説明

材料試験機

【課題】 低速度領域で材料試験を行うためにポンプの回転数が低速となった場合にも、スムースな材料試験を実行することが可能な材料試験機を提供する。
【解決手段】 油圧源38は、オイル(作動油)を貯留するオイルタンク44と、このオイルタンク44に貯留されたオイルをラムシリンダ25に供給するためのピストンポンプ41と、このピストンポンプ41を回転させるためのサーボモータ42とを備える。ピストンポンプ41とラムシリンダ25とはオイルの供給管路46により接続され、供給管路46には、圧力変動を吸収するための圧力容器43が配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、油圧アクチュエータにより試験片に試験力を付与する材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
材料試験機においては、負荷機構の駆動により試験片に各種負荷を加えるが、その負荷機構の駆動源として油圧式アクチュエータが多用されている。油圧式アクチュエータを駆動源とする材料試験機においては、その油圧式アクチュエータに対してポンプによりオイル(作動油)を供給している。そして、ポンプを駆動するためのモータは、AC電源(50Hzまたは60Hz)で動作する一定回転数のものが用いられている。ポンプと油圧アクチュエータとの間には、サーボバルブが配設されており、ポンプから供給されたオイルは、サーボバルブにより必要な圧力に調整された後、油圧式アクチュエータに供給される。
【0003】
ところで、油圧ポンプやモータからなる油圧ユニット(油圧源)は、材料試験機に要求される最大パフォーマンス、すなわち、負荷機構の最大移動速度や最大試験力等を実現可能な性能を有するものが選定される。しかしながら、試験の種類によっては、その最大パフォーマンスが要求される時間が短い場合が多く、このときに必要以上の電力を消費しているという問題があった。また、ポンプを駆動するためのモータに一定回転数のものを採用し、サーボバルブにより必要な圧力に調整する方式では、エネルギー損失が大きいという問題があった。
【0004】
このため、特許文献1には、油圧式アクチュエータと、その油圧式アクチュエータに対して作動油を供給する油圧源を備えた材料試験機において、油圧源のポンプを駆動するモータとして回転数可変のモータを用い、そのモータの回転数を材料試験機の試験準備から試験終了までの各状態に応じて自動的に変化させることにより、試験準備中をはじめとする、アクチュエータの速度が要求されない状態においてポンプ駆動用のモータを低速回転とするなど、必要とされるアクチュエータの速度能力に応じた回転数のもとにポンプ駆動用モータを駆動することができ、消費エネルギーを抑えることが可能な材料試験機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−163149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8は、従来の油圧源138をラムシリンダ25とともに示す概要図である。油圧源138は、オイルを貯留するオイルタンク44と、ポンプ141と、可変速駆動されるモータ142とを備え、ピストンポンプ41からラムシリンダ25に至るオイルの供給管路45を介してモータ142の駆動により油圧式アクチュエータであるラムシリンダ25のシリンダ室25bに圧油を供給する。そして、シリンダ室25bへの圧油の供給によりラム25bがシリンダ室25b内を移動することにより負荷機構が駆動する構成となっている。
【0007】
ポンプ141には、ピストンポンプが用いられており、このポンプ141は、オイルの吸入と吐出を繰り返しながらオイルを油圧式アクチュエータに圧送している。モータ142が所定の回転数以上で駆動し、ポンプ141でのオイルの吸入と吐出の切り替えが速いときには、オイルの吸入と吐出の切り替え領域でのオイル漏れはほとんどないが、モータ142が低速回転で駆動しているときには、ポンプ141でのオイルの吸入と吐出の切り替えが遅くなるためオイル漏れが発生し、オイルが脈動する。そうすると、オイルの供給を受けるラムシリンダ25のシリンダ室25a内の圧力変動も大きくなり、材料試験機の負荷機構のスムースな動作が損なわれることになる。
【0008】
特許文献1に記載された材料試験機は、消費エネルギーを低減することが可能な優れたものではあるが、図8に示す油圧源138と同様に、低速度域での試験(例えば、負荷機構の移動速度が0.5mm/min)のためにポンプ駆動用のモータを低速回転で駆動させているときには、油圧式アクチュエータに供給されるオイルの脈動の影響により、試験機制御をスムースに行うことが困難となる。
【0009】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、低速度領域で材料試験を行うためにポンプの回転数が低速となった場合においても、スムースな材料試験を実行することが可能な材料試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、油圧アクチュエータにより試験片に試験力を付与する材料試験機において、オイルを前記油圧アクチュエータに供給するポンプと、前記ポンプを回転させるサーボモータと、前記ポンプと前記油圧アクチュエータを接続するオイルの供給路と、を備え、前記ポンプから前記オイルの供給路を介して前記油圧アクチュエータ内に亘る容積は、前記油圧アクチュエータ内における圧力変動ΔPを、前記油圧アクチュエータの使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値よりも小さくするオイルの体積Vを収容することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、オイルの体積弾性係数をk、前記ポンプにおけるオイルの流入と流出との切り替え領域で生じるオイル漏れによる体積変化量をΔVとすると、前記圧力変動ΔPは、式(1)で表され、前記体積Vは、式(2)を満たす。
ΔP=k・ΔV/V・・・(1)
k・ΔV/V<P・c・・・(2)
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記オイルの供給路に圧力容器を配設した。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記所定の割合cは、5万分の1である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ポンプは、ピストンポンプである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記油圧アクチュエータは、ラムシリンダである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1から請求項6に記載の発明によれば、ポンプからオイルの供給路を介して油圧アクチュエータ内に亘る容積が、油圧アクチュエータ内における圧力変動ΔPを、油圧アクチュエータの使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値よりも小さくするオイルの体積Vを収容する容積であることから、低速度領域で材料試験を行うためにポンプの回転数が低速となりオイル漏れが生じる場合においても、オイル漏れによるオイルの体積変化に起因する圧力変動の影響を低減することができ、低速度領域でもスムースな材料試験を実行することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、圧力容器を備えることから、各種材料試験における圧力変動ΔPの許容値に応じて、必要容量を有する圧力容器を適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る材料試験機の概要図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る油圧源38をラムシリンダ25とともに示す概要図である。
【図4】ピストンポンプ41の概要図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係る油圧源68をラムシリンダ25とともに示す概要図である。
【図6】この発明の第3実施形態に係る油圧源78をラムシリンダ25とともに示す概要図である。
【図7】この発明の第4実施形態に係る油圧源88をラムシリンダ25とともに示す概要図である。
【図8】従来の油圧源138をラムシリンダ25とともに示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る材料試験機の概要図であり、図2はそのA−A断面図である。
【0020】
この材料試験機は、テーブル21と、このテーブル21に一対の支柱22を介して連結された上部クロスヘッド24と、テーブル21と上部クロスヘッド24とを同期して昇降させる油圧アクチュエータとしてのラムシリンダ25と、一対の支柱22に沿って昇降可能な下部クロスヘッド26と、この下部クロスヘッド26の両端に設けられた図示しないナットと螺合する一対のネジ棹23と、一対のネジ棹23と図示しない駆動連結機構を介して連結され、一対のネジ棹23を互いに同期して回転させるモータ27とを備える。
【0021】
上部クロスヘッド24には上つかみ具31が配設されており、下部クロスヘッド26には下つかみ具32が配設されている。引張試験がなされる試験片10は、これらの上つかみ具31および下つかみ具32によりその両端を把持される。また、下部クロスヘッド26には圧盤28が付設されており、圧縮試験がなされる試験片11は、この圧盤28とテーブル21とによりその上下端部を押圧される。
【0022】
ラムシリンダ25は、シリンダ室25aに圧油を供給することによりラム25bが伸長する構成を有する。そして、ラム25bが伸長することにより、テーブル21、一対の支柱22および上部クロスヘッド24が同期して上昇する。このテーブル21および上部クロスヘッド24の上昇により、引張試験を行うときには上つかみ具31および下つかみ具32によりその両端を把持された試験片10に引張荷重が付与され、圧縮試験を行うときには圧盤28とテーブル21との間に配置された試験片11に圧縮荷重が付与される。このラムシリンダ25の動作は、ラムシリンダ25に圧油を供給する油圧源38により駆動制御される。そして、この油圧源38は、制御部35により制御される。
【0023】
このときの試験力は、圧力センサ33により測定される。この測定値は、制御部35に送信され、必要に応じ表示部36に表示される。また、このときのテーブル21および上部クロスヘッド24の移動量は、ストローク検出器34により検出される。この検出値は、制御部35に送信され、必要に応じ表示部36に表示される。
【0024】
この材料試験機において、引張試験を行うときには、上部クロスヘッド24と下部クロスヘッド26との距離を引張試験を行う試験片10のサイズに対応した大きさとする必要がある。同様に、圧縮試験を行うときには、下部クロスヘッド26とテーブル21との距離を、圧縮試験を行う試験片11のサイズに対応させた大きさとする必要がある。この場合には、オペレータが操作部37における下部クロスヘッド26の昇降スイッチを操作して、制御部35を介してモータ27を回転させる。これにより、一対のネジ棹23が回転し、このネジ棹23に連結された下部クロスヘッド26が昇降する。
【0025】
図3は、上述した油圧源38をラムシリンダ25とともに示す概要図である(第1実施形態)。
【0026】
この油圧源38は、オイル(作動油)を貯留するオイルタンク44と、このオイルタンク44に貯留されたオイルをラムシリンダ25に供給するためのピストンポンプ41と、このピストンポンプ41を回転させるためのサーボモータ42とを備える。ピストンポンプ41とラムシリンダ25とはオイルの供給管路46により接続され、供給管路46には、圧力変動を吸収するための圧力容器43が配設される。
【0027】
図4は、上記油圧源38に使用されるピストンポンプ41の概要図である。
【0028】
このピストンポンプ41は、アキシャルピストンポンプと呼称されるものであり、ドライブシャフト52に連結されたシリンダブロック53と、このシリンダブロック53に形成された複数の孔部55に各々挿入されるピストン54と、流入口57および流出口58が形成されたバルブプレート51と、ヨーク(斜板)56とを備える。
【0029】
ピストン54のヨーク側の端部は、図示を省略した係合機構によりヨーク56と係合しており、ドライブシャフト52が回転すると、各ピストン54はシリンダブロック53の孔部55中を往復運動する。このとき、ピストン54がバルブプレート51から遠ざかっていくと、オイルが流入口57からシリンダブロック53の孔部55内に流入する。そして、ドライブシャフト52がさらに回転すると、ピストン54はバルブプレート51に近づいていき、流出口58から孔部55内のオイルが流出する。各ピストン54のストロークは、ヨーク56の傾斜角によって変化する。なお、オイルの流れの変動を小さくする目的で、ピストン54の数は、5本や7本など、奇数本となっている。
【0030】
以上のような構成を有する材料試験機においては、材料試験時の試験速度等の各種の試験条件に基づいて、図1に示す制御部35の制御によりサーボモータ42の回転数を制御する。そして、ピストンポンプ41の回転数を制御し、ラムシリンダ25に材料試験に必要となるオイルを供給する。
【0031】
ところで、このようにサーボモータ42を利用してピストンポンプ41の回転数を制御し、ラムシリンダ25に供給するオイルを制御する場合に、低速度領域で材料試験を行う場合等においては、ピストンポンプ41が低速で回転することになり、これによりピストンポンプ41内のオイルの流入と流出とを切り替える領域でオイルの漏れ(圧力抜け)が生じ、これにより、オイルに脈動が発生する等の問題が生ずる。
【0032】
オイルに脈動が生じると、オイルが供給されるラムシリンダ25のシリンダ室25a内の圧力が変動する。この圧力変動ΔPは、ラムシリンダ25のシリンダ室25aに接続された圧力計等により計測可能であり、オイルの体積弾性係数をk、ピストンポンプ41から吐出され供給管路45を介してラムシリンダ25のシリンダ室25aに亘って収容されるオイルの体積をV、上述したオイルの漏れによる体積変化量をΔVとして、式(1)で表すことができる。
【0033】
ΔP=k・ΔV/V・・・(1)
一方、圧力変動ΔPの値が大きくなると、ラム25bの移動の滑らかさが損なわれ、このラム25bの移動に連動して移動するテーブル21等の移動にも影響が及ぶこととなる。圧力変動ΔPを、ラム25bの移動に影響を及ぼさない程度に抑えるためには、圧力変動ΔPの値をより小さな値にする必要がある。これは、式(1)の分母である体積Vの値を大きくすることにより実現できる。圧力変動ΔPをラム25bの移動への影響が無視できるとして許容できる値にまで小さくできる体積Vは、ラムシリンダ25の使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値(c・P)よりも小さい値、すなわち式(2)を満たす値として求めることができる。
【0034】
k・ΔV/V<c・P・・・(2)
なお、所定の割合cの値としては5万分の1程度の値が設定される。ここで例えば、所定の割合cを5万分の1とし、使用圧力Pが25MPaであれば、ラム25bの移動への影響が無視できるとして許容できる圧力変動ΔP(=k・ΔV/V)は、c・P=0.5Paより小さい値とされる。すなわち、式(2)を満たすオイルの体積Vを収容できる容積が、ピストンポンプ41から供給管路46を介してラムシリンダ25のシリンダ室25aに亘る領域にあれば、圧力変動ΔPを0.5Paより小さい値にできることになる。
【0035】
図3に示すこの実施形態においては、圧力容器43の作用により、ピストンポンプ41から吐出されたオイルを供給管路46を介してラムシリンダ25に亘って収容する容積を大きくし、オイルが供給されるシリンダ室25a内の圧力変動ΔPをラムシリンダ25の使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値よりも小さくする構成となっている。なお、この実施形態での体積Vは、ピストンポンプ41から供給管路46を介してラムシリンダ25に亘る容積、すなわち、供給管路46、圧力容器43、シリンダ室25aの合計の容積に等しい。
【0036】
これにより、ピストンポンプ41内のオイル漏れによる体積変化量ΔVに起因したラムシリンダ25のシリンダ室25a内の圧力変動ΔPが抑制され、スムースな材料試験を実行することが可能となる。
【0037】
図5は、この発明の第2実施形態に係る油圧源68をラムシリンダ25とともに示す概要図である。なお、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0038】
この実施形態では、ラムシリンダ25とピストンポンプ41とを接続する供給管路47に、径の大きなものを採用して、ピストンポンプ41から吐出されたオイルを供給管路47を介してラムシリンダ25に亘って収容する容積を大きくし、オイルが供給されるシリンダ室25a内の圧力変動ΔPをラムシリンダ25の使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値よりも小さくする構成となっている。すなわち、ピストンポンプ41から供給管路47を介してラムシリンダ25のシリンダ室25aに亘って収容されるオイルの体積Vが、上述した式(2)を満たすように、供給管路47の容積を大きいものとしている。例えば、供給管路47として、図8に示す供給管路45よりも約10倍の径を有する管を採用することで体積Vを増やすことができる。このようにこの実施形態では、供給管路47の径を大きくして体積Vを大きくすることで、圧力変動ΔPを抑制している。
【0039】
図6は、この発明の第3実施形態に係る油圧源78をラムシリンダ25とともに示す概要図である。なお、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0040】
この実施形態では、ラムシリンダ25のラム25bをシリンダ室25a内において移動させる際に、シリンダ室25aにおけるラム25bの位置がシリンダ室25aのピストンポンプ41と接続される供給管路45に最も近づく位置であって、シリンダ室25a内に収容されるオイルの体積が最も小さくなる、いわゆるゼロ点位置を、図6に仮想線で示す、従来のラム25bの位置よりも、供給管路45から離れた位置に移動している。これにより、ピストンポンプ41から吐出されたオイルを供給管路45を介してラムシリンダ25に亘って収容する容積を大きくし、オイルが供給されるシリンダ室25a内の圧力変動ΔPをラムシリンダ25の使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値よりも小さくする構成となっている。すなわち、ピストンポンプ41から供給管路45を介してラムシリンダ25のシリンダ室25aに亘って収容されるオイルの体積Vが、上述した式(2)を満たすように、シリンダ室25a内に収容するオイルを増やしている。このように、この実施形態では、ラムシリンダ25におけるラム25bのゼロ点位置を従来の位置よりも供給管路45から離れた位置とすることで、体積Vを大きくし圧力変動ΔPを抑えている。
【0041】
図7は、この発明の第4実施形態に係る油圧源88をラムシリンダ25とともに示す概要図である。なお、上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0042】
この実施形態では、ラムシリンダ25とピストンポンプ41とを接続する供給管路48に、図8に示す従来の油圧源138における供給管路45に比べて長いものを採用することで、ピストンポンプ41から吐出されたオイルを供給管路48を介してラムシリンダ25に亘って収容する容積を大きくし、オイルが供給されるシリンダ室25a内の圧力変動ΔPをラムシリンダ25の使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値よりも小さくする構成となっている。すなわち、ピストンポンプ41から供給管路48を介してラムシリンダ25のシリンダ室25aに亘って収容されるオイルの体積Vが、上述した式(2)を満たすように、供給管路48を長くして供給管路48の容積を大きくしている。このように、この実施形態では、供給管路48を長くして体積Vを大きくすることで、圧力変動ΔPを抑えている。
【0043】
なお、上述した実施形態においては、テーブル21と上部クロスヘッド24とを同期して昇降させる流体シリンダとして、単動シリンダとしてのラムシリンダ25を使用したが、その他の油圧シリンダ等、各種の油圧アクチュエータを使用することができる。
【0044】
上述した実施形態においては、この発明をアキシャルピストンポンプを利用した油圧源38、68、78、88に適用しているが、ベーンポンプ等のその他の各種のポンプを利用した油圧源にこの発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 試験片
11 試験片
21 テーブル
22 支柱
23 ネジ棹
24 上部クロスヘッド
25 ラムシリンダ
26 下部クロスヘッド
27 モータ
28 圧盤
31 上つかみ具
32 下つかみ具
33 圧力センサ
35 制御部
36 表示部
37 操作部
38 油圧源
41 ピストンポンプ
42 サーボモータ
43 圧力容器
44 オイルタンク
45 供給管路
46 供給管路
47 供給管路
48 供給管路
68 油圧源
78 油圧源
88 油圧源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータにより試験片に試験力を付与する材料試験機において、
オイルを前記油圧アクチュエータに供給するポンプと、
前記ポンプを回転させるサーボモータと、
前記ポンプと前記油圧アクチュエータを接続するオイルの供給路と、
を備え、
前記ポンプから前記オイルの供給路を介して前記油圧アクチュエータ内に亘る容積は、前記油圧アクチュエータ内における圧力変動ΔPを、前記油圧アクチュエータの使用圧力Pに対して所定の割合cを乗じた値よりも小さくするオイルの体積Vを収容することを特徴とする材料試験機。
【請求項2】
請求項1に記載の材料試験機において、
オイルの体積弾性係数をk、前記ポンプにおけるオイルの流入と流出との切り替え領域で生じるオイル漏れによる体積変化量をΔVとすると、
前記圧力変動ΔPは、式(1)で表され、前記体積Vは、式(2)を満たす材料試験機。
ΔP=k・ΔV/V・・・(1)
k・ΔV/V<P・c・・・(2)
【請求項3】
請求項1に記載の材料試験機において、
前記オイルの供給路に圧力容器を配設した材料試験機。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の材料試験機において、
前記所定の割合cは、5万分の1である材料試験機。
【請求項5】
請求項1に記載の材料試験機において、
前記ポンプは、ピストンポンプである材料試験機。
【請求項6】
請求項1に記載の材料試験機において、
前記油圧アクチュエータは、ラムシリンダである材料試験機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−251844(P2012−251844A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124003(P2011−124003)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】