケースから外ケース内に移動している状態においても、替芯が替芯排出口から排出されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、替芯を指で摘むことなく、また替芯を折ることなく、替芯を替芯ケースから取り出すことができる替芯ケースを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明にかかる替芯ケースの実施の形態を図に基づいて説明する。
図1〜図3はこの発明にかかる替芯ケースの一実施の形態を示す図で、図1(a)は内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の平面図、図1(b)は図1(a)の断面図、図1(c)は図1(a)のA−A線による断面図、図2(a)は内ケースが替芯受渡位置へ移動した状態の平面図、図2(b)は図2(a)の断面図、図2(c)は図2(a)のB−B線による断面図、図3(a)は内ケースが替芯非受渡位置に復帰した状態の平面図、図3(b)は図3(a)の断面図、図3(c)は図3(a)のC−C線による断面図である。
【0015】
図1において、替芯ケースは、外ケース1と、この外ケース1に一部を突出させた状態で移動可能に収容される内ケース3と、外ケース1に対して内ケース3を替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段としてのトーションスプリング5と、外ケース1に対して内ケース3を回動可能に支持する支軸6とで構成されている。
【0016】
上記した外ケース1は、合成樹脂製で、薄い直方体形状である。この外ケース1には、右側面から内側へ所定の深さで延びる直方体形状の内ケース移動空間1aと、この内ケース移動空間1aの下側に形成された係止空間1bと、内ケース移動空間1aのさらに奥側に形成された直方体形状の替芯排出空間1cとが設けられている。
【0017】
また、外ケース1には、内ケース移動空間1aの上側部分の左右に位置して設けられた内ケース突出位置ストッパ部1dおよび内ケース押し込み位置ストッパ部1eと、係止空間1bの右側で、内ケース移動空間1aを貫通する円形のヒンジ孔1fと、内ケース移動空間1aの左端部分に臨むように形成された上下方向に直線状に延設された溝1gと、替芯排出空間1cの左端部上側部分を貫通して形成された替芯排出口1hとが設けられている。
なお、前記溝1gは替芯Lを1本収容することのできる大きさを備え、また替芯排出口1hは、替芯排出空間1c側が漏斗状(内周面が円錐面状傾斜面)に形成され、芯が排出されやすくなっている。
【0018】
上記した内ケース3は、合成樹脂製で、その大部分が外ケース1の内ケース移動空間1a内へ挿入される薄い直方体形状である。
そして、内ケース3には、替芯Lを収容する直方体形状の替芯収容空間3aと、この替芯収容空間3aの左端に位置し、替芯収容空間3a内の替芯Lが1本ずつ通過できるスリット3bと、替芯収容空間3aの下側に位置し、外ケース1の係止空間1b側に開放されたスプリング収容空間3cと、外ケース1のヒンジ孔1fに対応する位置に設けられた、スプリング収容空間3cを貫通する円形のヒンジ孔3dと、上部側面から突出し、外ケース1の内ケース突出位置ストッパ部1dと内ケース押し込み位置ストッパ部1eとに当接する突出部3eとが設けられている。
【0019】
次に、この替芯ケースの動作について説明する。
この替芯ケースは、トーションスプリング5の付勢力により、内ケース3は支軸6を中心にして時計方向へ回動し、突出部3eが内ケース突出位置ストッパ部1dに当接し、図1に示す状態、すなわち、内ケース3が替芯非受渡位置に位置する状態となっている。なお、替芯は内ケース3の内部に予め収容されている。
そして、図1(b)に示す替芯非受渡位置にある内ケース3を、トーションスプリング5の付勢力に抗して外ケース1内へ押し込み、支軸6を中心に反時計方向へ内ケース3を回動させる。
そして、図2(b)に示すように、突出部3eが内ケース押し込み位置ストッパ部1eに当接することによって、内ケース3が停止して替芯受渡位置に位置する。即ち、この状態にあっては、前記スリット3bが溝1gに一致して重なっている。このようにしてスリット3bが溝1gに重なると、図2(c)に示すように、替芯収容空間3a内の替芯Lの1本は、その重さにより、スリット3bを通過して溝1g内へと入る。
【0020】
そして、外ケース1内への内ケース3の押し込む力を解除すると、図3(b)に示すように、突出部3eが内ケース突出位置ストッパ部1dに当接するまで内ケース3はトーションスプリング5の付勢力で時計方向へ回動する。
そして、突出部3eが内ケース突出位置ストッパ部1dに当接して、内ケース3が停止すると、内ケース3が溝1gを開放させるので、溝1g内の替芯Lは替芯排出空間1cへと移動する。
この替芯排出空間1cへと移動した替芯Lは、替芯排出口1hから直接シャープペンシルへ挿入される。なお、替芯Lを替芯排出空間1cへ複数本移動させた後、シャープペンシルへ替芯Lを挿入してもよい。
【0021】
この実施の形態の替芯ケースによると、内ケース3をトーションスプリング5の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることでスリット3bが溝1gに一致して1本の替芯Lが内ケース3内から溝1g内へ移動する。そして内ケース3がトーションスプリング5の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで内ケース3は溝1gを開放し、替芯排出空間1cを介して替芯排出口1hから替芯Lを排出させることができる。
その結果、替芯Lを指で摘むことなく、また、替芯Lを折ることなく、替芯Lを替芯ケースから取り出すことができるとともに、替芯Lを替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することができる。
この場合、内ケース3を、外ケース1の一端部分を中心にして回動させたので、片手で簡単に操作して替芯Lを替芯ケースから取り出すことができる。
更に、付勢手段をトーションスプリング5とし、このトーションスプリング5を内ケース3の回動中心に配置したので、安価な構成で所期の目的を達成することができる。
【0022】
図4〜図7はこの発明にかかる替芯ケースの他の実施の形態を示す図で、図4(a)は内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の斜視図、図4(b)は図4(a)に示した替芯ケースの断面図、図4(c)は図4(b)のD−D線の断面図、図5(a)は内ケースを替芯受渡位置へ移動させてロックした状態の斜視図、図5(b)は図5(a)に示した替芯ケースの断面図、図5(c)は図5(b)のE−E線の断面図、図6は内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態で内ケース蓋を開けた状態の斜視図、図7は内ケース内へ替芯を挿入する説明図であり、図1〜図3と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
図4(a)(b)(c)に示すように、替芯ケースは、外ケース1と、この外ケース1に取り付けられたロック機構として機能する内ケースロック部材2と、外ケース1に一部を突出させた状態で移動可能に収容される内ケース3と、この内ケース3に取り付けられた内ケース蓋4と、外ケース1に対して内ケース3を替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段としてのトーションスプリング5と、外ケース1に対して内ケース3を回動可能に支持する支軸6とで構成されている。
【0024】
上記した外ケース1には、前記した第1の実施形態で説明した内ケース移動空間1a、係止空間1b、替芯排出空間1c、内ケース押し込み位置ストッパ部1e、ヒンジ孔1fと、溝1gと、替芯排出口1hとが設けられている。
また、外ケース1の上側側面には、内ケース移動空間1aおよび替芯排出口1hに連通する内ケースロック部材スライド溝1iと、このスライド溝1i内にスライド可能に収容される内ケースロック部材2と、この内ケースロック部材スライド溝1iの内側の一面、例えば、内側上面に位置する係止突起1jとが設けられている。
【0025】
上記した内ケースロック部材2は、合成樹脂製で、外ケース1の係止突起1jに対応する側面にほぼ全長に亘る凹部2aと、この凹部2aの左端に位置し、外ケース1の係止突起1jに係合する内ケースロック部材突出位置ストッパ部2bと、凹部2aの略中央部分に位置し、外ケース1の係止突起1jに係合する係合突起2cと、内ケース突出位置ストッパ部としても機能する挟持突起2dとが設けられている。
【0026】
また上記した内ケース3には、前記した第1の実施形態で説明した替芯収容空間3aと、スリット3bと、スプリング収容空間3cと、ヒンジ孔3dと、突出部3eと、替芯挿入口3fとが設けられている。
なお、内ケース3の上部に設けられた内ケース蓋4は、合成樹脂製で、内ケース3の替芯挿入口3fを開閉するものである。
【0027】
次に、この替芯ケースの動作について説明する。
この替芯ケースは、トーションスプリング5の付勢力により、内ケース3は支軸6を中心にして時計方向へ回動し、突出部3eが挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dに当接し、図4(b)に示す状態、すなわち、内ケース3が替芯非受渡位置に位置する状態となる。そしてこの状態で、図6のように内ケース蓋4を開け、図7に示すように、替芯挿入口3fから替芯収容空間3a内へ所定本数の替芯Lを挿入した後、図4(a)に示すように、内ケース蓋4を閉じる。
【0028】
そして、図4(b)に示す替芯非受渡位置にある内ケース3を、外ケース1内へトーションスプリング5の付勢力に抗して押し込み、支軸6を中心に反時計方向へ内ケース3を回動させる。
この内ケース3の回動により、突出部3eが内ケース押し込み位置ストッパ部1eに当接し、内ケース3が停止して、内ケース3は替芯受渡位置に位置する。即ち、スリット3bが溝1gに一致して重なった状態になる。
【0029】
このようにしてスリット3bが溝1gに重なると、替芯収容空間3a内の替芯Lの1本は、スリット3bを通過して溝1g内へと入る。
そして、内ケース3を外ケース1内へ押し込む力を解除すると、図4(b)に示すように、突出部3eが挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dに当接するまで内ケース3はトーションスプリング5の付勢力で時計方向へ回動する。
このように、突出部3eが挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dに当接して内ケース3が停止すると、内ケース3が溝1gを開放するので、溝1g内の替芯Lは替芯排出空間1cへと移動する。
【0030】
そして、替芯排出口1hから直接シャープペンシルへ替芯Lを挿入することができる。なお、替芯Lを替芯排出空間1cへ複数本移動させた後、シャープペンシルへ替芯Lを挿入してもよい。
【0031】
次に、内ケース3をロックする一例について説明する。
まず、図4(b)に示す替芯非受渡位置にある内ケース3を外ケース1内へトーションスプリング5の付勢力に抗して押し込み、支軸6を中心に反時計方向へ内ケース3を回動させる。
そして、図5(b)に示すように、突出部3eを内ケース押し込み位置ストッパ部1eに当接する替芯受渡位置に位置させた後、図5(c)に示すように、係合突起2cが係止突起1jを乗り越えるように内ケースロック部材2を押し込む。
このように、内ケースロック部材2を押し込むと、係合突起2cが係止突起1jに係合することにより、内ケースロック部材2は右側への移動を阻止される。
また突出部3eは、挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dと内ケース押し込み位置ストッパ部1eとで挟持されるので、内ケース3は替芯受渡位置に内ケースロック部材2でロックされる。
なお、内ケースロック部材2は、内ケース3を替芯受渡位置にロックした状態で、替芯排出口1hを閉じている。
【0032】
この実施の形態の替芯ケースによると、先の実施の形態と同様な効果を得ることができる他、内ケース3を替芯受渡位置にロックする内ケースロック部材2(内ケースロック機構)が設けられているので、不用意に作動して替芯Lが替芯排出口1hから排出されるのを防止することができる。
さらに、内ケースロック部材2(内ケースロック機構)は内ケース3を替芯受渡位置にロックした状態で替芯排出口1hを閉じるので、替芯Lが内ケース3から外ケース1内に移動している状態においても、替芯Lが替芯排出口1hから排出されるのを防止することができる。
【0033】
なお、上記した実施の形態では、内ケース3から外ケース1内へ移動させる替芯Lの本数を1本とした例で説明したが、外ケースに設ける溝の深さを深くしたり、溝の大きさを大きくすることにより、内ケースから外ケース内へ移動させる替芯の本数を複数本としてもよい。
また、外ケース1に対して内ケース3が回動する例で説明したが、外ケースに対して内ケース全体を手動で平行にスライドさせる構成としたり、さらに、内ケースを替芯受渡位置へ付勢する付勢手段を、コイルスプリング、ゴムなどの弾性体としても、同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1(a)は、内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の平面図、(b)は(a)の断面図、(c)は(a)のA−A線による断面図である。
【図2】図2(a)は、内ケースが替芯受渡位置へ移動した状態の平面図、(b)は(a)の断面図、(c)は(a)のB−B線による断面図である。
【図3】図3(a)は、内ケースが替芯非受渡位置に復帰した状態の平面図、(b)は(a)の断面図、(c)は(a)のC−C線による断面図である。
【図4(a)】図4(a)は、内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の斜視図である。
【図4(b)】図4(b)は、図4(a)に示した替芯ケースの断面図である。
【図4(c)】図4(c)は、図4(b)のD−D線の断面図である。
【図5(a)】図5(a)は、内ケースを替芯受渡位置へ移動させてロックした状態の斜視図である。
【図5(b)】図5(b)は、図5(a)に示した替芯ケースの断面図である。
【図5(c)】図5(c)は、図5(b)のE−E線の断面図である。
【図6】図6は、内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態で内ケース蓋を開けた状態の斜視図である。
【図7】図7は、内ケース内へ替芯を挿入する説明図である。
【図8】図8(a)は、従来の替芯ケースの一例を示す内ケースをノックする前の状態を示す正断面図、(b)は従来の替芯ケースの一例を示す内ケースをノックした状態を示す正断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 外ケース
1a 内ケース移動空間
1b 係止空間
1c 替芯排出空間
1d 内ケース突出位置ストッパ部
1e 内ケース押し込み位置ストッパ部
1f ヒンジ孔
1g 溝
1h 替芯排出口
1i 内ケースロック部材スライド溝
1j 係止突起
2 内ケースロック部材(内ケースロック機構)
2a 凹部
2b 内ケースロック部材突出位置ストッパ部
2c 係合突起
2d 挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)
3 内ケース
3a 替芯収容空間
3b スリット
3c スプリング収容空間
3d ヒンジ孔
3e 突出部
3f 替芯挿入口
4 内ケース蓋
5 トーションスプリング(付勢手段)
6 支軸
L 替芯
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャープペンシルの替芯を収容する替芯ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の替芯ケースは、複数の替芯を収容するケース本体に、このケース本体を開閉する蓋を設けた構造となっている。
したがって、替芯ケースから替芯を取り出す場合、蓋を開けてケース本体を開放させた後、ケース本体から替芯を突出させ、替芯を必要本数数えるとともに、その必要本数の替芯の端部を指で摘んでケース本体から取り出し、替芯をシャープペンシルへ挿入した後、蓋を閉じる。
【0003】
このように、替芯ケースに収容されている替芯をシャープペンシルへ挿入する場合、必要本数の替芯の端部を指で摘んでケース本体から取り出し、シャープペンシルへ挿入しなければならなかった。
そこで、替芯ケースに収容されている替芯をシャープペンシルへ挿入する場合、替芯を指で摘まずに替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することのできる替芯ケースが提案されている。
【0004】
この替芯を指で摘まずに替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することのできる替芯ケースについて図8に基づいて説明する。
図8(a)に示すように、内ケース102の内側傾斜面102aで案内されて替芯吐出口102bから下側へ突出し、外ケース101の内側傾斜面101aに当接している状態で、外ケース101から上側へ突出している内ケース102の頭部102cを、図8(b)に示すように、ノックする。
このノックによって、内ケース102の下側に設けられる共に外ケース101の内側端に当接しているばね片103が撓む。その結果、外ケース101内を内ケース102が下降するとともに、内ケース102の下側がばね片103で押されて外ケース101内を右側から左側へと移動する。
【0005】
このように、内ケース102の下側が外ケース101内を右側から左側へと移動すると、替芯吐出口102bが外ケース101に設けられている替芯取出口101bの真上に位置することとなり、替芯取出口101bから替芯Lが1本ずつ連続的に落下するので、替芯Lを替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することができる。
そして、内ケース102の下側が外ケース101内を右側から左側へと移動すると、内ケース102の左側に設けられた可撓片104の凸部105が外ケース101の内側を押圧する。その結果、可撓片104が内ケース102の内側へ撓み、替芯Lの側面に接触して替芯Lを僅かに押圧し、替芯取出口101bから落下する替芯Lにブレーキを掛け、替芯Lの落下速度を遅くすることができる。
【特許文献1】実用新案登録第3086382号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に開示されている替芯ケースの場合、替芯ケースから所定本数ずつ替芯Lを取り出すことができなかった。
また、替芯Lの取り出しを止めようとして頭部102cのノックを解除すると、図8(b)の状態から図8(a)の状態に戻る。そのため替芯Lが替芯取出口101bと替芯吐出口102bとに跨った状態にあると、替芯Lが折れるなどの不都合があった。
【0007】
この発明は、上記した不都合を解消するためになされたもので、替芯を指で摘むことなく、また替芯を折ることなく、所定本数の替芯を替芯ケースから取り出すことができる替芯ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる替芯ケースは、替芯排出口を有する外ケースと、この外ケース内の替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動可能に構成された、替芯を収容する内ケースと、この内ケースを替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段とを備え、前記内ケースに前記替芯が通過するスリットを設けると共に、前記外ケースに前記替芯を所定本数収容する溝を設け、前記内ケースを前記付勢手段の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることで前記スリットが前記溝に一致して所定本数の前記替芯が前記内ケース内から前記溝内へ移動し、前記内ケースが前記付勢手段の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで前記内ケースは前記溝を開放させ、前記替芯排出口から前記替芯を排出させることを特徴としている。
【0009】
このように、この発明にかかる替芯ケースにあっては、内ケースを付勢手段の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることでスリットが溝に一致して所定本数の替芯が内ケース内から溝内へ移動し、内ケースが付勢手段の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで、内ケースは溝を開放させ、替芯排出口から替芯を排出させることができる。
その結果、替芯を指で摘むことなく、また、替芯を折ることなく、所定本数の替芯を替芯ケースから取り出すことができる。なお、所定本数の替芯を替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することもできる。また、前記所定本数とは、一本及び複数本を意味するものである。
【0010】
ここで、前記内ケースを、前記外ケースの一端部分を中心にして回動させるのが望ましい。このように内ケースを、外ケースの一端部分を中心にして回動させることにより、片手で簡単に操作して替芯を替芯ケースから取り出すことができる。
また、前記付勢手段がトーションスプリングであり、このトーションスプリングを前記内ケースの回動中心に配置するのが好ましい。このように構成することで、安価な構成で所期の目的を達成することができる。
【0011】
更に、前記内ケースを替芯受渡位置にロックする内ケースロック機構を設けるのが望ましい。
このように、内ケースを替芯受渡位置にロックする内ケースロック機構を設けたので、不用意に作動して替芯が替芯排出口から排出されるのを防止することができる。
【0012】
また前記内ケースロック機構は前記内ケースを替芯受渡位置にロックした状態で前記替芯排出口を閉じるのが望ましい。
このように、内ケースロック機構は内ケースを替芯受渡位置にロックした状態で替芯排出口が閉じられるので、替芯が内ケースから外ケース内に移動している状態においても、替芯が替芯排出口から排出されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、替芯を指で摘むことなく、また替芯を折ることなく、替芯を替芯ケースから取り出すことができる替芯ケースを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明にかかる替芯ケースの実施の形態を図に基づいて説明する。
図1〜図3はこの発明にかかる替芯ケースの一実施の形態を示す図で、図1(a)は内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の平面図、図1(b)は図1(a)の断面図、図1(c)は図1(a)のA−A線による断面図、図2(a)は内ケースが替芯受渡位置へ移動した状態の平面図、図2(b)は図2(a)の断面図、図2(c)は図2(a)のB−B線による断面図、図3(a)は内ケースが替芯非受渡位置に復帰した状態の平面図、図3(b)は図3(a)の断面図、図3(c)は図3(a)のC−C線による断面図である。
【0015】
図1において、替芯ケースは、外ケース1と、この外ケース1に一部を突出させた状態で移動可能に収容される内ケース3と、外ケース1に対して内ケース3を替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段としてのトーションスプリング5と、外ケース1に対して内ケース3を回動可能に支持する支軸6とで構成されている。
【0016】
上記した外ケース1は、合成樹脂製で、薄い直方体形状である。この外ケース1には、右側面から内側へ所定の深さで延びる直方体形状の内ケース移動空間1aと、この内ケース移動空間1aの下側に形成された係止空間1bと、内ケース移動空間1aのさらに奥側に形成された直方体形状の替芯排出空間1cとが設けられている。
【0017】
また、外ケース1には、内ケース移動空間1aの上側部分の左右に位置して設けられた内ケース突出位置ストッパ部1dおよび内ケース押し込み位置ストッパ部1eと、係止空間1bの右側で、内ケース移動空間1aを貫通する円形のヒンジ孔1fと、内ケース移動空間1aの左端部分に臨むように形成された上下方向に直線状に延設された溝1gと、替芯排出空間1cの左端部上側部分を貫通して形成された替芯排出口1hとが設けられている。
なお、前記溝1gは替芯Lを1本収容することのできる大きさを備え、また替芯排出口1hは、替芯排出空間1c側が漏斗状(内周面が円錐面状傾斜面)に形成され、芯が排出されやすくなっている。
【0018】
上記した内ケース3は、合成樹脂製で、その大部分が外ケース1の内ケース移動空間1a内へ挿入される薄い直方体形状である。
そして、内ケース3には、替芯Lを収容する直方体形状の替芯収容空間3aと、この替芯収容空間3aの左端に位置し、替芯収容空間3a内の替芯Lが1本ずつ通過できるスリット3bと、替芯収容空間3aの下側に位置し、外ケース1の係止空間1b側に開放されたスプリング収容空間3cと、外ケース1のヒンジ孔1fに対応する位置に設けられた、スプリング収容空間3cを貫通する円形のヒンジ孔3dと、上部側面から突出し、外ケース1の内ケース突出位置ストッパ部1dと内ケース押し込み位置ストッパ部1eとに当接する突出部3eとが設けられている。
【0019】
次に、この替芯ケースの動作について説明する。
この替芯ケースは、トーションスプリング5の付勢力により、内ケース3は支軸6を中心にして時計方向へ回動し、突出部3eが内ケース突出位置ストッパ部1dに当接し、図1に示す状態、すなわち、内ケース3が替芯非受渡位置に位置する状態となっている。なお、替芯は内ケース3の内部に予め収容されている。
そして、図1(b)に示す替芯非受渡位置にある内ケース3を、トーションスプリング5の付勢力に抗して外ケース1内へ押し込み、支軸6を中心に反時計方向へ内ケース3を回動させる。
そして、図2(b)に示すように、突出部3eが内ケース押し込み位置ストッパ部1eに当接することによって、内ケース3が停止して替芯受渡位置に位置する。即ち、この状態にあっては、前記スリット3bが溝1gに一致して重なっている。このようにしてスリット3bが溝1gに重なると、図2(c)に示すように、替芯収容空間3a内の替芯Lの1本は、その重さにより、スリット3bを通過して溝1g内へと入る。
【0020】
そして、外ケース1内への内ケース3の押し込む力を解除すると、図3(b)に示すように、突出部3eが内ケース突出位置ストッパ部1dに当接するまで内ケース3はトーションスプリング5の付勢力で時計方向へ回動する。
そして、突出部3eが内ケース突出位置ストッパ部1dに当接して、内ケース3が停止すると、内ケース3が溝1gを開放させるので、溝1g内の替芯Lは替芯排出空間1cへと移動する。
この替芯排出空間1cへと移動した替芯Lは、替芯排出口1hから直接シャープペンシルへ挿入される。なお、替芯Lを替芯排出空間1cへ複数本移動させた後、シャープペンシルへ替芯Lを挿入してもよい。
【0021】
この実施の形態の替芯ケースによると、内ケース3をトーションスプリング5の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることでスリット3bが溝1gに一致して1本の替芯Lが内ケース3内から溝1g内へ移動する。そして内ケース3がトーションスプリング5の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで内ケース3は溝1gを開放し、替芯排出空間1cを介して替芯排出口1hから替芯Lを排出させることができる。
その結果、替芯Lを指で摘むことなく、また、替芯Lを折ることなく、替芯Lを替芯ケースから取り出すことができるとともに、替芯Lを替芯ケースから直接シャープペンシルへ挿入することができる。
この場合、内ケース3を、外ケース1の一端部分を中心にして回動させたので、片手で簡単に操作して替芯Lを替芯ケースから取り出すことができる。
更に、付勢手段をトーションスプリング5とし、このトーションスプリング5を内ケース3の回動中心に配置したので、安価な構成で所期の目的を達成することができる。
【0022】
図4〜図7はこの発明にかかる替芯ケースの他の実施の形態を示す図で、図4(a)は内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の斜視図、図4(b)は図4(a)に示した替芯ケースの断面図、図4(c)は図4(b)のD−D線の断面図、図5(a)は内ケースを替芯受渡位置へ移動させてロックした状態の斜視図、図5(b)は図5(a)に示した替芯ケースの断面図、図5(c)は図5(b)のE−E線の断面図、図6は内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態で内ケース蓋を開けた状態の斜視図、図7は内ケース内へ替芯を挿入する説明図であり、図1〜図3と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
図4(a)(b)(c)に示すように、替芯ケースは、外ケース1と、この外ケース1に取り付けられたロック機構として機能する内ケースロック部材2と、外ケース1に一部を突出させた状態で移動可能に収容される内ケース3と、この内ケース3に取り付けられた内ケース蓋4と、外ケース1に対して内ケース3を替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段としてのトーションスプリング5と、外ケース1に対して内ケース3を回動可能に支持する支軸6とで構成されている。
【0024】
上記した外ケース1には、前記した第1の実施形態で説明した内ケース移動空間1a、係止空間1b、替芯排出空間1c、内ケース押し込み位置ストッパ部1e、ヒンジ孔1fと、溝1gと、替芯排出口1hとが設けられている。
また、外ケース1の上側側面には、内ケース移動空間1aおよび替芯排出口1hに連通する内ケースロック部材スライド溝1iと、このスライド溝1i内にスライド可能に収容される内ケースロック部材2と、この内ケースロック部材スライド溝1iの内側の一面、例えば、内側上面に位置する係止突起1jとが設けられている。
【0025】
上記した内ケースロック部材2は、合成樹脂製で、外ケース1の係止突起1jに対応する側面にほぼ全長に亘る凹部2aと、この凹部2aの左端に位置し、外ケース1の係止突起1jに係合する内ケースロック部材突出位置ストッパ部2bと、凹部2aの略中央部分に位置し、外ケース1の係止突起1jに係合する係合突起2cと、内ケース突出位置ストッパ部としても機能する挟持突起2dとが設けられている。
【0026】
また上記した内ケース3には、前記した第1の実施形態で説明した替芯収容空間3aと、スリット3bと、スプリング収容空間3cと、ヒンジ孔3dと、突出部3eと、替芯挿入口3fとが設けられている。
なお、内ケース3の上部に設けられた内ケース蓋4は、合成樹脂製で、内ケース3の替芯挿入口3fを開閉するものである。
【0027】
次に、この替芯ケースの動作について説明する。
この替芯ケースは、トーションスプリング5の付勢力により、内ケース3は支軸6を中心にして時計方向へ回動し、突出部3eが挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dに当接し、図4(b)に示す状態、すなわち、内ケース3が替芯非受渡位置に位置する状態となる。そしてこの状態で、図6のように内ケース蓋4を開け、図7に示すように、替芯挿入口3fから替芯収容空間3a内へ所定本数の替芯Lを挿入した後、図4(a)に示すように、内ケース蓋4を閉じる。
【0028】
そして、図4(b)に示す替芯非受渡位置にある内ケース3を、外ケース1内へトーションスプリング5の付勢力に抗して押し込み、支軸6を中心に反時計方向へ内ケース3を回動させる。
この内ケース3の回動により、突出部3eが内ケース押し込み位置ストッパ部1eに当接し、内ケース3が停止して、内ケース3は替芯受渡位置に位置する。即ち、スリット3bが溝1gに一致して重なった状態になる。
【0029】
このようにしてスリット3bが溝1gに重なると、替芯収容空間3a内の替芯Lの1本は、スリット3bを通過して溝1g内へと入る。
そして、内ケース3を外ケース1内へ押し込む力を解除すると、図4(b)に示すように、突出部3eが挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dに当接するまで内ケース3はトーションスプリング5の付勢力で時計方向へ回動する。
このように、突出部3eが挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dに当接して内ケース3が停止すると、内ケース3が溝1gを開放するので、溝1g内の替芯Lは替芯排出空間1cへと移動する。
【0030】
そして、替芯排出口1hから直接シャープペンシルへ替芯Lを挿入することができる。なお、替芯Lを替芯排出空間1cへ複数本移動させた後、シャープペンシルへ替芯Lを挿入してもよい。
【0031】
次に、内ケース3をロックする一例について説明する。
まず、図4(b)に示す替芯非受渡位置にある内ケース3を外ケース1内へトーションスプリング5の付勢力に抗して押し込み、支軸6を中心に反時計方向へ内ケース3を回動させる。
そして、図5(b)に示すように、突出部3eを内ケース押し込み位置ストッパ部1eに当接する替芯受渡位置に位置させた後、図5(c)に示すように、係合突起2cが係止突起1jを乗り越えるように内ケースロック部材2を押し込む。
このように、内ケースロック部材2を押し込むと、係合突起2cが係止突起1jに係合することにより、内ケースロック部材2は右側への移動を阻止される。
また突出部3eは、挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)2dと内ケース押し込み位置ストッパ部1eとで挟持されるので、内ケース3は替芯受渡位置に内ケースロック部材2でロックされる。
なお、内ケースロック部材2は、内ケース3を替芯受渡位置にロックした状態で、替芯排出口1hを閉じている。
【0032】
この実施の形態の替芯ケースによると、先の実施の形態と同様な効果を得ることができる他、内ケース3を替芯受渡位置にロックする内ケースロック部材2(内ケースロック機構)が設けられているので、不用意に作動して替芯Lが替芯排出口1hから排出されるのを防止することができる。
さらに、内ケースロック部材2(内ケースロック機構)は内ケース3を替芯受渡位置にロックした状態で替芯排出口1hを閉じるので、替芯Lが内ケース3から外ケース1内に移動している状態においても、替芯Lが替芯排出口1hから排出されるのを防止することができる。
【0033】
なお、上記した実施の形態では、内ケース3から外ケース1内へ移動させる替芯Lの本数を1本とした例で説明したが、外ケースに設ける溝の深さを深くしたり、溝の大きさを大きくすることにより、内ケースから外ケース内へ移動させる替芯の本数を複数本としてもよい。
また、外ケース1に対して内ケース3が回動する例で説明したが、外ケースに対して内ケース全体を手動で平行にスライドさせる構成としたり、さらに、内ケースを替芯受渡位置へ付勢する付勢手段を、コイルスプリング、ゴムなどの弾性体としても、同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1(a)は、内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の平面図、(b)は(a)の断面図、(c)は(a)のA−A線による断面図である。
【図2】図2(a)は、内ケースが替芯受渡位置へ移動した状態の平面図、(b)は(a)の断面図、(c)は(a)のB−B線による断面図である。
【図3】図3(a)は、内ケースが替芯非受渡位置に復帰した状態の平面図、(b)は(a)の断面図、(c)は(a)のC−C線による断面図である。
【図4(a)】図4(a)は、内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態の斜視図である。
【図4(b)】図4(b)は、図4(a)に示した替芯ケースの断面図である。
【図4(c)】図4(c)は、図4(b)のD−D線の断面図である。
【図5(a)】図5(a)は、内ケースを替芯受渡位置へ移動させてロックした状態の斜視図である。
【図5(b)】図5(b)は、図5(a)に示した替芯ケースの断面図である。
【図5(c)】図5(c)は、図5(b)のE−E線の断面図である。
【図6】図6は、内ケースが替芯非受渡位置に位置する状態で内ケース蓋を開けた状態の斜視図である。
【図7】図7は、内ケース内へ替芯を挿入する説明図である。
【図8】図8(a)は、従来の替芯ケースの一例を示す内ケースをノックする前の状態を示す正断面図、(b)は従来の替芯ケースの一例を示す内ケースをノックした状態を示す正断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 外ケース
1a 内ケース移動空間
1b 係止空間
1c 替芯排出空間
1d 内ケース突出位置ストッパ部
1e 内ケース押し込み位置ストッパ部
1f ヒンジ孔
1g 溝
1h 替芯排出口
1i 内ケースロック部材スライド溝
1j 係止突起
2 内ケースロック部材(内ケースロック機構)
2a 凹部
2b 内ケースロック部材突出位置ストッパ部
2c 係合突起
2d 挟持突起(内ケース突出位置ストッパ部)
3 内ケース
3a 替芯収容空間
3b スリット
3c スプリング収容空間
3d ヒンジ孔
3e 突出部
3f 替芯挿入口
4 内ケース蓋
5 トーションスプリング(付勢手段)
6 支軸
L 替芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
替芯排出口を有する外ケースと、この外ケース内の替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動可能に構成された、替芯を収容する内ケースと、この内ケースを替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段とを備え、
前記内ケースに前記替芯が通過するスリットを設けると共に、前記外ケースに前記替芯を所定本数収容する溝を設け、
前記内ケースを前記付勢手段の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることで前記スリットが前記溝に一致して所定本数の前記替芯が前記内ケース内から前記溝内へ移動し、前記内ケースが前記付勢手段の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで前記内ケースは前記溝を開放させ、前記替芯排出口から前記替芯を排出させることを特徴とする替芯ケース。
【請求項2】
前記内ケースは前記外ケースの一端部分を中心にして回動することを特徴とする請求項1記載の替芯ケース。
【請求項3】
前記付勢手段がトーションスプリングであり、このトーションスプリングを前記内ケースの回動中心に配置したことを特徴とする請求項2記載の替芯ケース。
【請求項4】
前記内ケースを替芯受渡位置にロックする内ケースロック機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の替芯ケース。
【請求項5】
前記内ケースロック機構は、前記内ケースを替芯受渡位置にロックした状態で前記替芯排出口を閉じることを特徴とする請求項4記載の替芯ケース。
【請求項1】
替芯排出口を有する外ケースと、この外ケース内の替芯非受渡位置と替芯受渡位置との間を往復動可能に構成された、替芯を収容する内ケースと、この内ケースを替芯非受渡位置へ付勢する付勢手段とを備え、
前記内ケースに前記替芯が通過するスリットを設けると共に、前記外ケースに前記替芯を所定本数収容する溝を設け、
前記内ケースを前記付勢手段の付勢力に抗して替芯受渡位置へ移動させることで前記スリットが前記溝に一致して所定本数の前記替芯が前記内ケース内から前記溝内へ移動し、前記内ケースが前記付勢手段の付勢力によって替芯非受渡位置へ移動することで前記内ケースは前記溝を開放させ、前記替芯排出口から前記替芯を排出させることを特徴とする替芯ケース。
【請求項2】
前記内ケースは前記外ケースの一端部分を中心にして回動することを特徴とする請求項1記載の替芯ケース。
【請求項3】
前記付勢手段がトーションスプリングであり、このトーションスプリングを前記内ケースの回動中心に配置したことを特徴とする請求項2記載の替芯ケース。
【請求項4】
前記内ケースを替芯受渡位置にロックする内ケースロック機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の替芯ケース。
【請求項5】
前記内ケースロック機構は、前記内ケースを替芯受渡位置にロックした状態で前記替芯排出口を閉じることを特徴とする請求項4記載の替芯ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2007−45052(P2007−45052A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233101(P2005−233101)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】
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