説明

木材搬送用ローラコンベア、木材加工機及び木材プレカット加工設備

【課題】 加工機の大型化やコストアップを招くことなく、求心バイスによるクランプ精度を高める。
【解決手段】 木材加工機に対して木材を投入又は搬出するための木材搬送用ローラコンベア上の木材が求心方向に移動されるときに、求心方向への移動を補助するために木材加工機側の端部から所定距離離れた搬送路の途中に、ローラコンベアのローラの上方で上昇しつつ求心的に押圧動作を行うと共に、ローラの幅方向外側の待機位置まで移動する一対の爪を有する蟹はさみ機構を備えた蟹はさみ式球心補助装置30を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材加工に当たって木材を求心バイスでクランプするときに、その求心精度を高めるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレカット加工機において加工材をクランプする場合、加工材の幅に関係なくその幅の中心位置が常に一定になる様に、求心バイスによってクランプすることが良く知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
こうした求心バイスでクランプする前の加工材は、搬送ラインに対して斜めになっている場合が多い。そして、求心バイスの動作によって、加工材はその幅の中心が求心バイスの幅の中心と一致する様に寄せられてクランプされる。
【特許文献1】特開昭61−92801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のクロスカット加工機では、搬入ラインから送り込まれた加工材の先端付近を一台の求心バイスのみでクランプして先端部の切断を行う構成となっているため、加工材が長いと、バイス側はほぼ求心位置に寄せられても、反対側は寄せきれずに斜めのままでクランプされてしまい、完全な求心状態が得られない事がある。
【0005】
加工機上に複数の求心バイスを備えている中間加工機(上下面加工機、側面加工機)においても、一番上流側の加工ユニットで加工材の先端部の加工をする場合や、一番下流側の加工ユニットで加工材の後端部近くの加工をする場合には、上述の様な求心しきらないクランプ状態になることがある。
【0006】
また、木口加工機においては加工する木口部分近くを1台の求心バイスでクランプする構造になっているので、求心しきらないクランプ状態になることがある。
【0007】
この様に加工材を全体として求心しきれない状態でクランプしたまま加工をすると、加工材の長手方向に対して直角に切断できなかったり、仕口継ぎ手などの加工位置が加工材幅の中心からずれたりして精度不良を招くという問題がある。
【0008】
この対策として、クロスカット加工機の上流に求心バイスを追加したり、中間加工機の両端に求心バイスを1台ずつ追加したり、木口加工機の求心バイスを加工材の長手方向に長くすると共に強力化したジョーを備えるものに変更するといった構成を採用する方法が考えられる。しかし、これらの対策は、加工機の大型化やコストアップの要因となって良い解決方法とは言えない。
【0009】
そこで、本発明は、加工機の大型化やコストアップを招くことなく、求心バイスによるクランプ精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明は、木材加工機に対して木材を投入又は搬出するための木材搬送用ローラコンベアであって、コンベア上の木材が求心方向に移動されるときに、該求心方向への移動を補助するための求心補助装置を、前記木材加工機側の端部から所定距離離れた搬送路の途中に備え、前記求心補助装置を、前記ローラコンベアのローラの上方で上昇しつつ求心的に押圧動作を行うと共に、該ローラの幅方向外側の待機位置まで移動する一対の爪を有する蟹はさみ機構を備えた蟹はさみ式求心補助装置によって構成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の木材搬送用ローラコンベアによれば、加工機の求心バイスを作動させて木材を求心方向に移動させる際に、求心補助装置を動作させることで、長尺の木材であっても、求心バイスから離れた側の端部が求心方向に移動しないで斜めになったままクランプされてしまうのを防止することができる。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
この蟹はさみ式求心補助装置を備えた木材搬送用ローラコンベアによれば、求心バイスによって木材を求心クランプする際に、蟹はさみ機構の一対の爪に求心的な押圧動作を実行させる。この際、爪は、ローラコンベアのローラの上方で上昇方向に移動しつつこの動作を実行する。これにより、コンベア上の木材を求心位置へと押して移動させることができる。この蟹はさみ式求心補助装置においては、求心補助動作終了後は、爪をローラの幅方向の外側の待機位置まで移動することで、木材を搬送する際の邪魔にならない様にする。
【0018】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の木材加工機は、求心バイスを備えた木材加工機において、該加工機の上流及び/又は下流に上述したいずれかの木材搬送用ローラコンベアと、前記求心バイスによって求心クランプを実行する際に、前記木材搬送用ローラコンベアが備える前記求心補助装置による求心補助動作を実行させる求心補助動作制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
この本発明の木材加工機は、上述の様な求心補助機能を有する木材搬送用コンベアを単に備えるだけでなく、求心補助動作制御手段をも備えることにより、求心バイスによって求心クランプを実行する際に、木材搬送用ローラコンベアが備える求心補助装置による求心補助動作を実行させることで、求心バイスの求心クランプ動作と同期的に求心補助動作を実行させることで、精度のよい求心クランプを実現することができる。
【0020】
特に、上述の本発明の木材加工機において、前記求心バイスによってクランプされた木材を前記ローラコンベアのローラ面に押し付ける上クランプ動作を実行する上クランプ装置をも備えると共に、前記求心補助動作制御手段は、前記求心バイスによるクランプ動作が完了した後、前記上クランプ装置によるクランプ動作が完了する前に、前記求心補助装置による求心補助動作を終了して待機位置への復帰動作を実行させる制御手段として構成するとよい。かかる構成を備えることは、求心補助装置として実施の形態で後述するホイール式求心補助装置やV形プレート式求心補助装置の様に、昇降動作を実行するものを備えるときに、特に有効である。
【0021】
この木材加工機によれば、求心バイスによって木材を求心クランプするだけでなく、上クランプ装置によってさらに上方から木材をローラ面に押し付けることで、クロスカット等の加工を施される木材をしっかりと固定することができる。そして、この上クランプ装置による押さえ付け動作を行うときに、求心補助動作制御手段が、求心補助装置に、求心補助動作を終了して待機位置への復帰動作を実行させる様に制御する。この結果、求心補助装置によって木材を押し上げた状態で上クランプがなされることがない。なお、木材は、鉄骨の様に真っ直ぐなものばかりではない。このため、求心バイス及び上クランプ装置によってしっかりとクランプする際には、むしろ木材の自然な曲がり具合を尊重した方がよいときがある。従って、本発明装置の採用した蟹はさみ式求心補助装置において、上述した様な求心補助動作制御手段を備えることには意味がある。
【0022】
なお、本発明の木材加工機の備える上記の構成は、特に、加工ユニットとして、少なくともクロスカット加工ユニットを備えるものに採用するとよく、この場合、前記木材搬送用ローラコンベアを、少なくとも当該加工機に木材を投入する木材投入用コンベアとして備える様にするとよい。
【0023】
このクロスカット加工ユニットを備える木材加工機によれば、木材加工の最初に実行されるクロスカット加工の際に、木材投入用コンベアの求心補助装置を動作させて求心バイスによるクランプの際の求心精度を高めることができ、木材の先端の直角を精度よく出すことができる。これにより、その後の加工におけ位置決め等の制御の精度が向上し、精度のよい加工を実行することができる。
【0024】
また、本発明の木材加工機の備える上記の構成は、特に、加工ユニットとして、少なくとも木口又は木口近傍に対して加工を施す加工ユニットを備えるものに採用するとよく、この場合、前記木材搬送用ローラコンベアを、少なくとも当該加工機から木材を搬出する木材搬出用コンベアとして備える様にするとよい。
【0025】
この木口又は木口近傍に対して加工を施す加工ユニットを備える木材加工機によれば、特に、木材の後端部分に加工をする際に、加工ユニット近傍の求心バイスで木材の後端側を求心クランプする際に、木材搬出用コンベアに装備された求心補助装置によって、精度のよい求心動作を実行することができる。この結果、木材の後端の木口又は木口近傍に加工を施す際の精度が向上する。
【0026】
また、本発明により完成された木材プレカット加工設備は、木材の長さ調整を行うクロスカット加工ユニットと、木材の中間部の上下面及び/又は左右面に対する仕口加工を行う中間加工ユニットと、及び木材の両端部に対する加工を行う木口加工ユニットとの中で、少なくとも一つの加工ユニットと、当該加工ユニットの近傍に設置される求心バイスとを備える複数の加工機を備え、前記複数の加工機の内で最も上流に位置する加工機の上流、各加工機の間、及び最も下流に位置する加工機の下流のそれぞれの位置に、上述したいずれかの木材搬送用ローラコンベアを、各加工機に対する木材投入用及び木材搬出用として設置することによってしたことを特徴とする。
【0027】
この本発明の木材プレカット加工設備によれば、最初の加工機に木材を投入する際に、投入コンベアに装備された求心補助装置で最初の加工(通常、クロスカット)の際の求心クランプの精度を向上することができる。そして、加工機と加工機の間にも求心補助装置を装備したコンベアを配置してあるので、木材の先端部に対する側面加工や上面加工、もしくは木口加工を行う際に、加工機の上流側のコンベアの求心補助装置が求心クランプの際の求心移動を補助することができる。同様に、木材の後端部に対する側面加工や上面加工、もしくは木口加工を行う際には、加工機の下流側のコンベアの求心補助装置が求心クランプの際の求心移動を補助することができる。これにより、木材に対する一連のプレカット加工における精度が向上し、木口面の直角精度はもちろん、中間の欠きや、ボルト穴等の位置などの精度が向上し、優れたプレカット加工材を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、クロスカット加工機の上流側に多数の求心バイスを設置するなどの措置を執らなくても、精度のよいクロスカット加工をすることができる。もちろん、クロスカット加工に限らず、木材の上面加工、側面加工、木口加工等の各種加工機において、求心バイスを追加しなくても、木材の端部を求心バイスでクランプする際の求心性が高くなり、加工精度を向上させることができる。
【0029】
本発明は、特に、長尺の木材の加工において求心バイスによるクランプ精度を向上させることができる。
【0030】
また、本発明によれば、簡単な装置でクランプ時に求芯精度を上げることができ、しかも、加工機への木材投入用や加工機からの木材搬出用として元々備えられるべき木材搬送用コンベアの改良によって上述の効果を達成できるので、コストアップにならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照しつつ説明する。第1の実施の形態は、プレカット加工機に関するものである。図1に示す様に、このプレカット加工機1は、クロスカット加工ユニット2と、上下角のみ加工ユニット3と、上下間柱欠き加工ユニット4と、求心バイス5,5,…とを備えた木材の上下面加工機である。このプレカット加工機1の上流の投入側には投入コンベア6が、下流の取り出し側には取出しコンベア7が設置されている。各コンベア6,7は、フレーム6a,7aの間に、所定間隔でローラ6b,7bを配置したローラコンベアである。このローラコンベア6,7には、求心補助装置10が備えられている。
【0032】
求心補助装置10は、投入コンベア6及び取出しコンベア7の適所(加工材の長さ方向の適所)に装備された、ホイールコンベア式の求心補助装置である。図2,図3に示す様に、このホイールコンベア式の求心補助装置10は、投入コンベア6及び取出しコンベア7のフレーム6a,7aに対して、次の様な構成によって取り付けられている。
【0033】
フレーム6a−6a,7a−7a間に掛け渡す様に、台11が取り付けられる。この台11には、エアーシリンダ12が立設されている。また、エアーシリンダ12のロッドにホイールコンベアフレーム13が取り付けられている。そして、このホイールコンベアフレーム13に、ホイール14が、加工材Wの幅方向に自由に回転できる様に取り付けられている。
【0034】
次に、この求心補助装置10の動作を説明する。
【0035】
エアーシリンダ12のロッドは、通常は引っ込んでいて、ホイールコンベア14の上面はローラ6b(7b)の上面より下がった位置にあり、加工材の移送を妨げないようになっている(図2の状態)。
【0036】
加工機1の求心バイス5のクランプ動作と同時に、エアーシリンダ12のロッドが突出方向に移動され、ホイール14の上面はローラ6b(7b)の上面より上がる(図3の状態になる)。すると、ホイール14によって加工材Wはローラ6b(7b)上から僅かに浮き上がる。加工材Wの下面はホイール14に支えられるので加工材Wの幅方向の移動が容易になり、求心バイス5の動作によって、求心方向への移動(材幅方向の寄せ)ができる。
【0037】
その後、求心バイス5のクランプは維持したままとし、次に上クランプ装置(図示なし)を下降させて上クランプを開始するときに、同時にエアーシリンダ12のロッドを引っ込める。これにより、ホイール14は元の位置(図2の状態)に戻り、僅かに浮き上がっていた加工材Wは上クランプ力と自重によってローラ6b(7b)上に戻る。
【0038】
求心バイス5による求心クランプと、上クランプ装置による上クランプとが完了した後、加工機1による加工工程に入り、クロスカット加工ユニット2を駆動して、加工材Wの先端部の切断を実行する。
【0039】
次に、第2の実施の形態について、図4,図5を参照しつつ説明する。第2の実施の形態の基本的な構成は、第1の実施の形態と同様であるが、ホイールコンベア式求心補助装置10に換えて、V形プレート式の求心補助装置20を装備したものである。
【0040】
V形プレート式の求心補助装置20は、投入コンベア6及び取出しコンベア7のフレーム6a−6a,7a−7a間に掛け渡す様に取り付けられた台21と、この台21に立設されたエアーシリンダ22と、このエアーシリンダ22のロッドに取り付けられたV形プレート23とから構成されている。
【0041】
次に、この求心補助装置20の動作を説明する。
【0042】
第1の実施の形態と同様に、通常は、エアーシリンダ22のロッドは引っ込んだ状態にあり、V形プレート23の上端はローラ6b(7b)の上面より下がった位置にあり、加工材の移送を妨げないようになっている(図4の状態)。
【0043】
加工機1の求心バイス5のクランプ動作と同時に、エアーシリンダ22のロッドが突出方向に移動され(図5の状態)、V形プレート23の斜面が加工材Wのどちらかの下角に接触して加工材Wを押し上げる。
【0044】
加工材Wは、V形プレート23の斜面によって押し上げられるときに、反対側の斜面に向かって近付く方向に寄せられ、求心位置へと移動される。その後、求心バイス5のクランプを維持したままで上クランプ装置(図示なし)による上クランプを開始し、同時にエアーシリンダ22のロッドを引っ込める。
【0045】
この結果、V形プレート23は元の位置(図4の状態)に戻り、僅かに浮き上がっていた加工材Wは上クランプ力と自重によってローラ6b(7b)上に戻る。以下、加工機1による加工工程が開始され、まず、クロスカット加工ユニット2による先端部の切断が実行される。
【0046】
次に、第3の実施の形態について、図6,図7を参照しつつ説明する。第3の実施の形態も、基本的な構成は第1の実施の形態と同様であるが、ホイールコンベア式求心補助装置10に換えて、蟹はさみ式の求心補助装置30を装備したものである。
【0047】
この蟹はさみ式の求心補助装置30は、投入コンベア6及び取出しコンベア7のフレーム6a−6a,7a−7a間に掛け渡す様に取り付けられたベース31と、このベース31を貫通する様に取り付けられたエアーシリンダ32と、ベース31の下面から下方に伸びる様に取り付けた昇降ガイド33と、エアシリンダ32のロッドの下端に連結され、昇降ガイド33にガイドされたガイドシャフト34と、ガイドシャフト34の先端に取り付けられ、連結リンク36を回転可能に受ける受け35と、エアーシリンダ32のロッドの出入りをリンク37に伝える連結リンク36と、リンク37〜40とから構成されている。これらリンク37〜40は、4節回転機構(平行リンク機構)を構成していて、向かい合って対になっている。
【0048】
リンク37は、エアーシリンダ32のロッドの出入りを、連結リンク36を介して伝え、4節回転機構を駆動する。リンク38は、ベース31に固定されている。リンク39は、リンク37と平行なリンクである。リンク40は、リンク38と平行なリンクで蟹はさみ爪41を備えている。
【0049】
次に、この求心補助装置30の動作を説明する。
【0050】
第3の実施の形態では、エアーシリンダ32のロッドは通常出ていて(図6の状態)、蟹はさみ爪41が開くことにより、加工材の移送を妨げないようになっている。
【0051】
加工機1の求心バイス5によるクランプ動作が実行されると同時に、エアーシリンダ32のロッドが引っ込んで(図7の状態)、リンク37〜40によって構成される4節回転機構により、蟹はさみ爪41は閉じる方向に動作する。
【0052】
この結果、加工材Wは蟹はさみ爪41によって中心位置(求心位置)に寄せられる。その後、求心バイス5のクランプは維持したままで上クランプ装置(図示なし)による上クランプを開始し、同時にエアーシリンダ32のロッドを出す。これにより、蟹はさみ爪41は元の位置(図6の状態)に戻る。
【0053】
以下、加工機1による加工工程が開始され、まず、クロスカット加工ユニット2による先端部の切断が実行される。
【0054】
次に、横架材加工用のプレカット加工設備について本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。
【0055】
この第4の実施の形態のプレカット加工設備100は、図8に示す様に、加工機200,300,400と、加工前の木材を貯留しておく加工前材貯留部500と、加工済みの木材を貯留しておく加工済み材貯留部600と、加工前材貯留部500から加工済み材貯留部600まで、各加工機200,300,400の加工位置を通って木材を搬送する搬送ライン700とから構成されている。
【0056】
このプレカット加工設備100は、各種加工機として、木材の先端及び後端の端切り及び上下面に加工を行うための切断・上下面加工機200と、木材の側面に加工を行うための側面加工機300と、木材の木口部分に対して継手・仕口の加工を行うための木口加工機400とを備えている。また、加工前材貯留部500及び加工済み材貯留部600は、それぞれ載置された木材を横移動させるチェーンスラッシャ510,610,620によって構成されている。搬送ライン700は、木材を軸方向移動させるローラコンベア710〜770と、チェーンスラッシャ780,790とを備えている。本実施の形態のプレカット加工設備100は、CAD/CAMデータに基づいて各加工機200,300,400の駆動制御及び木材の搬入・搬出を自動的に実行しつつ木材のプレカット加工を実行する様に構成されている。なお、各加工機200,300,400の近傍に設けられた短いローラコンベア711,731,751は、いずれも下方へ倒すことができる様になっており、各加工機200,300,400の近傍に、必要に応じて作業者の移動通路を確保可能な構成とされている。
【0057】
ここで、ローラコンベア760とローラコンベア770との間には、木材を横移動させるための多数の桟765が配置されている。この桟765の上面と、各ローラコンベア760,770のローラ及び桟側の側面枠の上面とは、ほぼ同一高さとされている。これは、ローラコンベア760からローラコンベア770へと木材を持ち上げることなく、桟765の上面を滑らせて、木材をスムーズに横移動させるためである。
【0058】
また、ローラコンベア770と加工済み材貯留部600を構成するチェーンスラッシャ610との間には、通常時はローラコンベア770のローラ上面より下方に沈んだ状態にあり、木口加工機400による加工の終了後に上昇してローラコンベア770上の木材を持ち上げ、それ自身の傾斜を利用してチェーンスラッシャ610へと木材を受け渡すための傾斜式ローラ移送装置767が備えられている。これに対応して、チェーンスラッシャ610は、その横に配置されるチェーンスラッシャ620よりも下側に木材を取り込む配置となっている。なお、最終段のチェーンスラッシャ610,620は、工場配置等によっては、ホイールコンベアとする場合もある。
【0059】
加えて、ローラコンベア770とチェーンスラッシャ620との間には、それ自身が回転することによって、ローラコンベア770上の木材をすくい上げ、上下を反転させた状態でチェーンスラッシャ620へと受け渡す上下反転受け渡し装置769が備えられている。
【0060】
また、最初に木材を投入する位置に配置されているチェーンスラッシャ510は、移送方向の途中で部分的に重複して配置される2組の搬送用チェーン群511,512によって構成されている。同じく、チェーンスラッシャ780,790も、2組の搬送用チェーン群781,782,791,792によって構成されている。これは、横移送開始側の搬送用チェーン群511,781,791による木材の横移送速度を、横移送終了側の搬送用チェーン群512,782,792による木材の横移送速度よりも遅くすることにより、ローラコンベア710,730,750の側面枠にそれぞれ配置されているストッパ712,732,752に対して、多数の木材が重なって押し付けられない様にするためである。これにより、チェーンスラッシャ510,780,790からローラコンベア710,730,750へと木材を載せ代えるために設けられている木材載せ代え装置713,733,753による木材の載せ代え動作をスムーズに実行させることができる。
【0061】
なお、各木材載せ代え装置713,733,753は、チェーンスラッシャ510,780,790の上面より所定量沈んだ位置からストッパ712,732,752の上面を乗り越える高さまで伸縮可能なエアシリンダと、このエアシリンダを横方向に伸びるガイド714,734,754に沿って移動させる横移動機構とによって構成されている。また、この横移動機構の駆動には、モータの回転を往復運動に変換するクランク機構を使用し、載せ代え開始から載せ代え完了までの横移動速度の変化が、最初は徐々に加速し、途中で最高速度に達した後で徐々に減速させ、移動開始時及び停止時の加速度による木材の横倒れを防止する工夫がなされている。
【0062】
さらに、ローラコンベア720,740,760には、コンベア上の木材を下流のチェーンスラッシャ780,790やローラコンベア770へと押し出すためのプッシャプレート721,741,761が備えられている。これらのプッシャプレート721,741,761は、各1対のエアシリンダ722,742,762によって駆動される様に構成されている。なお、各ローラコンベア720,740,760のプッシャプレート721,741,761と反対側の側面枠は、プッシャプレート721,741,761による木材の押し出しを妨げない様に、ローラ上面と同一高さ又は若干低めに構成されている。
【0063】
切断・上下面加工機200は、図9に示す様に、その主要な構成として、木材を求心クランプするためのNo.1〜No.5求心バイス211〜215と、木材の端切りを行うための切断ユニット230と、木材の上下面に対してほぞ穴やボルト穴を加工するための上下一対の角のみユニット250と、木材の上下面に対して間柱欠き、垂木欠き、隅木欠き及び谷木欠きを加工するための上下一対のカッターユニット270とを備えている。
【0064】
また、この切断・上下面加工機200における上下面加工位置を規定するための位置決めユニット800が、ローラコンベア720の側方に配置されるガイドレール801に沿って移動可能に配置されている。なお、符号216,217で示されているのは、切断ユニット230に対して搬入される木材の先端を検出してローラコンベア710を停止させるための先端検出用の光センサユニットである。
【0065】
側面加工機300は、図10に示す様に、その主要な構成として、その前後に配置される短いローラコンベア311,312と、木材を求心クランプするためのNo.1,No.2求心バイス321,322と、これら求心バイス321,322の間の位置において、対面する様に配置される一対の側面加工ユニット331,332とを備えている。各側面加工ユニット331,332には、上下方向に並ばせて複数の側面加工用工具が装着される様になっている。
【0066】
また、この側面加工機300における側面加工位置を規定するための位置決めユニット900が、ローラコンベア740の側方に配置されるガイドレール901に沿って移動可能に配置されている。この位置決めユニット900は、切断・上下面加工機200における加工位置を規定するための位置決めユニット800と同一のものである。
【0067】
木口加工機400は、図11に示す様に、その主要な構成として、上流のローラコンベア750側に配置される第1の固定コンベア411と、この第1の固定コンベア411の延長上において、反対側のローラコンベア760の直前に配置される第2の固定コンベア412と、この第2の固定コンベア412と同じ側において、ローラコンベア770の延長線上に配置される第3の固定コンベア413と、第1,第2の固定コンベア411,412の間を連絡する連絡位置と図中一点鎖線で示した前方の退避位置との間をZ軸方向へ移動可能に配置される中間コンベア414と、木材の木口にスリット加工を行うスリットカッタ421とボルト穴加工を行うボーリングユニット422を備える木口加工ユニット420と、第1の固定コンベア411の近傍に出没自在に配置され、ローラコンベア750上を搬送されて来る木材の先端位置を規定するためのNo.1ストッパ431と、このNo.1ストッパ431によって先端位置を規定された木材を求心クランプするNo.1求心バイス441と、第3の固定コンベア413の近傍に出没自在に配置され、ローラコンベア770上を搬送されて来る木材の先端位置を規定するためのNo.2ストッパ432と、このNo.2ストッパ432によって先端位置を規定された木材を求心クランプするNo.2求心バイス442と、第2の固定コンベア412に併設されている印字装置451とを備えている。
【0068】
この木口加工機400は、木口加工ユニット420をX方向及びZ方向(図8参照)に移動させると共にスリットカッタ421及びボーリングユニット422をY方向(上下方向)に移動させつつ、No.1求心バイス441でクランプされた木材の木口及びNo.2求心バイス442でクランプされた木材の木口に対して必要な加工を行うものである。
【0069】
そして、特に、No.1求心バイス441でクランプされた木材の木口を加工したら、中間コンベア414を図示の実線の位置に移動させると共に木口加工ユニット420を図示の様に機械の後方に移動させ、一方の木口の加工を終了した木材を下流のローラコンベア760上へと移送し、次の木材をNo.1ストッパ431及びNo.1求心バイス441で位置決めし、No.1ストッパ431及び中間コンベア414を退避位置へ移動させると共に、木口加工ユニット420を前進させて次の木材の木口加工を行い、この間に、先に下流側のローラコンベア760上へと移送しておいた木材をプッシャプレート761によってローラコンベア770上へと移し代え、木口加工機400側に移送してNo.2ストッパ432により先端合わせを行うと共にNo.2求心バイス442でクランプしておく。この結果、2本目の木材のNo.1求心バイス441によるクランプ位置での木口加工が完了したら、直ちに1本目の木材のNo.2求心バイス442によるクランプ位置での木口加工へと移行することができ、この間に中間コンベア414を再び連絡位置へ移動させて2本目の木材をローラコンベア760上へと移送しておくことにより、効率良く、木材の両端木口の加工を実行できる様にしたものである。
【0070】
次に、本実施の形態のプレカット加工設備100における搬送ライン700の構造的な特徴を説明する。
【0071】
図9に示す様に、切断・上下面加工機200の上流側に位置するローラコンベア710及び下流側に位置するローラコンベア720には、第1の実施の形態において説明したのと同様のホイールコンベア式の求心補助装置1010,1020が備えられている。上流側のローラコンベア710に設置される求心補助装置1010は、切断・上下面加工機200のNo.1求心バイス211から3m上流側の位置に設置される。また、下流側のローラコンベア720に設置される求心補助装置1020は、切断・上下面加工機200のNo.5求心バイス215から3m下流側の位置に設置される。
【0072】
また、図10に示す様に、側面加工機300の上流側に位置するローラコンベア730及び下流側に位置するローラコンベア740にも、第1の実施の形態において説明したのと同様のホイールコンベア式の求心補助装置1030,1040が備えられている。上流側のローラコンベア730に設置される求心補助装置1030は、側面加工機300のNo.1求心バイス311から3m上流側の位置に設置される。また、下流側のローラコンベア740に設置される求心補助装置1040は、側面加工機300のNo.2求心バイス312から3m下流側の位置に設置される。
【0073】
さらに、図11に示す様に、木口加工機400の上流側に位置するローラコンベア750及び下流側に位置するローラコンベア770にも、第1の実施の形態において説明したのと同様のホイールコンベア式の求心補助装置1050,1070が備えられている。上流側のローラコンベア750に設置される求心補助装置1050は、木口加工機400のNo.1求心バイス441から3m上流側の位置に設置される。また、下流側のローラコンベア770に設置される求心補助装置1070は、木口加工機400のNo.2求心バイス442から3m下流側の位置に設置される。
【0074】
なお、求心補助装置1010,1020,1030,1040,1050,1070の構造の詳細は、第1の実施の形態と同じである。
【0075】
次に、このプレカット加工設備100の制御部が、求心補助装置1010,1020,1030,1040,1050,1070を駆動制御するための制御処理について、図12〜図19のフローチャートを参照しながら説明する。
【0076】
図12、図13は、切断・上下面加工機200用の加工制御装置による求心補助装置1010,1020に対する制御処理の内容を示している。この制御処理は、切断・上下面加工機200の光センサユニット216,217が木材の先端を検出すると開始される。
【0077】
処理が開始すると、まず、ローラコンベア710の送り動作を停止する(S10)。続いて、CAD/CAMデータに基づいて、加工対象の木材が全長3m以上の構造材であるか否かを判定する(S20)。全長3m以上のときは(S20:YES)、No.1求心バイス211を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S30)、求心補助装置1010のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S40)。これによって、求心補助装置1010のフリーホイールがローラコンベア710のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げる。これによって、木材に対する求心方向への力に抗する抵抗が、ローラ面に対する滑り摩擦から、ホイールに対する転がり摩擦に変わる。この結果、No.1求心バイス211による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
【0078】
なお、このエアシリンダの突出動作による木材の持ち上がり量は、木材の重量によって変化する。本実施の形態では、エアシリンダを用いているので、シリンダ内の空気圧と木材の重量のバランスする状態で持ち上げ動作が終了する。従って、ここでいう「持ち上げる」とは、ローラに対する木材の圧力を低下させる場合も含まれる。この木材の圧力が減ることにより、ローラに対する滑り摩擦力が減少して、幅方向への移動が容易になるのである。
【0079】
こうしてNo.1求心バイス211の求心クランプ動作が完了すると(S50:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S60)、求心補助装置1010のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S70)。これによって、求心補助装置1010のホイールがローラ面よりも下に下がった待機位置へと復帰し、ローラ面から僅かに浮き上がっていた木材は上クランプ装置による押圧力と自重とによってローラコンベア710のローラに密着した状態に戻る。
【0080】
一方、全長3m未満の構造材であるときは(S20:NO)、No.1求心バイス211を駆動して木材の求心クランプを開始し(S35)、No.1求心バイス211の求心クランプ動作が完了すると(S55:YES)、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始する動作となり(S65)、求心補助装置1010は駆動しない。
【0081】
こうしてNo.1求心バイス211による求心クランプと、上クランプ装置による上クランプとが完了した後、加工機200による端切り工程に入り、切断ユニット230を駆動して(S80)、木材の先端部の切断を実行する。そして、切断ユニット230による端切り動作が完了したら(S90:YES)、位置決めユニット800を上流側に移動させて端切りされた木材の先端面に当接させた後(S100)、No.1求心バイス211及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御する(S110)。そして、ローラコンベア710に木材送り動作を再開させると共に、さらに、位置決めユニット800を移動制御して、木材の先端をCAD/CAMデータに基づいて上下面加工を行うための加工部位を、上下面加工のための加工ユニット250,270による加工位置に位置させる(S120)。
【0082】
そして、位置決めユニット800、ローラコンベア710をCAD/CAMデータに基づいて駆動制御して角のみユニット250及びカッターユニット270による加工位置に加工部位を位置させて必要な上下面加工を実行する(S160)。
【0083】
この上下面加工の際の求心クランプは、位置決めユニット800の位置決めロッド802の先端位置と、CAD/CAMデータとして与えられる材長さとから、No.1〜No.5求心バイス211〜215の内で、木材の全長の範囲に位置するものを駆動することによって実行する。そして、No.5求心バイス215のみが木材の全長範囲に位置する状態になったときは(S170:YES)、加工対象の木材が全長3m以上の構造材であるか否かを判定し(S180)、全長3m以上のときは(S180:YES)、No.5求心バイス215による求心クランプを開始すると共に(S190)、下流側の求心補助装置1020のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させることによって(S200)、木材をローラコンベア720のローラ面から僅かに持ち上げて幅寄せを補助する。これによって、カッタユニット270で木材の後端近くに間柱欠き等を加工する際の求心状態も精度よく保つことができる。
【0084】
なお、この場合も、No.5求心バイス215の求心クランプ動作が完了すると(S210:YES)、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S220)、求心補助装置1010の2アーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S230)。これによって、求心補助装置1020のホイールがローラ面よりも下に下がった待機位置へと復帰し、ローラ面から僅かに浮き上がっていた木材は上クランプ装置による押圧力と自重とによってローラコンベア720のローラに密着した状態に戻る。
【0085】
一方、L1が3m未満の構造材であるときは(S180:NO)、No.5求心バイス215を駆動して木材の求心クランプを開始し(S195)、No.5求心バイス215の求心クランプ動作が完了すると(S215:YES)、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始する動作となり(S225)、求心補助装置1020は駆動しない。これは、材が短くてセンタリングが十分に実行できるからである。
【0086】
以上の制御を当該木材に対する上下面加工として実行している間に、構造材の後端位置がクロスカット加工ユニットによる切断位置になったか否かを判定し(S240)、当該条件を満たしていたら(S240:YES)、位置決めユニット800を移動制御して、木材の後端を切断位置に停止させ(S250)、No.1〜No.5求心バイス211〜215及び上クランプ装置による求心クランプ動作を実行する(S260)。なお、このクランプ動作において駆動される求心バイスは、CAD/CAMデータによって与えられる構造材の全長との関係で決定され、常に全ての求心バイスが駆動される訳ではない。具体的には、位置決めユニット800の位置決めロッド802の先端よりも上流側に位置する求心バイスだけが駆動される。
【0087】
こうして、複数の求心バイスによって木材が求心クランプされると、再び切断ユニット230を駆動して、木材をCAD/CAMデータに基づく材長さに切断する(S270)。こうして木材の長さ切断が完了したら、求心バイス211等及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御すると共に(S280)、中間部の残りの上下面加工を実行し、全ての加工が終了したら(S245:YES)、位置決めユニット800、ローラコンベア710及び上送りローラをCAD/CAMデータに基づいて駆動制御して木材を、切断・上下面加工ユニット200から排出する。
【0088】
図14、図15は、側面加工機300用の加工制御装置による求心補助装置1030,1040に対する制御処理の内容を示している。
【0089】
この処理では、まず、CAD/CAMデータに基づいて、位置決めユニット900のロッド902の先端を、木材の加工部位が側面加工ユニット331,332による加工位置に位置する様にセットする(300)。そして、木材が位置決めロッド902に当接した後に(S305:YES)、ローラコンベア730の送り動作を停止する(S310)。
【0090】
続いて、CAD/CAMデータに基づいて、No.1求心バイス321から加工対象の木材の後端までの長さL2が3m以上の構造材であるか否かを判定する(S320)。長さL2が3m以上のときは(S320:YES)、No.1求心バイス321を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S330)、求心補助装置1030のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S340)。これによって、求心補助装置1030のフリーホイールがローラコンベア730のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.1求心バイス321による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
【0091】
こうしてNo.1求心バイス321の求心クランプ動作が完了すると(S350:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S360)、求心補助装置1030のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S370)。
【0092】
一方、上記長さL2が3m未満であるときは(S320:NO)、位置決めユニット900の位置決めロッド902の先端位置が下流側の求心補助装置1040よりも下流に位置するか否かを判定する(S400)。この判定は、木材の先端からNo.2求心バイス322までの長さが3m以上か否かの判定としてもよい。そして、下流側に位置すると判定されたときは(S400:YES)、No.2求心バイス322を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S410)、下流側の求心補助装置1040のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S420)。これによって、求心補助装置1040のフリーホイールがローラコンベア740のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.2求心バイス322による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
【0093】
こうしてNo.2求心バイス322の求心クランプ動作が完了すると(S430:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S440)、求心補助装置1030のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S450)。
【0094】
これに対し、加工部位から木材の後端までの長さが3m未満であり(S320:NO)、かつ、位置決めロッド902の先端位置が下流側の求心補助装置1040よりも下流に位置しないと判定されたときは(S400:NO)、No.1,No.2求心バイス321,322の内で木材の全長範囲に位置するものを駆動して木材の求心クランプを開始し(S460)、求心クランプ動作が完了すると(S470:YES)、上クランプ装置の下降を開始する動作となり(S480)、求心補助装置1030,1040はいずれも駆動しない。
【0095】
こうして求心クランプと上クランプとが完了した後、加工機300による側面加工工程に入り、側面加工ユニット331,332を駆動して(S500)、木材の側面加工を実行する。1箇所の加工部位についての側面加工が完了したら(S510:YES)、求心バイス及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御し(S520)、次の加工部位の有無を判定する(S530)。次の加工部位があるときは(S530:YES)、S300へ戻る。
【0096】
図16〜図19は、木口加工機400用の加工制御装置による求心補助装置1050,1060に対する制御処理の内容を示している。
【0097】
この処理では、No.1ストッパ431をセットする(S600)。そして、ストッパ431に当接した後に(S605:YES)、ローラコンベア750の送り動作を停止する(S610)。
【0098】
続いて、CAD/CAMデータに基づいて、加工対象の木材が3m以上の構造材であるか否かを判定する(S620)。3m以上のときは(S620:YES)、No.1求心バイス441を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S630)、求心補助装置1050のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S640)。これによって、求心補助装置1050のフリーホイールがローラコンベア750のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.1求心バイス441による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
【0099】
こうしてNo.1求心バイス441の求心クランプ動作が完了すると(S650:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S660)、求心補助装置1050のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S670)。
【0100】
一方、全長が3m未満であるときは(S620:NO)、No.1求心バイス441を駆動して木材の求心クランプを開始し(S635)、求心クランプ動作が完了すると(S655:YES)、上クランプ装置の下降を開始する動作となり(S665)、求心補助装置1050は駆動しない。
【0101】
こうして求心クランプと上クランプとが完了した後、加工機400による木口加工工程に入り、No.1ストッパ431を退避位置へと戻すと共に(S680)、木口加工ユニット420を駆動制御して、スリットカッタ421によるスリット加工、ボーリングユニット422による孔開け加工の内、CAD/CAMデータによって与えられた加工を実行する(S700)。木材の後端に対する木口加工が完了したら(S710:YES)、No.1求心バイス431及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御すると共に(S720)、加工ユニット420を退避位置へと後退させ(S730)、中間コンベア414を搬送位置へ移動する(S740)。なお、中間コンベア414は、S700で木口加工を実行しているときは退避位置に移動している。
【0102】
こうして中間コンベア414が搬送位置に移動したら、ローラコンベア750,760を駆動して(S750)、木材を加工機400を通過して反対側のローラコンベア750へと排出する。この動作と同時に、次に加工すべき木材をローラコンベア750へ取り込むための動作を木材載せ代え装置753に実行させ(S760)、No.1ストッパ431をセット位置へと移動する(S770)。
【0103】
そして、ストッパ431に次の加工材が当接したら(S780:YES)、当該木材が加工開始後3本目以降か否かを判定する(S790)。3本目未満のときは(S790:YES)、プッシャプレート761のエアシリンダ762を駆動してローラコンベア760からローラコンベア770へと木材を横移動させ(S800)、No.2ストッパ432をセットすると共に(S810)、ローラコンベア770を加工機400へ向かって木材を送り込む方向に駆動する(S820)。
【0104】
そして、木材がNo.2ストッパ432に当接したら(S825:YES)、ローラコンベア770の送り動作を停止する(S830)。続いて、CAD/CAMデータに基づいて、加工対象の木材が3m以上の構造材であるか否かを判定する(S840)。3m以上のときは(S840:YES)、No.2求心バイス442を駆動して木材の求心クランプを開始すると共に(S850)、求心補助装置1060のエアシリンダにロッドを突出する動作を実行させる(S860)。これによって、求心補助装置1060のフリーホイールがローラコンベア770のローラ上面よりも突出して、木材をローラ面から僅かに持ち上げ、No.2求心バイス442による求心クランプ動作によって、木材が全体に求心位置へと移動されてクランプされる。
【0105】
こうしてNo.2求心バイス442の求心クランプ動作が完了すると(S870:YES)、次に、上クランプ装置(図示なし)の下降を開始すると同時に(S880)、求心補助装置1070のエアーシリンダにロッドを没入する動作を実行させる(S890)。
【0106】
一方、全長が3m未満であるときは(S840:NO)、No.2求心バイス442を駆動して木材の求心クランプを開始し(S855)、求心クランプ動作が完了すると(S875:YES)、上クランプ装置の下降を開始する動作となり(S885)、求心補助装置1060は駆動しない。
【0107】
以上の様にして木材の先端を加工位置にセットする動作と並行して、中間コンベア414を退避位置へ移動すると共に(S900)、S610へ戻る。
【0108】
一方、3本目以降のときは(S790:YES)、木口加工ユニット420による木材の先端を加工する工程に入り、No.2ストッパ432を退避位置へと戻すと共に(S910)、木口加工ユニット420を駆動制御して、スリットカッタ421によるスリット加工、ボーリングユニット422による孔開け加工の内、CAD/CAMデータによって与えられた加工を実行する(S920)。木材の先端に対する木口加工が完了したら(S930:YES)、No.2求心バイス432及び上クランプ装置をアンクランプ状態に制御すると共に(S940)、ローラコンベア770を木材搬出方向に駆動し(S950)、木材の長さに応じて、傾斜ローラコンベア467又は上下反転受け渡し装置769のいずれかを駆動して木材を加工済み材貯留部600へと排出する動作を実行し(S960)、1棟分の加工が完了していない場合は(S970:YES)、S770へと戻る。
【0109】
以上の様にして、木口加工機400における加工制御では、住宅1棟分としてn本の木材が加工される場合、「1本目の木材の後端の加工」→「2本目の木材の後端の加工」→「1本目の木材の先端の加工」→「3本目の木材の後端の加工」→「2本目の木材の先端の加工」→・・・→「n−1本目の木材の先端の加工」→「n本目の木材の後端の加工」→「n本目の木材の先端の加工」という順番で、効率よく木口加工が実行される。そして、この間の求心クランプ時に、木材の全長が長くて重いために幅寄せし難いときは求心補助装置1050,1060が動作して求心クランプ動作を補助する。なお、ローラコンベア760へ排出される際に、印字装置451による印字が実行され、各木材には、必要な情報が印字される。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
【0111】
例えば、金物工法用のプレカット加工設備に限らず、在来軸組工法用のプレカット加工設備についても本発明を適用できる。また、柱材、横架材、羽柄材等、各種の建築構造材を対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】第1実施形態としてのプレカット加工機の平面図である。
【図2】第1実施形態としてのホイールコンベア式の求心補助装置10が待機状態にあるところを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図3】第1実施形態としてのホイールコンベア式の求心補助装置10が求心補助動作を行っている状態にあるところを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図4】第2実施形態としてのV形プレート式の求心補助装置が待機状態にあるところを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図5】第2実施形態としてのV形プレート式の求心補助装置が求心補助動作を行っている状態にあるところを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図6】第3実施形態としての蟹はさみ式の求心補助装置が待機状態にあるところを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図7】第3実施形態としての蟹はさみ式の求心補助装置が求心補助動作を行っている状態にあるところを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図8】第4実施形態としてのプレカット加工設備の平面図である。
【図9】第4実施形態における切断・上下面加工機の部分の拡大平面図である。
【図10】第4実施形態における側面加工機の部分の拡大平面図である。
【図11】第4実施形態における木口加工機の部分の拡大平面図である。
【図12】第4実施形態における切断・上下面加工制御の内容を示すフローチャートである。
【図13】第4実施形態における切断・上下面加工制御の内容を示すフローチャートである。
【図14】第4実施形態における側面加工制御の内容を示すフローチャートである。
【図15】第4実施形態における側面加工制御の内容を示すフローチャートである。
【図16】第4実施形態における木口加工制御の内容を示すフローチャートである。
【図17】第4実施形態における木口加工制御の内容を示すフローチャートである。
【図18】第4実施形態における木口加工制御の内容を示すフローチャートである。
【図19】第4実施形態における木口加工制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1・・・プレカット加工機
2・・・クロスカット加工ユニット
3・・・上下角のみ加工ユニット
4・・・上下間柱欠き加工ユニット
5・・・求心バイス
6・・・投入コンベア
7・・・取出しコンベア
10・・・ホイールコンベア式の求心補助装置
11・・・台
12・・・エアーシリンダ
13・・・ホイールコンベアフレーム
14・・・ホイール
20・・・V形プレート式の求心補助装置
21・・・台
22・・・エアーシリンダ
23・・・V形プレート
30・・・蟹はさみ式の求心補助装置
31・・・ベース
32・・・エアーシリンダ
33・・・昇降ガイド
34・・・ガイドシャフト
35・・・受け
36・・・連結リンク
37〜40・・・リンク
41・・・蟹はさみ爪
100・・・プレカット加工設備
200・・・切断・上下面加工機
211〜215・・・No.1〜No.5求心バイス
230・・・切断ユニット
250・・・角のみユニット
270・・・カッターユニット
300・・・側面加工機
321,322・・・No.1,No.2求心バイス
331,332・・・側面加工ユニット
400・・・木口加工機
421・・・スリットカッタ
422・・・ボーリングユニット
431,432・・・No.1,No.2ストッパ
441,442・・・No.1,No.2求心バイス
500・・・加工前材貯留部
600・・・加工済み材貯留部
700・・・搬送ライン
710〜770・・・ローラコンベア
800・・・位置決めユニット
900・・・位置決めユニット
1010〜1060・・・ホイールコンベア式の求心補助装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材加工機に対して木材を投入又は搬出するための木材搬送用ローラコンベアであって、
コンベア上の木材が求心方向に移動されるときに、該求心方向への移動を補助するための求心補助装置を、前記木材加工機側の端部から所定距離離れた搬送路の途中に備え
前記求心補助装置を、
前記ローラコンベアのローラの上方で上昇しつつ求心的に押圧動作を行うと共に、該ローラの幅方向外側の待機位置まで移動する一対の爪を有する蟹はさみ機構を備えた蟹はさみ式求心補助装置によって構成したこと
を特徴とする木材搬送用ローラコンベア。
【請求項2】
求心バイスを備えた木材加工機において、
該加工機の上流及び/又は下流に請求項記載の木材搬送用ローラコンベアと、
前記求心バイスによって求心クランプを実行する際に、前記木材搬送用ローラコンベアが備える前記求心補助装置による求心補助動作を実行させる求心補助動作制御手段と
を備えたことを特徴とする木材加工機。
【請求項3】
請求項記載の木材加工機において、
前記求心バイスによってクランプされた木材を前記ローラコンベアのローラ面に押し付ける上クランプ動作を実行する上クランプ装置をも備えると共に、
前記求心補助動作制御手段を、
前記求心バイスによるクランプ動作が完了した後、前記上クランプ装置によるクランプ動作が完了する前に、前記求心補助装置による求心補助動作を終了して待機位置への復帰動作を実行させる制御手段として構成したこと
を特徴とする木材加工機。
【請求項4】
請求項2又は3記載の木材加工機において、
加工ユニットとして、少なくともクロスカット加工ユニットを備え、
前記木材搬送用ローラコンベアを、少なくとも当該加工機に木材を投入する木材投入用コンベアとして備えていること
を特徴とする木材加工機。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか記載の木材加工機において、
加工ユニットとして、少なくとも木口又は木口近傍に対して加工を施す加工ユニットを備え、
前記木材搬送用ローラコンベアを、少なくとも当該加工機から木材を搬出する木材搬出用コンベアとして備えていること
を特徴とする木材加工機。
【請求項6】
木材の長さ調整を行うクロスカット加工ユニットと、木材の中間部の上下面及び/又は左右面に対する仕口加工を行う中間加工ユニットと、及び木材の両端部に対する加工を行う木口加工ユニットとの中で、少なくとも一つの加工ユニットと、当該加工ユニットの近傍に設置される求心バイスとを備える複数の加工機と、
前記複数の加工機の内で最も上流に位置する加工機の上流、各加工機の間、及び最も下流に位置する加工機の下流のそれぞれの位置に、請求項記載の木材搬送用ローラコンベアを、各加工機に対する木材投入用及び木材搬出用として設置したこと
を特徴とする木材プレカット加工設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−73460(P2011−73460A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8629(P2011−8629)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【分割の表示】特願2005−9531(P2005−9531)の分割
【原出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(390017385)宮川工機株式会社 (23)
【Fターム(参考)】