説明

有害ガス浄化及び中和装置

【課題】実験室や研究室、または化学工程を遂行する工場や医薬品を取扱う病院などで発生する各種揮発性有機化合物や悪臭、またはヒュームのような有害ガスを効果的に浄化及び中和させるための有害ガス浄化及び中和装置を提供すること。
【解決手段】吸気口、排気口、及びコントロールパネルをもつ本体と、上記本体内に設けられ、吸気口から排気口に向かって順次に位置するプリフィルター、第1フィルター、第1及び第2中和ペレットベッド、そして第2フィルターと、上記第1及び第2中和ペレットベッドの間に位置するブロワー及び駆動手段から構成され、有害ガスを効果的に浄化及び中和させると共に、微細粉塵やほこりを効果的に包集可能であるので、研究員や実験修行者、化学工場作業者、または医療人の健康維持に一助となることができる一方、フィルター及び中和ペレットベッドがカートリッジ形態で構成されるので、メインテナンス性が高くて、他の設備や配管などを付加的に連結する必要性が全くないので、独立的なコンパクトな形態及び機能をもっているので、高い使用便宜性を有し、騒音が
小さくて静粛な運転が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大学や、企業、研究所などの実験室や研究室、半導体や、化学製品生産工場、病院などでの研究業務遂行や製品生産時に発生する揮発性有機化合物や、悪臭、ヒュームのような有害ガスを、効果的に浄化及び中和させるための有害ガス浄化及び中和装置に関する。より詳しくは、浄化フィルターと、中和ペレットベッド、ブロワーが内蔵され、独立的な形態の移動型またはスタンド型の室内用有害ガス浄化及び中和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の有害ガス浄化及び中和装置は、主に火力発電所や廃棄物焼却場、または大量の燃焼ガス発生工場、ドライエッチング工程を使用する半導体製造工場などに固定式の大規模設備に提供されてきた。
【0003】
通常、これらの装置は乾式と湿式に大別される。
有害ガス浄化用乾式装置は、高電圧を用いた集塵及び除塵設備と有害成分を熱分解するための焼却設備及びフィルター設備とを備えている。有害ガス浄化及び浄化用湿式設備は、上記の設備の他に、散水による有害成分包集設備と中和設備及び廃水処理設備とフィルター設備とを備えている。
【0004】
しかしながら、これら装置は大部分燃焼炉や焼却炉から発生する燃焼ガスまたはドライエッチング工程設備から発生する有害ガスを、処理して外気に直接排出する屋外用の大規模燃焼ガス有害ガス浄化及び/または中和設備に対するものであって、独立的な形態を有する移動型またはスタンド型の小規模室内用有害ガス浄化及び中和装置に関するものではない。
【0005】
一方、最近、家庭用に市販されている空気浄化器や空気清浄機は、独立的な形態を有する移動型またはスタンド型の小規模の室内用装置であるが、これらは家庭や事務室など、住居用空間内の室内空気を浄化するための本来の目的及び機能から有害ガス浄化及び中和処理とは本質的に関係がなく、これらは電気集塵及び除塵機能が主目的であり、付随的に陰イオンオゾン発生や芳香、脱臭や消臭、UVランプや銀ナノフィルターを用いた微生物殺菌機能を付加したものであって、家庭や事務室の室内空気を快適にするためのものであるだけであり、その構造及び機能を考慮すると、有害または有毒ガスを浄化及び中和させることができる装置ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の課題は、大学や企業または研究所などの実験室や研究室、半導体または化学製品生産工場や病院などでの研究業務遂行や製品生産時に発生する揮発性有機化合物や悪臭、またはヒュームのような有害ガスを、効果的に浄化及び中和させるための室内用有害ガス浄化及び中和装置を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の課題は、微細粉塵やほこり包集が可能であると共に、有害ガスに対する高い中和効率性を有し、高いメインテナンス性を有する有害ガス浄化及び中和装置を提供することにある。
【0008】
本発明の題3の課題は、他の設備や配管などの付加的連結設置を全く必要とせず、
独立的なコンパクトな形態及び機能を持ち、高い使用便宜性を有する有害ガス浄化及び中和装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第4の課題は、騒音が少なくて静粛な運転が可能な有害ガス浄化及び中和装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第5の課題は、有害ガス発生原に容易に接近可能であると共に、有害ガス吸込口を360°回転及び距離調節可能に位置移動可能であって、室内の特定の局所雰囲気に対する浄化及び中和処理をすることができる移動型有害ガス浄化及び中和装置を提供することにある。
本発明の第6の課題は、スタンド型有害ガス浄化及び中和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の本発明の第1ないし第4の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい一態様によれば、吸気口と排気口及びコントロールパネルをもつ本体と、その本体内に設けられ、吸気口から排気口に向かって順次に位置するプリフィルター、第1フィルター、中和ペレットベッド、及び第2フィルターと、上記の中和ペレットベッドと第2フィルターとの間、または上記の第1フィルターと中和ペレットベッドとの間に位置するブロワー(blower)及び駆動手段から構成される有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【0012】
上記の本発明の第1ないし第4の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい他の一態様によれば、上記の態様において、上記の中和ペレットベッドが第1及び第2中和ペレットベッドから構成され、上記の第1及び第2中和ペレットベッドの間にブロワー及び駆動手段が位置する有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【0013】
上記の本発明の第1ないし第4の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい更に他の一態様によれば、上記の態様において、上記の第1フィルターがHEPA(High Efficiency Particulated Arrestor)フィルター、またはULPA(Ultra Low Penetration Absolute)フィルターであり、上記の第2フィルターが活性炭と塩基性金属酸化物が添加された不織布フィルターまたは塩基性金属酸化物が添加された活性炭素繊維不織布フィルターであり、上記の中和ペレットベッドが吸着剤と塩基性金属酸化物及び両方性金属酸化物からなる第1型ペレットと、塩基性金属酸化物及び酸化剤と両方性金属酸化物からなる第2型ペレットと、塩基性金属酸化物及び両方性金属酸化物からなる第3型ペレットとが重量比で1:1〜5:3〜10、好ましくは1:2〜4:5〜7に順次積層されるか、ランダムに混合されたベッドである有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【0014】
上記の本発明の第1ないし第4の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい更に他の一態様によれば、上記の態様において、塩基性金属酸化物がNa2 O、K2 O、Rb2 O、Cs2 O、MgO、CaO、SrO、BaO、CrO、Ti2 3 、Cr2 3 、MnO、及び、Mn2 3 からなるグループから選択される少なくとも1種の化合物であり、両方性金属酸化物がAl2 3 、SnO2 、及びPbO2 からなるグループから選択される少なくとも1種の化合物であり、酸化剤はKMnO4 、MnO2 、またはPbO2 であり、吸着剤は活性炭である有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【0015】
上記の本発明の第5の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい一態様によれば、上記の態様において、吸気口が本体の上面に設けられた蛇腹管と連通された円錐形吸気口で形成され、排気口が本体の下段部に形成され、本体の上面または前面にコントロールパネルが形成され、本体の上面の片側に取っ手が形成され、本体の下部にキャスタをもつ有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【0016】
上記の本発明の第5の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい他の一態様によれば、上記の態様において、蛇腹管に連通された円錐形吸込口の上端部にグリップピンが形成された有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【0017】
上記の本発明の第6の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい一態様によれば、上記の態様において、吸気口及び排気口が各々本体前面の上段部及び本体前面の下段部に形成され、複数のガイドピンを有し、本体の前面にコントロールパネルが形成され、本体の底面に高さ調節具をもつ有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【0018】
上記の本発明の第6の課題を円滑に達成するための本発明の好ましい他の一態様によれば、上記の態様において、吸気口及び排気口が各々本体前面の下段部及び本体前面の上段部に形成され、複数のガイドピンを有し、本体の前面にコントロールパネルが形成され、本体の底面に高さ調節具をもつ有害ガス浄化及び中和装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明による有害ガス浄化及び中和装置は、実験室や研究室、または化学工程を遂行する工場や医薬品を取扱う病院などで発生する各種揮発性有機化合物や悪臭、またはヒュームのような有害ガスを効果的に浄化及び中和させると共に、微細粉塵やほこりを効果的に包集可能であるので、研究員や実験修行者、化学工場作業者、または医療人を有害勤務環境から保護して、これらの健康維持に一助となることができる。また、フィルター及び中和ペレットベッドがカートリッジ形態で構成されるので、メインテナンス性が高くて、他の設備や配管などを付加的に連結する必要性が全くないので、独立的なコンパクトな形態及び機能をもっているので、高い使用便宜性を有し、騒音が少なくて静粛な運転が可能であり、特に移動型の場合、有害ガス発生原に容易に移動させた後、蛇腹管と連通された吸込口を360度回転及び距離調節可能に位置移動させることによって、室内の特定の局所雰囲気に対する浄化及び中和処理を効果的で、かつ便利に遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適実施例による移動型有害ガス浄化及び中和装置の一部切欠斜視図
【図2】別実施例のスタンド型有害ガス浄化及び中和装置の一部切欠斜視図
【図3】別実施例のスタンド型有害ガス浄化及び中和装置の一部切欠斜視図
【符号の説明】
【0021】
1,1a,1b 本発明による有害ガス浄化及び中和装置
2 プリフィルター
3 第1フィルター
4、5 中和ペレットベッド
6 第2フィルター
10 本体
11 前面
12 側面
13 上面
13a 環状突出部
13b 取っ手
14 底面
15 吸気口
15a ガイドピン
16 排気口
16a ガイドピン
17 キャスタ
17a キャスタホルダー
17b 高さ調節具
18 コントロールパネル
20 ブロワー
21 駆動手段(モーター)
30 蛇腹管
31、32 コネクタ
33 円錐形吸気口
34 グリップピン
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を基に本発明をより詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の好ましい一具体例による移動型有害ガス浄化及び中和装置1の一部切欠斜視図であり、図2及び3は、各々本発明の好ましい他の一具体例によるスタンド型有害ガス浄化及び中和装置1a、1bの一部切欠斜視図である。
本体10の内部のフィルター及びベッド構成は全て実質的に同一であるので、同一な部分に対しては説明の便宜上、共通なものとして扱う。
【0024】
本発明による有害ガス浄化及び中和装置1、1a、1bは、吸気口15または33と排気口16、及びコントロールパネル18をもつ本体10と、上記本体10内で吸気口15または33から排気口16に向かって順次に位置するプリフィルター2、第1フィルター3、中和ペレットベッド4、5、及び第2フィルター6と、前述した中和ペレットベッド4と中和ペレットベッド5との間に位置するブロワー20及び駆動手段21とから構成される。
【0025】
ここで、中和ペレットベッド4、5は、第1中和ペレットベッド4と第2中和ペレットベッド5の2個所で形成することが好ましいが、必ず2個所にする必要はなく、場合によっては、いずれか1つを省略することもでき、この場合、ブロワー20と駆動手段21は、上記中和ペレットベッド4と第2フィルター6との間、または上記第1フィルター3と中和ペレットベッド5との間に位置するようになる。
【0026】
次に、本発明による有害ガス浄化及び中和装置1、1a、1bにおいて、本体10内にカートリッジ形態で各々構成されるプリフィルター2、第1フィルター3、中和ペレットベッド4、5、及び第2フィルター6について具体的に説明する。
【0027】
まず、プリフィルター2は当業界の公知のフィルターであって、再使用可能なポリビニルクロライド(PVC)、ポリエチレン(PE)、またはポリプロピレン(PP)繊維の不織フィルター、または多孔性スポンジフィルターであるか、または再使用不能なガラス繊維フィルターであることができ、重量法で60〜85%のかなり大きい粉塵包集効率を有し、初期圧力損失が5.5〜8.5mmAq(H2 0)位に少ないものが好ましい。プリフィルター2は、第1フィルター3に対する負荷の軽減のための前処理フィルターである。
【0028】
次に、第1フィルター3は当業界の公知のHEPA(High Efficiency Particulated Arrestor)フィルター、またはULPA(Ultra Low Penetration Absolute)フィルターである。
【0029】
敷衍すると、前述したHEPAフィルターはマイクロガラス繊維で製作されるフィルターであって、0.3μm粒子制御用として使用され、標準ジオクチルフタレート(Dioctyl-phthalate)計数法による包集効率が99.7%以上、好ましくは99.97%以上のものが使われ、初期圧力損失が24〜26mmAqであり、終期圧力損失が46〜55mmAq位である。
【0030】
一方、ULPAフィルターはウルトラマイクロガラス繊維で製作されるフィルターであって、0.1〜0.17μm粒子を99.99%以上、好ましくは99.9995%以上包集できるものが使われ、初期圧力損失が25〜27mmAqであり、終期圧力損失が50〜58mmAq位である。
【0031】
本発明において、第1フィルター3は、用途、設置場所、及び目的などによって、HEPAフィルターまたはULPAフィルターのうち、いずれか1つを適切に選択して使用することができるが、通常の用途としては費用及びメインテナンス性を考慮してHEPAフィルターの選択が一般的でありえる。
【0032】
本発明による有害ガス浄化及び中和装置1、1a、1bに使われる本発明に固有の中和ペレットベッド4、5は、吸着剤、塩基性金属酸化物、及び両方性金属酸化物からなる第1型ペレットと、塩基性金属酸化物、酸化剤、及び両方性金属酸化物からなる第2型ペレットと、塩基性金属酸化物及び両方性金属酸化物からなる第3型ペレットとが重量比で1:1〜5:3〜10、好ましくは1:2〜4:5〜7に、隔壁(図示せず)により各々分離された状態で順次積層されるか、ランダム混合されたベッドであって、多数の微細孔が穿孔されたカートリッジ(図示せず)内に収容される。
【0033】
前述した吸着剤としては活性炭が使われる。
【0034】
酸と反応して塩を作る塩基性金属酸化物としては、典型元素金属の酸化物または遷移元素金属の低酸化水酸化物が使われ、具体的には、Na2 O、K2 O、Rb2 O、Cs2 O、MgO、CaO、SrO、BaO、CrO、Ti2 3 、Cr2 3 、MnO、Mn2 3 、またはこれらの任意の混合物が挙げられ、好ましくはアルカリ金属酸化物またはアルカリ土金属酸化物であり、最も好ましくはNa2 Oである。
【0035】
酸及び塩基と全て反応して塩を作ることができる両方性金属酸化物としては、準金属元素の酸化物または遷移元素の酸化物が使用できるが、具体的にはAl2 3 、SnO2 、PbO2 、またはこれらの任意の混合物が挙げられ、好ましくは触媒及び吸着剤で、ペレット支持体として機能することができるAl2 3 である。
【0036】
酸化剤としては、酸化剤は、KMnO4 、MnO2 、またはPbO2 を使用できるが、取り扱いの便宜性及び安全性において、KMnO4
またはMnO2 が好ましくて、特に好ましいものは強酸化剤であるKMnO4 である。
【0037】
本発明において、制限的なものではなく、選択的ではあるが、上記第1型ペレットは、吸着剤50〜65重量%、塩基性金属酸化物15〜30重量%、両方性金属酸化物5〜15重量%、及びバインダー5〜15重量%から構成され、上記第2型ペレットは、塩基性金属酸化物25〜40重量%、酸化剤25〜40重量%、両方性金属酸化物25〜40重量%、及びバインダー5〜15重量%から構成され、上記第3型ペレットは、塩基性金属酸化物50〜70重量%、両方性金属酸化物20〜40重量%、及びバインダー5〜15重量%から構成され、上記第1型、第2型、及び第3型ペレットの相対的使用量は重量割合で1:1〜5:3〜10、特定には、1:2〜4:5〜7である。これら第1型、第2型、及び第3型ペレットは、相互間に隔壁により各々分離された状態で順次積層されるか、またはランダム混合された状態で多数の微細孔が穿孔されたカートリッジ内に収容されて流動化ペレットベッドを形成する。
【0038】
一方、本発明において、中和ペレットベッド4と5が全て使われる場合、前述した成分及び組成範囲内で完全に同一なものを使用するか、前述した範囲内で相異するものを選択して使用することができる。
【0039】
一方、ペレット化のためのバインダーとしては、熱を加えて焼結するか、ペレット化の後、燃焼除去される合成樹脂界でない当業界の公知のセラミック用バインダーであれば、特別な制限無しで使用可能であり、その具体的な例を挙げれば、シリカゾル(4.3〜7.3wt%)、CMC(Sodium Carboxy Methyl Cellulose)、またはパルプ粉末(4.7〜7.7wt%)などを使用することができる。
【0040】
上記ペレット化は、前述した組成成分を150〜1200メッシュ位でボールミーリングした後、ペレット化機を使用して希望する所定の形状及びサイズに製造される。
【0041】
本発明において、上記第1型、第2型、及び第3型ペレットの水分含有量は最大5%以内である。
【0042】
また、上記第1型ペレットはポア体積が1.91〜2.17cc/g、比表面積(BET)が920〜970m2 /g、圧力損失が8.8〜9.3mmAq/(5cm高さ)であり、上記第2型ペレットはポア体積が1.02〜1.18cc/g、比表面積(BET)が766〜792m2 /g、圧力損失が7.6〜8.4mmAq/(5cm高さ)であり、上記第3型ペレットはポア体積が1.57〜1.69cc/g、比表面積(BET)が788〜823m2 /g、圧力損失が7.7〜8.2mmAq/(5cm高さ)のものが使用できる。
【0043】
次に、第2フィルター6は活性炭と塩基性金属酸化物が添加された不織布フィルターまたは塩基性金属酸化物が添加された活性炭素繊維不織布フィルターであり、活性炭と塩基性金属酸化物とが添加された天然繊維またはプリフィルターで、前述したような人造繊維不織布フィルターの場合、不織布に活性炭70〜85重量%、前述した塩基性金属酸化物10〜25重量%、公知のバインダー3〜8重量%を均質に混合塗布して固定させたものであり、塩基性金属酸化物が添加された活性炭素繊維不織布フィルターの場合には、塩基性金属酸化物80〜95重量%とバインダー5〜20重量%を均質に混合塗布して固定させたものが使用できる。
【0044】
ここで、活性炭素繊維不織布について敷衍すれば、短繊維直径が5〜20μmの範囲で、体積密度は0.03〜0.07g/m3 の範囲であり、灰分含有量は0.1〜0.5%範囲であり、比表面積は900〜1600m2 /g、好ましくは1100〜1550m2 /gの範囲であり、細孔容積は0.3〜0.7m3 /g、ベンゼンに対する吸着率は35〜80%、細孔半径は14Å以下のものが挙げられ、吸着速度が粒状活性炭に比べて100倍以上であり、吸着熱の発生がないし、純度がほぼ100%のものが好ましい。このような活性炭素繊維不織布は、吸着と離脱着速度が速く、表面積が大きくて吸着容量が大きいので、処理量が多くて、使用寿命が長いので、管理維持費が少なくかかり、再生が容易であるという長所がある。商業的に入手可能な活性炭素繊維不織布の一般的な物理的特性は、密度100〜300g/m3 、厚み1〜6mm、密度0.04〜0.1g/cm3の範囲である。
【0045】
上記活性炭素繊維不織布は、活性化工程を経た炭素繊維不織布であって、不活性炭素繊維を900〜1300℃の高温で窒素気体を流入させた不活性雰囲気で、約30〜150分間炭化させた後、活性化気体である水蒸気、O2 、CO、またはCO2 などの気体を流入させながら活性化温度と時間を変化させて、吸着剤としてよく発達した表面構造と表面性質をもつようにすることによって、一般的に親水性の気状及び液状有害物質に対する吸着性能を向上させたものである。
【0046】
本発明の有害ガス浄化及び中和装置1、1a、1bに適用される前述したプリフィルター2、第1フィルター3、中和ペレットベッド4、5、及び第2フィルター6の取替周期は、使用場所及び汚染程度などに依存的であるが、1日に8時間使用基準に略1年位である。
【0047】
一方、本発明の有害ガス浄化及び中和装置1、1a、1bに適用されるブロワー20及びモータのような駆動手段21は、圧力損失を緩和させるために上記中和ペレットベッド4と中和ペレットベッド5との間に位置させるようになり、仮に中和ペレットベッド4、5のうち、いずれか1つのみを設置する場合にはブロワー20と駆動手段21は上記中和ペレットベッド4と第2フィルター6との間、または上記第1フィルター3と中和ペレットベッド5との間に位置させるようになることは、前述した通りであり、これは本発明において重要である。
【0048】
次に、本発明による有害ガス浄化及び中和装置1、1a、1bの具体的な構造に対する未説明部分を図面を参照しつつ説明する。
【0049】
まず、図1に図示した本発明による移動型有害ガス浄化及び中和装置1の一例では、ボックス型本体10の上面13の中央部に開口(図示せず)をもつ環状突出部13aが形成され、ここにコネクタ31を介して蛇腹管30の一端が取り付けられ、その他端はコネクタ32を介して円錐形吸込口33が取り付けられる。
【0050】
したがって、円錐形吸込口33が蛇腹管30により360°回転可能であることが勿論、長さ調節可能に希望する局所的部位に接近可能になる。
【0051】
ここで、上記円錐形吸込口33の上端部には、球体型またはT字型グリップピン34が付着されて、使用者はグリップピン34を片手で軽くつかんだ状態で任意の方向及び位置に円錐形吸込口33を容易に誘導することができる。
【0052】
一方、図示された例では、本体10の上面にコントロールパネル18が設けられていて、上記コントロールパネルにはオンオフスイッチが付着され、必要であれば、タイマー、有害ガス濃度センサ、ディスプレイ部、制御マイコンなどが設けられることもでき、これは本発明において任意的である。上記コントロールパネル18の設置位置が前面11になることもできることは勿論である。
【0053】
図示した例において、本体10の上面の片側には取っ手13bが形成され、上記取っ手13bの形態及びサイズは本発明において任意的である。
【0054】
本体10の下部には容易な移動のためのキャスタ17が任意の位置に設けられ、図示された例では本体10の両側面12の下段部にキャスタホルダー17aが設けられているが、これは任意的であり、移動の容易性のために後方キャスタ17は位置固定式にし、前方キャスタ(図示せず)は左右回転可能な構造を選択することによって、取っ手13bによる装置移動時、左右回転が円滑になされることができる構造が好ましい。
【0055】
図示した例では、排気口16が本体10の両側面12の下段部に多数のキャスク孔で形成されているが、本発明はこれに限定されるのでなく、その位置及び形態は第2フィルター6の下方に形成される条件下に任意選択的である。
【0056】
吸気口33から排気口16に向かって順次に図示されたプリフィルター2、第1フィルター3、中和ペレットベッド4、ブロワー20、駆動手段21、中和ペレットベッド5、及び第2フィルター6については、既に十分に説明したので、これに対する敷衍は省略し、但し、付け加えると、本体10の上面13の環状突出部13a内には金属網等からなる安全フィルター(図示せず)が取り付けられて、体積が大きいか、鋭い異質物などが本体10の内部にブロワー20により吸入されないようにすることが好ましい。
【0057】
次に、図2に図示した本発明によるスタンド型有害ガス浄化及び中和装置1aについて説明すれば、本体10の前面11の上部に複数のガイドピン15aをもつ吸気口15が形成され、本体10の前面11の下部に複数のガイドピン16aをもつ排気口16が形成され、上方の吸気口15から下方の排気口16に向かって順次にプリフィルター2、第1フィルター3、中和ペレットベッド4、ブロワー20、駆動手段21、中和ペレットベッド5、及び第2フィルター6が本体10内に取り付けられることは前述した通りである。
【0058】
また、本体10の前面11にはコントロールパネル18が形成され、本体10の底面には高さ調節具17bが取り付けられて、高さ及び水平が調節できるように形成される。
【0059】
上記コントロールパネル18に対しては既に前述したことと同一である。
【0060】
一方、図3に図示した本発明によるスタンド型有害ガス浄化及び中和装置1bは、図2に図示した構造が逆に倒置されている点を除いては、本質的に同一な構造であって、このような構造は浄化及び中和した空気が排出される排気口16が下方に位置すれば、底のほこり粒子を浮遊させて問題をもたらすことができるクリーンルームのような場所に適している。
【0061】
図示した例では、本体10の前面11の下部に複数のガイドピン15aをもつ吸気口15が形成され、本体10の前面の上部に複数のガイドピン16aをもつ排気口16が形成され、下方の吸気口15から上方の排気口16に向かって順次に、プリフィルター2、第1フィルター3、中和ペレットベッド4、ブロワー20、駆動手段21、中和ペレットベッド5、及び第2フィルター6が本体10内に取り付けられることは前述した通りである。
【0062】
また、本体10の前面11のコントロールパネル18と底面の高さ調節具17bも前述した通りである。
【0063】
本発明による有害ガス浄化及び中和装置1、1a、1bに取り付けられる駆動手段21は、本体10のフレーム(図示せず)に強固に固定され、防振パッド(図示せず)を適用すると共に、騒音吸入用チップボード(図示せず)を内板として適用することによって、静粛な運転がなされることができるようにすることが好ましくて、本体10をなす金属板材の背面には防振用金属補強材を複数個縦方向に適切な開所に取り付けることが好ましい。
【0064】
一方、上記プリフィルター2、第1フィルター3、及び第2フィルター6は、フレームをもつカートリッジ形態で製作され、中和ペレットベッド4、5は、表面に多数の通孔が形成されたペレット収納用カートリッジ形態で構成することで、これらの取替作業が簡単で、かつ容易になされることができる。
【0065】
以上、本発明をいくつかの実施例により説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多様な変化及び変形が可能であることは勿論である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口及びコントロールパネルを有する本体と、
その本体内に設けられ、吸気口から排気口に向かって順次に位置するプリフィルター、第1フィルター、中和ペレットベッド、第2フィルターと、
中和ペレットベッドと第2フィルターとの間、または第1フィルターと中和ペレットベッドとの間に位置するブロワー及び駆動手段から構成され、
第1フィルターが、HEPA(High Efficiency Particulated Arrestor)フィルター、またはULPA(Ultra Low Penetration Absolute)フィルターであり、
第2フィルターが、活性炭及び塩基性金属酸化物が添加された不織布フィルターまたは塩基性金属酸化物が添加された活性炭素繊維不織布フィルターであり、
中和ペレットベッドが、吸着剤と塩基性金属酸化物及び両方性金属酸化物からなる第1型ペレットと、塩基性金属酸化物及び酸化剤と両方性金属酸化物からなる第2型ペレットと、塩基性金属酸化物及び両方性金属酸化物からなる第3型ペレットが重量費1:1〜5:3〜10に順次積層されるか、ランダムに混合されたベッドからなる
ことを特徴とする有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項2】
中和ペレットベッドが、第1及び第2中和ペレットベッドから構成され、第1及び第2中和ペレットベッドの間にブロワー及び駆動手段が位置する
請求項1に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項3】
塩基性金属酸化物が、Na2 O、K2 O、Rb2 O、Cs2 O、MgO、CaO、SrO、BaO、CrO、Ti2 3 、Cr2 3 、MnO、及びMn2 3 からなるグループから選択される少なくとも1種の化合物であり、
両方性金属酸化物が、Al2 3 、SnO2 、及びPbO2 からなるグループから選択される少なくとも1種の化合物であり、
酸化剤が、KMnO4 、MnO2 、及びPbO2 からなるグループから選択される少なくとも1種の化合物であり、
吸着剤が、活性炭である
請求項1に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項4】
塩基性金属酸化物がNa2 Oで、両方性金属酸化物がAl2 3 で、酸化剤がKMnO4 である
請求項3に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項5】
第1型ペレットが、吸着剤50〜65重量%、塩基性金属酸化物15〜30重量%、両方性金属酸化物5〜15重量%、バインダー5〜15重量%から構成され、
第2型ペレットが、塩基性金属酸化物25〜40重量%、酸化剤25〜40重量%、両方性金属酸化物25〜40重量%、バインダー5〜15重量%から構成され、
第3型ペレットが、塩基性金属酸化物50〜70重量%、両方性金属酸化物20〜40重量%、バインダー5〜15重量%から構成され、
第1、2、3型ペレットが、多数の微細孔が穿孔されたカートリッジ内に収容されて流動化ペレットベッドを形成する
請求項1に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項6】
バインダーが、シリカゾル(4.3〜7.3wt%)、CMC(Sodium Carboxy Methyl Cellulose)、またはパルプ粉末(4.7〜7.7wt%)である
請求項5に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項7】
第1型ペレットは、ポア体積が1.91〜2.17cc/g、比表面積(BET)が920〜970m2 /g、圧力損失が8.8〜9.3mmAq/(5cm高さ)であり、
第2型ペレットは、ポア体積が1.02〜1.18cc/g、比表面積(BET)が766〜792m2 /g、圧力損失が7.6〜8.4mmAq/(5cm高さ)であり、
第3型ペレットは、ポア体積が1.57〜1.69cc/g、比表面積(BET)が788〜823m2 /g、圧力損失が7.7〜8.2mmAq/(5cm高さ)である
請求項5に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項8】
第2フィルターが、不織布に活性炭70〜85重量%、塩基性金属酸化物10〜25重量%、バインダー3〜8重量%の均質混合物を塗布して固定させたものであるか、または活性炭素繊維不織布フィルターに塩基性金属酸化物80〜95重量%とバインダー5〜20重量%の均質混合物を塗布して固定させたものである
請求項1に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項9】
吸気口が、本体の上面に設けられた蛇腹管と連通された円錐形吸気口で形成され、排気口が、本体の下段部に形成され、本体の上面または前面にコントロールパネルが形成され、本体の上面の片側に取っ手が形成され、本体の下部にキャスタを備える
請求項1に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項10】
本体と蛇腹管との間に、金属網からなる安全フィルターを備える
請求項9に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項11】
蛇腹管に連通された円錐形吸込口の上端部に、グリップピンが形成された
請求項9に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項12】
本体前面の上部に複数のガイドピンをもつ吸気口が形成され、本体前面の下部に複数のガイドピンをもつ排気口が形成され、本体の前面にコントロールパネルが形成され、本体の底面に高さ調節具を備える
請求項1に記載の有害ガス浄化及び中和装置。
【請求項13】
本体前面の下部に複数のガイドピンをもつ吸気口が形成され、本体前面の上部に複数のガイドピンをもつ排気口が形成され、本体の前面にコントロールパネルが形成され、本体の底面に高さ調節具を備える
請求項1に記載の有害ガス浄化及び中和装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−525818(P2011−525818A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500714(P2011−500714)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003967
【国際公開番号】WO2010/095790
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(509308388)株式会社ジーティーサイエン (1)
【Fターム(参考)】