説明

木質ペレット燃焼バーナ

【課題】腐食や摩耗に対する耐久性がより向上した木質ペレット燃焼バーナを提供する。
【解決手段】ロストル11と、ロストルを下端部において挟んで対向し、燃焼筒の左右の側面を構成する2枚の側面板12とを備えた木質ペレット燃焼バーナにおいて、燃焼筒の前面及び後面を、左右の側面板の前側端辺に接する前面板、及び左右の側面板の後側端辺に接する後面板により構成し、前面板及び後面板は、各側面板の外側に位置する結合部材24、34を介して前面板及び後面板が相互に結合されることにより、各側面板に対して固定されるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質ペレットストーブに用いられる木質ペレット燃焼バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化が問題視され、また化石燃料が高騰しつつある社会的な背景から、木質バイオマスを燃料とした燃焼装置が急速に普及している。また、このような燃焼装置のうちでも、木質ペレットを燃料とするペレットストーブが広く用いられている。ペレットストーブに用いられる木質ペレット燃焼バーナとして、従来、図2に示すような木質ペレット燃焼バーナが知られている。
【0003】
この木質ペレット燃焼バーナは、バーナケース61内にバーナ本体62を配置し、そして、バーナ本体62の下部に設けられたロストル63の間に、ロストル63上の灰を除去するための灰掻き部材64を配置し、さらに灰掻き部材64を回転させるためのギア65を、バーナケース61上の孔66を介して灰掻き部材64の回転軸に連結することにより構成される(たとえば特許文献1参照)。なお、図中の67は燃焼筒の側面を構成するロストル側板であり、68は燃焼筒内へ燃焼用の空気を供給するための空気孔である。
【0004】
このような木質ペレット燃焼バーナにおいては、木質ペレット燃焼バーナの表面に木質ペレットの燃焼灰が付着したり接触したりすることに起因して、木質ペレット燃焼バーナを構成する耐食・耐熱部材に腐食が生じやすい。そこで、耐腐食性を向上させるために、耐食・耐熱部材の表面に対し、コールドスプレー法により、高耐食皮膜を形成する処理を行うことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−122015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述従来の木質ペレット燃焼バーナによれば、バーナケース61が箱型の形状を有するので、バーナケース61の内面に対し、長いノズルを有するコールドスプレー装置を用いて高耐食皮膜の吹付け作業を行うには不便な面がある。また、耐食・耐熱材料を用いたロストル側板67は燃焼灰による腐食や、高温による摩耗が生じやすい部分であるため、木質ペレット燃焼バーナの耐久性をより向上させるためには、ロストル側板67の耐食性を向上させる必要がある。
【0007】
また、木質ペレット燃焼バーナの内部から燃焼灰をかき出す灰掻き部材64は、燃焼灰により腐食しやすく、高温により摩耗しやすい部分である。このため、各灰掻き部材64については高耐食皮膜を設けることが望ましい。しかし、各灰掻き部材64は溶接により固定されており、かつ複雑な形状を有するので、高耐食皮膜の形成を行うのが容易ではない。
【0008】
さらに、ロストル63は、燃焼灰による腐食や、高温による摩耗が生じやすい部分であるため、木質ペレット燃焼バーナの耐久性をより向上させるためには、ロストル63の耐久性を向上させる必要がある。また、燃焼筒への空気を供給する空気孔68が、長期間の使用により目詰まりするため、定期的な清掃が必要となるが、空気孔68が設けられているバーナケース61は溶接された箱型形状を有するので、清掃作業が容易ではない。
【0009】
本発明の第1の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、腐食や摩耗に対する耐久性がより向上した木質ペレット燃焼バーナを提供することにある。本発明の第2の目的は、清掃が容易な木質ペレット燃焼バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、第1の発明に係る木質ペレット燃焼バーナは、ロストルと、前記ロストルを下端部において挟んで対向し、燃焼筒の左右の側面を構成する2枚の側面板と、各側面板の前側端辺に接して前記燃焼筒の前面を構成する前面板と、各側面板の後側端辺に接して前記燃焼筒の後面を構成する後面板とを備え、前記前面板及び後面板は、各側面板の外側に位置する結合部材を介して該前面板及び後面板が相互に結合されることにより、各側面板に対して固定されたものであることを特徴とする。
【0011】
これによれば、木質ペレット燃焼バーナの製造時に、分離している状態の前面板、後面板、及び側面板に対して容易にコールドスプレー装置によって皮膜を形成してから、前面板及び後面板を結合することにより、前面板及び後面板を各側面板に固定することができる。したがって、コールドスプレー技術による耐久性に優れた耐熱・耐食皮膜を有する木質ペレット燃焼バーナを提供することができる。
【0012】
また、各側面板の外側には、バーナケースが存在しないため、常に燃焼に使用される前の新鮮な空気が供給されるので、従来の場合に比べて各側面板の外側の温度が低下する。したがって、木質ペレット燃焼バーナの耐久性を向上させることができる。
【0013】
第2の発明に係る木質ペレット燃焼バーナは、第1発明において、前記ロストル上の燃焼灰を除去する燃焼灰除去手段を備え、前記ロストルは、左右方向に長い板状の複数のロストル部材を、各隣り合うロストル部材の板面が一定間隔を置いて向かい合うように前後方向に配列して構成したものであり、前記燃焼灰除去手段は、半径方向外方に突出した複数の突出部を有する平板状の掻き出し部材を複数備え、別個に形成された各掻き出し部材をその中心に設けられた孔を回転軸に通して該回転軸に固定し、さらに各掻き出し部材が対応する前記ロストル部材間にそれぞれ位置するように該回転軸を回転自在に支持させることにより構成されたものであることを特徴とする。
【0014】
これによれば、別個に形成された各掻き出し部材に対し、容易にコールドスプレー装置によって皮膜を形成してから、各掻き出し部材を回転軸に通して固定し、燃焼灰除去手段を構成することができる。したがって、コールドスプレー技術による耐久性に優れた耐熱・耐食皮膜を各掻き出し部材に対して容易に適用し、燃焼灰除去手段の耐久性を向上させることができる。
【0015】
第3の発明に係る木質ペレット燃焼バーナは、第1又は第2発明において、前記ロストルは、左右方向に長い複数のロストル部材を、各隣り合うロストル部材の板面が一定間隔を置いて向かい合うように前後方向に配列して構成したものであり、各ロストル部材は左右の端部に凸部を備え、前記左右の側面板は下部において、前記ロストル部材の対応する凸部が嵌合する嵌合孔が設けられており、前記側面板は前側端辺及び後側端辺上に凸部を備え、前記前面板及び後面板には、前記前面板及び後面板の結合に際して前記側面板の対応する凸部が嵌合する嵌合孔が設けられており、木質ペレット燃焼バーナは、各ロストル部材の凸部を前記左右の側面板下部の対応する嵌合孔に嵌合させ、さらに前記側面板の凸部に対して前記前面板及び後面板の対応する嵌合孔を嵌合させて、前記前面板及び後面板の結合を行うことにより組み立てることができ、またこの逆の手順により分解することができるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、木質ペレット燃焼バーナを容易に分解して、清掃を行い、再度組み立てることができるので、定期的な清掃を容易に行うことができる。
【0017】
第4の発明に係る木質ペレット燃焼バーナは、第1又は第2発明において、前記ロストルは、セラミックス製であることを特徴とする。
【0018】
これによれば、セラミックスの優れた耐熱・耐食性により、ロストルが燃焼灰により腐食したり、高温により摩耗したりするのを極力防止することができる。
【0019】
第5の発明に係る木質ペレット燃焼バーナは、第1〜第4のいずれかの発明において、前記結合部材は、前記前面板の左右の端辺の中間部から後方に延びた第1のアーム部、及び前記後面板の左右の端辺の中間部から前方に延びた第2のアーム部により構成され、前記前面板及び後面板の結合は、前記第1アーム部及び第2アーム部の先端同士を結合することにより行われるものであることを特徴とする。
【0020】
これによれば、アーム部先端の結合部分が、熱の影響が少ない各側面板の外側に位置するので、結合部分や、結合に使用する部品が熱により劣化するのを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る木質ペレット燃焼バーナを構成する各部の斜視図である。
【図2】従来の木質ペレット燃焼バーナを構成する各部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る木質ペレット燃焼バーナを構成する各部の斜視図である。同図に示すように、この木質ペレット燃焼バーナは、木質ペレット用のロストルを下部に有する主要部10、主要部10の前側に取り付けられる前面板20、主要部10の後ろ側に取り付けられる後面板30、及び木質ペレットの燃焼灰を掻き出す灰掻き機構40を備える。これらの構成要素はクロムを含有する耐熱性合金や、セラミックス等の材料を用いて構成される。
【0023】
主要部10は、燃焼する木質ペレットが載置されるロストル(火格子)11、ロストル11の上方において木質ペレットからの燃焼ガスを上方に導く左右2つの側面板12、並びに各側面板12の上端辺に結合した上板14を備える。上板14は各側面板12の上端辺の間の矩形領域において開口する矩形状の枠のような形態を有する。左右の側面板12は上下方向に長いほぼ長方形の形状を有しており、下端から垂直に立ち上がり、下端から上端までの3分の1ほどのところでそれぞれ左方向及び右方向に曲折した形状を有する。
【0024】
ロストル11は、左右方向に長いほぼ長方形状を有する9枚のセラミック板11aを、各隣り合うセラミック板11aの板面が向かい合うように、前後方向に所定の間隔で配列して構成される。セラミック板11aは過酷な高温・腐食性環境に対する耐久性に優れている。各セラミック板11aは左右の端辺上に縦長の凸状部11bを備える。各側面板12の下端部には、これらの凸状部11bが嵌合する縦長の嵌合孔12aが9つずつ、前後方向に前記所定の間隔で設けられている。各セラミック板11aは凸状部11b及び嵌合孔12aを介して左右の側面板12下部の間に固定されている。
【0025】
また、左右の側面板12は、前側端辺上に、前面板20を固定するための凸状部12bを4つずつ備え、後側端辺上に、後面板30を固定するための凸状部12cを4つずつ備える。これに対応し、前面板20には、各側面板12の凸状部12bが挿入される8つの嵌合孔21が設けられている。後面板30には、各側面板12の凸状部12cが挿入される8つの嵌合孔31が設けられている。
【0026】
前面板20にはまた、ロストル11上の木質ペレットに対し、図示していない点火ヒータにより点火を行うための開口部22、燃焼用空気を供給するための多数の空気孔23、後面板30と結合するための2つの結合アーム部24、及び結合アーム部24の先端部24aの結合に使用する工具や部品を通すための2つの作業用孔25が設けられている。各結合アーム部24はそれぞれ、前面板20の左右端辺の中間部から後方へ、側面板12の幅の半分ほど延びて、先端部24aが内側に直角に曲折した形態を有する。
【0027】
先端部24aの左右方向の長さは、嵌合孔21の左右方向位置にまで達しない程度である。後面板30にも同様に、燃焼用空気を供給するための多数の空気孔33、前面板20との結合用の2つの結合アーム部34、及び結合アーム部34の先端部34aの結合に使用する工具や部品を通すための2つの作業用孔35が設けられている。先端部34aは同様に、内側に直角に曲折している。
【0028】
灰掻き機構40は平行に配置された2つのシャフト41、4枚ずつ設けられた灰掻き部材42、各シャフト41の前側端部に設けられた平歯車43、灰掻き部材42を連結して固定する灰掻きシャフト44a及びナット44b、及び各シャフト41の前側端部を回転自在に支持する支持部材45を備える。
【0029】
各灰掻き部材42は、半径方向外方に突出した8本の突出片を有する平板状の部材であり、中心部には灰掻きシャフト44aが通る孔が設けられている。この孔を介して灰掻き部材42は灰掻きシャフト44a上に配置され、ナット44bにより固定されている。各灰掻き部材42は別個に形成されたものであり、ナット44bによる固定を解除することにより、1枚毎に分離することができる。また、灰掻きシャフト44aのシャフト41側の端部は、シャフト41の端面に設けられた図示しない係合穴に係合されて連結されるように略立方体状に突出している。
【0030】
各灰掻きシャフト44aは、一方の灰掻きシャフト44a上の灰掻き部材42の突出片が、他方の灰掻きシャフト44a上の灰掻き部材42の突出片の間に位置する程度の距離だけ離れている。各灰掻きシャフト44a上の灰掻き部材42間の間隔は、ロストル11を構成する各セラミック板11a間の間隔の2倍である。また、一方の灰掻きシャフト44aの灰掻き部材42は他方の灰掻きシャフト44aの灰掻き部材42に対し、セラミック板11aの配置間隔だけずれている。したがって、両灰掻きシャフト44aの8つの灰掻き部材42についての前後方向の配置間隔は、セラミック板11aの配置間隔と同じである。
【0031】
灰掻き機構40は、主要部10に対し、灰掻き部材42の突出片の先端が、各セラミック板11aの上端辺よりも上方に突き出すような位置に配置する必要がある。このため、前面板20及び後面板30並びに各セラミック板11aの下端辺には、2本の灰掻きシャフト44aをそのような位置に配置するための、下側に開いたU字状の溝51が設けられている。
【0032】
一方のシャフト41の前側端部は図示していないモータの駆動軸が連結される。また、各シャフト41の平歯車43は相互に噛み合っている。該モータにより一方のシャフト41が回転すると、2つの平歯車43を介して他方のシャフト41は逆回転し、これにより両灰掻きシャフト44a上の灰掻き部材42が互いに逆方向に回転するようになっている。またその際、灰処理用モータの回転方向を切り替えることにより、灰掻き部材42の回転方向を切り替えることができるようになっている。
【0033】
主要部10、前面板20、後面板30、及び灰掻き機構40を組み立てて木質ペレット燃焼バーナを構成する際には、予め、ロストル11を設ける前の主要部10、前面板20及び後面板30に対し、コールドスプレー装置を用い、耐熱性及び耐腐食性を有する皮膜が形成される。この皮膜形成は、本出願人らが出願中の皮膜形成技術を用い、次のようにして行うことができる。
【0034】
すなわち、10〜80重量%のアルミニウムの粉末、並びに残部である90〜20重量%のニッケル、チタン、鉄、シリコン及びマグネシウムから選択される1以上の金属の粉末を非化合物化及び非合金化状態で密着させることにより、粒径が5〜100μmの粉末状の複合体を形成する。そして、この複合体が80重量%以上含まれる皮膜材料を、コールドスプレー装置により主要部10、前面板20、後面板30の所要部分に衝突させ、皮膜を形成することができる。
【0035】
その際、主要部10、前面板20、及び後面板30が分離しているので、容易に所要部分に対する皮膜形成が行われる。このようにして形成される皮膜は、極めて高い耐熱性及び耐食性を備えているため、剥離し難く、耐久性に優れている。したがって要部10、前面板20、及び後面板30の材料としてクロムを含有する耐熱性合金を用いたとしても、燃焼灰中に六価クロムをほとんど生成させることのない期間をより長期化することができる。
【0036】
耐熱性・耐食性皮膜が形成された、主要部10、前面板20、及び後面板30を用いて木質ペレット燃焼バーナを構成する際には、まず、主要部10において、左右の側面板12の間に各セラミック板11aを、凸状部11b及び嵌合孔12aを介して取り付ける。これにより、主要部10の下部にロストル11が構成される。
【0037】
次に、主要部10に対し、前面板20及び後面板30を取り付ける。すなわち、各凸状部12bに対して対応する嵌合孔21を嵌合させることにより、前面板20を左右の側面板12に固定する。また、各凸状部12cに対して対応する嵌合孔31を嵌合させることにより、後面板30を左右の側面板12に固定する。
【0038】
これにより、前面板20及び後面板30の先端部24a及び34aが対向するので、前面板20及び後面板30の作業用孔25及び35から工具を挿入し、先端部24a及び34aを、ボルト、ナット等により結合させる。これにより、主要部10に対する前面板20及び後面板30の取付けが完了する。
【0039】
次に、前面板20及び後面板30が取り付けられた主要部10に対し、灰掻き機構40を取り付ける。すなわち、まず、灰掻き機構40の2本のシャフト41及び灰掻きシャフト44aが、前面板20及び後面板30並びに各セラミック板11aの対応するU字状の溝51内に位置し、かつ8枚の灰掻き部材42がそれぞれ各隣接するセラミック板11aの間に位置するように、灰掻き機構40を配置する。次に、支持部材45をねじ止め等により図示しないバーナ外箱に固定するとともに、図示しないバーナ外箱により、各灰掻きシャフト44aの側端部を後面板30に対して回転自在に取り付ける。これにより木質ペレット燃焼バーナの構成が完了する。
【0040】
構成された木質ペレット燃焼バーナは、木質ペレットを燃料とするペレットストーブの燃焼室内に配置される。そして、ペレットストーブが使用される際には、上板14の開口を経て木質ペレットがロストル11上に供給され、さらに前面板20の開口部22を介して、点火ヒータによりロストル11上の木質ペレットに点火される。木質ペレットの燃焼灰は灰掻き部材42が回転されることにより、灰掻き部材42により下方に掻き出され、処理される。
【0041】
一定期間が経過したとき、ペレットストーブから木質ペレット燃焼バーナを取り外し、上述の木質ペレット燃焼バーナの構成手順とは逆の手順により木質ペレット燃焼バーナを分解し、各部に付着した燃焼灰等を除去する等の清掃を行うことができる。清掃後、再度上述の構成手順により木質ペレット燃焼バーナを組み立てて、ペレットストーブの燃焼室内に配置し、使用を継続することができる。
【0042】
本実施形態によれば、側面板12に対して前面板20、及び後面板30を取り付けることにより燃焼筒を構成するようにしたため、従来のように箱型のバーナケース内にバーナ本体を配置して燃焼筒を構成する場合に比べ、木質ペレット燃焼バーナの製造時には、燃焼筒の内部に対しても、耐熱性・耐食性皮膜を容易に形成することができる。
【0043】
特に、耐熱部材の表面に、コールドスプレー装置を利用して、従来よりも飛躍的に耐久性が向上した耐熱性・耐食性皮膜を形成する技術が開発されており、コールドスプレー装置によりかかる皮膜を形成する際には、装置に固定された250mm程度の長さを有するノズルを用いて皮膜材料を噴射し、皮膜を形成する部分に衝突させる必要があるが、このようなコールドスプレー装置を用いる場合でも、燃焼筒の内部を構成する部分に対し、容易に耐熱性・耐食性皮膜を形成することができる。
【0044】
また、木質ペレットの燃焼時に、左右の側面板12の外側には常に燃焼に使われる前の新鮮な空気が供給される構造となるため、各側面板12の外側は従来に比べて温度が低下するので、木質ペレット燃焼バーナの耐久性を向上させることができる。
【0045】
また、灰掻き部材42をナット44bにより固定し、1枚毎に分離可能としたため、上述のコールドスプレー装置による耐熱性及び耐食性に優れた皮膜を、灰掻き部材42に対して1枚毎に、確実に形成することができる。したがって、灰掻き部材42が燃焼灰によって腐食したり、高熱により摩耗したりするのを、より長期にわたって防止することができる。
【0046】
また、ロストル11をセラミック板11aにより構成するようにしたため、セラミックス材料が有する優れた耐熱性及び耐食性により、ロストル11の高温・腐食性環境に対する耐久性を向上させることができる。
【0047】
また、木質ペレット燃焼バーナを、前面板20、後面板30、主要部10等に容易に分解し、かつ再度組み立てることができるようにしたため、定期的に行われる木質ペレット燃焼バーナの清掃に際し、内部の清掃を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
10:主要部、11:ロストル、11a:セラミック板、11b:凸状部、12:側面板、12a:嵌合孔、12b:凸状部、12c:凸状部、20…前面板、21…嵌合孔、22:開口部、23:空気孔、24:結合アーム部、24a:先端部、25:作業用孔、30:後面板、31:嵌合孔、33:空気孔、34:結合アーム部、34a:先端部、35:作業用孔、40:灰掻き機構、41:シャフト、42:灰掻き部材、43:平歯車、44a:灰掻きシャフト、44b:ナット、45:支持部材、51:U字状の溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロストルと、
前記ロストルを下端部において挟んで対向し、角筒状の燃焼筒における左右の側面を構成する2枚の側面板と、
各側面板の前側端辺に接して前記燃焼筒の前面を構成する前面板と、
各側面板の後側端辺に接して前記燃焼筒の後面を構成する後面板とを備え、
前記前面板及び後面板は、各側面板の外側に位置する結合部材を介して該前面板及び後面板が相互に結合されることにより、各側面板に対して固定されたものであることを特徴とする木質ペレット燃焼バーナ。
【請求項2】
前記ロストル上の燃焼灰を除去する燃焼灰除去手段を備え、
前記ロストルは、左右方向に長い板状の複数のロストル部材を、各隣り合うロストル部材の板面が一定間隔を置いて向かい合うように前後方向に配列して構成したものであり、
前記燃焼灰除去手段は、半径方向外方に突出した複数の突出部を有する平板状の掻き出し部材を複数備え、別個に形成された各掻き出し部材をその中心に設けられた孔を回転軸に通して該回転軸に固定し、さらに各掻き出し部材が対応する前記ロストル部材間にそれぞれ位置するように該回転軸を回転自在に支持させることにより構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の木質ペレット燃焼バーナ。
【請求項3】
前記ロストルは、左右方向に長い複数のロストル部材を、各隣り合うロストル部材の板面が一定間隔を置いて向かい合うように前後方向に配列して構成したものであり、
各ロストル部材は左右の端部に凸部を備え、
前記左右の側面板は下部において、前記ロストル部材の対応する凸部が嵌合する嵌合孔が設けられており、
前記側面板は前側端辺及び後側端辺上に凸部を備え、
前記前面板及び後面板には、前記前面板及び後面板の結合に際して前記側面板の対応する凸部が嵌合する嵌合孔が設けられており、
木質ペレット燃焼バーナは、各ロストル部材の凸部を前記左右の側面板下部の対応する嵌合孔に嵌合させ、さらに前記側面板の凸部に対して前記前面板及び後面板の対応する嵌合孔を嵌合させて、前記前面板及び後面板の結合を行うことにより組み立てることができ、またこの逆の手順により分解することができるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の木質ペレット燃焼バーナ。
【請求項4】
前記ロストルは、セラミックス製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の木質ペレット燃焼バーナ。
【請求項5】
前記結合部材は、前記前面板の左右の端辺の中間部から後方に延びた第1のアーム部、及び前記後面板の左右の端辺の中間部から前方に延びた第2のアーム部により構成され、
前記前面板及び後面板の結合は、前記第1アーム部及び第2アーム部の先端同士を結合することにより行われるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の木質ペレット燃焼バーナ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−242042(P2011−242042A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113717(P2010−113717)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000106483)サンポット株式会社 (17)
【Fターム(参考)】