最大公約数規則を用いてマルチチャンネル神経刺激システムにおける周波数同期を回避する方法
マルチチャンネル神経刺激システム及び外部制御デバイスにおける周波数同期を防止する方法及び外部制御デバイスを提供する。複数のパルス電気波形が提供される。パルス電気波形の各々は、周期及びパルス幅を有する。パルス電気波形の周期の最大公約数及びパルス電気波形のパルス幅の和が計算される。最大公約数が和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、神経刺激システム内の複数のタイミングチャンネルは、パルス電気波形を用いてプログラムすることが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織刺激システムに関し、より具体的には、マルチチャンネル神経刺激システムにおける周波数同期を除去又は低減するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能神経刺激システムは、様々な疾病及び障害において治療効果を有することを証明している。ペースメーカー及び埋め込み可能心細動除去器(ICD)は、いくつかの心臓疾患(例えば、不整脈)の治療において非常に有効であることを証明している。脊髄刺激(SCS)システムは、慢性疼痛症候群の治療のための治療方式として長い間受け入れられており、組織刺激の用途は、狭心症及び失禁のような更に別の用途に広がり始めている。脳深部刺激(DBS)もまた、不応性慢性疼痛症候群の治療に10年を大幅に超えて適用されており、また、最近では、DBSは、運動障害及び癲癇のような更に別の分野に適用されている。更に、最近の研究では、末梢神経刺激(PNS)システムが、慢性疼痛症候群及び失禁の治療において有効性を示しており、いくつかの付加的な用途が現在研究されている。更に、脊髄損傷の患者において麻痺肢にある程度の機能を回復させる上で、NeuroControl(オハイオ州クリーブランド)によるFreehandシステムのような機能的電気刺激(FES)システムが適用されている。
【0003】
一般的に、これらの埋め込み可能神経刺激システムは、望ましい刺激部位に埋め込まれる刺激リードを担持する1つ又はそれよりも多くの電極、及び刺激部位から離れて埋め込まれるが、刺激リードに直接結合されるか又はリード延長部を通じて刺激リードに間接的に結合されるかのいずれかである神経刺激器(例えば、埋め込み可能パルス発生器(IPG))を含む。更に、神経刺激システムは、選択された刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させるように神経刺激器に遠隔的に命令する外部制御デバイスを含むことができる。
【0004】
電気刺激エネルギは、神経刺激器から電極にパルス電気波形の形態で送出することができる。この場合、刺激エネルギは、神経組織を刺激するように電極に制御可能に送出することができる。電気パルスをターゲット組織に送出するのに使用される電極の組合せは、電極組合せを構成し、これらの電極は、アノード(正)、カソード(負)、又は停止状態(ゼロ)として機能するように選択的にプログラムすることができる。言い換えれば、電極組合せは、正、負、又はゼロである極性を表す。制御又は変更することができる他のパラメータは、電極アレイを通じて供給される電気パルスの振幅、幅、及び繰返し数を含む。各電極組合せは、電気パルスパラメータと共に「刺激パラメータセット」と呼ぶことができる。
【0005】
一部の神経刺激システム、特に独立して制御される電流供給源又は電圧供給源を有するものでは、電極(電極として機能することができる神経刺激器の場合を含む)への電流の配分は、電流が、多くの異なる電極構成を通じて供給されるように変更することができる。異なる構成では、電極は、異なる電流配分(すなわち、再分割電極構成)をもたらすように、正の電流又は電圧と負の電流又は電圧との異なる相対百分率で電流又は電圧を供給することができる。
【0006】
上記に簡単に解説したように、選択された刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させるように神経刺激器に命令するのに外部制御デバイスを使用することができる。一般的に、神経刺激器システムによって患者に供給される電気刺激を修正するために、神経刺激器内にプログラムされる刺激パラメータを外部制御デバイス上の制御器を操作することによって調節することができる。しかし、利用可能な電極の個数は、様々な複雑な刺激パルスを発生させる機能との組合せで、臨床医又は患者に対して刺激パラメータセットの莫大な選択枝を与える。
【0007】
そのような選択を容易にするために、一般的に臨床医は、コンピュータ処理によるプログラミングシステムによって神経刺激器をプログラムする。このプログラミングシステムは、内蔵ハードウエア/ソフトウエアシステムとすることができ、又は標準のパーソナルコンピュータ(PC)上で作動するソフトウエアによって主に形成することができる。PC又はカスタムハードウエアは、患者のフィードバック又は他の手段に基づいて最適な刺激パラメータを判断することを可能にし、更に、その後に一般的に治療の利点をもたらすためにターゲット組織の全てを刺激するが、刺激される非ターゲット組織の量を最低限に抑制するものになる1つ又は複数の最適な刺激パラメータを用いて神経刺激器をプログラムすることを可能にするように神経刺激器によって発生する電気刺激の特性を能動的に制御することができる。コンピュータ処理によるプログラミングシステムは、患者を診察する臨床医によっていくつかのシナリオで作動させることができる。
【0008】
多くの場合に、患者における異なる組織領域をターゲットとして電気刺激を印加する時には、複数のタイミングチャンネルが使用される。例えば、SCSの関連では、患者は、異なる領域(背中の下部、左腕、及び右脚等)において同時に疼痛を受ける場合があり、それによって異なる脊髄組織領域の電気刺激を必要とすることになる。DBSの関連では、複数の脳構造に付随する疾病を同時に治療するために、これらの複数の脳構造を電気的に刺激する必要がある場合がある。各タイミングチャンネルは、電気パルスをターゲット組織に送出するのに使用される電極の組合せ、並びに電極を通じて流れる電流の特性(パルス振幅、パルス持続時間、パルス周波数等)を識別する。
【0009】
複数のタイミングチャンネルの使用は、多くの場合に、電気刺激システムにおいて2つ又はそれよりも多くのタイミングチャンネルの間のパルス重複の可能性に起因する問題を招く場合がある。共通の電極を使用するパルス重複は、神経刺激システムを無効にするか又は有害にさえする場合がある。複数のタイミングチャンネルを使用する現在の神経刺激システムは、パルス重複を防止するために「トークン」方法として公知の方法を使用する。この方法は、他のタイミングチャンネルが自らの順番を待つ間に「トークン」を有するタイミングチャンネル内で電気パルスを送信することを可能にする。次に、「トークン」は、次のタイミングチャンネルに渡される。しかし、チャンネルの刺激列が重なり、従って、同時に「トークン」を要求した場合には、第2のチャンネル内での電気パルスの送信は、第1のタイミングチャンネル内での電気パルスの送信の終了時点まで待たなければならない。1つの起こり得る結果は、第2のタイミングチャンネル内で送信される電気パルスの周波数が第1のタイミングチャンネル内で送信される電気パルスの周波数に「ロック」される(すなわち、マッチする)ということであり、又は電気パルスのギャロッピング又はクランピングを受ける場合がある。従って、刺激パルスの発生が時間的に押し出されると、特定の規則的周波数における刺激を必要とする組織領域に対して刺激治療は無効になるか、又は有害にさえなる。
【0010】
「トークン」方法は、図1を参照することで最も明快に理解することができる。この図に示しているように、第1の周波数を有する第1のパルス電気波形5aは、タイミングチャンネルA内で送信され、第2の周波数を有する第2のパルス電気波形5bは、タイミングチャンネルB内で送信されることが望ましい。タイミングチャンネルAが「トークン」を有するので、タイミングチャンネルB内で送信される第2のパルス電気波形5bのパルスは、これらのパルスが第1のパルス電気波形5aのパルスと重なる度に「押し出す」必要がある。押し出されたパルス電気波形5cで分るように、パルスが押し出されると(水平矢印に示している)、次のパルスは、タイミングにおいて新しい(押し出された)パルスを拠り所とする。それに伴って次のパルスは、以前のパルスが押し出される時に一度、更にタイミングチャンネルAの間に送信されるパルス電気波形5aのパルスと重なる時に二度目というように「二重押し出し」を受ける。その結果、第2のパルス電気波形5b内のパルスの周波数は、第1のパルス電気波形5aにおける周波数に強制され(すなわち、ロックされ)、望ましい周波数よりも2倍小さい周波数を有するパルス電気波形5dがもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,895,280号明細書
【特許文献2】米国特許第6,516,227号明細書
【特許文献3】米国特許第6,993,384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
すなわち、マルチチャンネル神経刺激システム内のパルス重複を防止又は最小にするための改善された方法を提供する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様により、マルチチャンネル神経刺激システムにおける重複パルスを防止する方法を提供する。本方法は、周期及びパルス幅を各々が有する複数のパルス電気波形を定義する段階を含む。パルス電気波形は、例えば、ユーザ入力に応答して定義することができる。更に、本方法は、パルス電気波形の周期の最大公約数を計算する段階と、パルス電気波形のパルス幅の和を計算する段階とを含む。更に、本方法は、最大公約数が和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、パルス電気波形を用いて神経刺激システム内の複数のタイミングチャンネルをプログラムすること(例えば、外部制御デバイスを用いて)を可能にする段階を含む。タイミングチャンネルは、いかなるパルスも別のパルスと時間的に重複しないような方式でプログラムすることができる。
【0014】
1つの方法では、タイミングチャンネルのうちの少なくとも2つは、共通電極を用いてプログラムされており、パルス電気波形における周期は異なる。更に、本方法は、患者に治療を提供するために、例えば、患者が有する異なる組織領域を刺激するために、刺激エネルギを神経刺激システムからプログラムされたパルス電気波形に従って送出する段階を更に含む。本方法は、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置する段階を任意的に含み、この場合、複数のパルス電気波形は、この単一のパルス波形を含むことになり、タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くをこれらの2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムすることが可能になる。例えば、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形における周期が等しい場合には、これらのパルス電気波形は、単一のパルス波形で交互配置することができる。
【0015】
本発明の第2の態様により、神経刺激デバイスのための外部制御デバイスを提供する。外部制御デバイスは、ユーザからの入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースと、遠隔測定(テレメトリ)回路と、ユーザからの入力に応答して複数のパルス電気波形を定義するように構成されたプロセッサとを含む。パルス電気波形は、例えば、ユーザ入力に応答して定義することができる。更に、プロセッサは、パルス電気波形の周期の最大公約数を計算し、パルス電気波形のパルス幅の和を計算するように構成される。更に、プロセッサは、最大公約数が和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、パルス電気波形を用いて遠隔測定回路によって神経刺激デバイスにおける複数のタイミングチャンネルをプログラムするように構成される。タイミングチャンネルは、いかなるパルスも別のパルスと時間的に重複しないような方式でプログラムすることができる。
【0016】
一実施形態では、タイミングチャンネルのうちの少なくとも2つは、共通の電極を用いてプログラムされており、パルス電気波形における周期は異なる。任意的な実施形態では、プロセッサは、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置するように更に構成され、複数のパルス電気波形は、この単一のパルス波形を含み、この場合、複数のパルス電気波形は、この単一のパルス波形を含むことになり、タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くは、これらの2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムすることが可能になる。例えば、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形における周期が等しい場合には、これらのパルス電気波形は、単一のパルス波形で交互配置することができる。一実施形態では、プロセッサは、患者に治療を提供するために、刺激エネルギが神経刺激デバイスからプログラムされたパルス電気波形に従って送出されるようにタイミングチャンネルをプログラムするように構成される。例えば、患者が有する異なる組織領域は、送出される刺激エネルギをそれぞれ用いて刺激することができる。
【0017】
本発明の他の及び更に別の態様及び特徴は、本発明を限定ではなく例示を意図した以下に続く好ましい実施形態の詳細説明から明らかであろう。
【0018】
図面は、本発明の好ましい実施形態の設計及び有利性を示しており、これらの図面では、類似の要素を共通の参照番号で表記している。上記に列記した及び他の本発明の利点及び目的が如何に達成されるかをより明快に理解するために、上記に簡単に説明した本発明のより具体的な説明を添付図面に例示する本発明の特定的な実施形態を参照して行う。これらの図面は、単に本発明の典型的な実施形態を示し、従って、これらの図面は、本発明の範囲の限定と考えるべきではないという理解の下に、添付図面を用いて本発明を更に具体的かつ詳細に以下に説明かつ解説する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】複数のタイミングチャンネルにおいてプログラムされたパルス電気波形のパルス間の重複を防止するための従来技術における技術を示すタイミング図である。
【図2】本発明によって構成された脊髄刺激(SCS)システムの実施形態の平面図である。
【図3】図2のSCSシステムに使用される埋め込み可能パルス発生器(IPG)の概略図である。
【図4】図2のSCSシステムの患者に対して使用する際の平面図である。
【図5】図2のSCSシステムに対して使用することができる遠隔制御器の平面図である。
【図6】図5の遠隔制御器の内部構成要素のブロック図である。
【図7】図2のSCSシステムに対して使用することができる臨床医のプログラム作成器の構成要素のブロック図である。
【図8】図2のSCSシステムによって第1のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる2つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図9】図2のSCSシステムによって第2のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる2つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図10】図2のSCSシステムによって第3のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる3つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図11】図2のSCSシステムによって第4のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる3つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図12】図2のSCSシステムによってパルス電気波形のうちの2つが単一のパルス電気波形に組み合わされることを示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に続く説明は、脊髄刺激(SCS)システムに関する。しかし、本発明は、SCSにおける用途に十分に適するが、その最も広義の態様ではそのように限定することができないことは理解されるものとする。より正確には、本発明は、組織を刺激するのに使用されるあらゆる種類の埋め込み可能電気回路と併用することができる。例えば、本発明は、ペースメーカー、細動除去器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、連係した体肢運動をもたらすように構成された刺激器、皮質刺激器、脳深部刺激器、末梢神経刺激器、微小刺激器の一部として、又は尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼、頭痛などを治療するように構成されたあらゆる他の神経刺激器に対して使用することができる。
【0021】
図2を参照すると、例示的なSCS神経刺激システム10は、一般的に、1つ又はそれよりも多くの(この場合、2つの)埋め込み可能刺激リード12、埋め込み可能パルス発生器(IPG)14、外部遠隔コントローラRC16、臨床医のプログラム作成器(CP)18、外部試験刺激器(ETS)20、及び外部充電器22を含む。
【0022】
IPG14は、アレイで構成された複数の電極26を担持する刺激リード12に1つ又はそれよりも多くの経皮リード延長部24を通じて物理的に接続される。図示の実施形態では、刺激リード12は経皮リードであり、この目的のために電極26は、刺激リード12に沿って縦列で配置することができる。別の実施形態では、電極26は、単一のパドルリード上に2次元パターンで配置することができる。以下により詳細に説明するが、IPG14は、電気刺激エネルギをパルス電気波形(すなわち、電気パルスの時系列)の形態で刺激パラメータセットに従って電極アレイ26に送出するパルス発生回路を含む。
【0023】
刺激リード12には、経皮リード延長部28及び外部ケーブル30を通じてETS20を物理的に接続することができる。IPG14と類似のパルス発生回路を有するETS20もまた、電気刺激エネルギをパルス電気波形の形態で刺激パラメータセットに従って電極アレイ26に送出する。ETS20とIPG14との主な相違点は、ETS20が、供給される刺激の応答性を試すために、刺激リード12が埋め込まれた後でかつIPG14の埋め込みの前に試行ベースに使用される埋め込み不能デバイスである点である。例示的なETSの更なる詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に説明されている。
【0024】
RC16は、双方向RF通信リンク32を通じてETS20を遠隔測定(テレメトリ)制御するのに使用することができる。IPG14及び刺激リード12が埋め込まれた状態で、双方向RF通信リンク34を通じてIPG14を遠隔測定制御するためにRC16を使用することができる。そのような制御は、IPG14を起動又は停止させ、異なる刺激パラメータセットを用いてプログラムすることを可能にする。IPG14は、プログラムされた刺激パラメータを修正して、IPG14によって出力される電気刺激エネルギの特性を能動的に制御するように作動させることができる。以下により詳細に説明するが、CP18は、手術室及び予後の診察においてIPG14及びETS20をプログラムするための詳細な刺激パラメータを臨床医に供給する。
【0025】
CP18は、IR通信リンク36を通じてRC16を通してIPG14又はETS20と間接的に通信することによって上述の機能を実行することができる。代替的に、CP18は、RF通信リンク(図示せず)を通じてIPG14又はETS20と直接通信することができる。CP18によって供給され、臨床医によって詳細に定められた刺激パラメータは、RC16の独立型モードにおける(すなわち、CP18の支援なしの)作動によって刺激パラメータを後に修正することができるようにRC16をプログラムするのにも使用される。
【0026】
外部充電器22は、誘導リンク38を通じてIPG14を経皮的に充電するのに使用される可搬式デバイスである。簡潔化の目的で、外部充電器22の詳細内容に対しては、本明細書では説明しない。外部充電器の例示的な実施形態の詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に開示されている。IPG14をプログラムし終わり、その電源を外部充電器22によって充電又はそうでなければ補充し終わった状態で、IPG14は、RC16又はCP18がなくてもプログラムされた通りに機能することができる。
【0027】
次に、図3を参照して、刺激リード12及びIPG14の外部機能を簡単に以下に説明する。刺激リードの一方12(1)は、8つの電極26(E1〜E8とラベル付けしている)を有し、他方の刺激リード12(2)は、8つの電極26(E9〜E16とラベル付けしている)を有する。リード及び電極の実際の個数及び形状は、当然ながら目標とする用途に従って変化することになる。IPG14は、電子構成要素及び他の構成要素(以下により詳細に説明する)を収容するための外側ケース40と、電極26を外側ケース40内の電子機器に電気的に接続する方式で刺激リード12の近位端が嵌合するコネクタ42とを含む。外側ケース40は、チタンのような導電性の生体適合性材料で構成され、内部電子機器が体組織及び体液から保護される密封区画を形成する。一部の場合には、外側ケース40は、電極として機能することができる。
【0028】
IPG14は、バッテリと、IPG14内にプログラムされた刺激パラメータセットに従って電気刺激エネルギをパルス電気波形の形態で電極アレイ26に送出するパルス発生回路とを含む。そのような刺激パラメータは、アノード(正)、カソード(負)として作動され、かつ停止(ゼロ)される電極を定める電極組合せと、各電極(再分割電極構成)に割り当てられる刺激エネルギの百分率と、パルス振幅(IPG14が電極アレイ26に定電流又は定電圧のいずれを供給するかに依存してミリアンペア又はボルトで測定される)、パルス幅(マイクロ秒で測定される)、及びバースト率(刺激印加持続時間X及び刺激停止持続時間Yとして測定される)を定義する電気パルスパラメータとを含むことができる。
【0029】
電気刺激は、1つをIPGケースとすることができる2つ(又はそれよりも多く)の作動電極の間で発生することになる。刺激エネルギは、単極又は多重極(例えば、二重極、三重極等)の方式で組織に伝達することができる。単極刺激は、リード電極26のうちで選択された1つがIPG14のケースと共に作動され、従って、選択された電極26とケースとの間で刺激エネルギが伝達される場合に発生する。二重極刺激は、リード電極26のうちの2つがアノードとカソードとして作動され、従って、選択された電極26の間で刺激エネルギが伝達される場合に発生する。例えば、第1のリード12(1)上の電極E3をアノードとして作動させることができ、同時に第2のリード12(1)上の電極E11をカソードとして作動させることができる。三重極刺激は、リード電極26のうちの3つが、2つをアノードとし、残りの1つをカソードとして、又は2つをカソードとし、残りの1つをアノードとして作動される場合に発生する。例えば、第1のリード12上の電極E4及びE5は、アノードとして作動させることができ、同時に第2のリード12上の電極E12は、カソードとして作動される。
【0030】
刺激エネルギは、電極の間で単相電気エネルギ又は多相電気エネルギとして送出することができる。単相電気エネルギは、全てが正(アノード性)又は全てが負(カソード性)のいずれかである一連のパルスを含む。多相電気エネルギは、正と負の間で交替する一連のパルスを含む。例えば、多相電気エネルギは、カソード性(負)の刺激パルスと、組織を通じた直接的な電流電荷転送を防止し、それによって電極の劣化及び細胞の創傷を回避するために刺激パルスの後に発生するアノード性(正)の再充電パルスとを各々が含む一連の2相パルスを含むことができる。すなわち、電荷は、電極における刺激期間(刺激パルスの長さ)中に電流によって電極−組織界面を通じて伝達され、次に、同じ電極における再充電期間(再充電パルスの長さ)中に反対の極性の電流によって電極−組織界面から引き戻される。再充電は、能動的(すなわち、電流を逆転させるためにエネルギが消費される)又は受動的(すなわち、蓄積される電荷が回路を通じて放電されるように回路を連結し合わせることによって回路が電流を逆転させることが可能になる)とすることができる。
【0031】
図示の実施形態では、IPG14は、電極の各々から流れる電流のマグニチュードを個々に制御することができる。この場合、各電極に対する独立した電流供給源からの個別電流調整振幅を選択的に発生させることができる電流発生器を有することが好ましい。このシステムは、本発明を利用するのに最適であるが、本発明と共に使用することができる他の刺激器は、電圧調整出力を有する刺激器を含む。個々にプログラマブルな電極振幅は、精密な制御を提供する上で最適であるが、プログラミングにおける制御はそれ程精密ではないが電極にわたって切り換えられる単一の出力ソースを使用することができる。本発明と共に電流及び電圧混合調整デバイスを使用することができる。IPGの詳細な構造及び機能を解説する更なる詳細内容は、米国特許第6,516,227号明細書及び第6,993,384号明細書により完全に説明されている。
【0032】
電気神経刺激システム10は、IPGではなく、刺激リード12に接続した埋め込み可能受信機−刺激器(図示せず)を代替的に利用することができることに注意すべきである。この場合、埋め込まれた受信機、並びに受信機−刺激器に命令する制御回路に電力供給するための電源、例えば、バッテリは、受信機−刺激器に電磁リンクを通じて誘導結合された外部コントローラに収容されることになる。データ/電力信号は、埋め込まれた受信機−刺激器の上に配置されたケーブル接続の送信コイルから経皮的に結合される。埋め込まれた受信機−刺激器は、信号を受信して制御信号に従って刺激を発生させる。
【0033】
図4に示しているように、電極リード12は、患者44の脊椎46内に埋め込まれる。刺激リード12の好ましい配置は、刺激される脊髄区域の近くの硬膜に隣接し、すなわち、その上に収まる。電極リード12が脊椎46を出る位置の近くの空間の欠如に起因して、一般的にIPG14は、腹部内又は臀部上方のいずれかにおける外科手術によって作成されたポケット内に埋め込まれる。IPG14は、当然ながら患者の身体の他の位置に埋め込むことができる。リード延長部24は、電極リード12の出口ポイントから離れてIPG14を設置するのを容易にする。図4に示しているように、CP18は、RC16を通じてIPG14と通信を行う。
【0034】
ここで、図5を参照してRC16の一例示的実施形態を以下に説明する。先に解説したように、RC16は、IPG14、CP18、又はETS20と通信を行うことができる。RC16は、内部構成要素(プリント回路基板(PCB)を含む)を収容するケーシング50と、ケーシング50の外面によって担持された照明表示画面52及びボタンパッド54とを含む。図示の実施形態では、表示画面52は照明フラットパネル表示画面であり、ボタンパッド54は、フレックス回路の上に位置決めされた金属ドームを有する膜スイッチと、PCBに直接接続したキーパッドとを含む。任意的な実施形態では、表示画面52は、タッチスクリーン機能を有する。ボタンパッド54は、IPG14を起動及び停止することを可能にし、IPG14内の刺激パラメータの調節又は設定を可能にし、画面の間の選択を可能にする複数のボタン56、58、60、及び62を含む。
【0035】
図示の実施形態では、ボタン56は、IPG14を起動及び停止するように作動させることができるオン/オフボタンとして機能する。ボタン58は、RC16が、画面表示及び/又はパラメータの間で切り換わることを可能にする選択ボタンとして機能する。ボタン60及び62は、パルス振幅、パルス幅、及びパルス繰返し数を含むIPG14によって発生するパルスの刺激パラメータのうちのいずれかを増分又は減分させるように作動させることができる上/下ボタンとして機能する。例えば、選択ボタン58は、RC16を上/下ボタン60、62によってパルス振幅を調節することができる「パルス振幅調節モード」、上/下ボタン60、62によってパルス幅を調節することができる「パルス幅調節モード」、及び上/下ボタン60、62によってパルス繰返し数を調節することができる「パルス繰返し数調節モード」に入れるように作動させることができる。代替的に、各刺激パラメータに対して専用上/下ボタンを設けることができる。刺激パラメータを増分又は減分するのに、上/下ボタンを使用する代わりに、ダイヤル、スライダバー、又はキーパッドのようなあらゆる他の種類の作動機構を使用することができる。RC16の機能及び内部構成要素の更なる詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に開示されている。
【0036】
図6を参照して、ここで例示的なRC16の内部構成要素を以下に説明する。一般的に、RC16は、プロセッサ64(例えば、マイクロコントローラ)と、プロセッサ64による実行のための作動プログラム、並びにルックアップテーブル(以下に説明する)内の刺激パラメータセットを格納するメモリ66と、入力/出力回路、特に、刺激パラメータをIPG14に出力し、ステータス情報をIPG14から受信するための遠隔測定(テレメトリ)回路68、及びボタンパッド54から刺激制御信号を受け取り、表示画面52(図5に示している)にステータス情報を伝達するための入力/出力回路70とを含む。RC16の他の機能を制御することに加えて、プロセッサ64は、ボタンパッド54のユーザ操作に応答して新しい刺激パラメータセットを発生させる。その後に、これらの新しい刺激パラメータセットは、遠隔測定回路68を通じてIPG14(又はETS20)に送信されることになる。RC16の機能及び内部構成要素の更なる詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に開示されている。
【0037】
上記に簡単に解説したように、CP18は、複数の電極組合せのプログラミングを大幅に簡素化し、医師又は臨床医が、IPG14、並びにRC16内にプログラミングされる望ましい刺激パラメータを即座に判断することを可能にする。この場合、埋め込み後のIPG14のプログラミング可能なメモリ内の刺激パラメータの修正は、臨床医により、IPG14と直接通信を行うことができ、又はRC16を通じてIPG14と間接的に通信を行うことができるCP18を用いて実施される。すなわち、CP18は、医師又は臨床医が電極アレイ26の作動パラメータを修正するのに使用することができる。
【0038】
図4に示しているように、CP18の全体の外観は、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)のものとすることができ、実際に、指向プログラミングデバイスを含むように適切に構成され、本明細書に説明する機能を実施するようにプログラムされたPCを用いて実施することができる。この場合、プログラミング技術は、CP18内に含まれるソフトウエア命令を実行することによって実施することができる。代替的に、そのようなプログラミング技術は、ファームウエア又はハードウエアを用いて実施することができる。いずれの場合にも、CP18は、IPG14(又はETS20)によって発生する電気刺激の特性を能動的に制御することができ、患者のフィードバックに基づいて最適な刺激パラメータを判断し、その後に、この最適な刺激パラメータを用いてIPG14(又はETS20)をプログラムすることを可能にする。
【0039】
臨床医がこれらの機能を実行することを可能にするために、CP18は、マウス72、キーボード74、及びケース78に収容されたプログラミング表示画面76を含む。マウス72に加えて又は代替的に、ジョイスティック、又はキーボード74に付随するキーの一部として含まれる方向キーのような他の指向プログラミングデバイスを使用することができることを認めるべきである。図7に示しているように、一般的に、CP18は、プロセッサ80(例えば、中央演算装置(CPU))と、臨床医がIPG14及びRC16をプログラムすることを可能にするためにプロセッサ80を実行することができる刺激プログラミングパッケージ84を格納するメモリ82とを含む。以下により詳細に説明するあらゆる計算機能及び特定機能を含むCP18の他の機能を制御することに加えて、プロセッサ80は、ユーザ入力デバイス72、74のユーザ操作に応答して新しい刺激パラメータセットを発生させる。その後に、これらの新しい刺激パラメータセットは、以下に解説する適正な状況の下で、遠隔測定回路68を通じてIPG14(又はEPS20)及びRC16に送信されることになる。
【0040】
重要な点として、IPG14は、複数のタイミングチャンネルにわたって作動するようにCP18(又は代替的に、RC16)によってプログラムすることができる。具体的には、電極のあらゆる組合せをk個までの可能な群、すなわち、タイミングチャンネルに割り当てることができる。一実施形態では、kは、4に等しいとすることができる。タイミングチャンネルは、刺激される組織内に電界を生成するためにどの電極が電流を同期的に供給又は流出させるように選択されるかを識別する。CP18内のプログラミングソフトウエアは、所定のタイミングチャンネルの電極に対して、考えられるプログラマブル特徴の中でも取りわけ電極の極性、振幅、パルス繰返し数、及びパルス幅を含む刺激パラメータを設定するのに使用することができる。
【0041】
それぞれのタイミングチャンネルに割り当てられる電極組合せは、互いから完全に異なるものとすることができ、又は1つ又はそれよりも多くの共通電極を有することができる。背景技術で解説した事例を含む1つ又はそれよりも多くの共通電極がタイミングチャンネルに割り当てられる場合には、それぞれのタイミングチャンネル内で発生する電気パルスの間の重複を防止することが望ましい。CP18は、いかなるパルスの「押し出し」も必要としない方式で交互配置することができるパルス電気波形を用いてIPG14の複数のタイミングチャンネルをユーザが単純にプログラムすることを可能にすることにより、タイミングチャンネル間の重複刺激パルスを除去することができる。
【0042】
具体的には、図8を参照すると、可能性としてIPG14の2つのタイミングチャンネル(チャンネル1及びチャンネル2)を2つのパルス電気波形100a、100bそれぞれを用いてCP18によってプログラムすることができる。それぞれのタイミングチャンネルに割り当てられる電極組合せは、一般的に、2つの異なる領域(例えば、SCSの場合は背中の下部及び左腕)の治療をもたらすものになる。上記に簡単に解説したように、各タイミングチャンネルは、刺激される組織内に電界を生成するために電流を同期的に供給又は流出させるように選択される電極を識別し、各タイミングチャンネルに割り当てられる電極の振幅及び極性は変更することができる。この場合、米国特許第6,895,280号明細書に例示されているように、いずれかを特定のタイミングチャンネル内で送出される1つよりも多いパルス電気波形を存在させることができる。しかし、簡潔化及び明瞭化の目的で、各タイミングチャンネルには1つのパルス電気波形しか示していない。更に、図8に例示しているパルス電気波形は、本質的に単相であるが、タイミングチャンネルの間に送出されるパルス電気波形は、本質的に多相のものとすることができる。
【0043】
上述のように、CP18は、RC16を通じてIPG14を間接的にプログラムすることができる。第1のパルス電気波形100aは、時間周期t1及びパルス幅T1を有し、第2のパルス電気波形100bは、時間周期t2及びパルス幅T2を有する。これらのパルス電気波形100a、100bは、CP18のユーザインタフェース(マウス72又はキーボード74)によって受け取られる入力に応答して従来方式で定義することができる。次に、患者に治療を提供するために(例えば、患者が有する異なる組織領域をプログラムされたパルス電気波形100a、100bをそれぞれ用いて刺激することにより)、刺激エネルギをプログラムされたパルス電気波形100a、100bに従ってIPG14から複数のタイミングチャンネルを通じて送出することができる。
【0044】
CP18は、いかなるパルスの押し出しも必要としない(それによってタイミングチャンネル間の周波数同期又は他の問題を防止する)方式でパルス電気波形100a、100bを交互配置することができるか否かを時間周期t1、t2の最大公約数(GCD)関数とそれぞれのパルス電気波形100のパルス幅T1、T2の和とに基づいて判断することができる。具体的には、GCD(t1,t2)≧T1+T2である場合には、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要はなく、パルス電気波形100a、100bを交互配置することができると判断される。この目的のために、CP18は、時間周期t1、t2のGCDと、パルス幅T1、T2の和とを計算し、時間周期t1、t2のGCDがパルス幅T1、T2の和に等しいか又はそれよりも大きい場合には、パルス電気波形100a、100bを用いてタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。CP18は、波形100a、100b内のいかなるパルスも互いに時間的に重複しないように、パルス電気波形100a、100bを単純に交互配置することによってIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることができる。
【0045】
図示の実施形態では、時間周期t1は、2という単位値を有し、時間周期t2は、2という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、1という単位値を有する。この場合、GCD(t1,t2)≧T1+T2は、GCD(2,2)≧1+1になり、これは、2≧2になる。従って、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形100a、100bを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形100a、100bを用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。図8から、2つのパルス電気波形が同じ時間周期及び同じパルス幅を有する場合には、重複を防止するのにパルスを押し出すことを必要とせずに波形を交互配置することができることが分る。更に、パルスの一方が短いパルス幅を有し、他方が長いパルス幅を有する場合には、重複なしに依然として2つのパルスを適合させることができることが分る。
【0046】
しかし、この技術は、異なる時間周期を有するパルス電気波形にも適用することができる。例えば、図9を参照すると、可能性としてIPG14の2つのタイミングチャンネル(チャンネル1及びチャンネル2)は、波形100a、100bのパルス幅t1、t2が同じままに留まっているのに対して波形110a、110bの周期T1、T2が互いから異なることを除いて、図8に例示しているパルス電気波形100a、100bと類似の2つのパルス電気波形110a、110bを用いてCP18によってプログラムすることができる。この例では、図8に例示しているパルス電気波形100a、100b内のパルスのうちの一部を飛ばして、図9に例示するパルス電気波形110a(1つ置きに)、110b(パルス3つ毎に第2及び第3を)を定めている。
【0047】
図9に例示している例示的な事例では、時間周期t1は、4という単位値を有し、時間周期t2は、6という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、1という単位値を有する。この場合、GCD(t1,t2)≧T1+T2は、GCD(4,6)≧1+1になり、これは、2≧2になり、これは、真である。従って、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形110a、110bを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形112、114を用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。
【0048】
図8及び図9に例示している従来の事例では、IPG14の2つのタイミングチャンネルのみがプログラムされる。IPG14の2つよりも多いタイミングチャンネルをプログラムすることができることを認めるべきである。具体的には、図10を参照すると、可能性としてIPG14の3つのタイミングチャンネル(チャンネル1、チャンネル2、及びチャンネル3)は、3つのパルス電気波形120a、120b、120cそれぞれを用いてCP18によってプログラムすることができる。第1のパルス電気波形120aは、時間周期t1及びパルス幅T1を有し、第2のパルス電気波形120bは、時間周期t2及びパルス幅T2を有し、第3のパルス電気波形120cは、時間周期t3及びパルス幅T3を有する。従来の波形と同様に、これらのパルス電気波形120a、120b、120cは、CP18のユーザインタフェース(マウス72又はキーボード74)によって受け取られる入力に応答して従来方式で定義することができる。次に、患者に治療を提供するために(例えば、患者が有する異なる組織領域をプログラムされたパルス電気波形120a、120b、120cをそれぞれ用いて刺激することにより)、刺激エネルギをプログラムされたパルス電気波形120a、120b、120cに従ってIPG14から複数のタイミングチャンネルを通じて送出することができる。
【0049】
従来のパルス電気波形と同様に、CP18は、いかなるパルスの押し出しも必要としない(それによってタイミングチャンネル間の周波数同期を防止する)方式でパルス電気波形120a、120b、120cを交互配置することができるか否かを時間周期t1、t2、t3の最大公約数(GCD)関数とそれぞれのパルス電気波形120a、120b、120cのパルス幅T1、T2、T3の和とに基づいて判断することができる。この関数は、以下の通りに一般化することができる。GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Tx(xは、パルス電気波形(又はタイミングチャンネル)の個数である)である場合には、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す(どかせる)必要はなく、x個のパルス電気波形を交互配置することができると判断される。この目的のために、CP18は、時間周期t1,...,txのGCDと、パルス幅T1,...,Txの和とを計算し、時間周期t1,...,txのGCDがパルス幅T1,...,Txの和に等しいか又はそれよりも大きい場合には、x個のパルス電気波形を用いてタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。CP18は、波形内のいかなるパルスも互いに時間的に重複しないように、x個のパルス電気波形を単純に交互配置することによってIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることができる。
【0050】
図10に図示の実施形態では、時間周期t1は、6という単位値を有し、時間周期t2は、6という単位値を有し、時間周期t3は、3という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、1という単位値を有し、パルス幅T3は、1という単位値を有する。この場合、GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Txは、GCD(6,6,3)≧1+1+1になり、これは、3≧3になり、これは、真である。従って、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形120a、120b、120cを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形120a、120b、120cを用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。図10の例から、t1=t2≠t3、例えば、t1=t2=2t3(又はf1=f2=(1/2)f3、この場合fは周波数)である場合には、重複を防止するのにパルスを押し出すことを必要とせずに3つのパルス電気波形を交互配置することができることが分る。
【0051】
取りわけ、2つよりも多いタイミングチャンネルが使用される一部の状況では、GCD基準は、そうでなければパルス押し出しを必要とせずにプログラミング可能にすることができるパルス電気波形の使用を不要に阻止する場合がある。従って、GCD基準には例外又は注意事項が存在することができる。一事例では、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス電気波形に組み合わせることができる場合には、GCD基準は、この単一のパルス電気波形(構成パルス電気波形の組合せの後の)とあらゆる他の利用可能な電気波形とに適用すべきである。
【0052】
例えば、図11を参照すると、可能性としてIPG14の3つのタイミングチャンネルは、3つのパルス電気波形130a、130b、130cそれぞれを用いてCP18によってプログラムすることができる。第1のパルス電気波形130aは、時間周期t1及びパルス幅T1を有し、第2のパルス電気波形130bは、時間周期t2及びパルス幅T2を有し、第3のパルス電気波形130cは、時間周期t3及びパルス幅T3を有する。この例示的な事例では、時間周期t1は、3という単位値を有し、時間周期t2は、6という単位値を有し、時間周期t3は、6という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、2という単位値を有し、パルス幅T3は、2という単位値を有する。
【0053】
この場合、GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Txは、GCD(3,6,6)≧1+2+2になり、これは、3≧5になり、これは、偽である。すなわち、GCD基準は、パルス電気波形130a、130b、130cの更に別の操作なしには、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式でパルス電気波形130a、130b、130cを交互配置することができないことを示している。しかし、図12に示しているように、第2のパルス電気波形130bと第3のパルス電気波形130cとが、単一のパルス電気波形130dで交互配置された場合には、得られる時間周期t4は、3という単位値になり、得られるパルス幅T4は、2という単位値に留まることになる。この場合、GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Txは、GCD(3,3)≧1+2になり、これは、3≧3になり、これは、真である。すなわち、実際にはパルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形130a、130b、130cを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形130a、130b、130cを用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。チャンネル2と3の1つのタイミングチャンネルへの組合せを実際には真に発生させる必要はなく、手を加えることなく単に組み合わせることができることに注意すべきである。言い換えれば、チャンネル2と3を異なるチャンネルを分割することによって作成することができる場合には、チャンネル1、2、及び3は有効な組合せである。
【0054】
すなわち、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を可能な場合に交互配置する効果は、そうでなければパルス電気波形の全ての周期のGCDがパルス電気波形のパルス幅の和と等しくないか又はそれよりも大きくないという理由から許容可能にすることができない波形をIPG14内にプログラムすることを可能にすることができる。図8〜図12に関して、CP18がプログラミング機能を実行するように説明したが、代替的に、RC16を使用することができる。この場合には、RC16は、いかなるパルスの「押し出し」も必要としない方式で交互配置することができるパルス電気波形を用いてIPG14の複数のタイミングチャンネルをユーザが単純にプログラムすることを可能にすることにより、タイミングチャンネル間の周波数同期を除去することができる。この場合、RC16のプロセッサ64は、パルス電気波形の定義機能及び計算機能を実行するのに使用され、RC16の遠隔測定回路68は、IPG14をプログラムするのに使用される。
【0055】
本発明の特定的な実施形態を図示して説明したが、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定するように意図しておらず、当業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び修正を加えることができることが明らかであろう。すなわち、本発明は、特許請求によって定められる本発明の精神及び範囲に含めることができる代替、修正、及び均等物を網羅するように意図している。
【符号の説明】
【0056】
12 リード
14 埋め込み可能パルス発生器(IPG)
16 外部遠隔コントローラ(RC)
18 プログラム作成器(CP)
20 外部試験刺激器(ETS)
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織刺激システムに関し、より具体的には、マルチチャンネル神経刺激システムにおける周波数同期を除去又は低減するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能神経刺激システムは、様々な疾病及び障害において治療効果を有することを証明している。ペースメーカー及び埋め込み可能心細動除去器(ICD)は、いくつかの心臓疾患(例えば、不整脈)の治療において非常に有効であることを証明している。脊髄刺激(SCS)システムは、慢性疼痛症候群の治療のための治療方式として長い間受け入れられており、組織刺激の用途は、狭心症及び失禁のような更に別の用途に広がり始めている。脳深部刺激(DBS)もまた、不応性慢性疼痛症候群の治療に10年を大幅に超えて適用されており、また、最近では、DBSは、運動障害及び癲癇のような更に別の分野に適用されている。更に、最近の研究では、末梢神経刺激(PNS)システムが、慢性疼痛症候群及び失禁の治療において有効性を示しており、いくつかの付加的な用途が現在研究されている。更に、脊髄損傷の患者において麻痺肢にある程度の機能を回復させる上で、NeuroControl(オハイオ州クリーブランド)によるFreehandシステムのような機能的電気刺激(FES)システムが適用されている。
【0003】
一般的に、これらの埋め込み可能神経刺激システムは、望ましい刺激部位に埋め込まれる刺激リードを担持する1つ又はそれよりも多くの電極、及び刺激部位から離れて埋め込まれるが、刺激リードに直接結合されるか又はリード延長部を通じて刺激リードに間接的に結合されるかのいずれかである神経刺激器(例えば、埋め込み可能パルス発生器(IPG))を含む。更に、神経刺激システムは、選択された刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させるように神経刺激器に遠隔的に命令する外部制御デバイスを含むことができる。
【0004】
電気刺激エネルギは、神経刺激器から電極にパルス電気波形の形態で送出することができる。この場合、刺激エネルギは、神経組織を刺激するように電極に制御可能に送出することができる。電気パルスをターゲット組織に送出するのに使用される電極の組合せは、電極組合せを構成し、これらの電極は、アノード(正)、カソード(負)、又は停止状態(ゼロ)として機能するように選択的にプログラムすることができる。言い換えれば、電極組合せは、正、負、又はゼロである極性を表す。制御又は変更することができる他のパラメータは、電極アレイを通じて供給される電気パルスの振幅、幅、及び繰返し数を含む。各電極組合せは、電気パルスパラメータと共に「刺激パラメータセット」と呼ぶことができる。
【0005】
一部の神経刺激システム、特に独立して制御される電流供給源又は電圧供給源を有するものでは、電極(電極として機能することができる神経刺激器の場合を含む)への電流の配分は、電流が、多くの異なる電極構成を通じて供給されるように変更することができる。異なる構成では、電極は、異なる電流配分(すなわち、再分割電極構成)をもたらすように、正の電流又は電圧と負の電流又は電圧との異なる相対百分率で電流又は電圧を供給することができる。
【0006】
上記に簡単に解説したように、選択された刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させるように神経刺激器に命令するのに外部制御デバイスを使用することができる。一般的に、神経刺激器システムによって患者に供給される電気刺激を修正するために、神経刺激器内にプログラムされる刺激パラメータを外部制御デバイス上の制御器を操作することによって調節することができる。しかし、利用可能な電極の個数は、様々な複雑な刺激パルスを発生させる機能との組合せで、臨床医又は患者に対して刺激パラメータセットの莫大な選択枝を与える。
【0007】
そのような選択を容易にするために、一般的に臨床医は、コンピュータ処理によるプログラミングシステムによって神経刺激器をプログラムする。このプログラミングシステムは、内蔵ハードウエア/ソフトウエアシステムとすることができ、又は標準のパーソナルコンピュータ(PC)上で作動するソフトウエアによって主に形成することができる。PC又はカスタムハードウエアは、患者のフィードバック又は他の手段に基づいて最適な刺激パラメータを判断することを可能にし、更に、その後に一般的に治療の利点をもたらすためにターゲット組織の全てを刺激するが、刺激される非ターゲット組織の量を最低限に抑制するものになる1つ又は複数の最適な刺激パラメータを用いて神経刺激器をプログラムすることを可能にするように神経刺激器によって発生する電気刺激の特性を能動的に制御することができる。コンピュータ処理によるプログラミングシステムは、患者を診察する臨床医によっていくつかのシナリオで作動させることができる。
【0008】
多くの場合に、患者における異なる組織領域をターゲットとして電気刺激を印加する時には、複数のタイミングチャンネルが使用される。例えば、SCSの関連では、患者は、異なる領域(背中の下部、左腕、及び右脚等)において同時に疼痛を受ける場合があり、それによって異なる脊髄組織領域の電気刺激を必要とすることになる。DBSの関連では、複数の脳構造に付随する疾病を同時に治療するために、これらの複数の脳構造を電気的に刺激する必要がある場合がある。各タイミングチャンネルは、電気パルスをターゲット組織に送出するのに使用される電極の組合せ、並びに電極を通じて流れる電流の特性(パルス振幅、パルス持続時間、パルス周波数等)を識別する。
【0009】
複数のタイミングチャンネルの使用は、多くの場合に、電気刺激システムにおいて2つ又はそれよりも多くのタイミングチャンネルの間のパルス重複の可能性に起因する問題を招く場合がある。共通の電極を使用するパルス重複は、神経刺激システムを無効にするか又は有害にさえする場合がある。複数のタイミングチャンネルを使用する現在の神経刺激システムは、パルス重複を防止するために「トークン」方法として公知の方法を使用する。この方法は、他のタイミングチャンネルが自らの順番を待つ間に「トークン」を有するタイミングチャンネル内で電気パルスを送信することを可能にする。次に、「トークン」は、次のタイミングチャンネルに渡される。しかし、チャンネルの刺激列が重なり、従って、同時に「トークン」を要求した場合には、第2のチャンネル内での電気パルスの送信は、第1のタイミングチャンネル内での電気パルスの送信の終了時点まで待たなければならない。1つの起こり得る結果は、第2のタイミングチャンネル内で送信される電気パルスの周波数が第1のタイミングチャンネル内で送信される電気パルスの周波数に「ロック」される(すなわち、マッチする)ということであり、又は電気パルスのギャロッピング又はクランピングを受ける場合がある。従って、刺激パルスの発生が時間的に押し出されると、特定の規則的周波数における刺激を必要とする組織領域に対して刺激治療は無効になるか、又は有害にさえなる。
【0010】
「トークン」方法は、図1を参照することで最も明快に理解することができる。この図に示しているように、第1の周波数を有する第1のパルス電気波形5aは、タイミングチャンネルA内で送信され、第2の周波数を有する第2のパルス電気波形5bは、タイミングチャンネルB内で送信されることが望ましい。タイミングチャンネルAが「トークン」を有するので、タイミングチャンネルB内で送信される第2のパルス電気波形5bのパルスは、これらのパルスが第1のパルス電気波形5aのパルスと重なる度に「押し出す」必要がある。押し出されたパルス電気波形5cで分るように、パルスが押し出されると(水平矢印に示している)、次のパルスは、タイミングにおいて新しい(押し出された)パルスを拠り所とする。それに伴って次のパルスは、以前のパルスが押し出される時に一度、更にタイミングチャンネルAの間に送信されるパルス電気波形5aのパルスと重なる時に二度目というように「二重押し出し」を受ける。その結果、第2のパルス電気波形5b内のパルスの周波数は、第1のパルス電気波形5aにおける周波数に強制され(すなわち、ロックされ)、望ましい周波数よりも2倍小さい周波数を有するパルス電気波形5dがもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,895,280号明細書
【特許文献2】米国特許第6,516,227号明細書
【特許文献3】米国特許第6,993,384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
すなわち、マルチチャンネル神経刺激システム内のパルス重複を防止又は最小にするための改善された方法を提供する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様により、マルチチャンネル神経刺激システムにおける重複パルスを防止する方法を提供する。本方法は、周期及びパルス幅を各々が有する複数のパルス電気波形を定義する段階を含む。パルス電気波形は、例えば、ユーザ入力に応答して定義することができる。更に、本方法は、パルス電気波形の周期の最大公約数を計算する段階と、パルス電気波形のパルス幅の和を計算する段階とを含む。更に、本方法は、最大公約数が和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、パルス電気波形を用いて神経刺激システム内の複数のタイミングチャンネルをプログラムすること(例えば、外部制御デバイスを用いて)を可能にする段階を含む。タイミングチャンネルは、いかなるパルスも別のパルスと時間的に重複しないような方式でプログラムすることができる。
【0014】
1つの方法では、タイミングチャンネルのうちの少なくとも2つは、共通電極を用いてプログラムされており、パルス電気波形における周期は異なる。更に、本方法は、患者に治療を提供するために、例えば、患者が有する異なる組織領域を刺激するために、刺激エネルギを神経刺激システムからプログラムされたパルス電気波形に従って送出する段階を更に含む。本方法は、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置する段階を任意的に含み、この場合、複数のパルス電気波形は、この単一のパルス波形を含むことになり、タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くをこれらの2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムすることが可能になる。例えば、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形における周期が等しい場合には、これらのパルス電気波形は、単一のパルス波形で交互配置することができる。
【0015】
本発明の第2の態様により、神経刺激デバイスのための外部制御デバイスを提供する。外部制御デバイスは、ユーザからの入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースと、遠隔測定(テレメトリ)回路と、ユーザからの入力に応答して複数のパルス電気波形を定義するように構成されたプロセッサとを含む。パルス電気波形は、例えば、ユーザ入力に応答して定義することができる。更に、プロセッサは、パルス電気波形の周期の最大公約数を計算し、パルス電気波形のパルス幅の和を計算するように構成される。更に、プロセッサは、最大公約数が和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、パルス電気波形を用いて遠隔測定回路によって神経刺激デバイスにおける複数のタイミングチャンネルをプログラムするように構成される。タイミングチャンネルは、いかなるパルスも別のパルスと時間的に重複しないような方式でプログラムすることができる。
【0016】
一実施形態では、タイミングチャンネルのうちの少なくとも2つは、共通の電極を用いてプログラムされており、パルス電気波形における周期は異なる。任意的な実施形態では、プロセッサは、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置するように更に構成され、複数のパルス電気波形は、この単一のパルス波形を含み、この場合、複数のパルス電気波形は、この単一のパルス波形を含むことになり、タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くは、これらの2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムすることが可能になる。例えば、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形における周期が等しい場合には、これらのパルス電気波形は、単一のパルス波形で交互配置することができる。一実施形態では、プロセッサは、患者に治療を提供するために、刺激エネルギが神経刺激デバイスからプログラムされたパルス電気波形に従って送出されるようにタイミングチャンネルをプログラムするように構成される。例えば、患者が有する異なる組織領域は、送出される刺激エネルギをそれぞれ用いて刺激することができる。
【0017】
本発明の他の及び更に別の態様及び特徴は、本発明を限定ではなく例示を意図した以下に続く好ましい実施形態の詳細説明から明らかであろう。
【0018】
図面は、本発明の好ましい実施形態の設計及び有利性を示しており、これらの図面では、類似の要素を共通の参照番号で表記している。上記に列記した及び他の本発明の利点及び目的が如何に達成されるかをより明快に理解するために、上記に簡単に説明した本発明のより具体的な説明を添付図面に例示する本発明の特定的な実施形態を参照して行う。これらの図面は、単に本発明の典型的な実施形態を示し、従って、これらの図面は、本発明の範囲の限定と考えるべきではないという理解の下に、添付図面を用いて本発明を更に具体的かつ詳細に以下に説明かつ解説する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】複数のタイミングチャンネルにおいてプログラムされたパルス電気波形のパルス間の重複を防止するための従来技術における技術を示すタイミング図である。
【図2】本発明によって構成された脊髄刺激(SCS)システムの実施形態の平面図である。
【図3】図2のSCSシステムに使用される埋め込み可能パルス発生器(IPG)の概略図である。
【図4】図2のSCSシステムの患者に対して使用する際の平面図である。
【図5】図2のSCSシステムに対して使用することができる遠隔制御器の平面図である。
【図6】図5の遠隔制御器の内部構成要素のブロック図である。
【図7】図2のSCSシステムに対して使用することができる臨床医のプログラム作成器の構成要素のブロック図である。
【図8】図2のSCSシステムによって第1のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる2つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図9】図2のSCSシステムによって第2のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる2つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図10】図2のSCSシステムによって第3のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる3つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図11】図2のSCSシステムによって第4のパルス電気波形セットを用いてプログラムされる3つのタイミングチャンネルを示すタイミング図である。
【図12】図2のSCSシステムによってパルス電気波形のうちの2つが単一のパルス電気波形に組み合わされることを示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に続く説明は、脊髄刺激(SCS)システムに関する。しかし、本発明は、SCSにおける用途に十分に適するが、その最も広義の態様ではそのように限定することができないことは理解されるものとする。より正確には、本発明は、組織を刺激するのに使用されるあらゆる種類の埋め込み可能電気回路と併用することができる。例えば、本発明は、ペースメーカー、細動除去器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、連係した体肢運動をもたらすように構成された刺激器、皮質刺激器、脳深部刺激器、末梢神経刺激器、微小刺激器の一部として、又は尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼、頭痛などを治療するように構成されたあらゆる他の神経刺激器に対して使用することができる。
【0021】
図2を参照すると、例示的なSCS神経刺激システム10は、一般的に、1つ又はそれよりも多くの(この場合、2つの)埋め込み可能刺激リード12、埋め込み可能パルス発生器(IPG)14、外部遠隔コントローラRC16、臨床医のプログラム作成器(CP)18、外部試験刺激器(ETS)20、及び外部充電器22を含む。
【0022】
IPG14は、アレイで構成された複数の電極26を担持する刺激リード12に1つ又はそれよりも多くの経皮リード延長部24を通じて物理的に接続される。図示の実施形態では、刺激リード12は経皮リードであり、この目的のために電極26は、刺激リード12に沿って縦列で配置することができる。別の実施形態では、電極26は、単一のパドルリード上に2次元パターンで配置することができる。以下により詳細に説明するが、IPG14は、電気刺激エネルギをパルス電気波形(すなわち、電気パルスの時系列)の形態で刺激パラメータセットに従って電極アレイ26に送出するパルス発生回路を含む。
【0023】
刺激リード12には、経皮リード延長部28及び外部ケーブル30を通じてETS20を物理的に接続することができる。IPG14と類似のパルス発生回路を有するETS20もまた、電気刺激エネルギをパルス電気波形の形態で刺激パラメータセットに従って電極アレイ26に送出する。ETS20とIPG14との主な相違点は、ETS20が、供給される刺激の応答性を試すために、刺激リード12が埋め込まれた後でかつIPG14の埋め込みの前に試行ベースに使用される埋め込み不能デバイスである点である。例示的なETSの更なる詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に説明されている。
【0024】
RC16は、双方向RF通信リンク32を通じてETS20を遠隔測定(テレメトリ)制御するのに使用することができる。IPG14及び刺激リード12が埋め込まれた状態で、双方向RF通信リンク34を通じてIPG14を遠隔測定制御するためにRC16を使用することができる。そのような制御は、IPG14を起動又は停止させ、異なる刺激パラメータセットを用いてプログラムすることを可能にする。IPG14は、プログラムされた刺激パラメータを修正して、IPG14によって出力される電気刺激エネルギの特性を能動的に制御するように作動させることができる。以下により詳細に説明するが、CP18は、手術室及び予後の診察においてIPG14及びETS20をプログラムするための詳細な刺激パラメータを臨床医に供給する。
【0025】
CP18は、IR通信リンク36を通じてRC16を通してIPG14又はETS20と間接的に通信することによって上述の機能を実行することができる。代替的に、CP18は、RF通信リンク(図示せず)を通じてIPG14又はETS20と直接通信することができる。CP18によって供給され、臨床医によって詳細に定められた刺激パラメータは、RC16の独立型モードにおける(すなわち、CP18の支援なしの)作動によって刺激パラメータを後に修正することができるようにRC16をプログラムするのにも使用される。
【0026】
外部充電器22は、誘導リンク38を通じてIPG14を経皮的に充電するのに使用される可搬式デバイスである。簡潔化の目的で、外部充電器22の詳細内容に対しては、本明細書では説明しない。外部充電器の例示的な実施形態の詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に開示されている。IPG14をプログラムし終わり、その電源を外部充電器22によって充電又はそうでなければ補充し終わった状態で、IPG14は、RC16又はCP18がなくてもプログラムされた通りに機能することができる。
【0027】
次に、図3を参照して、刺激リード12及びIPG14の外部機能を簡単に以下に説明する。刺激リードの一方12(1)は、8つの電極26(E1〜E8とラベル付けしている)を有し、他方の刺激リード12(2)は、8つの電極26(E9〜E16とラベル付けしている)を有する。リード及び電極の実際の個数及び形状は、当然ながら目標とする用途に従って変化することになる。IPG14は、電子構成要素及び他の構成要素(以下により詳細に説明する)を収容するための外側ケース40と、電極26を外側ケース40内の電子機器に電気的に接続する方式で刺激リード12の近位端が嵌合するコネクタ42とを含む。外側ケース40は、チタンのような導電性の生体適合性材料で構成され、内部電子機器が体組織及び体液から保護される密封区画を形成する。一部の場合には、外側ケース40は、電極として機能することができる。
【0028】
IPG14は、バッテリと、IPG14内にプログラムされた刺激パラメータセットに従って電気刺激エネルギをパルス電気波形の形態で電極アレイ26に送出するパルス発生回路とを含む。そのような刺激パラメータは、アノード(正)、カソード(負)として作動され、かつ停止(ゼロ)される電極を定める電極組合せと、各電極(再分割電極構成)に割り当てられる刺激エネルギの百分率と、パルス振幅(IPG14が電極アレイ26に定電流又は定電圧のいずれを供給するかに依存してミリアンペア又はボルトで測定される)、パルス幅(マイクロ秒で測定される)、及びバースト率(刺激印加持続時間X及び刺激停止持続時間Yとして測定される)を定義する電気パルスパラメータとを含むことができる。
【0029】
電気刺激は、1つをIPGケースとすることができる2つ(又はそれよりも多く)の作動電極の間で発生することになる。刺激エネルギは、単極又は多重極(例えば、二重極、三重極等)の方式で組織に伝達することができる。単極刺激は、リード電極26のうちで選択された1つがIPG14のケースと共に作動され、従って、選択された電極26とケースとの間で刺激エネルギが伝達される場合に発生する。二重極刺激は、リード電極26のうちの2つがアノードとカソードとして作動され、従って、選択された電極26の間で刺激エネルギが伝達される場合に発生する。例えば、第1のリード12(1)上の電極E3をアノードとして作動させることができ、同時に第2のリード12(1)上の電極E11をカソードとして作動させることができる。三重極刺激は、リード電極26のうちの3つが、2つをアノードとし、残りの1つをカソードとして、又は2つをカソードとし、残りの1つをアノードとして作動される場合に発生する。例えば、第1のリード12上の電極E4及びE5は、アノードとして作動させることができ、同時に第2のリード12上の電極E12は、カソードとして作動される。
【0030】
刺激エネルギは、電極の間で単相電気エネルギ又は多相電気エネルギとして送出することができる。単相電気エネルギは、全てが正(アノード性)又は全てが負(カソード性)のいずれかである一連のパルスを含む。多相電気エネルギは、正と負の間で交替する一連のパルスを含む。例えば、多相電気エネルギは、カソード性(負)の刺激パルスと、組織を通じた直接的な電流電荷転送を防止し、それによって電極の劣化及び細胞の創傷を回避するために刺激パルスの後に発生するアノード性(正)の再充電パルスとを各々が含む一連の2相パルスを含むことができる。すなわち、電荷は、電極における刺激期間(刺激パルスの長さ)中に電流によって電極−組織界面を通じて伝達され、次に、同じ電極における再充電期間(再充電パルスの長さ)中に反対の極性の電流によって電極−組織界面から引き戻される。再充電は、能動的(すなわち、電流を逆転させるためにエネルギが消費される)又は受動的(すなわち、蓄積される電荷が回路を通じて放電されるように回路を連結し合わせることによって回路が電流を逆転させることが可能になる)とすることができる。
【0031】
図示の実施形態では、IPG14は、電極の各々から流れる電流のマグニチュードを個々に制御することができる。この場合、各電極に対する独立した電流供給源からの個別電流調整振幅を選択的に発生させることができる電流発生器を有することが好ましい。このシステムは、本発明を利用するのに最適であるが、本発明と共に使用することができる他の刺激器は、電圧調整出力を有する刺激器を含む。個々にプログラマブルな電極振幅は、精密な制御を提供する上で最適であるが、プログラミングにおける制御はそれ程精密ではないが電極にわたって切り換えられる単一の出力ソースを使用することができる。本発明と共に電流及び電圧混合調整デバイスを使用することができる。IPGの詳細な構造及び機能を解説する更なる詳細内容は、米国特許第6,516,227号明細書及び第6,993,384号明細書により完全に説明されている。
【0032】
電気神経刺激システム10は、IPGではなく、刺激リード12に接続した埋め込み可能受信機−刺激器(図示せず)を代替的に利用することができることに注意すべきである。この場合、埋め込まれた受信機、並びに受信機−刺激器に命令する制御回路に電力供給するための電源、例えば、バッテリは、受信機−刺激器に電磁リンクを通じて誘導結合された外部コントローラに収容されることになる。データ/電力信号は、埋め込まれた受信機−刺激器の上に配置されたケーブル接続の送信コイルから経皮的に結合される。埋め込まれた受信機−刺激器は、信号を受信して制御信号に従って刺激を発生させる。
【0033】
図4に示しているように、電極リード12は、患者44の脊椎46内に埋め込まれる。刺激リード12の好ましい配置は、刺激される脊髄区域の近くの硬膜に隣接し、すなわち、その上に収まる。電極リード12が脊椎46を出る位置の近くの空間の欠如に起因して、一般的にIPG14は、腹部内又は臀部上方のいずれかにおける外科手術によって作成されたポケット内に埋め込まれる。IPG14は、当然ながら患者の身体の他の位置に埋め込むことができる。リード延長部24は、電極リード12の出口ポイントから離れてIPG14を設置するのを容易にする。図4に示しているように、CP18は、RC16を通じてIPG14と通信を行う。
【0034】
ここで、図5を参照してRC16の一例示的実施形態を以下に説明する。先に解説したように、RC16は、IPG14、CP18、又はETS20と通信を行うことができる。RC16は、内部構成要素(プリント回路基板(PCB)を含む)を収容するケーシング50と、ケーシング50の外面によって担持された照明表示画面52及びボタンパッド54とを含む。図示の実施形態では、表示画面52は照明フラットパネル表示画面であり、ボタンパッド54は、フレックス回路の上に位置決めされた金属ドームを有する膜スイッチと、PCBに直接接続したキーパッドとを含む。任意的な実施形態では、表示画面52は、タッチスクリーン機能を有する。ボタンパッド54は、IPG14を起動及び停止することを可能にし、IPG14内の刺激パラメータの調節又は設定を可能にし、画面の間の選択を可能にする複数のボタン56、58、60、及び62を含む。
【0035】
図示の実施形態では、ボタン56は、IPG14を起動及び停止するように作動させることができるオン/オフボタンとして機能する。ボタン58は、RC16が、画面表示及び/又はパラメータの間で切り換わることを可能にする選択ボタンとして機能する。ボタン60及び62は、パルス振幅、パルス幅、及びパルス繰返し数を含むIPG14によって発生するパルスの刺激パラメータのうちのいずれかを増分又は減分させるように作動させることができる上/下ボタンとして機能する。例えば、選択ボタン58は、RC16を上/下ボタン60、62によってパルス振幅を調節することができる「パルス振幅調節モード」、上/下ボタン60、62によってパルス幅を調節することができる「パルス幅調節モード」、及び上/下ボタン60、62によってパルス繰返し数を調節することができる「パルス繰返し数調節モード」に入れるように作動させることができる。代替的に、各刺激パラメータに対して専用上/下ボタンを設けることができる。刺激パラメータを増分又は減分するのに、上/下ボタンを使用する代わりに、ダイヤル、スライダバー、又はキーパッドのようなあらゆる他の種類の作動機構を使用することができる。RC16の機能及び内部構成要素の更なる詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に開示されている。
【0036】
図6を参照して、ここで例示的なRC16の内部構成要素を以下に説明する。一般的に、RC16は、プロセッサ64(例えば、マイクロコントローラ)と、プロセッサ64による実行のための作動プログラム、並びにルックアップテーブル(以下に説明する)内の刺激パラメータセットを格納するメモリ66と、入力/出力回路、特に、刺激パラメータをIPG14に出力し、ステータス情報をIPG14から受信するための遠隔測定(テレメトリ)回路68、及びボタンパッド54から刺激制御信号を受け取り、表示画面52(図5に示している)にステータス情報を伝達するための入力/出力回路70とを含む。RC16の他の機能を制御することに加えて、プロセッサ64は、ボタンパッド54のユーザ操作に応答して新しい刺激パラメータセットを発生させる。その後に、これらの新しい刺激パラメータセットは、遠隔測定回路68を通じてIPG14(又はETS20)に送信されることになる。RC16の機能及び内部構成要素の更なる詳細内容は、米国特許第6,895,280号明細書に開示されている。
【0037】
上記に簡単に解説したように、CP18は、複数の電極組合せのプログラミングを大幅に簡素化し、医師又は臨床医が、IPG14、並びにRC16内にプログラミングされる望ましい刺激パラメータを即座に判断することを可能にする。この場合、埋め込み後のIPG14のプログラミング可能なメモリ内の刺激パラメータの修正は、臨床医により、IPG14と直接通信を行うことができ、又はRC16を通じてIPG14と間接的に通信を行うことができるCP18を用いて実施される。すなわち、CP18は、医師又は臨床医が電極アレイ26の作動パラメータを修正するのに使用することができる。
【0038】
図4に示しているように、CP18の全体の外観は、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)のものとすることができ、実際に、指向プログラミングデバイスを含むように適切に構成され、本明細書に説明する機能を実施するようにプログラムされたPCを用いて実施することができる。この場合、プログラミング技術は、CP18内に含まれるソフトウエア命令を実行することによって実施することができる。代替的に、そのようなプログラミング技術は、ファームウエア又はハードウエアを用いて実施することができる。いずれの場合にも、CP18は、IPG14(又はETS20)によって発生する電気刺激の特性を能動的に制御することができ、患者のフィードバックに基づいて最適な刺激パラメータを判断し、その後に、この最適な刺激パラメータを用いてIPG14(又はETS20)をプログラムすることを可能にする。
【0039】
臨床医がこれらの機能を実行することを可能にするために、CP18は、マウス72、キーボード74、及びケース78に収容されたプログラミング表示画面76を含む。マウス72に加えて又は代替的に、ジョイスティック、又はキーボード74に付随するキーの一部として含まれる方向キーのような他の指向プログラミングデバイスを使用することができることを認めるべきである。図7に示しているように、一般的に、CP18は、プロセッサ80(例えば、中央演算装置(CPU))と、臨床医がIPG14及びRC16をプログラムすることを可能にするためにプロセッサ80を実行することができる刺激プログラミングパッケージ84を格納するメモリ82とを含む。以下により詳細に説明するあらゆる計算機能及び特定機能を含むCP18の他の機能を制御することに加えて、プロセッサ80は、ユーザ入力デバイス72、74のユーザ操作に応答して新しい刺激パラメータセットを発生させる。その後に、これらの新しい刺激パラメータセットは、以下に解説する適正な状況の下で、遠隔測定回路68を通じてIPG14(又はEPS20)及びRC16に送信されることになる。
【0040】
重要な点として、IPG14は、複数のタイミングチャンネルにわたって作動するようにCP18(又は代替的に、RC16)によってプログラムすることができる。具体的には、電極のあらゆる組合せをk個までの可能な群、すなわち、タイミングチャンネルに割り当てることができる。一実施形態では、kは、4に等しいとすることができる。タイミングチャンネルは、刺激される組織内に電界を生成するためにどの電極が電流を同期的に供給又は流出させるように選択されるかを識別する。CP18内のプログラミングソフトウエアは、所定のタイミングチャンネルの電極に対して、考えられるプログラマブル特徴の中でも取りわけ電極の極性、振幅、パルス繰返し数、及びパルス幅を含む刺激パラメータを設定するのに使用することができる。
【0041】
それぞれのタイミングチャンネルに割り当てられる電極組合せは、互いから完全に異なるものとすることができ、又は1つ又はそれよりも多くの共通電極を有することができる。背景技術で解説した事例を含む1つ又はそれよりも多くの共通電極がタイミングチャンネルに割り当てられる場合には、それぞれのタイミングチャンネル内で発生する電気パルスの間の重複を防止することが望ましい。CP18は、いかなるパルスの「押し出し」も必要としない方式で交互配置することができるパルス電気波形を用いてIPG14の複数のタイミングチャンネルをユーザが単純にプログラムすることを可能にすることにより、タイミングチャンネル間の重複刺激パルスを除去することができる。
【0042】
具体的には、図8を参照すると、可能性としてIPG14の2つのタイミングチャンネル(チャンネル1及びチャンネル2)を2つのパルス電気波形100a、100bそれぞれを用いてCP18によってプログラムすることができる。それぞれのタイミングチャンネルに割り当てられる電極組合せは、一般的に、2つの異なる領域(例えば、SCSの場合は背中の下部及び左腕)の治療をもたらすものになる。上記に簡単に解説したように、各タイミングチャンネルは、刺激される組織内に電界を生成するために電流を同期的に供給又は流出させるように選択される電極を識別し、各タイミングチャンネルに割り当てられる電極の振幅及び極性は変更することができる。この場合、米国特許第6,895,280号明細書に例示されているように、いずれかを特定のタイミングチャンネル内で送出される1つよりも多いパルス電気波形を存在させることができる。しかし、簡潔化及び明瞭化の目的で、各タイミングチャンネルには1つのパルス電気波形しか示していない。更に、図8に例示しているパルス電気波形は、本質的に単相であるが、タイミングチャンネルの間に送出されるパルス電気波形は、本質的に多相のものとすることができる。
【0043】
上述のように、CP18は、RC16を通じてIPG14を間接的にプログラムすることができる。第1のパルス電気波形100aは、時間周期t1及びパルス幅T1を有し、第2のパルス電気波形100bは、時間周期t2及びパルス幅T2を有する。これらのパルス電気波形100a、100bは、CP18のユーザインタフェース(マウス72又はキーボード74)によって受け取られる入力に応答して従来方式で定義することができる。次に、患者に治療を提供するために(例えば、患者が有する異なる組織領域をプログラムされたパルス電気波形100a、100bをそれぞれ用いて刺激することにより)、刺激エネルギをプログラムされたパルス電気波形100a、100bに従ってIPG14から複数のタイミングチャンネルを通じて送出することができる。
【0044】
CP18は、いかなるパルスの押し出しも必要としない(それによってタイミングチャンネル間の周波数同期又は他の問題を防止する)方式でパルス電気波形100a、100bを交互配置することができるか否かを時間周期t1、t2の最大公約数(GCD)関数とそれぞれのパルス電気波形100のパルス幅T1、T2の和とに基づいて判断することができる。具体的には、GCD(t1,t2)≧T1+T2である場合には、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要はなく、パルス電気波形100a、100bを交互配置することができると判断される。この目的のために、CP18は、時間周期t1、t2のGCDと、パルス幅T1、T2の和とを計算し、時間周期t1、t2のGCDがパルス幅T1、T2の和に等しいか又はそれよりも大きい場合には、パルス電気波形100a、100bを用いてタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。CP18は、波形100a、100b内のいかなるパルスも互いに時間的に重複しないように、パルス電気波形100a、100bを単純に交互配置することによってIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることができる。
【0045】
図示の実施形態では、時間周期t1は、2という単位値を有し、時間周期t2は、2という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、1という単位値を有する。この場合、GCD(t1,t2)≧T1+T2は、GCD(2,2)≧1+1になり、これは、2≧2になる。従って、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形100a、100bを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形100a、100bを用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。図8から、2つのパルス電気波形が同じ時間周期及び同じパルス幅を有する場合には、重複を防止するのにパルスを押し出すことを必要とせずに波形を交互配置することができることが分る。更に、パルスの一方が短いパルス幅を有し、他方が長いパルス幅を有する場合には、重複なしに依然として2つのパルスを適合させることができることが分る。
【0046】
しかし、この技術は、異なる時間周期を有するパルス電気波形にも適用することができる。例えば、図9を参照すると、可能性としてIPG14の2つのタイミングチャンネル(チャンネル1及びチャンネル2)は、波形100a、100bのパルス幅t1、t2が同じままに留まっているのに対して波形110a、110bの周期T1、T2が互いから異なることを除いて、図8に例示しているパルス電気波形100a、100bと類似の2つのパルス電気波形110a、110bを用いてCP18によってプログラムすることができる。この例では、図8に例示しているパルス電気波形100a、100b内のパルスのうちの一部を飛ばして、図9に例示するパルス電気波形110a(1つ置きに)、110b(パルス3つ毎に第2及び第3を)を定めている。
【0047】
図9に例示している例示的な事例では、時間周期t1は、4という単位値を有し、時間周期t2は、6という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、1という単位値を有する。この場合、GCD(t1,t2)≧T1+T2は、GCD(4,6)≧1+1になり、これは、2≧2になり、これは、真である。従って、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形110a、110bを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形112、114を用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。
【0048】
図8及び図9に例示している従来の事例では、IPG14の2つのタイミングチャンネルのみがプログラムされる。IPG14の2つよりも多いタイミングチャンネルをプログラムすることができることを認めるべきである。具体的には、図10を参照すると、可能性としてIPG14の3つのタイミングチャンネル(チャンネル1、チャンネル2、及びチャンネル3)は、3つのパルス電気波形120a、120b、120cそれぞれを用いてCP18によってプログラムすることができる。第1のパルス電気波形120aは、時間周期t1及びパルス幅T1を有し、第2のパルス電気波形120bは、時間周期t2及びパルス幅T2を有し、第3のパルス電気波形120cは、時間周期t3及びパルス幅T3を有する。従来の波形と同様に、これらのパルス電気波形120a、120b、120cは、CP18のユーザインタフェース(マウス72又はキーボード74)によって受け取られる入力に応答して従来方式で定義することができる。次に、患者に治療を提供するために(例えば、患者が有する異なる組織領域をプログラムされたパルス電気波形120a、120b、120cをそれぞれ用いて刺激することにより)、刺激エネルギをプログラムされたパルス電気波形120a、120b、120cに従ってIPG14から複数のタイミングチャンネルを通じて送出することができる。
【0049】
従来のパルス電気波形と同様に、CP18は、いかなるパルスの押し出しも必要としない(それによってタイミングチャンネル間の周波数同期を防止する)方式でパルス電気波形120a、120b、120cを交互配置することができるか否かを時間周期t1、t2、t3の最大公約数(GCD)関数とそれぞれのパルス電気波形120a、120b、120cのパルス幅T1、T2、T3の和とに基づいて判断することができる。この関数は、以下の通りに一般化することができる。GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Tx(xは、パルス電気波形(又はタイミングチャンネル)の個数である)である場合には、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す(どかせる)必要はなく、x個のパルス電気波形を交互配置することができると判断される。この目的のために、CP18は、時間周期t1,...,txのGCDと、パルス幅T1,...,Txの和とを計算し、時間周期t1,...,txのGCDがパルス幅T1,...,Txの和に等しいか又はそれよりも大きい場合には、x個のパルス電気波形を用いてタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。CP18は、波形内のいかなるパルスも互いに時間的に重複しないように、x個のパルス電気波形を単純に交互配置することによってIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることができる。
【0050】
図10に図示の実施形態では、時間周期t1は、6という単位値を有し、時間周期t2は、6という単位値を有し、時間周期t3は、3という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、1という単位値を有し、パルス幅T3は、1という単位値を有する。この場合、GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Txは、GCD(6,6,3)≧1+1+1になり、これは、3≧3になり、これは、真である。従って、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形120a、120b、120cを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形120a、120b、120cを用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。図10の例から、t1=t2≠t3、例えば、t1=t2=2t3(又はf1=f2=(1/2)f3、この場合fは周波数)である場合には、重複を防止するのにパルスを押し出すことを必要とせずに3つのパルス電気波形を交互配置することができることが分る。
【0051】
取りわけ、2つよりも多いタイミングチャンネルが使用される一部の状況では、GCD基準は、そうでなければパルス押し出しを必要とせずにプログラミング可能にすることができるパルス電気波形の使用を不要に阻止する場合がある。従って、GCD基準には例外又は注意事項が存在することができる。一事例では、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス電気波形に組み合わせることができる場合には、GCD基準は、この単一のパルス電気波形(構成パルス電気波形の組合せの後の)とあらゆる他の利用可能な電気波形とに適用すべきである。
【0052】
例えば、図11を参照すると、可能性としてIPG14の3つのタイミングチャンネルは、3つのパルス電気波形130a、130b、130cそれぞれを用いてCP18によってプログラムすることができる。第1のパルス電気波形130aは、時間周期t1及びパルス幅T1を有し、第2のパルス電気波形130bは、時間周期t2及びパルス幅T2を有し、第3のパルス電気波形130cは、時間周期t3及びパルス幅T3を有する。この例示的な事例では、時間周期t1は、3という単位値を有し、時間周期t2は、6という単位値を有し、時間周期t3は、6という単位値を有し、パルス幅T1は、1という単位値を有し、パルス幅T2は、2という単位値を有し、パルス幅T3は、2という単位値を有する。
【0053】
この場合、GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Txは、GCD(3,6,6)≧1+2+2になり、これは、3≧5になり、これは、偽である。すなわち、GCD基準は、パルス電気波形130a、130b、130cの更に別の操作なしには、パルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式でパルス電気波形130a、130b、130cを交互配置することができないことを示している。しかし、図12に示しているように、第2のパルス電気波形130bと第3のパルス電気波形130cとが、単一のパルス電気波形130dで交互配置された場合には、得られる時間周期t4は、3という単位値になり、得られるパルス幅T4は、2という単位値に留まることになる。この場合、GCD(t1,...,tx)≧T1+...+Txは、GCD(3,3)≧1+2になり、これは、3≧3になり、これは、真である。すなわち、実際にはパルス重複を防止するのにパルスを押し出す必要のない方式で、パルス電気波形130a、130b、130cを交互配置することができる。従って、CP18は、ユーザが、パルス電気波形130a、130b、130cを用いてIPG14のタイミングチャンネルをプログラムすることを可能にする。チャンネル2と3の1つのタイミングチャンネルへの組合せを実際には真に発生させる必要はなく、手を加えることなく単に組み合わせることができることに注意すべきである。言い換えれば、チャンネル2と3を異なるチャンネルを分割することによって作成することができる場合には、チャンネル1、2、及び3は有効な組合せである。
【0054】
すなわち、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を可能な場合に交互配置する効果は、そうでなければパルス電気波形の全ての周期のGCDがパルス電気波形のパルス幅の和と等しくないか又はそれよりも大きくないという理由から許容可能にすることができない波形をIPG14内にプログラムすることを可能にすることができる。図8〜図12に関して、CP18がプログラミング機能を実行するように説明したが、代替的に、RC16を使用することができる。この場合には、RC16は、いかなるパルスの「押し出し」も必要としない方式で交互配置することができるパルス電気波形を用いてIPG14の複数のタイミングチャンネルをユーザが単純にプログラムすることを可能にすることにより、タイミングチャンネル間の周波数同期を除去することができる。この場合、RC16のプロセッサ64は、パルス電気波形の定義機能及び計算機能を実行するのに使用され、RC16の遠隔測定回路68は、IPG14をプログラムするのに使用される。
【0055】
本発明の特定的な実施形態を図示して説明したが、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定するように意図しておらず、当業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び修正を加えることができることが明らかであろう。すなわち、本発明は、特許請求によって定められる本発明の精神及び範囲に含めることができる代替、修正、及び均等物を網羅するように意図している。
【符号の説明】
【0056】
12 リード
14 埋め込み可能パルス発生器(IPG)
16 外部遠隔コントローラ(RC)
18 プログラム作成器(CP)
20 外部試験刺激器(ETS)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャンネル神経刺激システムにおけるパルス重複を防止する方法であって、
周期及びパルス幅を各々が有する複数のパルス電気波形を定義する段階と、
前記パルス電気波形の前記周期の最大公約数を計算する段階と、
前記パルス電気波形の前記パルス幅の和を計算する段階と、
前記最大公約数が前記和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、神経刺激システムにおける複数のタイミングチャンネルを前記パルス電気波形を用いてプログラムすることを可能にする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のタイミングチャンネルのうちの少なくとも2つが、共通電極を用いてプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のパルス電気波形は、異なる周期を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タイミングチャンネルは、外部制御デバイスによってプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のパルス電気波形は、少なくとも3つのパルス電気波形を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス電気波形は、ユーザ入力に応答して定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タイミングチャンネルは、どのパルスも別のパルスと時間的に重複しないようにプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置する段階を更に含み、
前記複数のパルス電気波形は、前記単一のパルス波形を含み、前記タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くが、前記2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムされることが可能にされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形の前記周期は、等しいことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
患者に治療を提供するために前記プログラムされたパルス電気波形に従って刺激エネルギを前記神経刺激システムから送出する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記送出される刺激エネルギは、前記患者の異なる組織領域をそれぞれ刺激することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
神経刺激デバイスのための外部制御デバイスであって、
ユーザから入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースと、
遠隔測定回路と、
ユーザからの前記入力に応答して複数のパルス電気波形を定義し、該パルス電気波形の周期の最大公約数を計算し、該パルス電気波形のパルス幅の和を計算し、かつ該最大公約数が該和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、前記遠隔測定回路を通じて、神経刺激デバイスにおける複数のタイミングチャンネルを該パルス電気波形を用いてプログラムするように構成されたプロセッサと、
を含むことを特徴とする外部制御デバイス。
【請求項13】
前記複数のタイミングチャンネルのうちの少なくとも2つが、共通の電極を用いてプログラムされることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項14】
前記複数のパルス電気波形は、異なる周期を有することを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項15】
前記複数のパルス電気波形は、少なくとも3つのパルス電気波形を含むことを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項16】
前記パルス電気波形は、ユーザ入力に応答して定義されることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項17】
前記タイミングチャンネルは、どのパルスも別のパルスと時間的に重複しないように前記神経刺激デバイスにおいてプログラムされることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項18】
前記プロセッサは、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置するように更に構成され、
前記複数のパルス電気波形は、前記単一のパルス波形を含み、前記タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くが、前記2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムされることを可能にされる、
ことを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項19】
前記2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形の周波数が等しいことを特徴とする請求項18に記載の外部制御デバイス。
【請求項20】
前記プロセッサは、患者に治療を提供するために刺激エネルギが前記プログラムされたパルス電気波形に従って前記神経刺激デバイスから送出されるように前記タイミングチャンネルをプログラムするように構成されることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項21】
前記プロセッサは、患者の異なる組織領域が前記送出される刺激エネルギによってそれぞれ刺激されるように前記タイミングチャンネルをプログラムするように構成されることを特徴とする請求項20に記載の外部制御デバイス。
【請求項1】
マルチチャンネル神経刺激システムにおけるパルス重複を防止する方法であって、
周期及びパルス幅を各々が有する複数のパルス電気波形を定義する段階と、
前記パルス電気波形の前記周期の最大公約数を計算する段階と、
前記パルス電気波形の前記パルス幅の和を計算する段階と、
前記最大公約数が前記和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、神経刺激システムにおける複数のタイミングチャンネルを前記パルス電気波形を用いてプログラムすることを可能にする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のタイミングチャンネルのうちの少なくとも2つが、共通電極を用いてプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のパルス電気波形は、異なる周期を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タイミングチャンネルは、外部制御デバイスによってプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のパルス電気波形は、少なくとも3つのパルス電気波形を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス電気波形は、ユーザ入力に応答して定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タイミングチャンネルは、どのパルスも別のパルスと時間的に重複しないようにプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置する段階を更に含み、
前記複数のパルス電気波形は、前記単一のパルス波形を含み、前記タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くが、前記2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムされることが可能にされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形の前記周期は、等しいことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
患者に治療を提供するために前記プログラムされたパルス電気波形に従って刺激エネルギを前記神経刺激システムから送出する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記送出される刺激エネルギは、前記患者の異なる組織領域をそれぞれ刺激することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
神経刺激デバイスのための外部制御デバイスであって、
ユーザから入力を受け取るように構成されたユーザインタフェースと、
遠隔測定回路と、
ユーザからの前記入力に応答して複数のパルス電気波形を定義し、該パルス電気波形の周期の最大公約数を計算し、該パルス電気波形のパルス幅の和を計算し、かつ該最大公約数が該和に等しいか又はそれよりも大きい場合に、前記遠隔測定回路を通じて、神経刺激デバイスにおける複数のタイミングチャンネルを該パルス電気波形を用いてプログラムするように構成されたプロセッサと、
を含むことを特徴とする外部制御デバイス。
【請求項13】
前記複数のタイミングチャンネルのうちの少なくとも2つが、共通の電極を用いてプログラムされることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項14】
前記複数のパルス電気波形は、異なる周期を有することを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項15】
前記複数のパルス電気波形は、少なくとも3つのパルス電気波形を含むことを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項16】
前記パルス電気波形は、ユーザ入力に応答して定義されることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項17】
前記タイミングチャンネルは、どのパルスも別のパルスと時間的に重複しないように前記神経刺激デバイスにおいてプログラムされることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項18】
前記プロセッサは、2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形を単一のパルス波形で交互配置するように更に構成され、
前記複数のパルス電気波形は、前記単一のパルス波形を含み、前記タイミングチャンネルのうちの2つ又はそれよりも多くが、前記2つ又はそれよりも多くのパルス波形を用いてそれぞれプログラムされることを可能にされる、
ことを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項19】
前記2つ又はそれよりも多くのパルス電気波形の周波数が等しいことを特徴とする請求項18に記載の外部制御デバイス。
【請求項20】
前記プロセッサは、患者に治療を提供するために刺激エネルギが前記プログラムされたパルス電気波形に従って前記神経刺激デバイスから送出されるように前記タイミングチャンネルをプログラムするように構成されることを特徴とする請求項12に記載の外部制御デバイス。
【請求項21】
前記プロセッサは、患者の異なる組織領域が前記送出される刺激エネルギによってそれぞれ刺激されるように前記タイミングチャンネルをプログラムするように構成されることを特徴とする請求項20に記載の外部制御デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−503017(P2013−503017A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527048(P2012−527048)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/047037
【国際公開番号】WO2011/025983
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(507213592)ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション (34)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/047037
【国際公開番号】WO2011/025983
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(507213592)ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション (34)
【Fターム(参考)】
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