説明

木材を処理するための方法

【課題】 処理液体によって木材を処理するための方法を提供する。
【解決手段】 処理液体によって木材を処理するための方法であって、前記木材及び前記処理液体を保持する容器を与える、前記木材を前記容器内に置く、前記木材を電波放射に供するために前記容器内に電極を与える、前記木材を少なくとも部分的に覆うためにかつ前記処理液体の表面の下の前記電極を少なくとも部分的に覆うために前記容器内に特定の容積の前記処理液体を与える、前記木材で前記処理液体の少なくとも一部を除去するために前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた前記木材に向けてのかつ前記木材からの前記処理液体の第一流れを前記容器内に与える、及び前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた前記木材を、前記木材の温度を高めるために前記電極からの電波放射による露出に供する、工程を含むことを特徴とする木材を処理するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
木材の同時加熱を含む、木材の流体処理のための方法が提案される。
【背景技術】
【0002】
木材工業において、木材が特定の特質または特徴(例えば微生物に対する抵抗性、天然流体の低い含有量、変更された構造特性、または特別な色)を得るために処理されることは一般的である。しかし、木材処理の共通のコストのかかる問題は木材のそりであり、それは二つの主要な影響により説明される。第一に、そりは収縮異方性の結果であることができ、へこみ、弓そり、及びひねりをもたらす。第二に、そりは不均一乾燥の結果であることができ、破裂、外部及び内部の割れ、及び裂け目のような構造的損傷を導く。
【0003】
木材処理の一つの共通の工程は木材製品の加熱を含み、それは様々な形の電磁線を付与することにより達成されることができる。最短波長では、製品は赤外線により照射され、そこでは熱は対流または伝導を通して表面から製品の内部に到達する。マイクロ波線がまた、加熱のために付与されることができ、そこでは温度は製品の直接誘電加熱を通して上昇される。これは付与エネルギーのより深い侵入を与える。最長波長では、製品は高周波電波放射を受けさせられ、それはまた、誘電加熱を通して温度を上昇するが、マイクロ波線の侵入と比較してより深い侵入を持ち、それにより均一な加熱を可能にする。
【0004】
木材処理内の別の一般的な工程は、高圧環境内での流体、例えば防腐剤による含浸を伴う。ここでは、電磁線による加熱、減圧処理、及び高圧処理の工程を組合わせることにより、比較的多量の流体が木材の構造に添加されることを可能にする方法が提案される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明による目的は、木材の内部構造に処理液体を添加する方法を提供することである。本発明の特別な特徴は、木材の温度が、木材が処理液体中に浸漬されながら電波放射に露出することによる誘電加熱を通して上昇されることである。これは、木材をまず乾燥することなしに高い水分含量を持つ木材に処理液体が添加されることを可能にする。本発明の別の特徴は、処理液体が木材を通して流されることである。この特徴の一つの利点は、この流れが木材の付近から木材から追い出される天然液体を除去し、それがそれらを木材に再吸収するのを防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的、上記の利点、及び上記の特徴に加えて、多数の他の目的、利点及び特徴が、本発明による好適な実施態様の以下に与えられた一般的かつ詳細な説明から明らかとなるであろう。これらの目的、利点及び特徴は、本発明の第一態様によれば、前記木材及び前記処理液体を保持する容器を与える、前記木材を前記容器内に置く、前記木材を電波放射に供するために前記容器内に電極を与える、前記木材を少なくとも部分的に覆うためにかつ前記処理液体の表面の下の前記電極を少なくとも部分的に覆うために前記容器内に特定の容積の前記処理液体を与える、前記木材で前記処理液体の少なくとも一部を除去するために前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた前記木材に向けてのかつ前記木材からの前記処理液体の第一流れを前記容器内に与える、及び前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた前記木材を、前記木材の温度を高めるために前記電極からの電波放射による露出に供する、工程を含むことを特徴とする木材を処理するための方法により得られる。
【0007】
処理前の木材内に存在する流体、例えば木材にとって自然の流体、またはある期間水面下にあった後に木材に含浸された水は、温度が高まると木材内から追い出されるであろう。同時に処理液体は、工程中の木材のいかなる乾燥もなしに、木材の構造中に浸透するであろう。これは、乾燥に起因した変形が避けられること、及び木材が処理されるときにその初期形状をより良く維持することを意味する。
【0008】
木材は、乾燥させなくてもよく、または乾燥させてもよい。さらに、木材は、処理に供される前に第一液体で含浸されていることができ、それはある範囲まで処理液体により置き換えられる。第一液体は別の処理液体であることができる。さらに、木材は、湿潤環境での考古学的な発見からのものであってもよく、例えば海洋遺跡からのものであることができ、それによれば第一液体は主として水である。
【0009】
木材は、丸太のような単一の木材片であることができる。木材は、複数の木材片、例えば丸み付きの角材、厚板または板、心材または辺材板、仕上げ板または未仕上げ板、スラブまたは背板、ハーフまたはクォーターティンバー、及び/または丸身板を構成することができる。木材はまた、積層木材または木椅子のような複数の木材片からの複合木製品であることができる。
【0010】
木材の加熱は、木材内の液体が加熱され、それにより液体の粘度が低下し、液体が木材構造中にさらに浸透することができるという利点を持つことができる。続く加熱はまた、木材内の内部圧を高めることができ、それは液体が到達していない空洞中へ液体を強制することができる。
【0011】
処理流体は、防腐流体、着色剤、または特別な化学化合物、または化学化合物の混合物であることができる。一例として、処理液体は、モノエチレングリコール中のジナトリウム八ホウ酸塩−四ホウ酸塩の20%溶液であることができ、またはそれはアマニ油系ペイントであることができる。これに代えて、処理液体は、木材の水分含量を高めるために供給された液体水であることができる。
【0012】
容器は、容器内の木材及び処理液体が周囲雰囲気と同じ圧力であるように開放容器であることができ、それにより処理液体及び/または構造がそうでなければ追従することができる木材に対して損傷を与えるときの木材の圧力変動を減らす。さらに、容器は、処理液体の表面が換気されることを可能にするために開放されることができ、そこでは換気は処理液体の冷却のためになされることができる。容器は、長方形立方体に近い壁と底を持つことができ、そこでは上側は完全に開放している。
【0013】
電極は、不規則な形状をした木材片に嵌合するように形成されることができる可撓性の金属バンド電極であることができる。金属バンド電極は、電流が電極から処理液体に洩れるのを防ぐために非導電性層により覆われることができる。加熱は主として誘電加熱によって得られ、すなわち電波放射の周波数(単数または複数)は、処理下の木材の全容積内の吸収される電力の最高量を達成するために選ばれることができる。
【0014】
処理液体の特定の容積は、木材のどの部分が浸漬されるべきかを決定し、次いでこれらの部分が覆われるまで処理液体を容器に添加することによって規定されることができる。そのとき、処理液体の添加量は、処理液体の特定の容積に相当する。
【0015】
木材に向けてのかつ木材からの第一流れは、木材から追い出された粒子及び流体を木材から離れるように動かす。これは、追い出された粒子または流体が木材に再吸収されることができないことを意味する。代わりに、処理液体は木材の構造中に吸収され、それは含浸速度を高める。
【0016】
容器内に第一流れを与える工程はさらに、容器内に処理液体のための出口を与えること、容器内に処理液体のための入口を与えること、出口と入口をそれらの間に処理液体を導くために相互連結すること、出口を通って出て、導管を介して入口を通って容器への戻る容器内の処理液体の循環流れを与えることを含むことができる。これは、木材の効率的な冷却を可能にする。出口及び/または入口は、容器に対して調整可能な位置を持つことができる。この方法では、異なる寸法及び形状の木材が容器内に置かれることができ、出口及び/または入口は、各形状または寸法のための最適な第一流れを得るために配置されることができる。例えば、入口及び出口は、水平位置に静止する丸太の対向端に配置されることができ、それにより丸太の全長に沿っての流れを与える。別の例では、入口は板の積重ね体の内側に配置されることができ、一方、出口は同じ積重ね体の外側に配置され、それにより木材の中心から外向きの第一流れを可能にする。
【0017】
容器内に第一流れを与える工程はさらに、木材の対向側に出口及び入口を配置することを含むことができる。これは、長い形状を規定する木材の場合のために特に好都合であり、その場合には入口は一方の短い端部に配置され、一方、出口は他方の短い端部に配置される。容器内に第一流れを与える工程はさらに、容器の底に入口を配置することを含むことができる。木材が加熱されるとき、容器内に垂直対流を起こすことができる。従って、対流の底に第一流れを導入することにより、木材の効率的な冷却が得られることができる。
【0018】
本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、第一流れを木材と電極の間に通過させるために電極を木材から離して配置する工程を含むことができる。これは、電極に最も近い木材の部分の効率的な冷却を可能にする。
【0019】
木材は複数の木材片を含むことができ、本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、第一流れを木材片の間に通過させるために木材片を互いに離して配置する工程を含むことができる。これはまた、木材の幾つかの片の大きな容積がそれらの片の間を通過する第一流れにより同時に処理されることができるという利点を持つ。
【0020】
木材片は、第一流れを木材片の間に略垂直に通過させるために互いに水平に変位されることができる。木材は一般的に処理液体より高い温度を持つので、これは、処理液体の木材片間の垂直流れ成分を誘発するであろう。追加的にまたは代替的に、木材片は、第一流れを木材片の間に略水平に通過させるために互いに垂直に変位されることができる。これは、もし木材片間の流れが必要であるなら利点でありうるが、対流を通しての垂直流れ成分は避けられるべきであり、それは第一流れに渡って高い制御を与えることができる。
【0021】
本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、処理液体を冷却するための熱交換器を容器内に与えること、及び容器内の処理液体から熱を除去するために熱交換器を使用することを含むことができる。これは、処理液体のより効率的な冷却を可能にすることができ、それはまた、電波放射のより高い出力を可能にすることができる。木材の温度は電波放射への露出と周囲の処理液体の温度の両方により決定されるので、熱交換器は木材の温度のより良好な制御を可能にする。
【0022】
本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、木材から処理液体中に追い出された粒子を除去するためのフィルターを与えること、及び木材から追い出された粒子の少なくとも一部を除去するために容器内の処理液体にフィルターを使用することを含むことができる。これは、粒子が処理液体から除去され、それによりそれらは木材の流体通路をふさぐことができず、それが次に処理流体の木材中への含浸速度を高めることを意味する。
【0023】
本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、木材から処理液体中に追い出された天然液体を除去するための分離器を与えること、及び木材から追い出された天然液体の少なくとも一部を除去するために容器内の処理液体に分離器を使用することを含むことができる。天然液体は、提案された方法による処理の前に木材構造内に存在する液体を意味する。天然液体は、水、樹脂、または樹液のような木材本来の液体、または防腐流体または海水のような木材中に先に含浸された人工液体であることができる。例えば、処理液体はアマニ油であることができ、天然液体は水であることができる。
【0024】
電波放射は約10MHzから約30MHzの範囲の周波数を持つ。この周波数範囲の電波放射は木材の誘電加熱のために特に適していると思われる。
【0025】
木材での処理液体は約10℃から約35℃の範囲の温度を持つことができ、それは熱電対温度計のような、処理液体内に浸漬された熱センサにより積極的に監視されることができる。さらに、本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、電波放射による露出を電極からの電波放射による複数の連続露出に分割することを含むことができ、複数の連続露出は、木材の温度を繰り返して高めるために時間で分離される。これは、木材が繰り返して加熱及び冷却されることを可能にし、それは木材のいかなる有意な変形もなしに、木材の構造中への処理流体の増加した含浸をもたらすことができる。
【0026】
本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、処理液体によって少なくとも部分的に覆われた木材の温度が木材での処理液体の温度を最大で約50℃越えることを防止するために複数の連続露出の各連続露出の時間及び出力を制限することを含むことができる。この方法では、木材の有意な変形及び構造損傷が避けられる。高い温度は、木材内に含まれた水の液体から気体への相転移を起こすことができ、それは木材の内部圧を鋭く高めるであろう。もし木材の内部圧に険しい変動があるなら、これは木材に割れを起こすことができる。
【0027】
本発明の第一態様による木材を処理するための方法はさらに、複数の連続露出の第一露出と第二露出の間に遅延を与えることを含むことができ、第二露出は第一露出に続いて起こり、この遅延は、処理液体によって少なくとも部分的に覆われた木材の温度を第一露出の後かつ第二露出の前に弛緩温度以下に到達させ、この弛緩温度は木材での処理液体の温度を約10度越えていることができる。これは、各サイクルに対して木材内の処理液体の含有量を高める木材の加熱及び冷却の繰り返しを可能にする。水は、木材内の塩類または他の水溶性物質を除去する目的のための処理液体として使用されることができる。当然に、塩類の除去は、木材の内側より外側の処理液体の塩含有量が低いことを必要とする。処理のサイクル数は10またはそれより多くすることができる。
【0028】
木材の温度は、木材に取り付けられた、木材片間に挿入された、または木材の構造中に挿入された、熱電対温度計のような熱センサにより積極的に監視されることができる。後者は、木材の内部温度の最良測定を与えることができる。木材の温度はまた、例えば木材の温度が監視され、かつ電波放射出力、露出時間、弛緩時間、特定の容積、または第一流れのような木材の温度に関する全てのパラメーターが決定される標準的処理をまず実施することによって、間接的に決定されることができる。パラメーターは、前述の標準的処理でのそれと同様の木材の連続処理で再使用されまたは繰り返され、それは、木材のほぼ希望の温度が達成されることを意味する。
【0029】
目的、利点及び特徴は、本発明の第二態様によれば、木材を処理液体により処理するための装置により得られ、その装置は、木材及び処理液体を保持する容器、木材を電波放射の放射により加熱するために容器内に配置された電極、電極を駆動する高周波電源、木材での処理液体の少なくとも一部を交換するために木材に向けてのかつ木材からの処理液体の第一流れを与える流れ発生器を含む。木材、処理液体、容器、及び電極は、本発明の第一態様に対して上述したものと同じであることができる。
【0030】
流れ発生器はさらに、処理液体を攪拌するために容器内に配置された羽根車、及び羽根車を駆動するモーターを含むことができる。これは、簡単な技術的実現の利点を持ち、それは、現場で、例えば樹木が切り倒される場所で、切り倒された樹木から含浸された材木をすぐに製造するために容易に使用されることができることを意味する。これは、木材を攻撃する微生物または昆虫に対する迅速な保護を可能にする。羽根車は、軸上のプロペラのような軸方向流羽根車、または軸上の櫂車輪のような半径方向流羽根車であることができる。モーターは、軸を介して羽根車を駆動する電気モーターであることができる。
【0031】
追加的または代替的に、流れ発生器はさらに、処理液体を容器から導くための出口、処理液体を容器に導くための入口、出口と入口を相互連結する導管、及び出口を通って出て、導管を介して入口を通って容器に戻る容器内の処理液体の循環流れを与えるポンプを含むことができる。さらに、出口及び/または入口は、容器に対して調整可能な位置を持つことができる。追加的または代替的に、出口及び入口は、木材の対向側に配置されることができる。これらの特徴は、本発明の第一態様に対して述べた対応する特徴と同じ利点を持つ。
【0032】
本発明の第二態様による装置はさらに、容器内の処理液体を冷却する熱交換器を含むことができる。追加的または代替的に、本発明の第二態様による装置はさらに、木材から容器内の処理液体中に追い出された天然液体を除去する分離器を含むことができる。さらに、本発明の第二態様による装置はさらに、木材から処理液体中に追い出された粒子を除去するフィルターを含むことができる。これらの特徴は、本発明の第一態様に対して述べた対応する特徴と同じ利点を持つ。
【0033】
高周波出力源はさらに、電極からの電波放射によって木材の複数の連続露出を与える遅延回路を含むことができ、複数の連続露出は、木材の温度を繰り返して高めるために時間で分離される。これは、各サイクルに対して木材内の処理液体の含有量を増加する木材の加熱及び冷却の繰り返しを可能にする。さらに、水は、木材内の塩類または他の水溶性物質を除去する目的のための処理液体として使用されることができる。
【0034】
本発明による追加の目的及び特徴は、以下の詳細な説明から及び図面からより容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、第一流れが羽根車により発生される、本発明の実施態様を示す。
【0036】
【図2】図2は、第一流れがポンプによって発生され、入口と出口が調整可能な位置を持つ、本発明の代替実施態様を示す。
【0037】
【図3】図3は、木材が複数の木材片を含む、本発明の別の代替実施態様を示す。
【0038】
【図4】図4は、図3と同じ実施態様を示すが、容器の短い側の一つから見たものである。
【0039】
【図5】図5は、本発明の別の代替実施態様を示す。
【0040】
【図6a−6c】図6a−6cは、木材を処理するための提案された方法の現在好ましい実施態様の連続工程を示す。
【図6d−6e】図6d−6eは、木材を処理するための提案された方法の現在好ましい実施態様の連続工程を示す。
【0041】
【図7a−7c】図7a−7cは、対応する図6a−6cと同じ連続工程を示すが、容器の短い側の一つから見たものである。
【図7d−7e】図7d−7eは、対応する図6d−6eと同じ連続工程を示すが、容器の短い側の一つから見たものである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明による木材を処理するための構成の断面側面図が図1に略図されている。丸太10の形の木材が、木材10の上に位置された表面14を持つ処理液体で満たされた容器12内に位置されており、それにより木材10は処理液体内に完全に浸漬されている。処理液体は、微生物が木材を損傷するのを防ぐための防腐剤である。木材10は、容器12の底16に錨止された帯金18により容器12に固定される。帯金18は、丸太10の両端で上側20だけを係合する。この方法では、帯金は丸太10に沿った処理液体の流れを妨げないであろう。木材10は、底16に設けられかつ木材10の下側24が載る狭い係合表面を持つスペーサー22によって容器12の底16から離れて保持される。
【0043】
狭い係合表面により、丸太10の長さに沿った処理液体の流れは、その下側24の殆どの部分に到達することができる。
【0044】
二つの電極26が丸太10の長さに沿って配置されている。電極26のそれぞれは、短絡または丸太10の抵抗加熱を防ぐ、電気絶縁被覆を持つ可撓性金属バンドである。電極10は、丸太10の輪郭を離れて追跡するように曲げられ、それにより電極26と木材10の間の処理液体の流れを可能にする。電極は、電気導管30を介して高周波電源28に連結されている。高周波電源28が起動されるとき、電極は、木材10の誘電加熱を誘発する電波放射または波を放射する。
【0045】
羽根車32は、それが処理液体中で及び処理液体の外で回転されることを可能にする旋回支持体34により容器12の一端に取り付けられる。羽根車は、そのハブで軸40を介して電気モーター38に連結されたプロペラ36を構成する。電気モーター38が起動されるとき、その結果生じるプロペラ36の回転は、丸太10に向けての、丸太に沿っての、丸太から離れる処理液体の第一流れを発生する。
【0046】
本発明による木材を処理する別の構成の断面側面図が図2に略図されている。図1の羽根車32は別として、図2の構成の全ての特徴は、図1の対応する特徴を持つ。対応する機能を持つ特徴は、図1及び図2で同じ参照番号を与えられている。この構成はさらに、処理液体の表面14の下に入口46及び出口48を持つ可撓性の管44を含む流れ発生器42を与えられている。可撓性の管44のため、入口46及び出口48の位置は、調整可能であり、かつ容器12内で変えられることができる。電気駆動ポンプ50は、出口48を通って出て、可撓性の管44を通り、そして入口46を通って戻る処理液体の流れを与える。入口46及び出口48は丸太10の対向側に配置され、それにより丸太10に向けての及び丸太10からの処理液体の第一流れを発生する。
【0047】
本発明による木材を処理するための別の構成が図3及び図4に略図されており、二つの図では異なる透視方向から示されている。図1及び図2と同じ機能を持つ特徴は、図3及び図4で同じ参照番号を与えられている。
【0048】
板52の形の木材は、層の各隣接対間に板スペーサー54を伴なって水平層で積み重ねられている。木材52は、木材52の上に位置された表面14を持つ処理液体で満たされた容器12内に位置されており、それにより木材52は処理液体内に完全に浸漬されている。処理液体は、微生物が木材を損傷するのを防ぐための防腐剤である。
【0049】
板スペーサー54は、二つの隣接層間の処理液体の流れを可能にする。さらに、板スペーサー54は貫通穴56を与えられており、それは、板スペーサーにより与えられる流れ抵抗を減少する。木材10は、底16に設けられかつ木材10の下側24が載る狭い係合表面を持つスペーサー22によって容器12の底16から離れて保持される。スペーサー22は、貫通開口62を備えており、それにより処理液体は板の最下層58とタンク12の底16の間を容易に流れることができる。
【0050】
四本の棒電極60は、処理液体内に垂直にかつ木材52と容器12の壁の両方から離れて配置されており、処理液体をそれらの間に流すことを可能にする。電極60のそれぞれは短絡または板52の抵抗加熱を防ぐために電気絶縁被覆を持つ金属棒である。電極は、電気導管30を介して高周波電源28に連結されている。高周波電源28が起動されるとき、電極は、木材52の誘電加熱を誘発する電波放射または波を放射する。
【0051】
構成はさらに、処理液体の表面14の下に入口66及び出口68を持つ硬い管64を含む流れ発生器42を与えられており、そこでは入口66及び出口68の位置は固定されている。電気駆動ポンプ70は出口68を通って出て、硬い管64を通り、そして入口66を通って戻る処理液体の流れを与える。入口66及び出口68はタンク12の対向側に配置され、それにより板52に向けての及び板52からの処理液体の第一流れを発生する。
【0052】
硬い管64は、木材52から追い出された粒子を処理液体中に除去するフィルター72を通して処理液体を導く。フィルターは、ある寸法以下の粒子のみを通過させる緻密に穿孔された板を含む。フィルター72は、ポンプに入る粒子の量が減らされるようにポンプ70から上流に置かれる。硬い管64はまた、木材52から追い出された水を分離する分離器74及び処理液体の温度を下げる熱交換器75を通して処理液体を導く。
【0053】
本発明による木材を処理するための別の構成の断面側面図が図5に略図されている。容器12へのフィルター72、分離器74、及び熱交換器76の結合は別として、図3及び図4の構成の全ての特徴は、図1の対応する特徴を持つ。対応する機能を持つ特徴は、図3から図5の同じ参照番号を与えられている。フィルター72、分離器74、及び熱交換器76は、容器12に別々に連結され、それぞれは処理液体を容器12から及び容器12に戻すように導くためのそれ自身の循環ポンプを与えられている。
【0054】
図6a−6eは、木材を処理するための提案された方法の現在好ましい実施態様の連続工程を示す。図7a−7eは、対応する図6a−6eと同じ連続工程を示すが、容器112の短い側の一つから見たものである。図6a及び図7aでは、容器112は出口114及び入口116を備えており、そこでは出口114及び入口116は導管118により相互連結されている。導管118はポンプ120を与えられている。
【0055】
図6b及び図7bでは、層の各隣接対間に板スペーサー124を伴なって水平層で積み重ねられた板122の形の木材が容器122内に置かれている。図6c及び図7cでは、四本の棒電極126は、垂直にかつ木材122と容器112の壁の両方から離れて配置されている。同時に、高周波電源128が設けられている。図6d及び図7dでは、処理液体の特定の容積が容器112内に与えられている。特定の容積は、処理液体の表面130の下の電極126及び木材122を完全に浸漬するために充分である。木材122に向けての及びかつ木材122からの処理液体の第一流れは、ポンプ120をさらに起動することにより与えられる。続いて、図6e及び図7eでは、木材122は、高周波電源128を起動することにより電極126からの電波放射132に供される。
【符号の説明】
【0056】
10 木材
12 容器
14 表面処理液体
16 容器の底
18 帯金
20 木材の上側
22 スペーサー
24 下側
26 電極
28 高周波電源
30 電気導管
32 羽根車
34 施回支持体
36 プロペラ
38 電気モーター
40 軸
42 流れ発生器
44 可撓性の管
46 入口
48 出口
50 ポンプ
52 木製板
54 板スペーサー
56 貫通穴
58 最下方板層
60 棒電極
62 貫通開口
64 硬い管
66 入口
68 出口
70 ポンプ
72 フィルター
74 分離器
76 熱交換器
112 容器
114 出口
116 入口
118 導管
120 ポンプ
122 木材
124 スペーサー
126 電極
128 高周波電源
130 処理液体の表面
132 電波放射

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液体によって木材を処理するための方法であって、
前記木材及び前記処理液体を保持する容器を与える、
前記木材を前記容器内に置く、
前記木材を電波放射に供するために前記容器内に電極を与える、
前記木材を少なくとも部分的に覆うためにかつ前記処理液体の表面の下の前記電極を少なくとも部分的に覆うために前記容器内に特定の容積の前記処理液体を与える、
前記木材で前記処理液体の少なくとも一部を除去するために前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた前記木材に向けてのかつ前記木材からの前記処理液体の第一流れを前記容器内に与える、及び
前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた前記木材を、前記木材の温度を高めるために前記電極からの電波放射による露出に供する、
工程を含むことを特徴とする木材を処理するための方法。
【請求項2】
前記容器内に第一流れを与える工程がさらに以下の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の木材を処理するための方法:
前記容器内に前記処理液体のための出口を与える、
前記容器内に前記処理液体のための入口を与える、
前記出口と前記入口をそれらの間に前記処理液体を導くために相互連結する、
前記出口を通って出て、前記導管を介して前記入口を通って前記容器に戻る前記容器内の前記処理液体の循環流れを与える。
【請求項3】
前記出口及び/または前記入口が前記容器に対して調整可能な位置を持つことを特徴とする請求項2に記載の木材を処理するための方法。
【請求項4】
前記容器内に第一流れを与える工程がさらに以下の工程を含むこと特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
前記木材の対向側に前記出口と前記入口を配置する。
【請求項5】
前記容器内に第一流れを与える工程がさらに以下の工程を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
前記容器の底に前記入口を配置する。
【請求項6】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
前記第一流れを前記木材と前記電極の間に通過させるために前記電極を前記木材から離して配置する。
【請求項7】
前記木材が複数の木材片を含むこと、及び前記方法が、前記第一流れを前記木材片の間に通過させるために前記木材片を互いに離して配置する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木材を処理するための方法。
【請求項8】
前記木材片が、前記第一流れを前記木材片の間に略垂直に通過させるために互いに水平方向に変位されていることを特徴とする請求項7に記載の木材を処理するための方法。
【請求項9】
前記木材片が、前記第一流れを前記木材片の間を略水平に通過させるために互いに垂直方向に変位されていることを特徴とする請求項7〜8のいずれかに記載の木材を処理するための方法。
【請求項10】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
前記処理液体を冷却するための熱交換器を前記容器内に与える、及び
前記容器内の前記処理液体から熱を除去するために前記熱交換器を使用する。
【請求項11】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
前記木材から前記処理液体中に追い出された粒子を除去するためのフィルターを与える、及び
前記木材から追い出された前記粒子の少なくとも一部を除去するために前記容器内の前記処理液体に前記フィルターを使用する。
【請求項12】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
前記木材から前記処理液体中に追い出された天然液体を除去するための分離器を与える、及び
木材から追い出された前記天然液体の少なくとも一部を除去するために前記容器内の前記処理液体に前記分離器を使用する。
【請求項13】
前記電波放射が約10MHzから約30MHzの範囲の周波数を持つことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の木材を処理するための方法。
【請求項14】
前記木材での前記処理液体が約5℃から約40℃の範囲の温度を持つことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の木材を処理するための方法。
【請求項15】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
電波放射による前記露出を前記電極からの電波放射による複数の連続露出に分割し、前記複数の連続露出が前記木材の温度を繰り返して高めるために時間で分離される。
【請求項16】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の木材を処理するための方法:
前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた木材の温度が前記木材での処理液体の温度を最大約50℃越えることを防止するために前記複数の連続露出の各連続露出の時間及び出力を制限する。
【請求項17】
以下の工程をさらに含むことを特徴とする請求項15〜16のいずれかに記載の木材を処理するための方法:
前記複数の連続露出の第一露出と第二露出の間に遅延を与え、前記第二露出が前記第一露出に続いて起こり、前記遅延が、前記処理液体によって少なくとも部分的に覆われた木材の温度が前記第一露出の後かつ前記第二露出の前に弛緩温度以下に到達されることを可能にし、前記弛緩温度が前記木材での処理液体の温度より約10°越えている。
【請求項18】
以下のものを含むことを特徴とする処理液体によって木材を処理するための装置:
前記木材及び前記処理液体を保持する容器、
前記木材を電波放射の放射により加熱するために前記容器内に配置された電極、
前記電極を駆動する高周波電源、
前記木材での前記処理液体の少なくとも一部を交換するために前記木材に向けてのかつ前記木材からの前記処理液体の第一流れを与える流れ発生器。
【請求項19】
前記流れ発生器が以下のものをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の装置:
前記処理液体を攪拌するために前記容器内に配置された羽根車、及び
前記羽根車を駆動するモーター。
【請求項20】
前記流れ発生器が以下のものをさらに含むことを特徴とする請求項18〜19のいずれかに記載の装置:
前記処理液体を前記容器から導く出口、
前記処理液体を前記容器に導く入口、
前記出口と前記入口を相互連結する導管、及び
前記出口を通って出て、前記導管を介して前記入口を通って前記容器に戻る前記容器内の前記処理液体の循環流れを与えるポンプ。
【請求項21】
前記出口及び/または前記入口が前記容器に対して調整可能な位置を持つことを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記出口及び前記入口が前記木材の対向側に配置されていることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記容器内の前記処理液体を冷却する熱交換器をさらに含むことを特徴とする請求項18〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記木材から前記容器内の前記処理液体中に追い出された天然液体を除去する分離器をさらに含むことを特徴とする請求項18〜23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記木材から前記処理液体中に追い出された粒子を除去するフィルターをさらに含むことを特徴とする請求項18〜24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
前記高周波電源が、前記電極からの電波放射によって前記木材の複数の連続露出を与える遅延回路をさらに含み、前記複数の連続露出が前記木材の温度を繰り返して高めるために時間で分離されることを特徴とする請求項18〜25のいずれかに記載の木材を処理するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a−6c】
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【図6d−6e】
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【図7a−7c】
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【図7d−7e】
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【公表番号】特表2013−511407(P2013−511407A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539418(P2012−539418)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055224
【国際公開番号】WO2011/061565
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512131900)デニッシュ ウッド テクノロジー ホルディング エーピーエス (1)
【Fターム(参考)】