説明

有機EL装置

【課題】有効領域内における強度ムラ及び有機EL素子内における強度ムラを抑制した有機EL装置を提供すること。
【解決手段】基板本体と、基板本体上に形成され、複数の有機EL素子11が配置された発光素子領域A1と、基板本体上に発光素子領域A1を囲んで形成され、電圧の印加により加温して発光素子領域A1に熱を供給する有機EL素子12が配置された外周加温領域A2とを備え、有機EL素子11、12それぞれの駆動が、独立して制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置におけるラインヘッドとして用いられる有機EL装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子転写式を利用したプリンタとして、ラインプリンタ(画像形成装置)が知られている。このラインプリンタは、被露光部となる感光体ドラムの周面上に、帯電器、ライン状のプリンタヘッド(ラインヘッド)、現像器、転写器などの装置を近接配置したものである。すなわち、帯電器により帯電された感光体ドラムの周面上に、プリンタヘッドに設けられた発光素子の選択的な発光動作で露光を行うことにより、静電潜像を形成し、この潜像を現像器から供給されるトナーで現像して、そのトナー像を転写器で用紙に転写するものである。
ところで、近年、このようなプリンタヘッドの発光素子としては、EL素子(エレクトロルミネッセンス素子)、特に発光点を精度よく作り込める有機EL素子を発光素子とする有機EL装置をプリンタヘッドとして備える画像形成装置が提案されている。
【0003】
このような有機EL装置では、発光に寄与する有機EL素子が配置された有効領域の周縁に発光に寄与しないダミー素子を配置する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、有機EL素子を構成する発光層の形成時における蒸発速度の違いによる発光層の膜厚ムラが抑制される。
【特許文献1】特開2006−102958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の有機EL装置においても、以下の課題が残されている。すなわち、有機EL素子の発光に起因する熱によって有効領域の周縁部に配置された有機EL素子と有効領域の中央部に配置された有機EL素子とで温度差が発生する。このため、有効領域の周縁部と中央部との間で発光強度ムラが発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされてもので、有効領域内における強度ムラ及び有機EL素子内における強度ムラを抑制した有機EL装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかる有機EL装置は、基板と、該基板上に形成され、複数の発光素子が配置された発光素子領域と、前記基板上に前記発光素子領域を囲んで形成され、電圧の印加により加温して前記発光素子領域に熱を供給する加温部材が配置された外周加温領域とを備え、前記発光素子及び前記加温部材それぞれの駆動が、独立して制御可能であることを特徴とする。
【0007】
この発明では、発光素子領域を囲むように外周加温領域を形成することで、発光素子領域内及び発光素子内それぞれの温度が均一化され、発光素子領域内及び発光素子内の強度ムラが抑制される。すなわち、発光素子領域の周縁部においても外周加温領域から熱が供給されるため、発光素子領域の中央部との間における温度ムラが低減される。このため、発光素子領域内の発光強度ムラが低減される。また、発光素子領域の周縁部における発光素子の外周が発光素子領域を構成する他の発光素子または外周加温領域を構成する加温部材によって囲まれており、隣接する発光素子または加温部材から熱が供給されるため、周縁部の発光素子内の温度ムラが低減される。このため、発光素子内の発光強度ムラが低減される。
したがって、発光素子領域内及び発光素子内それぞれにおける強度ムラが低減され、有機EL装置の長寿命化が図れる。
【0008】
また、本発明の有機EL装置は、前記加温部材が、前記発光素子領域における周縁部に配置された前記発光素子それぞれに対応して設けられていることが好ましい。
この発明では、加温部材を周縁部における発光素子1つに対して少なくとも1つの加温部材を設けることで、より確実に発光素子領域内及び発光素子内それぞれにおける強度ムラを低減できる。
【0009】
また、本発明の有機EL装置は、前記加温部材が、発光動作により加温する加温発光部材であることとしてもよい。
この発明では、加温発光部材に電圧を印加することで加温させ、発光素子領域内及び発光素子内それぞれにおける強度ムラを低減する。
【0010】
また、本発明の有機EL装置は、前記外周加温領域における前記加温発光部材の射出側には、遮光膜が設けられていることが好ましい。
この発明では、加温発光部材で発生した光が有機EL装置から射出することを防止できる。
【0011】
また、本発明の有機EL装置は、前記加温部材が、抵抗部材であってもよい。
この発明では、抵抗部材に電圧を印加することで加温させ、発光素子領域内及び発光素子内それぞれにおける強度ムラを低減する。
【0012】
また、本発明の有機EL装置は、前記加温部材が、前記発光素子の駆動状態に関わらず該発光素子に熱を供給することとしてもよい。
この発明では、発光素子領域の周縁部に配置された発光素子を安定して加温できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明における有機EL装置の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。ここで、図1は有機EL装置を示す概略平面図、図2は素子基板を示す断面図である。
【0014】
〔有機EL装置〕
本発明における有機EL装置1は、光プリンタにおける露光ヘッドのラインヘッドとして用いられており、図1に示すように、平面視でほぼ矩形の素子基板2上に発光素子領域A1及び外周加温領域A2が形成された構成となっている。
発光素子領域A1は、平面視でほぼ平行四辺形状をなしており、素子基板2の長手方向に沿って直線状に複数(図1では5つ)配置した複数の発光領域Aを複数列(図1では4列)配列した構成となっている。なお、発光領域Aは、例えば1列など、他の構成であってもよい。そして、これら発光領域Aは、平面視でほぼ円形をなしており、有機EL素子(発光素子)11が設けられている。
【0015】
また、外周加温領域A2は、発光素子領域A1の外周を囲むように複数の発光領域Bを配列した構成となっている。そして、これら発光領域Bは、発光領域Aと同様に、平面視でほぼ円形をなしており、有機EL素子(加温発光部材)12が設けられている。ここで、有機EL素子12は、発光素子領域A1の周縁部における有機EL素子11を1つに対して少なくとも1以上配置されている。
また、素子基板2には、各有機EL素子11を駆動するTFT素子13と、各有機EL素子12を駆動するTFT素子14と、各有機EL素子11、12に電力を供給する電源線15、16と、走査線17と、TFT素子13、14の駆動を制御する駆動制御回路18とが形成されている。
【0016】
次に、素子基板2の発光領域A、Bにおける詳細な構成について、図2を参照しながら説明する。
素子基板2は、図2に示すように、基板本体(基板)21と、基板本体21上に積層された下地膜22、ゲート絶縁膜23、第1から第3層間絶縁膜24〜26及び隔壁27とを備えている。また、素子基板2は、下地膜22上に形成された半導体層31A、31Bと、ゲート絶縁膜23上に形成されたゲート電極32A、32Bと、第1層間絶縁膜24上に形成されたソース電極33A、33B及びドレイン電極34A、34Bと、第3層間絶縁膜26上に形成された有機EL素子11、12とを備えている。なお、本明細書において、基板本体21から見て隔壁28側を上方向とする。
【0017】
基板本体21は、例えばガラスなどの透光性材料で形成されている。
下地膜22は、例えばSiNなどの透光性材料で形成されている。
ゲート絶縁膜23は、例えばSiOなどの透光性材料で形成されており、下地膜22上に形成された半導体層31を被覆している。
第1層間絶縁膜24は、例えばSiOなどの透光性材料で形成されており、ゲート絶縁膜23上に形成されたゲート電極32を被覆している。
第2層間絶縁膜25は、例えばアクリルなどの透光性樹脂材料で形成されている。
第3層間絶縁膜26は、例えばSiNなどの透光性材料で形成されている。
【0018】
隔壁27は、第3層間絶縁膜26上から順に無機バンク43及び有機バンク44を積層した構成となっている。隔壁27は、複数の発光領域A及び発光領域Bそれぞれを区画しており、発光領域Aに対応して形成された平面視でほぼ円形の貫通孔27Aと発行領域Bに対応して形成された平面視でほぼ円形の貫通孔27Bとを有する。
無機バンク43は、例えばSiOなどの透光性材料で形成されており、第3層間絶縁膜26上に形成されて有機EL素子11、12それぞれを構成する後述する陽極層45A、45Bを被覆している。
有機バンク44は、例えばアクリルなどの樹脂材料で形成されており、無機バンク43上に形成されている。
【0019】
半導体層31Aは、チャネル領域と、不純物イオンを打ち込むことによって形成されたソース領域及びドレイン領域とを有している。そして、チャネル領域は、ゲート絶縁膜23を介してゲート電極32Aと対向配置されている。また、ソース領域は、ゲート絶縁膜23及び第1層間絶縁膜24を貫通するコンタクトホールを介してソース電極33Aに接続されている。そして、ドレイン領域は、ゲート絶縁膜23及び第1層間絶縁膜24を貫通するコンタクトホールを介してドレイン電極34Aに接続されている。
半導体層31Bは、半導体層31Aと同様に、チャネル領域がゲート電極32Bと対向配置され、ソース領域がソース電極33Bに接続され、ドレイン領域がドレイン電極34Bに接続されている。
【0020】
ゲート電極32A、32Bそれぞれは、走査線15の一部を構成している。また、ソース電極33A、33Bそれぞれは、電源線15に接続されている。そして、ドレイン電極34Aは、TFT素子13のドレインに接続されており、ドレイン電極34Bは、TFT素子14のドレインに接続されている。
また、ドレイン電極34Bは、積層方向の平面視において発光領域Bを覆うように延長して形成された遮光部(遮光膜)34Cを有する。遮光部34Cは、有機EL素子12から基板本体21に向かう光を遮光して光基板本体21から射出させない構成となっている。このように遮光膜をドレイン電極34Bと一体形成することで、遮光膜の製造が容易になる。なお、遮光膜は、ドレイン電極34Bと一体形成する構成に限らず、別途形成してもよい。
【0021】
これら半導体層31A、ゲート電極32A、ソース電極33A及びドレイン電極34Aにより、TFT素子13が形成される。また、半導体層31B、ゲート電極32B、ソース電極33B及びドレイン電極34Bにより、TFT素子14が形成される。TFT素子13、14それぞれは、走査線17を介して駆動制御回路18から供給された走査信号に応じて、電源線14を介して電力を陽極層45A、45Bそれぞれに供給する構成となっている。
【0022】
有機EL素子11は、基板本体21側から順に積層された陽極層45A、発光層46A及び陰極層47を備えている。また、有機EL素子12は、基板本体21側から順に積層された陽極層45B、発光層46B及び有機EL素子11と共通する陰極層47を備えている。
陽極層45Aは、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透光性の導電材料で形成されており、第2及び第3層間絶縁膜25、26に形成されたコンタクトホールH1を介してドレイン電極34Aに接続されている。そして、陽極層45Aは、隔壁27に形成された貫通孔27Aにより、隔壁27の開口領域において露出している。
また、陽極層45Bは、陽極層45Aと同様に、ITOなどの透光性の導電材料で形成されており、コンタクトホールH2を介してドレイン電極34Bに接続されている。そして、陽極層45Bは、隔壁27に形成された貫通孔27Bにより、隔壁27の開口領域において露出している。
【0023】
発光層46Aは、隔壁27の貫通孔27Aの開口領域で露出している陽極層45A上に形成されており、発光層46Bは、貫通孔27Bの開口領域で露出している陽極層45B上に形成されている。なお、発光層46A、46B及び陽極層45A、45Bの間と、発光層46A、46B及び陰極層47A、47Bとの間には、正孔注入層や正孔輸送層、電子輸送層など、他の機能層を配置してもよい。
【0024】
陰極層47、発光層46A、46B側から順にLiF(フッ化リチウム)膜及びAl(アルミニウム)膜を積層した構成となっており、発光層46A、46B及び隔壁27上に形成されている。なお、陰極層47は、電源線16に接続されており、複数の発光領域A、Bの全域にわたる共通電極となっている。ここで、陰極層47を構成するAl膜は、発光層46A、46Bそれぞれで発生した光を陽極層45A、45Bそれぞれに向けて反射する反射層として機能する。すなわち、有機EL装置1は、ボトムエミッション構造となっている。
また、陰極層47上には、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン窒酸化物などのシリコン化合物のような無機化合物で形成されており、製造工程において陰極層47が腐食することを防止する陰極層保護膜(図示略)が設けられている。
【0025】
〔露光ヘッド〕
そして、上述した有機EL装置1は、例えば図3に示すような露光ヘッド50に設けられている。ここで、図3は、露光ヘッド50を示す概略構成図である。
この露光ヘッド50は、筐体51と、筐体51に支持固定された筐体51及び感光ドラム52の間に配置された光学部材53とを備えている。そして、筐体51には、感光ドラム52側に開口部が形成されており、この開口部に向けて有機ELからの光が射出するように有機EL装置1を固定している。
【0026】
〔画像形成装置〕
以上のような構成の露光装置は、図3に示すような光プリンタ(画像形成装置)60に用いられる。
この光プリンタ60は、露光ヘッド50と、感光ドラム52と、コロナ帯電器61と、現像ローラ62と、転写ローラ63と、クリーニング装置64と、例えば紙などの転写媒体65とを備えている。
【0027】
感光ドラム52は、図4に示す時計回りで回転する構成となっており、感光ドラム52がラインヘッド11の射出面と対向する位置に到達したときに露光ヘッド50から露光光が照射される構成となっている。すなわち、感光ドラム52は、回転によって周面が所定位置に到達するごとに、露光ヘッド50により順次ライン走査される構成となっている。
コロナ帯電器61は、上記所定位置よりも感光ドラム52の回転方向における上流側に配置されており、感光ドラム52の周面を一様に帯電させる構成となっている。
【0028】
現像ローラ62は、上記所定位置よりも感光ドラム52の回転方向における下流側に配置されており、感光ドラム52に形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)を形成する構成となっている。
転写ローラ63は、現像ローラ62よりも感光ドラム52の回転方向における下流側に配置されており、感光ドラム52に形成された可視像を転写媒体に転写する構成となっている。
クリーニング装置64は、感光ドラム52の回転方向における転写ローラ63とコロナ帯電器61との間に配置されており、転写媒体65への可視像の転写後に、感光ドラム52の表面に残留しているトナーを除去する構成となっている。
【0029】
このような構成の光プリンタ60では、コロナ帯電器61によって感光ドラム52の周面が例えば正(+)に帯電される。そして、上記所定位置においてラインヘッドモジュール2が感光ドラム52の周面に向けて露光光を照射することにより、感光ドラム52の表面が露光されて静電潜像が形成される。
次に、現像ローラ62により、現像剤であるトナーが感光ドラム52の周面に付与されて静電潜像の電気的な吸着力によって静電潜像に応じた可視像(トナー像)が形成される。
そして、感光ドラム52の表面に形成された可視像(トナー像)は、感光ドラム52の回転によって転写媒体65に接触する。ここで、転写ローラ63によって転写媒体が背面からトナー像のトナー粒子と逆極性の電荷(負(−)の電荷)が付与されている。これにより、トナー粒子が感光ドラム52の表面から転写媒体65に吸引され、トナー像が転写媒体65の表面に転写される。
【0030】
ここで、駆動制御回路18は、感光ドラム52の周面に形成する静電潜像に応じて発光素子領域A1における有機EL素子11のオン・オフ状態の駆動制御をTFT素子14を介して行う。また、駆動制御回路18は、外周加温領域A2における有機EL素子12を静電潜像の形状によらず常にオン状態とする。このため、外周加温領域A2を構成する有機EL素子12は、電圧の印加による発光動作によって加温し、外周加温領域A2と隣接する有機EL素子11を加温する。なお、有機EL素子12で発生した光は、射出側である基板本体21よりも有機EL素子12側に遮光部34Cが設けられているため、基板本体21から射出しない。
【0031】
これにより、発光素子領域A1の周縁部における有機EL素子11は、隣接する有機EL素子11と外周加温領域A2を構成する有機EL素子12とにより囲まれているため、これら隣接する有機EL素子11、12により加温される。したがって、発光素子領域A1を構成する複数の有機EL素子11間の温度ムラが低減されると共に、有機EL素子11内における温度ムラが低減される。
【0032】
ここで、図1のX−X方向における規格化発光強度を図5に示す。図5に示すように、外周加温領域A2から熱が供給されることで、発光素子領域A1内の強度ムラが低減されると共に、発光素子領域A1の周縁部における有機EL素子11内の強度ムラが低減されることがわかる。
【0033】
以上のように、本実施形態における有機EL装置1によれば、発光素子領域A1を囲むように外周加温領域A2が形成されているため、発光素子領域A1内及び発光素子領域A1の周縁部における有機EL素子11内それぞれの温度ムラが低減され、強度ムラが抑制される。
また、有機EL素子12よりも有機EL素子12で発光した光の進行方向である基板本体21側に遮光部34Cを設けることで、発光素子領域A1ではない外周加温領域A2から光が射出されることが防止される。
そして、発光素子領域A1の周縁部における1つの有機EL素子11に対して1以上の有機EL素子12が設けられているため、発光素子領域A1内及び有機EL素子11内それぞれにおける強度ムラをより確実に抑制できる。
さらに、有機EL素子11の駆動状態に限らず有機EL素子12をオン状態とすることで、発光素子領域A1の周縁部における有機EL素子11を安定して加温できる。
【0034】
[第2の実施形態]
次に、本発明における有機EL装置の第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第1の実施形態と加温部材の構成が異なるため、この点を中心に説明すると共に、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。ここで、図6は、有機EL装置を構成する素子基板を示す概略平面図である。
【0035】
本実施形態における有機EL装置100では、図6に示すように、外周加温領域A2に抵抗部材(加温部材)101が配置されている。
抵抗部材101は、例えば上述した陽極層45Aと陰極層47と陽極層45A及び陰極層47間に配置された発光機能を持たない抵抗材料とにより構成されている。そして、抵抗部材#は、一端がTFT素子14のドレインに接続されており、他端が電源線16に接続されている。なお、抵抗部材101は、TFT素子14のドレインと電源線16との間に形成されていれば、他の構成であってもよい。
【0036】
以上のように、本実施形態における有機EL装置100においても、上述した第1の実施形態と同様の作用、効果を奏する。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、外部加熱領域を構成する加温部材は、加温用の有機EL素子や抵抗部材に限らず、電圧の印加によって加温する構成であれば、トランジスタやダイオード、不純物量を適宜調整した半導体など、他の構成であってもよい。
また、加温部材は、発光素子領域の周縁部に配置された有機EL素子1つに対して少なくとも1以上対応して配置されているが、発光素子領域内及び有機EL素子内それぞれの温度ムラを低減できれば、1以上対応して配置しなくてもよい。
【0038】
また、外部加熱領域を構成する加温部材を駆動するTFT素子は、発光素子領域を構成する有機EL素子の駆動状態によらず常時オン状態としているが、発光素子領域を構成する有機EL素子の駆動状態に応じて適宜駆動状態を変更してもよい。
そして、有機EL装置は、基板本体側から光を射出させるボトムエミッション構造となっているが、トップエミッション構造であってもよい。
【0039】
また、有機EL装置は、光プリンタにおけるラインヘッドを構成しているが、ラインヘッドに限らず、表示装置に用いられてもよい。有機EL装置を備える電子機器としては、ラインヘッドに限らず、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末機)、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、ワークステーション、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、カーナビゲーション装置、ヘッドアップディスプレイ、デジタルビデオカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ページャ、電子手帳、電卓、電子ブックやプロジェクタ、ワードプロセッサ、テレビ電話機、POS端末、タッチパネルを備える機器、照明装置などのような他の電子機器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態における有機EL装置を示す概略平面図である。
【図2】図1の素子基板を示す断面図である。
【図3】露光ヘッドを示す概略構成図である。
【図4】光プリンタを示す概略構成図である。
【図5】発光素子領域内における規格化発光強度を示すグラフである。
【図6】第2の実施形態における有機EL装置を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1,100 有機EL装置、
11 有機EL素子(発光素子)、
12 有機EL素子(加温部材,加温発光部材)、
21 基板本体(基板)、
34C 遮光部(遮光膜)、
101 抵抗部材(加温部材)、
A1 発光素子領域、
A2 外周加温領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板上に形成され、複数の発光素子が配置された発光素子領域と、
前記基板上に前記発光素子領域を囲んで形成され、電圧の印加により加温して前記発光素子領域に熱を供給する加温部材が配置された外周加温領域とを備え、
前記発光素子及び前記加温部材それぞれの駆動が、独立して制御可能であることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記発光素子領域における周縁部に配置された前記発光素子それぞれに対して、少なくとも1つの加温部材が対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記加温部材が、発光動作により加温する加温発光部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記外周加温領域における前記加温発光部材の射出側には、遮光膜が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記加温部材が、抵抗部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記加温部材が、前記発光素子の駆動状態に関わらず該発光素子に熱を供給することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の有機EL装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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