説明

有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする脂肪細胞の機能異常に関する疾患の予防又は改善剤。

【課題】 脂肪細胞の機能異常を改善し、インスリン抵抗性、脂質異常症、肥満(内臓肥満)等のメタボリックシンドロームに関連する疾患に有効な治療薬を提供する。
【解決手段】 本発明は、以下の式
【化1】


(式中、nは2以上の数、Aは低級アルキル基)
で表される有機ゲルマニウム化合物、好ましくは3ーオキシゲルミルプロピオン酸を有効成分とする、脂肪細胞の機能異常に関する疾患の予防又は改善剤である。脂肪細胞の機能異常に関する疾患としては、インスリン抵抗性、内臓脂肪蓄積、肥満、非アルコール性脂肪肝、及び脂質異常症等を挙げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ゲルマニウム化合物、特に3ーオキシゲルミルプロピオン酸の新たな医薬用途に係る。
【背景技術】
【0002】
有機ゲルマニウム化合物、特に3−オキシゲルミルプロピオン酸は、複雑な重合性を有する化合物として知られている。この化合物は、抗ウイルス作用(特公昭57−53800号)を初めとして、多様な薬理活性を有することから、多くの医薬用途に関する研究がなされている。例えば、高血圧心臓血管疾患に対する用途(特開昭55−167222号)、インターフェロン産生増強作用(特開平2−134818号)、メイラード反応阻害作用(特開平8−059485号)、MCP-1拮抗作用(特開2000−136139号)、動脈硬化性疾患に対する用途(特開2000−229856号)、II型糖尿病性腎症に対する用途(特開2003−81843号)等が報告されている。前記MCP-1拮抗作用を開示した特開2000−136139号には、本化合物が、慢性関節リウマチ、膵炎、腎炎、I型糖尿病性組織炎症、アトピー性皮膚炎等に有用であることを開示している。このように、3−オキシゲルミルプロピオン酸については、多くの医薬用途が報告されているが、インスリン抵抗性の改善作用、内臓脂肪の蓄積抑制作用、抗肥満作用、血中脂質低下作用、及びメタボリックシンドロームの改善作用については報告されていない。
【0003】
一方、MCP-1の発現又は機能を調節する物質について、インスリン抵抗性の改善等の基礎代謝調節剤としての用途が特開2005−247743号に開示されている。その中には、MCP-1の発現又は機能を調節する多数の物質が列挙されており、その1つとして3−オキシゲルミルプロピオン酸が開示されているが、具体的に薬効が記載されているわけではない。
【0004】
内臓脂肪の蓄積を基盤に、糖尿病、脂質異常症、高血圧という多彩な病態を発症するメカニズムとして、遊離脂肪酸の肝臓への過剰流入とアディポサイトカインの分泌異常の二つが注目されている。蓄積した内臓脂肪からは大量の遊離脂肪酸が放出され、門脈を介して肝臓へ直接流入し、過剰供給された遊離脂肪酸は、肝でのトリグリセライドやVLDLの合成・分泌を促進し、高VLDL血症又は高トリグリセライド血症を来たす。また、門脈中の過剰な遊離脂肪酸は、肝臓でのインスリン抵抗性を生じる。
【0005】
一方、肥満患者の脂肪組織にはマクロファージが浸潤することから、脂肪の過剰な蓄積が脂肪組織における炎症性変化を増大する。これにより、腫瘍壊死因子α(TNFα)やインターロイキン−6(IL-6)などの炎症性アディポサイトカイン産生が亢進するとともに、アディポネクチンのような抗炎症性アディポサイトカイン産生が減少する。このようなアディポサイトカイン産生調節の破綻が、糖尿病、脂質異常症、及び高血圧の発症の原因となっている。
【0006】
以上のように、内臓脂肪における遊離脂肪酸の過剰放出やマクロファージ浸潤によるアディポサイトカインの産生調節不全などの脂肪細胞機能異常により、インスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧、若しくはそれらの合併症が引き起こされる。
【0007】
メタボリックシンドローム診断基準検討委員会は、日本のメタボリックシンドロームの暫定的な診断基準として、内臓脂肪の蓄積を必須項目にして、高血糖、高血圧、脂質異常症のうちの2つ以上の存在によって診断を行うと2005年4月に発表した(日本基準)。メタボリックシンドロームの治療目標は、動脈硬化の発症・進展防止であり、そのための脂肪蓄積の進行防止・解消を目的に、食事療法・運動療法等の生活習慣の改善を基本とした治療を行う。それでも病態が解消されない場合には、耐糖能異常、脂質代謝異常、及び高血圧等の危険因子に対して、薬物療法を並行して実施することになる。
【特許文献1】特公昭57−53800号
【特許文献2】特開昭55−167222号
【特許文献3】特開平2−134818号
【特許文献4】特開平8−059485号
【特許文献5】特開2000−136139号
【特許文献6】特開2000−229856号
【特許文献7】特開2003−81843号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、脂肪細胞の機能異常を改善し、インスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧、肥満(内臓肥満)等のメタボリックシンドロームに関連する疾患に有効な治療方法は実用化されていない。そのため、脂肪細胞の機能異常の改善効果を有する新たな薬剤の開発が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、有機ゲルマニウム化合物、中でも、3−オキシゲルミルプロピオン酸について、メタボリックシンドロームに関連する種々の疾患の動物モデルで薬理評価を行った。その結果、当該化合物が、顕著な薬理効果を有することを確認し、本願発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本願発明は、以下の式
【化1】

(式中、nは2以上の数、Aは低級アルキル基)
で表される有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする、脂肪細胞の機能異常に関する疾患の予防又は改善剤である。
【0011】
ここで、Aの低級アルキル基としては、炭素数1から3の低級アルキル基が好ましい。また、有機ゲルマニウム化合物としては、 3ーオキシゲルミルプロピオン酸が好ましい。3−オキシゲルミルプロピオン酸は、中でも、以下式
【化2】

[式中、Rは−CHCHCOOH、mはプロパゲルマニウムプロピルエステルの重量平均分子量から換算した重量平均重合度で、137±84(平均値±標準誤差3σ)を示す。最小構成単位:(O1/2)GeCHCHCOOH 実験式:CH10GeO]にて示される8員性構造体が最適である。
【0012】
前述の有機ゲルマニウム化合物は、脂肪細胞の機能異常に関する疾患に有効である。脂肪細胞の機能異常に関する疾患とは、例えば、インスリン抵抗性、内臓脂肪蓄積、肥満、非アルコール性脂肪肝、及び脂質異常症を挙げることができる。前記化合物は、中でも、インスリン抵抗性改善剤としての使用に適している。このような脂肪細胞の機能異常に関する種々の疾患に有効である前述の有機ゲルマニウム化合物は、メタボリックシンドロームの予防又は改善剤としても有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、脂肪細胞の機能異常に関する種々の疾患に高い有効性を示す薬剤を提供する。即ち、本発明は、メタボリックシンドロームの予防又は改善剤として最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明で使用される有機ゲルマニウム化合物、特に3ーオキシゲルミルプロピオン酸は公知の化合物であり、特開2003−81843号等に記載されている方法により、製造することができる。
【0015】
本発明で使用される有機ゲルマニウム化合物、特に3ーオキシゲルミルプロピオン酸を実際にヒトに投与する場合は、当該化合物0.005質量部〜5質量部に対して作用活性化安定化担体を0.005質量部〜50質量部を含有するように調製された組成物として使用されることが好ましい。作用活性化安定化担体としては、乳糖、ショ糖、デキストラン類等の糖類、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子性物質、アルブミン等の天然性高分子物質が使用される。また、当該化合物は、通常は経口製剤として用いられるが、座剤、鼻腔製剤、注射製剤等としても利用することができる。当該化合物をヒトに投与する場合の投与量は、剤型や患者の年齢等に依存するが、一日あたり1mg〜1500mgの範囲内であり、体重50kgの成人に対する経口投与では、一日あたり60mg〜120mgが好ましい。また、当該化合物の製剤化は、特開2003−81843号等の製剤例の記載に従って、実施することができる。
【実施例】
【0016】
以下に、3ーオキシゲルミルプロピオン酸(以下、プロパゲルマニウムと示す)の薬理試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。当該薬理試験において、プロパゲルマニウムの、脂肪細胞の機能異常に対する改善効果を評価した。尚、本試験で使用したプロパゲルマニウムは、下記表1,2の数値を示すものを使用した。ただし、ここでは、プロパゲルマニウムは、「SK−818」として記載されている。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
薬理試験例
(1)実験方法
肥満インスリン抵抗性糖尿病モデルの雄性db/dbマウスおよびコントロールの雄性db/+mマウスを5週齢で日本チャールスリバーより購入した。1週間の馴化飼育の後、各マウスを体重に差のないように2群に群分けし、実験に供した。プロパゲルマニウムは、マウス標準飼料F2(オリエンタルバイオサービス)に0.005%混合して投与した。投与期間は、6週齢から18週齢までの12週間とした。尚、投与期間中の平均投与量は、体重と摂餌量から1日あたり約5mg/kgと算出された。対照群には、プロパゲルマニウムを含有しないマウス標準飼料F2を与えた。
【0020】
プロパゲルマニウム投与開始後0,3,6,9,12週目(6,9,12,15,18週齢)に、マウスの体重および1日の摂餌量を測定した。投与12週目(18週齢)には、12時間絶食後マウス尾静脈より採血を行った。この血液を用いて、血漿グルコース(血糖測定装置グルテスト:三和化学研究所 を使用)、血漿インスリン(超高感度ラットインスリン測定キット:森永生科学研究所 を使用)、糖化ヘモグロビンHbA1c(DCA2000HbA1cカートリッジ:バイエルメディカル株式会社 を使用)、血漿トリグリセライド(トリグリセライドEテスト:和光純薬工業株式会社 を使用)、血漿アディポネクチン(アディポネクチンELISAキット:大塚製薬株式会社 を使用)を測定した。また、投与12週目(18週齢)には、1-2日の回復期間をおいて、グルコース負荷試験、インスリン負荷試験、及び体組成のX線CT解析の各試験を行った。グルコース負荷試験は、マウスを16時間絶食後グルコース 1.5g/kgを腹腔内投与し、投与前、投与後15, 30, 60, 120分後に採血を行い、血漿グルコース濃度を血糖測定装置にて測定した。インスリン負荷試験は、マウスを6時間絶食後インスリン(ヒューマリンR注、日本イーライリリー株式会社)をdb/+mマウスには0.5単位/kg、db/dbマウスには 2単位/kgを腹腔内投与し、投与前、投与後30, 60, 90, 120分に採血、血漿グルコース濃度を血糖測定装置にて測定した。体組成のX線CT解析は、12時間絶食後ネンブタール麻酔したマウスをX線CT装置(LaTheta LCT-100M 、ALOKA社製)にセットし、頭部から尾の付け根までの間を5mmスライスで測定、得られた内臓脂肪面積を積分計算し、内臓脂肪重量、体脂肪率を算出した。X線CT解析後、精巣上体脂肪組織および肝臓を摘出し、それらの重量を測定するとともに、肝臓中トリグリセライドの測定(トリグリセライドEテスト:和光純薬工業株式会社 を使用)、精巣上体脂肪組織の細胞サイズの測定を行った。尚、この細胞サイズ測定は、脂肪組織のHE染色を行い、画像解析ソフト(Image Pro Plus version 3.0.1, media cybernetics L.P.)を用いて実施した。
【0021】
(2)結果及び考察
(2)−1:体重及び内臓脂肪蓄積に対する効果
db/dbマウスは、突然変異によるレプチン受容体欠損が原因で、食欲とエネルギー消費の調節機能が喪失したもので、食欲亢進と持続的な脂肪蓄積増加を示す肥満糖尿病モデルである。試験期間中の体重及び摂餌量の経時変化を図1に示した。db/dbマウスは、コントロールdb/+mマウスと比べ、明らかに過食による著明な体重増加を示した。コントロール飼料と0.005%プロパゲルマニウムを含む飼料でdb/dbマウスの体重変化を検討すると、摂餌量は両群で差は認められなかったが、プロパゲルマニウムを含む飼料で飼育したdb/dbマウスにおいて、対照群に比べ12週齢より有意な体重増加の抑制を認めた。一方、コントロールdb/+mマウスの体重変化には、プロパゲルマニウムは影響を与えなかった。このように、プロパゲルマニウムはdb/dbマウスの過食摂餌量には影響を与えずに、体重増加を抑制することが明らかとなった。
【0022】
次に、脂肪蓄積に対する効果を調べた結果を図2に示す。db/dbマウスの体脂肪率は、db/+mマウスに比べ顕著な上昇が認められ、プロパゲルマニウムを投与したdb/dbマウスでは、コントロール飼料のdb/dbマウスに比べ体脂肪率の有意な低下が認められた。X線CT解析によって得られた内臓脂肪面積を積分計算し求めた内臓脂肪重量、及び摘出した精巣上体脂肪組織量を測定した結果、db/dbマウスはdb/+mマウスに比べ、著明な内臓脂肪重量の増加が確認された。プロパゲルマニウムを含む飼料で飼育したdb/dbマウスは、対照群に比べ内臓脂肪重量の有意な低下がみられた。摘出した精巣上体脂肪組織の組織学的検討の結果から、db/dbマウスの脂肪細胞サイズは、db/+mマウスに比べ顕著な平均脂肪細胞面積の増大が認められ、プロパゲルマニウムを投与したdb/dbマウスでは、コントロール飼料のdb/dbマウスに比べて平均脂肪細胞面積の有意な低下が認められた(図3)。以上より、過食による脂肪蓄積増加の肥満に対して、プロパゲルマニウムは摂餌量には影響を与えず、脂肪細胞サイズの減少、内臓脂肪組織重量及び体脂肪率の低下を来たし、体重の低下作用を示すことが明らかとなった。
【0023】
(2)−2:インスリン抵抗性及び耐糖能異常に対する効果
18週齢のコントロール飼料のdb/dbマウスは、同飼料のdb/+mマウスに比べ、著明な空腹時血漿グルコース濃度及び血漿インスリン濃度の上昇が見られ、明らかなインスリン抵抗性を呈した(HOMA-IR)。プロパゲルマニウムを投与したdb/dbマウスでは、血漿インスリンが著明に低下し、血漿グルコース及びHOMA-IRも低下したことから、プロパゲルマニウムの投与がインスリン抵抗性を改善したことが明らかとなった(図4)。
【0024】
次に、インスリン感受性に対する効果をインスリン負荷試験にて検討した結果を図5に示す。12週間プロパゲルマニウムを投与したマウスを6時間絶食させた後、インスリンを腹腔内投与し、投与前、投与後30,60,90,120分に採血し、血漿グルコース濃度を測定した。試験の結果、プロパゲルマニウムを投与したdb/dbマウスでは、対照群のdb/dbマウスに比べ、インスリン感受性の有意な改善が認められた。このように、インスリン抵抗性の評価の一つとして臨床的にも実施されるインスリン負荷にてインスリン感受性を亢進したことから、プロパゲルマニウムがインスリン抵抗性改善作用を有することが明らかとなった。
【0025】
耐糖能異常に対する効果をグルコース負荷試験にて検討した結果を図6に示す。12週間投与したマウスを16時間絶食させた後、グルコース1.5g/kgを腹腔内投与し、投与前、投与後15,30,60,120分に採血し、血漿グルコース濃度を測定した。試験の結果、db/dbマウスでは、db/+mマウスに比べ耐糖能の著明な悪化が認められ、プロパゲルマニウムを投与したdb/dbマウスでは、コントロール飼料のdb/dbマウスに比べ、耐糖能異常の有意な改善が認められた。また、18週齢のコントロール飼料のdb/dbマウスでは、同飼料のdb/+mマウスに比べ顕著なHbA1cの上昇が見られたが、プロパゲルマニウムを投与したdb/dbマウスでは、HbA1cは有意な低下が認められた(図4)。以上より、プロパゲルマニウムの投与は、肥満糖尿病モデルにおいて、インスリン抵抗性及び耐糖能異常を改善することが明らかとなった。
【0026】
尚、血漿アディポネクチンは、db/dbマウスではコントロールマウスに比べ著明に低下していたが、プロパゲルマニウム投与群はこの低下を抑制した(図7)。アディポネクチンは抗動脈硬化作用を有し、インスリン感受性の低下改善作用を有するアディポサイトカインであることから、プロパゲルマニウムの作用には、アディポネクチン増加を介する機構が存在することも示唆された。
【0027】
(2)−3:脂質異常症に対する効果
インスリン作用は、筋肉、肝臓、脂肪細胞におけるエネルギーの蓄積であるが、インスリン抵抗性では血中脂肪酸を増加させ、肝臓の脂肪酸プールが増大し、トリグリセライド合成が亢進し、脂肪が蓄積するとともにVLDL−TGとして肝臓からの分泌が増加する。本試験では、高度なインスリン抵抗性を来たした18週齢のコントロール飼料のdb/dbマウスで、同飼料のdb/+mマウスに比べ、血漿トリグリセライド、肝臓トリグリセライドの濃度上昇、及び、肝重量の増加が見られ、明らかな肝脂肪蓄積を呈した。プロパゲルマニウムを投与したdb/dbマウスでは、血漿トリグリセライド及び肝臓トリグリセライドの上昇が著明に抑制され、肝重量の増加も抑制させたことから、プロパゲルマニウムの投与により、高トリグリセライド血症及び肝脂肪蓄積を改善することが明らかとなった(図8)。
【0028】
尚、コントロールdb/+mマウスを用いた上記(2)−1〜3のすべての試験において、プロパゲルマニウム投与群と対照群との間に差は認められず、プロパゲルマニウムは、健常状態の糖・脂質代謝に対して作用しないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】プロパゲルマニウムを投与した(propagerumanium)又は投与しなかった(control)、db/dbマウスとdb/+mマウスの体重推移と摂餌量の測定結果を示す。
【図2】プロパゲルマニウムを投与した(pro)又は投与しなかった(con)、db/dbマウスとdb/+mマウスの体脂肪率、内臓脂肪量、精巣上体脂肪量の測定結果を示す。
【図3】プロパゲルマニウムを投与した(pro)又は投与しなかった(con)、db/dbマウスとdb/+mマウスの精巣上体脂肪組織の平均脂肪細胞面積の測定結果を示す。
【図4】プロパゲルマニウムを投与した(pro)又は投与しなかった(con)、db/dbマウスとdb/+mマウスの絶食時血漿グルコース、絶食時血漿インスリン、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、HOMA−IRの測定結果を示す。
【図5】プロパゲルマニウムを投与した(propagerumanium)又は投与しなかった(control)、db/dbマウスとdb/+mマウスのインスリン負荷試験の結果を示す。なお、インスリン投与前の血糖値を100%とした時の投与後の血糖変化率で示している。
【図6】プロパゲルマニウムを投与した(propagerumanium)又は投与しなかった(control)、db/dbマウスとdb/+mマウスのグルコース負荷試験の結果を示す。
【図7】プロパゲルマニウムを投与した(pro)又は投与しなかった(con)、db/dbマウスとdb/+mマウスの血漿アディポネクチンの測定結果を示す。
【図8】プロパゲルマニウムを投与した(pro)又は投与しなかった(con)、db/dbマウスとdb/+mマウスの血漿トリグリセライド、肝臓トリグリセライド、肝臓重量の測定結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】

(式中、nは2以上の数、Aは低級アルキル基)
で表される有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする、脂肪細胞の機能異常に関する疾患の予防又は改善剤。
【請求項2】
Aが炭素数1から3の低級アルキル基である、請求項1に記載の予防又は改善剤。
【請求項3】
有機ゲルマニウム化合物が 3ーオキシゲルミルプロピオン酸である、請求項1に記載の予防又は改善剤。
【請求項4】
3−オキシゲルミルプロピオン酸が、以下式
【化2】

[式中、Rは−CHCHCOOH、mはプロパゲルマニウムプロピルエステルの重量平均分子量から換算した重量平均重合度で、137±84(平均値±標準誤差3σ)を示す。最小構成単位:(O1/2)GeCHCHCOOH 実験式:CH10GeO
にて示される8員性構造体である、請求項3に記載の予防又は改善剤。
【請求項5】
脂肪細胞の機能異常に関する疾患が、インスリン抵抗性、内臓脂肪蓄積、肥満、非アルコール性脂肪肝、及び脂質異常症から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の予防又は改善剤。
【請求項6】
脂肪細胞の機能異常に関する疾患がインスリン抵抗性である、請求項5に記載の予防又は改善剤。
【請求項7】
メタボリックシンドロームの予防又は改善剤として有効である、請求項5に記載の予防又は改善剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−303191(P2008−303191A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153453(P2007−153453)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】