説明

有機発光ダイオード光線療法照明システム

照明システムは、複数の有機発光ダイオード(OLED)素子を含む。複数のOLED素子を選択することで、または、複数のOLED素子を選択的に制御することで、照明システムの色特性を調整することができる。照明システムの耐用年数は改善され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線治療器を対象とする。本発明の実施形態は、少なくとも1つの有機発光ダイオード(“OLED”)を含む光線治療器を対象とする。OLED光線治療器は、可変強度と従来の光線治療器よりも低い熱出力で、病気または疾患の治療を目的とする発光スペクトルを、供給することができる。
【背景技術】
【0002】
特定の病気は、光照射で治療することができる。当該治療は、光照射のみ、または、感光性薬物との組み合わせを含むことができる。そのような治療は、一般に、光線療法と呼ばれる。光線療法は、例えば、新生児黄疸、ざ瘡、乾癬、湿疹、癌、神経障害、季節性感情障害、鬱病、多食症、パーキンソン病に関連する震え、潰瘍、日周期リズム維持障害だけでなく、その他の病気、障害、疾患の治療のためにも用いられている。さらに、光線療法は、創傷治癒を容易にすること、リラクゼーションを促進すること、生殖能力を改善すること、発毛を刺激すること、および、セリュライトやしわの発生を減らすことにも用いられている。いくつかの光線治療器は、そのような病気の治療に治療のために開発されている。当該装置は、典型的に、明確に制御された光を患者に供給するように設計されている。そのような装置は、蛍光灯、ハロゲンランプ、または、無機発光ダイオードをダイレクトスポットライトとして用いること、または、光ファイバーと組み合わせて用いることができる。有機発光ダイオードを内部に実装する設計は、一般に、患部組織の小さい領域を対象とする包帯の実施形態となり、移動可能な装置となる。
【0003】
光線療法法の効果は、典型的に、光の強さ、当該光を照射される表面領域、病気または障害を治療するために効果的な波長を含む光スペクトルの割合に依存する。
【0004】
有機発光ダイオード(OLEDs)は、化学物質における電子が、外部電源の影響を受けて、励起状態に移されたときに、光を生じさせる化学物質を含む。化学物質は、一般的に、有機ポリマー、または、小分子として分類される。それゆえに、OLED装置は、ポリマー発光ダイオード(PLED)装置、または、それらの活性領域の構成に依存する小分子有機発光ダイオード(SMOLED)装置と称されることもある。初期のOLEDsは、典型的に、エレクトロルミネッセンス(EL)共役高分子の薄い層が、一対の電極の間に囲まれた比較的簡単な構成に基づいている。電圧が電極に加えられたときに、陽(アノード)電極と陰(カソード)電極は、それそれ、ELポリマーへの正孔(holes)と電子の注入をもたらす。ELポリマー層の中で、電子と正孔は、適用された電界において、お互いに近づき、励起子(エキシトン)を形成する。該励起子は、光子(フォトン)を放射することで、発光しながら基底状態に戻され得る束縛励起状態となる。この過程は、エレクトロルミネッセンスと呼ぶことができる。
【0005】
OLEDsは、1980年代に初めて設計された。例えば、C. W. Tang, S. A. Van Slyke, Organic electroluminescent diodes, Appl. Phys. Lett. 1987, 51, 913(非特許文献1) を参照されたい。OLED材料と応用分野における最近の進展は、一般に、Kraft et al., Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 402-428(非特許文献2) および Z., Li and H. Meng, Organic Light-Emitting Materials and Devices (Optical Science and Engineering Series), CRC Taylor & Francis (September 12, 2006)(非特許文献3)に、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第12/543,225号
【特許文献2】米国特許出願第12/543,440号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】C. W. Tang, S. A. Van Slyke, Organic electroluminescent diodes, Appl. Phys. Lett. 1987, 51, 913
【非特許文献2】Kraft et al., Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 402-428
【非特許文献3】Z., Li and H. Meng, Organic Light-Emitting Materials and Devices (Optical Science and Engineering Series), CRC Taylor & Francis (September 12, 2006)
【非特許文献4】Li and Meng, Organic Light-Emitting Materials and Devices, 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、光線治療器を対象とする。光線治療器は、例えば、新生児黄疸、乾癬、ざ瘡、季節性感情障害、日周期リズム維持障害の治療に用いることができる。光線療法の実施形態は、有機発光ダイオードを含むことができる。有機発光ダイオードは、光線治療器での使用に好都合である。なぜなら、それらは、従来の発光ダイオードを含む、その他の形式の照明よりも、費用対効果がより高く、より低い熱を発生させ、より汎用性があり、より広い光の帯域幅を提供するからである。
【0009】
光線治療器の実施形態は、少なくとも1つの治療用波長を発する少なくとも1つのOLEDと制御モジュールとを含むことができる。前記コントロールモジュールの実施形態は、温度、発光された光の望ましい強さ、照射の望ましい領域、医療センサーからのフィードバック、OLEDsの少なくとも一部分の活性化および不活性化、発せられた光の望ましいスペクトル、治療の長さ、または、それらの組合せに基づいて、少なくとも1つの有機発光ダイオードを制御することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1つのOLEDを含む光線治療器に関する。光線治療器におけるOLEDsの使用は、いくらかの利益を提供する。例えば、OLEDsは、その他のLEDsと比較して、より増加したルミネッセンスを提供することができ、スペクトルバンド幅を大きくでき、より大きな輝度の制御、より低い発熱、装置製造時の材料および構成要素の加工のしやすさ、携帯用光線治療器向けのより軽い重量、大面積装置(large area devices)、均等照明、柔軟な装置、および、使い捨ての光線治療器に対するより低いコストという効果がある。OLEDsは、例えば、Organic Light-Emitting Materials and Devices, edited by Li and Meng, 2007(非特許文献4) に記載されているように、当該分野において、一般的に周知である。
【0011】
一般に、本発明のある実施形態は、少なくとも1つの有機発光ダイオードを含む光線治療器を含む。当該装置は、小部屋(chamber)、被服(garment)、当て物(pad)、マットレス、ベッドシート、幼児用寝台、マスク、帽子、プローブ、杖(wand)、包み(wrap)、または、自立型の照明パネルあるいは壁や天井に据えられた照明パネルの形式であるかもしれない。さらに、光線治療器は、有機発光ダイオードを制御するための制御モジュールも含むことができる。当該制御モジュールは、光線治療器のどの構成要素のどのパラメータも制御することができる。例えば、制御モジュールは、光線治療器からの発光の強さ、光線治療器の温度または照らされる対象すなわち患者の温度、OLEDsの少なくとも一部分または複数部分の活性化(activation)と非活性化(deactivation)、発光の望ましいスペクトル、治療の長さ、照らす領域、または、それらの組合せを制御することができる。制御モジュールは、センサーからの入力に基づいて光線治療器の特性(properties)を調整する自動制御モジュールであるかもしれない。そのようなセンサーの例としては、温度センサー、発光スペクトル(light emission spectrum)センサー、圧力センサー、光強度センサー、医療センサー(該センサーは、接触または非接触などによって、例えば、血中のビリルビンレベル、体温、皮膚温度、心拍、酸素レベル、一酸化炭素レベル、皮膚の色、血中の内容物、体液の内容物、血糖などの患者パラメータを測定する)だけでなく、当該分野で知られているその他のセンサーが挙げられる。そのようなセンサーは、例えば、ある期間にわたる治療波長の強さをセンシングする光線療法の患者の全照射線量(overall exposure)や、ある期間にわたるすべての光の合計照射線量(total exposure)を計算するために、組み合わせて用いることができる。また、患者への実際の入射光を計測することで、制御装置は、センサーが、光線治療器からの光と周辺光(ambient light)の、患者の合計照射線量を計算して、それを示すために、制御モジュールで使用され得るので、患者への有害な影響を防ぐために、紫外線のような特定の波長の光照射を制限することができる。一方、光線治療器の構成要素の特性は、手動で制御され得る。そのような実施形態において、光線治療器は、所望の制御ポイント、または、設定の手動調整、例えば、目標の最大および/または最小温度、目標のスペクトル出力、目標の最小および/または最大の光強度、目標の最大および/または最小治療時間、目標の最大および/または最小の患者パラメータだけでなく、その他のパラメータの入力を可能にする入力装置を含むことができる。ある実施形態では、光線治療器は、光線治療器基板上に複数のOLEDsと、制御モジュールとを含み、OLEDs出力の様々なパラメータは、当該制御モジュールによって制御される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、OLEDを含む光線治療器の実施形態の透視図である。
【図1A】図1Aは、図1におけるOLEDを含む光線治療器の実施形態の断面図である。
【図2】図2は、複数の個別に制御可能なOLEDsを含む光線治療器の実施形態の透視図である。
【図3】図3は、柔軟な光線治療器基板上の少なくとも1つのOLEDを含む光線治療器の実施形態の透視図である。
【図4】図4は、乳児用ベッド用のOLEDを含む光線治療器の実施形態の透視図である。
【図5】図5は、患者のパラメータを測定するセンサーと、当該光線治療器の出力を制御するためのフィードバックシステムとを併せて、用いられる衣服状の光線治療器の実施形態の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
光治療装置は、単一のOLEDパネルと、並列に複数のOLEDsと、複数の有機発光ダイオードのパネルまたはチップとを含むことができる。OLEDチップは、個別にパッケージ化されたOLEDユニットである。該OLEDユニットは、電気的かつ/または機械的結合を介して、光線治療器基板の中に“プラグアンドプレイ”のやり方で、組み入れることができる。光線治療器基板は、各チップ、または、該光線治療器基板に結合された一群のチップを、別々に扱うための電子回路を含むことができる。OLEDチップの詳細と、それらの制御および構成は、次の係属中の米国特許出願“OLED CHIP”(第12/543,225号、および、対応する仮特許出願(第61/090,150号、出願日:2008年8月19日))、“ORGANIC LIGHT EMIITTING DIODE LUMINAIRES”(第12/543,440号、および、対応する仮特許出願(第61/102,326号、出願日:2008年10月2日))に、見つけることができ、それら出願の全体を参照して、本件出願にすべて取り込まれる。ある実施形態では、光線治療器は、光線治療器基板上の複数のOLEDsと、制御モジュールとを含み、OLEDs出力の様々なパラメータは、当該制御モジュールによって制御される。
【0014】
光線治療器は、さらに、光を分散あるいは集中させるための光学素子を含むことができる。当該光学素子の例としてはこれらに限定されないが、レンズ、導波管(waveguide)、光ファイバー、プリズム、拡散性光学素子または回折性光学素子だけでなく、その他の光学素子も挙げられる。当該光学素子は、光線療法を強化するために、光を分散または集中させることができる。
【0015】
さらなる実施形態では、光線治療器は、少なくとも1つの有機発光ダイオードと、熱管理システムとを含む。光線治療器の1つの実施形態では、熱管理システムは、ファンのような空気を移動させる装置を含むことができる。他の実施形態では、熱管理システムは、OLEDsを活性化および非活性化させること、または、温度を制御するために、OLEDsの強さを調節することを含むことができる。ある実施形態では、光線治療器は、患者の皮膚と接触するように構成された部分を含む。光線治療器は、さらに、患者の皮膚と接触するように構成された部分と、OLEDの光源との間に、断熱材層(insulation layer)を含む。その他の実施形態では、光線治療器は、患者の皮膚に対する空気の循環を助けるための穴を含む。光線治療器の実施形態では、制御モジュールは、例えば、ファン速度を増加すること、または、冷却材の供給によって、患者の過熱(overheating)を防ぐように、熱管理システムを調整することができる。
【0016】
本件出願で記載された、光線治療器は、平面光源(planar light source)を含むことができ、または、立体的デザイン(three dimensional design)の光源、例えば、円筒、または、プローブのような物に形成することができる。光線治療器は、患者から間隔を置いて配置され、患者の皮膚に直接的に接触するように配置され、また、内部に配置され得る。例えば、光線治療器は、例えば、口腔、耳、または、バクテリアまたは菌の増殖を阻害するための膣などのような腔に配置され得る。光線治療器は、患者の身体における組織の特定領域を照らすことよりもむしろ、患者の周囲を取り囲んで照らすために用いられる広い面積の装置であるかもしれない。例えば、光線治療器は、光線療法向けの光源として用いられ、直面する必要はないが、患者の顔面が斜めに当該光線治療器の方を向くように、患者が配置される。患者は、直接的に光源にさらされるわけでなく、むしろ光線治療器によって照らされた対象に反射した光にさらされるかもしれない。
【0017】
熱管理
光線治療器の実施形態は、それによって、患者への安全な治療の供給をもたらす、適切な温度制御を保証するための熱管理システムを含むことができる。また、過剰な熱は、OLEDのような電子装置の寿命も短くする。青色OLEDに基づく光線治療器は、発光が光スペクトルの青色領域に集中するので、ハロゲンランプまたは蛍光灯よりも低い熱しか生じないとしても、熱管理は要求され得る。加えて、一般に、OLED装置は、従来の照明装置よりも、より効率的に光を生み出すことができる。光線治療器の実施形態のための熱管理システムは、当該装置のOLED部分に対する独立した熱管理システムと、空冷ファンシステムのような、当該装置の制御モジュール部分に対する別の熱管理システムとを含むことができる。
【0018】
光線治療器向けの熱管理システムは、熱伝導性の検出器モジュールと、検出器モジュールの上に配置された熱センサーと、検出器モジュールと熱によるやり取りをする信号処理回路とを含むことができる。熱検出器とセンサーシステムは、光線治療器を停止したり、光の強さや期間を調節したり、または、患者に接触あるいは近くにある光線治療器の一部の温度を制御するのに、プログラム化された光の強さの周期を管理するための制御モジュールと連結して使用され得る。また、光透過性の材料は、OLED装置と、患者と接触する光線治療器の表面との間に組み込まれ得る。これは、脱熱剤として作用する熱ゲルあるいはパッドであるかもしれない。
【0019】
熱管理システムは、光線治療器のどの部分においても、蓄熱を防ぐような構成であるかもしれない。ある実施形態では、光線治療器は、放熱板(ヒートシンク)を含む。放熱板は、別の構成要素から生じた熱を吸収して、消散することができる構成要素である。光線治療器の実施形態では、放熱板は、当該装置の処置部分から熱を奪い、当該装置の非処置面から熱を放散するように、配置され得る。典型的な放熱板は、熱源に接触して熱を放散する機構(熱放散機構)を有する金属の構成要素を含む。当該熱放散機構は、例えば、フィンであるかもしれない。ある実施形態では、熱管理システムは、液体ベースの冷却システムを含むことができる。液体ベースの冷却システムは、発熱装置と熱的に結合するために構成された第一の面を備える基部と、循環する液体を通って熱放散をもたらすための前記基部と連結した液体ベースの冷却経路とを含む。ある実施形態では、熱管理装置は、能動的冷却回路基板(active cooling substrate)のような電気機械式の冷却装置である。該能動的冷却回路基板は、シンセティックジェット(synthetic jet)の考え方を、熱管理を向上させるためのプリント配線基板に実装する微小電子機械システム(MEMS)デバイスである。他の実施形態では、熱管理システムは、ペルチェ冷却器(Peltier cooler)のような熱電冷却装置である。
【0020】
光線治療器の実施形態は、少なくとも1つの有機発光ダイオードの出力を制御するように構成される熱管理システムを含むことができる。望ましくは、熱管理システムは、OLEDsの一部を制御する。熱管理システムは、装置の温度または当該装置周辺の領域の温度を制御するために、OLEDsの輝度を活性化し、非活性化し、および/または、減らすことができる。光線治療器の熱管理システムは、局所的な温度を管理するためにOLEDsの一部の輝度を活性化し、非活性化し、または、減らすことができ、あるいは、全OLEDsの輝度を活性化し、非活性化し、または、減らすことができる。OLEDチップを含む光線治療器の実施形態では、熱管理システムは、少なくとも1つのOLEDチップの出力を制御することができる。1つの実施形態では、熱管理システムはOLEDチップを活性化させること、および、非活性化させることによって、OLEDチップの出力を制御する。別の実施形態では、熱管理システムは、OLEDチップの輝度をコントロールすることで、有機発光ダイオードの出力を制御する。
【0021】
OLEDを含む光線治療器100の実施形態は、図1および図1Aに図示される。光線治療器100は、少なくとも1つのOLEDを含む光線療法照明領域110からなる領域を含む。それぞれのOLEDはOLED素子基板(OLED device substrate)102と、アノード104と、カソード106と、活性領域108とを含む。活性領域108は、有機材料を含み、アノード104とカソード106に電気的に結合されている。また、OLED素子の構造は、カソードがOLED素子基板上に配置され、アノードが活性領域の上部に置かれた、逆構造(inverted structure)であるかもしれない。光線治療器100の実施形態は、光線療法照明領域110の全体にわたって、単一のパネルOLEDを含む。さらに、光線治療器は、発光ダイオード素子の上方に、カプセル化層(encapsulation layer)109を含む。OLEDの個々の層は、一般に以下のように説明される。
【0022】
活性領域108は、有機材料を含み、アノード104とカソード106に電気的に連結される。活性領域108は、この実施形態では、有機材料を含み、約50nmより大きい半値全幅(full width at half maximum; FWHM)で広帯域発光スペクトルを発するように構成される。活性領域中の有機材料は、ポリマー、小分子、または、ドーパントを含むあるいは含まない、ポリマーと小分子との組合せであるかもしれない。ドーパントを用いると、より低いエネルギー/より長い波長の光子が、蛍光を発する過程、または、燐光を発する過程を介して、より高いエネルギーの光子によって生成され得る。加えて、エレクトロルミネッセントの、または、光輝性(photoluminescent)の無機発光体(inorganic light emitter)は、OLED素子に組み込まれるかもしれない。この種の素子の例としては、量子ドットOLED(QD−OLED)がある。
【0023】
また、光線治療器は、光アウトカップリングを改善するように構成された光アウトカップリング(light out-coupling)コンポーネントも含む。光アウトカップリングコンポーネントは、レンズすなわちレンズの配列、ざらざらしたOLED素子基板すなわちインターフェース、グリッドすなわち格子(grating)、低屈折率層(low refractive index layer)、または、フォトニック結晶であるかもしれない。また、いくつかの実施形態では、光アウトカップリング層は、活性領域によって発せられたスペクトルを、より長い波長の別のスペクトルに変換するようにも構成される。例えば、光アウトカップリング層は、燐光体層(phosphor layer)または量子ドットベースのフィルム(quantum-dot-based film)を含むことができる。燐光体層および/または量子ドットベースのフィルムは、高エネルギーから低エネルギーにダウンコンバートされる光子のために構成される。
【0024】
光線治療器100の実施形態は、筐体112の中に電源を含む。電源は、アノード1044とカソード106に電気的に連結される。電源は、意図した光を生じさせるために、活性領域108を活性化する、アノード104とカソード106間の電圧差を供給する。電源は、家庭用電流、バッテリー、その他の電源に接続され得る。新生児黄疸の治療用の光線治療器100の実施形態では、活性領域108は、青、青緑、緑の範囲で治癒効果のあるスペクトルの光を発する。また、筐体112は、光線治療器100から発せられる光および/またはその他の特性を制御するように構成された制御モジュールも含む。
【0025】
カプセル化層109は、周囲環境から活性領域108を隔離する。カプセル化層は、典型的に、光を発する光線治療器の側面に透明材を含む。透明材は、例えば、ガラスまたはプラスチックであるかもしれない。ある実施形態では、カプセル化層109は、水蒸気と酸素が、活性領域108における有機材料に接触することや、有機材料を潜在的に劣化させることを防ぐ。他の実施形態では、カプセル化層109は、完全に、水蒸気透過性でなく、かつ、酸素透過性ではない材料を含むことができる。さらに、光線透過装置は、透明または半透明のカバー114で覆われ得る。カバー114は、もし患者が光線治療器100に横たわっているなら、特に、光線治療器100を使用する患者にとって安らぎを提供することができる。カバー114は、光線治療器に保護を与えることができ、当該装置からのよごれや液体からの保護や、衝撃から光線治療器を保護するためのクッションを与えることができる。カバーは、織布、不織布、または、プラスチックフィルムの1つであるかもしれない。
【0026】
光線治療器は、光線力学療法による治療で用いる感光性薬物とともに使用され得る。この場合では、光線治療器は、感光性薬物を活性化する。感光性薬物は、液体、クリーム、または、静注薬物(intravenous drug)とすることができる。例えば、前癌または癌治療に対して、感光性薬物は、むしろ典型的でない細胞や癌にかかった細胞によって、吸着される。感光性薬物は、光を照射されたとき、近くの細胞を破壊することができる活性化した酸素分子が生み出される。
【0027】
基板
さらに、光線治療器200の実施形態は、光線治療器基板202上に複数の個別OLEDパネルまたはチップ210を含むことができる。さらに、光線治療器200は、電源および/または制御モジュールを包含し得る筐体212を含むことができる。制御モジュールは、単純なオン/オフ制御モジュールを含むことができ、また、それぞれの個別OLEDパネルまたはチップのすべての特性の完全な制御を含むことができる。複数のOLEDパネルまたはチップ210は、同じまたは異なっているかもしれない。OLEDパネルまたはチップ210は、異なるスペクトル出力、異なるサイズ、多層のOLED層、または、光線治療器200上のその他のパネルまたはチップと、同じまたは異なるその他の特性を有することができる。ある実施形態では、少なくとも1つの有機発光ダイオードは、円盤状または多角形の形状である。
【0028】
OLED素子基板は、OLEDの種々の層を支えることができる任意の物質であるかもしれない。多くのそのようなOLED素子基板は、当該分野において記述されており周知である。様々なOLED素子基板の記述は、例えば、Z., Li and H. Meng, Organic Light-Emitting Materials and Devices (Optical Science and Engineering Series)(非特許文献3)に見つけることができる。OLED素子基板は、例えば、堅いもの、整合的なもの、または、柔軟なものであるかもしれない。OLED素子基板は、例えば、無機材料、有機材料、または、無機材料と有機材料との組合せを含むことができる。OLED素子基板は、例えば、金属、ガラス、または、プラスチックから作られるかもしれない。OLED素子基板は、OLEDのその他の構成要素を支えることのできる任意の形状であるかもしれない。例えば、OLED素子基板は、ほぼ水平すなわち平面、曲線状、または、ほぼ水平部分と湾曲部分を有する部分を備えることができる。OLED素子基板は、さらに、例えば、透明、半透明、半透過性(translucent)、または、不透明であるかもしれない。半透明基板は、不十分に透明であり、また、基板を通り過ぎて、放散させるための光を生じさせる。
【0029】
機械的支持に加えて、OLED素子基板102は、OLEDsの少なくとも1つを活性化するための電気的な経路を提供することができる。
【0030】
OLED素子基板は、マットレス、パッド、ベッド、シート、帽子、ローブ、パンツ、シャツ、プローブ、包帯、ラップ、または、歯を覆う細長い布(teeth covering strips)に組み込まれ得る。ローブは、着心地の良い衣服のような光線治療器を提供するために袖を含むことができる。OLED素子基板は、手で持てる大きさの杖(wand)または、自立型のパネル、壁に取り付けられるか、天井に取り付けられたパネルに組み込まれ得る。ある実施形態では、OLEDは、柔軟な光線治療器基板に配置された単一の発光体(emitter)を含む。図3を参照すると、光線治療器300は、少なくとも1つのOLEDを含む光線療法照明領域310を包含する領域を含む。光線治療器300は、OLED素子を含む。OLED素子は、OLED素子基板、アノード、カソード、および、活性領域を含む。光線治療器100と同様に、活性領域は、有機材料を含むことができ、アノードとカソードに電気的に結合される。光線治療器300の実施形態は、光線療法照明領域310の全域に、単一パネルのOLEDを含む。光線治療器300の実施形態は、柔軟な光線治療器基板302を含む。柔軟な光線治療器基板302は、光線治療器に、光線療法によって治療するために、患者または患者の一部に巻きつけること、あるいは、患者または患者の一部を覆うことを許す。
【0031】
光線治療器300の実施形態は、筐体312における電源を含む。電源は、アノードおよびカソードに電気的に結合される。電源は、光を生じさせるために活性領域を活性化させる、アノードとカソード間の電圧差をもたらす。電源は、家庭用電流、バッテリー、または、その他の電源に接続できる。電源は、持ち運び可能かもしれない。新生児黄疸の治療に用いられる光線治療器300の実施形態では、活性領域は、青色、青緑色、または、緑色領域における光を発光する。また、白色光も、用いられるかもしれない。また、筐体312は、光線治療器300から発光した光を制御するために構成された制御モジュールも含むことができる。
【0032】
光線治療器は、発光体を取り付けて、支持することができるような材料を含むことができる。ある実施形態では、柔軟な光線治療器基板は、プラスチックフィルム、織布、不織布、または、布を含むことができる。そのようなものとして、柔軟な光線治療器基板は、天然繊維、合成繊維、または、天然繊維と合成繊維の組合せたものを含むことができる。別の実施形態では、OLEDは、堅い光線治療器基板に取り付けられるかもしれない。ある実施形態では、光線治療器は、柔軟な光線治療器基板に配置された、堅いOLED素子を含むことができる。ある実施形態では、光線治療器は、堅いOLED素子基板および/または光線治療器基板を覆う透明カバーを含む。透明カバーは、患者に快適さを提供し、OLED素子を保護することができ、織布、不織布、または、プラスチックフィルムを含むことができる。
【0033】
アノード
典型的に、アノードは、電源と活性領域間の電気的なやり取りをもたらし、それゆえに、任意の導電性材料を含むことができる。多くの種類のアノードは、当該分野において、一般的に周知であり、示されている。ある実施形態では、活性領域から発せられた光に対して、透過的であることは、OLED素子のアノードにとって望ましいことかもしれない。例えば、アノードは、これに限定されるものではないが、例えば、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide, ITO)、酸化亜鉛(ZnO)などのような透明導電酸化物(transparent conductive oxide, TCO)を含むことができる。
【0034】
例えば、薄層状(典型的に、必ずしもそうではないが、100nmの厚さ以下)のITOは、可視光線に対してほぼ透過的である。ITO層の望ましい厚さは、機器の用途と望ましい透明度に依存するだろう。ある実施形態では、アノードは、活性領域の中への正孔の注入を助ける比較的高い仕事関数を有することができる。ITOアノードは、多くの異なるOLED素子基板の表面に塗布され得るので、特に望ましい。
【0035】
カソード
カソードもまた、電源と活性領域間で電気的なやり取りをもたらす。したがって、カソードは、任意の導電性材料を含むことができる。多くのカソードは、当該分野において、一般的に周知であり、示されている。カソードは、例えば、アルミニウムあるいはカルシウムなどのような薄い金属フィルム、または、非金属導電層を含むことができる。ある実施形態では、活性領域から発せられた光に対して透過的であることは、OLED素子のカソードにとって望ましいかもしれない。1つの実施形態では、アノード、カソード、OLED素子基板は、少なくとも1つの有機発光ダイオードが、アノード方向とカソード方向の両方に光を発するようにするために、ほぼ透明である。カソードは、典型的に、活性領域の中への電子の注入を助けるために比較的低い仕事関数を有する。カソードは、任意の厚さであるかもしれないが、OLEDsを含む典型的な機器では、カソード106は、100から200nmの間の厚さを有する。
【0036】
活性領域
OLEDの活性領域は、機器から発せられる光を生み出す。ある実施形態では、活性領域は、導電性ポリマーなどのような有機材料を含む。活性領域において、電子と正孔は、再結合により光子を発する。活性領域から発せられた放射性の光子エネルギーは、有機材料の最低空分子軌道(lowest unoccupied molecular orbital, LUMO)レベルと、最高被占分子軌道(highest occupied molecular orbital, HOMO)レベルとの間のエネルギー差に相当する。より低いエネルギー/より長い波長の光子は、蛍光を発する過程、または、燐光を発する過程を介して、より高いエネルギーの光子によって生み出され得る。活性領域は少なくとも1つの正孔注入層(hole transfer layer)、正孔阻止層(hole blocking layer)、電子注入層、電子伝達層、または、電子阻止層を含むことができる。正孔注入層は、例えば、1つ以上のポリチオフェンを含むことができる。
【0037】
ポリチオフェンは、単独重合体(ホモポリマー)、共重合体(コポリマー)、または、ブロック共重合体であり得る。合成法(synthetic method)、ドーピング、高分子特性解析、側基を有するレジオレギュラーポリチオフェン(regioregular polythiophenes)を含有することは、例えば、米国特許第6,602,974号(McCullough et al)と第6,166,172号( McCullough et al)に与えられ、それら全体を参照して、本件出願に組み込まれる。追加の説明は、論文“The Chemistry of Conducting Polythiophenes”(Richard D. McCullough, Adv. Mater. 1998, 10, No. 2, pages 93-116)とその中で参照された文献に見つけることができ、その全体を参照して、本件出願に組み込まれる。当業者が用いることができる別の参考文献は、Handbook of Conducting Polymers, 2nd Ed. 1998, Chapter 9(McCullough et al., "Regioregular, Head-to-Tail Coupled Poly(3-alkylthiophene) and its Derivatives," pages 225-258)であり、その全体を参照して、本件出願に組み込まれる。また、当該参考文献は、chapter 29 において "Electroluminescence in Conjugated Polymers" (pages 823-846)についても記載しており、その全体を参照して、本件出願に組み込まれる。
【0038】
ポリチオフェンは、例えば、Roncali, J., Chem. Rev. 1992, 92, 711 と Schopf et al., Polythiophenes: Electrically Conductive Polymers, Springer: Berlin, 1997 に記載される。また、例えば、米国特許第4,737,557号と第4,909,959号も参照されたい。
【0039】
ブロック共重合体は、例えば、Block Copolymers, Overview and Critical Survey, by Noshay and McGrath, Academic Press, 1977 に記載される。例えば、この教科書は、A−Bジブロック共重合体(5章)、A−B−Aトリブロック共重合体(6章)、(AB)nマルチブロック共重合体(7章)が記載され、それらは、本発明におけるブロック共重合体タイプの基礎を形成することができる。
【0040】
ポリチオフェンを含む付加的なブロック共重合体は、例えば、Francois et al., Synth. Met. 1995, 69, 463-466; Yang et al., Macromolecules 1993, 26, 1188-1190; Widawski et al., Nature (London), vol. 369, June 2, 1994, 387-389; Jenekhe et al., Science, 279, March 20, 1998, 1903-1907; Wang et al., J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 6855-6861; Li et al., Macromolecules 1999, 32, 3034-3044; Hempenius et al., J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 2798-2804 に記載され、その全体を参照して本件出願に取り込まれる。
【0041】
次の論文は、97ページから、いくつかのタイプのレジオレギュラー組織(regioregular systems)と引用された文献をそこに記載する:"The Chemistry of Conducting Polythiophenes," by Richard D. McCullough, Adv. Mater. 1998, 10, No. 2, pages 93-116 レジオレギュラーポリマーでは、ポリチオフェンを含有するので、レジオレギュラリティーの程度は、例えば、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または、約99%以上となり得る。例えば、NMRのような、この分野で周知の方法は、レジオレギュラリティーの程度を計測するために用いることができる。レジオレギュラリティーは、多種多様な方法で生じさせられる。例えば、それは、頭尾(HT)型ポリ(3−置換)チオフェンを提供するために、3−アルキルチオフェンのような非対称の単量体(monomer)の重合から生じることができる。また、それは、例えば、レジオレジュラーHH−TTとTT−HHポリ(3−置換チオフェン)を提供するのに、例えば、ビチオフェン(bi-thiophene)のような単量体の2つの部分間の対称面を備える単量体の重合から生じることができる。
【0042】
特に、側鎖を有する導電性ポリマーを可溶性にするために用いることができる置換基は、例えば、C1からC25のグループだけでなく、酸素と窒素を含むヘテロ原子も包含するアクコシキル基とアルキル基を含む。特に、少なくとも3つの炭素原子、または、少なくとも5つの炭素原子を有する置換基を用いることができる。混合置換基(mixed substituent)を用いることができる。置換基は、無極性、有極性、または、有機官能置換基であり得る。側基は、例えば、アルキル基、パーハロアルキル基、ビニル基、アセチレン基、アルコシキル基、アリールオシキ基、ビニロシキ基、チオアルキル基、チオアリール基、ケチル基、チオケチル基であり得る置換基Rと呼ばれ、自由に、水素以外の原子に置き換えられる。
【0043】
チオフェンポリマーは、例えば、3本よりも多い数の枝を有し、チオフェン単位を含む星形ポリマーとすることができる。チオフェンポリマーは、デンドリマーとすることができる。例えば、Anthopoulos et al., Applied Physics Letters, 82, 26, June 30, 2003, 4824-4826 を参照されたい。さらに、以下にデンドリマーについて述べる。
【0044】
複素環ポリマーは、特に好ましい。特に、望ましいシステムは、ポリチオフェンシステムおよびレジオレギュラーポリチオフェンシステムである。ポリマーは、ピッツバーグのプレックストロニックス社(Plextronics, Inc.)から得ることができ、例えば、プレックスコア(Plexcore)、プレックスコート(plexcoat)、同様の材料などのポリチオフェンベースのポリマーを含む。
【0045】
もう1つの実施形態は、どちらかといえば、レジオイレギュラーである複素環共役ポリマーを含む。例えば、レジオレギュラリティーの程度は、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下または約50%以下とすることができる。
【0046】
活性領域は、単一の発光体または複数の発光体を形成する連続領域を含むことができる。複数の発光体は、ほぼ異なる波長で光を発光することができる。複数の発光体は、活性領域内で、垂直に積み重ねられるか、または、それらは、混合物を形成することができる。いくつかの実施形態では、ドーパントは、有機ホストマトリックス内に、分散させられる。1つの実施形態では、量子ドット層は、2枚の有機薄フィルムの間に挟まれる。さらに、複数の発光体は、共通のアノードおよび/またはカソードを共有する、複数の活性領域を含むことができる。それゆえに、複数の発光体は、1つのOLED素子の内部で、複数の発光ダイオードとして機能する。その上、積み重ねられたOLEDsも、用いられ得る。この場合、個々のOLEDsは、それぞれ他方の上にOLEDが積み重ねられる。積み重ねた構成は、一般に、連続するOLEDsが中間電極を共有して、1つの素子の上部電極は、その積み重ねにおいて、別の素子の下部電極となるように、近接する個々のOLEDsの間に配置された中間電極を含む。積み重ねられたOLEDsは、異なる活性領域材料を備えることができ、したがって、異なる発光スペクトルを有する。
【0047】
少なくとも1つのOLEDを含む光線治療器の実施形態は、可視域(380から700nm)、紫外線域(UVA:315から400nm、UVB:280から315nm)、および/または、近赤外線(700から1000nm)における光を発生させることができる。可視光線は、おおよそ380から700ナノメートル(nm)の波長帯に相当し、赤から紫の色の範囲として、一般に記載される。人の目は、例えば、紫外線または赤外線などのような範囲におけるこの可視スペクトルの外側の波長を持つ発光は見ることができない。最も短い波長から最も長い波長の可視スペクトルは、一般に、紫色(おおよそ、400から450nm)、青色(おおよそ、450から490nm)、緑色(おおよそ、490から560nm)、黄色(おおよそ、560から590nm)、橙色(590から630nm)、赤色(おおよそ、630から700nm)として記載される。紫外線は、目に見える紫色光よりも、より短い波長を有し、赤外線は、目に見える赤色光よりも、より長い波長を有する。白色光は、可視スペクトルの各色を混合してできたものである。OLEDsを用いて、白色光を発光させる複数の方法が存在する。1つの方法は、赤色範囲、緑色範囲、青色範囲における光を発光させる個々のOLEDsを用いることである。OLEDsは、単一層または階層構造であるかもしれない。別の方法は、青色またはUV OLEDから単色の光を、広域スペクトルの白色光に変換することのできる燐光体材料を含むOLED素子を用意すること、または、黄色の発光燐光体(yellow emitting phosphor material)で、青色の光の部分を変換することである。
【0048】
OLED素子の活性領域は、無機発光ダイオードと比べて、比較的広帯域のスペクトルを発光する。個々のスペクトルの全幅半値(FWHM)は、約50nmよりも大きいかもしれない。明るい光線治療などのような、特定の応用では、FWHMは、好ましくは、約100nmよりも大きく、場合によっては、約200nmよりもさらに大きいかもしれない。ある場合には、OLED素子は、約50nmより狭いFWHMを有する狭帯域スペクトルを生じさせることができる。これは、組織または光感作性薬物(photosensitizing medication)が、狭い波長幅に応答する、特定の光線治療の用途において、好都合かもしれない。発光スペクトルは、近赤外線(NIR)、紫外線(UV)、白色、赤色、緑色、青色、黄色、橙色、青緑色(シアン)、または、深紅色(マゼンタ)のスペクトルから選択された1つかもしれない、または、それらの組合せかもしれない。異なるOLED素子を適切に混ぜ合わせることによって、出力スペクトルは、視覚的に、ほぼ白色となるかもしれない。個々のOLED素子の広帯域スペクトルは、人の目に対して、自然な白色光に非常近い出力スペクトルを形成するように、混合することができる。
【0049】
都合よく、OLEDsは、現在、無機LEDsよりも緑色光をより効率的に生じさせることができるが、青色光についてはあまり効率的に生じさせられない。青色光は網膜損傷を引き起こし、老化関連黄斑変性を助長し得ることを示す証拠がある。緑色光は、目への損傷がとても少ない。効果的な明るい光線治療器は、ダメージを与える青色光の発光量を制限または排除するOLED素子で作ることができる。
【0050】
OLED素子の活性領域は、ほぼ透明であるかもしれない。ほとんど透明の層が用いられたとき、多くのOLED素子は、個々の素子からの発光をほぼ遮ることなしに、垂直に積み重ねられ得る。加えて、OLEDチップは、多くの垂直に積層された透過的なOLEDsを含むことができ、それらは、それら自身のカプセル化がなされていないので、独立した素子ではないが、それら自身のOLED素子基板と電極を備えることができ、個別に制御可能なように構成することができる。
【0051】
活性領域は、単一層または複数層、例えば、p型層とn型層との組合せを含むことができる。p型およびn型の材料は、活性領域において、お互いに結合することができる。結合は、例えば、イオン結合、または、共有結合であるかもしれない。活性領域の複数階層は、それらの間に、ヘテロ構造(heterostructures)を形成することができる。活性領域は、例えば、回転成形(スピンキャスティング, spin casting)、ドロップキャスティング(drop casting)、蒸着、または、スパッタリング、結晶成長(crystalline growth)、パターン化エッジング(patterned etching)、浸漬被覆などの周知の方法によって、または、インクジェット印刷、オフセッティング、転写過程などのような印刷技術によって、または、スプレーの適用によって生成され得る。溶液析出法(solution deposition technique)を用いてOLEDsを製造することは、安価で大面積の素子を可能にする。これは、治療領域が大きな面積となる光線治療器にとって有利な点である。さらに、大面積の素子は、点光源素子よりも、熱問題が僅かしか生じない。活性領域は、任意のサイズの発光領域(emissive area)を備えることができる。1つの実施形態では、個々のOLED素子の発光領域は、約1cm2である。別の実施形態では、発光領域は、1m2よりも小さい領域である。別の実施形態では、約0.1cm2よりも大きい領域である。
【0052】
活性領域の有機材料
活性領域は、有機材料を含むことができる。活性領域108における有機材料は、エレクトロルミネッセントポリマーのような、エレクトロルミネッセント材料を含むことができる。エレクトロルミネッセント材料は、電流のような強電界電気的な刺激、または強電界に反応して光を発光する。
【0053】
エレクトロルミネッセントポリマーは、蛍光性の発光体、または、燐光性の発光体かもしれない。エレクトロルミネッセントポリマーは、これらに限定されないが例として、ポリフェニレンビニレン、または、ポリフルオレンを含む。ポリマーは、活性領域から発光される色を調整するため、活性領域の溶解性および安定性を改善するため、または、OLEDへのポリマー加工の容易さを改善するために、側鎖をポリマー鎖の骨格に置き換えるようにしばしば設計される。その代わりに、または、組み合わせて、小分子発光体も、OLEDにおいて用いられるかもしれない。小分子発光体は、これらに限定されないが例として、有機金属キレート化合物、または、共役したデンドリマー(conjugated dendrimer)を含む。
【0054】
電気的結合
ある実施形態において、OLEDは、活性領域を通ってアノードからカソードへの電気的なやり取りに頼っている。活性領域とアノードまたはカソード間の電気的結合は、構成要素間の直接的接触によって作られ、または、上記で詳細に議論したように、付加的な層を含むことができる。
【0055】
電源
電源は、活性領域を活性化させるのに、十分な電力を供給することができる任意の電源であるかもしれない。電源は、バッテリー、太陽電池、燃料電池、アダプターを含むことができ、または、送電網(power grid)の一部であるかもしれない。OLED素子は、ACまたはDC電流によって動作することができる。
【0056】
制御モジュール
制御モジュールは、提供すべき治療の選択、治療時間、治療の強さ、光線治療器のスペクトル出力、および/または、患者の年齢を割り当てる入力手段を含むことができる。入力手段は、それらに限定されることはないが例として、キーボード、キーパッド、マウス、タッチスクリーン、ボタン、または、その他の入力装置を含むことができる。制御モジュールは、治療に関する情報、光線治療器または患者の1箇所以上の温度、患者の照射領域、治療周期の長さ、治療周期の残り時間、OLEDの光強度設定、そして、1以上の独立的に制御されるOLEDならば複数のOLEDsの光強度、光線治療器による複合的な治療の累計時間、設定に関するその他の情報、および、光線治療器の操作を提供するスクリーンを付加的に備えることができる。制御モジュールは、例えば、少なくとも1つの有機発光ダイオードを制御するために、電圧、電流、パルス幅、または、パルス周波数のうち少なくとも1つを変えることができる。さらに、スクリーンは、さまざまな光線治療法に対して、予め設定された治療周期に関する情報も提供することができる。
【0057】
制御モジュールは、活性化と非活性化、活性化の程度、スペクトル発光、独立的に統制されたOLED素子の強さを調節することによって、それぞれのOLEDsを独立的に統制することができる。制御モジュールは、予め設定された治療周期に基づいて動作することができ、また、ユーザー入力あるいは光線治療器の制御モジュールに接続された様々なセンサーからの入力に基づいて、治療周期の動的制御を許すことができる。例えば、光線治療器は、光線治療器の少なくとも一部分の温度を検出するための独立した温度センサーを含むことができる。温度センサーは、好ましくは、患者あるいは患者の衣服に接触し得る光線治療器の中にあるかもしれない。その他の実施形態では、温度センサーは、患者との直接的接触によって、あるいは、赤外線温度センサーのように直接的接触なしに患者の体温を読取ることができる。
【0058】
制御モジュールへの入力を供給するセンサーは、感知されるパラメータに相当する、様々な種類の信号、例えば、電気的な信号、機械的な信号、または、圧搾空気による信号を含むことができる。そのような入力は、以前に説明しているように、患者パラメータを含むことができる。さらに、センサーは、光線治療器における1つ以上のOLEDsの劣化を測定するために用いることができる。センサーは、強度計または分光計などのような、光センサーとすることができる。センサーからの様々な入力は、制御モジュールが、ただ1つの治療または複数の治療の間に、患者に提供する光線治療の程度を決定および/または指示できるようにする。そのような実施形態では、制御モジュールは、新生児黄疸、ざ瘡、乾癬、季節性感情障害、日周期リズム維持障害、および/または、その他の病気、症候群、または、疾患の治療のために、プログラムすることができ、それらは、光線治療によって治療することが可能である。加えて、センサーからのフィードバックは、制御モジュールに、例えば、OLED素子の劣化を補うため、および、望ましい光出力のパラメータを維持するのを助けるけるために、光線治療器における1以上のOLED素子の駆動条件を調節させることができる。制御とフィードバックのシステムは、米国に係属する特許出願“OLED CHIP”(第12/543,225号、および、2008年8月19日出願の対応する仮特許出願第61/102,326号)、“ORGANIC LIGHT EMITTING DIODE LUMINAIRES”(第12/543,225号、および、2008年10月2日出願の対応する仮特許出願第61/102,330号)、“ORGANIC LIGHT EMITTING DIODE LIGHTING SYSTEMS”(第12/543,400号、および、2008年10月2日出願の仮特許出願第61/102,326号)において、より詳細に記述される。それらは、全体を参照して、本件出願にすべて組み込まれる。
【0059】
光線治療法は、多くの治療セッションに分けることができ、それらを合わせることで、全体の治療時間における結果となる。そのような場合に対して、制御モジュールは、セッションの時間や全体の治療時間、または、その両方を測定するように構成された少なくとも1つのタイマーを含むことができる。タイマーは、セッションの時間または全体の時間を容易に監視するために用いることができ、また、セッションまたは全体の治療の完了後に、光線治療器を停止させるために用いることができる。また、制御モジュールは、治療の累積の程度を判定することも含むことができる。光線治療の程度は、与えられる治療の種類と比較して、活性化されたOLEDの全領域、全体の治療時間、患者へのOLEDによる光照射の強さ、および/または、光線治療器のスペクトル出力から計算することができる。
【0060】
例えば、もし光線治療器の温度が高すぎることを考慮して、温度を下げるように、OLEDの輝度を抑えるなら、制御モジュールは、より低い輝度を補うように治療時間を増やすことができ、所望の治療の全体的な治療度合を与えることができる。合計機能は、それぞれの光成分(light component)に対する累積治療率(accumulated treatment factor)を計算するのに用いることができる。すべてのOLEDコンポーネントの累積照射率(accumulated exposure quotients)は、全体的な治療度合を決定するのに計算される。
【0061】
光線治療器は、制御モジュールを含むことができる。制御モジュールは、プロセッサとメモリーを含むことができる。OLED素子が、個別に制御可能なOLEDsまたは独立したOLED素子を含んだ実施形態では、個々のOLEDsまたは独立したOLED素子のそれぞれは、論理アドレスが割り当てられ、制御回路またはそれらの論理アドレスの1つを経由する、制御モジュールにおけるソフトウェアによって制御され得る。制御モジュールは、OLEDの色、パターン、明るさを調節するために、個別にOLED素子を処理および制御することができる。
【0062】
制御モジュールは、ことによって、他のOLED素子とは異なる少なくとも複数のOLED素子を選択的に駆動することによって、OLED素子の出力の色を調節することができる。他のOLED素子とは異なる、複数のOLED素子のいくつかを選択的に駆動することは、例えば、OLED素子の駆動電圧または駆動電流を選択的に変化させることによって実現することができる。複数のOLED素子は、それぞれ、それに限定されないが例えば、デジタル・アナログ変換器(DAC)を経由するような任意の手段による制御モジュールで制御することができる。OLEDそしは、例えば、赤色、緑色、青色、近赤外線、または、紫外線のような異なる発光スペクトルを有することが可能である。DACは、適切な振幅とパルス幅の駆動電流パルスを、それぞれのOLED素子に供給することができる。OLED素子は、独立して、共同して、または、相互依存して駆動することができる。
【0063】
制御モジュールは、センサーからフィードバックデータを受け取るために、入力/出力(I/O)インターフェースを、さらに含むことができる。メモリーは、駆動順序を生成するためのコマンドを格納するために、制御モジュールに含むことができる。時計は、駆動順序の同期をとるために用いることができる。制御モジュールは、コマンドデータを受け取るためのデータポートをさらに含むことができ、コマンドデータは、ユーザー、プロセッサ、または、コンピュータによってもたらされる。制御モジュールは、当該分野において一般に知られたその他の構成要素、例えば、シフトレジスターなどをさらに含むことができる。
【0064】
圧力スイッチは、機器の上に患者を配置することで使用することを意図した光線治療器の実施形態に組み込むことができる。制御モジュールは、患者が光線治療器から移動させられたなら、自動的に機器を停止することができる。そのような実施形態は、新生児黄疸の治療向けに用いることができる。乳児が光線治療器上に置かれるとき、機器は自動的に稼動し、乳児が治療後に光線治療器から移動させられたとき、光線治療器は自動的に停止する。
【0065】
制御モジュールは、例えば、適切な制御ソフトウェアおよび付加的な個別コンポーネントを有するコンピュータ、または、特定用途向けIC(ASIC)を用いて実装することができる。
【0066】
カプセル化(encapsulation)
OLED素子は、周囲の環境からOLED素子の有機材料を保護する被包に、既に包まれているかもしれない。それゆえに、結果として生じるOLED素子は、酸素および水蒸気に対する防壁を必ずしも提供するとはいえないシステムに容易に取り付けることが可能な独立した素子となり得る。
【0067】
カプセル化は、活性領域周囲の囲壁を形成する筐体を含むことができる。カプセル化は、OLED素子基板を密封する筐体を含むことができる。密封材は、さらに、筐体とOLED素子との間に配置することができ、活性領域に対して酸素および水蒸気障壁を形成することができる。筐体は、OLED素子基板または被包を通って配置される導電性パス(electrically conductive path)を備えることができる。導電性パスは、カソードまたはアノードと電気的に結合することができる。
【0068】
光線治療器の使い捨て、すなわち、1回しか使えない実施形態では、カプセル化は、酸素と水蒸気に対する透過性を許可するカプセル化層を含むことができる。OLED素子は、活性領域と接触し得る水分および湿気を防ぐため、または、水分量を制限するためにカプセル化することができる。有機発光ダイオード(OLEDs)のような素子および太陽電池の性能は、湿気に敏感である。なぜなら、水や酸素分子は、ゆっくり時間をかけて保護プラスチック層に浸透し、これら製品の核を形成する有機材料を劣化させるからである。
【0069】
ある実施形態では、これらの材料を保護するための層は、25度でかつ90%の相対湿度で、1日当たり10-2g/m2未満の透湿度(water vapor transmission rate)を有する。OLED素子製造業者は、かなり低い透湿度を有するカプセル化層を生成しようと試みている。しかしながら、小さい穴、亀裂や粒界などのような欠陥は、プラスチック基板上に作り上げられた遮断フィルムに共通する。酸素と水分子は滲出することができ、そのような欠陥を通ってプラスチック障壁を貫通することができる。
【0070】
現在、OLED素子製造業者は、そのような欠陥の影響を減らすために、複数の障壁層を利用している。例えば、いくつかのOLED素子は、有機障壁層と無機障壁層の両方を含むことができる。これらの複数の層は、水と酸素に対して曲がりくねった非常に長い経路を生み出し、非常に効果的な障壁を提供する。光線治療器の実施形態は、少なくとも1つのOLEDと、25度でかつ90%の相対湿度で、1日当たり10-2g/m2未満の透湿度を有する被包を含む。
【0071】
しかしながら、水分または酸素に対するそのような低い透過度は、使い捨て、すなわち、すなわち、1回しか使えない光線治療器向けには必要とされない。したがって、同程度のカプセル化は、100時間未満で続けて使用するために設計されたOLED素子に対して必要とされないが、1000時間を越えて続けて使用するために設計されたOLED素子に対しては必要とされる。光線治療器の実施形態は、例えば、使い捨ての新生児黄疸光線治療器などの、OLED素子が100時間未満の間で光線治療器として機能するような透湿度を与える1層以上の障壁層を含む。他の用途において、光線治療器は、OLED素子が、例えば、日常的に使用するざ瘡光学治療器、または、感光性薬物とともに使用するための光線治療器などの、50時間未満、または、24時間程度の間で光線治療器として機能するような透湿度を与える1層以上の障壁層を含むことができる。光線治療器の他の実施形態は、OLED素子が10時間未満の間で光線治療器として機能するように1層以上の障壁層を含むことができる。1回しか使えない、すなわち、使い捨てOLED光線治療器は、より費用のかからない材料を含むことができ、より簡単な製造工程となり得る。また、典型的に、より透水性の高い材料は、より透水性の低い障壁層を生成するのに必要な材料よりも、より費用がかからず、加工することもより簡単である。
【0072】
さらなる例では、1回しか使えない光線治療器は、例えば、家庭において新生児黄疸の単一症例を治療するために用いることができる。光線治療器は、100時間の光線治療、または、その他の一定の長さの時間を提供するように構成することができる。そのような実施形態は、新しい親により家庭で使用されるために、医師によって処方することができる。新生児患者の親は、それらが、所定の治療をもたらしていることを確信するだろう。そして、光線治療器は、安価に使用することがき、製造することができる。制御モジュールは、特定の光の強さで、一定数の定期の治療期間を提供するために、あらかじめ設定することができる。これは、より高価な治療を受けて、高価な病室費用を請求されるために病院にとどまるというよりはむしろ、家に戻って新生児黄疸に対する治療を続けるための機能を乳児や親に提供する。また、機器の使い捨ては、リースまたはレンタルの在宅治療装置の交換または返却に関連するわずらわしさも避ける。
【0073】
光線療法
光線治療器は、任意の病気、症候群、疾患、症状、または、光線療法に反応する病気の治療に用いることができる。例えば、それらに限定されないが例として、新生児黄疸、ざ瘡、乾癬、湿疹、癌、前癌、光線性角化症、甲状腺疾患、睡眠障害、神経障害、季節性感情障害、鬱病、多食症、炎症、関節炎、レイノー症候群、血行不良、過敏腸症候、肥満、パーキンソン病に関係する震え、潰瘍、感染症、日周期維持障害などの治療に用いることができる。光線治療器は、リラックスの促進、創傷治癒、生殖能力の強化、発毛の促進、減量の促進、セリュライトの出現や皮膚の老化を減らすことに、用いることができる。光線治療器は、つぼ治療(trigger point therapy)向けの針治療の代用として用いることができる。光線療法は、光活性の局部的な薬物、または、患者の身体上の治療領域の全域にわたって適用され得る薬とは分離して、または、それと組み合わせて提供され得る。
【0074】
ある治療法に対して、光線治療器の実施形態は、患者全体または治療されるべき部分のみが特定波長の光にさらされる囲壁(enclosure)を含むことができる。ライトボックスまたはブースなどのような囲壁は、この目的のために用いられている。頭上にスポット光源を与えることができる。その代わりに、携帯用または持ち運び可能な光線治療器は、ざ瘡治療の場合と同様に、患者の身体のより小さな領域の全域にわたって治療を提供するために用いることもできる。携帯用光線治療システムの利点は、治療が、医師の診療所や病院ではなく、患者の利便性に従って、自宅において成し遂げられることである。乳幼児は、例えば、自宅において携帯用光線治療システムを用いて、新生児黄疸に対して治療を行うことができる。より安価に成し遂げることに加えて、この形式の治療は、通常の母子相互作用を保ち続けることに非常に貢献する。
【0075】
光線治療器は、使い捨て光線治療器かもしれない。使い捨て光線治療器は、例えば、新生児黄疸の単独症例を治療すること、または、使い捨てにできるライトパッチを通して毎日のざ瘡治療を提供することに用いることができる。
【0076】
新生児黄疸
新生児黄疸の場合では、赤ん坊は、彼らの血液において、高水準のビリルビンを伴って生まれているかもしれない。ビリルビンは、脂溶性の化合物であり、それゆえに、自然過程によって体内から容易には取り除くことができない。光の照射、特に、青色、青緑色、および/または、緑色スペクトルの光は、毒性のビリルビンから、構造異性体、ルミルビン(lumirubin)に変化することが結果として生じるということが見出されている。ルミルビンは、水溶性であり、身体で、かなり容易に駆逐することができる。乳幼児への青色から緑色の光の照射は、ビリルビンレベルの減少を結果として生じさせ、それによって、新生児黄疸の治療を成し遂げられる。黄疸の治療のための光線療法は、410nmから550nmの範囲で、青色から緑色の幅の光を含むだろう。
【0077】
新生児黄疸の治療のために、光線治療器の様々な実施形態が存在する。例えば、新生児黄疸の治療用の光線治療器の実施形態は、頭上のスポットライト、OLEDsを含むブランケット、および/または、OLEDsを含むパッドなどのようなOLEDを含んだ、柔軟な光線治療器基板を含み、OLEDsだけでなくその他の構成も含むパネル板または乳児用ベッドなどのようなOLEDsを含んだ、曲がらない光線治療器基板を含む。1つの実施形態は、図4に示す。図4の実施形態は、少なくとも1つのOLED410を含む乳児用ベッド400の側面の内側表面に一列に整列させることができる。もし乳児用ベッド400の底の内側表面がOLEDsを含むならば、乳児用ベッド400は、患者に快適さを提供するために、透明なパッド420を含むことができる。
【0078】
乳児用ベッド400の実施形態は、さらに、本件出願で記載されたように、機能性を備える制御モジュール412と、それに限定されないが例として、家庭用電流に接続するための電源コード414などのような電源を含むことができる。
【0079】
新生児黄疸の治療用の光学治療器の更なる実施形態は、図5に示される。図5の光線治療器の実施形態は、袖503と少なくとも1つのOLED501からなる被服500を含む。この実施形態では、当該被服は、光線治療器の基板として機能し、柔軟性がある。被服は、患者502の快適さのために、織物素材から作ることができる。OLED素子501は、被服状の光線治療器基板上に配置される。OLEDsは、被服の内側や外側、前および/または後ろにおいて、配列510を形成することができる。当該配列は、密接に詰められた配列であるかもしない。また、OLED素子は、図5に示すように、それらの間に、多少の間隔514を備えることもできる。OLEDs間の間隔514は、装置に組み込まれたセンサーのための位置としての役割を果たすことができ、配列における個々のOLEDsに電力を供給する回路を含むことができる。OLED素子間の間隔514は、温度管理のために、被服に配置すべき孔の余地を与える。また、孔は、例えば、患者の皮膚へのアクセスや、センサーを導くための余地も与えることができる。
【0080】
被服500は、患者502に快適さを提供するために、透明な光線治療器カバーで、内側を覆うことができる。被服500の実施形態は、さらに、本件出願において記載した機能性を備える制御モジュールと、それらに限定されないが例として、バッテリーまたは家庭用電流に接続するための電源コード524などのような電源をさらに含むことができる。被服光線治療システムは、さらに、血清ビリルビン値などのような患者パラメータを計測するためのセンサー526を含むことができる。センサー526は、経皮ビリルビン測定器(transcuraneous bilirubinometer)であるかもしれない。制御モジュール520は、定期的な間隔で、患者パラメータの測定を行うために、センサー526をプログラムすることができる。測定の値は、スペクトル、強さ、または、被服500におけるOLED素子501の活性化と非活性化を調整するために、制御モジュールによって用いることができる。温度センサーは、被服500に組み込むことができる。温度センサーは、被服に組み込まれ、患者の皮膚に接触するように配置することができる。様々な位置で、当該治療器に組み込まれた1つ以上の温度センサーが存在し得る。例えば、それは、背中、胸、腹の温度を測定するために配置することができる。また、制御モジュール520は、温度測定のタイミングを決めることができ、治療器の出力を制御するための値を用いることができる。制御モジュール520は、同様の光線治療器におけるいくつかの種類のセンサーと連結して用いることができる。
【0081】
季節性感情障害
季節性感情障害は、典型的な通常の精神的健康を有する人々が、ある特定の季節、たいてい冬に経験する、軽度の障害である。十分な日光は、特定の季節性感情障害の治療にとって望ましく、一方、十分な日光の安定的な照射が患者に対して利用できない、または、不都合なときに、光線治療器は季節性感情障害の治療に効果的である。白色光によって従来的に治療されているが、青色スペクトルにおける光は、少なくとも白色光と同様の効果のあることが発見されている。高齢者に対して、青色光は、赤色または橙色領域における光より、あまり効果的ではないかもしれない。一般に、季節性感情障害の治療のための青色光の最も効果的な波長は、460nmから485nmの範囲である。季節性感情障害の治療向けの光線治療器の実施形態は、スポットライト、ライトボックスまたはブース、例えば、OLEDsを含むブランケット、および/または、OLEDsを含むパッドなどのようなOLEDを包含する柔軟な光線治療器基板を含み、自宅やオフィスに取り付けられるOLEDsだけでなくその他の構成も含むパネル板などのようなOLEDsを包含する固い光線治療器基板を含む。
【0082】
ざ瘡
光線療法でざ瘡を治療する方法は、405から420nmの範囲において、目に見える紫領域(violet region)における光を含むことができる。そのような照射は、バクテリアにダメージを与え、最終的に死滅させる座瘡プロピオンバクテリウムのポルフィリン(コプロポルフィリンIII)を活性化することができる。そのような目に見える紫色光は、紫外線領域における光を含まず、したがって、光線治療器を用いて、皮膚を焼くことすなわち日焼けする見込みはほとんど生じない。治療は、人の皮膚細胞におけるATPを活性化し、反応速度が改善することが示されている赤色光を適用することで、しばしば達成される。ざ瘡の治療向けの光線治療器の実施形態は、頭上のスポットライト、ライトボックスまたはブース、OLEDsを含むブランケットおよび/またはOLEDsを含むパッドなどのようなOLEDを包含する柔軟な光線治療器基板を含み、携帯機器だけでなくその他の構成に組み込むことができる、OLEDsを包含した光線治療器基板を含む。
【0083】
殺菌(sterilization)
UV OLEDを含む光線治療器は、光線治療の間またはその合間に、表面を殺菌または消毒するのに用いることができる。光線治療器の実施形態は、治療範囲において、光を照射できるOLEDsを含み、光にさらされる無菌の表面を維持するために、紫外線領域における光を照射する少なくとも1つのOLEDを含むことができる。しかしながら、UV OLEDの強さは、患者への皮膚ダメージを回避するために、治療周期の間、低く維持すべきである。より高い強さの紫外線光を組み入れた殺菌周期は、光線治療器と、光線治療器から発せられた光に、十分にさらされたものすべてを殺菌するために、治療周期の合間に用いることができる。
【0084】
実施形態は、患者を治療する方法を含み、当該方法は、光線療法で治療され得る病状の患者を診断すること、光線療法を患者に行うことを含む。当該光線療法は、少なくとも1つのOLEDと制御モジュールを含む光線治療器によって提供される。制御モジュールは、光線治療を管理または監視するために、前述のように、センサーを含む。
【0085】
光線治療は、患者の特定の病状に基づいて適用され得る。光線治療器の光出力は、特定の病状に対する治療用波長に実質的に限定されるかもしれず、また、光線治療器の出力は、病気の治療用波長を含むことができる。治療用波長は、一般に、患者に治療効果を提供する任意の波長を含み、より具体的には、治療法が指示された特定の病気に対して、患者に治療効果を提供する。治療用波長は、1つの波長の範囲内に収まるか、または、1つ以上の波長の範囲内に含まれ得る。例えば、もし治療すべき症状が高ビリルビン血症であるならば、治療用波長は、410から550nmの範囲内にすることが考慮され得る。
【0086】
前記方法の実施形態は、前記症状を治療するために、少なくとも1つの治療用波長を決定し、前記少なくとも1つの治療用波長を放つ光源に患者を当てることを含むことができる。さらに、前記方法は、身体の内部領域を、治療用波長にさらすことを含む。
【0087】
さらに、患者を治療する方法は、感光性媒介(photosensitive mediation)を患者に投与することを含む光線療法で治療され得る病状の患者を診断することを含む。感光性媒介は、口を通して、静脈内に、非経口的に、局所的に、または、その他の手段を含む薬剤投与の任意の手段によって行うことができる。
【0088】
方法は、制御モジュールが光線療法を制御して監視するフィードバック制御モジュールを含む。制御モジュールは、光線治療の全体的な強さを決定することができ、患者への有害な照射を制限し、例えば、患者の体内または皮膚の温度、発熱率、または、皮膚の色などのような患者の反応に基づいて、治療を調整することができる。
【0089】
本件発明は、望ましい形式で開示されているものの、多くの改良、追加、削除は、本件発明と特許請求の範囲に記載されたものの精神と範囲から逸脱することなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線治療器において、
少なくとも1つの治療用波長を発する少なくとも1つの有機発光ダイオードと、
温度、発せられる光の望ましい強さ、有機発光ダイオードの少なくとも一部の活性化および不活性化、センサーからの入力、発せられた光の望ましいスペクトル、治療の長さ、照明の領域、または、それらの組合せに基づいて、少なくとも1つの有機発光ダイオードを制御するための制御モジュールと
を含む、光線治療器。
【請求項2】
前記光線治療器は、ざ瘡、乾癬、湿疹、癌、前癌、鬱病、多食症、光線性角化症、甲状腺疾患、季節性感情障害、および、日周期リズム維持障害、神経障害、しわ、セリュライト、睡眠障害、パーキンソン病に関係する震え、発毛不良、生殖能力の不良、肥満、外傷、血行不良、過敏性大腸症候群、疝痛、炎症、関節炎、レイノー症候群、感染から選ばれた1つ以上の病状の治療に対して使用することができる、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項3】
前記光線治療器は新生児黄疸を治療することができる、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項4】
前記OLEDは、医薬品を活性化するための波長を発することができる、請求項3に記載の光線治療器。
【請求項5】
光線力学治療法のための前記有機発光ダイオードによって活性化される医薬品をさらに含む、請求項4に記載の光線治療器。
【請求項6】
前記光線治療器は、歯のホワイトニング、減量、発毛、しわ取り、肌の色合いの均等化、または、セリュライトの出現を減らすことのために使用することができる、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項7】
前記有機発光ダイオードは、
OLED素子基板と、
アノードと、
カソードと、
前記アノードと前記カソードと電気的に接続された、有機材料を含む活性領域と、
前記有機発光ダイオードを覆う被包と
を含む請求項1に記載の光線治療器。
【請求項8】
少なくとも1つの前記アノードと前記カソードは透明である、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項9】
前記アノード、前記カソード、および前記OLED素子基板は、少なくとも1つの有機発光ダイオードが、前記アノードと前記カソードの両方向に光を発する構成となるようにほぼ透明である、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項10】
前記活性領域は、約50nmよりも大きい半値全幅で広帯域発光スペクトルを発するように構成される、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項11】
前記活性領域は、単一の発光体を形成する連続領域である、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項12】
前記活性領域は、多くの発光体を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項13】
前記制御モジュールは、活性化、非活性化および発光体の少なくとも一部の活性レベルを制御する、請求項12に記載の光線治療器。
【請求項14】
前記制御モジュールは、発光体の輝度レベルを制御する、請求項12に記載の光線治療器。
【請求項15】
前記活性領域は、さらに、無機発光体を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項16】
前記無機発光体は、量子ドットまたは無機燐光物質である、請求項15に記載の光線治療器。
【請求項17】
前記活性領域は、少なくとも1つのポリマー発光体または小分子発光体を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項18】
前記活性領域は、複数の垂直に積まれた発光層を含む、請求項7または12に記載の光線治療器。
【請求項19】
少なくとも2つの前記複数の垂直に積まれた発光層は、異なる色の光を発するように構成される、請求項18に記載の光線治療器。
【請求項20】
前記活性領域は、少なくとも1つの蛍光性発光体または燐光性発光体を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項21】
前記有機発光ダイオードは、さらに、少なくとも1つの正孔注入層を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項22】
少なくとも1つの正孔注入層は、少なくとも1つのポリチオフェンを含む、請求項21に記載の光線治療器。
【請求項23】
少なくとも1つの正孔注入層は、少なくとも1つの平坦化剤を含む、請求項22に記載の光線治療器。
【請求項24】
前記有機発光ダイオードは、さらに、少なくとも1つの電子伝達層を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項25】
1以上の正孔障壁層、電子障壁層、正孔伝達層、電子伝達層、正孔注入層、または、電子注入層をさらに含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項26】
前記被包は、前記光線治療器が100時間未満の治療時間で機能できるような、酸素および水蒸気の透過度を備える水および空気の遮断材を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項27】
前記被包は、前記光線治療器が1000時間未満の治療時間で機能できるような、酸素および水蒸気の透過度を備える水および空気の遮断材を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項28】
前記被包は、前記光線治療器が1回限りの治療で機能できるような、酸素および水蒸気の透過度を備える水および空気の遮断材を含む、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項29】
前記活性領域は、0.1cm2より大きい発光領域を有する、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項30】
前記活性領域は、1m2より小さい発光領域を有する、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項31】
前記活性領域は、約0.1cm2より大きい発光領域を有する、請求項7に記載の光線治療器。
【請求項32】
前記少なくとも1つの有機発光ダイオードは、量子ドット有機発光ダイオードである、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項33】
透明または半透明のカバーを含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項34】
前記透明または半透明のカバーは1つの織布、不織布、または、プラスチックフィルムである、請求項33に記載の光線治療器。
【請求項35】
前記光線治療器は、パッド、小部屋、被服、包帯、マスク、包み、幼児用ベッド、身体カバー、プローブ、杖、または、携帯型、自立型、吊り下げ型あるいは据え付け型の照明光源である、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項36】
少なくとも1つの有機発光ダイオードは、非平面状の発光表面を形成するために配置される、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項37】
前記非平面状の発光表面は、円柱状である、請求項36に記載の光線治療器。
【請求項38】
前記少なくとも1つの有機発光ダイオードは、垂直に積み重ねられる、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項39】
前記少なくとも1つの有機発光ダイオードは、高ビリルビン血症の治療に対して、治療用のスペクトルを発光する、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項40】
前記スペクトルは、ほぼ410nmから550nmの範囲の波長を含む、請求項39に記載の光線治療器。
【請求項41】
前記OLEDsは、マットレス、パッド、ベットシーツ、ローブ、パンツ、シャツ、胴体ラップ、または、ベビーベッド用シーツ、ベビーベッドカバー、または、乳児用ベッドに組み込まれる、請求項39に記載の光線治療器。
【請求項42】
前記ローブまたは前記シャツは袖を含む、請求項41に記載の光線治療器。
【請求項43】
前記少なくとも1つの有機発光ダイオードは、近赤外線スペクトルにおける光を発する、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項44】
前記少なくとも1つの有機発光ダイオードは、可視スペクトルにおける光を発する、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項45】
前記少なくとも1つの有機発光ダイオードは、可視スペクトルにおける光を発する、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項46】
少なくとも1つの有機発光ダイオードは、チップである、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項47】
1以上の有機発光ダイオードチップは、柔軟な光線治療器基板上に配置される、請求項46に記載の光線治療器。
【請求項48】
前記柔軟な光線治療器基板は、織布または布である、請求項47に記載の光線治療器。
【請求項49】
前記柔軟な光線治療器基板は、天然繊維、合成繊維、または、天然繊維と合成繊維の組合せである、請求項48に記載の光線治療器。
【請求項50】
前記柔軟な光線治療器基板は、プラスチックフィルムである、請求項47に記載の光線治療器。
【請求項51】
前記柔軟な光線治療器基板は、不織布である、請求項47に記載の光線治療器。
【請求項52】
前記1つ以上の有機発光ダイオードチップは、硬質の基板、整合的基板、柔軟な基板、または、それらの組合せである光線治療器基板上に配置される、請求項46に記載の光線治療器。
【請求項53】
前記1つ以上の有機発光ダイオードは、円盤状または多角形の形状である、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項54】
前記少なくとも1つの有機発光ダイオードは、硬質の基板、整合的基板、柔軟な基板、または、それらの組合せである光線治療器基板上に配置される有機発光ダイオードの配列を形成する、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項55】
前記OLED素子基板は、硬質の基板、整合的基板、または、柔軟な基板である、請求項54に記載の光線治療器。
【請求項56】
電源をさらに含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項57】
前期電源は、持ち運び可能である、請求項56に記載の光線治療器。
【請求項58】
患者の皮膚に接触することに適合した部分を含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項59】
患者の皮膚と接触するのに適合した部分と、少なくとも1つの有機発光ダイオードとの間に絶縁層を含む熱管理システムをさらに含む、請求項58に記載の光線治療器。
【請求項60】
通気をもたらす孔をさらに含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項61】
熱管理システムをさらに含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項62】
前記熱管理システムは、空気移動装置を含む、請求項61に記載の光線治療器。
【請求項63】
前記空気移動装置は、ファンである、請求項62に記載の光線治療器。
【請求項64】
温度センサーをさらに含む、請求項61に記載の光線治療器。
【請求項65】
少なくとも1つ有機発光ダイオードは、チップであり、前記熱管理システムは、少なくとも1つの有機発光ダイオードチップの出力を制御する、請求項61に記載の光線治療器。
【請求項66】
前記温度センサーは、患者の皮膚、被照面、前記少なくとも1つの有機発光ダイオード、または、電源の上あるいは近くの温度を感知する、請求項64に記載の光線治療器。
【請求項67】
前記温度管理システムは、前記有機発光ダイオードチップを活性化し非活性化することによって、有機発光ダイオードチップの出力を制御する、請求項65に記載の光線治療器。
【請求項68】
前記温度管理システムは、前記有機発光ダイオードチップの強さの出力を制御することによって、有機発光ダイオードの出力を制御する、請求項65に記載の光線治療器。
【請求項69】
前記温度管理システムは、ヒートシンクを含む、請求項61に記載の光線治療器。
【請求項70】
前記温度管理システムは、液体ベースの冷却システムである、請求項61に記載の光線治療器。
【請求項71】
前記温度管理システムは、熱電冷却システムを含む、請求項61に記載の光線治療器。
【請求項72】
前記温度管理システムは、電気機械式の冷却システムを含む、請求項61に記載の光線治療器。
【請求項73】
光を分散または集中させるための光学素子をさらに含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項74】
前記制御モジュールは、望ましい出力カラー特性を維持することによって、いくつかの前記有機発光ダイオードの劣化を補うために、少なくともいくつかの前記有機発光ダイオード素子を、異なる活性レベルに選択的に駆動するように構成される、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項75】
前記制御モジュールは、さらに、他の有機発光ダイオードとは異なる活性レベルで、少なくとも1つの前記有機発光ダイオードを選択的に駆動することによって、光線治療器から発せされた光の色を調整するように構成される、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項76】
前記制御モジュールは、輝度、前記有機発光ダイオードによるスペクトル出力、および、活性化される発光ダイオードの数のうち少なくとも1つを制御する、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項77】
前記発光ダイオードは、赤色有機発光ダイオード、緑色有機発光ダイオード、青色有機発光ダイオード、黄色有機発光ダイオード、白色有機発光ダイオード、および、それらの組合せから選択された、少なくとも1つの発光ダイオードである、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項78】
前記制御モジュールは、活性化される有機発光ダイオードの各色の数および前記有機発光ダイオードの輝度を制御する、請求項77に記載の光線治療器。
【請求項79】
前記制御モジュールは、電圧、電流、パルス幅、または、少なくとも1つの有機発光ダイオードを制御するためのパルス周波数のうち少なくとも1つを変える、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項80】
前記制御モジュールにフィードバックを提供するために少なくとも1つのセンサーをさらに含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項81】
少なくとも1つのセンサーは、温度、酸素レベル、一酸化炭素レベル、二酸化炭素レベル、ビリルビンレベル、皮膚色、血液内容物、体液内容物、血糖内容物、光強度、または、スペクトル特性を見つける、請求項80に記載の光線治療器。
【請求項82】
タイマーをさらに含む、請求項1に記載の光線治療器。
【請求項83】
前記タイマーは、セッション時間、全体の治療時間、または、その両方を測定する、請求項82に記載の光線治療器。
【請求項84】
光線療法を実行する光線治療方法において、
光線療法で治療される病気を診断することと、
光線療法の光にさらされる、身体の少なくとも1つの領域を決定することと、
前記病気を治療するために、少なくとも1つの治療用波長を決定することと、
身体の前記少なくとも1つの領域に、前記少なくとも1つの治療用波長を照射することと
を含み、
前記少なくとも1つの治療用波長は、請求項1に記載の光線治療器によって生成される、光線治療方法。
【請求項85】
光線療法を実行する光線治療方法において、
治療用スペクトルによる網膜の刺激によって治療される病気を診断することと、
治療プロトコルを決定することと、
前記病気を治療するために、少なくとも1つの治療用波長を決定することと、
前記少なくとも1つの治療用の波長が、治療用の強さで患者によって可視できるように、患者の近くに、前記少なくとも1つの治療用波長を発する光源を配置することと
を含み、
前記前記光源は、請求項1に記載の光線治療器からなる、光線治療方法。
【請求項86】
光線療法の光にさらされる身体の前記領域は、身体の内部領域である、請求項84または85に記載の光線治療方法。
【請求項87】
光線療法の光86にさらされる身体の領域に、感光性薬物を適用することをさらに含み、請求項84の光線療法を実行する光線治療方法は、治療される病気が、高ビリルビン血症であり、前記少なくとも1つの治療用波長が410nmから550nmの範囲である、請求項84、85、86のいずれか1項に記載の光線治療方法。
【請求項88】
光出力連結コンポーネントをさらに含む、請求項6に記載の光線治療器。
【請求項89】
前記光出力連結コンポーネントは、レンズ、レンズの配列、粗面のOLED基板あるいはインターフェース、格子、回折格子、低屈折率層、または、フォトニック結晶を含む、請求項88に記載の光線治療器。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−514498(P2012−514498A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544657(P2011−544657)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/020125
【国際公開番号】WO2010/078581
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511163148)プレクストロニクス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】