説明

有効微生物群パック。

【課題】 自然界に存在する菌の中には、カビや悪臭の基となる菌を抑制するといった制菌・消臭効果を発揮する有効微生物群があることが知られている。しかしながら長期保存が可能な乾燥休眠状態の有効微生物群は水に溶かした後大なる効果を発揮するが、この制菌・消臭効果は経時により活性が低下する傾向は免れない。
【解決手段】 本発明は、長時間休眠状態を保てる乾燥状態の有効微生物群を、浸透性のある多孔袋に収容し、使用直前に水溶化させる事で、経時による微生物群の活性低下という問題点を解決し、生きた微生物の持つ制菌・消臭効果を最大限発揮させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透性のある多孔袋に収容した事を特徴とする有効微生物群パックに関する。
【背景技術】
【0002】
茶葉・薬等で多く使用されている、いわゆるティーパックは粉末状態の物を水溶するときに発生する濾過や残留物除去の手間を省く手段として使われている。
【0003】
自然界に存在する菌の中には、カビや悪臭等の基となる菌を抑制するといった制菌・消臭効果を発揮する有効微生物群があることが知られている。(特許文献1参照)しかしながら、長期保存が可能な乾燥状態の有効微生物群は水に溶かした後、大なる効果を発揮するが、この制菌・消臭効果は、経時により活性が低下する傾向は免れない。
現状、微生物を「浸水性のある素材」となる袋に入れ、水の中に活性状態の微生物を放出する方法は、業務用としては一部の分野で使用されている。
しかしながら、その全てが、構造の一部としての位置づけとして使用され、単に、微生物を水に放出して活性化させる事を目的としている。
本考案は、「浸水性のある袋に入った微生物を、水に放出することで活性化させる」という部分ではなく、使用者が毎回の使用ごと直前に、最も活性化した状態の「微生物溶液」を提供し、微生物ならではの特質を十分発揮させ、「広く日常的に使用する為」という所にある。
これは、微生物ならではの特徴に深く関係する部分となる。
微生物には、「水溶化した直後」が最も消臭効果を発揮する特徴があるが、これまで、消臭・制菌分野で、この特徴を十分に生かし得た商品はない。
なぜなら、既に微生物を水溶化することによって消臭効果をもたらす製品は数多くあるものの、時間の経過による活性低下(微生物の死滅による)は解決されておらず、必ずしも使用時に微生物が活性状態にはない。(既に水溶化され販売している液状消臭製品に含有する微生物の数と比較すると、水溶化直後の微生物の数は前者の10の7乗以上と予測される)
また、粉末乾燥の微生物は、休眠状態にあり、消臭機能を発揮しない。
粉末乾燥の微生物を使用する度、水に溶かして上澄み液を使用すると、活性化した微生物溶液を作る事ができるが、残留物がスプレイヤーの目詰まりを起こすなど、残留物の処理に手間がかかる。
以上、これまでの製品では微生物の効果を最大限生かすことができず、その結果として「消臭効果が低い」「使用時の手間がかかる」といった理由から、化学的なものを用いず、自然界にある微生物の力で消臭するといった理想的な商品にも関わらず、これまで一般に広く使用されてこなかった。
本考案は、この微生物製品を、一般に広く流通させ、地球環境浄化を目指すところにある。
その為には、「微生物の力を最大限発揮させる方法」「利便性」「安価」の3項目の解決が不可欠となる。
本考案は、微生物ならではの、この3項目を解決するために考案された、使用者が使用直前に微生物を活性化する「ティーパック様式」を提案するものである。
1:使用時に、微生物を最も活性状態にし、最大限の効果を発揮させる。
2:スプレイヤーの目詰まり等、残留物除去の手間が省け、使用者の利便性を高める。
3:乾燥状態の微生物は、温度の影響を受けにくく、軽量であることから、運搬・保管などの流通コストを軽減し、消臭効果は最大限でありながら安価で提供する事が可能となる。
このように、本考案は、単に、微生物を「水に溶かし出す」事ではなく、使用者に、簡単にその都度「最も効果のある活性状態の微生物溶液」を提供できることにあり、同時に「利便性」「安価」の必須項目を解決する。
参考1:微生物は、大腸菌O−157を約1時間で8割消滅させ、24時間後には生存数ゼロ、さらに2日経ってもその力が持続するといった、強力な抑制力を持っている。大腸菌やサルモレナ菌についても数時間で同様の結果が確認されている。
また、有効微生物群をコメのとぎ汁で培養し、ヘドロの川を浄化した事例も報告されており、多くの人達が日常的に微生物製品を使用する事は、地球規模の環境に繋がる可能性が大きい。
参考2:「パックいり切り餅」は、いろいろな商品に広く使われている「湿気を入れないパック」に何の特徴もない「切ったお餅」を入れる、という極めて単純な事で有りながら、使用者に大きな利便性をもたらす物である。
同様に、網戸(虫を通さない網を単に扉に応用)等々、広く使われている方法を用いて画期的に利便性を高める製品は少なくない。
現状は、混ぜたら危険と言われる化学的除菌・消臭剤が社会一般に普及している。本考案は「人に優しい物は、地球にも優しい」という安心・安全な制菌・消臭剤、エコロジーに直結する身近な製品として広く普及できる物である。
本考によって、地球規模の環境改善の実現を確信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3942783号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術における有効微生物群の活性度の低下を防ぐ為になされたもので、必要な時に水に浸漬させる事により、制菌・消臭効果の大なる上澄み溶液を利用させる有効微生物群パックを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、生きた有効微生物群の制菌・消臭の力を、より効果的に発揮できるよう、1回に使い切る分量を個別に浸透性のある多孔袋に収納する事を特徴とした有効微生物群パックである。
【発明の効果】
【0007】
本多孔袋状パックは、乾燥して休眠状態の有効微生物群を収容し、水の入った噴霧用のスプレイヤー等に入れる事で、その上澄み溶液の制菌・消臭効果を最大限に発揮させる事ができる。水を入れた直後が最も微生物が活性化し、その効果が長く持続し得ないという、微生物ならではの特質を日常的に利用できる唯一の方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の有効微生物群パックの一例を示す斜視図
【図2】図1の有効微生物群パックの使用状態を示す正面図
【発明を実施する為の形態】
【0009】
図1は、有効微生物群パックの一例を示す。(2)は乾燥状態の有効微生物群であって、例えばアゾトパクター、枯草菌、酪酸菌、乳酸菌、糸状菌等の有効微生物群から選択した菌類を培養したものである。
この粉末有効微生物群は休眠状態にあるが、水分に溶解させると活性状態になり、制菌・消臭効果を発揮する。
(2)の有効微生物群を(1)のパックに入れ、外にこぼれ出ないようのりしろ(3)で密閉状態をつくる。
図2は、パック(1)をスプレイヤー(4)に入れて適量の水(5)を投入した状態を示す。(5)は浄水が好ましい。しばらく時間が経過するとパック(1)から溶け出した有効微生物群が活性化し、制菌・消臭効果の高い溶液ができる。
このように、乾燥して休眠状態の有効微生物群を浸透性のある多孔状パックに収容する事で、簡単に最も活性化した状態の有効微生物溶液を提供する事が可能となり、スプレイヤーでカーテン・じゅうたん・室内の対象物に噴霧すると、良好な制菌・消臭効果が得られる。
変形例としては、上澄み液に野菜を浸す事により、野菜に付着した残留農薬を無害化する効果がある。
また、微生物が活性する事で、水質の浄化に加え、大量のミネラルやアミノ酸を排出する事から、入浴剤としての効果がある。
【符号の説明】
【0010】
1 浸透性のある多孔袋状パック
2 乾燥状態の有効微生物群
3 のりしろ
4 スプレイヤー
5 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養し乾燥状態の有効微生物群を、浸透性のある多孔袋に収容した事を特徴とする消臭・制菌用有効微生物群パック。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−9924(P2013−9924A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154299(P2011−154299)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(510314459)スマイルバンク株式会社 (1)
【Fターム(参考)】