説明

有害生物防除剤組成物及び有害生物の防除方法

【課題】安定した高い有害生物防除効果を有する有害生物防除剤組成物を提供する。
【解決手段】式(I):


(式中、R1は、CHCN又は


であり;R及びR3は水素原子、ハロゲン原子、等である)で表されるピリジン系化合物又はその塩と、ノニオン系界面活性剤、等よりなる群から選択された少なくとも1種の効力増強成分とを含有する有害生物防除剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除効果、特に殺虫・殺ダニ効果を格段に向上させた有害生物防除剤組成物及びその組成物を用いる有害生物の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後記式(I)で表される化合物に包含されるN−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(一般名フロニカミド(flonicamid))は、特許文献1に化合物No.1として記載されている化合物であり、有害動物防除剤の有効成分である。また、後記式(I)で表される化合物でフロニカミド以外の化合物は、特許文献2に記載の化合物である。特許文献3には、フロニカミドと、他の有害生物防除剤を組み合わせた有害生物防除剤が記載されている。しかしながら、後記式(I)で表される化合物と、特定の効力増強成分とを組み合わせた本発明組成物は、知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公報第580374号
【特許文献2】国際公開公報 WO 03/044013
【特許文献3】ヨーロッパ特許公報第1328154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来からの有害生物防除剤は、スペクトラム及び効果においてそれぞれ特徴を有するが、反面、特定の病害虫に対して効果が充分でなかったり、残効性が短く、一定期間の効果を期待できなかったりして、施用場面によっては、実用上充分な防除効果を示さないことがある。また、防除効果において優れたものであっても、魚類、甲殻類及び家畜に対する安全性の観点から改善が求められたり、少ない処理薬量によって高い防除効果をあげることが求められたりしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく研究した結果、後記式(I)で表される化合物又はその塩の施用時に、特定の効力増強成分を添加すると、添加しない場合に比べ、予想できないような優れた有害生物防除効果が得られることの知見を得、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1は、CHCN又は
【0009】
【化2】

【0010】
であり;R及びR3は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシである)で表されるピリジン系化合物又はその塩と、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスよりなる群から選択された少なくとも1種の効力増強成分とを含有する有害生物防除剤組成物に関する。また本発明は、前記有害生物防除剤組成物を有害生物に作用させることを特徴とする有害生物の防除方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有害生物防除剤組成物は、安定した高い有害生物防除効果を有するものであり、この組成物を用いて有害生物を防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
式(I)中の「C1-6アルキル」は、炭素数が1乃至6個である直鎖又は分岐鎖アルキルであり、望ましくは、炭素数が1乃至4個である直鎖又は分岐鎖アルキル(C1-4アルキル)であり、さらに望ましくは、炭素数が1又は2個であるアルキル(C1-2アルキル)である。具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル又は1,1−ジメチルブチルが挙げられ、その中でも、メチルが最も望ましい。
【0013】
式(I)中の「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、望ましくはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子である。R2においては、塩素原子又は臭素原子が更に望ましく、その他の置換基においては、フッ素原子又は塩素原子が更に望ましい。また、R3においては、塩素原子が最も望ましく、その他の置換基においては、フッ素原子が最も望ましい。
【0014】
式(I)中の「C1-6アルコキシ」は、炭素数が1乃至6個である直鎖又は分岐鎖アルコキシであり、望ましくは、炭素数が1乃至4個である直鎖又は分岐鎖アルコキシ(C1〜C4アルコキシ)であり、更に望ましくは、炭素数が1乃至3個である直鎖又は分岐鎖アルコキシ(C1〜C3アルコキシ)であり、最も望ましくは、炭素数が1又は2個である直鎖アルコキシ(C1〜C2アルコキシ)である。具体的には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、tert-ブトキシ又はヘキシルオキシが挙げられ、その中でも、メトキシが最も望ましい。
【0015】
前記式(I)の化合物は、酸性物質又は塩基性物質とともに塩を形成してもよく、酸性物質との塩としては塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩又は硝酸塩のような無機酸塩であってよく、塩基性物質との塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩又はジメチルアミン塩のような無機或は有機塩基塩であってよい。
【0016】
前記式(I)の化合物又はその塩は、前記特許文献1又は特許文献2などに記載された方法に準じて、製造することができる。
【0017】
次に本発明の有害生物防除剤組成物の有効成分として望ましいピリジン系化合物のうち、いくつかを以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(一般名フロニカミド(flonicamid))、N−(5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(3−メチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−クロロ−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−ブロモ−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−メチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−エチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド及びN−(4−メトキシ−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物。
(2)N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(3−メチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド及びN−(4−メチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物。
(3)N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド。
【0018】
本発明で、効力増強成分として用いられるノニオン系界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤;ポリオキシエチレンアリールエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)フェニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル;ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル;ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;アルキルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル;アルキルフェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル;ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル;ポリオキシエチレン樹脂酸エステル;グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物;ヒマシ油エチレンオキサイド付加物;硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物;アルキルアミンエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;アルキルフェノキシポリエトキシエタノール及びポリオキシエチレンロジンエステル;アセチレングリコール又はそのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール又はそのエチレンオキサイド付加物等のアセチレン系界面活性剤等が挙げられる。
【0019】
前記したシリコーン系界面活性剤としては、商品名KF-640(ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン;信越化学工業株式会社製)、商品名DyneAmic(STERE CHEMICAL社製)、商品名KINETIC(ポリアルキレンモディファイドポリメチルシロキサン非イオン性界面活性剤;STERE CHEMICAL社製)、Silwet L-77(シリコンポリアルキレンオキサイドモディファイドメチルポリシロキサン;Witco社製)、商品名SLIPPA(シリコンポリアルキレンオキサイドモディファイドメチルポリシロキサンと直鎖アルコール界面活性剤の混合物;INTERAGRO社製)等が挙げられる。これらシリコーン系界面活性剤は、有害生物防除剤組成物中に少量添加される消泡剤用途のシリコーンとは区別される。
【0020】
前記したポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、商品名アルソープ30(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル30%含有;住友化学株式会社製)、商品名Agral 30(ICI社製)、商品名Agral 90(ICI社製)、商品名Agral PLUS(ICI社製)、商品名ARKOPAL N-100(ヘキスト社製)、商品名CITOWETT(BASF社製)、商品名Genapol X-60、商品名クサリノー(日本農薬株式会社製)、商品名ノイゲン EA110(第一工業製薬株式会社製)、商品名ミックスパワー(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル40%及びポリオキシエチレンアルキルエーテル40%;トモノアグリカ株式会社製)等が挙げられる。
【0021】
前記したポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、商品名ノイゲンTDS-70(第一工業製薬株式会社)等が挙げられる。
【0022】
前記したポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、商品名ラミゲンES-70(第一工業製薬株式会社製)、商品名EMULAN PS700(BASF社製)、商品名パンガードKS-20(三井東圧農薬株式会社製)、商品名スプレースチッカー(日本農薬株式会社製)、商品名D-3605(竹本油脂株式会社製)、商品名D-230(竹本油脂株式会社製)、商品名D-233 N(竹本油脂株式会社製)、商品名ノイゲンET-120E(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
前記したソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤としては、商品名アプローチBI(ポリオキシエチレンへキシタン脂肪酸エステル50%含有;花王株式会社)、商品名TWEEN20(脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル;和光純薬株式会社製)、商品名ソルゲン40(ソルビタン脂肪酸エステル:第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明で効力増強成分として用いられるアニオン系界面活性剤としては、スルホン酸型界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤等が挙げられる。
【0025】
前記したスルホン酸型界面活性剤としては、ポリアリールアルカンスルホン酸塩;ニューカルゲンEP-70G(竹本油脂株式会社製)、ニューカルゲンEX-70(竹本油脂株式会社製)のようなジアルキルスルホコハク酸塩;ジアルキルスルホコハク酸;アルキルベンゼンスルホン酸;α−オレフィンスルホン酸;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸;ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル;ナフタレンスルホン酸及びアルキルナフタレンスルホン酸;商品名EXTRAVON 40(チバガイギー社製)のようなドデシルベンゼンスルホン酸ジエタノールアミン塩;又はそれらの塩等が挙げられる。
【0026】
前記したカルボン酸型界面活性剤としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、マレイン酸とオレフィン(例えばイソブチレン及びジイソブチレン等)との共重合物、アクリル酸とイタコン酸の共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸とスチレンの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸との共重合物、又はそれらの塩等が挙げられる。
【0027】
前記した硫酸エステル型界面活性剤としては、商品名モノゲンY-100(第一工業製薬株式会社製)のような高級アルコール硫酸エステル塩、商品名TRADER Pro(COMTORIR COMMERCIAL DES LUBRIFIANTS製)のようなアルキル硫酸塩と硫酸マグネシウムの混合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの硫酸エステル、硫酸化オレフィン、又はそれらの塩等が挙げられる。
【0028】
前記したリン酸エステル型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのポリマーのリン酸エステル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルのポリマーのリン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーのリン酸エステル、又はそれらリン酸エステルの塩等が挙げられる。
【0029】
さらに、本発明では、商品名グラミンS(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル15%、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル5%及びポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム4%含有;三共アグロ株式会社製)のように、ノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤の混合物も使用できる。
【0030】
本発明で効力増強成分として用いられるカチオン系界面活性剤としては、エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤;ジアルキルアンモニウム塩及びアルキルアンモニウム等が挙げられる。エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤の具体例としては、例えばエトキシル化牛脂アミン系のものとして、商品名フリゲート(Frigate)(ISKバイオテック社製)、商品名エチラン(Ethylan)TT‐15、商品名ジェナミン(Genamin)T‐150(ヘキスト社製)、商品名ジェナミンT‐200(ヘキスト社製)、商品名エトメーン(Ethomeen)T‐25、商品名ソルポール(Sorpol)7553(東邦化学工業株式会社製)、商品名ソルポール7409(東邦化学工業株式会社製)、商品名ニューカルゲンD‐3615T等が挙げられ、エトキシル化大豆アミン系のものとして、商品名ソルポール7721(東邦化学工業株式会社製)、商品名ニューカルゲンD‐3605(竹本油脂株式会社製)等が挙げられ、エトキシル化ヤシアミン系のものとして、商品名ソルポール7376(東邦化学工業株式会社製)、商品名ニューカルゲンD‐3110(竹本油脂株式会社製)、商品名エトメーンC‐12等が挙げられる。なお、エチランTT-15、エトメーンT-25及び同C-12は、ウィード・リサーチ(Weed Research)、第20巻、139〜146頁、1980年に記載されている。また、エチランTT-15はジザニオロジー(Zizaniology)、第2巻、183〜189頁、1990年にも記載されている。ジアルキルアンモニウム塩の具体例としては、商品名ニーズ(ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム18%及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル44%含有;花王株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
本発明で効力増強成分として用いられる両性界面活性剤としては、ベタイン型界面活性剤又はアミノ酸型界面活性剤が挙げられる。
【0032】
本発明で効力増強成分として用いられる動植物油としては、例えば、トウモロコシ油、大豆油、アマニ油、ヒマワリ油、綿実油、ナタネ油、商品名Phase II(Loveland INDASTRIES LTD製)のようなエステル化ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、パーム油、アボガド油等の植物油;牛脂、鯨油等の動物油等が挙げられる。また、動植物油には、商品名Heli 700(ナタネ油ホスホノリピド含有)のような動植物油からの抽出物やメチル化植物油も含まれる。これらの動植物油は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
本発明で効力増強成分として用いられる鉱物油としては、マシン油、重油、シリコーン油、ナフテン溶媒、メチルナフタレン、1−フェニル−1−キシリルエタン等が挙げられる。これらの鉱物油は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
本発明で効力増強成分として用いられる水溶性高分子としては、水に完全溶解或いは一部溶解する高分子であれば特に限定されないが、例えば、澱粉、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、にかわ等の天然水溶性高分子;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の合成水溶性高分子等が挙げられる。これらの水溶性高分子は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。水溶性高分子の中で望ましいものは、デキストリン、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンである。
【0035】
本発明で効力増強成分として用いられる樹脂としては、商品名Heli 103のような合成ラテックス、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン−アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、実際の使用に際してはエマルジョンの形態で用いるのが望ましい。樹脂の中で望ましいものは、酢酸ビニル樹脂及びウレタン樹脂である。
【0036】
本発明で効力増強成分として用いられるワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス等が挙げられる。これらのワックスは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、実際の使用に際してはエマルジョンの形態で用いるのが望ましい。ワックスの中で望ましいものは、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス及びポリエチレンワックスである。
【0037】
本発明の有害生物防除剤組成物は、各成分を混合したものを製剤しても、或は各成分に関し予め製剤したものを混合してもよい。本発明の有害生物防除剤組成物は、農園芸上有害な昆虫類、ダニ類を含む節足動物;線虫類;土壌害虫などの各種有害動物及び各種の病害に対して防除効果を示す。即ち本発明の有害生物防除剤組成物は、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤などの有害動物防除剤及び殺菌剤として有用である。具体的には、ナミハダニ、ニセナミハダニ、ミカンハダニ、ネダニなどのような植物寄生性ダニ類;モモアカアブラムシ、ワタアブラムシなどのアブラムシ類;コナガ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、コドリンガ、ボールワーム、タバコバッドワーム、マイマイガ、コロラドハムシ、ウリハムシ、ボールウィービル、ウンカ類、ヨコバイ類、カイガラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、バッタ類、ハナバエ類、コガネムシ類、タマナヤガ、カブラヤガ、アリ類などのような農業害虫類;ゴキブリ類、イエバエのような衛生害虫類;バクガ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ゴミムシダマシ類などのような貯殺害虫類;イガ、ヒメカツオブシムシなどのような衣類害虫類;シロアリ類などのような家屋害虫類;などの節足動物に対しても有効であり、さらにはネコブセンチュウ類、シストセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ、イチゴメセンチュウ、マツノザイセンチュウなどのような植物寄生性線虫類に対しても有効である。また、土壌害虫類に対しても有効である。ここに言う土壌害虫としては、ナメクジ、マイマイのような腹足類;ダンゴムシ、ワラジムシなどのような等脚類などが挙げられる。その他、本発明組成物は有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤抵抗性害虫に対しても有効である。さらに本発明組成物は、優れた浸透移行性を有していることから、本発明組成物を土壌に処理することによって土壌有害昆虫類、植物寄生性ダニ類、線虫類、腹脚類、等脚類の防除と同時に茎葉部の害虫類をも防除することができる。
【0038】
本発明における有害生物防除剤組成物は、従来の農薬製剤の場合と同様に、各種補助剤と配合し、液剤、油性懸濁剤、水和剤、水溶剤、顆粒水和剤、乳剤、粉剤、粒剤、水性懸濁剤等の種々の形態に製剤することができる。これらの中では、液剤、油性懸濁剤、水和剤、水溶剤又は顆粒水和剤に製剤するのが望ましい。その際、式(I)の化合物又はその塩と、前記効力増強成分を一緒に混合・製剤してもよいし、或いは別々に製剤してそれらを混合してもよい。これら製剤品の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。ここにいう補助剤としては、担体、分散剤、乳化剤、懸濁剤、増粘剤、安定剤、湿潤剤、浸透剤、凍結防止剤、消泡剤等が挙げられ、必要により適宜添加すればよい。
【0039】
前記した担体としては、固体担体と液体担体に分けられ、固体担体としては、澱粉、砂糖、ラクトース、セルロース粉、シクロデキストリン、活性炭、大豆粉、小麦粉、粉乳等の動植物性粉末;タルク、カオリン、ベントナイト、有機ベントナイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、ゼオライト、ケイソウ土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、シリカ、等の鉱物性粉末等が挙げられ、液体担体としては、水;エチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ケロシン、灯油、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素類;キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類; N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド類;酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等の含硫化合物類或いはN−メチル−2−ピロリドン、等が挙げられる。
【0040】
前記した効力増強成分の一部である水溶性高分子や商品名ディクスゾール(第一工業製薬株式会社製)のように一部の界面活性剤は、分散剤としても作用するが、この他の分散剤、例えば、界面活性剤・シリカ配合品、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物、硫酸アンモニウム等を用いることもできる。また、乳化剤としては、種々のものが用いられるが、前記した効力増強成分の一部であるノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤の中で乳化剤として作用するものを用いてもよい。
【0041】
本発明における有害生物防除剤組成物を液剤の形態で製剤する場合、式(I)のピリジン系化合物又はその塩と前記した効力増強成分の他に、前記した液体担体を用いる。この場合、式(I)の化合物又はその塩と、液体担体との適当な配合比は、重量比で一般に1:500〜1:1、望ましくは1:50〜1:1である。
【0042】
本発明における有害生物防除剤組成物を油性懸濁剤の形態で製剤する場合、効力増強成分として、鉱物油、動物油及びワックスから成る群から選択される少なくとも1種の油状の効力増強成分を必ず用いなければならない。この場合、式(I)の化合物又はその塩と、油状の効力増強成分との適当な配合比は、重量比で一般に1:500〜2:1、望ましくは1:50〜1:1である。
【0043】
本発明における有害生物防除剤組成物を水和剤の形態で製剤する場合、式(I)のピリジン系化合物又はその塩と前記した効力増強成分の他に、前記した固形担体及び分散剤を用いる。この場合、式(I)の化合物又はその塩と、固形担体との適当な配合比は、重量比で一般に1:500〜100:1、望ましくは1:50〜20:1である。また、式(I)の化合物又はその塩と、分散剤との適当な配合比は、重量比で一般に1:10〜100:1、望ましくは1:2〜50:1である。
【0044】
本発明における有害生物防除剤組成物を水溶剤の形態で製剤する場合、式(I)のピリジン系化合物又はその塩と前記した効力増強成分の他に、前記した固形担体及び分散剤を用いる。この場合、式(I)の化合物又はその塩と、固形担体との適当な配合比は、重量比で一般に1:500〜100:1、望ましくは1:50〜20:1である。また、式(I)の化合物又はその塩と、分散剤との適当な配合比は、重量比で一般に1:10〜100:1、望ましくは1:2〜50:1である。
【0045】
本発明における有害生物防除剤組成物を顆粒水溶剤の形態で製剤する場合、式(I)のピリジン系化合物又はその塩と前記した効力増強成分の他に、前記した固形担体及び分散剤を用いる。この場合、式(I)の化合物又はその塩と、固形担体との適当な配合比は、重量比で一般に1:500〜100:1、望ましくは1:50〜20:1である。また、式(I)の化合物又はその塩と、分散剤との適当な配合比は、重量比で一般に1:10〜100:1、望ましくは1:2〜50:1である。
【0046】
本発明における有害生物防除剤組成物は、必要に応じて他の農薬、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物成長調製剤などと、混用、併用することができ、この場合には一層優れた効果を示すこともある。
【0047】
上記他の農薬中の、殺菌剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会試験コード)としては、例えば、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)、フェリムゾン(ferimzone)のようなアニリノピリミジン系化合物;
5-クロロ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンのようなトリアゾロピリミジン系化合物;
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、プロクロラズ(prochloraz)、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(sipconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)のようなアゾール系化合物;
キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(fthalide)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)、シアゾファミド(cyazofamid)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル−M(metalaxyl-M)、メフェノキサム(mefenoxam)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル−M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物;
ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物;
水酸化第二銅(cupric hydroxide)、有機銅(oxine Copper)のような銅系化合物;
ヒメキサゾール(hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolclofos‐Methyl)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)のような有機リン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)、ゾキサミド(zoxamide)、チアジニル(tiadinil)のようなベンズアニリド系化合物;
カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid)、ビキサフェン (bixafen)、 フルオピラム(fluopyram)、 イソチアニル(isotianil)、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物(イソピラザム(isopyrazam)) のようなアニリド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)、フルトリアフォル(flutriafol)のようなカルビノール系化合物;
フェンプロピディン(fenpropidin)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、スピロキサミン(spiroxamine)、トリデモルフ(Tridemorph)のようなモルフォリン系化合物;
フェンチンヒドロキシド(fentin hydroxide)、フェンチンアセテート(fentin acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;
ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノフェン(metominofen)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)のようなストロビルリン系化合物;
ファモキサドン(famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
シルチオファム(silthiopham)のようなシリルアミド系化合物;
イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ−イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)、バリフェナール (valiphenal)、のようなアミノアシッドアミドカーバメート系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリジン系化合物;
フェンヘキサミド(fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;
フルスルファミド(flusulfamid)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
フェノキサニル(fenoxanil)のようなフェノキシアミド系化合物;
アトラキノン系化合物;
クロトン酸系化合物;
バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物;
2,3-ジメチル-6-t-ブチル-8-フルオロ-4-アセチルキノリンのような4−キノリノール誘導体化合物;
2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリルのようなシアノメチレン系化合物;
その他の化合物として、ピリベンカルブ(pyribencarb)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、ピロキロン(pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、キノキシフェン(quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam‐sodium)、ニコビフェン(nicobifen)、メトラフェノン(metrafenone)、UBF-307、ジクロシメット(diclocymet)、プロキンアジド(proquinazid)、アミスルブロム(amisulbrom;別名アミブロドール(amibromdole))、マンジプロパミド(mandipropamid)、フルオピコリド(fluopicolide)、カルプロパミド(carpropamid)、メプチルジノキャップ(meptyldinocap)などが挙げられる。
【0048】
上記他の農薬中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤、すなわち殺害虫剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は試験コード)としては、例えばプロフェノホス(profenofos)、ジクロルボス(dichlorvos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、EPN、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos‐methyl)、アセフェート(acephate)、プロチオホス(prothiofos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、カズサホス(cadusafos)、ジスルホトン(dislufoton)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、エチオン(ethion)、エトリムホス(etrimfos)、キナルホス(quinalphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロパホス(propaphos)、ホサロン(phosalone)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、テトラクロルビンホス(tetrachlovinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シアノホス(cyanophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、メチダチオン(methidathion)、フェントエート(phenthoate)、ESP、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、フェンチオン(fenthion)、ヘプテノホス(heptenophos)、メトキシクロル(methoxychlor)、パラチオン(paration)、ホスホカルブ(phosphocarb)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、モノクロトホス(monocrotophos)、メタミドホス(methamidophos)、イミシアホス(imicyafos)、パラチオン-メチル(parathion-methyl)、テルブホス(terbufos)、ホスファミドン(phospamidon)、ホスメット(phosmet)、ホレート(phorate)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(carbaryl)、プロポキスル(propoxur)、アルジカルブ(aldicarb)、カルボフラン(carbofuran)、チオジカルブ(thiodicarb)、メソミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、フラチオカルブ(furathiocab)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メトルカルブ(metolcarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、チオスルタップナトリウム(thiosultap-sodium)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)、ディルドリン(dieldrin)のような有機塩素系化合物;
酸化フェンブタスズ(fenbutatin Oxide)、シヘキサチン(cyhexatin)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(fenvalerate)、ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、テフルトリン(tefluthrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フルフェンプロックス(flufenprox)、シフルトリン(cyfluthrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、ラムダシハロトリン(lambda-cyhalothrin)、ピレスリン(pyrethrins)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、テトラメスリン(tetramethrin)、レスメスリン(resmethrin)、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ビフェントリン(bifenthrin)、ゼータシペルメトリン(zeta-cypermethrin)、アクリナトリン(acrinathrin)、アルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)、アレスリン(allethrin)、ガンマシハロトリン(gamma-cyhalothrin)、シータシペルメトリン(theta-cypermethrin)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、トラロメスリン(tralomethrin)、プロフルスリン(profluthrin)、ベータシペルメトリン(beta-cypermethrin)、ベータシフルトリン(beta-cyfluthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、フェノトリン(phenothrin)、イミデート(imidate)、フルメトリン(flumethrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、フルアズロン(fluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)のような幼若ホルモン様化合物;
ピリダベン(pyridaben)のようなピリダジノン系化合物;
フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フィプロニル(fipronil)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、エチピロール(ethiprole)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)のようなピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ニジノテフラン(nidinotefuran)、ジノテフラン(dinotefuran)等のネオニコチノイド;
テブフェノジド(tebufenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)等のヒドラジン系化合物;
ピリダリル(Pyridaryl)、フロニカミド(flonicamid)等のようなピリジン系化合物;
スピロディクロフェン(spirodiclofen)等のようなテトロニック酸系化合物;
フルアクリピリム(fluacrypyrin)等のようなストロビルリン系化合物;
フルフェネリム(flufenerim)等のようなピリジナミン系化合物;
ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラゾン系化合物、また、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、シラフルオフェン(silafluofen)、トリアザメイト(triazamate)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、インドキサカルブ(indoxacarb)、アセキノシル(acequinocyl)、エトキサゾール(etoxazole)、シロマジン(cyromazine)、1,3−ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラマット(spirotetramat)、プロパルギット(propargite)、クロフェンテジン(clofentezine)、メタフルミゾン(metaflumizone)、フルベンジアミド(flubendiamide)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニルプロール(chlorantraniliprole)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazone)、フェナザキン(fenazaquin)、ピリダベン(pyridaben)、アミドフルメット(amidoflumet)、クロロベンゾエート(chlorobenzoate)、スルフルアミド(sulfluramid)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、メタアルデヒド(metaldehyde)、HGW-86、リアノジン(ryanodine)、フルフェンリム(flufenerim)、ピリダリル(pyridalyl)、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、ベルブチン(verbutin)、チアゾリルシナノニトリル(thiazolylcinnanonitrile)、アミドフルメット(amidoflumet)のような化合物;AKD‐1022、IKA‐2000などが挙げられる。更に、Bacillus thuringienses aizawai、Bacillus thuringienses kurstaki、Bacillus thuringienses israelensis、Bacillus thuringienses japonensis、Bacillus thuringienses tenebrionis、Bacillus thuringiensesが生成する結晶タンパク毒素、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤などのような微生物農薬、アベルメクチン(avermectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin Benzoate)、ミルベメクチン(milbemectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、スピノサッド(spinosad)、イベルメクチン(ivermectin)、レピメクチン(lepimectin)、DE−175、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)、スピネトラム(spinetoram)のような抗生物質及び半合成抗生物質;アザディラクチン(azadirachtin)、ロテノン(rotenone)のような天然物;ディート(deet)のような忌避剤;などと、混用、併用することもできる。
【0049】
本発明の有害生物防除剤組成物において、式(I)の化合物又はその塩と、効力増強成分との適当な配合比は、重量比で一般に1:1000〜100:1、望ましくは1:100〜10:1、さらに望ましくは1:50〜4:1、最も望ましくは1:20〜2:1である。
【0050】
本発明の有害生物防除剤組成物の使用濃度は、対象作物、使用方法、製剤形態、施用量等の条件によって異なるので、一概に規定しがたいが、茎葉処理の場合、通常有効成分濃度が1〜1,000ppm、効力増強成分濃度が1〜10,000ppmである。土壌処理の場合、通常有効成分濃度が0.01〜10kg/ha、効力増強成分濃度が0.1〜10kg/haである。
【0051】
本発明の有害生物の防除方法における望ましい実施形態の1つとして、本発明の有害生物防除剤組成物を水分散液として、有害生物に施用する方法が挙げられる。この方法においては、有害生物防除剤組成物を水分散液として有害生物が発生している又は発生することが予想される場所に対して散布される。そのような場所としては農園芸用植物の茎葉部、土壌等が挙げられるが、農園芸用植物の茎葉部の場合は特に効果がある。水分散液としては有効成分の製剤品を水に分散させ、このものに効力増強成分を添加したもの;有効成分と効力増強成分とを予め混合して製剤したものを水に分散させたもの;又はそれらに準ずる方法により水に分散させたものが使用される。水分散液の施用時には有害生物防除剤組成物0.1〜10,000mgに対して1リットルの水によって水分散液が調製され、使用される。水分散液は有効成分の濃度が0.1〜10,000ppmとなるように調製される。水分散液の散布量は、1ha当たり100〜10,000リットルである。水分散液としては、水性懸濁製剤品を用いることもできる。水性懸濁製剤品の有効成分の濃度は0.1〜10,000ppmとなるように調製される。水性懸濁製剤品の散布量は、1ha当たり100〜10,000リットルである。
【0052】
次に、本発明の有害生物防除剤組成物の望ましい実施形態のいくつかを例示するが、これらは本発明を限定するものではない。
(1) ピリジン系化合物又はその塩と、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスよりなる群から選択された少なくとも1種の効力増強成分とを含有する有害生物防除剤組成物。
(2) 効力増強成分が、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油及び樹脂よりなる群から選択された少なくとも1種のものである(1)に記載の有害生物防除剤組成物。
(3) ノニオン系界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)フェニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル;ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキルアミンエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルフェノキシポリエトキシエタノール及びポリオキシエチレンロジンエステル又はアセチレン系界面活性剤である(1)又は(2)に記載の有害生物防除剤組成物。
(4)ノニオン系界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル又はポリオキシエチレン脂肪酸エステルである(1)又は(2)に記載の有害生物防除剤組成物。
(5)アニオン系界面活性剤が、スルホン酸型界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤又はリン酸エステル型界面活性剤である(1)又は(2)に記載の有害生物防除剤組成物。
(6)アニオン系界面活性剤がスルホン酸型界面活性剤である(1)又は(2)に記載の有害生物防除剤組成物。
(7)カチオン系界面活性剤がエトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤、ジアルキルアンモニウム塩又はアルキルアンモニウムである(1)又は(2)に記載の有害生物防除剤組成物。
(8)カチオン系界面活性剤がエトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤又はジアルキルアンモニウム塩である(1)又は(2)に記載の有害生物防除剤組成物。
(9)効力増強成分が、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤、ジアルキルアンモニウム塩、動植物油及び合成ラテックスよりなる群から選択された少なくとも1種のものである(2)に記載の有害生物防除剤組成物。
(10)効力増強成分が、シリコーン系界面活性剤である(9)に記載の有害生物防除剤組成物。
(11)ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、液体担体を含有し、製剤形態が液剤である(1)〜(10)に記載の有害生物防除剤組成物。
(12)効力増強成分として、鉱物油、動物油及びワックスから成る群から選択される少なくとも1種を含有し、製剤形態が油性懸濁剤である(1)〜(10)に記載の有害生物防除剤組成物。
(13)ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、固体担体及び分散剤を含有し、製剤形態が水和剤である(1)〜(10)に記載の有害生物防除剤組成物。
(14)ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、固体担体及び分散剤を含有し、製剤形態が水溶剤である(1)〜(10)に記載の有害生物防除剤組成物。
(15)ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、固体担体及び分散剤を含有し、製剤形態が顆粒水溶剤である(1)〜(10)に記載の有害生物防除剤組成物。
(16)ピリジン系化合物又はその塩と、効力増強成分との混合重量比が1:1000〜100:1である(1)〜(15)に記載の有害生物防除剤組成物。
(17)(1)に記載の有害生物防除剤組成物を有害生物に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
(18)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスよりなる群から選択された少なくとも1種の効力増強成分によって、前記式(I)で表されるピリジン系化合物又はその塩の有害生物防除効力を増強する方法。
【実施例】
【0053】
試験例1(モモアカアブラムシに対する効果試験)
φ10cmポット植え7〜8葉期のダイコンに寄生したモモアカアブラムシの無翅成虫及び幼虫をカウントした後、フロニカミドを0.05g/リットルの割合で含有し、効力増強成分を所定濃度で含有するように調製した薬液を、1000リットル/haの割合で散布処理した。処理後、各温度条件の屋外人工気象室に静置した。経時的に上記と同様にモモアカアブラムシ寄生数を調査し、下記の式により防除価を算出した。試験は2反復で実施した。その結果を、第1表〜第3表に示した。供試した効力増強成分をN−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミドに加用することにより、防除効果が向上した。
防除価=(1−(Ta×Cb)/(Tb×Ca))×100
Ta=処理区の処理後の虫数
Tb=処理区の処理前の虫数
Ca=無処理区の処理後の虫数
Cb=無処理区の処理前の虫数
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
試験例2(ムギクビレアブラムシに対する効果試験)
1/5000aポット植えのコムギに寄生したムギクビレアブラムシの無翅成虫及び幼虫数を調査した後、フロニカミドを0.15g/リットルの割合で含有し、効力増強成分を所定濃度で含有するように調製した薬液を、200リットル/haの割合で散布処理し、温室に静置した。処理後経時的に上記と同様にムギクビレアブラムシ寄生数を調査し、下記の式により防除価を算出した。試験は2反復で実施した。その結果を、第4表に示した。
供試した効力増強成分をN−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミドに加用することにより、防除効果が向上した。
防除価=(1−(Ta×Cb)/(Tb×Ca))×100
Ta=処理区の処理後の虫数
Tb=処理区の処理前の虫数
Ca=無処理区の処理後の虫数
Cb=無処理区の処理前の虫数
【0058】
【表4】

【0059】
試験例3(ムギクビレアブラムシに対する効果試験)
1/5000aポット植えのコムギに寄生したムギクビレアブラムシの無翅成虫及び幼虫数を調査した後、フロニカミドを0.25g/lの割合で含有し、効力増強成分を所定濃度で含有するように調製した薬液を、200 l/haの割合で散布処理し、温室に静置した。処理後経時的に上記と同様にムギクビレアブラムシ寄生数を調査し、試験例2と同様の方法で防除価を算出した。試験は3反復で実施した。その結果を、第5表に示した。
【0060】
【表5】

【0061】
製剤例1 液剤
フロニカミド原体20.5重量部及び商品名KF-640(ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン;信越化学工業株式会社製)33.3重量部を、N,N―ジメチルアセトアミド46.2重量部に溶解し、20%液剤を得た。
【0062】
製剤例2 液剤
フロニカミド原体10.3重量部及び商品名ニューカルゲンEP-70G(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;竹本油脂株式会社製)20重量部を、N,N―ジメチルアセトアミド69.7重量部に溶解し、10%液剤を得た。
【0063】
製剤例3 液剤
フロニカミド原体10.3重量部及び商品名ノイゲンTDS-70(ポリオキエチレンアルキルエーテル;第一工業製薬株式会社製)20重量部を、N,N―ジメチルアセトアミド69.7重量部に溶解し、10%液剤を得た。
【0064】
製剤例4 油性懸濁剤
フロニカミド原体5.2重量部、商品名ソルポール3815K(硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物とポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの混合物;東邦化学工業株式会社製)10重量部、商品名New D ORBEN(有機ベントナイト;白石工業株式会社製)1重量部及び大豆油83.8重量部を湿式粉砕し、5%油性懸濁剤を得た。
【0065】
製剤例5 水和剤
フロニカミド原体10.3重量部、商品名ディクスゾールW−205A(分散剤;第一工業製薬株式会社製)10重量部、カオリン29.7重量部、及び商品名ソルゲン40(ソルビタン脂肪酸エステル;第一工業製薬株式会社製)と商品名カープレックス#80(ホワイトカーボン;デグサ社製)を1:1の重量割合で混合した配合物50重量部を混合・粉砕し、10%水和剤を得た。
【0066】
製剤例6 水溶剤
フロニカミド原体10.3重量部、商品名ニューカルゲンEX-70G(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;竹本油脂株式会社製)20重量部、商品名Morwet D−425P(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物;ローディア日華株式会社製)5重量部及びラクトース64.7重量部を混合・粉砕し、10%水溶剤を得た。
【0067】
製剤例7 顆粒水溶剤
フロニカミド原体10.3重量部、商品名ラミゲンES−60(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;第一工業製薬株式会社製)10重量部、商品名Morwet D−425P(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物;ライオン・アクゾ株式会社製)5重量部、及び硫酸アンモニウム74.7重量部を混合した後、水を加えて混練し、造粒、乾燥、整粒して、10%顆粒水溶剤を得た。
【0068】
試験例4(製剤品のムギクビレアブラムシに対する効果試験)
1/5000aポット植えのコムギに寄生したムギクビレアブラムシの無翅成虫及び幼虫数を調査した後、前記製剤例1に記載の液剤をフロニカミドが0.15g/lとなるように水で希釈した薬液を、200 l/haの割合で散布処理し、屋外人工気象室(20℃)に静置した。処理後経時的に、上記と同様にムギクビレアブラムシ寄生数を調査した。試験は3反復で実施した。その結果を、第6表に示した。
【0069】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、R1は、CHCN又は
【化2】

であり;R及びR3は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシである)で表されるピリジン系化合物又はその塩と、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスよりなる群から選択された少なくとも1種の効力増強成分とを含有する有害生物防除剤組成物。
【請求項2】
ピリジン系化合物が、N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(3−メチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−クロロ−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−ブロモ−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−メチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−エチル−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミド、N−(4−メトキシ−5−イソオキサゾリル)−4−(トリフルオロメチル)ニコチンアミドよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項3】
ピリジン系化合物が、N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミドである請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項4】
効力増強成分が、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油及び樹脂よりなる群から選択された少なくとも1種のものである請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項5】
効力増強成分が、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤、ジアルキルアンモニウム塩、動植物油及び合成ラテックスよりなる群から選択された少なくとも1種のものである請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項6】
効力増強成分が、シリコーン系界面活性剤である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項7】
ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、液体担体を含有し、製剤形態が液剤である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項8】
効力増強成分として、鉱物油、動物油及びワックスから成る群から選択される少なくとも1種を含有し、製剤形態が油性懸濁剤である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項9】
ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、固体担体及び分散剤を含有し、製剤形態が水和剤である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項10】
ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、固体担体及び分散剤を含有し、製剤形態が水溶剤である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項11】
ピリジン系化合物又はその塩と効力増強成分の他に、固体担体及び分散剤を含有し、製剤形態が顆粒水溶剤である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項12】
ピリジン系化合物又はその塩と、効力増強成分との混合重量比が1:1000〜100:1である請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の有害動物防除剤組成物を有害生物に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
【請求項14】
ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスよりなる群から選択された少なくとも1種の効力増強成分によって、式(I):
【化3】

(式中、R1は、CHCN又は
【化4】

であり;R及びR3は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル又はC1-6アルコキシである)で表されるピリジン系化合物又はその塩の有害生物防除効力を増強する方法。

【公開番号】特開2009−275036(P2009−275036A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89518(P2009−89518)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】