説明

有機感光体と画像形成装置

【課題】電荷発生物質がチタニルフタロシアニン顔料に劣らぬ高感度であり、かつ感度の湿度依存性がない有機感光体と、それを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した有機感光体において、前記電荷発生層がチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料を含み、且つ前記電荷発生層の反射スペクトルの700nmにおける反射率(R700)と780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が0.9〜1.3であり、前記電荷輸送層の膜厚が8〜15μmであることを特徴とする有機感光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感度が高く湿度依存性のない有機感光体と、それを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成方法において、高画質化の需要が増加している。この傾向は、電子写真方式でのカラー画像の市場が増大したこと、或いは、電子写真方式の印刷分野への市場進出等と関連しているものと思われる。
【0003】
所で、高画質化のために、電子写真感光体である有機感光体上にスポット径が小さい露光光源を用いて微細な潜像形成を行い、微細なドット画像を形成する技術が開発されている。例えば、スポット径が4000μm以下の光源を用いて有機感光体上に高精細の潜像を形成する方法が知られている(特許文献1)。このような小径スポット露光方式で、正確な潜像を形成するには、有機感光体への像露光による潜像形成時に、露光により発生する電荷キャリアの拡散を小さくすることが重要である。即ち、画像情報を静電潜像として忠実に再現するためには露光/未露光部の電位コントラストが十分確保されている必要があるが、これは発生キャリアが表面電荷に到達するまでのキャリアの拡散を押さえることが重要である。高密度画像の潜像劣化は、電荷輸送層の拡散定数(D)とドリフト移動度(μ)との比D/μが大きくなると静電潜像形成時の拡散の効果が無視できず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなると記述されている(非特許文献1)。
【0004】
又、電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体は、既に提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、これらの提案された有機感光体は、感光体の耐久性の面では、尚、十分な解決とはなり得ていない。即ち、有機感光体は一般的に帯電能、感度等の膜厚の膜厚依存性が大きく、繰り返し使用による膜厚減耗は、画像濃度が低下したり、カブリが発生したり、或いは、黒ポチ等の画像欠陥の増大の原因と成りやすい。特に、感光層を薄膜化した有機感光体では、静電潜像形成時の帯電電位の負荷条件が、単位膜厚当たりの電界強度を大きくする傾向にあり、前記した問題が発生しやすい。
【0006】
一方、高感度な有機感光体(以下、単に感光体ということがある)が、次々に発表されている。なかでも粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン(以後、単にY型顔料ともいう)は高感度な素材として知られ学会報告もされている。さらにこのY型チタニルフタロシアニンが乾燥した不活性ガス中での脱水処理によって光量子効率が低下することが見いだされた。常温常湿度環境に放置して水を再吸収させると再び量子効率が上がることから、Y型顔料は水を含んだ結晶構造を有し、水分子が光によって生成した励起子のホールとエレクトロンとの解離を促進し、これが高い光量子効率を示す原因の一つと推測されている。
【0007】
このような素材を電荷発生物質として用いた電荷発生層に膜厚を薄層化した電荷輸送層を積層した感光層の有機感光体では、静電潜像の拡散を防止効果は改善されるが、前記した温湿度の変化に伴う感度の変化が大きくなり、又、薄層化した感光層の感光体では、潜像形成時の単位膜厚あたりの電界強度の増加により、高感度電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入が大きくなり、電位安定性が低下し、カブリが発生しやすいという問題が発生している。
【0008】
前記Y型チタニルフタロシアニン顔料の湿度依存性を解決するために、水の代わりに他の極性基をY型顔料に付与する試みがあり、2,3−ブタンジオールとの付加体チタニルフタロシアニン顔料も報告されている(特許文献3)。
【0009】
さらに、立体規則性を有した2,3−ブタンジオールのチタニルフタロシアニン付加体がその中で特に優れた性質をもつものとして報告されており(特許文献4、5)、中でも、2,3−ブタンジオールのチタニルフタロシアニン付加体と、チタニルフタロシアニンの混晶が高感度を示す顔料として報告されている(特許文献6)。
【0010】
しかしながら、これらの公開された技術はいずれも感度の湿度依存性が改善された反面、尚、前記Y型顔料に比して感度不足であり、薄層化した感光層に2,3−ブタンジオールのチタニルフタロシアニン付加体と、チタニルフタロシアニンの混晶等を用いると、尚、高温高湿等の厳しい環境下での長期の感光体使用時に、電位の変動により画像濃度が十分得られず、さらに画像カブリが発生するなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−272197号公報
【特許文献2】特開平5−119503号公報
【特許文献3】特開平5−273775号公報
【特許文献4】特開平7−173405号公報
【特許文献5】特開平8−82942号公報
【特許文献6】特開平9−230615号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】日本画像学会誌第38巻第4号296頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされた。
【0014】
即ち、本発明の目的は、電荷発生物質がY型チタニルフタロシアニンに劣らぬ高感度であり、薄層化した感光層に用いても、繰り返し電位安定性が高く、かつ感度の湿度依存性がない有機感光体と、それを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明者等は、前記した薄層化した感光層の有機感光体において、感度や電位安定性の湿度依存性が小さく、高感度で、黒ポチや地カブリ等の特性を改善するためには、元来湿度依存性が小さい2,3−ブタンジオールとの付加体チタニルフタロシアニン顔料を高感度化し、該高感度化した2,3−ブタンジオールとの付加体チタニルフタロシアニン顔料を用いた電荷発生層に薄層の電荷輸送層を積層し、該積層構造の感光層に薄層の保護層をもうけることが効果的であるとの技術思想に基づき本願発明を完成した。
【0016】
本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
【0017】
1.導電性支持体上に中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した有機感光体において、前記電荷発生層がチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料を含み、且つ前記電荷発生層の反射スペクトルの700nmにおける反射率(R700)と780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が0.9〜1.3であり、前記電荷輸送層の膜厚が8〜15μmであることを特徴とする有機感光体。
【0018】
但し、上記反射率は感光層(電荷発生層)をアルミ支持体上に形成して測定した反射率であり、アルミ支持体の反射率を100%としたときの相対反射率である。
【0019】
2.前記電荷輸送層の上に0.1〜3.0μmの硬化性樹脂層の保護層を設けたことを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0020】
3.前記保護層中に金属酸化物粒子を含有することを特徴とする前記2に記載の有機感光体。
【0021】
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体に静電潜像を形成する手段、該静電潜像をトナー現像する手段、形成されたトナー画像を画像支持体に転写する手段、転写後のトナー画像を定着する手段を、少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、電荷発生物質がY型チタニルフタロシアニンに劣らぬ高感度であり、繰り返し電位安定性が高く、高画質のドット画像を形成でき、かつ感度の湿度依存性がない有機感光体と、それを用いた画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明の顔料を含有する感光層の反射スペクトルの一例。
【図2】2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルで、ブラッグ角2θ(±0.2°)9.5°に特徴的なピークを有する(9.5°型)と、8.3°に特徴的なピークを有する(8.3°型)フタロシアニンのスペクトル図。
【図3】本願発明に適用されるデジタル方式による画像形成装置の断面構成図。
【図4】本願発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【図5】X線回折スペクトルで、ブラッグ角2θ(±0.2°)27.2°に特徴的なピークを有するY型チタニルフタロシアニンのスペクトル図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の構成と使用する素材、及び本発明に用いられる画像形成装置の構成につき以下説明する。
【0025】
先ず、本願発明に係わる電荷発生層について記載する。
【0026】
一般的に、感光層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液に電荷発生物質を分散させた塗布液を、塗布乾燥することで形成される。感光体における電気特性及び画像特性を高めるためには、電荷発生物質を感光層中に均一に分散させることが重要であると考えられている。分散が不十分な場合には、塗布液中に粗大粒子が含まれ、その結果、上記塗布液を用いて形成された感光層も電荷発生物質の粗大粒子を含有することになり、電気特性や画像特性が低下する。従って、電荷発生層用塗布液の調製過程においては、電荷発生物質の分散を十分に行い、塗布液中に二次凝集した粒子や粗大粒子が含まれないようにすることが重要である。
【0027】
一方、高い分散シェアにより電荷発生物質の分散性を高めると、均一に分散した塗膜は形成できるものの、分散シェアにより電荷発生物質の結晶構造が変化してその特性が損なわれ、感度及び電位安定性に問題を生じることがある。
【0028】
本発明者らは、本願発明のチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料(以下、本願発明の顔料とも云う)は、粉砕した際にできる破断面の活性が高く不安定なのではないかとの疑問を抱いた。即ち、粉砕した際にできる破断面等に生じる結晶の欠陥箇所において加水分解等によるブタンジオールの脱離やフタロシアニン環の分解が起りやすく、その分解物が電荷発生を阻害したり、電荷トラップになったりして感度や繰り返し特性に悪影響を及ぼすのではないかと推論した。
【0029】
この推論に従って、本発明では、顔料結晶にあまりストレスを懸けること無く、分散性を高めることを試みた。その結果、小粒径顔料粒子を合成し、顔料合成時の結晶を維持したまま、破砕を伴わず二次凝集をほぐすのみの低シェアな分散を行うことで課題を解決出来ることがわかり、さらに検討を続けた結果、その目安として、本願発明の顔料を含有した感光層の反射スペクトルの700nmにおける反射率(R700)と780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が、分散性と結晶性維持との両立の度合いを示す指標になりうることが判明した。
【0030】
本発明者らの検討結果によると、感光体感光層の前記比(R700/R780)が、0.9〜1.3である場合には、感度の湿度依存性がないにもかかわらず、高感度で繰り返し電位安定性が高い有機感光体を得ることが出来ることが判明した。
【0031】
図1は、本願発明の顔料を含有する感光層の反射スペクトルの一例である。
【0032】
図1(a)は、反射スペクトルの比(R700/R780)が本願発明の範囲内の特性を示す。
【0033】
図1(b)は、反射スペクトルの比(R700/R780)が本願発明の範囲外の特性を示す。
【0034】
本願発明のチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料(本願発明の顔料)とは、1つの顔料粒子の中に、少なくともチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンとを含有する顔料を意味する。
【0035】
本願発明の顔料の分散においては、二次凝集の分散や結晶の破砕が進むにつれて780nm近辺の反射率が増大し、比(R700/R780)が減少する。
【0036】
比(R700/R780)が0.9未満の場合、過度の分散シェアにより顔料結晶が破砕されたことを示し、結晶の欠陥箇所における2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンの分解が起こりやすくなり、その結果感度や繰り返し特性が悪化する。
【0037】
又、比(R700/R780)が1.3を超える場合、分散不良の二次凝集した粒子や粗大粒子が存在することを示し、画像濃度低下などの画像欠陥を生じることとなる。
【0038】
本願発明において、感光層の反射スペクトルは、アルミ支持体上に電荷発生層を0.3μmの乾燥膜厚で形成した試料で測定する。また、該反射スペクトルは、アルミ支持体の反射率を100%としたときの相対反射率として測定する。得られた反射スペクトルの干渉縞による凹凸除去するために、測定データを685〜715nm、765〜795nmの範囲でそれぞれ二次の多項式で近似し、反射率(R700)と反射率(R780)との比(R700/R780)を算出する。
【0039】
上記反射スペクトルは光学式膜厚測定装置Solid Lambda Thickness(スペクトラコープ社製)を用いて測定した。
【0040】
2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料は、下記化学反応で示すようにして合成される。
【0041】
2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン顔料は、そのブタンジオール付加比の違いにより、その特有の結晶型を有する。
【0042】
尚、下記に記載の結晶型については、図2の2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料を用いた感光層の反射スペクトルの一例に図示する。
【0043】
チタニルフタロシアニンと、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの少なくともいずれか(以下、ブタンジオールともいう)を過剰に反応させると、X線回折スペクトルで、ブラッグ角2θ(±0.2°):9.5°に特徴的なピークを有する(以下、9.5°型と略)図2(1)に示す顔料が得られる。該9.5型のブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料は9.5以外にも16.4°、19.1°、24.7°、26.5°にピークがみられる。
【0044】
該顔料の構造はIRスペクトルで970cm−1付近のTi=O吸収が消失し、630cm−1付近にO−Ti−Oの吸収が現れること、熱分析(TG)で390〜410℃に約11%の質量減少があること(熱分解によるブチレンオキシドの脱離のためと考えられる)、及び質量分析の結果から、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールが、1/1で脱水縮合した構造と考えられている。
【0045】
一方、チタニルフタロシアニン1モルに対し、ブタンジオール化合物を1モル以下で反応させると、粉末X線回折スペクトルで、ブラッグ角2θ:8.3°(±0.2°)に特徴的なピーク有する(以下、8.3°型と略)、図2(2)に示す顔料が得られる。該8.3°型のブタンジオール付加チタニルフタロシアニン顔料は8.3°以外にも24.7°、25.1°、26.5°にピークがみられる。該顔料は、IRスペクトルで970cm−1付近にTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また、熱分析で390〜410℃にて質量減少が11%未満あること、及び質量分析の結果から、ブタンジオール/チタニルフタロシアニン=1/1付加体とチタニルフタロシアニンとが、ある割合で混晶(1つの顔料粒子中に2つ以上の化合物が混在し、特有の結晶型を有する顔料)を形成していると推測している。ブタンジオール付加比は、熱分析における390〜410℃の質量減少から、40〜70モル%と推測される。
【0046】
尚、X線回折スペクトルにおいて前記特徴的なピークとは、バックグランドのバラツキを超える明確に異なるピークを云う。
【0047】
本発明においては、良好な感度、繰り返し電位安定性が得られる点で、本願発明の顔料が、X線回折スペクトルにおいて少なくともブラッグ角(2θ±0.2°)の8.3°に特徴的なピークを有することがより好ましい。
【0048】
本願発明において、2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンの合成には、その原料として、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの光学異性体の2,3−ブタンジオールを用いることが好ましいが、光学異性を示さないラセミ体を用いてもよい。
【0049】
本願発明の顔料はその合成時の顔料で、BET比表面積が20m/g以上であることが望ましい。
【0050】
このようにBET比表面積が大きく、小粒径の顔料を含有させた電荷発生層の塗布液を、低シェア分散して、合成時の顔料の分散性を維持したとき、良好な感度、繰り返し電位安定性を有する感光体を作製することができる。
【0051】
〔2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンの作製方法〕
2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン、例えば、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールの少なくともいずれかとの付加体は、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオール(以後、ブタンジオール化合物ということがある)とを各種溶媒中で室温あるいは加熱下で反応させことで合成することができる。原料であるチタニルフタロシアニンは、フタロニトリルと四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリルと尿素とアルコキシチタンから得る合成法等通常知られている何れの合成法も用いることが出来るが、特にはジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得られる塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが好ましい。またチタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理等の方法により無定形化してからブタンジオール化合物と反応させるものが好ましい。無定型チタニルフタロシアニンとブタンジオール化合物との付加反応には、通常5〜30倍の溶媒が使用される。溶媒には特に制限はなくクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロナフタレン、キノリンなどの芳香族溶媒からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、さらにはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、その他ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒など多数を挙げることができる。
【0052】
チタニルフタロシアニンとブタンジオール化合物との反応は下記に示すが、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、BET比表面積が20m/g以上の顔料を合成するためには、30〜100℃の範囲であることがより好ましい。
【0053】
【化1】

【0054】
ブタンジオール化合物はチタニルフタロシアニン1モルに対して通常0.2〜2.0モルの割合で添加される。等モルの付加体であるためには、ジオール化合物を前記割合で1.0モル以上使用することが必要である。ジオール化合物を前記割合で1.0モル以下の添加量の場合には、得られた付加体はチタニルフタロシアニンとの混晶となる。
【0055】
〔本願発明の顔料の分散〕
本願発明の顔料(チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)を用いて、電荷発生層等の分散液を作るには、これらの顔料を溶媒中で分散する。溶媒としては特に制限はなくメチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブタノールなどのアルコール系溶媒、その酢酸エチル、酢酸t−ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香属溶媒、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン系溶媒など多数を挙げることが出来る。
【0056】
分散液中にはバインダーを添加することが出来る。バインダーとしては使用する溶媒に溶解する範囲で広く選ぶことが出来る。例えばポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルおよびこれらのコポリマーなど多数に上る。バインダーと顔料の比率は特に制限はないが通常1/10から10/1である。バインダーが少ないと分散液が不安定になり、多すぎると電気抵抗がたかくなって電子写真感光体にしたとき繰り返しで残留電位が上昇するなどの欠点が起きやすい。
【0057】
本願発明に好ましく用いられる分散手段は、前記した低シェア分散(低セン断の分散)であるが、該低シェア分散としては、超音波分散や比重の小さいメディア(ガラス(比重:2.5)ビーズ等)を用いたメディア分散が好ましい。
【0058】
分散状態の指標としては、前記した電荷発生層の反射スペクトルの比(R700/R750)が0.9〜1.3の範囲にある必要がある。これらの反射スペクトルの比(R700/R750)の制御は、分散時の分散液にかかるシェアを調整することにより行うことができる。具体的には、分散方法や分散時に用いるメディアの径や量、分散時間などにより制御することができる。
【0059】
〔感光体の構成〕
以下、本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
【0060】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0061】
本願発明の感光体の層構成は、導電性支持体上に中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した層構成を有し、前記電荷輸送層の膜厚が8〜15μmである。
【0062】
以下、上記層構成の具体的な構成について記載する。
【0063】
(導電性支持体)
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0064】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0065】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗10Ω・cm以下が好ましい。
【0066】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0067】
(中間層)
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることが好ましく、特にはポリアミド等のバインダー樹脂中に酸化チタン微粒子を分散含有させる中間層が好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0068】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0069】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましい。中でも複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものが好ましい。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0070】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0071】
この様に、酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0072】
表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはメチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキチシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の各種アルコキシシラン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0073】
(感光層)
本発明の感光体の感光層の構成は前記中間層上に電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)を有する。
【0074】
(電荷発生層)
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0075】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として前述のチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料を使用するが、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを併用して用いることができる。
【0076】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0077】
(電荷輸送層)
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0078】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0079】
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0080】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。
【0081】
本願発明に係わる電荷輸送層は、その膜厚が8〜15μmである。該膜厚が8μm未満だと帯電電位が不十分になりやすく、15μmを超えると、鮮鋭性が十分に改善されない。特に、電荷輸送層の合計膜厚を8〜15μmの範囲で構成した場合が、鮮鋭性の改善効果がより顕著である。
【0082】
本願発明では該電荷輸送層の上に0.1〜3.0μmの硬化性樹脂層の保護層を設ける構成がより好ましい。
【0083】
このような保護層を設けることにより、鮮鋭性を劣化させないで、繰り返し画像形成に伴う耐摩耗特性を改善することができる。
【0084】
本願発明に係わる重合性化合物とは、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合、前者の連鎖重合の反応形態では、連鎖重合反応を進行させる不飽和重合性官能基、開環重合性官能基、或いは異性化重合性官能基等を有する化合物を云う。一方、後者の逐次重合の反応形態では、縮合反応を進行させ得るヒドロオキシル基を有する化合物或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物等を云う。
【0085】
本願発明に係わる保護層について記載する。
【0086】
本願発明に係わる保護層は重合性化合物を重合して形成する。該重合性化合物としては、紫外線や電子線等の活性線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等、一般に感光体のバインダー樹脂として用いられる樹脂となるモノマーが好適であり、特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。
【0087】
中でも、少ない光量あるいは短い時間での重合(硬化)が可能であり、電気的にニュウトラル(中性的)な樹脂を形成するアクリロイル基(CH=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する硬化性化合物が特に好ましい。
【0088】
本発明においては、これら重合性化合物は単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0089】
また、カチオン性の重合性化合物では特にエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられるが、オキセタン化合物が好ましい。
【0090】
以下に重合性化合物の例を示す。以下にいうAc基数(アクリロイル基数)又はMc基数(メタクリロイル基数)とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基の数を表す。
【0091】
【化2】

【0092】
【化3】

【0093】
【化4】

【0094】
【化5】

【0095】
【化6】

【0096】
【化7】

【0097】
【化8】

【0098】
但し、上記においてRは下記で示される。
【0099】
【化9】

【0100】
【化10】

【0101】
【化11】

【0102】
【化12】

【0103】
【化13】

【0104】
【化14】

【0105】
【化15】

【0106】
【化16】

【0107】
但し、上記においてR′は下記で示される。
【0108】
【化17】

【0109】
また、好ましいオキセタン化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0110】
【化18】

【0111】
【化19】

【0112】
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシドを挙げることができる。
【0113】
本発明においては、重合性化合物は官能基(反応性基のこと)が3以上の化合物を用いることが好ましい。又、重合性化合物は、2種以上の化合物を併用してもよいが、この場合でも、重合性化合物は官能基が3以上の化合物を50質量%以上用いることが好ましい。
【0114】
本発明に係わる保護層には、金属酸化物粒子を含有させることが好ましい。金属酸化物粒子としては、下記のようなものが好ましい。
【0115】
(金属酸化物粒子)
上記金属酸化物粒子は遷移金属も含めた金属酸化物粒子が好ましい。例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物粒子が例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の粒子が好ましい。
【0116】
上記金属酸化物粒子は、公知の方法、例えば気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法等の一般的な製造法で作製されたものが好ましい。
【0117】
上記金属酸化物の数平均一次粒径は1〜300nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3〜100nmである。
【0118】
上記金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウエアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した。
【0119】
上記無機微粒子は、その表面をシランカップリング剤やチタンカップリング剤等の表面処理剤で表面処理した方が好ましい。該表面処理剤としては、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(3−シアノプロピルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、ハイドロジェンポリシロキサン化合物等のよく知られたシランカップリング剤やチタンカップリング剤等が用いられる。
【0120】
又、表面処理基を有する連鎖重合性化合物で表面処理した金属酸化物粒子を用いることも好ましい。
【0121】
即ち、表面処理基を有する連鎖重合性化合物と表面に水酸基を有する金属酸化物粒子(一般に、表面処理を行っていない金属酸化物粒子は表面に水酸基を有している)とを反応させることにより、表面処理基を有する連鎖重合性化合物で表面処理した金属酸化物粒子を得ることができる。
【0122】
表面処理基を有する連鎖重合性化合物として、下記一般式(1)で表される化合物等がある。
【0123】
【化20】

【0124】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、Rは重合性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。)
表面処理基を有する連鎖重合性化合物として、以下に化合物例を挙げる。
【0125】
S−1 CH=CHSi(CH)(OCH
S−2 CH=CHSi(OCH
S−3 CH=CHSiCl
S−4 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−7 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8 CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−9 CH=CHCOO(CHSiCl
S−10 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11 CH=CHCOO(CHSiCl
S−12 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20 CH=CHSi(C)(OCH
S−21 CH=C(CH)Si(OCH
S−22 CH=C(CH)Si(OC
S−23 CH=CHSi(OCH
S−24 CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25 CH=CHSi(CH)Cl
S−26 CH=CHCOOSi(OCH
S−27 CH=CHCOOSi(OC
S−28 CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29 CH=C(CH)COOSi(OC
S−30 CH=C(CH)COO(CHSi(OC
本願発明に係わる重合性化合物を反応させる際には、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤あるいはカチオン重合性開始剤を添加して、光、熱で反応する方法などが用いられる。重合開始剤は光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
【0126】
これら光硬化性化合物のラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、中でも、アルキルフェノン系化合物、或いはフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。特に、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、或いはアシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましい。また、カチオン重合を開始させる化合物としては、例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C、PF、AsF、SbF、CFSO塩などのイオン系重合開始剤やスルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物或いは、鉄アレン錯体等の非イオン系重合開始剤を挙げることができる。特に、非イオン系重合開始剤であるスルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物が好ましい。
【0127】
下記に好ましく用いられる光重合開始剤を例示する。
α−アミノアセトフェノン系の例
【0128】
【化21】

【0129】
α−ヒドロキシアセトフェノン系化合物の例
【0130】
【化22】

【0131】
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例
【0132】
【化23】

【0133】
その他のラジカル重合開始剤の例
【0134】
【化24】

【0135】
非イオン系重合開始剤
【0136】
【化25】

【0137】
イオン系重合開始剤
【0138】
【化26】

【0139】
光重合性化合物を重合して保護層を形成するには、保護層の塗布液(重合性化合物や表面処理された金属酸化物粒子等を含有する組成物)を感光層上に塗布した後、塗膜の流動性が無くなる程度まで1次乾燥した後、紫外線を照射して保護層を硬化し、更に塗膜中の揮発性物質の量を規定量にするため2次乾燥を行って作製する方法が好ましい。
【0140】
紫外線を照射する装置としては、紫外線硬化樹脂を硬化させるのに用いられている公知の装置を用いることができる。
【0141】
樹脂を紫外線硬化させる紫外線の量(mJ/cm)は、紫外線照射強度と照射時間で制御することが好ましい。
【0142】
一方、熱重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド系化合物、パーオキシケタール系化合物、ハイドロパーオキサイド系化合物、ジアルキルパオキサイド系化合物、ジアシルパーオキサイド系化合物、パーオキシジカーボネート系化合物、パーオキシエステル系化合物等が用いられ、これらの熱重合開始剤は企業の製品カタログ等で公開されている。
【0143】
本願発明には、これらの熱重合開始剤を、前記の光重合開始剤と同様に、重合性化合物、表面処理された無機微粒子等を含有する組成物と混合して、保護層の塗布液を作製し、該塗布液を感光層の上に塗布後、加熱乾燥して、本発明に係わる保護層を形成する。熱重合開始剤としては、前記その他のラジカル重合開始剤等を用いることができる。
【0144】
中間層、感光層、保護層の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0145】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0146】
〔画像形成装置〕
図3に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0147】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台11上に載置された原稿は原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読み取り位置13aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
【0148】
一方、プラテンガラス13上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット15の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット16の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0149】
読み取られた画像は、投影レンズ17を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0150】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体21と、その外周に、該感光体21を帯電させる帯電手段(帯電工程)22、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)23、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体21のクリーニング装置(クリーニング工程)26及び光除電手段(光除電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)27が各々動作順に配置されている。また、現像手段23の下流側には感光体21上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体21には、本発明に係わる有機感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
【0151】
回転する感光体21へは帯電手段22による一様帯電がなされた後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体21に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体21の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い静電潜像を形成する。
【0152】
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、発振波長が350〜1000nmの半導体レーザ(LD)又は発光ダイオード(LED)等を像露光光源として用いる。これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜60μmに絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2500dpiの高解像度の電子写真画像をうることができる。
【0153】
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
【0154】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
【0155】
感光体21上の静電潜像は現像手段23によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明の画像形成方法では、該現像手段に酸化防止剤を含有するトナーを用いられる現像剤が用いられる。
【0156】
転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写紙Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内され、感光体21上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極24及び分離極25、爪分離手段250等によって、転写紙P上に転写され、該転写紙Pも感光体から分離され、その後、転写紙Pは転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送され、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。
【0157】
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
【0158】
以上は転写紙の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は排紙切換部材170が切り替わり、転写紙案内部177が開放され、転写紙Pは破線矢印の方向に搬送される。
【0159】
更に、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送され、転写紙反転部179によりスイッチバックさせられ、転写紙Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
【0160】
転写紙Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写紙Pを再給紙し、転写紙Pを搬送路40に案内する。
【0161】
再び、上述したように感光体21方向に転写紙Pを搬送し、転写紙Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
【0162】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0163】
図4は、本願発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【0164】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0165】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
【0166】
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkより構成されている。
【0167】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0168】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、あるいは、クリーニングブレード6Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
【0169】
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
【0170】
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0171】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0172】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0173】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
【0174】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
【0175】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
【0176】
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
【0177】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0178】
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0179】
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
【0180】
本発明の画像形成装置は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【実施例】
【0181】
以下に、本発明の構成と効果を実施態様にて示すが、無論、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。なお、文中「部」とは、「質量部」を表す。
【0182】
合成例1
(無定型チタニルフタロシアニンの合成)
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロロベンゼン200mlに分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥後、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250ml中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5Lに注いだ。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225gを得た。ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥して無定型チタニルフタロシアニン24.8g(収率86%)を得た。
【0183】
(本願発明の顔料(CG−1)の合成)
前述の無定型チタニルフタロシアニン10.0gと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94g(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトクロロベンゼン(ODB)200ml中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図2(2)に示す。8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体(前記化1で示した脱水縮合構造)と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混晶と推定される。
【0184】
得られたCG−1のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m/gであった。
【0185】
合成例2(本願発明の顔料(CG−2)の合成)
合成例1において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの代わりに(2S,3S)−2,3−ブタンジオールを用いた他は同様にして、(2S,3S)−2,3−ブタンジオール−チタニルフタロシアニン付加体を含有する顔料CG−2:10.5gを得た。CG−2のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがみられ、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。CG−2のBET比表面積は、30.5m/gであった。
【0186】
合成例3(本願発明の顔料(CG−3)の合成)
合成例1の無定形チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの反応において、反応温度を60〜70℃の代わりに、90〜100℃とした他は同様にして、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料CG−3:10.6gを得た。CG−3のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがみられ、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。CG−3のBET比表面積は、20.5m/gであった。
【0187】
合成例4(本願発明の顔料(CG−4)の合成)
合成例1の無定形チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの反応において、反応温度を60〜70℃の代わりに、130〜140℃とした他は同様にして、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料CG−4:10.6gを得た。CG−4のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがみられ、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。CG−4のBET比表面積は、13.5m/gであった。
【0188】
合成例5(本願発明の顔料(CG−5)の合成)
合成例1の無定形チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの反応において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを光学異性を示さないラセミ体の2,3−ブタンジオールとした他は同様にして、(ラセミ体)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料CG−5:11.5gを得た。CG−5のIRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れ、BET比表面積は、28.6m/gであった。
【0189】
合成例6(比較例の顔料(CG−6)の合成)
合成例1の無定形チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの反応において、(2R,3R)−2,3−ブタンジオールを2.35g(1.5当量比)用い、反応温度を130〜140℃とした他は同様にして、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料CG−6:11.0gを得た。CG−6のX線回折スペクトル(図2(1))では、9.5°、16.4°、19.1°、24.7°、26.5°に明確なピークがみられ、IRスペクトルで970cm−1付近のTi=O吸収が消失し、630cm−1付近にO−Ti−Oの吸収が現れる。CG−6のBET比表面積は、10.2m/gであった。
【0190】
感光体1の作製
円筒状アルミニウム基体上に、下記の組成の中間層塗布液を浸漬塗布して、膜厚4.0μmの中間層を形成した。
【0191】
〈中間層塗布液〉
下記組成を循環式湿式分散機を用いて分散した。
【0192】
ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 10部
酸化チタン(数平均一次粒径35nm、一次表面処理;シリカ・アルミナ処理、
二次表面処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 30部
メタノール 100部
その上に下記の電荷発生層塗布液を、浸漬塗布して、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0193】
〈電荷発生層塗布液〉
下記組成を混合し、循環式超音波ホモジナイザーRUS−600TCVP(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz、600W)(略称:循環ホモジ)にて循環流量40L/Hで0.5時間、分散した。
【0194】
電荷発生物質:合成例1のCG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
3−メチル−2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400部
その上に下記の組成を混合した電荷輸送層塗布液を塗布して、110℃;60分加熱乾燥し、膜厚12μmの電荷輸送層を形成した。
【0195】
〈電荷輸送層塗布液〉
電荷輸送物質:下記化合物CTM−A 200部
ポリカーボネート「ユーピロンZ300」(三菱瓦斯化学社製) 300部
2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール 5部
トルエン/テトラヒドロフラン=1/9(v/v) 2000部
【0196】
【化27】

【0197】
前記電子輸送層の上に下記のように保護層を形成した。
【0198】
〈保護層〉
下記組成を溶解、分散して保護層塗布液を調製した。
【0199】
金属酸化物微粒子(同一質量のS−4で表面処理された数平均一次粒径5nmの
酸化チタン) 100質量部
重合性化合物(例示化合物Mc−31) 100質量部
重合開始剤(例示化合物1−6) 15質量部
酸化防止剤(Irganox1010:チバ・ジャパン社製) 6質量部
2−ブチルアルコール 100質量部
この保護層塗布液を上記電荷輸送層の上に円形量規制型塗布装置を用いて塗布し、保護層を形成した。該保護層を乾燥後、メタルハライドランプを用いて窒素気流下、光源から感光体表面までの距離を100mmに設置し、ランプ出力4kWで紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚3.0μmの保護層を形成し、感光体1を作製した。
【0200】
尚、上記電荷発生層をアルミ支持体上に乾燥後膜厚0.3μmで塗布乾燥し、反射スペクトル測定用試料を作製し、光学式膜厚測定装置Solid Lambda Thickness(スペクトラコープ社製)を用いて反射スペクトルを測定した。測定したデータを図1に示す。該反射スペクトルは、アルミ支持体の反射率を100%としたときの相対反射率として測定した。得られた反射スペクトルの干渉縞による凹凸除去するために、測定データを685〜715nm、765〜795nmの範囲でそれぞれ二次の多項式で近似し、反射率(R700)と反射率(R780)との比(R700/R780)を算出した。比(R700/R780)は、0.93であった。
【0201】
また、上記電荷発生層を透明ガラスプレート上に塗布乾燥した試料を用いて、X線回折スペクトルを測定したデータを図2(2)に示す。
【0202】
感光体2の作製
感光体1において、電荷発生物質塗布液の分散時間を1.5時間に変更し、電荷輸送層の電荷輸送物質をCTM−AからCTM−Bに変更した以外は同様にして感光体2を作製した。
【0203】
感光体3の作製
感光体1において、電荷発生物質として合成例2で得られたCG−2に変更した以外は同様にして感光体3を作製した。
【0204】
感光体4の作製
感光体1において、電荷発生層塗布液を、下記条件の超音波分散に変更し、電荷輸送層の膜厚、保護層の重合性化合物、金属酸化物粒子、重合開始剤を表1のように変更した以外は同様にして感光体4を作製した。
【0205】
〈電荷発生層塗布液〉
下記組成を混合し、28kHz、500Wの超音波洗浄槽(略称:USバス)中にて1.5時間超音波分散を行った。
【0206】
電荷発生物質:合成例1のCG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
3−メチル−2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400部
感光体5の作製
感光体4において、電荷発生物質塗布液の分散時間を4時間に変更し、電荷輸送層の膜厚、保護層の重合性化合物、金属酸化物粒子、重合開始剤、膜厚を表1のように変更した以外は同様にして感光体5を作製した。
【0207】
感光体6の作製
感光体1において、電荷発生層塗布液を、下記条件のサンドミル(略称:SM)分散に変更し、電荷輸送層の電子輸送物質、膜厚、保護層の重合性化合物、金属酸化物粒子、膜厚を表1のように変更した以外は同様にして感光体6を作製した。
【0208】
〈電荷発生層塗布液〉
下記組成を混合し、分散メディアとして外径1mmのガラスビーズを用い、ビーズ充填率80体積%、回転数800rpmの条件のサンドミルにて1時間分散を行った。
【0209】
電荷発生物質:合成例1のCG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
3−メチル−2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V) 400部
感光体7の作製
感光体6において、電荷発生物質として合成例3で得られたCG−3を用い、電荷輸送層の電子輸送物質、保護層の重合性化合物、金属酸化物粒子を表1のように変更した以外は同様にして感光体7を作製した。
【0210】
感光体8の作製
感光体1において、電荷発生物質として合成例4で得られたCG−4に変更し、保護層の金属酸化物粒子を表1のように変更した以外は同様にして感光体8を作製した。
【0211】
感光体9の作製
感光体1において、電荷発生物質として合成例5で得られたCG−5に変更し、電荷輸送層の膜厚を10μmに変更した以外は同様にして感光体9を作製した。
【0212】
感光体10(比較例)の作製
感光体6において、電荷発生層塗布液の分散時間を5時間に変更した他は同様にして感光体10を作製した。
【0213】
感光体11(比較例)の作製
感光体1において、電荷発生物質として合成例4で得られたCG−4を用いた他は同様にして感光体11を作製した。
【0214】
感光体12(比較例)の作製
感光体6において、電荷発生物質として合成例6で得られたCG−6を用い、分散時間を0.8時間に変更した他は同様にして感光体12を作製した。
【0215】
感光体13(比較例)の作製
感光体1において、電荷輸送層の膜厚を7μmに変更した他は同様にして感光体13を作製した。
【0216】
感光体14(比較例)の作製
感光体6において、電荷輸送層の膜厚を16μmに変更した他は同様にして感光体14を作製した。
【0217】
上記感光体2〜14についても感光体1と同様に反射スペクトルを測定した。結果を表2に示す。尚、表1の反射スペクトルの値は、電荷発生層で測定した値であるが、その上に電荷輸送層を塗布後に測定しても、ほぼ同様な値が得られている。
【0218】
【表1】

【0219】
表1において、
Me−1は同一質量のS−4で表面処理された数平均一次粒径5nmの酸化チタン
Me−2は1/2質量のS−8で表面処理された数平均一次粒径35nmの酸化チタン
Me−3は同一質量のS−13で表面処理された数平均一次粒径20nmの酸化錫
Me−4は同一質量のS−5で表面処理された数平均一次粒径80nmの酸化チタン
Me−5は同一質量のS−28で表面処理された数平均一次粒径20nmのアルミナ
Me−6は同一質量のS−4で表面処理された数平均一次粒径20nmの酸化亜鉛
尚、上記同一質量或いは1/2質量とは、処理される酸化チタン等の質量に対しということである。
【0220】
特性評価
前記で作製した感光体1〜14を、デジタル複写機bizhubPRO1200(像露光光源に赤のLED(発光ダイオード)を使用、ビーム径20μmで、1200dpiの露光を行い、プロセス速度は570mm/sec(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製))に組み込み、画像出力試験を行った。
【0221】
特性評価は以下の基準で行った。
【0222】
〈湿度メモリ〉
上記デジタル複写機bizhubPRO1200(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製:)を高温高湿環境下(HH:33℃、80RH%)に24時間放置後、低温低湿環境下(LL:10℃、20RH%)に置き、30分後、コピーした。オリジナル画像で0.4の濃度のハーフトーン画像を0.4の濃度になるようコピーし、コピー画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定した。画像濃度はマクベス社製RD−918を使用して測定した。
【0223】
◎:ΔHDが0.05以下(良好)
○:ΔHDが0.05より大で0.1未満(実用上問題なし)
×:ΔHDが0.1以上(実用上問題あり)
〈電位安定性の評価〉
上記デジタル複写機bizhubPRO1200で、高温高湿環境下(HH)にてA4紙50万枚の印刷耐久試験を行い、電位安定性を評価した。
【0224】
各評価項目及び判定基準は、下記に示す通りである。
【0225】
初期の帯電電位を500±50Vに調整し、初期と50万枚後の帯電電位の変化量(ΔV)で評価した。
【0226】
◎:ΔVが50V未満(良好)
○:ΔVが50〜100V(実用上問題なし)
×:ΔVが100Vより大きい(実用上問題あり)
カブリ:
前記帯電電位の安定性評価において、50万枚後の印刷耐久後の資料を用いて評価した。マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、印字されていないコピー用紙(白紙)の濃度を20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均値を白紙濃度とする。次に、コピー画像の白地部分を同様に20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均濃度から前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。帯電電位の低下が大きくなるとカブリが発生する。
【0227】
◎:ベタ白画像濃度が0.005未満(良好)
○:ベタ白画像濃度が0.005以上0.01未満(実用上問題なし)
×:0.01以上(実用上問題あり)
ドットラインの評価
上記デジタル複写機bizhubPRO1200で、常温常湿環境下(NN:20℃、50RH%)初期画像で評価した。黒べたの画像の中に、1200dpiの2ドットラインの白線を作製し、下記の基準で評価した。
【0228】
◎:2ドットラインの白線が連続して再現されており、黒べたの画像濃度が1.2以上
(良好)
○:2ドットラインの白線は連続して再現されているが、黒べたの画像濃度が1.2未
満〜1.0以上(実用性に問題なし)
×:2ドットラインの白線が切断されて再現されているか、又は2ドットラインの白線
は連続して再現されていても、黒べたの画像濃度が1.0未満(実用性に問題有り

上記のべた画像濃度は、マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。結果は表2に示した。
【0229】
【表2】

【0230】
本発明内の感光体1〜9はいずれの特性も少なくとも実用上問題がないが、本発明外の感光体10〜14は少なくともいずれかの特性に問題があることがわかる。
【0231】
感光体15の作製
感光体1において、電荷発生層のCG−1をY型チタニルフタロシアニンに代えた以外は同様にして感光体16を作製した。尚、Y型チタニルフタロシアニンはX線回折スペクトル(図5)で、27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料であり、下記合成例により合成した顔料である。
【0232】
Y型チタニルフタロシアニンの合成例
ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を合成し、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得た。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロロベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニンを得た。
【0233】
上記感光体15を感光体1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
【0234】
【表3】

【0235】
表3から明らかなように、Y型チタニルフタロシアニンを電荷発生物質として用いた感光体15は、本願発明の感光体1と同様に電位安定性やカブリの評価は良好であるが、湿度メモリの評価が劣っている。
【0236】
感光体16の作製
感光体5において、保護層を除いた他は、同様にして感光体16を作製した。該感光体16を感光体5と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0237】
【表4】

【0238】
表4から明らかなように、保護層を除いた感光体16でも、本願発明の効果が明瞭に現れている。
【符号の説明】
【0239】
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した有機感光体において、前記電荷発生層がチタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料を含み、且つ前記電荷発生層の反射スペクトルの700nmにおける反射率(R700)と780nmにおける反射率(R780)との比(R700/R780)が0.9〜1.3であり、前記電荷輸送層の膜厚が8〜15μmであることを特徴とする有機感光体。
但し、上記反射率は感光層(電荷発生層)をアルミ支持体上に形成して測定した反射率であり、アルミ支持体の反射率を100%としたときの相対反射率である。
【請求項2】
前記電荷輸送層の上に0.1〜3.0μmの硬化性樹脂層の保護層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
【請求項3】
前記保護層中に金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項2に記載の有機感光体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機感光体に静電潜像を形成する手段、該静電潜像をトナー現像する手段、形成されたトナー画像を画像支持体に転写する手段、転写後のトナー画像を定着する手段を、少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−257584(P2011−257584A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131783(P2010−131783)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】