説明

杭打機の施工管理装置及び施工方法

【課題】複数の施工位置に、複数の鋼管杭を接続しながらそれぞれ埋設する際の作業効率を向上でき、作業時間の短縮を図れる杭打機の施工管理装置及び施工方法を提供する。
【解決手段】複数の鋼管杭を接続して埋設する位置を記憶する位置記憶手段と、該位置記憶手段に記憶された各施工位置における鋼管杭の埋設深度をそれぞれ記憶する深度記憶手段と、前記位置記憶手段に記憶された複数の施工位置から一つの施工位置を選択する位置選択手段とを備え、前記深度記憶手段は、前記位置選択手段で選択した一つの施工位置で鋼管杭を埋設したときに、該施工位置における埋設深度を記憶するとともに、前記位置選択手段で選択した他の施工位置で鋼管杭を埋設する際に該他の施工位置に対応した埋設深度を読み取り、読み取った埋設深度に新たに埋設した鋼管杭の埋設深度を加算して記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機の施工管理装置及び施工方法に関し、詳しくは、複数の施工位置に、複数の鋼管杭を接続しながらそれぞれ埋設する際に使用する杭打機の施工管理装置及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
10mを超えるような杭打ちを行う場合、5〜6mの鋼管杭を継ぎ足しながら埋設することが一般に行われている。鋼管杭を継ぎ足しながら埋設する手順は、一般的に、杭の施工位置に杭打機を移動し、1本目の鋼管杭を杭打機の駆動装置にセットし、施工管理装置の深度データをリセットしてゼロとし、駆動装置にセットした鋼管杭を埋設するとともに深度データを取り込み、埋設後に施工管理装置を杭継ぎモードにして深度データを保持した状態で駆動装置から1本目の鋼管杭を分離し、クレーン等で2本目の鋼管杭を1本目の鋼管杭の上にセットし、2本の鋼管杭を溶接や螺合によって接続し、接続した鋼管杭を杭打機の駆動装置にセットし、施工管理装置を杭継ぎモードから通常モードに戻して保持した深度データに新たな深度を加算しながら鋼管杭を埋設していた。3本以上の鋼管杭を接続して継ぎ足す必要がある場合には、2本目の鋼管杭を埋設した後、同じ操作を繰り返して3本目の鋼管杭を2本目の鋼管杭の上部に接続して埋設する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−76415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の施工方法では、埋設した鋼管杭の上部に継ぎ足す鋼管杭を接続するときの杭打機が待機状態になっているため、鋼管杭を継ぎ足しながら埋設する杭打ち作業に長時間を要するという問題があった。また、従来の施工管理装置では、杭継ぎモードで保持した深度データに次に埋設した深度を加算していくため、新たな場所に1本目の鋼管杭を埋設する際には、深度データをリセットしてゼロに戻す必要があるから、鋼管杭の接続作業中に他の場所で別の鋼管杭の埋設作業を行うと、接続作業を行っている鋼管杭の深度データがリセットされてしまうので、一箇所ずつ順番に埋設作業を行っていかなければならなかった。
【0004】
そこで本発明は、複数の施工位置に、複数の鋼管杭を接続しながらそれぞれ埋設する際の作業効率を向上でき、作業時間の短縮を図れる杭打機の施工管理装置及び施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機の施工管理装置は、複数の施工位置に複数の鋼管杭を接続しながら埋設する杭打機の施工管理装置において、複数の鋼管杭を接続して埋設する位置を記憶する位置記憶手段と、該位置記憶手段に記憶された各施工位置における鋼管杭の埋設深度をそれぞれ記憶する深度記憶手段と、前記位置記憶手段に記憶された複数の施工位置から一つの施工位置を選択する位置選択手段とを備え、前記深度記憶手段は、前記位置選択手段で選択した一つの施工位置で鋼管杭を埋設したときに、該施工位置における埋設深度を記憶するとともに、前記位置選択手段で選択した他の施工位置で鋼管杭を埋設する際に該他の施工位置に対応した埋設深度を読み取り、読み取った埋設深度に新たに埋設した鋼管杭の埋設深度を加算して記憶することを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明の施工管理装置は、前記位置選択手段として、各施工位置に対応した数値又は記号を入力する入力手段を使用することができ、あるいは、前記位置選択手段として、杭打機に搭載した位置情報検出手段から得た杭打機の位置情報と、前記位置記憶手段に記憶された各施工位置の位置情報とを比較し、杭打機の位置に最も近接した施工位置を選択するものを使用することもできる。
【0007】
また、本発明の施工方法は、杭打機によって複数の施工位置に複数の鋼管杭を埋設しながら施工する方法において、第1の施工位置に第1の鋼管杭を埋設した後、該第1の施工位置における第1の鋼管杭の埋設深度を深度データとして施工位置に対応させて記憶し、杭打機を第2の施工位置に移動させて該第2の施工位置に第1の鋼管杭を埋設するとともに、前記第1の施工位置に埋設した前記第1の鋼管杭の上部に第2の鋼管杭を接続し、前記第2の施工位置に第1の鋼管杭を埋設した後、該第2の施工位置における第1の鋼管杭の埋設深度を深度データとして第2の施工位置に対応させて記憶し、次に、前記第1の施工位置に杭打機を移動させて第1の施工位置に対応させて記憶した深度データを読み込み、前記第1の鋼管杭に接続した前記第2の鋼管杭を埋設して前記読み込んだ深度データに第2の鋼管杭の埋設深度を加算するとともに、前記第2の施工位置に埋設した前記第1の鋼管杭の上部に第2の鋼管杭を接続し、前記第1の施工位置で第2の鋼管杭を埋設した後、該第1の施工位置における埋設深度加算後の深度データを第1の施工位置に対応させて記憶し、杭打機を第2の施工位置に移動させて第2の施工位置に対応させて記憶した深度データを読み込み、前記第1の鋼管杭に接続した前記第2の鋼管杭を埋設して前記読み込んだ深度データに第2の鋼管杭の埋設深度を加算する操作を、複数の施工位置で順次繰り返して行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一つの施工位置に埋設した鋼管杭の上部に次の鋼管杭を接続する作業を行っている間に、他の施工位置で鋼管杭を埋設する作業を行うことができるので、杭打機の稼働効率が向上して杭打ち作業に要する時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の杭打機の施工管理装置における操作手順の一形態例を示す流れ図、図2は杭打機の一例を示す正面図、図3乃至図9は施工管理装置の画面表示例を示す図である。
【0010】
まず、図2に示すように、杭打機11は、運転台12を備えた本体13の前部にリーダ14が起伏可能に装着され、該リーダ14に駆動装置15が昇降可能に設けられるとともに、リーダ14の下端部には振れ止め16が、上端部にはトップシーブ17がそれぞれ設けられている。さらに、各種データを採取するため、鋼管杭18の埋設量(深度データ)を算出するための信号を発信するロータリーエンコーダ19や、駆動装置15の駆動トルク、回転数、圧入力等を検出する各種検出手段がそれぞれ設けられている。
【0011】
運転台12には、杭打ち作業を管理するための施工管理装置が設けられている。この施工管理装置には、前記ロータリーエンコーダ19からの信号に基づいて埋設する鋼管杭の深度データを演算する演算器、演算されたデータ等を表示する表示器、データをプリンタやメモリーカード等に記録する記録器、施工管理装置の操作に必要なスイッチ等が設けられており、スイッチの種類には、深度データをリセットして「0」にするためのリセットスイッチや、鋼管杭を接続するときに駆動装置15を乗降させても深度データが変わらないようにするスイッチや、施工位置に対応した杭番号を設定するためのスイッチ等が設けられている。
【0012】
また、施工管理装置には、鋼管杭の施工位置と、各施工位置に埋設した鋼管杭の施工深度とをそれぞれ記憶する領域を有する記憶手段を備えている。施工位置を記憶する位置記憶手段は、複数の位置にそれぞれ埋設する鋼管杭の番号(杭番号)を杭識別データとして記憶しており、施工深度を記憶する深度記憶手段は、前記杭識別データの一つひとつに対応し、埋設開始時にリセットした深度データをゼロとし、鋼管杭埋設後に深度データを順次加算することによって各杭番号毎に埋設終了時の最終データが記録される。
【0013】
例えば、杭識別データと深度最終データとは、表1に示すように、施工位置(又は施工順)を記憶したデータ番号(1)〜(N)に対応して杭識別データP(1)〜P(N)と深度最終データD(1)〜D(N)とがそれぞれ設定されており、新たな杭番号が入力されると、その杭番号が杭識別データP(N+1)に設定され、施工位置(N+1)に対応した杭識別データP(N+1)と深度最終データD(N+1)がそれぞれ新たな記憶データとして設定される。
【表1】

【0014】
次に、図1を参照して杭打ち作業手順の一例を説明する。まず、施工現場にあらかじめ設定されている施工位置に杭打機を移動させるとともに、施工管理装置を作動状態とし、ステップS1にて、その位置に埋設する杭が新しい杭か元の杭かの選択を行う。新しい杭とはその施工位置で最初に埋設する1本目の杭のことであり、元の杭とはその施工位置で既に埋設された杭のことである。
【0015】
ステップS1で新しい杭を選択すると、ステップS2の杭番号の入力に進み、ステップS1で元の杭を選択するとステップS3に進んで既に埋設された杭の杭番号が画面に表示される。ステップS4で画面に表示された杭番号の中から施工位置に対応した杭番号を選択すると、ステップS5に進み、選択された杭番号(杭識別データP(n))に対応する施工位置(n)から深度最終データD(n)等の記憶データを記憶手段から読み出し、ステップS6に進んで施工画面に深度最終データD(n)を表示する。
【0016】
ステップS7で新しい杭か元の杭かを判定し、新しい杭の場合は、ステップS8でリセットスイッチを押し下げて今回の深度データをリセットした後、ステップS9に進み、元の杭の場合は、ステップS8を経ずにステップS7からステップS9に進む。
【0017】
ステップS9で開始を選択すると、駆動装置15が作動して既に埋設された鋼管杭の上部に接続されて継ぎ足された鋼管杭の埋設が始まるとともに、ステップS10でロータリーエンコーダ19からの信号に基づいて演算器が鋼管杭の埋設量(深度データ)を演算し、必要なデータを表示したり、記録したりする。所定深さまで鋼管杭を埋設した後、ステップS11で終了を選択すると、ステップS12に進んで深度記憶手段から読み出した深度最終データD(n)に今回算出した深度データを加算し、杭識別データP(n)及び深度最終データD(n)を施工位置(n)に対応する最終データとして記憶手段にそれぞれ記憶させる。
【0018】
また、ステップS1で新しい杭を選択し、ステップS2で新しい杭番号を入力すると、ステップS13で今までの記憶データの最終データ番号である「N]に「1」を加算(N=N+1)し、これをステップS14で、今回埋設する鋼管杭の記憶データとするために「n=N」とし、施工位置(n)に対応した杭識別データP(n)と深度最終データD(n)とが記憶データとして設定される。
【0019】
記憶データの設定が終了すると、前記ステップS6に進んで施工画面の表示が行われる。新しく1本目の杭を埋設する際には、杭の先端を地面に合わせた状態で、ステップS8のリセットスイッチの押し下げを行う。これにより、深度データが「0」にリセットされる。ステップS9で開始を選択すると、前記ステップS10での鋼管杭の埋設、深度データの演算、データの表示や記録が行われ、鋼管杭埋設後にステップS11で終了を選択すると、ステップS12では、今回は深度最終データD(n)の読み出しを行っていないために深度最終データD(n)はゼロとなっているから、今回算出した深度データを深度最終データD(n)とし、杭識別データP(n)及び深度最終データD(n)を施工位置(n)に対応する最終データとして記憶手段にそれぞれ記憶させる。
【0020】
このように、鋼管杭を埋設した後に杭識別データP(n)及び深度最終データD(n)を施工位置(n)に対応する最終データとして記憶手段にそれぞれ記憶させ、元の杭に継ぎ足した2本目以降の鋼管杭を埋設するときには、施工位置に対応した杭番号を選択して深度最終データD(n)を読み出してから埋設施工を行うようにしているので、第1の施工位置、例えば、n=1の施工位置(1)に第1の鋼管杭(杭識別データP(1)の1本目)を埋設した後、該第1の施工位置(1)における第1の鋼管杭(杭識別データP(1)の1本目)の埋設深度を深度データ(深度最終データD(1))として施工位置(1)に対応させて記憶し、杭打機を第2の施工位置(2)に移動させて該第2の施工位置(2)に第1の鋼管杭(杭識別データP(2)の1本目)を埋設するとともに、前記第1の施工位置(1)に埋設した前記第1の鋼管杭(杭識別データP(1)の1本目)の上部に第2の鋼管杭(杭識別データP(1)の2本目)を接続し、前記第2の施工位置(2)に第1の鋼管杭(杭識別データP(2)の1本目)を埋設した後、該第2の施工位置(2)における第1の鋼管杭(杭識別データP(2)の1本目)の埋設深度を深度データ(深度最終データD(2))として第2の施工位置(2)に対応させて記憶し、次に、前記第1の施工位置(1)に杭打機を移動させて第1の施工位置(1)に対応させて記憶した深度データ(深度最終データD(1))を読み込み、前記第1の鋼管杭(杭識別データP(1)の1本目)に接続した前記第2の鋼管杭(杭識別データP(1)の2本目)を埋設して前記読み込んだ深度データ(深度最終データD(1))に第2の鋼管杭(杭識別データP(1)の2本目)の埋設深度(この埋設作業時に新たに算出した深度データ)を加算するとともに、前記第2の施工位置(2)に埋設した前記第1の鋼管杭(杭識別データP(2)の1本目)の上部に第2の鋼管杭(杭識別データP(2)の2本目)を接続し、前記第1の施工位置(1)で第2の鋼管杭(杭識別データP(1)の2本目)を埋設した後、該第1の施工位置(1)における埋設深度加算後の深度データ(深度最終データD(1))を第1の施工位置(1)に対応させて新たに記憶し、杭打機を第2の施工位置(2)に移動させて第2の施工位置(2)に対応させて記憶した深度データ(深度最終データD(2))を読み込み、前記第1の鋼管杭(杭識別データP(2)の1本目)に接続した前記第2の鋼管杭(杭識別データP(2)の2本目)を埋設して前記読み込んだ深度データ(深度最終データD(2))に第2の鋼管杭の埋設深度(この埋設作業時に新たに算出した深度データ)を加算して新たな(深度最終データD(2))として記憶する操作を、複数の施工位置で順次繰り返して行うことにより、第1の施工位置(1)で1本目の杭を埋設した後、1本目の杭の上部に2本目の杭を接続する間に、杭打機を移動させて第2の施工位置で別の杭の埋設を行うことが可能となるから、従来のように鋼管杭接続作業の間、杭打機を待機させておく必要がなくなり、複数の施工位置に、複数の鋼管杭を接続しながらそれぞれ埋設する際の作業効率を大幅に向上させることができ、作業時間の短縮を図れる。
【0021】
また、図3乃至図13により、タッチパネル表示器の画面表示と杭打ち作業の進行手順の一例を説明する。まず、電源スイッチを投入して施工管理装置を作動状態とし、図3に示す設定値確認画面で目標深度等の設定値をそれぞれ確認する。なお、設定値の変更は、各項目を選択(タッチ)して設定値変更画面に切り換えることによって行うことができる。
【0022】
図3の表示を確認して「OK」を選択すると、図4に示すような杭番号の選択画面が表示される。図4において、杭番号は4桁の数値に設定されており、「0000」以外の数値は、既にその杭番号が使用されていること、すなわち、その杭番号で少なくとも1本目の鋼管杭を埋設したことを表している。ここでは、「0101」〜「0107」までが使用済みとなっている。
【0023】
新たな施工位置で1本目の新しい杭を施工する場合には、図4の画面において「杭の追加」を選択し、元の杭に継ぎ足した杭を埋設する場合には、その施工位置に対応した杭番号を選択する。例えば、図4で「0101」を選択すると、図5に示す日時の確認や、プリンタ記録の確認、メモリーカードの残量確認を行う日時等の確認画面に切り換わるとともに、記憶手段から前回の作業で記憶した深度最終データD(0101)が読み出される。これらを確認して「OK」を選択すると、図6に示す施工前画面になる。
【0024】
図6の画面における「深度」は、杭打機の現状での駆動装置15の位置を表示しているため、鋼管杭セット後に「リセット」を選択すると、「深度」はゼロになる。目標深度やトルク等を再確認した場合には「確認」を選択すればよい。また、定速制御を行う際には、「定速」を選択する。鋼管杭の埋設を開始する際には「開始」を選択する。
【0025】
図6の画面で「開始」を選択すると、図7に示す施工中画面に切り換わる。この画面で「プリント」を選択すると、プリンタへの印字が行われ、「確認」及び「定速」は、前記同様に設定値の確認や定速制御の切換を行う。埋設後に「終了」を選択すると、前述のように、読み出した深度最終データD(0101)に今回の深度データが加算された新たな深度最終データD(0101)が、杭識別データP(0101)及び施工位置(0101)に対応する最終データとして記憶手段に記憶されるとともに、画面が図4に示す杭番号の選択画面に戻る。
【0026】
また、図7の画面における「記憶」は、従来と同様に、一つの施工位置で杭を継ぎ足しながら施工する際に利用するものであって、一本目終了後に「記憶」をタッチして選択状態とし(選択中は反転表示)、一本目の深度を記憶させた状態で一本目の杭から駆動装置15を切り離して上昇させ、2本目を接続して2本目の杭の上部に駆動装置15を接続した後、「記憶」を再びタッチして通常状態とすることにより、2本目の埋設量は、記憶した深度に加算される状態になり、複数本接続した杭の深度を表示することができる。
【0027】
杭番号の選択において、本例では図4の画面に表示された杭番号を選択(タッチ)する例を挙げたが、別に設置したキーボードやテンキー等の入力手段から数字や記号を入力するように形成することもできる。さらに、杭打機にGPS測量手段のような位置情報検出手段を搭載し、この位置情報検出手段によって杭打機の位置情報を算出し、算出した位置情報と、あらかじめ前記位置記憶手段に記憶された各施工位置の位置情報とを比較し、杭打機の位置に対応した施工位置の杭番号を自動的に選択させることもできる。このとき、杭打機に近接した位置に複数の施工位置が存在する場合は、該当する複数の杭番号を表示し、表示された杭番号の中の一つを選択するように形成することもできる。なお、位置情報検出手段には、施工現場に複数の基準点を設定して、その基準点に基づいて杭打機の位置を算出するものも使用可能である。
【0028】
また、図4の画面で「杭の追加」を選択した場合は、図8に示す杭番号設定画面に切り換わる。この画面では、表示されたテンキーから杭番号を入力して「OK」を選択することにより、例えば、杭番号として「0108」を入力すれば、図9に示すように、杭番号が「0108」と表示された確認画面に切り換わる。この確認画面で「OK」を選択すると、図5のときと同様に図6の施工前画面に進む。以下、同様の操作を行うことによって鋼管杭が埋設され、杭識別データP(0108)及び深度最終データD(0108)が施工位置(0108)に対応する最終データが記憶手段にそれぞれ記憶される。
【0029】
杭番号を間違えて選択したり、間違えて入力した場合は、図5又は図9の確認画面で「杭番号」を選択することにより、図4の杭番号の選択画面に戻ることができる。また、メモリーカードを使用しない場合、カード情報は確認画面に表示されない。さらに、本例では図6及び図7でデジタル表示を行う例を示したが、図5又は図9の確認画面で「数値」ではなく「グラフ」を選択することにより、グラフによるアナログ表示を行うこともできる。
【0030】
なお、本発明は、鋼管杭の埋設と同様の作業を行う地盤改良にも適用することが可能であり、図6及び図7の画面中で「積算流量」及び「流量」の欄は、本発明を地盤改良に適用したときに、地盤改良剤の注入量を表示するためのものである。また、杭打機の形式や構造、杭埋設量の検出手段は任意であり、鋼管杭の接続構造も任意であって、溶接、螺合、嵌合等の適宜な接続構造を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の杭打機の施工管理装置における操作手順の一形態例を示す流れ図である。
【図2】杭打機の一例を示す正面図である。
【図3】施工管理装置の表示器に表示した設定値確認画面を示す図である。
【図4】施工管理装置の表示器に表示した杭番号の選択画面を示す図である。
【図5】施工管理装置の表示器に表示した日時等の確認画面を示す図である。
【図6】施工管理装置の表示器に表示した施工前画面を示す図である。
【図7】施工管理装置の表示器に表示した施工中画面を示す図である。
【図8】施工管理装置の表示器に表示した杭番号設定画面を示す図である。
【図9】施工管理装置の表示器に表示した日時等の確認画面を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
11…杭打機、12…運転台、13…本体、14…リーダ、15…駆動装置、16…振れ止め、17…トップシーブ、18…鋼管杭、19…ロータリーエンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施工位置に複数の鋼管杭を接続しながら埋設する杭打機の施工管理装置において、複数の鋼管杭を接続して埋設する位置を記憶する位置記憶手段と、該位置記憶手段に記憶された各施工位置における鋼管杭の埋設深度をそれぞれ記憶する深度記憶手段と、前記位置記憶手段に記憶された複数の施工位置から一つの施工位置を選択する位置選択手段とを備え、前記深度記憶手段は、前記位置選択手段で選択した一つの施工位置で鋼管杭を埋設したときに、該施工位置における埋設深度を記憶するとともに、前記位置選択手段で選択した他の施工位置で鋼管杭を埋設する際に該他の施工位置に対応した埋設深度を読み取り、読み取った埋設深度に新たに埋設した鋼管杭の埋設深度を加算して記憶することを特徴とする杭打機の施工管理装置。
【請求項2】
前記位置選択手段は、各施工位置に対応した数値又は記号を入力する入力手段であることを特徴とする請求項1記載の杭打機の施工管理装置。
【請求項3】
前記位置選択手段は、杭打機に搭載した位置情報検出手段から得た杭打機の位置情報と、前記位置記憶手段に記憶された各施工位置の位置情報とを比較し、杭打機の位置に最も近接した施工位置を選択することを特徴とする請求項1記載の杭打機の施工管理装置。
【請求項4】
杭打機によって複数の施工位置に複数の鋼管杭を埋設しながら施工する方法において、第1の施工位置に第1の鋼管杭を埋設した後、該第1の施工位置における第1の鋼管杭の埋設深度を深度データとして施工位置に対応させて記憶し、杭打機を第2の施工位置に移動させて該第2の施工位置に第1の鋼管杭を埋設するとともに、前記第1の施工位置に埋設した前記第1の鋼管杭の上部に第2の鋼管杭を接続し、前記第2の施工位置に第1の鋼管杭を埋設した後、該第2の施工位置における第1の鋼管杭の埋設深度を深度データとして第2の施工位置に対応させて記憶し、次に、前記第1の施工位置に杭打機を移動させて第1の施工位置に対応させて記憶した深度データを読み込み、前記第1の鋼管杭に接続した前記第2の鋼管杭を埋設して前記読み込んだ深度データに第2の鋼管杭の埋設深度を加算するとともに、前記第2の施工位置に埋設した前記第1の鋼管杭の上部に第2の鋼管杭を接続し、前記第1の施工位置で第2の鋼管杭を埋設した後、該第1の施工位置における埋設深度加算後の深度データを第1の施工位置に対応させて記憶し、杭打機を第2の施工位置に移動させて第2の施工位置に対応させて記憶した深度データを読み込み、前記第1の鋼管杭に接続した前記第2の鋼管杭を埋設して前記読み込んだ深度データに第2の鋼管杭の埋設深度を加算する操作を、複数の施工位置で順次繰り返して行うことを特徴とする杭打機の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−38394(P2008−38394A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211556(P2006−211556)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】