説明

未分化細胞の培養担体および培養方法ならびに未分化な培養細胞

【課題】未分化な細胞を、免疫拒絶反応を起こさず、かつ、効率よく培養し、3次元細胞塊を形成することができる未分化細胞の培養担体および培養方法ならびに未分化な培養細胞を提供する。
【解決手段】チタニア、アルミナ、ジルコニア、イットリアおよびカーボンのうちの少なくともいずれか1種以上のセラミックスからなり、少なくとも細胞を撒種する部位に、孔径0.1μm以上10μm以下の微小孔を有している培養担体を用いて、該培養担体の表面の少なくとも1ヶ所以上に未分化細胞を撒種して、未分化な状態で3次元細胞塊状に培養する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ES細胞や成体多能性幹細胞等の多能性を有する未分化な細胞の培養技術、特に、培養担体およびこれを用いた培養方法ならびに未分化な3次元細胞塊を形成する培養細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患、老化、事故等による組織の損傷は、人間の生命活動にとって重大な影響を及ぼす。人間の組織の再生能力は低く、例えば、骨や軟骨等の修復は、人工骨等のインプラントによって損傷部を補充することにより行われている。
【0003】
一方、近年の細胞培養技術においては、ヒト骨髄液からの未分化細胞の分離や、目的とする組織細胞への分化・誘導、3次元培養技術、足場材料の開発等の進歩により、体性幹細胞から皮膚、骨、軟骨、血管、心臓弁、靭帯等の組織を作製することが可能となり、一部は、既に臨床応用が始められている。
【0004】
このように、細胞培養によって、未分化な細胞から複雑な組織を得るためには、3次元構造を有する培養担体を用いて、ES細胞に代表される未分化細胞を、未分化な状態を保持したまま培養し、3次元細胞塊(コロニー)を形成させ、そして、この3次元細胞塊に、細胞増殖因子や栄養分を供給し、目的とする組織に分化・誘導させる必要がある。
【0005】
近年、このような未分化細胞から組織への分化・誘導の研究は、盛んに行われており、その一例として、生体安定性、生体親和性を有する気孔率75%のハイドロキシアパタイト多孔体内で未分化細胞を培養、増殖させた後、該多孔体を生体内に埋入することによって、細胞の働きを一層活発化させることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ES細胞等に代表される未分化な細胞を培養、維持するために、培養担体として、プラスチックシャーレ上に、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、マトリゲル等の生体内成分をコーティングしたものが用いられたり、また、STO(マウス胎児繊維芽細胞)等に代表されるフィーダ細胞、もしくは、これに代わるES細胞支持細胞を培養して細胞層を形成させ、その上にES細胞を撒種(導入)し、培養する方法が行われている。
【特許文献1】特開2002−17846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載されているようなハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム系セラミックスは、生体安定性、生体親和性に優れていることから、免疫拒絶反応を起こさない担体として好ましいと考えられる。
しかしながら、ハイドロキシアパタイトの主成分であるCa2+イオンやPO42-イオンは、骨芽細胞が骨形成を行う際の重要な因子であり、このため、ハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム系セラミックスを、ES細胞等の未分化な細胞の培養担体として用いた場合、Ca2+イオン等の影響により、他の細胞に分化・誘導され、未分化なまま維持することが難しい。
【0008】
また、上述したようなフィーダ細胞等の支持細胞を用いる方法では、培養後、ES細胞と他の細胞を完全に分離できない可能性があり、しかも、生体内成分や支持細胞は、再生医療用の担体として用いた場合、危険因子の混入や免疫拒絶反応等のおそれがあり、臨床的に影響を及ぼすことが懸念される。
このため、フィーダ細胞等の支持細胞を使用することなく、培養担体上で、ES細胞を培養させる研究も進められてはいるが、未だ完全な3次元培養塊を形成できるまでには至っていない。
【0009】
したがって、ヒトのES細胞等を効率よく増殖させることができ、かつ、危険因子や免疫拒絶反応を生じることのない、未分化な3次元細胞塊を培養できる培養担体の開発が求められている。
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、未分化な細胞を、免疫拒絶反応を起こさず、かつ、効率よく培養し、3次元細胞塊を形成することができる未分化細胞の培養担体および培養方法ならびに未分化なまま培養された3次元細胞塊を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る未分化細胞の培養担体は、少なくとも細胞を撒種する部位が、孔径0.1μm以上10μm以下の微小孔を有するセラミックスであることを特徴とする。
上記のような微小孔は、セラミックスの粒子間に形成されるもので、細胞を撒種する部位に存在することにより、未分化細胞が培養担体に接着しやすく、また、培地の循環の促進も図られ、未分化細胞が3次元細胞塊状に形成されやすくなる。
【0012】
前記セラミックスは、未分化細胞の分化・誘導を起こしにくく、生体安定性、生体親和性に優れたチタニア、アルミナ、ジルコニア、イットリアおよびカーボンのうちのいずれか1種以上からなることが好ましい。
【0013】
また、前記セラミックスは、内部に連通する気孔を有する多孔体からなることが好ましい。
セラミックスの内部に連通する気孔を設けることにより、培養担体内部でも培養でき、また、足場としての効果が高まるとともに、培養液が適度に循環するようになる。
なお、ここで言う「気孔」は、前記「微小孔」とは、異なるものを指す。
【0014】
また、前記セラミックス多孔体は、無数の略球状の気孔が全体にわたって連通しており、気孔率が70%以上95%以下、平均気孔径が50μm以上1000μm以下、各気孔間の連通部の径が10μm以上200μm以下であることが好ましい。
上記のような多孔質構造により、セラミックス多孔体の表面や気孔内に、未分化細胞を効率よく撒種、定着させ、増殖させることができ、3次元細胞塊を形成した未分化細胞に、細胞増殖因子や栄養分を効率的に供給することができる。
【0015】
また、本発明に係る未分化細胞の培養方法は、上記のような培養担体を用いて、その培養担体の表面または気孔内の少なくとも1ヶ所以上に未分化細胞を撒種して、未分化な状態で3次元細胞塊状に培養することを特徴とする。
上記のような本発明に係る培養担体を用いることにより、免疫拒絶反応を起こさず、かつ、効率的に、未分化細胞の3次元細胞塊を培養することができる。
【0016】
前記培養方法においては、培養担体を構成するセラミックスまたはセラミックス多孔体に直接、未分化細胞を撒種し、培養することが好ましい。
培養担体のセラミックスに、フィーダ細胞に代表される支持細胞を介さず、直接、未分化細胞を撒種(導入)させることにより、危険因子の混入や免疫拒絶反応等のおそれのない未分化細胞の3次元細胞塊を得ることができる。
【0017】
また、本発明に係る未分化な培養細胞は、上記のような培養担体を用いて培養され、3次元細胞塊を形成していることを特徴とする。
このような3次元細胞塊状の未分化な培養細胞は、細胞増殖因子や栄養分を付与することで、目的の組織細胞に分化・誘導することができ、複雑な組織の再生治療に応用可能になる。
【0018】
また、本発明に係る未分化な培養細胞は、上記のような培養方法を用いて培養され、3次元細胞塊を形成していることを特徴とする。
このような3次元細胞塊状の未分化な培養細胞も、上記と同様に、複雑な組織の再生治療に有用である。
【発明の効果】
【0019】
上述したとおり、本発明に係る培養担体を用いれば、フィーダ細胞を用いることなく、かつ、未分化な細胞を分化・誘導させることなく、未分化な状態を保持したまま安全に培養することができる。
また、本発明によれば、セラミックスの表面や気孔内の細胞に、細胞増殖因子や栄養分を効率的に供給することができ、未分化な細胞の3次元細胞塊を形成することができる。
したがって、本発明は、ES細胞や成体多能性幹細胞等の多能性を有する未分化な細胞の培養技術の発展、ひいては、生体組織の再生治療への応用に貢献し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明に係る未分化細胞の培養担体は、少なくとも細胞を撒種する部位が、孔径0.1μm以上10μm以下の微小孔を有するセラミックスであることを特徴とするものである。
このような微小孔により、未分化細胞はセラミックスに接着しやすくなり、また、培地の循環の促進が図られ、セラミックスの表面(セラミックスが多孔体である場合には、気孔内も含む)において、未分化細胞の3次元細胞塊の形成が促進される。
【0021】
前記微小孔は、有機物からなる微小片の焼き抜きやセラミックス成形体の低温焼成等の方法によって、セラミックスの粒子間に形成されるものであり、部分的に存在させてもよいが、セラミックス全体に存在させることが好ましい。この微小孔を介して、3次元的に、すなわち、撒種した細胞に対してあらゆる面から培養液を供給することができる。
前記微小孔の孔径は、細胞と材料の接着に関して意味のある大きさという観点から、上記範囲内であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
なお、前記微小孔の孔径は、水銀圧入法により測定することができる。
【0022】
前記セラミックスは、チタニア、アルミナ、ジルコニア、イットリアおよびカーボンのうちのいずれか1種以上からなることが好ましい。
これらは、生体安定性、生体親和性に優れ、また、未分化細胞の分化・誘導を起こしにくい。
これらのうち、特に、チタニア、ジルコニア、イットリアが、培養された細胞が球状塊になりやすく、好ましい。
【0023】
また、前記セラミックスは、内部に連通する気孔を有する多孔体からなることが好ましい。
前記微小孔と異なり、より大きな気孔が外部と連通するように存在することにより、未分化細胞が侵入し、定着できる表面積が広がり、また、培養液も3次元状に循環しやすくなる。
前記セラミックスが多孔体である場合は、少なくとも気孔内表面に、前記微小孔を有していることが好ましく、多孔体全体が微小孔を有していることがより好ましい。
なお、前記微小孔による空間は、ここでいう多孔体の気孔部分には含まれないものとする。
【0024】
前記セラミックス多孔体は、無数の略球状の気孔が全体にわたって連通しており、気孔率が70%以上95%以下、平均気孔径が50μm以上1000μm以下、隣り合う気孔同士の間に形成される連通部の径が10μm以上200μm以下であることが好ましい。
ただし、ここで言う平均気孔径には、前記微小孔の孔径は含まず、孔径10μmよりも大きい気孔のみを考慮した気孔径である。
また、略球状の気孔とは、厳密な真球状に限定されるものではなく、真球がやや扁平したり、歪んだりした形状等の気孔も含む意味である。
また、連通部とは、隣り合う略球状の気孔同士が接触して開口した部分をいう。開口が円形でない場合もあるが、ここでは、開口した部分の面積を有する円に置換して、その直径を「連通部の径」として表す。
【0025】
上記のような構造を有するセラミックス多孔体によれば、該多孔体の孔内に、未分化細胞を効率よく撒種、定着させ、セラミックス多孔体上で増殖させることができ、かつ、3次元細胞塊を形成した未分化細胞に、細胞増殖因子や栄養分を効率的に供給することができる。
なお、前記気孔率は、多孔体の密度と理論密度から導くことができる。また、平均気孔径は、特許第3400740号公報に記載の樹脂包埋による方法で求められ、連通部の径は、水銀圧入法により求めることができる。
【0026】
前記セラミックス多孔体の気孔率が70%未満である場合、また、平均気孔径が50μm未満である場合、未分化細胞や培養液が容易に侵入できるような連通部の径を得ることが難しい。
一方、前記気孔率が95%を超える場合、また、平均気孔径が1000μmを超える場合、多孔体内部に侵入した未分化細胞が流出しやすく、多孔体上に定着し難くなるとともに、培養担体の形状を保つことが難しい。
前記気孔率は、より好ましくは、75%以上90%以下であり、さらに、80%以上90%以下であることが好ましい。また、平均気孔径は、250μm以上800μm以下であることがより好ましい。
【0027】
また、前記セラミックス多孔体の各気孔間の連通部の径が10μm未満である場合、細胞を培養する担体の連通性が不十分であり、培地に供給した細胞増殖因子や栄養分等が、十分に細胞に行き渡らず、担体内部の細胞が死滅したり、目的の細胞に分化しないおそれがある。
一方、前記径が200μmを超える場合、多孔体内部に侵入した未分化細胞が流出しやすく、多孔体上に定着し難くなる。
前記連通部の径は、20μm以上150μm以下であることがより好ましい。
なお、上記のようなセラミックス多孔体は、スポンジ状の有機多孔体にスラリーを塗布して有機多孔体を焼き抜くセラミックフォームや、スラリーを撹拌起泡して焼結する特許第3400740号に記載されている方法等によって得ることができるが、気孔の制御がしやすい後者の方法により得ることがより好ましい。
【0028】
本発明に係る培養担体を適用する細胞は、ES細胞等に代表される未分化細胞である。未分化細胞とは、自分自身と同じ細胞に増殖する能力と、細胞増殖因子の付与によって決まった組織細胞に分化する能力を有する未分化の状態の細胞であり、一旦、他の組織細胞に分化すると、未分化な状態に戻ることはできない。具体的には、胚性幹細胞(ES細胞)、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝臓幹細胞、膵臓幹細胞、皮膚幹細胞等が挙げられるが、本発明においては、ES細胞や間葉系幹細胞を用いることが好ましく、特に、ES細胞を用いることが好ましい。
【0029】
また、上記のような細胞の培養に用いられる培地は、特に限定されるものではなく、培養する細胞に応じて、適宜選択することができる。例えば、MEM、α−MEM、DMEM、イーグル培地等が好適に用いられる。
これらの培地には、さらに、FBS(fetal bovine serum;ウシ胎児血清)、KSR(KnockOutTM Serum Replacement)、LIF(leukemia inhibitory factor;白血病阻害因子)、非必須アミノ酸、ピルビン酸、抗生物質等の細胞を維持するために必要な物質を添加することが好ましい。
【0030】
さらにまた、セラミックスの表面や多孔体の気孔内部で未分化な状態で形成された3次元細胞塊を、目的とする細胞に分化・誘導するために、例えば、骨となる骨芽細胞に誘導するためには、FGF(線維芽細胞成長因子)、IGF−1、IGF−II、PDGF(血小板由来成長因子)、TGF−B(トランスフォーミング成長因子)、BMP−Z、HGH、ヒト由来成長因子の濃縮物等の細胞増殖因子を培地に添加してもよい。
【0031】
上記のような本発明に係る培養担体を用いて、前記セラミックス(培養担体)の表面または気孔内の少なくとも1ヶ所以上に未分化細胞を撒種し、適宜、細胞増殖因子や栄養分を培地に添加して供給することにより、未分化な状態を保持したままで、3次元細胞塊に形成された未分化な培養細胞を得ることができる。
このような3次元細胞塊状の未分化な培養細胞は、複雑な組織の再生治療に有効活用することができる。
【0032】
特に、本発明に係る培養担体を用いれば、培養担体であるセラミックス上に、フィーダ細胞層を形成することなく、直接未分化細胞を撒種することにより、純粋な未分化な培養細胞を容易に得ることができるという利点を有している。
また、前記培養細胞は、図3−2の電子顕微鏡写真に見られるような球状の細胞塊として得ることもできる(下記実施例3参照)。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1](チタニアセラミックス多孔体(焼結体)の作製)
セラミックス原料として平均粒径180nmのチタニア粉末810gと、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩0.41gとポリエチレンイミン32.4gを、分散溶媒として純水270gを、ボールミルで15時間撹拌混合して原料スラリーを調製した。
この原料スラリーに、起泡剤としてエマール(登録商標)4.8gを添加して撹拌し、泡沫状スラリーとした。
さらに、ゲル化剤としてソルビトールポリグリシジルエーテル4.2gを加えて、150mm×150mm×30mmの型に流し込み、加湿乾燥させ、チタニア多孔体の成形体を得た。
この成形体を、1200℃で2時間焼成して、135mm×134mm×21mmのチタニアセラミックス多孔体(焼結体)を得た。
この焼結体の気孔率は84.8%であった。
得られた焼結体の電子顕微鏡写真(10000倍、100倍)を、図1−1、図1−2に示す。
図1−1に示す電子顕微鏡写真から、チタニアセラミックス多孔体の骨格部分に、孔径0.5〜2μmの微小孔が存在することが観察され、これを水銀圧入法により測定したところ、孔径0.4〜1.0μmであった。また、平均気孔径は150〜450μm、連通部の径は40〜60μmであった。
【0034】
[実施例2]
実施例1と同様にして得られたチタニア多孔体の成形体を、1400℃で2時間焼成して、135mm×134mm×21mmのチタニアセラミックス多孔体(焼結体)を得た。
この焼結体の気孔率は80.2%であった。
得られた焼結体の電子顕微鏡写真(10000倍)を、図2に示す。また、平均気孔径は150〜450μm、連通部の径は40〜60μmであった。
図2に示す電子顕微鏡写真においては、図1−1で見られたような微小孔は消失している。
【0035】
[実施例3](チタニアセラミックス多孔体上でのES細胞培養)
96穴プレートの穴に、実施例1で作製したチタニアセラミックス多孔体を径5mm高さ2mmの円柱状に加工して充填し、このチタニアセラミックス多孔体上に、予め培養されたES細胞を5.0×105個撒種し、KSR、ピルビン酸、非必須アミノ酸、LIF、ストレプトマイシン、ペニシリンを含んだDMEMにおいて、5%CO2インキュベータ内で、37℃で3日間培養した。
培養後の細胞の電子顕微鏡写真(100倍、1000倍)を、図3−1、3−2に示す。
図3−2に示す電子顕微鏡写真から、チタニアセラミックス多孔体上で、ES細胞が未分化な状態を保持したまま、3次元細胞塊を形成していることが確認された。さらに、3次元細胞塊をALP(アルカリフォスターゼ)染色したところ、3次元細胞塊が青紫色に染色され、ES細胞が未分化な状態を保持したまま、増殖していることが確認された。
【0036】
[実施例4](ハイドロキシアパタイトセラミックス上でのES細胞培養)
チタニアセラミックス多孔体に代えて、ハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体(気孔率80%)を用いて、実施例3と同様にして、ES細胞を培養した。
培養後の細胞の電子顕微鏡写真(1000倍)を、図4に示す。
図4に示す電子顕微鏡写真から、ハイドロキシアパタイトセラミックス上では、ES細胞の3次元細胞塊の形成は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1−1】実施例1に係るチタニアセラミックス多孔体(焼結体)の電子顕微鏡写真(10000倍)である。
【図1−2】実施例1に係るチタニアセラミックス多孔体(焼結体)の電子顕微鏡写真(100倍)である。
【図2】実施例2に係るチタニアセラミックス多孔体(焼結体)の電子顕微鏡写真(10000倍)である。
【図3−1】実施例3に係るチタニアセラミックス多孔体(焼結体)上で培養した細胞の電子顕微鏡写真(100倍)である。
【図3−2】実施例3に係るチタニアセラミックス多孔体(焼結体)上で培養した細胞の電子顕微鏡写真(1000倍)である。
【図4】実施例4に係るハイドロキシアパタイト(焼結体)上で培養した細胞の電子顕微鏡写真(1000倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも細胞を撒種する部位が、孔径0.1μm以上10μm以下の微小孔を有するセラミックスであることを特徴とする未分化細胞の培養担体。
【請求項2】
前記セラミックスが、チタニア、アルミナ、ジルコニア、イットリアおよびカーボンのうちのいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1記載の未分化細胞の培養担体。
【請求項3】
前記セラミックスが、内部に連通する気孔を有する多孔体からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の未分化細胞の培養担体。
【請求項4】
前記セラミックス多孔体は、無数の略球状の気孔が全体にわたって連通しており、気孔率が70%以上95%以下、平均気孔径が50μm以上1000μm以下、各気孔間の連通部の径が10μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項3記載の未分化細胞の培養担体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の培養担体が用いられ、前記培養担体の表面または気孔内の少なくとも1ヶ所以上に未分化細胞を撒種して、未分化な状態で3次元細胞塊状に培養することを特徴とする未分化細胞の培養方法。
【請求項6】
前記培養担体を構成するセラミックスまたはセラミックス多孔体に直接、未分化細胞を撒種し、培養することを特徴とする請求項5記載の未分化細胞の培養方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の培養担体を用いて培養され、3次元細胞塊を形成していることを特徴とする未分化な培養細胞。
【請求項8】
請求項5または請求項6記載の培養方法を用いて培養され、3次元細胞塊を形成していることを特徴とする未分化な培養細胞。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−167063(P2007−167063A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311593(P2006−311593)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000221122)東芝セラミックス株式会社 (294)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】