説明

有害化学物質を含む石炭灰を利用する粒状物の製造方法、並びに該方法で得られる粒状物及び資源材

【課題】六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素、及びホウ素の少なくとも1種類を含む可能性のある石炭灰を一工程でも処理することができ、しかもこれら有害物質を溶出しがたい状態で固定化することができる処理方法を提供する。
【解決手段】上記の六価クロム等の有害化学物質を含む可能性のある石炭灰に、還元剤、石灰、セメント、重金属固定剤及び水を添加し、混練し、造粒することを特徴とする石炭灰を利用する粒状物の製造方法。該方法により得られる粒状物、並びにそれからなる資源材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭を燃料として用いる火力発電施設で発生したフライアッシュ等の石炭灰を利用してリサイクル資材として有用な粒状物を製造する方法、こうして製造した粒状物、及び該粒状物からなる資源材に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電では経済的かつ効率的な発電をするため、世界各地の産炭地から採取されたさまざまな種類の石炭(炭種)を燃焼している。このため、炭種によっては六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素、ホウ素を含んでいることがあり、燃焼によってこれらの有害化学物質を含んだ石炭灰が生成しうる。これらの有害化学物質は土壌等の環境汚染の原因となりうるため規制する必要がある。そのため現在、「土壌汚染に係る環境基準(平成3年8月23日、環境庁告示第46号)」が規定されている。したがって、有害化学物質の含有量が該環境基準を超える場合には該基準を満たすように経済性を考慮して化学的に安定化した状態に処理する方法が求められている。
【0003】
有害化学物質を処理するのに最も良い方法は、石炭灰を酸やアルカリで洗浄して有害化学物質を除去することである。しかしこの方法では石炭灰の洗浄、石炭灰の中和処理、有害化学物質を含んだ排水処理の設置など工程が複雑になるため、施設が巨大化する。それゆえ広大な土地が必要であり、処理施設の建設から維持管理の工数も増えるため、石炭灰のリサイクル製品が高価なものになる。
【0004】
ペーパースラッジを焼却する際に石炭を助燃用に使用することがあるが、その場合に生じるペーパースラッジ焼却灰にも上記の有害化学物質が含まれている。このようなペーパースラッジ焼却灰に水、生石灰、及びセメントを加え、混合、造粒した後、オートクレーブ等で高温高圧下で水蒸気養生を行うことにより水熱固化反応を起こさせて固化体を製造する方法が知られている(特許文献1)。この方法は前記有害化学物質の溶出抑制にも効果があるとされているが、オートクレーブ等の装置を用いて高温高圧下での養生を行う必要があるという不利がある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−313032
【0006】
また、これらの規制対象有害化学物質の処理方法としては、各有害化学物質を個別に処理する方法や技術が文献などで公表されている。しかし、このような個別処理方法を組み合せることは工程が複雑になりコストも上昇するため、フライアッシュのリサイクル技術としては不適である。そこで、一工程でこれら複数の有害化学物質すべてを処理することができる処理方法や、この方法を適用して製造したフライアッシュリサイクル製品が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素、及びホウ素の少なくとも1種類を含む可能性のある石炭灰をオートクレーブのような特別な装置も水熱反応も不要であり、単純な一工程でも処理することができ、これら有害化学物質を溶出しがたい状態で固定化することができる処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる課題を解決する手段として、
六価クロム、ヒ素、セレン、ホウ素、及びフッ素の少なくとも1種類を含む可能性のある石炭灰に、還元剤、石灰、セメント、重金属固定剤及び水を添加し、混練し、造粒することを特徴とする石炭灰の処理方法を提供する。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決する手段として、
六価クロム、ヒ素、セレン、ホウ素、及びフッ素の少なくとも1種類を含む可能性のある石炭灰に、還元剤、石灰、セメント、キレート剤及び水を添加し、混練し、造粒することを特徴とする石炭灰の処理方法を提供する。
【0010】
本発明は、また、上記処理方法により得られる粒状物を提供する。
【0011】
本発明は、さらに、該粒状物からなる資源材を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素、及びホウ素を含む石炭灰をオートクレーブのような特別な装置も水熱反応も不要であり、単純な一工程でも処理することができ、しかもこれら有害物質を溶出しがたい状態で固定化することができる。該方法により得られる粒状物は安全な資源材として有用である。
【0013】
本発明の処理方法は洗浄除去する方法ではないため排水は発生せず、この他の廃棄物も発生しない。加熱することもないため、製造する際に消費するエネルギーは造粒撹拌機の動力だけである。また、消石灰や鉄粉、硫酸第一鉄は価格が安く、特に鉄粉は酸化されていなければ廃棄物からの流用も可能である。
【0014】
この方法で製造した粒状物は、「土壌汚染に係る環境基準」で定められた方法で溶出試験並びに分析を行うと、六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素、ホウ素について環境基準を満たす。また、水に晒して振とう撹拌しても粒子が崩れたり再泥化したりすることがないため、粒状物を例えば埋め戻し材に使用しても水の濁りをもたらすこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の方法で処理される「石炭灰」としては、フライアッシュ、シンダアッシュ、及びクリンカアッシュが挙げられる。本発明の方法は中でもフライアッシュの処理方法として特に有用である。
【0016】
「土壌汚染に係る環境基準」で定められた有害化学物質は27項目あるが、フライアッシュに含まれているのは六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素、ホウ素であり、他の22項目が含まれている事例はほとんどない。このため、上記5項目の有害元素を無害化できれば石炭灰の再利用上は十分である。以下、有害元素ごとに詳しく説明する。
【0017】
・六価クロム
六価クロムは還元剤により無害な三価クロムに還元される。六価クロムの還元剤として最適なものは、還元性の高い有機化合物及び無機化合物である。好ましい還元性有機化合物としては、例えば、デキストリン、少糖類、単糖類のような還元性末端基を有する炭水化物、アルコール性水酸基を有する有機化合物が挙げられ、好ましい具体例としては、単糖類としてグルコース、フルクトース、少糖類としてマルトース、ラクトースなどが挙げられる。またアルコール性水酸基を有する有機化合物として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールなどの第1級アルコールが好ましい。また、2−プロパノールや2−ブタノールなどのような第2級アルコールも挙げられる。好ましい還元性無機化合物としては、例えば、鉄粉、硫酸第一鉄、亜硫酸水素ナトリウムが挙げられる。これらの還元剤の中でも、還元後にヒ素やセレンを吸着する作用を有する点で、特に鉄粉末及び硫酸第一鉄が好ましい。
【0018】
鉄粉は六価クロムやヒ素、セレンなどと十分に反応するように出来る限り粒径が細かく、比表面積が大きいものが望ましい。硫酸第一鉄は水に溶解するため、混練の際に添加した水によって六価クロムやヒ素、セレンとの反応の場が形成されて素早い反応が期待できる。相対的には、鉄粉はセレンにとりより有効で、硫酸第一鉄はヒ素にとりより有効であるので、両者を併用することが望ましい。
【0019】
三価クロムは人体にとっては必須栄養素で、インシュリンの働きに関与しているといわれており、欠乏すると糖尿病を発症しやすくなる。しかしながら腸管での吸収性が非常に悪く、過剰症例もないため、三価クロムが環境中に拡散しても人の健康に害を与えるなどの影響はまずないと考えられる。また、地球表面の自然界では、三価クロムが六価クロムに酸化されることもほとんどないと考えられる。クロムが酸化される条件を考慮すると、酸化力が強い酸(王水など)や摂氏1000度以上の強い熱を与えた場合など、人為的なものが考えられる。従って、六価クロムが完全に還元されて一定限度(例えば、土壌環境基準の規制値以下、具体的には0.05ppm以下)に低減できれば処理の目的は達成できたと言える。
【0020】
しかしながら、周辺環境への影響や風評などを考慮しなければならない場合には、上記の還元処理を施した後、さらに三価クロムなどの金属類が溶出しないようにする必要がある。この場合の処理には、重金属固定剤による固定化処理が有効である。重金属固定剤としては、例えば有機系重金属固定剤及び無機系重金属固定剤が挙げられる。
【0021】
有機系重金属固定剤の代表例は重金属固定作用を有する有機キレート剤(以下、単にキレート剤という)であり、該キレート剤としては、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸やジブチルジチオカルバミン酸などのジアルキルジチオカルバミン酸のナトリウム塩やカリウム塩、ポリエチレンイミンやポリアミンをシントンとした高分子系ジチオカルバミン酸のナトリウム塩やカリウム塩、ピロリジンやピペラジン、モルホリンなど複素環アミンをシントンにしたジチオカルバミン酸のナトリウム塩やカリウム塩など、あらゆるジチオカルバミン酸塩化合物が挙げられる。さらに、キサントゲン酸塩も挙げられる。これらのキレート剤は、水溶液、粉体または顆粒、スラリーなどどのような形態であっても効果が得られるが、ハンドリングの良さを考慮すると水溶液製品が最適である。特にジエチルジチオカルバミン酸カリウムは薬液の濃度を60%まで高くすることができ、また金属との反応が非常に早いことから、最適である。
【0022】
ジチオカルバミン酸塩でキレート化した金属化合物は水に溶解しないため、水による環境中への拡散が小さい。したがって、本発明により処理後に粒状物を土中に埋設すると三価クロムは固定化された状態で土中に留まり、溶出は起らない。
【0023】
無機重金属固定剤としては、例えば、ケイ酸、リン酸、硫化ナトリウム(NaS)、水硫化ナトリウム(NaSH)等が挙げられる。
これらの重金属固定剤のなかでも、有機キレート剤が好ましい。
【0024】
・ヒ素、セレン及びフッ素
排水処理ではヒ素とセレンの除去には鉄粉、鉄塩やカルシウム塩による共沈法が用いられてきた。フッ素は石灰のカルシウムと結合して水に不溶なフッ化カルシウム(蛍石の成分)を形成する。また、石灰はヒ素及びセレンを吸着する。上記の六価クロムの処理で鉄粉または硫酸第一鉄は還元剤として用いた場合には、還元後の鉄成分にヒ素、セレンが吸着する。したがって、六価クロム、ヒ素、セレンの処理に鉄粉または硫酸第一鉄を用い、またヒ素、セレン、フッ素の処理に石灰(消石灰、生石灰)、特に消石灰を用いて処理することが有効である。消石灰は水酸化カルシウム並びに酸化カルシウムが含まれていれば反応するため、どのような等級のものでも良く、安価なもので良い。
【0025】
さらに前述のキレート剤は鉄と共沈したヒ素やセレンを固定化することが出来るため、さらに安定した溶出防止効果が得られる。特にジエチルジチオカルバミン酸塩は効果が高く、クロムとヒ素にも直接反応しうる。
【0026】
・ホウ素
ホウ素は単体として存在することはなく、フライアッシュ中ではホウ酸塩またはホウ化物を形成していると考えられる。遊離ホウ酸やホウ酸のアルカリ金属塩は水溶性であり、それ以外のホウ化物やホウ酸塩は非水溶性である。水溶性のホウ酸塩を非水溶性にするには金属などと溶融や強熱処理しなければならず、常温常圧条件ではすぐに反応しない。このため、セメントによる固化を行って溶出を防ぐ。
【0027】
本発明で用いるセメントはどのような種類でも良いが、普通ポルトランドセメントに比べて六価クロムの含有量が少なく、価格や性能も同等である高炉セメントを用いることが好ましい。
【0028】
本発明の処理方法において、各処理剤の割合は、通常、フライアッシュ100重量部当り、セメント2〜15重量部(好ましくは、5〜10重量部)、還元剤2〜5重量部(好ましくは、2〜3重量部)、石灰2〜15重量部(好ましくは、5〜10重量部)、水10〜20重量部(好ましくは、15〜20重量部)、重金属固定剤0.5〜2重量部(好ましくは、1〜1.5重量部)でよい。
【0029】
本発明の処理方法の実施は、上記に掲げた有害化学物質を処理するための化学反応が起こるように、石炭灰と、セメント、還元剤(好ましくは、鉄粉及び/または硫酸第一鉄)、石灰(好ましくは、消石灰)、水、重金属固定剤を、例えば造粒撹拌機に投入して数分間混練した後、所望の粒径に造粒して養生する。水熱反応は不要である。
【0030】
本発明の処理方法を実施する際の具体的な混合あるいは混練の手順は様々に可能である。例えば、造粒撹拌機に、まず初めに、フライアッシュ、セメント及び石灰の粉体材料を投入する。還元剤が粉末状である場合にはこれもさらに一緒に投入する。次に、これらの粉体材料を攪拌下混合して混合粉体とする。混合時間は制限されないが、通常2.5〜5分程度でよい。次に、該混合粉体に重金属固定剤及び水を添加する。重金属固定剤と水は混合薬液の状態で造粒撹拌機に投入してもよい。その後、2.5分〜5分程度の時間混練し、造粒する。その後常温常圧の条件下で1週間にわたって養生して粒状物を完成する。
【0031】
材料の添加順序は、別の例では、フライアッシュ、セメント、石灰、還元剤及び水を造粒撹拌機投入し、混練し、得られた混練物に重金属固定剤を添加する手順でもよい。その他、さまざまなバリエーションが許容される。
【0032】
上記の処理方法により得られた粒状物の形状及び寸法にはなんら制約はなく、リサイクルの用途に合わせて選択すればよい。不規則形状が一般的であるが規則性のある形状、例えば球状、角状でもよい。適用上特定の形状が求められない場合には不規則形状でよいし、特定の規則的形状が望ましい場合には造粒の際に又は造粒後に所要の形状に成型すればよい。粒径は通常0.5mm〜40mmであり、好ましくは2mm〜20mmである。
【0033】
こうして得られた粒状物はリサイクル資材として使用することができ、例えば、埋め戻し材、路盤材、盛土材等の資源材として利用することができる。
【0034】
【実施例】
【0035】
有害化学物質処理と埋め戻し材を製造するために最適な条件を確認するため、以下のような方法で実証実験を行った。
【0036】
(1)フライアッシュの処理:
表1に記載のように、対照、比較例1−6、実施例1−8の各例において、各材料を表に示した割合で使用した。
【0037】
−表1の説明−
〔使用材料の量〕
表1において各材料の量は次のように記載されている。
【0038】
フライアッシュ(FAとも略す)を100重量部として、これに添加する高炉セメント、消石灰、還元剤(鉄成分)、キレート剤及び水をFA量に対する相対量(重量部)で表す。
【0039】
〔添加順序〕
「1」は、第一段階の添加と攪拌の段階を示す。「2」は、第二段階の添加と攪拌の段階を示す。
【0040】
したがって、表1の記載から、例えば、実施例1では、FA、セメント、鉄粉及び石灰を第一段階で造粒撹拌機に投入し、攪拌して粉体混合物を得、その後の第二段階で水とキレート剤とを水溶液状態で投入し、攪拌により混練し造粒することが分る。また、実施例3では、FA、セメント、鉄粉、石灰及び水を第一段階で造粒撹拌機に投入し、攪拌して混練し混練物を得、その後の第二段階でキレート剤を投入し、攪拌により混練し造粒したことが分る。
【0041】
〔攪拌時間〕
「一回目」とは、第一段階における攪拌時間を示す。「二回目」とは、第二段階における攪拌時間を示す。
【0042】
〔使用材料〕
・フライアッシュ(FA):表2に示す有害化学物質を含有するフライアッシュを使用した。なお、表2に示す有害化学物質の溶出量は、「土壌汚染に係る環境基準(平成3年8月23日環境庁告示第46号)」に定められた、表3に示す分析方法によって測定した値である。また、含有量は上述の表4に記載の方法に従って測定した値である。
【0043】
表2に示された結果を見ると、原料のフライアッシュは有害化学物質の溶出量がすべて規制値(後述の表6参照)を上回っている。すなわち、無処理で土中に埋めるとこれらの有害化学物質が環境中に拡散し、土壌や地下水を汚染する虞がある。
【0044】
【表1】

【0045】
サンプル番号0の「対照」は水の添加量を決めるために行ったサンプルである。
【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
・セメント:高炉セメント
・キレート剤:ジチオカルバミン酸塩系キレート剤(商品名「メタルブロッカー」、日本ヘルス工業(株)製)
・消石灰:市販の園芸用消石灰
【0050】
上記のようにして、造粒撹拌機にて材料を混練して造粒後、常温常圧の条件下で1週間にわたって養生させて粒状物を完成させた。
【0051】
(2)粒状物からの溶出試験:
上記のようにして各実施例及び各比較例のおける処理で得られた粒状物について有害化学物質の溶出量を「土壌の汚染に係る環境基準(平成3年8月23日環境庁告示第46号)」に定められ、前述の表3に示す分析方法により測定した。
【0052】
測定の結果を表5に示す。なお、「土壌の汚染に係る環境基準(平成3年8月23日環境庁告示第46号)」による有害化学物質の溶出量規制値は表6に示すとおりである。
【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

【0055】
(単位:mg/L)。
【0056】
上記表5に示された結果から、サンプルNo.0(「対照」)では消石灰や鉄を添加していないが、全ての有害化学物質が規制値を下回った。しかし、長期的にはこれらの化学物質が溶出する可能性がある。また、消石灰を添加したサンプルNo.5以降(比較例5,6及び実施例1−8)では、フッ素、ホウ素とも規制値を大きく下回った。このことから、消石灰がホウ素の固定化にも寄与していることが分る。
【0057】
各例のサンプルを製造後3ヶ月間放置した後、幾つかの例について、再び上記と同様の方法で溶出試験を行った。結果を表7に示す。
【0058】
【表7】

【0059】
表7に示された結果から、対照及び比較例4ではセレンの溶出量が高まったが、実施例1、4及び7では溶出量は規制値を超えず、長期的安定性が高いことが判明した。
【0060】
(3)土質試験:
次に上記で得られた実施例3の粒状物を埋め戻し材としての土質試験に供した。
【0061】
〔土質試験の方法〕
土質区分判定のための指標を得る際は、表8に示す土質区分判定のための調査試験方法を標準とする。
【0062】
【表8】


*「JGS」は、地盤工学会基準を表す。
【0063】
その結果、表9に示す結果が得られた。
【0064】
【表9】

【0065】
上記において、コーン指数が2120+であることは、土質区分基準において「第2種建設発生土の第2種改良土」に分類され、砂質度、礫質土及びこれらに準じるものに該当する。
【0066】
用途は国土交通省が出した「発生土利用基準について(平成18年8月10日発出)」における「適用用途標準」で定められているが、これによると、上記実施例1−8の製品は工作物の埋め戻し、建築物の埋め戻し、土木構造物への埋め戻賦道路用盛土、河川築堤(高規格堤防、一般堤防)、土地造成(宅地、公園・緑地)、鉄道盛土、空港盛土、水面埋立てに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
六価クロム、ヒ素、セレン、フッ素、及びホウ素の少なくとも1種類を含む可能性のある石炭灰に、還元剤、石灰、セメント、重金属固定剤及び水を添加し、混練し、造粒することを特徴とする石炭灰を利用する粒状物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により得られる粒状物。
【請求項3】
請求項2に記載の粒状物からなる資源材。

【公開番号】特開2009−28594(P2009−28594A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193154(P2007−193154)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(592072377)日本ヘルス工業株式会社 (15)
【出願人】(507250520)キョウエイ株式会社 (2)
【出願人】(502001857)越智建設株式会社 (1)
【Fターム(参考)】