説明

期日管理方法、期日管理システムおよびその関連技術

【課題】非接触型ICタグを用いた自然劣化部品等の期日管理システムにおいて、自然劣化部品の場合には、製品有効期限と現在時刻の比較がポイントになるが、人為的な時刻設定や設定変更には誤りが入り込む余地があり、誤判定を起こす可能性がある。
【解決手段】非接触型ICタグ1に保持されている有効期限情報を非接触で読み取る情報読み取り装置2と、時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計3と、情報読み取り装置2が読み取った有効期限情報を電波時計3から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置4とを備える。非接触型ICタグの有効期限情報を判定する上で基準となる現在時刻として、標準電波送信所によって高度に正確に管理され誤差のない標準電波に含まれる時刻情報を電波時計が受け取って用いるので、高精度な判定が可能となり、従来技術に認められたような人為的な時刻設定や時刻設定変更のミスに起因する誤判定を免れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICタグを用いて製品有効期限や賞味期限などの指定期日の管理を行う期日管理方法、期日管理システム、期日管理装置、期日管理用の半導体集積回路装置、賞味期限管理装置および定期券確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品の寿命を把握するのに非接触型ICタグを利用する装置が提案されている。例えば、インクジェットプリンタにおいて、その光源の寿命を管理する装置として、次のようなものがある。光源に非接触型ICタグが取り付けられている。制御装置は、光源の点灯時間を計時するとともに、光源の点灯・消灯回数を数えるように構成されている。電源オフ時に、制御装置が計時した点灯時間と点灯消灯回数を非接触型ICタグに書き込む。次の電源オン時に、制御装置が非接触型ICタグから点灯時間と点灯消灯回数を読み取り、点灯時間が設定時間以下であるか否か、また、点灯消灯回数が設定回数以下であるか否かを判定することにより、光源の寿命を把握し、交換時期を知らせる(特許文献1参照)。
【0003】
また、同様にインクジェットプリンタのワイパブレードの寿命を把握し、交換時期を知らせる方法も開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
電子機器の電源スイッチがオンされた時刻からオフされる時刻までの通電時間を累積し、その通電累積時間とあらかじめ設定された消耗部品の寿命時間とを比較判定して、交換時期を知らせる方法も開示されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−138476号公報(第6−11頁、第1−8図)
【特許文献2】特開2005−138479号公報(第6−11頁、第1−5図)
【特許文献3】特開平6−267258号公報(第2−4頁、第1−4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば石油ファンヒータの吸気用ゴムパイプのように自然劣化を起こすゴム製部品の場合は、使用するかどうかにかかわらず、製造されてから一定の期間が経つと自然に劣化する。飲食料品の場合には、賞味期限がある。しかし、これらは、使用時間または使用回数の累積値といったものとは別のものである。使用時間または使用回数の累積値を基に寿命の判定を行う上記従来の寿命管理装置は、自然劣化部品の寿命管理や飲食料品の賞味期限管理には適さない。すなわち、自然劣化部品や飲食料品の場合には、製品有効期限と現在時刻の比較がポイントになるが、人為的な時刻設定や設定変更には誤りが入り込む余地があり、誤判定を起こす可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて創作したものであり、誤判定をなくし高精度に期日管理、賞味期限管理を行える技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による期日管理方法は、
期日情報を保持する非接触型ICタグから前記期日情報を非接触で読み取るステップと、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計から前記時刻情報を受け取るステップと、
前記非接触型ICタグから読み取った前記期日情報を前記電波時計から受け取った現在時刻で判定処理するステップとを含むものである。
【0008】
本発明による期日管理システムは、
期日情報を保持する非接触型ICタグと、
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記期日情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えたものである。
【0009】
本発明による期日管理装置は、
非接触型ICタグに保持されている期日情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記期日情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えたものである。これは、上記の期日管理システムから構成要素として非接触型ICタグを外したものに相当している。
【0010】
本発明による期日管理用の半導体集積回路装置は、
非接触型ICタグに保持されている期日情報を非接触で読み取る情報読み取り装置から前記期日情報を受け取り、かつ、時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計から前記時刻情報を受け取り、前記情報読み取り装置からの前記期日情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置を含むものである。これは、上記の期日管理装置から構成要素として情報読み取り装置と電波時計を外したものに相当している。
【0011】
これらの構成においては、情報読み取り装置が非接触型ICタグから期日情報を読み取り、制御装置に渡す。制御装置は、電波時計から現在時刻を入力し、期日情報を現在時刻で判定することにより、指定期日が到来したか等を確認する。電波時計が標準電波から受け取る時刻情報は標準電波送信所によって高度に正確に管理されており、誤差が含まれることはない。その高精度な電波時計による現在時刻で非接触型ICタグの期日情報を判定するので、その判定の精度はきわめて高いものとなる。すなわち、従来技術に認められたような人為的な時刻設定や時刻設定変更のミスに起因する誤判定を免れる。特に、自然劣化する部品や商品を対象とする場合に、その使用時間の長短や使用回数の大小とかには関係なく、製造されてからの期間経過を正確に反映した寿命管理が可能となる。自然劣化する部品や商品としては、上記のようなゴム製部品、医薬品、医薬部外品、化粧品など任意のものを対象としてよく、それぞれの使用期限を的確に管理する上で有用となる。温度面、湿度面、圧力面、振動面などで過酷な環境で使用される各種機器における電気的部品、機械的部品なども対象となる。
【0012】
また、上記構成の期日管理システムまたは期日管理装置または半導体集積回路装置において、前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、交換時期の接近または到来を報知する信号を生成出力するという態様がある。この場合、利用者に対して交換時期の接近または到来を知らせることが可能になるが、上記のように期日判定が電波時計に基づいて行われるので、交換時期の接近または到来の報知を的確に行うことが可能となる。
【0013】
また、上記構成の期日管理システムまたは期日管理装置または半導体集積回路装置において、前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果、前記現在時刻が前記製品有効期限を経過しているときは、被制御機器を強制的に不動作モードに設定する信号を生成出力するという態様がある。この場合、被制御機器の使用が製品有効期限を経過したときは、その被制御機器を強制的に不動作状態に設定するので、被制御機器の誤動作を未然に確実に防止することが可能になる。そして、製品有効期限判定が電波時計に基づいて行われるので、安全管理を高度に実現することが可能となる。
【0014】
そして、上記において、前記非接触型ICタグが自然劣化部品に付されている場合には、上記の作用効果を最大限に発揮することが可能になる。すなわち、その自然劣化部品の使用時間の長短や使用回数の大小とかには関係なく、製造されてからの期間経過を正確に反映した寿命管理が可能となる。
【0015】
本発明による賞味期限管理装置は、
賞味期限情報を保持して飲食料品に付された非接触型ICタグの前記賞味期限情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記賞味期限情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えたものである。この賞味期限管理装置は、冷蔵庫や冷凍庫などに搭載される。なお、飲食料品には調味料なども含まれる。
【0016】
この構成においては、情報読み取り装置が非接触型ICタグから賞味期限情報を読み取り、制御装置に渡す。制御装置は、電波時計から現在時刻を入力し、賞味期限情報を現在時刻で判定することにより、賞味期限が到来したか等を確認する。電波時計が標準電波から受け取る時刻情報は標準電波送信所によって高度に正確に管理されており、誤差が含まれることはない。その高精度な電波時計による現在時刻で非接触型ICタグの賞味期限情報を判定するので、その判定の精度はきわめて高いものとなる。すなわち、人為的な時刻設定や時刻設定変更のミスに起因する誤判定を免れ、味や衛生の面で食料品を安全に管理することが可能になる。
【0017】
上記構成の賞味期限管理装置において、前記制御装置は、前記賞味期限情報を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、賞味期限の接近または到来を報知する信号を生成出力するという態様がある。この場合、利用者に対して賞味期限の接近または到来を知らせることが可能になるが、上記のように賞味期限判定が電波時計に基づいて行われるので、賞味期限の接近または到来の報知を的確に行うことが可能となる。
【0018】
上記構成の賞味期限管理装置において、前記制御装置は、賞味期限の接近または到来を報知する信号を生成出力する場合に、あらかじめ設定された携帯電話または携帯情報端末にメールを送信して知らせるという態様がある。この場合、外出先の利用者にメールで賞味期限が迫ってきたことを知らせることが可能で、利用者の買い物の便に供することが可能である。
【0019】
本発明による定期券確認システムは、
非接触型ICカードに保持されている定期券有効期限情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICカードから読み取った前記定期券有効期限情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えたものである。これは、非接触型ICカードを対象としている。
【0020】
また、本発明による定期券確認システムは、
非接触型ICタグに保持されている定期券有効期限情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記定期券有効期限情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えたものである。これは、非接触型ICタグを対象としている。
【0021】
この構成においては、情報読み取り装置が非接触型のICカードまたはICタグから定期券有効期限情報を読み取り、制御装置に渡す。制御装置は、電波時計から現在時刻を入力し、定期券有効期限情報を現在時刻で判定することにより、定期券有効期限が到来したか等を確認する。電波時計が標準電波から受け取る時刻情報は標準電波送信所によって高度に正確に管理されており、誤差が含まれることはない。その高精度な電波時計による現在時刻で定期券有効期限を判定するので、その判定の精度はきわめて高いものとなる。
【0022】
上記構成の定期券確認システムにおいて、前記制御装置は、前記定期券有効期限情報を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、定期券有効期限の接近または到来を報知する信号を生成出力するという態様がある。この場合、利用者に対して定期券有効期限の接近または到来を知らせることが可能になるが、上記のように定期券有効期限判定が電波時計に基づいて行われるので、定期券有効期限の接近または到来の報知を的確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、非接触型ICタグの期日情報を判定する上で基準となる現在時刻として、標準電波送信所によって高度に正確に管理され誤差のない標準電波に含まれる時刻情報を電波時計が受け取って用いるようにしているので、高精度な判定が可能となり、従来技術に認められたような人為的な時刻設定や時刻設定変更のミスに起因する誤判定を免れる。したがって、非常に安全で、手間のかからない期日管理・期限管理を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明にかかわる実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における期日管理システムAの構成を示すブロック図である。本実施の形態の期日管理システムAは、製品固有情報と製品有効期限情報を有する非接触型ICタグ1と、非接触型ICタグ1に保持されている製品固有情報と製品有効期限情報を読み取る情報読み取り装置2と、電波時計3、制御装置4、表示装置5、音声出力装置6および被制御機器7から構成されている。製品有効期限情報は上述の期日情報の一例である。
【0026】
被制御機器7は、ある固有の機能を有する装置であれば、どんなものでもよい。例えば、AV機器、石油ファンヒータなどの家庭電化製品や通信機器や自動車の電子機器などである。
【0027】
非接触型ICタグ1は、RFID(Radio Frequency Identification)方式の読み書き可能な不揮発性半導体メモリと、アンテナと、受信電波を受けて起電力を発生する電源回路と、情報書込・読取装置からアンテナを介して受信した電波の信号を復調し、情報書込・読取装置へ送信する電波の信号に変調する通信回路と、半導体メモリとの送受信データの読み書きを制御する制御装置から構成されている。この非接触型ICタグ1は、例えば、ゴム製部品などのように自然劣化部品などに埋め込まれて使用される。
【0028】
情報読み取り装置2は、非接触型ICタグ1から製品固有情報と製品有効期限情報を読み取り、制御装置4に受け渡す機能を有している。なお、製品固有情報と製品有効期限情報を非接触型ICタグ1内の不揮発性半導体メモリに書き込むための書き込み装置については、本実施の形態の期日管理システムAでは、必要としない。
【0029】
電波時計3は、アンテナ、受信機、マイクロプロセッサまたは専用集積回路によって構成されている。標準電波送信所から送信される時刻情報をのせた標準電波をアンテナを介して受信機で受信し、マイクロプロセッサまたは専用集積回路で時刻信号の解読を行い、正しい現在時刻(年月日時分秒)情報を生成する。標準電波送信所としては、日本では、福島県の「おおたかどや山標準電波送信所」や九州の「はがね山標準電波送信所」などがあり、概ねどの地域でも標準電波を受信できるようになっている。
【0030】
制御装置4は、CPUと制御プログラムを記憶したメモリ(例えばROMやEPROMなど)と、書き換え可能なメモリ(例えばRAM)によって構成されたマイクロプロセッサまたは専用集積回路であり、非接触型ICタグ1から取得した製品有効期限情報を電波時計3の現在時刻を基に判定処理し、処理結果データを表示装置5や音声出力装置6や被制御機器7に出力する機能を有している。
【0031】
表示装置5は、制御装置4からの出力データを表示する働きをもつ。また、音声出力装置6は、制御装置4からの出力データを音声として出力する働きをもつ。
【0032】
次に、上記のように構成された本実施の形態の期日管理システムAの動作を図2のフローチャートに従って説明する。このフローチャートのプログラムは制御装置4内のメモリに記憶されている。
【0033】
まず、ステップS1において、情報読み取り装置2は非接触型ICタグ1から製品固有情報と製品有効期限情報を読み取り、制御装置4にICタグ1の情報を受け渡す。製品有効期限情報としては、有効年月日時間情報、または製造年月日時間情報と有効期間情報を用いることができる。
【0034】
次いでステップS2において、制御装置4は、電波時計3から現在時刻情報(年月日時分秒)を読み取る。
【0035】
次いでステップS3において、制御装置4は、非接触型ICタグ1から取得した製品有効期限情報を電波時計3の現在時刻情報を用いて、現在時刻が製品有効期限を過ぎているか否かを判定する。そして、製品有効期限を過ぎていないと判定したときは、ステップS4に進み、製品有効期限を過ぎていると判定したときは、ステップS8に進む。
【0036】
ステップS4において、制御装置4は、現在時刻が製品有効期限前一定期間内か否かを判定する。そして、現在時刻が製品有効期限前一定期間内になっておらず、製品有効期限まで充分な時間的余裕がある場合には、ステップS5に進んで、制御装置4は被制御機器7を正常動作モードに設定するためのモード制御信号を被制御機器7に出力する。そのモード制御信号を受けた被制御機器7は自分自身を正常動作状態に設定する。
【0037】
一方、ステップS4の判断で製品有効期限前一定期間内であると判定したときは、ステップS6に進んで、交換時期が接近していることを示す予告データを表示装置5や音声出力装置6に出力する。その予告データを受けた表示装置5や音声出力装置6は、交換時期が近いことを利用者に知らせる。
【0038】
次いでステップS7において、制御装置4は、被制御機器7をセーフティ動作モードに設定するためのモード制御信号を被制御機器7に出力する。そのモード制御信号を受けた被制御機器7は自分自身をセーフティ動作状態に設定する。セーフティ動作状態とは、例えば、石油ファンヒータの場合であれば、一定時間ごとに換気が必要なことを知らせるとか、一定時間使用したら石油ファンヒータの動作を止めるなど、安全に配慮した動作状態のことである。
【0039】
一方、ステップS3の判断で製品有効期限を過ぎていると判定してステップS8に進むと、制御装置4は、製品有効期限を過ぎており製品交換が必要であることを示す警告データを表示装置5や音声出力装置6に出力する。その警告データを受けた表示装置5や音声出力装置6は、製品有効期限時期を過ぎており、製品交換が必要であることを利用者に知らせる。
【0040】
次いでステップS9において、制御装置4は、あらかじめの措置により不動作設定がなされているか否かを判断し、不動作設定がなされていないときは、ステップS7に進んで、被制御機器7をセーフティ動作モードに設定する。一方、不動作設定がなされているときは、ステップS10に進んで、制御装置4は被制御機器7を強制的に不動作モードに設定するためのモード制御信号を被制御機器7に出力する。そのモード制御信号を受けた被制御機器7は、自分自身を強制的に不動作状態に設定する。
【0041】
以上のように本実施の形態の期日管理システムAによれば、製品有効期限判定が電波時計3による高精度な現在時刻に基づいて行われるので、利用者に対し交換時期の接近または到来の報知を的確に行うことができる。また、製品有効期限を経過したときは、被制御機器7を強制的に不動作モードにするので、被制御機器7の誤動作を未然に確実に防止することできる。すなわち、人為的な時刻設定ミスに起因する被制御機器7の誤動作や人為的な時刻設定変更に起因する被制御機器7の誤使用・誤動作を未然に防止することができ、安全性および信頼性の高い期日管理システムを実現できる。
【0042】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における有効期限管理装置B(期日管理装置の一例)を含む期日管理システムの構成を示すブロック図である。図3において、実施の形態1の図1におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。実施の形態1の期日管理システムAが構成要素の1〜7から構成されているのに対して、本実施の形態の有効期限管理装置Bは、情報読み取り装置2、電波時計3および制御装置4から構成されている。その他の構成については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0043】
本実施の形態の有効期限管理装置Bの動作は、実施の形態1の場合の図2に示すフローチャートと同様になる。
【0044】
本実施の形態の有効期限管理装置Bの場合も、実施の形態1の場合と同様に、人為的な時刻設定ミスや時刻設定変更に起因する被制御機器7の誤使用・誤動作を未然に防止して、安全性および信頼性の高い期日管理システムを実現することができる。
【0045】
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3における期日管理用の半導体集積回路装置Cを含む期日管理システムの構成を示すブロック図である。図4において、実施の形態2の図3におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。本実施の形態の期日管理用の半導体集積回路装置Cは、有効期限管理装置Bの内部における制御装置4に相当し、半導体集積回路で構成された処理回路4aをもって構成されている。その他の構成については、実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
本実施の形態の期日管理用の半導体集積回路装置Cの動作は、実施の形態1の場合の図2に示すフローチャートと同様になる。
【0047】
本実施の形態の期日管理用の半導体集積回路装置Cの場合も、実施の形態1の場合と同様に、人為的な時刻設定ミスや時刻設定変更に起因する被制御機器7の誤使用・誤動作を未然に防止して、安全性および信頼性の高い期日管理システムを実現することができる。
【0048】
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4における飲食料品の賞味期限管理装置Dを含む期日管理システムの構成を示すブロック図である。図5において、実施の形態2の図3におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。非接触型ICタグ1は、飲食料品固有情報と賞味期限情報を保持しており、飲食料品の包装に付設される。本実施の形態の賞味期限管理装置Dは、飲食料品を保存する冷蔵庫または冷凍庫に搭載される。図3の場合の被制御機器7がなく、代わりに、メール送信装置8が制御装置4に接続されている。情報読み取り装置2は、非接触型ICタグ1から飲食料品固有情報と賞味期限情報を読み取り、制御装置4に受け渡す機能を有している。制御装置4は、非接触型ICタグ1から取得した賞味期限情報と電波時計3の現在時刻情報を処理し、処理結果データを表示装置5や音声出力装置6やメール送信装置8に出力する機能を有している。メール送信装置8は、制御装置4から出力されるメール送信データを基にあらかじめ設定された携帯電話または携帯情報端末9に電子メールとしてメッセージを送る働きをもつ。IPv6(Internet Protocol version 6)になれば、128ビットの広大なIPアドレス空間をもつことができるので、メール送信装置8にもIPアドレスを割り振ることができる。その他の構成については、実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。
【0049】
次に、上記のように構成された本実施の形態の賞味期限管理装置Dの動作を図6のフローチャートに従って説明する。このフローチャートのプログラムは制御装置4内のメモリに記憶されている。
【0050】
まず、ステップS11において、情報読み取り装置2は非接触型ICタグ1から飲食料品固有情報と賞味期限情報を読み取り、制御装置4にICタグ1の情報を受け渡す。賞味期限情報としては、賞味期限年月日時間情報、または製造年月日時間情報と賞味期間情報を用いることができる。
【0051】
次いでステップS12において、制御装置4は、電波時計3から現在時刻を読み取る。
【0052】
次いでステップS13において、制御装置4は、非接触型ICタグ1から取得した賞味期限情報を電波時計3の現在時刻情報を用いてで判定し、現在時刻が賞味期限を過ぎているか否かを判定する。そして、賞味期限を過ぎていないと判定したときは、ステップS14に進み、賞味期限を過ぎていると判定したときは、ステップS16に進む。
【0053】
ステップS14において、制御装置4は、現在時刻が賞味期限前一定期間内か否かを判定する。そして、現在時刻が賞味期限前一定期間内になっておらず、賞味期限まで充分な時間的余裕がある場合には、ステップS17に進む。
【0054】
一方、ステップS14の判断で賞味期限前一定期間内であると判定したときは、ステップS15に進んで、賞味期限が接近していることを示す予告データを表示装置5や音声出力装置6に出力する。その予告データを受けた表示装置5や音声出力装置6は、賞味期限が近いことを利用者に知らせる。次いでステップS17に進む。
【0055】
一方、ステップS13の判断で賞味期限を過ぎていると判定してステップS16に進むと、制御装置4は、賞味期限を過ぎていること示す警告データを表示装置5や音声出力装置6に出力する。その警告データを受けた表示装置5や音声出力装置6は、賞味期限を過ぎていることを利用者に知らせる。次いでステップS17に進む。
【0056】
ステップS17に進むと、制御装置4は、あらかじめの措置によりメール送信の設定がなされているか否かを判断し、メール送信の設定がなされているときは、ステップS18に進んで、メール送信データをメール送信装置8に出力する。メール送信データを受けたメール送信装置8は、自動的にあらかじめ設定された携帯電話または携帯情報端末9に電子メールとしてメッセージを送信する。
【0057】
以上のように本実施の形態の賞味期限管理装置Dによれば、賞味期限判定が電波時計3による高精度な現在時刻に基づいて行われるので、利用者に対し賞味期限の接近または到来の報知を的確に行うことができる。すなわち、人為的な時刻設定ミスや時刻設定変更に起因する誤判定から免れ、味や衛生の面で飲食料品を安全に管理することができる。また、賞味期限の接近または到来を携帯電話または携帯情報端末にメール送信することにより、外出先の利用者にメールで賞味期限が迫ってきたことを知らせることが可能で、利用者の買い物の便に供することが可能である。
【0058】
(実施の形態5)
図7は本発明の実施の形態5における定期券確認システムEの構成を示すブロック図である。図7において、実施の形態1の図1におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。非接触型ICカード1aは、定期券固有情報と定期券有効期限情報を保持している。本実施の形態の定期券確認システムEは、定期券固有情報と定期券有効期限情報を有する非接触型ICカード1a、非接触型ICカードの情報を読み取る情報読み取り装置2を備えている。非接触型ICカード1aは、RFID方式の読み書き可能な不揮発性半導体メモリと、アンテナと、受信電波を受けて起電力を発生する電源回路と、情報書込・読取装置からアンテナを介して受信した電波の信号を復調し、情報書込・読取装置へ送信する電波の信号に変調する通信回路と、半導体メモリとの送受信データの読み書きを制御する制御装置から構成されている。情報読み取り装置2は、非接触型ICカード1aから定期券固有情報と定期券有効期限情報を読み取り、制御装置4に受け渡す機能を有している。制御装置4は、非接触型ICカード1aから取得した定期券有効期限情報と電波時計3の現在時刻情報を処理し、処理結果データを表示装置5や音声出力装置6や通行ゲート10に出力する機能を有している。なお、非接触型ICカード1aに代えて、非接触型ICタグに定期券固有情報と定期券有効期限情報が保持されている場合もある。その他の構成については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
次に、上記のように構成された本実施の形態の定期券確認システムEの動作を図8のフローチャートに従って説明する。
【0060】
まず、ステップS21において、情報読み取り装置2は非接触型ICカード1aから定期券固有情報と定期券有効期限情報を読み取り、制御装置4にICカード1aの情報を受け渡す。定期券有効期限情報としては、開始年月日時間情報と有効年月日時間情報、または開始年月日時間情報と有効期間情報を用いることができる。
【0061】
次いでステップS22において、制御装置4は、電波時計3から現在時刻情報を読み取る。
【0062】
次いでステップS23において、制御装置4は、非接触型ICカード1aから取得した定期券有効期限情報を電波時計3の現在時刻情報を用いて、現在時刻が定期券有効期限を過ぎていないかを判定する。そして、定期券有効期限を過ぎていないと判定したときは、ステップS24に進み、定期券有効期限を過ぎていると判定したときは、ステップS26に進む。
【0063】
ステップS24において、制御装置4は、現在時刻が定期券有効期限前一定期間内か否かを判定する。そして、現在時刻が定期券有効期限前一定期間内になっておらず、定期券有効期限まで充分な時間的余裕がある場合には、次のステップに進む。
【0064】
一方、ステップS24の判断で定期券有効期限前一定期間内であると判定したときは、ステップS25に進んで、更新時期が接近していることを示す予告データを表示装置5や音声出力装置6に出力する。その予告データを受けた表示装置5や音声出力装置6は、更新時期が近いことを利用者に知らせる。
【0065】
一方、ステップS23の判断で定期券有効期限を過ぎていると判定してステップS26に進むと、制御装置4は、定期券有効期限を過ぎていることを示す警告データを表示装置5や音声出力装置6に出力する。その警告データを受けた表示装置5や音声出力装置6は、定期券有効期限を過ぎており、定期券の更新が必要であることを利用者および管理者に知らせる。さらに、制御装置4は制御信号を通行ゲート10に出力する。その制御信号を受けた通行ゲート10は、利用者の通行を遮断するように動作する。
【0066】
以上のように本実施の形態の定期券確認システムEによれば、定期券有効期限判定が電波時計3による高精度な現在時刻に基づいて行われるので、利用者に対し定期券有効期限の接近または到来の報知を的確に行い、違反できないようにすることができる。すなわち、人為的な時刻設定ミスや時刻設定変更に起因する誤判定から免れ、新規の定期券購入のタイミングを効果的に管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の技術は、非接触型ICタグ(非接触型ICカード)と電波時計を用いることにより、人為的な時刻設定や時刻設定変更のミスに起因する誤判定を免れるため、非常に安全であるばかりでなく、手間も掛からないという利点があり、広く各種電子機器や飲食料品の冷凍・冷蔵保存装置や定期券確認システムなどに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1における期日管理システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における期日管理システムの処理の手順を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2における有効期限管理装置を含む期日管理システムの構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態3における期日管理用の半導体集積回路装置を含む期日管理システムの構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態4における飲食料品の賞味期限管理装置を含む期日管理システムの構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態1における賞味期限管理装置を含む期日管理システムの処理の手順を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態5における定期券確認システムの構成を示すブロック図
【図8】上記実施の形態5における定期券確認システムの処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0069】
A 期日管理システム
B 有効期限管理装置
C 期日管理用の半導体集積回路装置
D 賞味期限管理装置
E 定期券確認システム
1 非接触型ICタグ
1a 非接触型ICカード
2 情報読み取り装置
3 電波時計
4 制御装置
5 表示装置
6 音声出力装置
7 被制御機器
8 メール送信装置
9 携帯電話または携帯情報端末
10 通行ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
期日情報を保持する非接触型ICタグから前記期日情報を非接触で読み取るステップと、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計から前記時刻情報を受け取るステップと、
前記非接触型ICタグから読み取った前記期日情報を前記電波時計から受け取った現在時刻で判定処理するステップとを含む期日管理方法。
【請求項2】
期日情報を保持する非接触型ICタグと、
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記期日情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えた期日管理システム。
【請求項3】
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、交換時期の接近または到来を報知する信号を生成出力する請求項2に記載の期日管理システム。
【請求項4】
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果、前記現在時刻が前記製品有効期限を経過しているときは、被制御機器を強制的に不動作モードに設定する信号を生成出力する請求項2に記載の期日管理システム。
【請求項5】
前記非接触型ICタグが自然劣化部品に付されている請求項3または請求項4に記載の期日管理システム。
【請求項6】
非接触型ICタグに保持されている期日情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記期日情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えた期日管理装置。
【請求項7】
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、交換時期の接近または到来を報知する信号を生成出力する請求項6に記載の期日管理装置。
【請求項8】
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果、前記現在時刻が前記製品有効期限を経過しているときは、被制御機器を強制的に不動作モードに設定する信号を生成出力する請求項6に記載の期日管理装置。
【請求項9】
非接触型ICタグに保持されている期日情報を非接触で読み取る情報読み取り装置から前記期日情報を受け取り、かつ、時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計から前記時刻情報を受け取り、前記情報読み取り装置からの前記期日情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置を含む期日管理用の半導体集積回路装置。
【請求項10】
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、交換時期の接近または到来を報知する信号を生成出力する請求項9に記載の期日管理用の半導体集積回路装置。
【請求項11】
前記非接触型ICタグに保持されている前記期日情報が製品有効期限を含み、前記制御装置は、前記製品有効期限を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果、前記現在時刻が前記製品有効期限を経過しているときは、被制御機器を強制的に不動作モードに設定する信号を生成出力する請求項9に記載の期日管理用の半導体集積回路装置。
【請求項12】
賞味期限情報を保持して飲食料品に付された非接触型ICタグの前記賞味期限情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記賞味期限情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えた賞味期限管理装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記賞味期限情報を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、賞味期限の接近または到来を報知する信号を生成出力する請求項12に記載の賞味期限管理装置。
【請求項14】
前記制御装置は、賞味期限の接近または到来を報知する信号を生成出力する場合に、あらかじめ設定された携帯電話または携帯情報端末にメールを送信して知らせる請求項13に記載の賞味期限管理装置。
【請求項15】
非接触型ICカードに保持されている定期券有効期限情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICカードから読み取った前記定期券有効期限情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えた定期券確認システム。
【請求項16】
非接触型ICタグに保持されている定期券有効期限情報を非接触で読み取る情報読み取り装置と、
時刻情報をのせた標準電波を受信する電波時計と、
前記情報読み取り装置が前記非接触型ICタグから読み取った前記定期券有効期限情報を前記電波時計から与えられる現在時刻で判定処理する制御装置とを備えた定期券確認システム。
【請求項17】
前記制御装置は、前記定期券有効期限情報を前記電波時計の現在時刻で判定処理した結果に基づいて、定期券有効期限の接近または到来を報知する信号を生成出力する請求項15または請求項16に記載の定期券確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−59067(P2008−59067A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232368(P2006−232368)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】