説明

望ましい強度及び快適性を有するエラストマー製品

エラストマー製品が、快適性に対する強度の所望の比、即ち、強度−快適性指数を有するかどうかを測定するための試験が開示されている。最適な強度及び快適性を有する合成ラテックスから、強い、柔軟な、及び薄い製品を製造するための方法も開示されている。特に、天然ゴムから得られた結果と比較する場合、この指数は、合成エラストマーから製造された製品が、最適な特性(即ち、強度及び快適性)を有するかどうかを決定することができる。製品の強度は、試料の引張試験片を破断するのに必要な荷重、即ち、製品の引張強度に直接関連する。T、引張強度、T、x%伸びにおける引張応力、及びt、応力下にない試験片の厚さの定義された比は、変形へのその抵抗に対する製品の強度の測度を提供し、ここで、この比に使用されるパラメーターは、ASTM D−412に従って測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマー製品、例えば、ゴム手袋を作製するのに有用な組成物及び方法に関する。より詳細には、この組成物及び方法は、天然ゴムから製造したものと同様の、高い強度及び快適性を有する合成ゴム製品をもたらす。
【背景技術】
【0002】
手袋、コンドーム、バッグ等の製品は、ラテックスポリマー材料から通常形成され、例えば、医学、工業及び家庭の使用に関連する各種の用途に有用である。ラテックス手袋は、このような製品の一例である。ラテックス手袋は、軽量な、薄い、柔軟な、ぴったり合い、及び様々な液体及びガスに対して実質的に不透過性に作製することができるので、他の材料と比較して好ましい。この手袋は、高い引張強度、高い破断時荷重(force at break)、及び大きな破断時伸びなどの十分な物理的特性を有することが望ましいことが多い。この手袋が、着用者に対して快適であることも望ましい。
【0003】
従来のラテックス手袋は、主として、天然ゴムで得ることができる望ましい物理的特性及び快適性の組合せによって、典型的には天然ゴムから形成されてきた。それにもかかわらず、このような手袋の多くの着用者は、天然ゴム中にあるタンパク質へのアレルギー反応にかかり易い。これらの個人は、この手袋を着用する場合問題を経験することが多い。その結果、快適性及び様々な物理的特性に関して天然ゴム手袋に匹敵する合成材料から作製された手袋を開発する試みがなされてきた。1つの合成代替物は、ポリ(塩化ビニル)(PVC)の使用に焦点が当てられる。PVC手袋は、多くの観点において望ましくない。PVCは、手袋の用途に十分である程度に柔軟にするために典型的には可塑化されるが、PVC手袋は、手袋にとって望ましい高い引張強度、高い破断時荷重、大きな破断時伸び及び快適性の組合せを有していない。
【0004】
米国特許第6369154号、米国再発行特許第35616号、米国特許第6624274号、及び米国特許第6627325号(それぞれを、背景を理解することに関する参照により援用する)は、手袋を作製するために使用することができる一連の様々な合成エラストマーを教示している。これらは、手袋の多くの物理的特性の必要条件及び天然ゴムラテックスに伴って生じるタンパク質のアレルギー問題に取り組んでいるが、天然ゴムラテックスに類似している望ましい物理的特性及び快適性の組合せを有する合成エラストマーから誘導される製品が求められ続けている。
【0005】
エラストマー製品の物理的特性に関するいくつかの様々な規格が存在する。例えば、エラストマー製品が手袋の場合、手袋の性能を評価するための様々なASTM及びその他の規格が存在する。代表的な規格には、ASTM D3578、「外科用ゴム手袋に関する標準的な基準(Standard Specification for Rubber Surgical Gloves)」、ASTM D3577、「検査用ゴム手袋に関する標準的な基準(Standard Specification for Rubber Examination Gloves)」、ASTM D6319、「医学用途のためのニトリル検査用手袋に関する標準的な基準(Standard Specification for Nitrile Examination Gloves for Medical Application)」、及びEN455−2、「使い捨て医学用手袋。物理的特性に関する必要条件及び試験(Medical gloves for single use.Requirments and testing for physical properties)」が含まれる。これらの規格のそれぞれを、その全体を本明細書に援用する。しかし、これらの規格は、エラストマー製品の快適性を評価していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合成ラテックス材料が天然ゴムに近づくか、又は勝り得るように、適した強度及び快適性を有するエラストマー製品を形成するためのその能力について、合成ラテックス材料を評価する方法を提供することが有利である。本発明は、このような方法、及びこの材料から製造された製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エラストマー製品が、快適性(comfort)に対する強度(strength)の所望の比、即ち、強度−快適性指数を有するかどうかを決定するための試験を開示する。製品の強度及び快適性を最適化するために、合成ラテックスから強く、柔軟であり、かつ薄い製品を調製するための方法も開示されている。
【0008】
この指数を用いて、及び、場合によって、その結果と天然ゴムを用いて得られた結果とを比較することによって、合成エラストマーから製品を製造することができるかどうか、及び特に天然ゴムから調製された類似の製品に比較して、なお最適な特性(即ち、強度及び快適性)を有しているかどうか決定することができる。
【0009】
製品の強度は、試料の引張試験片を破断するのに必要な荷重(force)、即ち製品の引張強度に直接関連する。
【0010】
変形へのその抵抗に対する製品の引張強度の測度は、以下の比によって示される。
【数1】


[式中、Tは製品の引張強度であり、Tはx%伸びにおける引張応力であり、tは応力下にない試験片の厚さである]。T、T、及びtは、すべてASTM D−412に従って測定される。この比は、高い強度(高T)を有する薄く(低t)、弾性のある(compliant)(低T)製品に対しては高く、低強度(低T)を有する厚く(高t)、硬い(高T)製品に対しては低い。
【0011】
強度−快適性指数は、以下で定義される。
【数2】


[式中、SCIは、x%伸びにおける引張応力に基づく強度−快適性指数である]。SI単位を用いると、SCIは、mm−1の単位を有する。
【0012】
天然ゴムラテックスは、強く、柔軟で、薄い浸漬品の作製においてその有用性が当業者には周知されている。この指数を用いて、天然ゴムから作製された類似の浸漬品の強度−快適性指数に近いものを有する、手袋及びコンドームなどの強い、柔軟な、及び薄い浸漬品を提供するために、合成格子(synthetic lattices)、これらが作製される方法、及びこれらが製品に形成される方法を適応させることができる。
【0013】
したがって、本発明の一態様は、合成エラストマーを含む製品であって、この製品が、約190mm−1以上のSCI100を有し、ここで、SCI100値は、比
【数3】


[式中、Tは製品の引張強度であり、Tはx%伸びにおける引張応力であり、xは100であり、tは応力下にない試験片の厚さであり、T、T、及びtは、すべてASTM D−412に従って測定され、強度−快適性指数、すなわちSCIは、
【数4】


で定義される。]
により、変形へのその抵抗に対する製品の引張強度を測定することによって計算される製品を含む。一実施形態では、この製品は、約200mm−1以上、好ましくは約225mm−1以上、さらに好ましくは約250mm−1以上のSCI100を有する。一実施形態では、この合成エラストマーは、水性分散体として調製される。一実施形態では、この合成エラストマーは、乳化重合によって調製される。一実施形態では、この合成エラストマーは、C〜Cジエンを含む。一実施形態では、この合成エラストマーは、1,3−ブタジエンを含むモノマー混合物から調製される。一実施形態では、この合成エラストマーは、アクリロニトリルを含むモノマー混合物から調製される。一実施形態では、この製品の厚さは、約0.09mm以下である。一実施形態では、引張強度は、ASTM D−412に規定されたように、ダイC又はダイDから切断した試料から測定される。一実施形態では、この製品は、浸漬工程を用いて作製される。一実施形態では、この製品は手袋である。一実施形態では、この製品は、ASTM D−412に従って測定した場合、14MPa以上の引張強度及び500%以上の極限伸びを有する。一実施形態では、この製品は、EN455−2に従って測定した場合、9N以上の破断時荷重を有する。
【0014】
本発明の別の態様は、190mm−1を超えるSCI100を有する合成ポリマー薄膜を製造する方法であって、
a)引張強度及び引張応力に対する様々な値を提供するために配合することができる、ポリマー組成物又は一連のポリマー組成物を特定するステップと、
b)このポリマー組成物又は一連のポリマー組成物にかけられる配合及び処理条件を、SCI100が190mm−1以上の値を有するように任意に調整することによって、引張強度、引張応力、及び薄膜厚さの平衡を釣り合わせるポリマー薄膜を製造するステップとを含み、ここで、SCI100値は、比
【数5】


[式中、Tは製品の引張強度であり、Tはx%伸びにおける引張応力であり、xは100であり、tは応力下にない試験片の厚さであり、T、T、及びtは、すべてASTM D−412に従って測定され、強度−快適性指数、すなわちSCIは、
【数6】


で定義される。]
により、変形へのその抵抗に対する製品の引張強度を測定することによって計算される方法を含む。
一実施形態では、このポリマー薄膜は、約200mm−1以上のSCI100を有する。一実施形態では、このポリマー薄膜は、約225mm−1以上のSCI100を有する。一実施形態では、このポリマー薄膜は、約250mm−1以上のSCI100を有する。一実施形態では、本発明の方法は、
a)無釉の(unglazed)滑面のセラミックの手袋型(glove former)を用いるステップと、
b)前記手袋型を約70から約120℃の間の温度まで加熱し、続いて加熱した手袋型を約20〜約35%の硝酸カルシウムを含む水性凝固剤中に浸漬し、手袋型を約2から約30mm/秒の間の退出速度(exit speed)で凝固剤から取り出すステップと、
凝固剤でぬれた手袋型を約70〜約120℃で約30〜約60秒間乾燥させ、続いて型をカルボキシル化ニトリルラテックス化合物中に、約15〜約100mm/秒の侵入速度(entry speed)、0〜約10秒の滞留時間、及び約15〜約30mm/秒の退出速度で浸漬するステップと(ここで、前記カルボキシル化ニトリルラテックス化合物は、約8.8を超えるpH、約0.6〜約1phrの酸化亜鉛を含む、約15〜約30%の不揮発性含量、及び約15〜約40℃の温度を有する。)
を含む。
【0015】
本発明の範囲には、本明細書に記載の実施形態、態様、及び選択の任意の組合せが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本明細書に説明されている様々な手袋によって実証される、伸び25%における強度快適性指数(SCI25(mm−1))のグラフである。
【図2】本明細書に説明されている様々な手袋によって実証される、伸び50%における強度快適性指数(SCI50(mm−1))のグラフである。
【図3】本明細書に説明されている様々な手袋によって実証される、伸び100%における強度快適性指数(SCI100(mm−1))のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を以下により十分に説明し、本発明の好ましい実施形態を示す。しかし、本発明は、異なる形態で具現され得て、本明細書に示される実施形態に限定されるものと解釈するべきではない。というよりは、これらの実施形態は、この開示が十分で及び完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。
【0018】
天然ゴムラテックスは、強く、柔軟であり、かつ薄い浸漬品の作製におけるその有用性が当業者には周知されている。合成ラテックスから調製された強い、柔軟な、及び薄い浸漬品に対する必要性を満たすために、本明細書に記載の強度−快適性指数が開発されて、このような強い、柔軟な、及び薄い製品を提供するのに適したポリマー格子、並びにこれらを製造する方法及び製品に形成する方法が特定された。
【0019】
I.強度−快適性指数
手袋などの製品の快適性は、変形へのその抵抗と強く及び反比例的に関係がある。モジュラス、又は引張応力は、応力下にない試験片の単位断面積当たりの荷重で表される、所与の伸びまで試験片を引き伸ばすのに必要な引張り量;材料の剛性又は変形への抵抗の測度である。この断面積成分は、試料寸法に対する引張応力測定値を正規化して、製品の具体的な寸法に依存する特性とは対照的に、測定値を材料の特性にする。引張応力を応力下にない試料の厚さと乗ずると、所与の伸びを得るのに必要な単位幅当たりの荷重を得る。これは、製品の変形への抵抗はその厚さに比例するので、変形への抵抗のより適切な測度である。
【0020】
製品の強度は、試料の引張試験片を破断するのに必要な荷重、即ち、製品の引張強度に直接関連する。
【0021】
変形へのその抵抗に対する製品の強度の測度は、以下の比
【数7】


[式中、Tは製品の引張強度であり、Tはx%伸びにおける引張応力であり、tは応力下にない試験片の厚さである。]によって示される。T、T、及びtは、すべてASTM D−412に従って測定され、これらの全体を参照により本明細書に援用する。この比は、高い強度(高T)を有する、薄く(低t)、弾性のある(低T)の製品に対しては高く、低強度(低T)を有する、厚く(高t)、硬い(高T)製品に対しては低い。
【0022】
強度−快適性指数は、以下のように
【数8】


[式中、SCIは、x%伸びにおける引張応力に基づく強度−快適性指数である。]で定義される。SCIは、SI単位を用いるとmm−1の単位を有する。
【0023】
非常に低い伸びにおける引張応力は、測定するのが困難であり得る。さらに、非常に高い伸びにおける引張応力値は、高い伸びは通常の使用ではまれに起こるので、快適性の成分としては通常適切ではない。これらの理由で、SCI100の使用が好ましくあり得るが、当業者であれば、その他の伸びにおける引張応力、例えば、SCI50及びSCI25に基づく強度快適性指数を使用することができることを理解するであろう。当業者であれば、本明細書に例示された実施形態、即ち100%伸び以外の伸びにおける引張応力に基づく強度快適性指数の範囲を容易に選択することができる。
【0024】
理想的には、手袋などの製品は、約190mm−1を超え、好ましくは、約200mm−1を超え、より好ましくは約225mm−1を超え、さらにより好ましくは約250mm−1を超える100%伸びにおける強度−快適性指数(SCI100)を有し、ここで、この製品は、天然ゴムで見られる結果に近い。他の伸びにおける類似の強度−快適性指数は、所望の伸びの選択で容易に決定することができる。
【0025】
一実施形態では、この製品は、ASTM D−412(その全体を参照により本明細書に援用する)に従って測定した場合、14MPa以上の引張強度及び500%以上の極限伸びを有する。別の実施形態では、この製品は、EN455−2(その全体を参照により本明細書に援用する)に従って測定した場合、9N以上の破断時荷重を有する。
【0026】
強度/快適性の全体的な比が不利な作用を及ぼさなければ、製品をより薄く作製して、快適性レベルを向上させることが場合によっては望ましいことがある。即ち、この製品がより薄い厚さでその意図された用途に対して十分な強度を有し、快適性をより望ましいレベルに増加させることができるという条件で、厚さを減少させることは望ましいことがある。ある実施形態では、製品の厚さは、約0.09mm以下である。
【0027】
II.ポリマーラテックス
ポリマー格子から調製されたものを含む実質的にすべてのエラストマーは、所望の強度−快適性指数を有する製品の製造に使用するために評価することができる。ある実施形態では、エラストマーは既知であるが、比較的薄い製品を製造することへのこれらの使用、又はその強度を最大化することなどの、エラストマーが作製される方法は知られていない可能性がある。したがって、本明細書に記載の強度−快適性指数を用いて、様々なエラストマー組成物から製造された浸漬品を様々な厚さで評価することができ、該浸漬品を、その特性が天然ゴムの特性に近づくか又は超すために最適化されるように、様々な処理及び配合条件を用いて製造することができる。
【0028】
一実施形態では、この製品を製造するのに使用されるラテックス組成物は、約35〜80重量%、好ましくは約45〜約70重量%の脂肪族共役ジエンモノマー、約10〜約65重量%、好ましくは約20〜約50重量%の不飽和芳香族、ニトリル、エステル又はアミドモノマー、及び0〜約15重量%、好ましくは約2〜7重量%の不飽和酸のモノマーを含む。これらのモノマーのブレンド又はコポリマーを使用してもよい。
【0029】
使用することができる適した共役ジエンモノマーには、限定するものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等のブタジエンモノマーなどのC4〜9ジエンが含まれる。このジエンモノマーのブレンド又はコポリマーも使用することができる。特に好ましい共役ジエンは1,3−ブタジエンである。
【0030】
使用することができる不飽和芳香族、ニトリル、エステル、又はアミドモノマーには、例えば、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド及びこれらの誘導体が含まれる。
【0031】
本発明の目的では、「芳香族モノマー」という用語は、広範に解釈され、例えば、アリール及び複素環モノマーが含まれる。ポリマーラテックス組成物中に使用することができる例示的な芳香族ビニルモノマーには、スチレン及びα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルベンジルクロライドなどのスチレン誘導体、ビニルピリジン、ビニルナフタレン、フルオロスチレン、アルコキシスチレン(例えば、p−メトキシスチレン)等、これに加えて、これらのブレンド及び混合物が含まれる。
【0032】
使用することができるニトリルモノマーには、例えば、アクリロニトリル、フマロニトリル及びメタクリロニトリルが含まれる。上記ブレンド及び混合物を使用してもよい。
【0033】
アクリル酸及びメタクリル酸誘導体には、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基等の官能基を含めてもよい。例示的なアクリレート及びメタクリレートには、限定するものではないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−スルフォエチル及びその塩、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸トリデシル、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化アリル(メタ)アクリレート等を含む様々な(メタ)アクリレート誘導体が含まれる。その他のアクリレートには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、及びアクリル酸ヒドロキシブチルが含まれる。
【0034】
例示的な(メタ)アクリルアミド誘導体には、限定するものではないが、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス−アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチル−(アクリルアミド)グリコレート、N−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、アクリルアミドグリコール酸、N−メトキシメチルアクリルアミド及びN−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアルキル化N−メチロールアクリルアミドが含まれる。
【0035】
適したジカルボン酸エステルモノマー、例えば、アルキル基が、1〜8個の炭素を有し、官能基を伴うか又は伴わない、アルキル及びジアルキルのフマレート、イタコネート及びマレエートなども使用してもよい。具体的なモノマーには、ジエチル及びジメチルの、フマレート、イタコネート及びマレエートが含まれる。他の適したエステルモノマーには、ジ(エチレングリコール)マレエート、ジ(エチレングリコール)イタコネート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、フマル酸2−ヒドロキシエチルメチル等が含まれる。このモノ及びジカルボン酸エステル並びにアミドモノマーは、相互にブレンド又は共重合してもよい。
【0036】
ポリマーラテックス組成物中に使用することができるエステル及びアミドモノマーにはまた、例えば、不飽和ポリカルボン酸モノマーの部分エステル及びアミドが含まれる。これらのモノマーには、典型的には少なくとも1つのカルボキシル基がエステル化又はアミノ化された、不飽和ジ又はより高級の酸のモノマーが含まれる。このクラスのモノマーの一例は、式RXOC−CH=CH−COOH(式中、RはC〜C18脂肪族、脂環式又は芳香族基であり、Xは酸素原子又はNR’基であり、ここでR’は、水素原子又はここで定義されたR基を表す。)である。例には、限定するものではないが、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、及びマレイン酸モノオクチルが含まれる。イタコン酸モノメチルなどの、C〜C18脂肪族、脂環式又は芳香族基を有するイタコン酸の部分エステル又はアミドも使用することができる。上式でRがオキシアルキレン鎖である、その他のモノエステルも使用することができる。不飽和ポリカルボン酸モノマーの部分エステル及びアミドのブレンド又はコポリマーも使用することができる。
【0037】
ポリマーラテックス組成物中に、いくつかの不飽和酸モノマーを使用してもよい。このタイプのモノマーの例には、限定するものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和モノ−又はジカルボン酸モノマーが含まれる。上記の誘導体、ブレンド及び混合物を使用してもよい。メタクリル酸が好ましくは使用される。少なくとも1つのカルボキシル基が、エステル化又はアミノ化されている、不飽和ポリカルボン酸の部分エステル及びアミドも使用してもよい。
【0038】
一実施形態では、このラテックス組成物は、スチレン及びその誘導体を持っていない。別の実施形態では、このラテックス組成物は、アクリロニトリル及びその誘導体を持っていない。さらに別の実施形態では、このラテックス組成物は、クロロプレン、及びその誘導体を持っていない。別の実施形態によれば、このポリマーラテックス組成物は、追加の不飽和モノマーを含んでもよい。追加の不飽和モノマーは、いくつかの理由のために使用され得る。例えば、追加のモノマーは処理に役立ち、より具体的には、このラテックスの重合時間を減少させるのを助ける。追加の不飽和モノマーの存在はまた、このポリマーラテックス組成物を含む、薄膜、手袋、又はその他の製品の物理的特性を向上することに資する。いくつかの不飽和モノマーを使用してもよく、当業者にはよく知られている。
【0039】
このポリマーラテックス組成物にはまた、例えば、ウレタン、エポキシ、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及び共役ジエンポリマー(例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ポリイソプレン、及びポリクロロプレン)などのその他の成分を含んでもよい。これらのブレンド、誘導体、及び混合物を使用してもよい。
【0040】
従来の界面活性剤及び乳化剤を、ポリマーラテックス組成物中に使用ことができる。このラテックス中に含めることができる重合性界面活性剤も使用し得る。例えば、アニオン性界面活性剤は、スルホネート、スルフェート、エーテルスルフェート、スルホスクシネート等の広範なクラスから選択することができ、この選択は、当業者であれば容易に行うことができる。非イオン性界面活性剤も、被膜及び手袋の特性を改良するために使用してもよく、アルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(ここで、アルキル基は、典型的にはC〜C18で変化し、エチレンオキシド単位は4〜100モルで変化する)の一群から選択してもよい。このクラスにおける様々な好ましい界面活性剤には、エトキシ化オクチル及びノニルフェノールが含まれる。エトキシ化アルコールも望ましい界面活性剤である。典型的なアニオン性界面活性剤は、ジナトリウムドデシル(スルホナトフェノキシ)ベンゼンスルホネートなどのジフェニルオキシドジスルホネート類から選択される。これに加えて又はこの代わりに、本発明の組成物に界面活性剤、ポリマー安定剤を使用してもよい。
【0041】
このポリマーは、架橋剤及びその他の添加剤を含むことができ、この選択は当業者であれば容易に行うことができる。例示的な架橋剤には、ビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン);アリル化合物(例えば、メタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル;及び多官能性アクリレート(例えば、ジ、トリ及びテトラ(メタ)アクリレート)、硫黄、金属錯体、金属塩、及び金属酸化物(例えば、酸化亜鉛)が含まれる。過酸化物を使用してもよい。使用することができる追加の成分には、限定するものではないが、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、分散剤(例えば、縮合ナフタレンスルホン酸の塩);緩衝剤(例えば、水酸化アンモニウム);及び重合禁止剤(例えば、ヒドロキノン)が含まれる。連鎖移動剤(例えば、四塩化炭素、ブチルメルカプタン、ブロモトリクロロメタン及びt−ドデシルメルカプタン)はまた、モノマーの重量に対して好ましくは約2重量%未満で本発明に使用してもよい。連鎖移動剤は、より好ましくは約0.0〜約1.5重量%、最も好ましくは約0.3〜約1.0重量%で使用される。
【0042】
本発明のポリマーラテックス組成物を形成するのに使用されるモノマーは、当業者には既知の方法で重合してもよい。例えば、このモノマーは、好ましくは約5℃から95℃の間、より好ましくは約10℃から70℃の間の温度で重合してもよい。
【0043】
III.代表的な重合技術
ポリマー格子を形成するためにモノマーを重合させる技術は、当業者にはよく知られている。ある実施形態では、この合成エラストマーは、乳化重合によって、他の場合は、溶液重合によって調製される。
【0044】
使用される特定の重合技術、ポリマー薄膜の厚さ、及びその他の要因に応じて、類似のモノマー混合物は、異なる強度/快適性比を有する製品を提供することができる。
【0045】
本明細書に記載の技術を用い、ポリマー薄膜の様々な特性を測定して、当業者であれば、天然ゴムに近い又は勝ってさえいる強度及び快適性を有する合成エラストマーから製品を製造するために、モノマー混合物、重合技術、及び最適薄膜厚さを特定することができる。
【0046】
IV.ポリマーの配合
ポリマーを配合する技術は、当業者にはよく知られている。ある実施形態では、合成ポリマーラテックスが使用される。合成ラテックスの配合は、処理条件へのその応答、及び合成ポリマーラテックスから製造された製品の特性に影響を及ぼし得る。
【0047】
固体含量、硬化剤の濃度、及びpHなどの要因は、凝固剤浸漬工程中のラテックス化合物の堆積速度(及びしたがって厚さ)に影響を及ぼし得る。硬化剤の濃度及びpHも、凝固剤に浸漬したラテックスから硬化された薄膜の物理的特性(例えば、引張強度、引張応力、及び破断時ひずみ)に影響を及ぼし得る。
【0048】
当業者であれば、同じモノマー組成物によってであっても、異なる物理的特性を有するポリマーラテックス薄膜を提供するために、配合条件を容易に調整することができる。
【0049】
VI.代表的な浸漬技術
ラテックス製品のための浸漬技術は、当業者にはよく知られている。手袋又はその他の浸漬製品は、典型的には、例えば、手袋型(又はその他の適した型)をラテックス混合物中に浸漬するステップと、手袋型上にラテックス混合物を高温で硬化させるステップと、次いで、手袋型から硬化したラテックス手袋を取り除くステップとによって製造される。
【0050】
手袋型は、洗剤で洗浄し、すすぐことによって製造し得る。ある実施形態では、特にラテックスが、カルボン酸基又はその他のイオン的架橋性基を含む場合、手袋型の周りにラテックスを凝結させるのを促進するために、硝酸カルシウム、水、及び非イオン性界面活性剤を含む凝固剤混合物中に手袋型を浸漬する。これらの実施形態において、凝固剤混合物中に浸漬した後、手袋型をラテックス材料中に浸漬してもよい。ラテックスでコートされた手袋型を次いで、温水を含む浸出液中に浸漬し得る。ラテックスでコートされた手袋型を次いで、限定するものではないが、粉末デンプン又はタルカム粉末を包含する適した粉末を含む粉末スラリー中に浸漬し得る。代替として、ラテックスでコートされた手袋型は、粉末のない手袋を製造するために当業者には既知の塩素化又はポリマーオーバー浸漬(polymeric overdips)などの表面処理にかけることができる。
【0051】
ラテックスでコートされた手袋型を適した温度、例えば285°Fで、適した時間、例えば30分間オーブンに入れて、手袋の形状に架橋ポリマー薄膜を形成し得る。オーブンから取り出した後、まだ型上の架橋ポリマー薄膜を後硬化用の浸出液、例えば、温水浴中に浸漬し得る。架橋ポリマー薄膜は、粉末のない手袋を製造するために当業者には既知の塩素化又はポリマーオーバー浸漬などの表面処理にかけることができる。次いで、硬化したラテックス手袋を手袋型から剥離し、裏返し得る。
【0052】
浸漬製品を製造するための他の条件は、当業者にはよく知られている。上記で論じたように、浸漬技術を最適化することで、即ち、適した薄膜厚さを形成し、さらには重合及び配合技術を最適化することで、即ち、適した強度レベル及び引張応力を有する薄膜を生成することによって、望ましい強度−快適性指数を有する製品を製造することができる。
【0053】
VII.ポリマーラテックス組成物の最適化
ポリマーラテックス組成物及びこのポリマーから形成された得られた薄膜を最適化して、最適な特性を提供するために、強度−快適性指数を使用することができる。例えば、いったん強度−快適性指数を準備してから、様々な条件下で重合され、様々な条件下で浸漬されて、最大の強度及び/又は最高の薄さを提供する、所与のモノマー組成物に対する1揃えのデータポイントを作り出し、これによって強度−快適性指数を最適化すことができる。一連のポリマー組成物、化合物組成物、及び処理条件は、本明細書に記載のように解析され、最適なものが特定される。
【0054】
VIII.代表的な製品
本明細書に記載のポリマーラテックス組成物から形成される薄膜を製造し、多数の製品に形成することができる。このようなラテックス製品には一般に、典型的には天然ゴムから作製され、ヒトの身体と接触するもの、例えば、手袋及びコンドームが含まれる。特にこれらの製品に関して、強度及び快適性は非常に重要な側面であり、この製品は比較的薄いことが望ましい。これは、意図された目的に適合する強度が存在する限り許容される製品の強度を最小限に抑える傾向がある。しかし、これはまた、製品の快適性を最大にする傾向があり、これが望ましい。
【0055】
一般に、この製品は、水蒸気及び液体の水に対して実質的に不透過性であることによって特徴付けられる。
【0056】
製品の厚さが十分に薄く、ポリマー薄膜の強度が十分に高く、引張応力が十分に低いことを条件に、手袋、例えば、外科用手袋などの得られた製品は、強度及び快適性の所望の調和を有する。
【0057】
本発明は、以下の非限定的な例に関してより良く理解される。比較例として、様々な手袋材料から作製された一連の市販の手袋を入手し、これらの引張特性を評価した。
【0058】
(実施例1〜5及び比較例1〜29)
市販の手袋の強度−快適性指数の比較試験
比較例として、様々な異なる手袋材料を代表する一連の市販の手袋を入手し、引張特性を評価した。
【0059】
手袋に関する試験プロトコル、高い強度−快適性指数を有する手袋を製造するための5つの最適な配合物、及び様々な比較例を以下に示す。
【0060】
試験
非接触式伸び計(extensometer)を取り付けた引張試験装置を用いて、以下の引張特性を測定した:25%伸びにおける引張応力、T25、50%伸びにおける引張応力、T50、100%伸びにおける引張応力、T100、引張強度、及び破断時ひずみ。試料厚さは、手持ち式マイクロメーターを用いて測定した。すべての引張特性は、試料の厚さを測定するのに手持ち式デジタルマイクロメーターを使用したこと以外は、ASTM D412(その全体を参照により本明細書に援用する)に従って測定した。比較例1〜12に対する引張試験片を切断するのにダイCを使用した。比較例13〜29及び実施例1〜5に対する引張試験片を切断するのにダイDを使用した。この引張試験からの結果を用いてSCI25、SCI50、及びSCI100を計算した。破断時荷重は、比較例1〜12に対するこの引張試験からの結果、実施例1〜5及び比較例13〜29に対しては、EN455−2(その全体を参照により本明細書に援用する)に従って測定した結果を用いて計算した。
【0061】
当業者であれば分かるように、この結果は、引張試験片を切断するのに使用したダイに従って異なり得る。本発明の範囲は、本明細書に記載のASTM及びENの方法でさらに理解されるような、ダイの範囲の可能性を含むものと考えられる。
【0062】
(実施例1)
100phrの市販のカルボキシル化ニトリルラテックス、この化合物の不揮発性含量を20%まで低下させるのに十分な脱イオン水、亜鉛ジブチルジチオジカルバメート0.5phr、硫黄1.0phr、酸化亜鉛0.85phr、二酸化チタン1.5phr、及び9.1の最終化合物pHにするためのアンモニアから化合物を調製した。この化合物を浸漬の前に、およそ24時間緩やかな撹拌下においた。
【0063】
Shinko社によって製造された手型(コード番号021、両手用、無釉の滑面−長さ400mm)を温水ですすぐことによって準備した。この手袋型を70℃に加熱し、水性凝固剤混合物(周囲温度、30%硝酸カルシウム、Tergitol Minfoam 1X 0.01phr)中に、侵入速度21.17mm/秒及び退出速度25.4mm/秒で浸漬した。次いで、この凝固剤に浸漬した型を70℃のオーブン中で1分間乾燥させ、続いて直ちに上記化合物の配合物(周囲温度で)中に、侵入速度21.17mm/秒、滞留時間3秒、及び退出速度25.4mm/秒で浸漬した。ぬれた凝結された薄膜でたった今コートされたこの型を、次いで35℃の水浴中に4分間浸出した。次いで、浸出した型を70℃のオーブン中に30分間、続いて132℃の第2のオーブン中に15分間入れて、この薄膜を乾燥させ、硬化させた。次いで、硬化薄膜に粉を振りかけ、型から取り出して、ニトリル手袋を得た。次いで、これらのニトリル手袋の引張特性を測定した。
【0064】
(実施例2)
100phrの市販のカルボキシル化ニトリルラテックス、この化合物の不揮発性含量を20%まで低下させるのに十分な脱イオン水、亜鉛ジブチルジチオジカルバメート0.5phr、硫黄1.0phr、酸化亜鉛0.75phr、二酸化チタン1.5phr、及び9.1の最終化合物pHにするためのアンモニアから化合物を調製した。この化合物を浸漬の前に、およそ24時間緩やかな撹拌下においた。
【0065】
Shinko社によって製造された手型(コード番号021、両手用、無釉の滑面−長さ400mm)を温水ですすぐことによって準備した。この手袋型を70℃に加熱し、水性凝固剤混合物(周囲温度、30%硝酸カルシウム、Tergitol Minfoam 1X 0.01phr)中に、侵入速度21.17mm/秒及び退出速度25.4mm/秒で浸漬した。次いで、この凝固剤に浸漬した型を70℃のオーブン中で1分間乾燥させ、続いて直ちに上記化合物の配合物(周囲温度で)中に、侵入速度21.17mm/秒、及び退出速度25.4mm/秒で浸漬した。ぬれた凝結された薄膜でたった今コートされたこの型を、次いで35℃の水浴中に4分間浸出した。次いで、浸出した型を70℃のオーブン中に30分間、続いて132℃の第2のオーブン中に15分間入れて、この薄膜を乾燥させ、硬化させた。次いで、硬化薄膜に粉を振りかけ、型から取り出して、ニトリル手袋を得た。次いで、これらのニトリル手袋の引張特性を測定した。
【0066】
(実施例3)
100phrの市販のカルボキシル化ニトリルラテックス、この化合物の不揮発性含量を20%まで低下させるのに十分な脱イオン水、亜鉛ジブチルジチオジカルバメート0.5phr、硫黄1.0phr、酸化亜鉛0.85phr、二酸化チタン3.0phr、及び8.9の最終化合物pHにするためのアンモニアから化合物を調製した。この化合物を浸漬の前に、およそ24時間緩やかな撹拌下においた。
【0067】
Shinko社によって製造された手型(コード番号021、両手用、無釉の滑面−長さ400mm)を温水ですすぐことによって準備した。この手袋型を120℃に加熱し、水性凝固剤混合物(周囲温度、30%硝酸カルシウム、Tergitol Minfoam 1X 0.04phr)中に浸漬した。この型を21mm/秒の侵入速度まで0.5秒間加速させた。型は凝固剤混合物中で0.1秒間滞留時間を持たせ、次いで、5mm/秒の退出速度まで0.5秒間加速させた。次いで、この凝固剤に浸漬した型を120℃のオーブン中で30秒間乾燥させ、続いて直ちに上記化合物の配合物(周囲温度で)中に浸漬した。化合物の配合物中に浸漬するために、型を21mm/秒の侵入速度まで6秒間加速した。型の指及び親指の付け根が浸漬された後、型を直ちに100mm/秒まで0.5秒間加速した。型は8秒間の滞留時間を持たせ、次いで、21mm/秒の退出速度まで0.5秒間加速させた。ぬれた凝結された薄膜でたった今コートされたこの型を、次いで35℃の水浴中に4分間浸出した。次いで、浸出した型を70℃のオーブン中に30分間、続いて132℃の第2のオーブン中に15分間入れて、この薄膜を乾燥させ、硬化させた。次いで、硬化薄膜に粉を振りかけ、型から取り出して、ニトリル手袋を得た。次いで、これらのニトリル手袋の引張特性を測定した。
【0068】
(実施例4)
100phrの市販のカルボキシル化ニトリルラテックス、この化合物の不揮発性含量を20%まで低下させるのに十分な脱イオン水、亜鉛ジブチルジチオジカルバメート0.5phr、硫黄1.0phr、酸化亜鉛0.85phr、二酸化チタン3.0phr、及び8.9の最終化合物pHにするためのアンモニアから化合物を調製した。この化合物を浸漬の前に、およそ24時間緩やかな撹拌下においた。
【0069】
Shinko社によって製造された手型(コード番号021、両手用、無釉の滑面−長さ400mm)を温水ですすぐことによって準備した。この手袋型を120℃に加熱し、水性凝固剤混合物(周囲温度、30%硝酸カルシウム、Tergitol Minfoam 1X 0.04phr)中に浸漬した。この型を21mm/秒の侵入速度まで0.5秒間加速させた。型は凝固剤混合物中で0.1秒間滞留時間を持たせ、次いで、5mm/秒の退出速度まで0.5秒間加速させた。次いで、この凝固剤に浸漬した型を120℃のオーブン中で30秒間乾燥させ、続いて直ちに上記化合物の配合物(周囲温度で)中に浸漬した。化合物の配合物中に浸漬するために、型を21mm/秒の侵入速度まで6秒間加速した。型の指及び親指の付け根が浸漬された後、型を直ちに100mm/秒まで0.5秒間加速した。型は8秒間滞留時間を持たせ、次いで、21mm/秒の退出速度まで0.5秒間加速させた。ぬれた凝結された被膜でたった今コートされたこの型を、次いで35℃の水浴中に4分間浸出した。次いで、浸出した型を70℃のオーブン中に30分間、続いて132℃の第2のオーブン中に15分間入れて、この薄膜を乾燥させ、硬化させた。次いで、硬化薄膜に粉を振りかけ、型から取り出して、ニトリル手袋を得た。次いで、手袋を1200ppm塩素溶液中で30秒間塩素化し、35℃の水浴中で1分間すすぎ、70℃のオーブン中で20分間乾燥させた。次いで、これらのニトリル手袋の引張特性を測定した。
【0070】
(実施例5)
100phrの市販のカルボキシル化ニトリルラテックス、この化合物の不揮発性含量を20%まで低下させるのに十分な脱イオン水、亜鉛ジブチルジチオジカルバメート0.5phr、硫黄1.0phr、酸化亜鉛0.85phr、二酸化チタン3.0phr、及び8.9の最終化合物pHにするためのアンモニアから化合物を調製した。この化合物を浸漬の前に、およそ24時間緩やかな撹拌下においた。
【0071】
Shinko社によって製造された手型(コード番号021、両手用、無釉の滑面−長さ400mm)を温水ですすぐことによって準備した。この手袋型を120℃に加熱し、水性凝固剤混合物(周囲温度、30%硝酸カルシウム、Tergitol Minfoam 1X 0.04phr)中に浸漬した。この型を21mm/秒の侵入速度まで0.5秒間加速させた。型は凝固剤混合物中で0.1秒間滞留時間を持たせ、次いで、5mm/秒の退出速度まで0.5秒間加速させた。次いで、この凝固剤に浸漬した型を120℃のオーブン中で30秒間乾燥させ、続いて直ちに上記化合物の配合物(周囲温度で)中に浸漬した。化合物の配合物中に浸漬するために、型を21mm/秒の侵入速度まで6秒間加速した。型の指及び親指の付け根が浸漬された後、型を直ちに100mm/秒まで0.5秒間加速した。型は8秒間滞留時間を持たせ、次いで、21mm/秒の退出速度まで0.5秒間加速させた。ぬれた凝結された薄膜でたった今コートされたこの型を、次いで35℃の水浴中に4分間浸出した。次いで、浸出した型を70℃のオーブン中に30分間、続いて132℃の第2のオーブン中に15分間入れて、この薄膜を乾燥させ、硬化させた。次いで、硬化薄膜に粉を振りかけ、型から取り出して、ニトリル手袋を得た。次いで、手袋を1200ppm塩素溶液中で1分間塩素化し、35℃の水浴中で1分間すすぎ、70℃のオーブン中で20分間乾燥させた。次いで、これらのニトリル手袋の引張特性を測定した。
【0072】
(比較例1)
市販の天然ゴムラテックス外科用手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0073】
(比較例2)
市販の薄いビニル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0074】
(比較例3)
比較例2と異なる、市販の薄いビニル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0075】
(比較例4)
市販のポリウレタン手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0076】
(比較例5)
市販の熱可塑性エラストマー外科用手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0077】
(比較例6)
市販のポリクロロプレン外科用手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0078】
(比較例7)
市販の薄い天然ゴムラテックス外科用手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0079】
(比較例8)
市販のニトリル(カルボキシル化ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー)手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0080】
(比較例9)
比較例8と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0081】
(比較例10)
比較例8及び9と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0082】
(比較例11)
比較例8、9及び10と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0083】
(比較例12)
比較例8、9、10及び11と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0084】
(比較例13)
比較例8、9、10、11及び12と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0085】
(比較例14)
市販の粉末のない(powder−free)ポリクロロプレン検査用手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0086】
(比較例15)
比較例6と異なる、市販のポリクロロプレン外科用手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0087】
(比較例16)
市販の合成ポリイソプレン手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0088】
(比較例17)
比較例2及び3と異なる、市販のビニル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0089】
(比較例18)
比較例2、3及び17と異なる、市販のビニル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0090】
(比較例19)
比較例8、9、10、11、12及び13と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0091】
(比較例20)
比較例8、9、10、11、12、13及び19と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0092】
(比較例21)
比較例8、9、10、11、12、13、19及び20と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0093】
(比較例22)
市販のニトリル手袋の比較例13と同じブランドの異なるロットの試料の引張特性を測定した。
【0094】
(比較例23)
市販のニトリル手袋の比較例9と同じブランドの異なるロットの試料の引張特性を測定した。
【0095】
(比較例24)
比較例8、9、10、11、12、13、19、20、21、22及び23と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0096】
(比較例25)
比較例8、9、10、11、12、13、19、20、21、22、23及び24と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0097】
(比較例26)
比較例8、9、10、11、12、13、19、20、21、22、23、24及び25と異なる、市販のニトリル手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0098】
(比較例27)
比較例1と異なる、市販の天然ゴムラテックス外科用手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0099】
(比較例28)
比較例7と異なる、市販の薄い天然ゴムラテックス手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0100】
(比較例29)
比較例7及び28と異なる、市販の薄い天然ゴムラテックス手袋タイプの試料の引張特性を測定した。
【0101】
表1は、すべての実施例及び比較例に対する引張りデータ及び計算値を示す。図1〜3は、これらの例に対するSCI25、SCI50、及びSCI100をプロットする。SCI25及びSCI50値は、5つの最適なニトリル配合物(実施例1〜5)から観察される新規な性能は、強度快適性指数のための基準として100%伸びを任意に選択した結果だけではないことを示す。即ち、強度快適性指数の基準として他の低い伸び(elongations)が使用された場合も、明確な性能が示される。
【0102】
表1
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】

【0103】
表及び図1〜3に示すように、実施例1〜5は、各伸びで計算された強度−快適性指数において、薄い天然ゴムラテックス手袋に最も近い一致を示した。
【0104】
上述のように、観察される個々の結果は、試験片を切断するために使用されるダイに従って及び応じて変化し得て、この結果における予期される変動又は差異は、本発明の実施により企図される。
【0105】
ASTM D−412及びEN455−2
ASTM D−412及びEN455−2のそれぞれを、参照により本明細書に援用する。これに加えて、それぞれの本文の部分を本明細書に再現する。
【0106】
ASTM国際番号:D412−98a(2002年再承認)
加硫ゴム及び熱可塑性エラストマーの基準試験方法−張力
1.範囲
1.1 これらの試験方法は、加硫熱硬化性ゴム及び熱可塑性エラストマーの引張り(張力)特性を評価するために使用される手順を対象とする。これらの方法は、エボナイト及び類似の硬質で低伸長材料に適用することはできない。この方法は、以下の通りに載っている。
試験方法A−ダンベル及び直線状断面の試験片
試験方法B−切断リング状試験片
注記 − これらの2つの異なる方法は、同じ結果を生じない。
1.2 SI又は非SI単位のいずれかで示された値は、この規格に対して独立に基準的であると見なすべきである。それぞれの系における値は、厳密に等価ではない可能性がある。したがって、それぞれの系は、値を組み合わせることなく、独立に使用しなければならない。
1.3 この規格は、その使用に伴って生じるすべての安全問題(もしあれば)に対応するという趣旨は有さない。適切な安全及び健康の基準を確立し、使用前に規制上の制約を特定するのはこの規格の使用者の責任である。
【0107】
2.参照文書
2.1 ASTM規格:
D1349ゴムに対する基準−試験のための標準温度(Practice for Rubber−Standard Temperatures for Testing)
D1566ゴムに関連する用語(Terminology Relating to Rubber)
D3182ゴムに対する基準−標準化合物を混合し、標準加硫シートを製造するための材料、装置及び手順(Materials,Equipment and Procedures for Mixing Standard Compounds and Preparing Standard Vulcanized Sheets)
D3183ゴムに対する基準−製品から試験目的のための小片の製造(Practice for Rubber−Preparation of pieces for Test Purposes from Products)
D3767ゴムに対する基準−寸法の測定(Practice for Rubber−Measurement of Dimensions)
D4483ゴム及びカーボンブラック工業における試験方法の規格に対する精度を決定するための基準(Practice for Determining Precision for Test Method Standards in the Rubber and Carbon Black Industries)
E4試験装置の荷重の検証のための基準(Practices for Force Verification of Testing Machines)
2.2 ASTM補助:
切断リング状試験片(Cut Ring Specimens)、方法B(D412)
2.3 ISO規格:
ISO37加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張応力−ひずみ特性の定量(Rubber, Vulcanized and Thermoplastic Determination of Tensile Stress−Strain Properties)
【0108】
3.用語
3.1 定義:
3.1.1 引張永久ひずみ(tensile set)−試験片を引き伸ばし、特定の方法で収縮させた後、残存する、初期長さの百分率(%)で表された伸び。(D1566)
3.1.2 破断後引張永久ひずみ−2つの破断したダンベル状小片を破断点で組み合わせることによって測定された引張永久ひずみ。
3.1.3 引張強度−試験片を破断するまで引き伸ばすのに加えられた最大引張応力。(D1566)
3.1.4 引張応力−試験片(試験片)を引き伸ばすのに加えられた応力。(D1566)
3.1.5 所定の伸びにおける引張応力−試験片の均一な横断面を所定の伸びまで引き伸ばすのに必要な応力。(D1566)
3.1.6 熱可塑性エラストマー−従来の加硫ゴムとは異なり、熱可塑性材料のように処理及び再生することが可能な多様な一群のゴム様材料。
3.1.7 極限伸び−継続的引張応力を適用した場合、破断が起こったときの伸び。
3.1.8 降伏点−ひずみに対する応力の変化率が0値を経て、マイナスになることもある、応力−ひずみ曲線上の、極限の破断の手前の点。(D1566)
3.1.9 降伏点ひずみ−降伏点におけるひずみのレベル。(D1566)
3.1.10 降伏点応力−降伏点における応力のレベル。(D1566)
【0109】
4.試験方法の概要
4.1 引張特性の測定は、試料材料から採取した試験片で開始し、試験片の準備及び試験片の試験が含まれる。試験片は、均一な横断面積のダンベル、リング又は直線状小片の形状であってもよい。
4.2 引張応力、所定の伸びにおける引張応力、引張強度、降伏点、及び極限伸びに関する測定は、あらかじめ応力を加えてない試験片について行う。引張応力、降伏点、及び引張強度は、試験片の均一な横断面の初期横断面積に基づく。
4.3 引張永久ひずみの測定は、あらかじめ応力を受けていない試験片を、規定された手順によって、引き伸ばし、収縮させた後に行う。「破断後永久ひずみ」(“set after break”)の測定も記載されている。
【0110】
5.意義及び使用
5.1 これらの試験方法の対象となるすべての材料及び製品は、特定の用途において十分な性能のために引張り荷重に耐えなければならない。これらの試験方法は、このような引張特性の測定を可能にする。しかし、実際の使用における潜在的な広範な性能必要条件のためには、引張特性単独では、製品の最終用途のすべての性能に直接関係し得ない。
5.2 引張特性は、材料、及び試験条件(伸長速度、温度、湿度、試験片形状、試験前の調整等)の両方で決まる。したがって、材料は、同じ条件下で試験した場合のみ比較されるべきである。
5.3 温度及び伸長速度は、引張特性にかなりの影響を有し、したがって制御しなければならない。これらの影響は試験する材料のタイプに応じて異なる。
5.4 引張永久ひずみは、伸長及び収縮後、部分的に恒久的で、部分的に回復可能な残存する変形を表す。このような理由で、比較可能な結果を得るためには、伸長及び回復の期間(及びその他試験条件)を制御しなければならない。
【0111】
6.装置
6.1 試験装置−張力試験は、少なくとも750mm(30インチ(in))の距離を500±50mm/分(20±2インチ/分)のつかみ具の一定の引離し速度をもたらすように装備された動力駆動機械で行われる(1000±100mm/分(40±4インチ/分)の伸長速度を使用してもよく、速度の表記をレポート中に行う。問題となる場合は、試験を反復するべきであり、伸長速度は500±50mm/分(20±2インチ/分)であるべきである。試験装置は、加えられた荷重を±2%以内で測定するのに適した動力計及び表示又は記録システムの双方を有さなくてはならない。ある試験に対して容量範囲を変えることができない場合(振り子式動力計の場合のように)は、加えられた破断時荷重は、全目盛値の±2%内で測定されるべきであり、測定された最小引張り荷重は、10%以内で精密であるべきである。動力計が、引張応力を直接測定するための補償タイプである場合、試験片の横断面積を調整するための手段が提供されるべきである。記録計の応答は、破断までの試験片の伸長中、加えられた荷重が必要な精度で測定されるように十分迅速であるべきである。試験装置が、記録計を装備していない場合、破断後、伸長中に加えられた最大荷重を示す装置が供給されるべきである。試験装置システムは、10%の最小きざみで試験片の伸びを測定することが可能であるべきである。
6.2 高温及び低温のための試験チャンバー−試験チャンバーは、以下の必要条件に適合しなければならない。
6.2.1 空気は、つかみ具又はスピンドルの位置で、1〜2m/s(3.3〜6.6ft/s)の速度でチャンバー中を循環され、試験片は、指定温度の2℃(3.6°F)以内で維持されるべきである。
6.2.2 実際の温度を測定するために、較正された感知装置が、つかみ具又はスピンドルの付近に配置されるべきである。
6.2.3 高温で発散される蒸気を排気システム又は外部雰囲気に除去するために、チャンバーを排気しなければならない。
6.2.4 試験の前に調整するために、試験片をつかみ具又はスピンドルの付近に垂直につるすための備えをしなければならない。試験片は、循環する空気によって撹拌される場合、瞬時に接触する以外は互いに又はチャンバーの側面と接触するべきでない。
6.2.5 チャンバーの温度のわずかな変化も最小限に抑えることが可能な最短の時間で、ダンベル又は直線状試験片をつかみ具に付けることを可能にするために、高温又は低温で操作するのに適した速い働きのつかみ具を提供してもよい。
6.2.6 動力計は、試験の温度で使用するのに適しているべきであり、又はチャンバーから断熱されているべきである。
6.2.7 チャンバー中の試験片の伸びを測定するための備えをしなければならない。ベンチマークの間の伸びを測定するためにスケール(目盛り)を使用する場合、スケールは、試験片の伸長中つかみ具の経路に平行で近くに配置するべきであり、チャンバーの外部から制御されるべきである。
6.3 ダイアルマイクロメーター−ダイアルマイクロメーターは、基準D3767(方法A)の必要条件に適合しなければならない。リング状試験片については、これらの試験方法の14.10を参照。
6.4 引張永久ひずみ試験のための装置−6.1に記載された試験装置又は図1に示されたものに類似の装置を使用してもよい。少なくとも30分間隔で測定するストップウオッチ又は他の適した時計が提供されるべきである。引張り永久ひずみを1%内で測定するためにスケール又は他の装置が提供されるべきである。
【0112】
7.試験片の選択
7.1 選択に当たって、以下の情報を考慮されたい。
7.1.1 加工及び製造中に取り込まれた流れに起因する異方性又はグレイン方向性(grain directionality)が、引張特性に影響を与え得るので、ダンベル又は直線状試験片は、試験片の長さ方向がグレイン方向(この方向が知られている場合)と平行であるように切断しなければならない。リング状試験片は、通常、グレイン特性(grain properties)についての及び全体にわたる平均を示す。
7.1.2 別段の断りがなければ、熱可塑性ゴム若しくは熱可塑性エラストマー試験片、又は両方は、射出成型シート又は小板から3.0±0.3mmの厚さで切断される。その他の厚さの試験片は、必ずしも比較可能な結果を得るとは限らない。試験片は、型における流れと平行及び垂直な両方の方向で試験される。シート又は小板の寸法は、これを行うのに十分でなければならない。
7.1.3 リング状試験片は、つかみ具の引離しによって伸びを測定することを可能にするが、リング状試験片の半径方向の幅を横切る伸びは均一ではない。この影響を最小限に抑えるために、リング状試験片の幅は、直径に比較して小さくなければならない。
7.1.4 直線状試験片は、通常の伸長−破断試験が実施された場合、つかみ具中で破断する傾向にあり、他のタイプの試験片を製造することが実行可能でない場合のみ使用するべきである。非破断応力−ひずみ又は材料モジュラス特性を得るためには、直線状試験片は極めて有用である。
7.1.5 使用される試験片タイプのサイズは、材料、試験装置及び試験のために利用可能な試料又は小片によって決定される。低い極限伸びを有するゴムに対しては、伸び測定精度を改良するためにより長い試験片を使用してもよい。
【0113】
8.試験装置の較正
8.1 試験装置を基準E4の手順Aに従って更正する。動力計が、ひずみゲージタイプの場合、基準E4の7及び18節における必要条件に加えて、1種又は複数の荷重でテスターを較正する。振り子式動力計を有するテスターは、以下の通り較正してもよい。
8.1.1 ダンベル状試験片の一端を試験装置の上部つかみ具に取り付ける。
8.1.2 装置から下部つかみ具を取り出し、上部つかみ具中のダンベル状試験片につかみ機構によって取り付ける。
8.1.3 下部の試験片つかみ具機構の下端にフックを取り付ける。
8.1.4 下部試験片つかみ具機構のフックから既知の質量を、質量の集合が下部試験装置のつかみ具の枠組み又は保持器に一時的に置かれることを可能にするようにつり下げる(ダンベルが破断した場合既知の質量が床に落下するのを防止する手段を提供することが有用である)。
8.1.5 通常の試験と同様につかみ具引離しモーター又は機構をスタートさせ、この質量が上部つかみ具中の試験片によって自由につり下げられるまで装置を動作させる。
8.1.6 ダイアル又はスケールが、明示された許容誤差内で加えられた荷重(又は補償タイプテスターに対しては、応力における等価物)を示さない場合は、試験装置が誤作動でないか(例えば、ベアリング及びその他の可動部品における過剰な摩擦)徹底的に検査する。下部つかみ具機構及びフックの質量が既知の質量の一部として含まれていることを保証する。
8.1.7 装置の摩擦又はその他の誤作動を除いた後、試験装置を容量のおよそ10、20及び50%の荷重をもたらす既知の質量を用いて、最低限3点で再較正する。ルーチンの試験中つめ又はつめ車を使用する場合、これらを較正に使用する。つめを上げて較正することによって、先端における摩擦に関して点検する。
8.2ばね較正装置を用いることによって、試験装置の迅速なおおよその較正を得てもよい。
【0114】
9.試験温度
9.1 別段の規定がなければ、試験のための標準温度は、23±2℃(73.4±3.6°F)である。試験温度が23℃(73.4°F)の場合、試験片を少なくとも3時間コンディショニングしなければならない。材料が湿気によって影響を受ける場合は、相対湿度を50±5%に維持し、試験の前に試験片を少なくとも24時間調節する。任意のその他の温度で試験する場合、基準D1349に挙げた温度の1つが要求される。
9.2 23℃(73.4°F)を超える温度で試験するためには、試験片を方法Aに対しては10±2分間及び方法Bに対しては6±2分間予備加熱する。(注記−任意の一連の破壊した(破断した)試験片についての破断地点を調査することによってダイの条件を決定してもよい。このような試験片を試験装置のつかみ具から取り外し、それぞれの上方に継ぎ合わせた試験片を重ね、それぞれの試験片上の同じ位置で引張り破断が起こる何らかの傾向が存在しないか注目する。常に同じ場所での破断は、その場所でダイが、鈍い、ぎざぎざ、又は曲がっている可能性がある。)試験の前に、一連のすべての試験片が同じ長さの時間チャンバー中にあるように、各試験片を試験チャンバー中にインターバルを置いて入れる。高温での予備加熱時間は、追加の加硫又はサーマルエージング(aging)を回避するために制限しなければならない。(警告−他の予防措置に加えて、23℃(73.4°F)以外で試験する場合は、腕及び手の保護のために適した耐熱又は耐冷手袋を着用するべきである。高温試験では、チャンバーのドアを開く場合有毒な蒸気の吸入を防止するために、顔面用マスクが極めて望ましい。)
9.3 23℃(73.4°F)未満の温度での試験では、試験の少なくとも10分前に試験片を調節する。
【0115】
試験方法A−ダンベル及び直線状試験片
10.装置
10.1 ダイ − ダンベル状試験片を製造するためのダイの形状及び寸法は、図2に示されたものに適合しなければならない。狭くなった断面の内面は、切断した端で形成される面に対して垂直であり、切断した端から少なくとも5mm(0.2インチ)の距離を研磨しなければならない。ダイは常に、鋭く、ぎざぎざ(nicks)を含まないようにしなければならない(9.2参照)。
10.2 ベンチマーカー − 試験片上に置かれ、伸び又はひずみを測定するために使用される2つのマークは「ベンチマーク」と呼ばれる。ベンチマーカーは、2個の浮き出た平行な突起物を含む基板で構成されていなければならない。浮き出た突起物の表面(基板の面と平行な)を同じ面で滑らかに研磨する。浮き出た突起物マーキングの表面は、0.05から0.08mm(0.002から0.003インチ)の間の幅及び少なくとも15mm(0.6インチ)の長さでなければならない。平行マーキングの表面と突起物の側面の間の角度は、少なくとも75°でなければならない。2個の平行突起物又はマーキングの表面の間の距離は、要求される又は目標とするベンチマークの距離の1%以内でなければならない。ベンチマーカー基板の背面又は上面に取り付けられたハンドルは、通常、ベンチマーカーの一部である。
注記 − 伸びを測定するために接触型伸び計を使用した場合、ベンチマークは必要でない。
10.3 インクアプリケーター − ベンチマーカーにインク又は粉末のいずれかを塗布するために、平坦な硬い表面(堅木、金属、又はプラスチック)を使用しなければならない。インク又は粉末は、試験片に付着し、試験片に劣化作用を持たず、試験片と対照的な色でなければならない。
10.4 つかみ具(Grips) − 試験装置は、2個のつかみ具を有さなければならず、その一方は、動力計に接続されなければならない。
10.4.1 ダンベル状試験片の試験用つかみ具は、自動的に締めつけられ、張力が増大するにつれて増大する、つかむ面を横切って均一な圧力を及ぼして、滑りを防止し、試験片が直線の狭くなった断面で破断するのに有利に働かなければならない。定圧空気圧タイプのつかみ具も満足できる。各試験片をつかみ具中に同じ深さで挿入し、引張方向と位置調整するために、つかみ具の末端において位置決め装置が推奨される。
10.4.2 直線状試験片の試験用つかみ具は、加えられたグリップ力を、つかまれた試験片の全体の幅にわたって伝えるように設計された、定圧空気圧型、くさび型、又はトグル(toggle)型でなければならない。
【0116】
11.試験片
11.1 ダンベル状試験片 − 可能な限りいかなる場合も、試験片は、射出成型されるか、或いは厚さ1.3mm(0.05インチ)以上又は3.3mm(0.13インチ)以下の平坦なシートから切断され、試験片を標準的な方法(基準D3182参照)の1つによって切断することが可能なサイズでなければならない。シートは、直接加工によって又は仕上がった製品から切断及びバフみがき(buffing)することによって製造してもよい。製造された製品から得る場合は、試験片は、基準D3183に記載された手順に従って、表面粗さ、繊維層等を含まないものでなければならない。すべての試験片は、別段の規定がなければ、試験片の長さ方向の部分がグレインに平行であるように切断しなければならない。シートが基準D3182に従って製造される場合、試験片は、グレインの方向に打ち抜かれた、厚さ2.0±0.2mm(0.08±0.008インチ)でなければならない。滑らかな切断面を確実にするために一撃で(手動又は機械)でシートから試験片を切断するのにダイC(別段の断りがなければ)を使用する。
【0117】
標準ダンベル状ダイの寸法(メートル法)
【表2】


寸法がメートル法で表されたダイは、寸法が米国慣用単位で表されたダイと厳密には同じではない。メートル法の寸法のダイは、メートル法で較正された装置で使用することが意図される。
打抜装置(clicking machines)で使用されるダイでは、この許容誤差は±0.05mmによることが好ましい。
図2a(続く)
【0118】
標準ダンベル状ダイの寸法(米国慣用単位)
【表3】


寸法がメートル法で表されたダイは、寸法が米国慣用単位で表されたダイと厳密には同じではない。
図2b(続く)
打抜装置で使用されるダイでは、この許容誤差は±0.02インチによることが好ましい。
【0119】
11.1.1 ダンベル状試験片のマーキング − ダンベル状試験片は、マーキング時に試験片上に張力をかけずに、10.2に記載されたベンチマーカーでマークされなければならない。マークは、狭くなった断面上に、その中心から等距離で及び長軸に垂直に置かれなければならない。ベンチマークの間の距離は以下の通りでなければならない:図2のダイC又はダイDでは、25.00±0.25mm(1.00±0.01インチ);図2の任意のその他のダイでは、50.00±0.5mm(2.00±0.02インチ)。
11.1.2 ダンベル状試験片の厚さの測定 − 厚さに関して、1つは中心で、及び1つは狭くなった断面のそれぞれの端で3回の測定をしなければならない。3つの測定値の中央値を横断面積の計算において厚さとして使用しなければならない。0.08mm(0.003インチ)を超える最大及び最小厚さの間の差を有する試験片は廃棄しなければならない。試験片の幅は、狭くなった断面におけるダイの切断した端の間の距離として使用しなければならない。
11.2 直線状試験片 − 直線状試験片は、狭いストリップ、小さなチューブ又は細い電気的絶縁材料の場合のように、ダンベル又はリング状試験片のいずれかを切断することが実行可能でない場合に製造してもよい。これらの試験片は、試験に使用されるつかみ具中にこれらを挿入させるのに十分な長さでければならない。ベンチマークは、11.1.1でダンベル状試験片について説明したように、試験片上に置かれなければならない。チューブの形態の直線状試験片の横断面積を決定するためには、試験片の質量、長さ、及び密度が必要であるかもしれない。横断面積は、これらの測定値から以下の通り計算しなければならない:
A=M/DL (1)
式中、
A=横断面積、cm
M=質量、g、
D=密度、g/cm、及び
L=長さ、cm。
注記:平方インチ単位のA=A(cm)×0.155。
【0120】
12.手順
12.1 引張応力、引張強度及び降伏点の測定 − ダンベル又は直線状試験片を試験装置のつかみ具中に、張力をその横断面にわたって均一に分配するために試験片を対称的に調整するように注意して取り付ける。これは、材料の最大強度を評価するのを妨げる混乱を回避する。別段の規定がなければ、つかみ具の引離し速度は、500±50mm/分(20±2インチ/分)でなければならない(500±mm/分(20±2インチ/分)で試験した場合20%伸び未満で降伏点(降伏点ひずみ)を有する材料では、伸長速度を50±5mm/分(2.0±0.2インチ/分)まで遅らせなければならない。材料が依然として20%伸び未満で降伏点(ひずみ)を有する場合、速度は5±0.5mm/分(0.2±0.002インチ/分)まで遅らせなければならない。実際の引離し速度をレポートしなければならない)。装置を始動し、視差を回避するように注意して、ベンチマークの間の距離を観察する。この試験に対して指定された伸び(単数又は複数)における荷重及び破断時の荷重を記録する。伸び測定は、好ましくは、伸び計、自動記録式機構又はスパーク機構の使用を介して行われる。破断時、伸びを最も近い10%単位で測定し記録する。計算については13節参照。
12.2 引張永久ひずみの測定 − 試験片を6.1に記載された試験装置のつかみ具に取り付け、張力を横断面にわたって均一に分配するように対称的に調整する。つかみ具を指定された伸びに達するまでに15秒を必要とする可能な限り均一な速度で引き離す。試験片を指定された伸びで10分間保持し、試験片を跳ね返らせせることなく急速に解放し、試験片を10分間放置しておく。10分の休止期間の最後に、ベンチマークの間の距離を、初期のベンチマークの間の距離の最も近い1%単位で測定する。時間を計る操作のためには、ストップウオッチを使用する。計算については13節参照。
12.3 破断後永久ひずみの測定 − 通常の引張強度試験において、試験片が破断した10分後、2個の小片が破断した全領域にわたり正しく接触するように、慎重に一緒に合わせる。ベンチマークの間の距離を測定する。計算については13節参照。
【0121】
13.計算
13.1 任意の指定された伸びにおける引張応力を以下の通りを計算する:
(xxx)−F(xxx)/A (2)
式中、
(xxx)=(xxx)%伸びにおける引張応力、MPa(lbf/in)、
(xxx)=指定された伸びにおける荷重、MN又は(lbf)、及び
A=応力下にない試験片の横断面積、m(in)。
13.2 降伏点応力を以下の通りを計算する:
(stress)=F(y)/A (3)
式中、
(stress)=降伏点応力、降伏点が現れたときの応力レベル、MPa(lbf/in)、
(y)=降伏点における荷重量、MN(lbf)、及び
A=応力下にない試験片の横断面積、m(in)。
13.3 降伏点ひずみを、ひずみに対する応力の変化が0値を経る場合のひずみ又は伸び量として、評価する。
13.4 引張強度を以下の通り計算する:
TS=F(BE)/A (4)
式中、
TS=引張強度、破断時の応力、MPa(lbf/in)、
(BE)=破断時荷重量、MN(lbf)、及び
A=応力下にない試験片の横断面積、m(in)。
13.5 (任意の伸長度における)伸びを以下の通りを計算する:
E=100[L−L(o)]/L(o) (5)
式中、
E=(初期ベンチマーク距離の)伸び百分率、
L=伸長された試験片上のベンチマークの間の実測距離、及び
(o)=初期ベンチマークの間の距離(L及びL(o)に対して同じ単位を使用する)。
13.6 破断伸び又は極限伸びは、Lが、試験片破断時のベンチマークの間の距離に等しい場合に評価する。
13.7 10分の収縮期間後、Lがベンチマークの間の距離と等しい場合、式5を用いて引張永久ひずみを計算する。
13.8 試験結果 − ルーチン試験では、上記の任意の測定された特性に対して、試験結果は、3つの個々の試験測定値の中央値である。測定値に2つの例外が存在する場合は、これらの例外に対して5個の試験片(測定値)を試験しなければならず、試験結果は、5つの中央値として報告する。
13.8.1 例外1 − 仕様書の遵守のための試験の場合、3つの測定値の中1つ又は2つが規定された必要条件を満たさないとき。
13.8.2 例外2 − 審判試験を実施するとき。
【0122】
試験方法B − 切断リング状試験片
14.装置
14.1 カッター − 典型的なリングカッターを、ゴム保持版によって保持されたシート上に下げることができる回転するハウジング中に、カッターの上部シャフト部分を取り付けることによって、平坦なシートからリングを切断するのに使用する。
14.1.1 ブレード深さゲージ − このゲージは、カッター本体からのブレードの突出を調整するのに使用される、切断されるゴムの厚さを超える少なくとも0.5mm(0.02インチ)の厚さ及び試験片の内径未満の直径を有する円筒形の円盤で構成されている。
14.2 ゴム保持板 − 切断中シートを保持するための装置は、平行な上面及び底面の平面を有し、この板の中心の領域を横切って6又は7mm(0.24又は0.32インチ)の間隔を持つ直径およそ1.5mm(0.06インチ)の穴を有する剛直なポリマー材料(硬質ゴム、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル)でなければならない。すべての穴を、このシートを大気圧によって所定の位置に保持するために、減圧に維持することができる中央の内部空洞に連結しなければならない。
14.3 減圧源 − 保持部分の中央空洞中を10kPa(0.1atm)未満の絶対圧力に維持することができる、真空ポンプなどの任意の装置。
14.4 石鹸溶液 − カッターブレードを潤滑するために、低刺激性の石鹸溶液を試験片シート上に使用しなければならない。
14.5 カッター回転装置 − 精密ボール盤、又は切断中に少なくとも30rad/s(およそ300回転/分)の角速度でカッターを回転させることが可能な適した他の装置を使用しなければならない。カッター回転装置は、水平基部上に取り付けられ、スピンドル及びカッターを回転させるシャフトの支持は鉛直方向にする。回転するスピンドルの振れは、0.01mm(0.004インチ)を超えてはならない。
14.6 インデックス盤 − カッター回転装置のスピンドルに対してシート及び保持器を位置決めするために、ミリング盤又は典型的なx−y運動をするその他の装置を提供しなければならない。
14.7 引張試験装置 − 6.1で規定された装置を提供しなければならない。
14.8 試験固定具 − リング状試験片を試験するために、試験固定具を提供しなければならない。この試験装置は、8節で概説されたように較正されなければならない。
14.9 試験チャンバー − 6.2で規定されたように、高温及び低温での試験のためにのチャンバーを提供しなければならない。
14.9.1 14.8で規定された固定具は、室温以外での試験に対して満足ができるものである。しかし、極度の温度では、スピンドルベアリングを潤滑するために、適した潤滑剤を使用しなければならない。
14.9.2 動力計は、試験の温度で使用するのに適しているか、又はチャンバーから断熱されていなければならない。
14.10 ダイアルマイクロメーター − 基準D3767の必要条件に適合するダイアルマイクロメーターを提供しなければならない。
14.10.1 半径方向の幅を測定するために使用されるマイクロメーターのベースは、少なくとも12mm(0.5インチ)の長さ及び15.5±0.5mm(0.61±0.02インチ)の直径の上部円筒形の表面(その軸が水平方向を向いている)で構成されていなければならない。ベースの直径15.5mm(0.61インチ)に近い小さな直径のリングを適応させ、ベース上にリングを掛ける際、リングのいかなる伸長も回避するために、円筒形の表面の下半分を円筒の中心線で切り取る、即ち、半円筒形であってもよい。これは、はめ込みの問題を妨害することなく、上部円筒形の表面上に小さなリングを掛けることを可能にする。リング(単数又は複数)の曲率と一致するように、ダイアルマイクロメーター軸の先端上に曲線のフィート(feet)を使用してもよい。
【0123】
15.リング状試験片
15.1 ASTM切断リング − 2種のタイプの切断リング状試験片を使用してもよい。別段の規定がなければ、タイプ1リング状試験片を使用しなければならない。
15.1.1 リング寸法:
【表4】


【表5】


15.2 ISO切断リング − ISO37における標準サイズ及び小サイズリング状試験片は、以下のmm単位の寸法を有する。これらのリングに対する具体的試験手順についてはISO37参照。
【表6】


15.3 チューブから切断されたリング − このリング状試験片(単数又は複数)の寸法は、チューブの直径及び壁厚により決まり、製品仕様書中に規定されているべきである。
15.4 切断リング状試験片の製造 − カッターのスロット中にブレードを取り付け、ブレード深さゲージを用いてブレード深さを調整する。カッターをボール盤に取り付け、ブレード保持器の底が保持板の表面上約13mm(0.5インチ)であるようにスピンドル又は盤を調整する。切断ブレードの先端部がこの板の表面にちょうど侵入するように、スピンドルの垂直の移動の停止を設定する。シートを保持板に取り付け、空洞中の圧力を10kPa(0.1atm)以下に低下させる。シートを低刺激性石鹸溶液で潤滑する。カッターを定常の速度で止め具に到達するまで下げる。ブレード保持器がシートに接触していないことを確認する。必要に応じて、ブレード深さを再調整する。スピンドルをその初期の位置に戻し、別のシートについての操作を繰り返す。
15.5 チューブからのリング状試験片の製造 − チューブを好ましくはチューブの内径よりわずかに大きなマンドレルに取り付ける。マンドレル及びチューブを旋盤中で回転させる。リング状試験片を、旋盤のツールポストに保持されたナイフ又はかみそりの刃を用いて所望の軸方向長さに切断する。薄壁のチューブを平坦に置き、ダイ又は2個の平行ブレードを有する切断機構でリング状試験片を切断する。
15.6 リング寸法測定値:
15.6.1 円周 − 内周は、ステップドコーンによって又は「限界」(“go−no go”)ゲージによって決定することができる。リング状試験片の任意の楕円率に打ち勝つのに必要な過度のいかなる応力も使用しない。平均円周は、内周に対する値に半径方向の幅及びπ(3.14)の積を加えることによって得られる。
15.6.2 半径方向幅 − 半径方向の幅は、14.10に記載されたマイクロメーターを用いて、円周の周りに分布する3つの位置で測定される。
15.6.3 厚さ − 切断リングでは、リング内側から切断された円盤の厚さを基準D3767に記載されたマイクロメーターで測定する。
15.6.4 横断面積 − 横断面積は、半径方向の幅の3つの測定値の中央値及び厚さから計算される。薄い壁のチューブでは、この面積は、切断した断面の軸方向の長さ及び壁厚から計算される。
【0124】
16.手順
16.1 引張応力、引張強度、破断(極限)伸び及び降伏点の測定 − リング状試験片の試験の際、鉱物油又はシリコーン油などの適した潤滑剤でスピンドルの表面を潤滑する。試験する材料と相互作用をしない又はそれに影響を及ぼさないという文書化されている保証によって、1つを選択する。スピンドル中心の間の距離の初期設定値は計算することができ、以下の方程式に従って調整する。
IS=[C(TS)−C(SP)]/2 (6)
式中、
IS=スピンドル中心の初期離隔距離、mm(インチ)、
(TS)=試験片の円周、タイプ1リングに対しては内周、タイプ2リングに対しては平均円周、mm(インチ)、及び
(SP)=いずれか(1個)のスピンドルの円周、mm(インチ)。
別段の規定がなければ、スピンドル引離し速度は、500±50mm/分(20±2インチ/分)でなければならない。試験装置を始動し、荷重及び対応するスピンドルの間の距離を記録する。破断時に、極限(破断)伸び及び引張り(荷重)強度を測定し、記録する。計算については17節参照。
注記 − 小さなISOリングを用いる場合、スピンドル引離し速度は、100±10mm/分(4±0.4インチ/分)でなければならない。
16.2 標準以外の温度での試験 − 6.2に記載された試験チャンバーを使用し、予備的記述に従う。23℃(73.4°F)を超える温度での試験では、試験片を試験温度で6±2分予備加熱する。室温未満の試験では、試験片を試験の前に試験温度で少なくとも10分間冷却する。基準D1349に規定された試験温度を使用する。9.2の勧告に従うように、各試験片を試験チャンバー中にインターバルを置いて入れる。
【0125】
17.計算
17.1 リング状試験片に対する応力−ひずみ特性は、一般に、1つの重要な例外を伴い、ダンベル又は直線状試験片についてと同じように計算される。リング状試験片を伸長させると、リングのそれぞれの脚部の幅にわたって(左から右に観察されるように)不均一な応力(又はひずみ)場が生じる。初期の内側寸法(円周)は、外側寸法(円周)未満であり、したがって、つかみ具のどんな伸長に対しても、初期の(応力下にない)寸法における差異の理由で内側はひずむ(又は応力を受ける)。
17.2 指定された伸び(ひずみ)及び破断又は極限伸びにおける応力を計算するのに、以下の選択肢が使用される。
17.2.1 指定された伸びにおける応力 − 伸びを測定するのにリングの平均円周が使用される。この選択肢に関する理論的根拠は、平均円周は、リングのそれぞれの脚部の平均ひずみを最も良く表すことである。
17.2.2 極限(破断)伸び − これは、リングのそれぞれの脚部の最大ひずみ(応力)を表すので、これを内周に基づいて計算する。この位置が、破断が起こる破断プロセスの開始に対して最も可能性のある部位である。
17.3 13.1における式2を用いることによって任意の指定された伸びにおける引張応力を計算する。
17.3.1 式2(13.1)に規定された荷重を評価するために使用される伸びは、以下の通り計算される:
E=200[L/MC(TS)] (7)
式中、
E=伸び(規定された)、百分率(%)、
L=指定された伸びにおけるつかみ具の引離しの増加、mm(インチ)、及び
MC(TS)=試験片の平均円周、mm(インチ)。
17.3.2 任意の指定された伸びに対するつかみ具の引離し(separation)は、式7を再変換して、以下に示すように求めることができる。
L=E×MC(TS)/200 (8)
17.4 13.2の式3を用いることによって降伏点応力を計算する。
17.5 13.3に示されるように、降伏点ひずみを評価する。降伏点ひずみは、任意の材料の平均バルク特性であると考えられるので、この評価には平均円周を使用する。
17.6 13.4における式4を用いることによって引張強度を計算する。
17.7 破断又は極限伸びを以下の通り計算する:
E=200/[L/IC(TS)] (9)
式中、
E=破断又は極限伸び、百分率(%)、
L=破断時のつかみ具引離しの増加、mm(インチ)、及び
IC(TS)=リング状試験片の内周、mm(インチ)。
17.8 両方のタイプのリングに対して内周を使用する。寸法については15.1.1参照。タイプ2リングに対しては、内周を計算するために内径を使用する。
注記 − 式8、式9、及び式10は、スピンドル中心の初期設定が式7に従って調整された場合に限り適用される。
注記 − これらの試験方法の使用者は、(1)指定された伸びにおける応力(極限伸び未満である)及び(2)極限(破断)伸び(20.1及び20.2参照)の計算に使用された異なる寸法のために、極限伸びよりわずかに小さな(4〜5%)指定された伸びにおける応力は測定する(計算する)ことはできない可能性があることを承知しているべきである。
【0126】
18.報告
18.1 以下の情報を報告する:
18.1.1 13又は17節に従って(いずれか適用される方)計算された結果、
18.1.2 試験片のタイプ又は説明及び13節でどのタイプのダイ(米国慣用単位又はメートル法のいずれかの)が使用されたか、
18.1.3 試験の日付、
18.1.4 規定された通りでない場合は、伸長速度、
18.1.5 規定された通りでない場合は、試験室の温度及び湿度、
18.1.6 23±2℃(73.4±3.6°F)以外の場合は、試験温度、及び
18.1.7 知られている場合、ゴムの加硫、調製、又は双方のデータ。
【0127】
19.精度及び偏り(bias)
19.1 この精度及び偏りの節は、基準D4483に従って作成された。用語及びその他の統計的な詳細については、基準D4483参照。
19.2 この精度及び偏りの節における精度の結果は、下記に説明する個々の研究室間プログラムにおける、使用される材料のその試験方法の精度の見積もりを与える。精度パラメーターは、その個々の材料及びその試験方法を含む具体的試験プロトコルに対してそのパラメーターが適用可能であるという文書なしで、任意の群の材料の合否試験に使用するべきではない。
19.3 試験方法A(ダンベル):
19.3.1 主な研究室間プログラムについて、タイプ1の精度が1986年に評価された。繰返し精度及び再現性の双方は、短期間の、数日間離れた反復試験結果である。試験結果は、この試験方法によって規定されたように、当該の特性又はパラメーターの3つの決定値(単数又は複数)又は測定値(単数又は複数)について得られた中央値である。
19.3.2 3種の異なる材料が、この研究室間プログラムに使用され、異なる2日で10箇所の研究室で試験された。
19.3.3 主な研究室間プログラムのために、3種の化合物のそれぞれの硬化されたシートを各研究室に配布し、応力−ひずみ(ダンベル)試験片を切断し、測定し、試験した。第2の研究室間試験を化合物の1つ(R19160)について実施した。この試験では、未硬化の化合物を配布し、各研究室において規定された時間及び温度(157℃で10分)でシートを硬化した。これらの個別に硬化したシートから試験片を切断し、主なプログラムの場合から1週間離れた2日のそれぞれで試験した。主なプログラムの結果は「試験のみ」と称され、第2のプログラムの結果は「硬化及び試験」と称される。
19.3.4 繰返し精度及び再現性についての精度計算の結果を、評価された材料のそれぞれに対して及び評価された3種の特性のそれぞれに対して、材料の平均又はレベルの順序に表1及び2に示す。
19.3.5 この試験方法の精度は、r、R、(r)、又は(R)のいわゆる「適切な値」、即ち、試験結果についての決定に使用される(この試験方法で得られた)値を使用するという記述に従うという形式で表し得る。この適切な値は、ルーチンの試験操作における任意の所与の材料に対する、任意の所与の時間における、対象とする平均レベルに最も近い、表1〜4における平均レベルに関連するr又はRの値を意味する。
19.3.6 繰返し精度 − この試験方法の繰返し精度、rは、表1及び2にまとめられた適切な値として立証されている。(任意の所与のレベルに対して)、この表にまとめられたrを超えて相異する、標準試験方法の手順下で得られた2つの単一試験の結果は、異なる又は同一ではない試料個体群から誘導されたものと考えなければならない。
19.3.7 再現性 − この試験方法の再現性、Rは、表1及び2にまとめられた適切な値として立証されている。(任意の所与のレベルに対して)、この表にまとめられたRを超えて相異する、2つの異なる研究室で標準試験方法の手順下で得られた2つの単一試験の結果は、異なる又は同一ではない試料個体群から来たものと考えなければならない。
19.3.8 平均レベルの百分率(%)として表される繰返し精度及び再現性、(r)及び(R)は、r及びRに対する上記のものと等価の適用の記述を有する。(r)及び(R)の記述では、2つの単一試験結果の差異は、2つの試験結果の算術平均の百分率(%)として表される。
19.3.9 偏り − 試験方法の用語において、偏りは、平均試験値と参照(又は真の)試験特性値の間の差異である。この(試験特性の)値は、この試験方法によって限定的に定義されるので、この試験方法に対する参照値は存在しない。したがって、偏りは決定することはできない。
19.4 試験方法B(リング)
19.4.1 タイプ1精度は、1985に評価された。繰返し精度及び再現性の双方は、短期間の、数日間離れた反復試験結果である。試験結果は、この試験方法によって規定されたように、当該の特性又はパラメーターの3つの決定値又は測定値について得られた平均値である。
19.4.2 6種の異なる材料が、この研究室間プログラムに使用され、異なる2日で4箇所の研究室で試験された。
19.4.3 繰返し精度及び再現性についての精度計算の結果を、評価された材料のそれぞれに対して、材料の平均又はレベルの順序に表3及び4に示す。
表1 方法AダイCダンベル状試験片についてのタイプ1(試験のみ)精度
注記
SR=繰返し精度の標準偏差。
r=繰返し精度=2.83×繰返し精度の分散の平方根。
(r)=繰返し精度(材料平均の百分率(%)として)。
SR=再現性の標準偏差。
R=再現性=2.83×再現性の分散の平方根。
(R)=再現性(材料平均の百分率(%)として)。
【表7】


表2 方法AダイCダンベル状試験片についてのタイプ1(硬化及び試験)精度
注記1
SR=繰返し精度の標準偏差。
r=繰返し精度=2.83×繰返し精度の分散の平方根。
(r)=繰返し精度(材料平均の百分率(%)として)。
SR=再現性の標準偏差。
R=再現性=2.83×再現性の分散の平方根。
(R)=再現性(材料平均の百分率(%)として)。
注記2
N18081−高度に延長された、低デュロメーターCR(ネオプレン)
R19160−高張力NR
E17047−中度に充填されたEPDM
【表8】


表3 タイプ1精度−試験方法B(リング)
注記
SR=繰返し精度の標準偏差。
r=繰返し精度=2.83×繰返し精度の分散の平方根。
(r)=繰返し精度(材料平均の百分率(%)として)。
SR=再現性の標準偏差。
R=再現性=2.83×再現性の分散の平方根。
(R)=再現性(材料平均の百分率(%)として)。
【表9】


表4 タイプ1精度−試験方法B(リング)
注記
SR=繰返し精度の標準偏差。
r=繰返し精度=2.83×繰返し精度の分散の平方根。
(r)=繰返し精度(材料平均の百分率(%)として)。
SR=再現性の標準偏差。
R=再現性=2.83×再現性の分散の平方根。
(R)=再現性(材料平均の百分率(%)として)。
【表10】


19.4.4 繰返し精度、rは、評価した材料のレベルの範囲にわたり異なる。再現性、Rは、評価した材料のレベルの範囲にわたり異なる。
19.4.5 この試験方法の精度は、r、R、(r)、又は(R)の「適切な値」と呼ばれるもの、即ち、試験結果についての決定に使用される(この試験方法で得られた)値を使用するという記述に従うという形式で表し得る。この適切な値は、ルーチンの試験操作において任意の所与の材料に対して、任意の所与のときにおいて考慮下の平均レベルに最も近い、表1〜4における平均レベルに関連するr又はRの値を意味する。
19.4.6 繰返し精度 − この試験方法の繰返し精度、rは、表3及び4にまとめられた適切な値として立証されている。(任意の所与のレベルに対して)、この表にまとめられたrを超えて相異する、標準試験方法の手順下で得られた2つの単一試験の結果は、異なる又は同一ではない試料個体群から誘導されたものと考えなければならない。
19.4.7 再現性 − この試験方法の再現性、Rは、表3及び4にまとめられた適切な値として立証されている。(任意の所与のレベルに対して)、この表にまとめられたRを超えて相異する、2つの異なる研究室で標準試験方法の手順下で得られた2つの単一試験の結果は、異なる又は同一ではない試料個体群から来たものと考えなければならない。
19.4.8 平均レベルの百分率(%)として表される繰返し精度及び再現性、(r)及び(R)は、r及びRに対する19.3.6及び19.3.7と等価の適用の記述を有する。(r)及び(R)の記述では、2つの単一試験結果の差異は、2つの試験結果の算術平均の百分率(%)として表される。
19.4.9 偏り − 試験方法の用語において、偏りは、平均試験値と参照(又は真の)試験特性値の間の差異である。この(試験特性の)値は、この試験方法によって限定的に定義されるので、この試験方法に対する参照値は存在しない。したがって、偏りは決定することはできない。
【0128】
20.キーワード
20.1伸び;破断後永久ひずみ;引張特性;引張永久ひずみ;引張強度;引張応力;降伏点
【0129】
欧州規格 EN455−2
2000年10月
使い捨て医療用手袋(Medical gloves for single use)−パート2:物理的特性に対する必要条件及び試験(技術的正誤表1を含む:1996)
1 範囲
この規格のこの部分は、使い捨て医療用手袋(即ち外科用手袋及び検査/処置用手袋)の物理的特性に対する、必要条件を特定し、試験方法を付与して、これらが、患者及び使用者の双方からの相互汚染からの十分なレベルの保護を使用時に提供し、維持する。
【0130】
2 引用規格
この欧州規格は、日付のある又は日付のない引用によって、他の出版物からの規格を援用する。これらの引用規格は、この本文の適切な位置に引用されており、この出版物が以降に列挙される。日付の引用については、任意のこれらの出版物のその後の修正又は改正も、修正又は改正によってこの欧州規格に援用された場合のみ、これに適用される。日付のない引用については、この出版物の最新版が適用されると見なされる(修正を含む)。
ISO188
加硫ゴム又は熱可塑性ゴム − 加速エージング試験及び耐熱性試験
ISO4648
加硫ゴム又は熱可塑性ゴム − 試験片及び試験目的のための製品の寸法の測定
【0131】
3 用語及び定義
この規格の目的のために、以下の用語及び定義が適用される。
3.1
使い捨て医療用手袋
相互汚染から患者及び使用者を保護するための、医療分野における使用を対象とした手袋。
3.2
外科用手袋
親指が平坦に横にあるのではなく、人差し指の手のひら面の方に位置し、侵入性手術(invasive surgery)での使用を対象とした、無菌の、解剖学的に造形された医療用手袋。
3.3
検査/処置用手袋
解剖学的に造形されていてもいなくともよく、検診、診断処置及び治療処置を実施し、汚染された医用材料を取扱うことを対象とした、無菌又は非無菌の医療用手袋。
3.4
ロングカフ医療用手袋(Long−cuff medical gloves)
a)300mmの最小全体長さを有する外科用手袋
b)270mmの最小全体長さを有する検査/処置用手袋
3.5
継ぎ目のある医療用手袋;ウエルデッド手袋(welded gloves)
材料の平坦なフィルムを一緒に一体化させるか、さもなければ接着することによって製造された医療用手袋。
【0132】
4 寸法
4.1 通則
各ロットから13個の試料を取って、4.2及び4.3に記載された通り測定する場合、寸法に関して得られる中央値は、表1及び表2に示す通りでなければならない。
4.2 長さ
手袋の指先の形状に合うように丸みのある先端部を有する垂直な目盛り付き定規上に中指を置いて、手袋を自由につるすことによって長さを測定する。しわを除去し、手袋を引き伸ばすことなくたたむ。最小測定長さを記録する。
注記 測定をより容易にするため、この定規は、手袋が定規と接触しているように後方にわずかに曲げてもよい。
4.3 幅
平面上に置かれた手袋で、定規を用いて幅(図1に示された寸法w)を最も近いミリメートルまで測定する。手袋を引き伸ばさない。
表1−外科用手袋の寸法
【表11】


表2−検査/処置用手袋の寸法
【表12】

【0133】
5.強度
5.1 通則
手袋の強度を(23±2)℃の温度及び(50±5)%の相対湿度で、5.2、5.3、適切であれば、5.4に記載された通りに試験した場合、継ぎ目のある及び継ぎ目のない手袋の破断時荷重は、表3に示す通りでなければならない。
5.2 加速エージング前の破断時荷重
5.2.1 13個の手袋のそれぞれから(適用できる場合は7対の手袋から)、可能であればテクスチャ領域を避け、手袋の長軸の方向に試験片を採取して、試験試料の各手袋の掌、手の背部又はカフ領域から、図2に規定されたカッターを用いて1個のダンベル試験片を得る。
5.2.2 (23±2)°C及び相対湿度(50±5)%の周囲条件下、最低16時間調整した後、13個の試験片の破断時荷重を500mm/分のクロスヘッド速度で測定する。
注記 − 試験片がショルダーで破断する場合は、別の試験片について繰り返すことは必要ない。
5.2.3
a)5.2.1と同じ手袋の一重壁厚さ(t)を、(22±5)kPaのフート圧力(foot pressure)を有するゲージを用いて、ISO4648の方法A1に記載された通りに二重壁厚を測定することによって、中指上の指先から(13±3)mm以内のところで測定する。一重壁厚さを測定された厚さの1/2とする。
b)ダンベル試験片の厚さ(t)を、5.2.3a)に記載されたゲージを用いて、ISO4648の方法A1に記載された通りに測定する。
c)tとtの値を比較する。t/t≧0.9の場合は、測定された破断時荷重への補正は必要でない。t/t<0.9の場合は、測定された破断時荷重(5.2.2参照)にt/tの係数を乗ずることによって測定値を修正する。
注記 − この規格には厚さについての必要条件は存在しないが、手袋の指は、設計又は製造方法の理由で、試験片が採取された時点より有意に薄く、したがって破断荷重に対してより弱いことがあり得ると理解される。表3に示される最小破断時荷重の必要条件が指先で維持されていることを保証することが重要である。指先と試験片が採取されたところの厚さの間の差が小さい(10%未満である)場合、補正は必要ではない。この差が10%を超える場合は、相対厚さに基づく補正係数を測定された破断時荷重に適用して、指先における手袋の強度の実際の見積もりを得る。
5.2.4 必要に応じて5.2.3に記載された通りに補正された、13試料のそれぞれに対する破断時荷重(ニュートン単位)を記録する。記録した結果の中央値は、表3値に適合しなければならない。
5.3 加速エージング後の破断時荷重
5.3.1 単位包装中にパックした手袋又は大量包装から採取した手袋を、ISO188で規定された通り、(70±2)℃の温度のオーブン中に7日間入れる。
5.3.2 5.2に記載された通りに破断時荷重を測定する。
5.4 継ぎ目のある手袋
5.4.1 試験試料中の13個の手袋のそれぞれからカッターを用いて、試験片の狭い平行部分の長さ中に継ぎ目が存在し、試験片の長軸に対して直角を成すような1個のダンベル試験片を得る。
5.4.2 5.2.2に記載された通りに、13試験片の破断時荷重を測定する。
5.4.3 13個の得られた試料の破断時荷重(ニュートン単位)の中央値を記録する。
5.4.4 5.3.1に記載された通りにエージングされた手袋について、5.4.1、5.4.2及び5.4.3を繰り返す。
表3−破断時荷重の中央値
【表13】

【0134】
6 試験の報告
いずれの試験の報告も、少なくとも以下の情報を含まなければならない。
− EN455のこの部分に対する言及、
− 手袋のタイプ及び製造バッチコード、
− 製造者又は流通業者及び試験研究室(異なる場合)の名称及び住所、
− 試験を実施した日付、
− 試験結果。
【0135】
本発明の具体的な実施形態が本明細書に例示され、詳細に説明されているが、本発明はこれには限定されない。上記の説明は、本発明の例示として提供されており、本発明の何らかの限定となるものと解釈するべきではない。当業者であれば修正が明らかであり、本発明の本質から逸脱しないすべての修正は、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約190mm−1以上のSCI100を有し、ここで、SCI100値は、比
【数1】


[式中、Tは製品の引張強度であり、Tはx%伸びにおける引張応力であり、xは100であり、tは応力下にない試験片の厚さであり、T、T、及びtは、すべてASTM D−412に従って測定され、強度−快適性指数、又はSCIは、
【数2】


で定義される。]
により、変形へのその抵抗に対する製品の引張強度を測定することによって計算される、合成エラストマーを含む製品。
【請求項2】
約200mm−1、約225mm−1、又は約250mm−1以上のSCI100を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
合成エラストマーが、水性分散体として調製される、請求項1又は2に記載の製品。
【請求項4】
合成エラストマーが、乳化重合によって調製される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
合成エラストマーがC〜Cジエンを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
合成エラストマーが、1,3−ブタジエンを含むモノマー混合物から調製される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
合成エラストマーが、アクリロニトリルを含むモノマー混合物から調製される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
前記製品の厚さが約0.09mm以下である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
引張強度が、ダイC又はダイDから切断した試料から測定される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
浸漬工程を用いて作製される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
手袋である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項12】
ASTM D−412に従って測定した場合、14MPa以上の引張強度及び500%以上の極限伸びを有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
EN455−2に従って測定した場合、9N以上の破断時荷重を有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載の製品。
【請求項14】
190mm−1を超えるSCI100を有する合成ポリマー薄膜を製造する方法であって、
a)引張強度及び引張応力に対する様々な値を提供するために配合することができる、ポリマー組成物又は一連のポリマー組成物を特定するステップと、
b)このポリマー組成物又は一連のポリマー組成物にかけられる配合及び処理条件を、SCI100が190mm−1以上の値を有するように任意に調整することによって、引張強度、引張応力、及び薄膜厚さの平衡を釣り合わせるポリマー薄膜を製造するステップとを含み、ここで、SCI100値は、比
【数3】


[式中、Tは製品の引張強度であり、Tはx%伸びにおける引張応力であり、xは100であり、tは応力下にない試験片の厚さであり、T、T、及びtは、すべてASTM D−412に従って測定され、強度−快適性指数、又はSCIは、
【数4】


で定義される。]
により、変形へのその抵抗に対する製品の引張強度を測定することによって計算される、上記方法。
【請求項15】
ポリマー薄膜が、約200mm−1、約225mm−1、又は約250mm−1以上のSCI100を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
c)無釉の滑面セラミックの手袋型を用意するステップと、
d)前記手袋型を約70から約120℃の間の温度まで加熱し、続いて加熱した手袋型を約20〜約35%の硝酸カルシウムを含む水性凝固剤中に浸漬し、手袋型を約2から約30mm/秒の間の退出速度で凝固剤から取り出すステップと、
凝固剤でぬれた手袋型を約70〜約120℃で約30〜約60秒間乾燥させ、続いて型をカルボキシル化ニトリルラテックス化合物中に、約15〜約100mm/秒の侵入速度、0〜約10秒の滞留時間、及び約15〜約30mm/秒の退出速度で浸漬するステップとを含み、ここで、前記カルボキシル化ニトリルラテックス化合物は、約8.8を超えるpH、約0.6〜約1phrの酸化亜鉛を含む、約15〜約30%の不揮発性含量、及び約15〜約40℃の温度を有する、請求項14に記載の合成ポリマー手袋を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−533227(P2010−533227A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516056(P2010−516056)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/008484
【国際公開番号】WO2009/009104
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(508355002)バンコック シンセティックス カンパニー、リミテッド (2)
【Fターム(参考)】