説明

有害生物防除剤組成物

【課題】 より広範囲の害虫、施用場面に対して高い防除効果を挙げ得る薬剤、即ち、より少ない施用濃度でも高い防除効果が発揮し得るよう改良された有害生物防除剤の配合組成物が求められている。
【解決手段】 フルベンジアミドはベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤との組合せにより、各薬剤の単用と比してより効果が高まることにより、薬剤抵抗性を示す有害生物等を含めて、より多種類の有害生物や効果の発揮し辛い環境に生息する有害生物も有効にかつ持続的に防除できる有害生物防除剤組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフルベンジアミドとベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤、特にテフルベンズロンとの混合により増強された殺虫効果を発揮する有害生物防除剤組成物及び有害生物防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明で用いられる有効成分であるフルベンジアミドは公知の化合物であり、有害生物防除剤として有用であることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、フタルアミド誘導体と殺虫剤等とを混合して使用することにより、対象病害虫の拡大等が期待できることが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−131141号公報
【特許文献2】特開2003−12415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農作業においては、作物の生育期間中、各種薬剤等を多数回散布することが必要であり、散布作業回数の多さは農業従事者にとり大きな負担になっている。例えば、果樹園芸等においては、栽培を傾斜面において行うことも多く、その負担も特に重い。これら散布等の作業回数を少なくすることは、農業従事者の労働負担を減らすという労働衛生面からも、また、農産物生産コストを低減する経済性からも強く求められている。
フルベンジアミドは各種有害生物防除剤として有用であるが、害虫の種類や施用場面によっては、他の場面で有効な散布薬量ではその効果は必ずしも十分でない場合がある。そこで、フルベンジアミドを含有する、より優れた有害生物防除剤が求められている。
【0005】
本発明は、優れた殺虫効果を持続して発揮する新規な有害生物防除剤組成物及びその使用方法並びに有害生物防除方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前述の課題を解決すべく研究した結果、フルベンジアミドにベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤、特にテフルベンズロンを混合使用した場合、各々の薬剤を単独で使用した場合に比して、特に果樹類のシンクイムシ類等に対して予期以上の殺虫効果が得られることを見出して本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、フルベンジアミド及びベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤、特にテフルベンズロンを含有することを特徴とする有害生物防除剤組成物及びその使用方法並びに有害生物の防除方法に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の農園芸用有害生物防除剤は、フルベンジアミドはベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤、特にテフルベンズロンとの組合せにより、各薬剤の単用と比してより効果が高まることにより、薬剤抵抗性を示す有害生物等を含めて、より多種類の有害生物や効果の発揮し辛い環境に生息する有害生物も有効にかつ持続的に防除できる。その結果、農家の労働負担の軽減に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の有害生物防除剤組成物の有効成分として用いられる、フルベンジアミド(ISO一般名、化学名:N2 −(1,1−ジメチル−2−メチルスルホニルエチル)−3−ヨード−N1
−{2−メチル−4−[1,2,2,2,−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル}フタルアミド)(CAS登録番号:272451−65−7)は特開2001−131141号公報等に準じて製造することができる。
【0010】
ベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤としては、同様の昆虫等のキチン合成阻害作用を有する化合物であれば良く、例えばトリフルムロン、ビストリフルロン、ノビフルムロン、フルシクロスロン、テフルベンズロン、フルフェノクスロン、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノバルロン、ルフェヌロンを挙げることができる。ベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤は単独で用いても2種以上を加えて用いることもできる。トリフルムロン、ビストリフルロン、ノビフルムロン、フルシクロスロン又はテフルベンズロンが好ましく、テフルベンズロンが特に好ましい。これらの有効成分であるベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤、特にテフルベンズロン(ISO一般名、化学名:1−(3,5−ジクロル−2,4−ジフルオルフェニル)−3−(2,6−ジフルオルベンゾイル)尿素)も公知(ザ・ペスティサイド・マニュアル第12版(2000年)等を参照。)の化合物であり、当該文献に記載の文献等に準じて製造することや、市販品の購入等により入手することができる。
【0011】
本発明の有害生物防除剤組成物は水稲、野菜、果樹、その他の花卉、樹木等を加害する各種農林害虫又は園芸害虫等の害虫防除に適しており、場合により貯穀害虫又は衛生害虫あるいは線虫等の害虫防除にも用いることができ、例えば半翅目(Hemiptera)の異翅類(Heteroptera)から、マルカメムシ(Megacopta punctatissimum)、オオトゲシラホシカメムシ(Eysarcoris lewisi)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)、コバネヒョウタンナガカメムシ(Togo hemipterus)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)、ツツジグンバイ(Stephanitis pyrioides)、ウスミドリメクラガメ(Apolygus spinolai)、アカスジメクラガメ(Stenotus rubrovittalus)、アカヒゲホソミドリメクラガメ(Trigonotylus coelestialium)など、同翅類(Homoptera)から、フタテンヒメヨコバイ(Arboridia apicalis)、チャノミドリヒメヨコバイ(Empoasca onukii)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、ミカンキジラミ(Diaphorina citri)、ミカントゲコナジラミ(Aleurocanthus spiniferus)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、ミカンコナジラミ(Dialeurodes citri)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、
【0012】
ブドウネアブラムシ(Viteus vitifolii)、リンゴワタムシ(Eriosoma lanigerum)、ユキヤナギアブラムシ(Aphis citricola)、マメアブラムシ(Aphis craccivora)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、ムギヒゲナガアブラムシ(Sitobion
akebiae)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ツノロウムシ(Ceroplastes ceriferus)、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、ナシマルカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagoa)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)等を例示することができ、
【0013】
鱗翅目(Lepidoptera)から、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes honmai)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus)、モモシンクイガ(Carposina niponensis)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、モモノゴマダラノメイガ(Conogethes Punctifelalis)、チャハマキ(Homona magnanima)、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、ヨモギエダシャク(Ascotis selenaria)、グレイプベリーモス(Endopiza viteana)、コドリンガ(Laspeyresia pomonella)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoniella)、ギンモンハモグリガ(Lyonetia prunifoliella malinella)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)、コナガ(Plutella xylostella)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、モモシンクイガ(Carposina niponensis)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、サンカメイガ(Scirpophaga incertulas)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ハイマダラノメイガ(Hellulla undalis)、アゲハ(Papilio xuthus)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)、オビカレハ(Malacosoma neustria testacea)、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)、シバツトガ(Parapediasia teterrella)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、ヘリオチス種(Heliothis sp.)、カブラヤガ(Agrotis segetum)、タマナギンウワバ(Autographa nigrisigna)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)等を例示することができ、
【0014】
鞘翅目(Coleoptera)から、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、マメコガネ(Popillia japonica)、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、ヒラタコクヌストモドキ(Tribolium confusum)、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、ルートワーム種(Diabrotica sp.)
、ワタミゾウムシ(Anthonomus gradis grandis)、メキシカンビートル(Epilachna varivestis)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、シバオサゾウムシ(Sphenophrus venatus vestitus)、膜翅目(Hymenoptera)から、カブラハバチ(Athalia rosae ruficornis)、チュウレンジハバチ(Arge pagana)、クロヤマアリ(Formica japonica)等を例示することができ、
【0015】
双翅目(Diptera)から、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、イネミギワバエ(Hydrellia griseola)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、タマネギバエ(Delia antiqua)、イエバエ(Musca domestica)、チカイエカ(Culex pipiens molestus)、アカイエカ(Culex pipiens pallens)、アザミウマ目(Thysanoptera)から、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、シロアリ目(Isoptera)から、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、チャタテムシ(Psocoptera)、ヒラタチャタテ(Liposcelis bostrychophilus)等を例示することができ、直翅目(Orthoptera)から、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)、ケラ(Gryllotalpa sp.)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)
、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)等を例示することができ、
【0016】
ダニ目(Acarina)から、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミナミヒメハダニ(Brevipalpus phoenicis)、クローバーハダニ(Bryobia praetiosa)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、ニセナシサビダニ(Eriophyes chibaensis)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等を例示することができ、ハリセンチュウ目(Tylenchida)から、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus coffeae)、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、ニセハリセンチュウ目(Dorylaimida)から、ナガハリセンチュウ(Longidorus sp.)等を例示することができ、軟体動物門腹足綱(Gastropoda)から、ナメクジ(Incilaria bilineata)等を例示することができる。混合した殺菌剤等が効果を有する病害の防除にも使用できる。
【0017】
本発明の有害生物防除剤組成物を使用できる有用植物は特に限定されるものではないが、例えば穀類(例えば、稲、大麦、小麦、ライ麦、オート麦、トウモロコシ等)、豆類(大豆、小豆、そら豆、えんどう豆、インゲン豆、落花生等)、果樹・果実類(林檎、柑橘類、梨、葡萄、桃、梅、桜桃、胡桃、栗、アーモンド、バナナ、イチゴ等)、葉・果菜類(キャベツ、トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、レタス、タマネギ、ネギ、ピーマン、ナス、ペッパー等)、根菜類(ニンジン、馬鈴薯、サツマイモ、サトイモ、大根、蓮根、カブ、ゴボウ、ニンニク等)、加工用作物(棉、麻、ビート、ホップ、サトウキビ、テンサイ、オリーブ、ゴム、コーヒー、タバコ、茶等)、ウリ類(カボチャ、キュウリ、マクワウリ、スイカ、メロン等)、牧草類(オーチャードグラス、ソルガム、チモシー、クローバー、アルファルファ等)、芝類(高麗芝、ベントグラス等)、香料鑑賞用作物等(ラベンダー、ローズマリー、タイム、パセリ、胡椒、生姜等)、花卉類(キク、バラ、カーネーション、蘭等)、庭木(イチョウ、サクラ類、アオキ等)、樹木(トドマツ類、エゾマツ類、松類、ヒバ、杉、桧等)等の植物を例示することができる。
また、当該有用植物は、遺伝子組換え等により、殺虫性有効成分を成長過程で産生するものであっても良い。当該殺虫性有効成分としては、例えばBt毒素等を例示することができる。
【0018】
本発明のフルベンジアミド及びテフルベンズロンを配合してなる有害生物防除剤は、水田作物、畑作物、果樹、野菜、その他の作物、花卉及び樹木等に被害を与える前記害虫に対して顕著な防除効果を有するので、害虫の発生が予測される時期に合わせて、害虫の発生前又は発生が確認された時点で果樹、野菜、その他の作物、花卉、樹木等の茎葉等の有害生物の生息域及び/又は有害生物そのものに処理することにより本発明の有害生物防除剤の所期の効果が奏せられるものである。
【0019】
本発明の有害生物防除剤組成物は各種病害虫を防除するために、そのままの形、又は水等で適宜希釈し若しくは懸濁させた形で有害生物防除に有効な量を、有害生物の発生が予測される植物に使用すればよく、例えば果樹、穀類、野菜等において発生する有害生物に対しては茎葉部に散布することができる。
【0020】
作物茎葉部あるいは貯穀害虫、家屋害虫、衛生害虫、森林害虫等への散布方法としては、乳剤、フロアブル剤等の液体製剤又は水和剤もしくは顆粒水和剤等の固形製剤を水で適宜希釈し、散布する方法、粉剤を散布する方法又はくん煙等が挙げられる。
【0021】
また、本発明はフルベンジアミド及びテフルベンズロンを併用することによる有害生物、特に果樹のシンクイガ類の防除方法に関する。フルベンジアミド及びテフルベンズロンの併用は、例えば駆除すべきシンクイガの幼虫等が生息する果樹や上記植物等において、本発明の組成物を上述のような形で希釈して散布液を調製、散布する形態であっても良い。また、当該併用はフルベンジアミドを含有する組成物又は希釈原液等とテフルベンズロンを含有する組成物又は希釈原液等を、作物等への施用時に本発明の組成物と同様の割合となるように希釈、混合して散布液を調製して施用する形態であっても良く、更に、フルベンジアミドを含有する組成物又は希釈原液等とテフルベンズロンを含有する組成物又は希釈原液等をそれぞれ任意の濃度に別々に調製し、これらを対象作物等に対し別々に同時期に施用する形態であっても良い。この場合、先に処理した薬液の乾燥程度を確認して同日に散布しても良く、また、作業の都合上約1〜3日程度散布間隔が離れていても良い。上記の場合におけるフルベンジアミドとテフルベンズロンのそれぞれの施用薬量は、下記に示す本発明の施用量と同様となるようにするのが良い。
【0022】
本発明の有害生物防除剤は、農薬製剤上の常法に従い使用上都合の良い形状に製剤して使用するのが一般的である。
本発明の有害生物防除剤は、フルベンジアミド及びテフルベンズロンを適当な不活性担体に、又は必要に応じて補助剤と一緒に適当な割合に配合して溶解、分離、懸濁、混合、含浸、吸着若しくは付着させて適宜の剤型、例えば懸濁剤、乳剤、液剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、粉剤、錠剤、パック剤、ジャンボ剤等に製剤して使用できる。補助剤としては、増量剤、界面活性剤、固体流動性改良剤、懸濁剤、解こう剤、賦形剤、消泡剤、防腐剤、展着剤、酸化防止剤、分解防止剤、紫外線吸収剤等を用いることができる。
【0023】
本発明で使用できる不活性担体としては固体又は液体の何れであっても良く、固体の担体になりうる材料としては、例えばダイズ粉、穀物粉、木粉、樹皮粉、鋸粉、タバコ茎粉、クルミ殻粉、ふすま、繊維素粉末、植物エキス抽出後の残渣、粉砕合成樹脂等の合成重合体、粘土類(例えばカオリン、ベントナイト、酸性白土等)、タルク類(例えばタルク、ピロフィライト等)、シリカ類{例えば珪藻土、珪砂、雲母、ホワイトカーボン(含水微粉珪素、含水珪酸ともいわれる合成高分散珪酸で、製品により珪酸カルシウムを主成分として含むものもある。)}、活性炭、イオウ粉末、軽石、焼成珪藻土、レンガ粉砕物、フライアッシュ、砂、硫酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等の無機鉱物性粉末、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック担体、硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等の化学肥料、堆肥等を挙げることができ、これらは単独で若しくは二種以上の混合物の形で使用される。
【0024】
液体の担体になりうる材料としては、それ自体溶媒能を有するものの他、溶媒能を有さずとも補助剤の助けにより有効成分化合物を分散させうることとなるものから選択され、例えば代表例として次に挙げる担体を例示できるが、これらは単独で若しくは2種以上の混合物の形で使用され、例えば水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、壁試練グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等)、エーテル類(例えばエチルエーテル、ジオキサン、セロソルブ、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(例えばケロシン、鉱油等)、芳香族炭化水素類(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等)、エステル類(例えば酢酸エチル、ジイソプピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレ−ト等)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル等)、N−アルキルピロリドン、ジメチルスルホキシド類等を挙げることができる。
【0025】
他の補助剤としては次に例示する代表的な補助剤をあげることができ、これらの補助剤は目的に応じて使用され、単独で、ある場合は二種以上の補助剤を併用し、又ある場合には全く補助剤を使用しないことも可能である。
有効成分化合物の乳化、分散、可溶化及び/又は湿潤の目的のために界面活性剤が使用され、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ジアルキルスルホサクシネート塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、リグニンスルホン酸塩又は高級アルコール硫酸エステル等の界面活性剤を例示することができる。
又、有効成分化合物の分散安定化、粘着及び/又は結合の目的のために、次に例示する補助剤を使用することができ、例えばカゼイン、ゼラチン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、松根油、糠油、キサンタンガム等の増粘多糖類、ベントナイト等のチキソトロピー性鉱物類、リグニンスルホン酸塩等の補助剤を使用することができる。
【0026】
固体製品の流動性改良のために次に挙げる補助剤を使用することもでき、例えばワックス、ステアリン酸塩、燐酸アルキルエステル等の補助剤を使用できる。懸濁性製品の解こう剤として、例えばナフタレンスルホン酸縮合物、縮合燐酸塩等の補助剤を使用することができる。
消泡剤としては、例えばシリコーン油等の補助剤を使用することもできる。
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、パラクロロメタキシレノール又はパラオキシ安息香酸ブチル等を添加することができる。
【0027】
更に必要に応じてテルペン、ポリアミド樹脂又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンの高級脂肪酸エステル等の機能性展着剤、ピペロニルブトキサイド等の代謝分解阻害剤等の活性増強剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン又はジエチレングリコール(BHA)等の凍結防止剤、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)又はブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、ハイドロキノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物又はサリチル酸系化合物等の紫外線吸収剤、或いはメチルセルロース、ポリビニルアルコール又はポリアクリル酸ナトリウム等のドリフト防止剤等その他の補助剤等を加えることができる。
【0028】
有効成分化合物の配合割合は必要に応じて加減することができ、有害生物防除剤100重部中、それぞれ約0.01〜90重量部の範囲から適宜選択して使用すれば良く、好ましくは粉剤又は粒剤とする場合は0.01〜30重量%、又乳剤又は水和剤とする場合は同様0.1〜70重量%が適当である。
本発明の有害生物防除剤組成物中、フルベンジアミドとベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤、特にテフルベンズロンとの配合割合は特に制限されないが、フルベンジアミド1重量部に対して、テフルベンズロン約0.01〜100重量部の範囲から適宜選択して使用すれば良く、好ましくはテフルベンズロン約0.1〜10重量部の範囲、特に好ましくは約0.5〜5重量部の範囲から選択して使用すれば良い。
【0029】
本発明の有害生物防除剤組成物は、その施用量は、有効成分の配合割合、気象条件、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、防除対象有害生物、対象作物等により異なるが、通常1アール当たり有効成分として0.1g〜1000gの範囲から適宜選択して施用すれば良く、好ましくは1g〜500gの範囲が良い。種子への処理においては種子重量との比較で、有効成分として0.01%〜50%の範囲で使用することが可能であり、好ましくは0.1%〜10%の範囲である。乳剤、水和剤等を水等で希釈して施用する場合、その施用濃度は0.00001〜0.1%であり、粒剤、粉剤あるいは種子に処理する場合の液剤等は、通常希釈することなくそのまま施用すれば良い。
【0030】
本発明の有害生物防除剤は、更に防除対象病害虫、防除適期の拡大のため、或いは薬量の低減をはかる目的で、製剤中で安定である限り、他の農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、生物農薬等と混合して使用することが可能であり、又、使用場面に応じて除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混用することが可能である。但し、塩基性条件下で不安定な化合物に関しては、分解を生じる可能性があり混合は望ましくない場合があるが、例えばマイクロカプセル化等の手法により安定化して配合することができる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の有害生物防除剤及びその使用方法につき、実施例を示して説明するが本発明はこれらに限定されない。
実施例1
フルベンジアミド 5部
テフルベンズロン 5部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム 1.4部
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 3部
プロピレングリコール 5部
水 80.3部
以上を混合して湿式粉砕し、キサンタンガム0.3部を加え混合して水性懸濁剤とする。
【0032】
実施例2
フルベンジアミド 5部
テフルベンズロン 5部
水和剤用クレー 55部
カオリンと合成高分散珪酸 30部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとの混合物 5部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
【0033】
実施例3
フルベンジアミド 5部
テフルベンズロン 5部
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 10部
β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物の
ナトリウム塩 10部
N−メチルピロリドン 10部
キシレン 60部
以上を均一に混合溶解して乳剤とする。
【0034】
実施例4
フルベンジアミド 5部
テフルベンズロン 5部
ベントナイトとクレーの混合粉末 85部
リグニンスルホン酸カルシウム 5部
以上を均一に混合し、適量の水を加えて混練し、造粒、乾燥して粒剤とする。
【0035】
実施例5
フルベンジアミド 1部
テフルベンズロン 1部
クレー粉末 83部
珪藻土粉末 15部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とする。
【0036】
実施例6
フルベンジアミド 10部
テフルベンズロン 10部
ラウリル硫酸ナトリウム 5部
リグニンスルホン酸ナトリウム 7部
カオリンクレー 68部
をニーダーに入れ、混合、加水して捏和し、口径0.8mmのスクリーンを装着した押出し式造粒機を用いて造粒した。その後乾燥し篩分して顆粒水和剤とする。
【0037】
試験例1 モモのシンクイ類に対する効果
材料および方法
対象作物:桃(白鳳)、樹齢:7年生
対象害虫:ナシヒメシンクイ (Oriental fluit moth, Grapholita molesta)、モモノゴマダラノメイガ(Peach moth, Conogethes punctifelalis) 各自然発生
処理方法:所定濃度の薬液(特製リノー0,03%添加)を背負い式動力散布機で十分量(8リットル/2樹)を散布した。
処理月日:6月2日、6月11日、6月20日、7月2日 *連続散布条件
調査方法:[新梢部]所定日に1区当たり、200新梢について被害調査を行った。なお、処理前の被害新梢は予め切除した。
[果実部]所定日に1区当たり、100−460果について被害調査を行った。なお、処理前の被害果は予め除去した。7月10日:樹上調査(被害大果実のみ収穫),7月16日:収穫調査。
試験規模:1区2樹,連制無し。
【0038】
結果を第1表及び第2表に示す。


【表1】

【0039】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルベンジアミド及びベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤を含有することを特徴とする有害生物防除剤組成物。
【請求項2】
ベンゾイルフェニル尿素系殺虫剤がテフルベンズロンである請求項1に記載の有害生物防除剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は2いずれか1項に記載の有害生物防除剤組成物の有効量を有害生物又は有害生物が生息する領域に施用することを特徴とする有害生物防除方法。
【請求項4】
有害生物がシンクイムシ類である請求項3に記載の有害生物防除方法。

【公開番号】特開2007−169221(P2007−169221A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369893(P2005−369893)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【Fターム(参考)】