材料を粉砕掘削する方法および装置
本発明は、材料を粉砕掘削および/またはボーリングする装置、特に岩石、鉱物または石炭を排出するための装置に関する。この装置は、ドラムの軸線Hの回りを回転可能なようにドラム支持体(101)に取り付けられる工具ドラム(104)を有し、この工具ドラム(104)には複数の工具シャフト(105)が回転駆動可能に組み込まれ、この複数の工具シャフト(105)はその端部に粉砕掘削/ボーリング用の工具(116)を担持しており、この場合、工具シャフト(105)の少なくとも2つは、1つの共通の歯車駆動装置によって駆動可能であり、この共通の歯車駆動装置は、工具シャフト(105)に回転固定して配置される出力歯車(107)と、この出力歯車(107)と相互作用する1つの共通の駆動要素(108)とを備え、この駆動要素(108)および工具ドラム(104)は互いに対して回転可能である。本発明によれば、工具シャフト(105)の軸線Wがドラムの軸線Hに対して横方向に位置することが想定される。本発明による装置(110)においては、個々の粉砕掘削/ボーリング用の工具(116)の被採取岩石内への係合が、きわめて短く、高密度であり、パルス態様において行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を粉砕掘削および/またはボーリング掘削する装置、特に岩石、鉱物または石炭を排出するための装置に関する。この装置は、ドラムの軸線の回りを回転可能なようにドラム支持体に取り付けられる工具ドラムを有し、この工具ドラムには複数の工具シャフトが回転駆動可能に組み込まれ、この複数の工具シャフトは工具ドラムから突き出るその端部に掘削工具を担持しており、この場合、工具シャフトの少なくとも2つは、1つの共通の歯車駆動装置によって駆動可能であり、この共通の歯車駆動装置は、工具シャフトに回転固定して配置される動力取り出し歯車と、駆動歯車と協動する1つの共通の駆動要素とを備え、この駆動要素および工具ドラムは互いに対して回転可能である。本発明は、さらに、特に岩石、石炭その他同類のもののような材料を粉砕または排出する方法と、上記のような装置の使用と、さらにこの方法の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
地下または地上の採掘における岩石、鉱石および他の採取製品のような硬質材料の排出用として、しかしまた、道路建設またはビル建設等におけるアスファルトまたはコンクリート構成部分の粉砕掘削用として、回転駆動されるドラムまたはディスクを装備した多くの粉砕システムが知られる。このドラムまたはディスクには、例えばストレートシャンクチゼルのような粉砕工具が均等配置で取り付けられる。地下の採掘において用いられるドラムカッタの場合には、被採取材料を全断面掘削で掘削するせん断ディスクによって岩石または石炭が破砕され、その結果、ドラムの周囲に配置される全掘削工具の約半数が、同時に作業面と係合する状態にある。掘削工具と被破砕材料との間の接触時間が相対的に長いために、硬い金属チップを装着した掘削工具でさえも、特に被破砕材料が硬質である場合は、その摩耗が顕著になる。さらに、複数の個別掘削工具が被破砕材料と同時に係合状態にあるために、各工具に残存する押圧力が相対的に低く、従って、硬質材料を破砕するためには、装置に対して、相対的に高い前進力を、前進または作業方向に加えなければならない。
【0003】
特に硬質の岩石排出用の装置の採取性能を向上させるために、発明者らは、衝撃の重複によって作動し、それによって、鉱物、硬質岩石またはコンクリート排出用としての高い解放パルスを実現する装置を開発した。衝撃の重複によって作動する装置の場合には、装置の個々の要素の取り付けと、さらに騒音の発生とが大きな問題になることがある。
【0004】
さらに、発明者らは、先に公刊された国際公開第2006/079536A1号パンフレットから知られる装置を開発した。本出願の請求項1の前段部分はこの装置に基づいており、この装置において、押圧力を低減することによって、硬質材料を掘削する場合にも工具の長い稼動寿命を実現できる。国際公開第2006/079536A1号パンフレットから知られる装置の作動原理は、複数の工具スピンドルを、主軸ドラムまたは工具ドラム内において、各工具スピンドルのスピンドル軸線が工具ドラムの回転の軸線に対して平行にあるいは高々のところ僅かに傾斜して並ぶように、ドラム軸線の回りに偏心して配置することに基づいている。すべての工具スピンドルは、掘削工具が工具ドラムの端面の前方において円周上に分布配置されるように、工具ドラムに取り付けられる。運転使用においては、工具ドラムの回転が各工具スピンドルの回転と重ね合わされる。工具ドラムおよび工具スピンドルの回転動作を重ね合わせることによって、相対的にごく僅かな個数の掘削工具しか同時には被掘削材料または被排出材料と作動係合しないことを実現できるので、各個別掘削工具に対して高い解放力が結果として生じる。この既知の掘削装置は、運転使用において、工具ドラムの回転の軸線に対して横方向に、従って各個別工具シャフトの回転の軸線に対しても横方向に動かされる。この既知の装置によって、硬質材料の場合および高い排出性能においても、工具の優れた稼動寿命を実現できる。しかながら、閉鎖面において材料を排出する場合に、しかしまた、芯となるボーリング孔または同類のものを開削する場合にも、装置の被排出材料の中への送り込み動作のために、進入が時に問題となり、場合によっては不可能になる。さらに、大きな表面積上で材料を破砕するために、相当な直径の工具ドラムが必要になり、この結果、装置の全体重量が比較的大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、岩石または高強度の他の材料も、高い排出性能および大きな排出面積によって経済的に排出し得る装置を提供することにある。この装置は、高い運転の信頼性を確保するべきであり、最高度に多様な用途分野において使用可能でなければならず、かつ、上記の既知の装置の欠点を回避するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、請求項1の特徴を有する装置が提案される。本発明によれば、工具シャフトの軸線がドラムの軸線に対して横方向に位置する方式が想定される。従って、国際公開第2006/079536A1号パンフレットから知られる装置の場合と違って、個々の工具シャフトの軸線が、工具ドラムの軸線に基本的に平行に並ぶのではなくそれに対して横方向に位置するような、工具ドラムと共回りする工具シャフトの配置が選択される。工具シャフトの軸線の方位が大幅に変更されたために、この場合、掘削工具は工具ドラムの端面上にあるのではなく、その代わりに、粉砕または排出が工具ドラムの周囲の半径方向の外側で行われる。工具シャフトの方位を変更したことによって、工具ドラムの回転動作と工具シャフトの回転との基本的に異なる重ね合わせの状況が生じる。それにも拘らず、本発明による装置においても、個々の掘削工具の被破砕岩石内への係合は、きわめて短く、高密度で、パルス状に実現できるので、上記の既知の装置の利点、特にきわめて高い解放力が、工具ドラムの有効な押圧力を低減しても保持されるのである。
【0007】
1つの有利な実施態様によれば、工具シャフトの軸線がドラムの軸線に垂直に位置することができる。この代わりに、工具シャフトの軸線をドラムの軸線に対して斜めに配置することもできる。この斜めの角度は、少なくとも45°であり、好ましくは約80°より大きくする。また、基本的に、1つ以上の工具シャフトの軸線をドラムの軸線に垂直に配置し、同時に他の工具シャフトの軸線を、すべて同じようにまたはそれぞれ異なってドラムの軸線に対して斜めに配置することも可能であろう。本発明による装置においては、先行技術の場合と違って、運転使用において、装置の作業の動きがドラムの軸線に平行に生じること、および/または、装置の送りの動きが、次の排出運転のための切り込み深さの量だけドラムの軸線に垂直に生じることが特に有利である。本発明による解決策においては、この場合、すべての掘削工具が、工具ドラムの半径方向の外側、特に工具ドラムの周囲の半径方向の外側に設けられる点が好ましく、運転使用において、材料は工具ドラムの周囲の外側において三日月形状に排出される。ドラムの回転動作と、工具シャフトの軸線の配置とのために、運転使用において、掘削工具はドラムの軸線に対して横方向に回転し、材料はドラムの周囲の外側において排出される。先行技術とは異なる回転動作の重ね合わせと、工具ドラムの寸法は同一にしたままで掘削工具がさらに外側に配置されることとによって、先に公刊されたシステムの場合よりも大幅に短い工具係合時間を実現できる。個々の各掘削工具と被排出材料との間の接触が、特に掘削工具の動きのその瞬時の方向と工具ドラムの動きの方向とが一致する時に生起する点が有利である。
【0008】
1つの有利な実施態様によれば、工具ドラムと少なくともいくつかの工具シャフトとが1つの共通の回転駆動装置を有することができる。この実施態様においては、工具ドラムを回転する結果として、共通の回転駆動装置によって駆動される工具シャフトも自動的に回転させることができる。1つの設計態様によれば、回転駆動装置は1つの駆動シャフトと、駆動要素としての1つまたは少なくとも1つの駆動歯車とを有することができる。この駆動シャフトは、工具ドラムに回転固定して連結され、ドラム支持体に組み込まれ、かつ、駆動装置によって駆動可能である。また、駆動要素としての駆動歯車は、ドラム支持体に回転固定して取り付けられ、それぞれの工具シャフト上の動力取り出し歯車と噛み合う。これに対応する装置は、特に小型に構成できる一方で、非常に大きな力およびトルクを伝達し、同時に、工具ドラムまたは駆動シャフトと、駆動される工具シャフトとの間の回転速度の比は固定されている。駆動力を確実に伝達するために、駆動歯車およびそれに関連する動力取り出し歯車は、かさ歯車からエピサイクリック歯車として構成されるアングル歯車装置を形成することができる。この歯車装置においては、それぞれ、1つまたは複数の駆動歯車がサン歯車を形成し、工具ドラムと共回りする動力取り出し歯車が遊星歯車を形成する。別の実施態様においては、駆動歯車をフェースギヤとして構成し、このフェースギヤに、関連する動力取り出し歯車としての円筒歯車が噛み合う。遊星歯車を備えたフェース歯車装置を用いると、フェースギヤによっては軸力が伝達されないので、運転使用において各軸受部分に印加される力が大きく低減する。
【0009】
工具ドラムおよび工具シャフト用の共通の回転駆動装置における望ましい解放挙動を実現するために、歯車装置は、駆動シャフトと工具シャフトとの間に約3:1〜9:1の増速伝動比、特に約6:1〜8:1の増速伝動比を有することが望ましい。例えばダイヤモンド工具またはセラミックのような特に硬い掘削工具を用いる場合は、この増速伝動比は、さらに例えば12:1およびそれ以上にすることができる。高い押圧力を容易に吸収し得るように、1つの有利な実施態様によれば、工具ドラムを、工具シャフトの両側でドラム支持体上に支持することができる。工具ドラムを2つの側で保持するためのジャーナルまたは軸受は、駆動装置の反対側に位置する工具ドラムの側に形成するのが望ましい。しかし、工具ドラムが小さい場合、または被破砕材料が柔らかい場合は、工具ドラムを一方で保持することでも十分である。
【0010】
別の実施態様においては、工具ドラムが、駆動要素用の歯車駆動装置から切り離されたドラム駆動装置を有することができる。このため作業が2つの別個の回転駆動装置によって実行されるこの実施態様においては、工具シャフトがその軸線に対して横方向に共回りする工具ドラムの回転速度と、それぞれの工具シャフトの回転速度との間の回転速度の比を、実際上所要のとおりに調整することができる。この調整のために、ドラム駆動装置および/または歯車駆動装置を可変駆動装置から構成すると特に有利である。多くの適用例に対して、ドラム駆動装置および歯車駆動装置を、工具ドラムの同じ側に配置または連結することができる。この目的のため、特に、工具ドラムに、軸方向に突き出るシャフト収納部分を設けることができ、このシャフト収納部分の中に、歯車駆動シャフトが回転可能に支持または組み込まれる。この歯車駆動シャフトは、駆動歯車に回転固定して連結されかつシャフト収納部分の受け入れ穿孔から両側に突き出ている。この場合、歯車駆動シャフトは、特に、受け入れ穿孔内の軸受と、工具ドラムにネジ止めされる軸受カバー内の第2軸受とによって支持できる。これに対応する実施態様は、工具シャフトの軸線がドラムの軸線に対して斜めに配置され、動力取り出し歯車が、遊星歯車を有するアングル歯車装置のかさ歯車として設計される場合に特に有利である。しかし、シャフトの軸線は互いに垂直にすることも可能である。この場合、シャフト収納部分をドラム駆動装置に連結し、歯車駆動シャフトを歯車駆動装置に連結するのが適切である。
【0011】
ドラム駆動用および歯車駆動用の2つの別個の回転駆動装置を有する別の実施態様においては、ドラム駆動装置を工具ドラムの一方の側に配置または連結し、歯車駆動装置を、軸方向にずらして、工具ドラムの反対側に配置または連結することができる。1つの有利な実施態様によれば、工具ドラムの反対側に、シャフト収納部分を含む軸方向に突き出た環状の延長部分を設けることができる。このシャフト収納部分の中に、駆動歯車に回転固定して連結されかつシャフト収納部分の受け入れ穿孔から両側に突き出る歯車駆動シャフトが回転可能に支持される。この場合、工具ドラムは、もう一方の側に、ドラム駆動装置を配置または連結し得る支持延長部分を有する。歯車駆動シャフトは、環状の延長部分のシャフト収納部分内の第1軸受と支持延長部分内の第2軸受とによって回転可能に好適に組み込まれる。この場合、支持延長部分は、好ましくは、工具ドラムにネジ止めされる支持フランジから構成することができる。支持延長部分には、特に歯列または歯車が設けられ、これによって、ドラム駆動装置および工具ドラムが歯車または歯付きベルトによって互いに簡単に駆動連結される。
【0012】
さらに別の有利な実施態様によれば、工具ドラムを第1ハブギヤ装置の動力取り出し側に回転固定して連結し、駆動歯車を第2ハブギヤ装置の動力取り出し側に回転固定して連結することができる。この場合、2つのハブギヤ装置は中心の収納部分内に配置される。このタイプの実施態様は、特に小型高密度の構造を有しており、従って大きな作業面に沿って旋回アーム等によって容易に動かすことができる。ハブギヤ装置は、特に、好ましく配列された歯車段を有する歯車装置で、ギヤケース内にカプセル化された嵌め込み式歯車装置として設計することができる。2つのハブギヤ装置の固定フランジはドラム支持体に固定できるかまたは固定される。ハブギヤ装置は、同様に、特に歯付きベルトによって駆動できる。
【0013】
別個の回転駆動装置を有するすべての実施態様において、駆動歯車および動力取り出し歯車は、再度述べるが、遊星歯車を有するアングル歯車装置のかさ歯車として特に有利に設計することができる。あるいはその代わりに、駆動歯車をフェースギヤとして構成し、動力取り出し歯車をこれと噛み合う円筒歯車として設計することも可能である。装置を特に小型高密度の構造とするために、すべての工具シャフトの動力取り出し歯車を単一の共通の駆動歯車と噛み合い係合させることができる。特にこの実施態様においては、工具シャフトも、工具ドラム内において周囲に均等に分布配置することができる。しかし、別の方式として、工具シャフトを、工具ドラム内に不均等に分布させておよび/または群として配置すること、および/または、各群に対して別個の駆動歯車を設けることも可能である。
【0014】
さらに、1つの工具シャフト上に配置される各掘削工具を、ドラムの周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフトの掘削工具の配置に対して、ある角度量だけずれるように、および/または、駆動シャフトまたはドラムの軸線からの距離においてずれるように配置すると有利である。この場合、掘削工具は、工具シャフトに取り外し可能に連結される工具支持体上に形成するか、あるいはそれに装着することが望ましい。しかし、代わりの方式として、掘削工具を工具シャフトの端部に直接固定することも可能である。工具シャフトの交換を容易にするため、工具シャフトを、軸受によって回転可能にかつシャフトシールによってシールされるように、軸受ブッシュ内に納めることができる。これによって、工具シャフトを、軸受ブッシュによって、カートリッジ方式で交換可能に、工具ドラムに設けられるドラムチャンバ内に差し込みかつロックできることが比較的簡単に実現される。
【0015】
破砕される材料に応じて、また、本発明による装置の意図される用途に応じて、多様なタイプの工具を用いることができる。地下または地上の採掘において、岩石、石炭または鉱物のような材料を排出する場合は、好ましくはすべての工具シャフトの掘削工具がローラチゼルまたはストレートシャンクチゼルから構成されると特に有利である。これらのチゼル工具は、材料を複数層においてアンダカット排除するために、外向きに先細化された工具支持体または工具シャフトの端部に装着される。工具支持体または工具シャフトの端部は、円錐状に、アーチ状に、あるいは階段式に先細化することができる。各工具シャフト上の掘削工具を、異なる直径のピッチ円上の掘削列に配置すると特に有利である。この場合、2つの掘削列間の距離は、すべての掘削列が、ほぼ同一サイズの三日月形状の掘削面を排除するように選定することが望ましい。この実施態様においては、工具シャフトの工具ヘッド上の各個別掘削工具の稼動寿命をほぼ同じにすることが実現でき、その結果、掘削工具の交換を固定された整備間隔で行うことができる。アンダカット工具の代わりに、粉砕ローラを用いることもできる。掘削工具としての粉砕ローラで運転する装置は、特に、道路建設における表土除去用、ビル建築における床および壁改築用、あるいは土木工事における例えばトレンチ構築用として用いることができ、例えば掘削機その他のブームに取り付けることができる。粉砕ローラは、円筒状に、あるいは掘削される材料に向かって先細化された円錐状に設計することができる。
【0016】
各工具シャフトに複数の掘削工具を形成することが望ましい。工具ドラムの周囲方向において互いに連続する工具シャフトの掘削工具を、互いに対して位相がずれるように配置すると、従って、後続の工具シャフトの掘削工具が、先行の工具シャフトの掘削工具の位置点とは異なる位置点で被掘削材料または被排出材料に打ち込まれるように配置すると、特に有利である。ほとんどに実施形態において、工具シャフトを工具ドラム内部に組み込むことで十分である。しかし、特に硬い材料の場合は、工具シャフトを、その半径方向の外側の端部において、ジャーナルを有するヨークによって回転可能に支持すると有利である場合がある。このヨークは工具ドラムに固定され、その結果、それぞれ、掘削工具を担持する工具シャフトの端部またはその近傍において、工具シャフトの組み込みまたは支持が追加的に行われることになる。
【0017】
石炭採取のための地下採掘において本発明による装置を使用する場合は、工具ドラムの隣接する工具シャフトの間に、半径方向に延びるスクレーパまたはショベルを設けると特に有利になることがある。このスクレーパまたはショベルによって、好ましくはアンダカット掘削工具によって作業面において解放された材料を、採取装置のコンベアその他に積み込むことができる。
【0018】
本発明による装置は、特に、岩石を粉砕または排出するための方法に用いるのに適している。この方法においては、工具シャフトの回転速度、工具ドラムの回転速度、ドラムの軸線に平行な装置の前進速度、および/または、個々の工具シャフトに配置される掘削工具の、周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフトの掘削工具の角度位置に対する角度位置を、次のように調整する。すなわち、後続する工具シャフトの掘削工具が、先行する工具シャフトの掘削工具と同じ打ち込み点において岩石等に打ち込まれないように調整するのである。いくつかのパラメータ、すなわち、遊星キャリアを形成する工具ドラムの回転速度と、駆動歯車を具備する遊星歯車シャフトとしての駆動シャフトの回転速度と、装置の前進速度と、掘削工具の掘削ラインの間隔とを変えることによって、掘削工具の個々の工具カッタの径路曲線を定めることができ、従って、被掘削材料または被排出材料の材料塊のサイズおよび表面構造を確実に変えることができる。
【0019】
回転駆動を可変駆動装置によって行うと特に有利である。これによって、掘削作業を中断することなく、異なる回転速度を連続的に調整できる。これに対応する設計の装置によって、それぞれの駆動に関わる要件を、被掘削表面の形状と、被掘削または被排出材料の特性とに適合させることができる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態を、以下の記述および図面において、事例的に表現しかつ詳細説明する。本発明のさらなる利点および実施態様がこれから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態による装置を断面図で示す。
【図2】軸線が傾斜した工具シャフトを有する第2実施形態の断面図を示す。
【図3】鉱物岩石排出用のアンダカット工具を備えた本発明の第3実施形態による装置の断面図を示す。
【図4】図3の装置を工具ドラムの端面の正面図で示す。
【図5】工具シャフトが傾斜して配置されかつ端部において支持される本発明による装置の第4実施例の断面図を示す。
【図6A−B】本発明の第5実施例による装置を断面図で示す。
【図7】本発明による装置を用いる別の例の、図6Bと同様の正面図を示す。
【図8】切り離された複数の回転駆動装置を有する本発明の第6実施形態による装置を断面図で示す。
【図9】切り離された複数の回転駆動装置が工具ドラムの異なる側に配置される本発明の第7実施例による装置を断面図で示す。
【図10】中心に配置されるハブギヤ装置を有する本発明の第8実施例による装置を断面図で示す。
【図11】本発明による装置の旋回ブーム上での使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、例えば、道路建設における表土排除用、ビル建設における床または壁の改築用、あるいは採掘用途用の本発明の第1実施形態による装置が、全体として参照記号10で示されている。装置10は、ドラム支持体1を含むが、このドラム支持体1は、装置10用の適切な保持装置または移動装置、例えば掘削機のブーム、前進式作業機械の機械ブーム等に固定することができる。筒形の、この場合中空のドラム支持体1は、ドラムの軸線または主たる軸線Hに中心が合致するように形成される中心の軸受収納部分11を有しており、この軸受収納部分11の中に、工具ドラム4に回転固定して連結される駆動シャフト3が、O−配置(背面配列)に配置される2つの円錐ころ軸受2によって、自由回転可能に組み込まれる。駆動シャフト3の1つの端部は工具ドラム4に回転固定して連結され、ドラム支持体1から突き出る駆動シャフト3のもう1つの端部は、歯車3bを回転固定して装着するのに用いられ、この歯車3bに装置10用の適切な回転駆動装置を接続できる。駆動用の回転駆動装置は、後続の歯車装置と、場合によっては過負荷クラッチその他とを含むモータによって構成することができる。駆動シャフト3および工具ドラム4は、互いに回転固定して連結されるか、あるいは一体品に形成される。工具ドラム4の端面4’は完全に閉止され、また工具ドラム4は、その周囲に分布配置された複数の半径方向穿孔または半径方向通路12を有する。その半径方向通路12の中に、工具シャフト5の軸線Wがドラムの軸線Hに対して横方向に位置するように、工具シャフト5が組み込まれる。その結果、工具シャフト5の自由端9は、工具ドラム4の外周縁4’’の半径方向の完全に外側に位置することになる。工具ドラム4の寸法および直径に応じて、およそ3〜12個の工具シャフト5を、工具ドラム4の周囲に分布させて配置することができる。この場合も、工具シャフト5の半径方向通路12内への組み込みはO−配置(背面配列)の2つの円錐ころ軸受6によって行われ、各かさ歯車シャフト5の組み込みは、工具ドラム4の片側の開放された歯車収納部分14を介して行われる。図1において粉砕ローラからなる工具支持体15で、その上に個々の掘削工具16が配置される工具支持体15は、各工具シャフト5の自由端9に固定される。この場合、チゼルチップのみによって図示される複数の掘削工具が各工具支持体15上に配置され、その掘削工具16の配置は、それらを工具支持体15の支持周囲面上にらせん状に分布させて、各工具支持体15の半径方向の線上にできるだけ掘削工具16のただ1つのチゼルチップのみが配置されるように行われる。掘削工具15が粉砕ローラとして構成される場合は、すべての掘削工具間に、それぞれ、一様な角度のずれおよび軸方向のずれを設けることができる。
【0023】
掘削装置10においては、駆動シャフト3上の歯車3Bのみが外部の駆動装置と係合する。駆動シャフト3が回転する間、これに回転固定して連結される工具ドラム4が回転し、その結果、半径方向通路12内に配置される工具シャフト5も、同様にドラムの軸線Hの回りを回転する。この場合、全体として参照記号20で示すアングル歯車装置によって、工具ドラム4の回転動作から個々の工具シャフト5の回転が誘起され、工具ドラム4の回転に重なり合う。アングル歯車装置20は、土壌による汚染から防護するため、工具ドラム4の歯車収納部分14の中に配置される。エピサイクリック歯車として設計されるアングル歯車装置20は駆動歯車8を有しており、この駆動歯車8は、ドラム支持体1の周囲フランジ47に回転固定して取り付けられ、従って運転使用において停止している。また、歯車収納部分14内に突き出る工具シャフト5のシャフト端部に回転固定して装着される動力取り出し歯車7が、この駆動歯車8にそれぞれ噛み合う。かさ歯車として設計される駆動歯車8は、締結ネジ18によって周囲フランジ47にネジ止めするのが望ましい。ドラム支持体1は機械のブームその他に連結されるので、駆動歯車8は工具ドラム4に対比して静止しており、工具ドラム4が回転すると、動力取り出し歯車7が遊星歯車として駆動歯車8の回りを回転する。この場合、工具ドラム4は遊星キャリアを構成する。駆動歯車8および動力取り出し歯車7の間の増速伝動比は、装置10の大きさおよび構成に応じて3:1〜12:1およびそれ以上にすることができる。この場合、約6:1〜8:1の増速伝動比が特に有利である。
【0024】
装置10においては、工具シャフトの軸線Wとドラムの軸線Hとは互いに垂直の位置関係にあり、アングル歯車装置20はこれに対応して設計される。らせん状にずれるように配置される掘削工具16を具備した個々の工具支持体15が回転する結果として、また、工具ドラム4の付加的な回転の結果として、工具ドラム4の周囲4’’の外側における材料掘削において、それぞれ、個々の掘削工具16またはチゼルチップと、例えば岩石のような被排出材料または被解放材料との接触時間はきわめて短いものになる。この短い接触時間のために、個々の掘削工具16の摩耗は非常に少ない。使用する歯車および駆動装置に応じて、工具ドラム4は例えば60rev/minで回転することができ、各工具シャフト5の回転速度は例えば400rev/minである。使用するアングル歯車装置20および円錐ころ軸受2、6を保護するため、それぞれ、シャフトシールリング17が、半径方向通路12の出側において工具ドラム4の周囲4’’に装着され、歯車収納部分14は、環状ディスク19によって閉止される。この環状ディスク19はその内側のオリフィス部分にシャフトシールリング13を有する。
【0025】
図2は、本発明による装置60の第2の実施例を示す。図1の実施例の場合と構造的または機能的に同じ構成要素には、50を付け加えた参照記号を付している。前記の実施例と同様に、駆動シャフト53は、ドラム支持体51の内部に回転可能に組み込まれ、工具ドラム54に回転固定して連結される。工具ドラム54には、その周囲に分布配置された複数の半径方向通路62が、対応する個数の工具シャフト55受け入れ用として設けられる。この半径方向通路62の中への工具シャフト55の組み込みは、同様に、1対の円錐ころ軸受56によって行われる。前記の実施例の場合と同様に、好ましくはらせん状に分布配置された複数の掘削工具66を有する工具支持体65が、各工具シャフト55の自由端59に配置される。しかし、前記の実施例とは異なって、工具シャフトの軸線は、工具ドラム54の軸線Hに垂直に位置しておらず、その代わりに、工具シャフト55の軸線Wは角度74だけ傾斜して延びている。従って、工具支持体65の周囲の個々の掘削工具66は、ホルダの軸線Hに垂直に回転するのではなく、ドラムの軸線Hに対して斜めに、この場合約85°の角度の位置にある回転の軸線の回りを回転する。工具支持体66は、前記の実施例と同様にこの場合も粉砕ローラとして構成されている。装置60においても、工具シャフト55の回転は、駆動シャフト53の回転からアングル歯車装置70によって誘起される。アングル歯車装置70は、前記の実施例と同様に、工具ドラム54の歯車受け入れ空間64内に配置され、工具支持体51に回転固定して連結される駆動歯車58と、この駆動歯車とそれぞれ噛み合う動力取り出し歯車57とを有する。この動力取り出し歯車57は、個々の工具シャフト55に回転固定して装着され、遊星歯車として回転する。工具シャフトおよび工具ドラム54の軸線W、H間に角度を設けているので、アングル歯車装置70は、かさ歯車58、57に、対応して傾斜した歯列を有する。角度74だけ傾斜させた結果として、工具支持体65上の掘削工具66の外側の工具列の摩滅が回避または低減される。周囲に分布配置されるすべての工具シャフト55を角度74だけ傾斜させることができるが、個々の工具シャフトを、群ごとに異なる角度で傾斜させる構成も可能である。この場合は、特に、工具シャフトの異なる回転速度をも実現するべき時には、2つ以上の駆動歯車を歯車受け入れ空間内に配置することも可能である。
【0026】
図3は、本発明による装置の主たる利用分野用、すなわち、地下または地上の採掘における岩石、石炭または他の鉱物のアンダカット排出用の装置110を示す。第1の実施例の場合と機能的に同一の構成要素には、100を付け加えた参照記号を付している。駆動シャフト103は、機械のブームその他に連結されるドラム支持体101の中に組み込まれると共に、工具ドラム104に回転固定して連結される。工具ドラム104は、周囲に分布配置された複数の半径方向通路112を有し、その半径方向通路112の中に、それぞれ工具シャフト105が、この場合、各工具シャフト105の軸線Wが回転の軸線または工具ドラム104の軸線Hに垂直に位置するように配置される。全装置110は、この場合も同様に、駆動シャフト103に装着される歯車103Bに連結できるただ1つの回転駆動装置を有しており、個々の工具シャフト105の回転はアングル歯車装置120によって惹起される。アングル歯車装置120は、ドラムの軸線Hに同心に配置されかつドラム支持体101に固定される1つの共通の中心歯車108で全動力取り出し歯車107用の中心歯車108を有する。動力取り出し歯車107は遊星歯車として回転し、工具シャフト105の自由端に装着される。しかし、前記の2つの実施例とは異なって、掘削工具が、アンダカット方式で操作される掘削工具116から構成される。この場合、この掘削工具116は、外側に向けてまたはドラムの軸線Hから距離が増大する方向に円錐状に先細化される工具支持体115を有する。図示の実施例においては、工具支持体115は4つの工具ライン121、122、123、124を備えており、各工具ライン121〜124には1つ以上の掘削工具116が装着される。掘削工具116は、同様に、単にそのチゼルチップのみによって示されており、この場合、被排出材料130を、段付きアンダカット方式で裂開する。異なる工具ライン121〜124上の掘削工具116は、工具支持体115におけるその円錐状配置のために、被排出材料を均等に破砕する。この場合、個々の工具ライン121〜124は、異なる工具ライン121〜124上の掘削工具116がそれぞれ同一サイズの容量を排除するように配置することが望ましい。掘削工具116が円錐状の工具支持体115上に円錐状に配置されるために、半径方向のさらに外側に位置する掘削ライン上の各工具は、材料をアンダカット解放するための十分な自由空間を有する。図3においては、本発明による装置110の作業方向は矢印Aによって示され、これから、本発明による装置110の作業方向Aがドラムの軸線Hに平行であることがよく分かる。装置110の被排出材料130内への送り動作は、これに対応して、作業方向Aに垂直に、従ってドラムの軸線Hに垂直に行われる。さらに、図3から、個々の掘削工具116がドラムの軸線Hに対して横方向に回転する、あるいはこの場合垂直に回転することがよく分かる。
【0027】
図3に示す本発明による装置160の全体構成および作動態様は、工具ドラム104の端面104’の外観図を示す図4からも明らかである。この場合、全体として6個の工具シャフトが工具ドラム104の周囲に分布配置されており、各工具シャフトは、その端部に、関連する円錐状または丸い工具支持体115を有する。各工具支持体115には、3つの工具ラインに分布配置される掘削工具116としてのストレートシャンクチゼルが装着される。工具ドラム104と、工具シャフトと共回りする工具支持体115との回転が重ね合わされるために、各個別掘削工具116は、非排出材料130内で短い掘削を実行し、異なる工具列に対する掘削表面は三日月形状に延びている。この場合、異なる工具支持体上の同じ掘削列の掘削工具は、次に続く工具支持体115の掘削工具116が、前方の工具シャフトの掘削工具116の位置点とは異なる位置点で材料の排出または材料の弾き出しを実行するように配置される。工具の係合時間が短いことによって、装置110に対する負荷力を低く抑え、かつ同時に個々の掘削工具116の摩耗を低く抑えながら、大きな掘削出力を得ることができる。装置110の作業方向は、ドラムの軸線に平行に図面の中に向いている。
【0028】
図5は、本発明による装置160の第4実施例を示す。工具ドラム154と、個々の工具シャフト155および共通の駆動歯車157の間に挟み込まれたアングル歯車装置170とは、原理的に図2の実施例の場合と同じ構成を有しており、図2に関する記述を参照できる。装置160の工具シャフト155の軸線Wは工具ドラム154の軸線Hに対して傾斜して位置しているが、装置160は、この工具シャフト155に対する特別な構成を有する。前記の諸実施例のように、工具シャフト155は、その軸端159と半径方向に内側の軸端155’との間において、半径方向の、但しこの場合斜めに位置する半径方向の通路162内に、2つの円錐ころ軸受156から構成される装着装置によって組み込まれる。シャフト端159には工具支持体165が好ましくは取り外し可能に装着され、半径方向に内側のシャフト端155’には動力取り出し歯車157が取り付けられる。しかし、前記の諸実施例とは異なって、周囲に分布配置されるすべての工具シャフト155は、その自由端面155’’において、ヨーク180によって回転可能に支持される。ヨーク180は、回転駆動装置に連結される駆動歯車153Bが配置されるドラムの側全体に、ほぼU字形に延びている。その結果、傾けられた掘削工具166は、工具ドラム154の周囲の外側で、それぞれ最も前に突き出ているその先端において、自由にかつヨーク180の干渉を受けることなく被排出材料の中に切り込むことができる。ヨーク180は、工具支持体165の回りの外側に配置され、ジャーナル181を有する。このジャーナル181は、工具シャフト155の軸線Wに平行に延びており、別の円錐ころ軸受182を介在させて、工具支持体165またはシャフト端部の中に進入している。これに対応する構成は、掘削工具166が長い粉砕ローラまたは同類のものから構成される場合に特に有利である。
【0029】
以上に述べた実施例においては、工具ドラムは、それぞれ、ドラム支持体に片側においてのみ支持されていた。図6Aおよび6Bは、工具ドラム204および工具シャフト205用の共通の回転駆動装置を備えた、本発明による装置210のさらに別の実施例を示す。この場合、工具シャフト205はドラムの軸線Hに対して垂直に位置しているが、場合によっては傾いている。前記の諸実施例の場合と同様に、歯車203Bから駆動シャフト203に導入される回転は、アングル歯車装置220を介して工具シャフト205に対応する増速伝動比で伝達できる。図6Aおよび6Bに示される装置210においては、端面204’を超えて突き出る強力なジャーナル233が、歯車203Bおよび歯車収納部分214の反対のドラムの側に形成され、ドラムの軸線Hに同心に位置している。これによって、装置210が、工具ドラム204の両側で、すなわち、一方ではジャーナル233を介して、もう一方ではドラム支持体201を介して支持される。装置210の作業の動きは、図6Aにおいてドラムの軸線Hに平行な矢印Aによって表現されており、図6Bは、周囲に均等に分布配置された全体として6個の工具シャフト205を有する装置210について、工具ドラム204の回転方向Rを示している。図6Bから、さらに、装置210によって、材料が、作業方向において、すなわち図6Bにおいて図面の中に向かって、どのように排出されるかを明瞭に見て取ることができる。
【0030】
図7は本発明による別の装置260を示す。この装置260は、図6Bの実施例と同様に両側で組み込まれる工具ドラム254を備えているが、図6Bの実施例とは異なって、この場合、6個ではなく、4個のみの、例えば粉砕ローラとして設計された適切な工具支持体265を有する工具シャフト255が設けられる。それぞれ互いに90°の角度でずらして配置される工具シャフト255の間に、それぞれショベル276が取り付けられる。このショベル276は工具ドラム254の周囲254’’を半径方向に超えて突き出ており、このショベル276によって、工具支持体265上の回転する掘削工具によって岩石280内の作業面において解放される特に石炭のような材料を、コンベア(図示なし)に積み込むことができる。装置260は、例えばコンベアに沿って移動し、図7の図面に中に動いていく。工具支持体265上の掘削工具は、工具シャフト255の回転動作と工具ドラム254の回転方向Rの回転動作との組み合わせによって材料を解放し、さらに、装置260は、解放された材料を、スクレーパまたはショベル276によって適切な斜面を経てコンベアに搬送する。矢印Zで示すように、装置260の送りの動きは、工具ドラム254の回転軸線Hに垂直に生じることになり、図6Bの実施例の場合と同様に、工具ドラム254を、概略表示されるジャーナル283によって両側で保持できる。
【0031】
図8は、工具ドラム304用の駆動装置と工具シャフト305用の回転駆動装置とを別個に切り離した装置310を示す。装置310も、同様に、例えば機械のブームまたは担持アーム340に固定されるドラム支持体301によって保持される。先行の実施例とは異なって、工具ドラム304には、一方の側で軸方向に突き出る中空のドラム延長部分335が設けられる。この中空のドラム延長部分335は、2つの円錐ころ軸受310によって、ドラム支持体301のシャフト収納部分311の中に回転可能に組み込まれ、これによって、工具ドラム304が、シャフト延長部分またはドラム延長部分335を介してドラム支持体301に回転可能に支持される。ドラム支持体301から突き出るドラム延長部分335の自由端には、歯列337が形成されるかまたは歯車が装着され、その歯列または歯車を介して、シャフトの延長部分335従って工具ドラム304も、図示されていないドラム駆動装置に接続または連結できる。ドラム延長部分335は、その中空のシャフト穿孔336によって歯車駆動シャフト325用のシャフト収納部分を形成する。歯車駆動シャフト325は、X−配置(正面配列)に配置される円錐ころ軸受338によってシャフト穿孔336の内部に組み込まれる。また、歯車駆動シャフト325のシャフト穿孔336から突き出る端部には、歯列326が設けられる。この歯車駆動シャフト325の歯列326は、ドラム駆動装置とは別個の図示されていない歯車駆動装置に連結できる。その結果、工具ドラム304の回転速度および工具シャフト305の回転速度間の回転速度比を所要のとおりに調整できる。相対的に長い歯車駆動シャフト325は、ドラム延長部分335の受け入れ穿孔336から突き出て歯車受け入れ空間314を貫通するその第2端部において、軸受カバー319内の第2の円錐ころ軸受326によって支持される。軸受カバー319は、2つの駆動装置の反対側の工具ドラム304の側から工具ドラム304にネジ止めされる。その結果、装置310においては、歯車収納部分314が、作業方向Aを指向する端面304において開放型になっており、そこでは軸受カバー319によって閉止される。装置310は、工具シャフト305を有するが、その工具シャフトWは、この場合、ドラムの軸線Hに対して約80°の角度で斜めに延びている。歯車326から歯車駆動シャフト325に導入される回転は、サン歯車の態様で歯車駆動シャフト325に回転固定して連結される駆動歯車308と、それぞれ各工具シャフト305に回転固定して連結される動力取り出し歯車307とによって伝達される。この場合、全アングル歯車装置320は、図8の装置310においては、歯車収納部分314内によく保護されて配置される。この場合も同様に、アンダカット方式で操作される円錐状の工具支持体305が、工具シャフト305の自由シャフト端309に、図示の固定ネジによって取り外し可能に装着される。図8の装置310においては、作業面において、アンダカット方式でかつできる限り同一の掘削出力で材料を排除するために、個々の掘削工具316が3つの工具ライン321、322、323に対して配備される。装置310の場合、工具シャフト305の交換は、軸受カバー319を取り外して、軸受カバー319に隣接する駆動歯車308を取り外した後、それぞれの動力取り出し歯車307を引き抜くことによって実施できる。その場合、動力取り出し歯車307および工具シャフト305は、歯車収納部分314内において自由に取り扱い可能であり、動力取り出し歯車307を引き抜き、円錐ころ軸受306用の軸受リング326を取り外すと、工具シャフト305を半径方向通路312から外向きに引き出すことができる。
【0032】
図9の装置360の実施例においては、工具ドラム354用のドラム駆動装置を工具ドラム354の一方の側に配置し、アングル歯車装置370用の歯車駆動装置を、軸方向にずらして、工具ドラム354のもう一方の側に配置できる。工具シャフト355を受入れる複数の半径方向通路362が周囲に分布配置された工具ドラム354は、比較的短い環状の延長部分385を有しており、この延長部分385は、第1軸受352を介して、ドラム支持体に連結されるあるいはドラム支持体の一部分を形成する軸受外殻351A内に組み込まれる。環状の延長部分またはドラムの延長部分385は、この場合も、その内側空間をもって、歯車駆動シャフト375用のシャフト収納部分386を形成する。この歯車駆動シャフト375は、その1つの端部がシャフト収納部分386から突き出ており、それによって露出する端部に、歯車駆動装置に連結するための歯列376が設けられる。装置360を支持する第2の回転軸受352は、工具ドラム354の反対側に配置され、第2の軸受外殻351Bによって保持される。この第2の軸受外殻351Bは、同様に、工具支持体またはブームのアームその他に連結できる。環状の延長部分385の反対側において、この場合多段に形成された支持延長部分390が工具ドラム354にネジ止めされ、その自由端に歯列387が設けられ、それにドラム駆動装置を連結できる。支持延長部分390は、その段の1つと別の軸受352とを介して第2の軸受外殻351Bに支持される。この場合ネジ止めされる軸受フランジを形成する支持延長部分390の内側には、1つの凹部391が設けられ、その中に、歯車駆動シャフト375の第2の自由端が第2の円錐ころ軸受388によって支持される。歯車駆動シャフト375の回転の工具シャフト355への伝達は、この場合も同様に、駆動歯車358を有するアングル歯車装置370を介して行われる。この場合、工具シャフト355の軸線Wはドラムの軸線Hに垂直に位置しており、また、駆動歯車358は歯車駆動シャフト375に回転固定して装着され、それぞれの動力取り出し歯車357が、その駆動歯車358と噛み合う。動力取り出し歯車357は、遊星歯車として工具ドラム354と共に回転しかつ工具シャフト355を駆動する。工具ドラム354用の駆動装置と、工具シャフト355用の駆動装置とを別個に切り離している結果として、個々の工具カッタの径路曲線を定めることができ、従って解放される材料塊のサイズを所要の寸法に確実に調整できる。材料特性が変化すれば、掘削作業を中断することなく回転速度比を連続的に調整でき、その都度の必要条件に適合させることができる。
【0033】
図10に示す装置410も、同様に、本発明による掘削動作を遂行するために、工具ドラム404の周囲に分布配置される複数の工具シャフト405を備えている。この場合、この工具シャフト405の軸線Wは、工具ドラム404の軸線Hに対して斜めに位置している。個々の工具シャフト405にはアンダカット方式で操作される円錐状の工具支持体415が装着され、個々の工具シャフト405はそれぞれ軸受ブッシュ445の中に配置される。この軸受ブッシュ445は、工具ドラム404の周囲の端面に複数の固定ネジ446によってネジ止めされる。各軸受ブッシュ445はカートリッジ方式で交換可能であり、ネジ結合446によって、周囲の側からドラムチャンバ412の中に差し込まれる。装置410は、工具シャフトが垂直に配置される軸受ブッシュを用いることによって、ドラムの軸線Hに垂直に位置する工具シャフトを備えた構成に問題なくごく普通に転換できる。各軸受ブッシュ445の内部には、工具シャフト405が、同様に2つの円錐ころ軸受406と軸受リング426とシャフトシールリング417と共に受入れられ、各工具シャフト405の内側の自由シャフト端には、アングル歯車装置420のかさ歯車としての動力取り出し歯車407が装着される。装置410においては、工具ドラム404の駆動は、装置410の右側のベルトプーリ426を介して歯付きベルトによって行われ、工具シャフト405の駆動は、装置410の左側のベルトプーリ437を介して行われる。ドラム駆動用のベルトプーリ426は、ハウジング内にカプセル化される第1ハブギヤ装置497の駆動側に連結され、ベルトプーリ437は第2ハブギヤ装置498の駆動側に連結される。ハブギヤ装置は単にそのハウジングのみによって表現されている。工具ドラム404駆動用のハブギヤ装置497は第1固定フランジ340Aに取り付けられ、駆動歯車408用のハブギヤ装置498は第2固定フランジ440Bに取り付けられ、これらの固定フランジを介して、全装置410を、例えばフォーク形状のブームアームのような図示されていないドラム支持体に固定することができる。第2ハブギヤ装置498の動力取り出し側498’は、ネジ418によって駆動歯車408にネジ止めされ、第1ハブギヤ装置497の動力取り出し側497’は、ネジ499によって工具ドラム404にネジ止めされる。図10の左側の、工具ドラム404のドラムリング404Aと、駆動歯車408との間に玉軸受495が配置され、軸受リング494およびシャフトシール493によって、土壌汚染に対して保護されながら所定位置に保持される。以上の構成によって、すべての動力取り出し歯車407に共通でハブギヤ装置498によって駆動される駆動歯車408は、同様に駆動される工具ドラム404に対して任意の所要の回転速度で回転できる。その結果、工具ドラム404および工具シャフト405の間の回転速度比は、実際上所要のとおりに調整可能である。両ハブギヤ装置497、498が嵌め込み式歯車装置として設計され、ドラムの軸線に同心に配置され、かつ工具ドラム404の内部空間をほぼ充満するので、装置410はきわめて小型高密度の構成を有する。
【0034】
本発明による装置は、作業方向に直線的に動かすことができ、続いて、送り方向に送りの動きが行われた後、反対方向に戻るように動かすことができる。図11は、本発明による装置510の揺動使用の実施例を示す。この場合、この装置は、工具ドラム504の周囲に分布配置される4つの工具シャフト505を有する。工具ドラム504は、ブーム590の2つのブームアーム590A、590Bに両側で保持され、ブーム590は回転中心Dの回りを旋回できる。旋回の間、工具支持体515上の掘削工具516が、旋回方向Sに材料530を排除していく。この場合、工具支持体515は工具シャフトの軸線Wの回りを回転し、工具ドラム504はドラムの軸線Hの回りを回転する。常に1つの方向においてのみ材料の排除が可能であるが、代わりの方式として、両方の旋回方向において排除することも可能である。そのため、引き続いてもう一方の旋回方向において作業面530で材料を排除するために、1つの旋回が完了した後、ほぼ1つの工具幅の量だけ新しい送りを行うことになる。さらに、より大きな断面から材料を採取するために、ブーム590を垂直に可動に構成することが可能であろう。
【0035】
以上の記述は、添付の特許請求の範囲内に含まれる多くの変形態様を当業者に示唆している。実際上すべての実施例において、垂直に位置する工具シャフトの代わりに、斜めに位置する工具シャフトを用いることもできるしまたその逆も可能であることが認められるであろう。アングル歯車装置の代わりに、それぞれフェース歯車装置を用いることも可能であろう。これは、岩石の破砕中に、工具シャフトの軸線に平行な力が駆動シャフトには全く導入されないという利点を有するであろう。歯車収納部分においては、それぞれ複数の出力シャフトを有するアングル歯車装置を設けることも、あるいは、工具シャフトをカルダンシャフトその他によって駆動することも可能であろう。この装置は、きわめて多様な利用可能分野において、意図される用途に応じて、実際上あらゆる既知の工具とともに使用することができる。好ましい利用分野は、特に、鉱石または石炭採取用の採掘、表土除去用の道路建設、露天掘り、トンネル掘進用のトンネル建設、ピット建設、例えばトレンチ構築用の土木工事、あるいは、床および壁改築用ビル建築である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を粉砕掘削および/またはボーリング掘削する装置、特に岩石、鉱物または石炭を排出するための装置に関する。この装置は、ドラムの軸線の回りを回転可能なようにドラム支持体に取り付けられる工具ドラムを有し、この工具ドラムには複数の工具シャフトが回転駆動可能に組み込まれ、この複数の工具シャフトは工具ドラムから突き出るその端部に掘削工具を担持しており、この場合、工具シャフトの少なくとも2つは、1つの共通の歯車駆動装置によって駆動可能であり、この共通の歯車駆動装置は、工具シャフトに回転固定して配置される動力取り出し歯車と、駆動歯車と協動する1つの共通の駆動要素とを備え、この駆動要素および工具ドラムは互いに対して回転可能である。本発明は、さらに、特に岩石、石炭その他同類のもののような材料を粉砕または排出する方法と、上記のような装置の使用と、さらにこの方法の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
地下または地上の採掘における岩石、鉱石および他の採取製品のような硬質材料の排出用として、しかしまた、道路建設またはビル建設等におけるアスファルトまたはコンクリート構成部分の粉砕掘削用として、回転駆動されるドラムまたはディスクを装備した多くの粉砕システムが知られる。このドラムまたはディスクには、例えばストレートシャンクチゼルのような粉砕工具が均等配置で取り付けられる。地下の採掘において用いられるドラムカッタの場合には、被採取材料を全断面掘削で掘削するせん断ディスクによって岩石または石炭が破砕され、その結果、ドラムの周囲に配置される全掘削工具の約半数が、同時に作業面と係合する状態にある。掘削工具と被破砕材料との間の接触時間が相対的に長いために、硬い金属チップを装着した掘削工具でさえも、特に被破砕材料が硬質である場合は、その摩耗が顕著になる。さらに、複数の個別掘削工具が被破砕材料と同時に係合状態にあるために、各工具に残存する押圧力が相対的に低く、従って、硬質材料を破砕するためには、装置に対して、相対的に高い前進力を、前進または作業方向に加えなければならない。
【0003】
特に硬質の岩石排出用の装置の採取性能を向上させるために、発明者らは、衝撃の重複によって作動し、それによって、鉱物、硬質岩石またはコンクリート排出用としての高い解放パルスを実現する装置を開発した。衝撃の重複によって作動する装置の場合には、装置の個々の要素の取り付けと、さらに騒音の発生とが大きな問題になることがある。
【0004】
さらに、発明者らは、先に公刊された国際公開第2006/079536A1号パンフレットから知られる装置を開発した。本出願の請求項1の前段部分はこの装置に基づいており、この装置において、押圧力を低減することによって、硬質材料を掘削する場合にも工具の長い稼動寿命を実現できる。国際公開第2006/079536A1号パンフレットから知られる装置の作動原理は、複数の工具スピンドルを、主軸ドラムまたは工具ドラム内において、各工具スピンドルのスピンドル軸線が工具ドラムの回転の軸線に対して平行にあるいは高々のところ僅かに傾斜して並ぶように、ドラム軸線の回りに偏心して配置することに基づいている。すべての工具スピンドルは、掘削工具が工具ドラムの端面の前方において円周上に分布配置されるように、工具ドラムに取り付けられる。運転使用においては、工具ドラムの回転が各工具スピンドルの回転と重ね合わされる。工具ドラムおよび工具スピンドルの回転動作を重ね合わせることによって、相対的にごく僅かな個数の掘削工具しか同時には被掘削材料または被排出材料と作動係合しないことを実現できるので、各個別掘削工具に対して高い解放力が結果として生じる。この既知の掘削装置は、運転使用において、工具ドラムの回転の軸線に対して横方向に、従って各個別工具シャフトの回転の軸線に対しても横方向に動かされる。この既知の装置によって、硬質材料の場合および高い排出性能においても、工具の優れた稼動寿命を実現できる。しかながら、閉鎖面において材料を排出する場合に、しかしまた、芯となるボーリング孔または同類のものを開削する場合にも、装置の被排出材料の中への送り込み動作のために、進入が時に問題となり、場合によっては不可能になる。さらに、大きな表面積上で材料を破砕するために、相当な直径の工具ドラムが必要になり、この結果、装置の全体重量が比較的大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、岩石または高強度の他の材料も、高い排出性能および大きな排出面積によって経済的に排出し得る装置を提供することにある。この装置は、高い運転の信頼性を確保するべきであり、最高度に多様な用途分野において使用可能でなければならず、かつ、上記の既知の装置の欠点を回避するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、請求項1の特徴を有する装置が提案される。本発明によれば、工具シャフトの軸線がドラムの軸線に対して横方向に位置する方式が想定される。従って、国際公開第2006/079536A1号パンフレットから知られる装置の場合と違って、個々の工具シャフトの軸線が、工具ドラムの軸線に基本的に平行に並ぶのではなくそれに対して横方向に位置するような、工具ドラムと共回りする工具シャフトの配置が選択される。工具シャフトの軸線の方位が大幅に変更されたために、この場合、掘削工具は工具ドラムの端面上にあるのではなく、その代わりに、粉砕または排出が工具ドラムの周囲の半径方向の外側で行われる。工具シャフトの方位を変更したことによって、工具ドラムの回転動作と工具シャフトの回転との基本的に異なる重ね合わせの状況が生じる。それにも拘らず、本発明による装置においても、個々の掘削工具の被破砕岩石内への係合は、きわめて短く、高密度で、パルス状に実現できるので、上記の既知の装置の利点、特にきわめて高い解放力が、工具ドラムの有効な押圧力を低減しても保持されるのである。
【0007】
1つの有利な実施態様によれば、工具シャフトの軸線がドラムの軸線に垂直に位置することができる。この代わりに、工具シャフトの軸線をドラムの軸線に対して斜めに配置することもできる。この斜めの角度は、少なくとも45°であり、好ましくは約80°より大きくする。また、基本的に、1つ以上の工具シャフトの軸線をドラムの軸線に垂直に配置し、同時に他の工具シャフトの軸線を、すべて同じようにまたはそれぞれ異なってドラムの軸線に対して斜めに配置することも可能であろう。本発明による装置においては、先行技術の場合と違って、運転使用において、装置の作業の動きがドラムの軸線に平行に生じること、および/または、装置の送りの動きが、次の排出運転のための切り込み深さの量だけドラムの軸線に垂直に生じることが特に有利である。本発明による解決策においては、この場合、すべての掘削工具が、工具ドラムの半径方向の外側、特に工具ドラムの周囲の半径方向の外側に設けられる点が好ましく、運転使用において、材料は工具ドラムの周囲の外側において三日月形状に排出される。ドラムの回転動作と、工具シャフトの軸線の配置とのために、運転使用において、掘削工具はドラムの軸線に対して横方向に回転し、材料はドラムの周囲の外側において排出される。先行技術とは異なる回転動作の重ね合わせと、工具ドラムの寸法は同一にしたままで掘削工具がさらに外側に配置されることとによって、先に公刊されたシステムの場合よりも大幅に短い工具係合時間を実現できる。個々の各掘削工具と被排出材料との間の接触が、特に掘削工具の動きのその瞬時の方向と工具ドラムの動きの方向とが一致する時に生起する点が有利である。
【0008】
1つの有利な実施態様によれば、工具ドラムと少なくともいくつかの工具シャフトとが1つの共通の回転駆動装置を有することができる。この実施態様においては、工具ドラムを回転する結果として、共通の回転駆動装置によって駆動される工具シャフトも自動的に回転させることができる。1つの設計態様によれば、回転駆動装置は1つの駆動シャフトと、駆動要素としての1つまたは少なくとも1つの駆動歯車とを有することができる。この駆動シャフトは、工具ドラムに回転固定して連結され、ドラム支持体に組み込まれ、かつ、駆動装置によって駆動可能である。また、駆動要素としての駆動歯車は、ドラム支持体に回転固定して取り付けられ、それぞれの工具シャフト上の動力取り出し歯車と噛み合う。これに対応する装置は、特に小型に構成できる一方で、非常に大きな力およびトルクを伝達し、同時に、工具ドラムまたは駆動シャフトと、駆動される工具シャフトとの間の回転速度の比は固定されている。駆動力を確実に伝達するために、駆動歯車およびそれに関連する動力取り出し歯車は、かさ歯車からエピサイクリック歯車として構成されるアングル歯車装置を形成することができる。この歯車装置においては、それぞれ、1つまたは複数の駆動歯車がサン歯車を形成し、工具ドラムと共回りする動力取り出し歯車が遊星歯車を形成する。別の実施態様においては、駆動歯車をフェースギヤとして構成し、このフェースギヤに、関連する動力取り出し歯車としての円筒歯車が噛み合う。遊星歯車を備えたフェース歯車装置を用いると、フェースギヤによっては軸力が伝達されないので、運転使用において各軸受部分に印加される力が大きく低減する。
【0009】
工具ドラムおよび工具シャフト用の共通の回転駆動装置における望ましい解放挙動を実現するために、歯車装置は、駆動シャフトと工具シャフトとの間に約3:1〜9:1の増速伝動比、特に約6:1〜8:1の増速伝動比を有することが望ましい。例えばダイヤモンド工具またはセラミックのような特に硬い掘削工具を用いる場合は、この増速伝動比は、さらに例えば12:1およびそれ以上にすることができる。高い押圧力を容易に吸収し得るように、1つの有利な実施態様によれば、工具ドラムを、工具シャフトの両側でドラム支持体上に支持することができる。工具ドラムを2つの側で保持するためのジャーナルまたは軸受は、駆動装置の反対側に位置する工具ドラムの側に形成するのが望ましい。しかし、工具ドラムが小さい場合、または被破砕材料が柔らかい場合は、工具ドラムを一方で保持することでも十分である。
【0010】
別の実施態様においては、工具ドラムが、駆動要素用の歯車駆動装置から切り離されたドラム駆動装置を有することができる。このため作業が2つの別個の回転駆動装置によって実行されるこの実施態様においては、工具シャフトがその軸線に対して横方向に共回りする工具ドラムの回転速度と、それぞれの工具シャフトの回転速度との間の回転速度の比を、実際上所要のとおりに調整することができる。この調整のために、ドラム駆動装置および/または歯車駆動装置を可変駆動装置から構成すると特に有利である。多くの適用例に対して、ドラム駆動装置および歯車駆動装置を、工具ドラムの同じ側に配置または連結することができる。この目的のため、特に、工具ドラムに、軸方向に突き出るシャフト収納部分を設けることができ、このシャフト収納部分の中に、歯車駆動シャフトが回転可能に支持または組み込まれる。この歯車駆動シャフトは、駆動歯車に回転固定して連結されかつシャフト収納部分の受け入れ穿孔から両側に突き出ている。この場合、歯車駆動シャフトは、特に、受け入れ穿孔内の軸受と、工具ドラムにネジ止めされる軸受カバー内の第2軸受とによって支持できる。これに対応する実施態様は、工具シャフトの軸線がドラムの軸線に対して斜めに配置され、動力取り出し歯車が、遊星歯車を有するアングル歯車装置のかさ歯車として設計される場合に特に有利である。しかし、シャフトの軸線は互いに垂直にすることも可能である。この場合、シャフト収納部分をドラム駆動装置に連結し、歯車駆動シャフトを歯車駆動装置に連結するのが適切である。
【0011】
ドラム駆動用および歯車駆動用の2つの別個の回転駆動装置を有する別の実施態様においては、ドラム駆動装置を工具ドラムの一方の側に配置または連結し、歯車駆動装置を、軸方向にずらして、工具ドラムの反対側に配置または連結することができる。1つの有利な実施態様によれば、工具ドラムの反対側に、シャフト収納部分を含む軸方向に突き出た環状の延長部分を設けることができる。このシャフト収納部分の中に、駆動歯車に回転固定して連結されかつシャフト収納部分の受け入れ穿孔から両側に突き出る歯車駆動シャフトが回転可能に支持される。この場合、工具ドラムは、もう一方の側に、ドラム駆動装置を配置または連結し得る支持延長部分を有する。歯車駆動シャフトは、環状の延長部分のシャフト収納部分内の第1軸受と支持延長部分内の第2軸受とによって回転可能に好適に組み込まれる。この場合、支持延長部分は、好ましくは、工具ドラムにネジ止めされる支持フランジから構成することができる。支持延長部分には、特に歯列または歯車が設けられ、これによって、ドラム駆動装置および工具ドラムが歯車または歯付きベルトによって互いに簡単に駆動連結される。
【0012】
さらに別の有利な実施態様によれば、工具ドラムを第1ハブギヤ装置の動力取り出し側に回転固定して連結し、駆動歯車を第2ハブギヤ装置の動力取り出し側に回転固定して連結することができる。この場合、2つのハブギヤ装置は中心の収納部分内に配置される。このタイプの実施態様は、特に小型高密度の構造を有しており、従って大きな作業面に沿って旋回アーム等によって容易に動かすことができる。ハブギヤ装置は、特に、好ましく配列された歯車段を有する歯車装置で、ギヤケース内にカプセル化された嵌め込み式歯車装置として設計することができる。2つのハブギヤ装置の固定フランジはドラム支持体に固定できるかまたは固定される。ハブギヤ装置は、同様に、特に歯付きベルトによって駆動できる。
【0013】
別個の回転駆動装置を有するすべての実施態様において、駆動歯車および動力取り出し歯車は、再度述べるが、遊星歯車を有するアングル歯車装置のかさ歯車として特に有利に設計することができる。あるいはその代わりに、駆動歯車をフェースギヤとして構成し、動力取り出し歯車をこれと噛み合う円筒歯車として設計することも可能である。装置を特に小型高密度の構造とするために、すべての工具シャフトの動力取り出し歯車を単一の共通の駆動歯車と噛み合い係合させることができる。特にこの実施態様においては、工具シャフトも、工具ドラム内において周囲に均等に分布配置することができる。しかし、別の方式として、工具シャフトを、工具ドラム内に不均等に分布させておよび/または群として配置すること、および/または、各群に対して別個の駆動歯車を設けることも可能である。
【0014】
さらに、1つの工具シャフト上に配置される各掘削工具を、ドラムの周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフトの掘削工具の配置に対して、ある角度量だけずれるように、および/または、駆動シャフトまたはドラムの軸線からの距離においてずれるように配置すると有利である。この場合、掘削工具は、工具シャフトに取り外し可能に連結される工具支持体上に形成するか、あるいはそれに装着することが望ましい。しかし、代わりの方式として、掘削工具を工具シャフトの端部に直接固定することも可能である。工具シャフトの交換を容易にするため、工具シャフトを、軸受によって回転可能にかつシャフトシールによってシールされるように、軸受ブッシュ内に納めることができる。これによって、工具シャフトを、軸受ブッシュによって、カートリッジ方式で交換可能に、工具ドラムに設けられるドラムチャンバ内に差し込みかつロックできることが比較的簡単に実現される。
【0015】
破砕される材料に応じて、また、本発明による装置の意図される用途に応じて、多様なタイプの工具を用いることができる。地下または地上の採掘において、岩石、石炭または鉱物のような材料を排出する場合は、好ましくはすべての工具シャフトの掘削工具がローラチゼルまたはストレートシャンクチゼルから構成されると特に有利である。これらのチゼル工具は、材料を複数層においてアンダカット排除するために、外向きに先細化された工具支持体または工具シャフトの端部に装着される。工具支持体または工具シャフトの端部は、円錐状に、アーチ状に、あるいは階段式に先細化することができる。各工具シャフト上の掘削工具を、異なる直径のピッチ円上の掘削列に配置すると特に有利である。この場合、2つの掘削列間の距離は、すべての掘削列が、ほぼ同一サイズの三日月形状の掘削面を排除するように選定することが望ましい。この実施態様においては、工具シャフトの工具ヘッド上の各個別掘削工具の稼動寿命をほぼ同じにすることが実現でき、その結果、掘削工具の交換を固定された整備間隔で行うことができる。アンダカット工具の代わりに、粉砕ローラを用いることもできる。掘削工具としての粉砕ローラで運転する装置は、特に、道路建設における表土除去用、ビル建築における床および壁改築用、あるいは土木工事における例えばトレンチ構築用として用いることができ、例えば掘削機その他のブームに取り付けることができる。粉砕ローラは、円筒状に、あるいは掘削される材料に向かって先細化された円錐状に設計することができる。
【0016】
各工具シャフトに複数の掘削工具を形成することが望ましい。工具ドラムの周囲方向において互いに連続する工具シャフトの掘削工具を、互いに対して位相がずれるように配置すると、従って、後続の工具シャフトの掘削工具が、先行の工具シャフトの掘削工具の位置点とは異なる位置点で被掘削材料または被排出材料に打ち込まれるように配置すると、特に有利である。ほとんどに実施形態において、工具シャフトを工具ドラム内部に組み込むことで十分である。しかし、特に硬い材料の場合は、工具シャフトを、その半径方向の外側の端部において、ジャーナルを有するヨークによって回転可能に支持すると有利である場合がある。このヨークは工具ドラムに固定され、その結果、それぞれ、掘削工具を担持する工具シャフトの端部またはその近傍において、工具シャフトの組み込みまたは支持が追加的に行われることになる。
【0017】
石炭採取のための地下採掘において本発明による装置を使用する場合は、工具ドラムの隣接する工具シャフトの間に、半径方向に延びるスクレーパまたはショベルを設けると特に有利になることがある。このスクレーパまたはショベルによって、好ましくはアンダカット掘削工具によって作業面において解放された材料を、採取装置のコンベアその他に積み込むことができる。
【0018】
本発明による装置は、特に、岩石を粉砕または排出するための方法に用いるのに適している。この方法においては、工具シャフトの回転速度、工具ドラムの回転速度、ドラムの軸線に平行な装置の前進速度、および/または、個々の工具シャフトに配置される掘削工具の、周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフトの掘削工具の角度位置に対する角度位置を、次のように調整する。すなわち、後続する工具シャフトの掘削工具が、先行する工具シャフトの掘削工具と同じ打ち込み点において岩石等に打ち込まれないように調整するのである。いくつかのパラメータ、すなわち、遊星キャリアを形成する工具ドラムの回転速度と、駆動歯車を具備する遊星歯車シャフトとしての駆動シャフトの回転速度と、装置の前進速度と、掘削工具の掘削ラインの間隔とを変えることによって、掘削工具の個々の工具カッタの径路曲線を定めることができ、従って、被掘削材料または被排出材料の材料塊のサイズおよび表面構造を確実に変えることができる。
【0019】
回転駆動を可変駆動装置によって行うと特に有利である。これによって、掘削作業を中断することなく、異なる回転速度を連続的に調整できる。これに対応する設計の装置によって、それぞれの駆動に関わる要件を、被掘削表面の形状と、被掘削または被排出材料の特性とに適合させることができる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態を、以下の記述および図面において、事例的に表現しかつ詳細説明する。本発明のさらなる利点および実施態様がこれから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態による装置を断面図で示す。
【図2】軸線が傾斜した工具シャフトを有する第2実施形態の断面図を示す。
【図3】鉱物岩石排出用のアンダカット工具を備えた本発明の第3実施形態による装置の断面図を示す。
【図4】図3の装置を工具ドラムの端面の正面図で示す。
【図5】工具シャフトが傾斜して配置されかつ端部において支持される本発明による装置の第4実施例の断面図を示す。
【図6A−B】本発明の第5実施例による装置を断面図で示す。
【図7】本発明による装置を用いる別の例の、図6Bと同様の正面図を示す。
【図8】切り離された複数の回転駆動装置を有する本発明の第6実施形態による装置を断面図で示す。
【図9】切り離された複数の回転駆動装置が工具ドラムの異なる側に配置される本発明の第7実施例による装置を断面図で示す。
【図10】中心に配置されるハブギヤ装置を有する本発明の第8実施例による装置を断面図で示す。
【図11】本発明による装置の旋回ブーム上での使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、例えば、道路建設における表土排除用、ビル建設における床または壁の改築用、あるいは採掘用途用の本発明の第1実施形態による装置が、全体として参照記号10で示されている。装置10は、ドラム支持体1を含むが、このドラム支持体1は、装置10用の適切な保持装置または移動装置、例えば掘削機のブーム、前進式作業機械の機械ブーム等に固定することができる。筒形の、この場合中空のドラム支持体1は、ドラムの軸線または主たる軸線Hに中心が合致するように形成される中心の軸受収納部分11を有しており、この軸受収納部分11の中に、工具ドラム4に回転固定して連結される駆動シャフト3が、O−配置(背面配列)に配置される2つの円錐ころ軸受2によって、自由回転可能に組み込まれる。駆動シャフト3の1つの端部は工具ドラム4に回転固定して連結され、ドラム支持体1から突き出る駆動シャフト3のもう1つの端部は、歯車3bを回転固定して装着するのに用いられ、この歯車3bに装置10用の適切な回転駆動装置を接続できる。駆動用の回転駆動装置は、後続の歯車装置と、場合によっては過負荷クラッチその他とを含むモータによって構成することができる。駆動シャフト3および工具ドラム4は、互いに回転固定して連結されるか、あるいは一体品に形成される。工具ドラム4の端面4’は完全に閉止され、また工具ドラム4は、その周囲に分布配置された複数の半径方向穿孔または半径方向通路12を有する。その半径方向通路12の中に、工具シャフト5の軸線Wがドラムの軸線Hに対して横方向に位置するように、工具シャフト5が組み込まれる。その結果、工具シャフト5の自由端9は、工具ドラム4の外周縁4’’の半径方向の完全に外側に位置することになる。工具ドラム4の寸法および直径に応じて、およそ3〜12個の工具シャフト5を、工具ドラム4の周囲に分布させて配置することができる。この場合も、工具シャフト5の半径方向通路12内への組み込みはO−配置(背面配列)の2つの円錐ころ軸受6によって行われ、各かさ歯車シャフト5の組み込みは、工具ドラム4の片側の開放された歯車収納部分14を介して行われる。図1において粉砕ローラからなる工具支持体15で、その上に個々の掘削工具16が配置される工具支持体15は、各工具シャフト5の自由端9に固定される。この場合、チゼルチップのみによって図示される複数の掘削工具が各工具支持体15上に配置され、その掘削工具16の配置は、それらを工具支持体15の支持周囲面上にらせん状に分布させて、各工具支持体15の半径方向の線上にできるだけ掘削工具16のただ1つのチゼルチップのみが配置されるように行われる。掘削工具15が粉砕ローラとして構成される場合は、すべての掘削工具間に、それぞれ、一様な角度のずれおよび軸方向のずれを設けることができる。
【0023】
掘削装置10においては、駆動シャフト3上の歯車3Bのみが外部の駆動装置と係合する。駆動シャフト3が回転する間、これに回転固定して連結される工具ドラム4が回転し、その結果、半径方向通路12内に配置される工具シャフト5も、同様にドラムの軸線Hの回りを回転する。この場合、全体として参照記号20で示すアングル歯車装置によって、工具ドラム4の回転動作から個々の工具シャフト5の回転が誘起され、工具ドラム4の回転に重なり合う。アングル歯車装置20は、土壌による汚染から防護するため、工具ドラム4の歯車収納部分14の中に配置される。エピサイクリック歯車として設計されるアングル歯車装置20は駆動歯車8を有しており、この駆動歯車8は、ドラム支持体1の周囲フランジ47に回転固定して取り付けられ、従って運転使用において停止している。また、歯車収納部分14内に突き出る工具シャフト5のシャフト端部に回転固定して装着される動力取り出し歯車7が、この駆動歯車8にそれぞれ噛み合う。かさ歯車として設計される駆動歯車8は、締結ネジ18によって周囲フランジ47にネジ止めするのが望ましい。ドラム支持体1は機械のブームその他に連結されるので、駆動歯車8は工具ドラム4に対比して静止しており、工具ドラム4が回転すると、動力取り出し歯車7が遊星歯車として駆動歯車8の回りを回転する。この場合、工具ドラム4は遊星キャリアを構成する。駆動歯車8および動力取り出し歯車7の間の増速伝動比は、装置10の大きさおよび構成に応じて3:1〜12:1およびそれ以上にすることができる。この場合、約6:1〜8:1の増速伝動比が特に有利である。
【0024】
装置10においては、工具シャフトの軸線Wとドラムの軸線Hとは互いに垂直の位置関係にあり、アングル歯車装置20はこれに対応して設計される。らせん状にずれるように配置される掘削工具16を具備した個々の工具支持体15が回転する結果として、また、工具ドラム4の付加的な回転の結果として、工具ドラム4の周囲4’’の外側における材料掘削において、それぞれ、個々の掘削工具16またはチゼルチップと、例えば岩石のような被排出材料または被解放材料との接触時間はきわめて短いものになる。この短い接触時間のために、個々の掘削工具16の摩耗は非常に少ない。使用する歯車および駆動装置に応じて、工具ドラム4は例えば60rev/minで回転することができ、各工具シャフト5の回転速度は例えば400rev/minである。使用するアングル歯車装置20および円錐ころ軸受2、6を保護するため、それぞれ、シャフトシールリング17が、半径方向通路12の出側において工具ドラム4の周囲4’’に装着され、歯車収納部分14は、環状ディスク19によって閉止される。この環状ディスク19はその内側のオリフィス部分にシャフトシールリング13を有する。
【0025】
図2は、本発明による装置60の第2の実施例を示す。図1の実施例の場合と構造的または機能的に同じ構成要素には、50を付け加えた参照記号を付している。前記の実施例と同様に、駆動シャフト53は、ドラム支持体51の内部に回転可能に組み込まれ、工具ドラム54に回転固定して連結される。工具ドラム54には、その周囲に分布配置された複数の半径方向通路62が、対応する個数の工具シャフト55受け入れ用として設けられる。この半径方向通路62の中への工具シャフト55の組み込みは、同様に、1対の円錐ころ軸受56によって行われる。前記の実施例の場合と同様に、好ましくはらせん状に分布配置された複数の掘削工具66を有する工具支持体65が、各工具シャフト55の自由端59に配置される。しかし、前記の実施例とは異なって、工具シャフトの軸線は、工具ドラム54の軸線Hに垂直に位置しておらず、その代わりに、工具シャフト55の軸線Wは角度74だけ傾斜して延びている。従って、工具支持体65の周囲の個々の掘削工具66は、ホルダの軸線Hに垂直に回転するのではなく、ドラムの軸線Hに対して斜めに、この場合約85°の角度の位置にある回転の軸線の回りを回転する。工具支持体66は、前記の実施例と同様にこの場合も粉砕ローラとして構成されている。装置60においても、工具シャフト55の回転は、駆動シャフト53の回転からアングル歯車装置70によって誘起される。アングル歯車装置70は、前記の実施例と同様に、工具ドラム54の歯車受け入れ空間64内に配置され、工具支持体51に回転固定して連結される駆動歯車58と、この駆動歯車とそれぞれ噛み合う動力取り出し歯車57とを有する。この動力取り出し歯車57は、個々の工具シャフト55に回転固定して装着され、遊星歯車として回転する。工具シャフトおよび工具ドラム54の軸線W、H間に角度を設けているので、アングル歯車装置70は、かさ歯車58、57に、対応して傾斜した歯列を有する。角度74だけ傾斜させた結果として、工具支持体65上の掘削工具66の外側の工具列の摩滅が回避または低減される。周囲に分布配置されるすべての工具シャフト55を角度74だけ傾斜させることができるが、個々の工具シャフトを、群ごとに異なる角度で傾斜させる構成も可能である。この場合は、特に、工具シャフトの異なる回転速度をも実現するべき時には、2つ以上の駆動歯車を歯車受け入れ空間内に配置することも可能である。
【0026】
図3は、本発明による装置の主たる利用分野用、すなわち、地下または地上の採掘における岩石、石炭または他の鉱物のアンダカット排出用の装置110を示す。第1の実施例の場合と機能的に同一の構成要素には、100を付け加えた参照記号を付している。駆動シャフト103は、機械のブームその他に連結されるドラム支持体101の中に組み込まれると共に、工具ドラム104に回転固定して連結される。工具ドラム104は、周囲に分布配置された複数の半径方向通路112を有し、その半径方向通路112の中に、それぞれ工具シャフト105が、この場合、各工具シャフト105の軸線Wが回転の軸線または工具ドラム104の軸線Hに垂直に位置するように配置される。全装置110は、この場合も同様に、駆動シャフト103に装着される歯車103Bに連結できるただ1つの回転駆動装置を有しており、個々の工具シャフト105の回転はアングル歯車装置120によって惹起される。アングル歯車装置120は、ドラムの軸線Hに同心に配置されかつドラム支持体101に固定される1つの共通の中心歯車108で全動力取り出し歯車107用の中心歯車108を有する。動力取り出し歯車107は遊星歯車として回転し、工具シャフト105の自由端に装着される。しかし、前記の2つの実施例とは異なって、掘削工具が、アンダカット方式で操作される掘削工具116から構成される。この場合、この掘削工具116は、外側に向けてまたはドラムの軸線Hから距離が増大する方向に円錐状に先細化される工具支持体115を有する。図示の実施例においては、工具支持体115は4つの工具ライン121、122、123、124を備えており、各工具ライン121〜124には1つ以上の掘削工具116が装着される。掘削工具116は、同様に、単にそのチゼルチップのみによって示されており、この場合、被排出材料130を、段付きアンダカット方式で裂開する。異なる工具ライン121〜124上の掘削工具116は、工具支持体115におけるその円錐状配置のために、被排出材料を均等に破砕する。この場合、個々の工具ライン121〜124は、異なる工具ライン121〜124上の掘削工具116がそれぞれ同一サイズの容量を排除するように配置することが望ましい。掘削工具116が円錐状の工具支持体115上に円錐状に配置されるために、半径方向のさらに外側に位置する掘削ライン上の各工具は、材料をアンダカット解放するための十分な自由空間を有する。図3においては、本発明による装置110の作業方向は矢印Aによって示され、これから、本発明による装置110の作業方向Aがドラムの軸線Hに平行であることがよく分かる。装置110の被排出材料130内への送り動作は、これに対応して、作業方向Aに垂直に、従ってドラムの軸線Hに垂直に行われる。さらに、図3から、個々の掘削工具116がドラムの軸線Hに対して横方向に回転する、あるいはこの場合垂直に回転することがよく分かる。
【0027】
図3に示す本発明による装置160の全体構成および作動態様は、工具ドラム104の端面104’の外観図を示す図4からも明らかである。この場合、全体として6個の工具シャフトが工具ドラム104の周囲に分布配置されており、各工具シャフトは、その端部に、関連する円錐状または丸い工具支持体115を有する。各工具支持体115には、3つの工具ラインに分布配置される掘削工具116としてのストレートシャンクチゼルが装着される。工具ドラム104と、工具シャフトと共回りする工具支持体115との回転が重ね合わされるために、各個別掘削工具116は、非排出材料130内で短い掘削を実行し、異なる工具列に対する掘削表面は三日月形状に延びている。この場合、異なる工具支持体上の同じ掘削列の掘削工具は、次に続く工具支持体115の掘削工具116が、前方の工具シャフトの掘削工具116の位置点とは異なる位置点で材料の排出または材料の弾き出しを実行するように配置される。工具の係合時間が短いことによって、装置110に対する負荷力を低く抑え、かつ同時に個々の掘削工具116の摩耗を低く抑えながら、大きな掘削出力を得ることができる。装置110の作業方向は、ドラムの軸線に平行に図面の中に向いている。
【0028】
図5は、本発明による装置160の第4実施例を示す。工具ドラム154と、個々の工具シャフト155および共通の駆動歯車157の間に挟み込まれたアングル歯車装置170とは、原理的に図2の実施例の場合と同じ構成を有しており、図2に関する記述を参照できる。装置160の工具シャフト155の軸線Wは工具ドラム154の軸線Hに対して傾斜して位置しているが、装置160は、この工具シャフト155に対する特別な構成を有する。前記の諸実施例のように、工具シャフト155は、その軸端159と半径方向に内側の軸端155’との間において、半径方向の、但しこの場合斜めに位置する半径方向の通路162内に、2つの円錐ころ軸受156から構成される装着装置によって組み込まれる。シャフト端159には工具支持体165が好ましくは取り外し可能に装着され、半径方向に内側のシャフト端155’には動力取り出し歯車157が取り付けられる。しかし、前記の諸実施例とは異なって、周囲に分布配置されるすべての工具シャフト155は、その自由端面155’’において、ヨーク180によって回転可能に支持される。ヨーク180は、回転駆動装置に連結される駆動歯車153Bが配置されるドラムの側全体に、ほぼU字形に延びている。その結果、傾けられた掘削工具166は、工具ドラム154の周囲の外側で、それぞれ最も前に突き出ているその先端において、自由にかつヨーク180の干渉を受けることなく被排出材料の中に切り込むことができる。ヨーク180は、工具支持体165の回りの外側に配置され、ジャーナル181を有する。このジャーナル181は、工具シャフト155の軸線Wに平行に延びており、別の円錐ころ軸受182を介在させて、工具支持体165またはシャフト端部の中に進入している。これに対応する構成は、掘削工具166が長い粉砕ローラまたは同類のものから構成される場合に特に有利である。
【0029】
以上に述べた実施例においては、工具ドラムは、それぞれ、ドラム支持体に片側においてのみ支持されていた。図6Aおよび6Bは、工具ドラム204および工具シャフト205用の共通の回転駆動装置を備えた、本発明による装置210のさらに別の実施例を示す。この場合、工具シャフト205はドラムの軸線Hに対して垂直に位置しているが、場合によっては傾いている。前記の諸実施例の場合と同様に、歯車203Bから駆動シャフト203に導入される回転は、アングル歯車装置220を介して工具シャフト205に対応する増速伝動比で伝達できる。図6Aおよび6Bに示される装置210においては、端面204’を超えて突き出る強力なジャーナル233が、歯車203Bおよび歯車収納部分214の反対のドラムの側に形成され、ドラムの軸線Hに同心に位置している。これによって、装置210が、工具ドラム204の両側で、すなわち、一方ではジャーナル233を介して、もう一方ではドラム支持体201を介して支持される。装置210の作業の動きは、図6Aにおいてドラムの軸線Hに平行な矢印Aによって表現されており、図6Bは、周囲に均等に分布配置された全体として6個の工具シャフト205を有する装置210について、工具ドラム204の回転方向Rを示している。図6Bから、さらに、装置210によって、材料が、作業方向において、すなわち図6Bにおいて図面の中に向かって、どのように排出されるかを明瞭に見て取ることができる。
【0030】
図7は本発明による別の装置260を示す。この装置260は、図6Bの実施例と同様に両側で組み込まれる工具ドラム254を備えているが、図6Bの実施例とは異なって、この場合、6個ではなく、4個のみの、例えば粉砕ローラとして設計された適切な工具支持体265を有する工具シャフト255が設けられる。それぞれ互いに90°の角度でずらして配置される工具シャフト255の間に、それぞれショベル276が取り付けられる。このショベル276は工具ドラム254の周囲254’’を半径方向に超えて突き出ており、このショベル276によって、工具支持体265上の回転する掘削工具によって岩石280内の作業面において解放される特に石炭のような材料を、コンベア(図示なし)に積み込むことができる。装置260は、例えばコンベアに沿って移動し、図7の図面に中に動いていく。工具支持体265上の掘削工具は、工具シャフト255の回転動作と工具ドラム254の回転方向Rの回転動作との組み合わせによって材料を解放し、さらに、装置260は、解放された材料を、スクレーパまたはショベル276によって適切な斜面を経てコンベアに搬送する。矢印Zで示すように、装置260の送りの動きは、工具ドラム254の回転軸線Hに垂直に生じることになり、図6Bの実施例の場合と同様に、工具ドラム254を、概略表示されるジャーナル283によって両側で保持できる。
【0031】
図8は、工具ドラム304用の駆動装置と工具シャフト305用の回転駆動装置とを別個に切り離した装置310を示す。装置310も、同様に、例えば機械のブームまたは担持アーム340に固定されるドラム支持体301によって保持される。先行の実施例とは異なって、工具ドラム304には、一方の側で軸方向に突き出る中空のドラム延長部分335が設けられる。この中空のドラム延長部分335は、2つの円錐ころ軸受310によって、ドラム支持体301のシャフト収納部分311の中に回転可能に組み込まれ、これによって、工具ドラム304が、シャフト延長部分またはドラム延長部分335を介してドラム支持体301に回転可能に支持される。ドラム支持体301から突き出るドラム延長部分335の自由端には、歯列337が形成されるかまたは歯車が装着され、その歯列または歯車を介して、シャフトの延長部分335従って工具ドラム304も、図示されていないドラム駆動装置に接続または連結できる。ドラム延長部分335は、その中空のシャフト穿孔336によって歯車駆動シャフト325用のシャフト収納部分を形成する。歯車駆動シャフト325は、X−配置(正面配列)に配置される円錐ころ軸受338によってシャフト穿孔336の内部に組み込まれる。また、歯車駆動シャフト325のシャフト穿孔336から突き出る端部には、歯列326が設けられる。この歯車駆動シャフト325の歯列326は、ドラム駆動装置とは別個の図示されていない歯車駆動装置に連結できる。その結果、工具ドラム304の回転速度および工具シャフト305の回転速度間の回転速度比を所要のとおりに調整できる。相対的に長い歯車駆動シャフト325は、ドラム延長部分335の受け入れ穿孔336から突き出て歯車受け入れ空間314を貫通するその第2端部において、軸受カバー319内の第2の円錐ころ軸受326によって支持される。軸受カバー319は、2つの駆動装置の反対側の工具ドラム304の側から工具ドラム304にネジ止めされる。その結果、装置310においては、歯車収納部分314が、作業方向Aを指向する端面304において開放型になっており、そこでは軸受カバー319によって閉止される。装置310は、工具シャフト305を有するが、その工具シャフトWは、この場合、ドラムの軸線Hに対して約80°の角度で斜めに延びている。歯車326から歯車駆動シャフト325に導入される回転は、サン歯車の態様で歯車駆動シャフト325に回転固定して連結される駆動歯車308と、それぞれ各工具シャフト305に回転固定して連結される動力取り出し歯車307とによって伝達される。この場合、全アングル歯車装置320は、図8の装置310においては、歯車収納部分314内によく保護されて配置される。この場合も同様に、アンダカット方式で操作される円錐状の工具支持体305が、工具シャフト305の自由シャフト端309に、図示の固定ネジによって取り外し可能に装着される。図8の装置310においては、作業面において、アンダカット方式でかつできる限り同一の掘削出力で材料を排除するために、個々の掘削工具316が3つの工具ライン321、322、323に対して配備される。装置310の場合、工具シャフト305の交換は、軸受カバー319を取り外して、軸受カバー319に隣接する駆動歯車308を取り外した後、それぞれの動力取り出し歯車307を引き抜くことによって実施できる。その場合、動力取り出し歯車307および工具シャフト305は、歯車収納部分314内において自由に取り扱い可能であり、動力取り出し歯車307を引き抜き、円錐ころ軸受306用の軸受リング326を取り外すと、工具シャフト305を半径方向通路312から外向きに引き出すことができる。
【0032】
図9の装置360の実施例においては、工具ドラム354用のドラム駆動装置を工具ドラム354の一方の側に配置し、アングル歯車装置370用の歯車駆動装置を、軸方向にずらして、工具ドラム354のもう一方の側に配置できる。工具シャフト355を受入れる複数の半径方向通路362が周囲に分布配置された工具ドラム354は、比較的短い環状の延長部分385を有しており、この延長部分385は、第1軸受352を介して、ドラム支持体に連結されるあるいはドラム支持体の一部分を形成する軸受外殻351A内に組み込まれる。環状の延長部分またはドラムの延長部分385は、この場合も、その内側空間をもって、歯車駆動シャフト375用のシャフト収納部分386を形成する。この歯車駆動シャフト375は、その1つの端部がシャフト収納部分386から突き出ており、それによって露出する端部に、歯車駆動装置に連結するための歯列376が設けられる。装置360を支持する第2の回転軸受352は、工具ドラム354の反対側に配置され、第2の軸受外殻351Bによって保持される。この第2の軸受外殻351Bは、同様に、工具支持体またはブームのアームその他に連結できる。環状の延長部分385の反対側において、この場合多段に形成された支持延長部分390が工具ドラム354にネジ止めされ、その自由端に歯列387が設けられ、それにドラム駆動装置を連結できる。支持延長部分390は、その段の1つと別の軸受352とを介して第2の軸受外殻351Bに支持される。この場合ネジ止めされる軸受フランジを形成する支持延長部分390の内側には、1つの凹部391が設けられ、その中に、歯車駆動シャフト375の第2の自由端が第2の円錐ころ軸受388によって支持される。歯車駆動シャフト375の回転の工具シャフト355への伝達は、この場合も同様に、駆動歯車358を有するアングル歯車装置370を介して行われる。この場合、工具シャフト355の軸線Wはドラムの軸線Hに垂直に位置しており、また、駆動歯車358は歯車駆動シャフト375に回転固定して装着され、それぞれの動力取り出し歯車357が、その駆動歯車358と噛み合う。動力取り出し歯車357は、遊星歯車として工具ドラム354と共に回転しかつ工具シャフト355を駆動する。工具ドラム354用の駆動装置と、工具シャフト355用の駆動装置とを別個に切り離している結果として、個々の工具カッタの径路曲線を定めることができ、従って解放される材料塊のサイズを所要の寸法に確実に調整できる。材料特性が変化すれば、掘削作業を中断することなく回転速度比を連続的に調整でき、その都度の必要条件に適合させることができる。
【0033】
図10に示す装置410も、同様に、本発明による掘削動作を遂行するために、工具ドラム404の周囲に分布配置される複数の工具シャフト405を備えている。この場合、この工具シャフト405の軸線Wは、工具ドラム404の軸線Hに対して斜めに位置している。個々の工具シャフト405にはアンダカット方式で操作される円錐状の工具支持体415が装着され、個々の工具シャフト405はそれぞれ軸受ブッシュ445の中に配置される。この軸受ブッシュ445は、工具ドラム404の周囲の端面に複数の固定ネジ446によってネジ止めされる。各軸受ブッシュ445はカートリッジ方式で交換可能であり、ネジ結合446によって、周囲の側からドラムチャンバ412の中に差し込まれる。装置410は、工具シャフトが垂直に配置される軸受ブッシュを用いることによって、ドラムの軸線Hに垂直に位置する工具シャフトを備えた構成に問題なくごく普通に転換できる。各軸受ブッシュ445の内部には、工具シャフト405が、同様に2つの円錐ころ軸受406と軸受リング426とシャフトシールリング417と共に受入れられ、各工具シャフト405の内側の自由シャフト端には、アングル歯車装置420のかさ歯車としての動力取り出し歯車407が装着される。装置410においては、工具ドラム404の駆動は、装置410の右側のベルトプーリ426を介して歯付きベルトによって行われ、工具シャフト405の駆動は、装置410の左側のベルトプーリ437を介して行われる。ドラム駆動用のベルトプーリ426は、ハウジング内にカプセル化される第1ハブギヤ装置497の駆動側に連結され、ベルトプーリ437は第2ハブギヤ装置498の駆動側に連結される。ハブギヤ装置は単にそのハウジングのみによって表現されている。工具ドラム404駆動用のハブギヤ装置497は第1固定フランジ340Aに取り付けられ、駆動歯車408用のハブギヤ装置498は第2固定フランジ440Bに取り付けられ、これらの固定フランジを介して、全装置410を、例えばフォーク形状のブームアームのような図示されていないドラム支持体に固定することができる。第2ハブギヤ装置498の動力取り出し側498’は、ネジ418によって駆動歯車408にネジ止めされ、第1ハブギヤ装置497の動力取り出し側497’は、ネジ499によって工具ドラム404にネジ止めされる。図10の左側の、工具ドラム404のドラムリング404Aと、駆動歯車408との間に玉軸受495が配置され、軸受リング494およびシャフトシール493によって、土壌汚染に対して保護されながら所定位置に保持される。以上の構成によって、すべての動力取り出し歯車407に共通でハブギヤ装置498によって駆動される駆動歯車408は、同様に駆動される工具ドラム404に対して任意の所要の回転速度で回転できる。その結果、工具ドラム404および工具シャフト405の間の回転速度比は、実際上所要のとおりに調整可能である。両ハブギヤ装置497、498が嵌め込み式歯車装置として設計され、ドラムの軸線に同心に配置され、かつ工具ドラム404の内部空間をほぼ充満するので、装置410はきわめて小型高密度の構成を有する。
【0034】
本発明による装置は、作業方向に直線的に動かすことができ、続いて、送り方向に送りの動きが行われた後、反対方向に戻るように動かすことができる。図11は、本発明による装置510の揺動使用の実施例を示す。この場合、この装置は、工具ドラム504の周囲に分布配置される4つの工具シャフト505を有する。工具ドラム504は、ブーム590の2つのブームアーム590A、590Bに両側で保持され、ブーム590は回転中心Dの回りを旋回できる。旋回の間、工具支持体515上の掘削工具516が、旋回方向Sに材料530を排除していく。この場合、工具支持体515は工具シャフトの軸線Wの回りを回転し、工具ドラム504はドラムの軸線Hの回りを回転する。常に1つの方向においてのみ材料の排除が可能であるが、代わりの方式として、両方の旋回方向において排除することも可能である。そのため、引き続いてもう一方の旋回方向において作業面530で材料を排除するために、1つの旋回が完了した後、ほぼ1つの工具幅の量だけ新しい送りを行うことになる。さらに、より大きな断面から材料を採取するために、ブーム590を垂直に可動に構成することが可能であろう。
【0035】
以上の記述は、添付の特許請求の範囲内に含まれる多くの変形態様を当業者に示唆している。実際上すべての実施例において、垂直に位置する工具シャフトの代わりに、斜めに位置する工具シャフトを用いることもできるしまたその逆も可能であることが認められるであろう。アングル歯車装置の代わりに、それぞれフェース歯車装置を用いることも可能であろう。これは、岩石の破砕中に、工具シャフトの軸線に平行な力が駆動シャフトには全く導入されないという利点を有するであろう。歯車収納部分においては、それぞれ複数の出力シャフトを有するアングル歯車装置を設けることも、あるいは、工具シャフトをカルダンシャフトその他によって駆動することも可能であろう。この装置は、きわめて多様な利用可能分野において、意図される用途に応じて、実際上あらゆる既知の工具とともに使用することができる。好ましい利用分野は、特に、鉱石または石炭採取用の採掘、表土除去用の道路建設、露天掘り、トンネル掘進用のトンネル建設、ピット建設、例えばトレンチ構築用の土木工事、あるいは、床および壁改築用ビル建築である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を粉砕掘削および/またはボーリング掘削する装置、特に岩石、鉱物または石炭を排出するための装置であり、ドラムの軸線(H)の回りを回転可能なようにドラム支持体(1)に取り付けられる工具ドラム(4)を有する装置であって、前記工具ドラム(4)には複数の工具シャフト(5)が回転駆動可能に組み込まれ、前記複数の工具シャフト(5)は前記工具ドラム(4)から突き出るその端部(9)に掘削工具(16)を担持しており、この場合、前記工具シャフト(5)の少なくとも2つは、1つの共通の歯車駆動装置によって駆動可能であり、前記共通の歯車駆動装置は、前記工具シャフト(5)に回転固定して配置される動力取り出し歯車(7)と、前記動力取り出し歯車(7)と協動する1つの共通の駆動要素(8)とを備え、前記駆動要素(8)および前記工具ドラム(4)は互いに対して回転可能である装置において、前記工具シャフト(5)の軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に対して横方向に位置していることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記工具シャフト(5;105;205;355)の軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に垂直に位置していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記工具シャフト(55;155;305;405)の軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に対して斜めに位置しており、この斜めの角度(74)が好ましくは約80°より大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
運転使用において、作業の動き(A)が前記ドラムの軸線(H)に平行に生じ、および/または、送りの動き(Z)が前記ドラムの軸線(H)に垂直に生じることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
すべての前記掘削工具(16;66;116;166;216;316)が、前記工具ドラム(4)の半径方向の外側に配置され、運転使用において、材料を三日月形状態様に排除することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
運転使用において、前記工具ドラム(4)が回転動作するために、前記掘削工具が、前記ドラムの軸線(H)に対して横方向に回転して、前記工具ドラム(4)の周囲(4’’)の外側において材料を排除することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記工具ドラム(4;54;104;154;204)および少なくともいくつかの前記工具シャフトが1つの共通の回転駆動装置を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転駆動装置が1つの駆動シャフト(3;53;103;153;203)と、駆動要素としての1つまたは少なくとも1つの駆動歯車(8;58;108;158;208)とを有し、前記駆動シャフト(3;53;103;153;203)は、前記工具ドラム(4;54;104;154;204)に回転固定して連結され、前記ドラム支持体(1)に組み込まれ、かつ、駆動装置によって駆動可能であり、また、前記駆動要素としての駆動歯車(8;58;108;158;208)は、前記ドラム支持体に回転固定して取り付けられ、前記動力取り出し歯車(7;57;107;157;207)と噛み合うことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記駆動歯車(8;58;108;158)およびそれに関連する前記動力取り出し歯車(7;57;107;157)が、かさ歯車から構成されかつ遊星歯車を有するアングル歯車装置(20;70;120;170)を形成することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記駆動歯車およびそれに関連する前記動力取り出し歯車が、フェースギヤおよび円筒歯車から構成されかつ遊星歯車を有するフェース歯車装置を形成することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記歯車装置が、前記駆動シャフトと前記工具シャフトとの間に、3:1〜9:1の増速伝動比、特に約6:1〜8:1の増速伝動比を有するように設計されることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記工具ドラム(204;504)が、前記工具シャフト(205)の両側で工具支持体上に支持され、前記工具ドラム(204)を2つの側で保持するためのジャーナル(233)または軸受は、好ましくは、前記駆動装置の反対側に位置する前記工具ドラム(204)の側に形成されることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記工具ドラム(304;354;404)が、前記駆動要素(308;358;408)用の歯車駆動装置から切り離されたドラム駆動装置を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ドラム駆動装置および/または前記歯車駆動装置が可変駆動装置から構成されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ドラム駆動装置および前記歯車駆動装置が、前記工具ドラム(304)の同じ側に配置される、または連結することができることを特徴とする請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記工具ドラム(304)に、軸方向に突き出るシャフト収納部分(335)が設けられ、前記シャフト収納部分(335)の中に、前記駆動歯車(308)に回転固定して連結されかつ前記シャフト収納部分の受け入れ穿孔(336)から両側に突き出る歯車駆動シャフト(325)が、回転可能に支持されることを特徴とする請求項13、14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記歯車駆動シャフト(325)が、前記受け入れ穿孔内の軸受(338)と、前記工具ドラム(304)にネジ止めされる軸受カバー(319)内の第2軸受(338)とによって支持されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記工具シャフトの軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に対して斜めに位置しており、かつ、前記駆動歯車(308)および前記動力取り出し歯車(307)が、遊星歯車を有するアングル歯車装置(320)のかさ歯車として設計されることを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記シャフト収納部分(335)を前記ドラム駆動装置に連結でき、前記歯車駆動シャフト(325)を前記歯車駆動装置に連結できることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記ドラム駆動装置を前記工具ドラム(354;404)の一方の側に配置するかまたは連結することができ、前記歯車駆動装置を、軸方向にずらして、前記工具ドラム(354;404)のもう一方の側に配置するかまたは連結することができることを特徴とする請求項13または14に記載の装置。
【請求項21】
前記工具ドラム(354)の反対側に、シャフト収納部分(386)を含む軸方向に突き出た環状の延長部分(385)が設けられ、前記シャフト収納部分(386)の中に、前記駆動歯車(358)に回転固定して連結されかつ前記シャフト収納部分(386)の受け入れ穿孔から両側に突き出る歯車駆動シャフト(375)が回転可能に支持され、さらに、前記工具ドラム(354)は、もう一方の側に、前記ドラム駆動装置を配置するかまたは連結し得る支持延長部分(390)を有することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記歯車駆動シャフト(375)が、前記環状の延長部分のシャフト収納部分内の第1軸受(388)と、前記支持延長部分(319)内の第2軸受(388)とによって回転可能に組み込まれ、この場合、前記支持延長部分(319)は、好ましくは、前記工具ドラムにネジ止めされる支持フランジから構成されることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記工具ドラム(404)が、第1ハブギヤ装置(497)の動力取り出し側に回転固定して連結され、前記駆動歯車(408)が、第2ハブギヤ装置(498)の動力取り出し側に回転固定して連結され、前記2つのハブギヤ装置は中心の収納部分内に配置されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記ハブギヤ装置(497、498)が、好適にカプセル化された歯車段を有する嵌め込み式歯車装置として設計され、前記2つのハブギヤ装置の固定フランジは前記ドラム支持体に固定できるかまたは固定されることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記駆動歯車(308、358、408)および前記動力取り出し歯車(307;357;407)が、遊星歯車を有するアングル歯車装置のかさ歯車として設計されること、あるいは、前記駆動歯車がフェースギヤとして構成され、前記動力取り出し歯車が、これと噛み合う、遊星歯車を有するフェース歯車装置の円筒歯車として設計されること、を特徴とする請求項16〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記すべての工具シャフト(5)の動力取り出し歯車が単一の共通の駆動歯車(8)と噛み合い係合することを特徴とする請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記工具シャフト(405)が、軸受(406)によって回転可能にかつシャフトシール(417)によってシールされるように軸受ブッシュ(445)内に納められ、この場合、好ましくは、前記工具シャフトがその中に回転可能に組み込まれた前記軸受ブッシュ(445)を、前記工具ドラム(405)に設けられるドラムチャンバ(412)内に、カートリッジ方式で交換可能に差し込みかつロックできることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記工具シャフト(5)が、前記工具ドラム(4)内において周囲に均等に分布配置されることを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
1つの工具シャフト(5)上に配置される各掘削工具(16)が、前記ドラムの周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフト(5)の掘削工具(16)の配置に対して、ある角度量だけずれるように、あるいは、前記駆動シャフトからの距離においてずれるように配置されることを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記掘削工具が、前記工具シャフト(305;355;405)に取り外し可能に連結される工具支持体(315;415)上に形成されるかまたは装着されることを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
好ましくは前記すべての工具シャフトの掘削工具(116;316)がローラチゼルまたはストレートシャンクチゼルから構成され、これらのチゼル工具は、岩石、石炭または鉱物を複数層においてアンダカット排除するために、外向きに先細化された工具支持体(115;315;415)または前記工具シャフトの端部に装着されることを特徴とする請求項1〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記工具支持体(315;415)または前記工具シャフトの端部が、円錐状に、アーチ状に、あるいは階段式に先細化されていることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
各工具シャフト上の前記掘削工具が、異なる直径のピッチ円上の掘削列(121〜124)に配置され、この場合、2つの掘削列間の距離は、好ましくは、すべての掘削列がほぼ同一サイズの三日月形状の掘削面を排除するように選定されることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
1つ以上の前記工具シャフトの掘削工具が基本的に粉砕ローラ(15;65;165)から構成されることを特徴とする請求項1〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記粉砕ローラが、円筒状であるか、あるいは掘削される岩石その他に向かって円錐状に先細化されていることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記工具ドラムの周囲方向において互いに連続する工具シャフトの掘削工具が、互いに対して位相がずれるように配置されることを特徴とする請求項1〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記工具シャフト(155)が、その半径方向の外側の端部において、ジャーナル(181)を有するヨーク(180)によって回転可能に支持され、前記ヨーク(180)は前記工具ドラムに固定されることを特徴とする請求項1〜36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記工具ドラム(254)に、隣接する工具シャフトの間に、半径方向に延びるスクレーパまたはショベル(276)が設けられることを特徴とする請求項1〜37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
請求項1〜38のいずれか一項に記載の装置を用いて岩石その他同類の材料を粉砕または排出する方法であって、前記工具シャフト()の回転速度、前記工具ドラム()の回転速度、前記ドラムの軸線に平行な前記装置の前進速度、および/または、個々の前記工具シャフト()に配置される掘削工具()の、周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフトの掘削工具()の角度位置に対する角度位置を、次のように調整する、すなわち、後続する工具シャフト()の掘削工具()が、先行する工具シャフトの掘削工具()と同じ打ち込み点において岩石等に打ち込まれないように調整する方法。
【請求項40】
運転使用において、若干数の掘削工具()のみが、被粉砕材料または被排出材料と同時に係合することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
石炭、鉱石担持岩石その他同類のもののような鉱物採取製品を破砕するために、あるいは、コンクリート化もしくはアスファルト化された表面または建造物を掘削するために、請求項1〜38のいずれか一項に記載の装置および/または請求項39〜40のいずれか一項に記載の方法を使用すること。
【請求項1】
材料を粉砕掘削および/またはボーリング掘削する装置、特に岩石、鉱物または石炭を排出するための装置であり、ドラムの軸線(H)の回りを回転可能なようにドラム支持体(1)に取り付けられる工具ドラム(4)を有する装置であって、前記工具ドラム(4)には複数の工具シャフト(5)が回転駆動可能に組み込まれ、前記複数の工具シャフト(5)は前記工具ドラム(4)から突き出るその端部(9)に掘削工具(16)を担持しており、この場合、前記工具シャフト(5)の少なくとも2つは、1つの共通の歯車駆動装置によって駆動可能であり、前記共通の歯車駆動装置は、前記工具シャフト(5)に回転固定して配置される動力取り出し歯車(7)と、前記動力取り出し歯車(7)と協動する1つの共通の駆動要素(8)とを備え、前記駆動要素(8)および前記工具ドラム(4)は互いに対して回転可能である装置において、前記工具シャフト(5)の軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に対して横方向に位置していることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記工具シャフト(5;105;205;355)の軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に垂直に位置していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記工具シャフト(55;155;305;405)の軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に対して斜めに位置しており、この斜めの角度(74)が好ましくは約80°より大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
運転使用において、作業の動き(A)が前記ドラムの軸線(H)に平行に生じ、および/または、送りの動き(Z)が前記ドラムの軸線(H)に垂直に生じることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
すべての前記掘削工具(16;66;116;166;216;316)が、前記工具ドラム(4)の半径方向の外側に配置され、運転使用において、材料を三日月形状態様に排除することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
運転使用において、前記工具ドラム(4)が回転動作するために、前記掘削工具が、前記ドラムの軸線(H)に対して横方向に回転して、前記工具ドラム(4)の周囲(4’’)の外側において材料を排除することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記工具ドラム(4;54;104;154;204)および少なくともいくつかの前記工具シャフトが1つの共通の回転駆動装置を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転駆動装置が1つの駆動シャフト(3;53;103;153;203)と、駆動要素としての1つまたは少なくとも1つの駆動歯車(8;58;108;158;208)とを有し、前記駆動シャフト(3;53;103;153;203)は、前記工具ドラム(4;54;104;154;204)に回転固定して連結され、前記ドラム支持体(1)に組み込まれ、かつ、駆動装置によって駆動可能であり、また、前記駆動要素としての駆動歯車(8;58;108;158;208)は、前記ドラム支持体に回転固定して取り付けられ、前記動力取り出し歯車(7;57;107;157;207)と噛み合うことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記駆動歯車(8;58;108;158)およびそれに関連する前記動力取り出し歯車(7;57;107;157)が、かさ歯車から構成されかつ遊星歯車を有するアングル歯車装置(20;70;120;170)を形成することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記駆動歯車およびそれに関連する前記動力取り出し歯車が、フェースギヤおよび円筒歯車から構成されかつ遊星歯車を有するフェース歯車装置を形成することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記歯車装置が、前記駆動シャフトと前記工具シャフトとの間に、3:1〜9:1の増速伝動比、特に約6:1〜8:1の増速伝動比を有するように設計されることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記工具ドラム(204;504)が、前記工具シャフト(205)の両側で工具支持体上に支持され、前記工具ドラム(204)を2つの側で保持するためのジャーナル(233)または軸受は、好ましくは、前記駆動装置の反対側に位置する前記工具ドラム(204)の側に形成されることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記工具ドラム(304;354;404)が、前記駆動要素(308;358;408)用の歯車駆動装置から切り離されたドラム駆動装置を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ドラム駆動装置および/または前記歯車駆動装置が可変駆動装置から構成されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ドラム駆動装置および前記歯車駆動装置が、前記工具ドラム(304)の同じ側に配置される、または連結することができることを特徴とする請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記工具ドラム(304)に、軸方向に突き出るシャフト収納部分(335)が設けられ、前記シャフト収納部分(335)の中に、前記駆動歯車(308)に回転固定して連結されかつ前記シャフト収納部分の受け入れ穿孔(336)から両側に突き出る歯車駆動シャフト(325)が、回転可能に支持されることを特徴とする請求項13、14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記歯車駆動シャフト(325)が、前記受け入れ穿孔内の軸受(338)と、前記工具ドラム(304)にネジ止めされる軸受カバー(319)内の第2軸受(338)とによって支持されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記工具シャフトの軸線(W)が前記ドラムの軸線(H)に対して斜めに位置しており、かつ、前記駆動歯車(308)および前記動力取り出し歯車(307)が、遊星歯車を有するアングル歯車装置(320)のかさ歯車として設計されることを特徴とする請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記シャフト収納部分(335)を前記ドラム駆動装置に連結でき、前記歯車駆動シャフト(325)を前記歯車駆動装置に連結できることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記ドラム駆動装置を前記工具ドラム(354;404)の一方の側に配置するかまたは連結することができ、前記歯車駆動装置を、軸方向にずらして、前記工具ドラム(354;404)のもう一方の側に配置するかまたは連結することができることを特徴とする請求項13または14に記載の装置。
【請求項21】
前記工具ドラム(354)の反対側に、シャフト収納部分(386)を含む軸方向に突き出た環状の延長部分(385)が設けられ、前記シャフト収納部分(386)の中に、前記駆動歯車(358)に回転固定して連結されかつ前記シャフト収納部分(386)の受け入れ穿孔から両側に突き出る歯車駆動シャフト(375)が回転可能に支持され、さらに、前記工具ドラム(354)は、もう一方の側に、前記ドラム駆動装置を配置するかまたは連結し得る支持延長部分(390)を有することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記歯車駆動シャフト(375)が、前記環状の延長部分のシャフト収納部分内の第1軸受(388)と、前記支持延長部分(319)内の第2軸受(388)とによって回転可能に組み込まれ、この場合、前記支持延長部分(319)は、好ましくは、前記工具ドラムにネジ止めされる支持フランジから構成されることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記工具ドラム(404)が、第1ハブギヤ装置(497)の動力取り出し側に回転固定して連結され、前記駆動歯車(408)が、第2ハブギヤ装置(498)の動力取り出し側に回転固定して連結され、前記2つのハブギヤ装置は中心の収納部分内に配置されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記ハブギヤ装置(497、498)が、好適にカプセル化された歯車段を有する嵌め込み式歯車装置として設計され、前記2つのハブギヤ装置の固定フランジは前記ドラム支持体に固定できるかまたは固定されることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記駆動歯車(308、358、408)および前記動力取り出し歯車(307;357;407)が、遊星歯車を有するアングル歯車装置のかさ歯車として設計されること、あるいは、前記駆動歯車がフェースギヤとして構成され、前記動力取り出し歯車が、これと噛み合う、遊星歯車を有するフェース歯車装置の円筒歯車として設計されること、を特徴とする請求項16〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記すべての工具シャフト(5)の動力取り出し歯車が単一の共通の駆動歯車(8)と噛み合い係合することを特徴とする請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記工具シャフト(405)が、軸受(406)によって回転可能にかつシャフトシール(417)によってシールされるように軸受ブッシュ(445)内に納められ、この場合、好ましくは、前記工具シャフトがその中に回転可能に組み込まれた前記軸受ブッシュ(445)を、前記工具ドラム(405)に設けられるドラムチャンバ(412)内に、カートリッジ方式で交換可能に差し込みかつロックできることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記工具シャフト(5)が、前記工具ドラム(4)内において周囲に均等に分布配置されることを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
1つの工具シャフト(5)上に配置される各掘削工具(16)が、前記ドラムの周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフト(5)の掘削工具(16)の配置に対して、ある角度量だけずれるように、あるいは、前記駆動シャフトからの距離においてずれるように配置されることを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記掘削工具が、前記工具シャフト(305;355;405)に取り外し可能に連結される工具支持体(315;415)上に形成されるかまたは装着されることを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
好ましくは前記すべての工具シャフトの掘削工具(116;316)がローラチゼルまたはストレートシャンクチゼルから構成され、これらのチゼル工具は、岩石、石炭または鉱物を複数層においてアンダカット排除するために、外向きに先細化された工具支持体(115;315;415)または前記工具シャフトの端部に装着されることを特徴とする請求項1〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記工具支持体(315;415)または前記工具シャフトの端部が、円錐状に、アーチ状に、あるいは階段式に先細化されていることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
各工具シャフト上の前記掘削工具が、異なる直径のピッチ円上の掘削列(121〜124)に配置され、この場合、2つの掘削列間の距離は、好ましくは、すべての掘削列がほぼ同一サイズの三日月形状の掘削面を排除するように選定されることを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
1つ以上の前記工具シャフトの掘削工具が基本的に粉砕ローラ(15;65;165)から構成されることを特徴とする請求項1〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記粉砕ローラが、円筒状であるか、あるいは掘削される岩石その他に向かって円錐状に先細化されていることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記工具ドラムの周囲方向において互いに連続する工具シャフトの掘削工具が、互いに対して位相がずれるように配置されることを特徴とする請求項1〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記工具シャフト(155)が、その半径方向の外側の端部において、ジャーナル(181)を有するヨーク(180)によって回転可能に支持され、前記ヨーク(180)は前記工具ドラムに固定されることを特徴とする請求項1〜36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記工具ドラム(254)に、隣接する工具シャフトの間に、半径方向に延びるスクレーパまたはショベル(276)が設けられることを特徴とする請求項1〜37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
請求項1〜38のいずれか一項に記載の装置を用いて岩石その他同類の材料を粉砕または排出する方法であって、前記工具シャフト()の回転速度、前記工具ドラム()の回転速度、前記ドラムの軸線に平行な前記装置の前進速度、および/または、個々の前記工具シャフト()に配置される掘削工具()の、周囲方向においてその工具シャフトの前方または後方に位置する工具シャフトの掘削工具()の角度位置に対する角度位置を、次のように調整する、すなわち、後続する工具シャフト()の掘削工具()が、先行する工具シャフトの掘削工具()と同じ打ち込み点において岩石等に打ち込まれないように調整する方法。
【請求項40】
運転使用において、若干数の掘削工具()のみが、被粉砕材料または被排出材料と同時に係合することを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
石炭、鉱石担持岩石その他同類のもののような鉱物採取製品を破砕するために、あるいは、コンクリート化もしくはアスファルト化された表面または建造物を掘削するために、請求項1〜38のいずれか一項に記載の装置および/または請求項39〜40のいずれか一項に記載の方法を使用すること。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−501753(P2010−501753A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525986(P2009−525986)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007600
【国際公開番号】WO2008/025555
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509056607)ブサイラス デーベーテー オイローパ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007600
【国際公開番号】WO2008/025555
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509056607)ブサイラス デーベーテー オイローパ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
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