説明

板状部材の取付構造とこれを備えた車両

【課題】部品点数を増加させることなく、簡便な方法にて線膨張係数の異なる板状部材と取付部材の接着力を高めることのできる板状部材の取付構造とこの取付構造を備えた車両を提供する。
【解決手段】取付部材2に対し、板状部材1がその周縁12に配される無端状の接着剤3を介して取り付けられており、取付部材2と板状部材1の線膨張係数が異なっており、無端状の接着剤3は、少なくともその一部R1〜R4に波打ち部31〜34を有している。また、波打ち部31〜34の接着剤3は、取付部材2の取付面22aに沿う方向へ波打っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の取付構造とこの取付構造を備えた車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、線膨張係数の異なる部材同士を接着剤を介して接着固定する場合、その線膨張係数の差に起因する接着剤の内部応力の発生が知られている。
【0003】
たとえば自動車や電車などの車両の窓部に接着剤を介してガラスを取り付ける場合には、ガラスとボディ取付部材の間に線膨張係数の差が存在するため、太陽光の照射などによってガラスやボディ取付部材などの温度が上昇すると、ガラスとボディ取付部材の間に膨張量の差が発生し、ガラスとボディ取付部材の間の接着剤に内部応力が発生する。
【0004】
ところで、近年、自動車産業においては、環境影響負荷を低減できる車両としてハイブリッド自動車や電気自動車が注目されており、その一層の小型化、軽量化、高性能化を目指した開発が自動車メーカー各社、自動車関連メーカー各社で日々進められている。その開発技術の一つは、珪酸を主成分とする無機ガラスに代えて、ポリカーボネート(PC)などの樹脂材料を主成分とする有機ガラスを車両の窓部に適用するものである。
【0005】
上記する技術によれば、無機ガラスよりも格段に軽量な有機ガラスを車両の窓部に適用することで、車両全体の重量を軽量化することができる。一方で、たとえば車体の取付部材を構成する鉄の線膨張係数は12ppm/K程度であり、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂の線膨張係数は68ppm/K程度であるため、無機(硬質)ガラス(線膨張係数が9.0〜9.5ppm/K)を車両の窓部に適用する場合と比較して、ガラスとボディ取付部材の間の接着剤に発生する内部応力が大きくなる可能性がある。
【0006】
図5は、従来の板状の窓用部材(ガラス)の取付構造を示したものであり、図5(a)はその取付構造を備えたテールゲートを模式的に示した斜視図、図5(b)は図5(a)のA5−A5矢視図、図5(c)は窓用部材と取付部材が熱変形した際の図5(a)のA5−A5矢視図を示したものである。
【0007】
図5(a)、(b)で示すように、テールゲートTに窓用部材Aを取り付ける場合、テールゲートTに設けられた窓用開口部Sの周囲の取付部材(フランジ部)Bと板状の窓用部材Aの窓領域Dの周縁Eが接着剤Cを介して接着固定されている。ここで、窓用板材Aと取付部材Bの熱変形量が小さい場合には、窓用部材Aの周縁Eと取付部材Bの間に介在する接着剤Cに大きな剪断応力は生じない。
【0008】
しかしながら、図5(c)で示すように、窓用板材Aと取付部材Bの熱変形量が大きくなると、一般に窓用部材Aの膨張量が取付部材Bの膨張量よりも大きいため、窓用部材A周縁Eと取付部材Bとの間に相対的な位置ずれが発生する。これにより、窓用部材Aの周縁Eと取付部材Bの間の接着剤Cに剪断応力が発生する可能性がある。特に、図示するように大きな面積を有する窓領域に対応するように板状部材Aの大きさが大きい場合には、窓用部材Aの周縁Eと取付部材Bの位置ずれが相対的に大きくなるため、窓用部材Aの周縁Eと取付部材Bの間の接着剤Cの剪断応力が大きくなるといった問題がある。
【0009】
上記する問題に対して、線膨張係数の異なる曲面ガラスと樹脂材料を接着剤を介して接着固定する際に、曲面ガラスと樹脂材料の間の接着剤の剥離を防止することを目的とした樹脂材料の接着方法が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−126046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示されている接着方法によれば、いずれかの対向する二辺、あるいは対向する二辺に隣接する一辺を加えた三辺の周辺に、所定厚さと弾力性を有するスペーサーを配設した状態で接着剤を充填することにより、曲面ガラスと樹脂材料の線膨張係数の差に基づく剪断応力などの熱応力をこの接着剤で吸収することができ、曲面ガラスと樹脂材料の間の接着剤の剥離をある程度まで防止することができる。
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示されている接着方法においては、接着部の周辺に別途のスペーサーを配設する必要があり、部品点数が増加して製造コストが高騰するという課題がある。
【0013】
本発明は、上記する課題に鑑みてなされたものであり、部品点数を増加させることなく、簡便な方法にて線膨張係数の異なる部材間の接着力を高めることのできる板状部材の取付構造とこの取付構造を備えた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成すべく、本発明の板状部材の取付構造は、取付部材に対し、板状部材がその周縁に配される無端状の接着剤を介して取り付けられており、前記取付部材と前記板状部材の線膨張係数が異なっている板状部材の取付構造であって、無端状の前記接着剤は、少なくともその一部に波打ち部を有しているものである。
【0015】
上記する形態によれば、少なくとも無端状の接着剤の一部に波打ち部を有することで、板状部材が膨張する方向に対して直交しないように接着剤を配置することができ、たとえば板状部材が膨張する方向と直交する方向へ向かって接着剤を配置する場合と比較して、板状部材が膨張する方向における接着剤の塗布幅を確保することができる。これにより、板状部材と取付部材の線膨張係数が異なる場合であっても、たとえば別途のスペーサー等を用いることなく板状部材と取付部材の接着力を高めることができる。
【0016】
また、前記波打ち部は、鋸歯状、滑らかな曲線状の少なくともいずれか一種である。たとえば波打ち部が滑らかな曲線状である場合には、板状部材の周縁で接着剤を円滑に連続して配置することができ、接着剤の応力集中を抑制することができる。
【0017】
また、前記波打ち部は、たとえば板状部材の膨張方向と接着剤の配置方向とが直交し得る箇所のみに設けてもよいし、前記波打ち部を無端状の前記接着剤の全部に設けてもよい。前記波打ち部を板状部材の膨張方向と接着剤の配置方向とが直交し得る箇所のみに設け、それ以外の箇所は従来通り略直線状に接着剤を配置した場合には、板状部材と取付部材の接着力を高めながら、接着剤の使用量を抑制して製造コストの高騰を抑制することができる。また、前記波打ち部を無端状の接着剤の全部に設けた場合には、板状部材の周縁全体に亘って板状部材と取付部材の接着力を効果的に高めることができる。
【0018】
ここで、板状部材と取付部材は、同種の材料から構成してもよいし、異種の材料から構成してもよい。たとえば板状部材を樹脂材料から構成し、取付部材を金属材料から構成した場合には、板状部材と取付部材の線膨張係数の差が相対的に大きくなるものの、上記する構成を適用することで、板状部材と取付部材の接着力を効果的に高めることができる。
【0019】
また、前記取付部材は開口を有しており、該開口の周辺に無端状の接着剤を介して前記板状部材が取り付けられていてもよい。取付部材が開口を有している場合には、取付部材の熱変形量が相対的に小さくなるとともに、板状部材が取付部材側から開口を介して受ける熱が相対的に多くなり、板状部材の熱変形量が相対的に大きくなることから、板状部材と取付部材の位置ずれが大きくなることが考えられる。しかしながら、そのような場合であっても、上記するように少なくとも無端状の接着剤の一部に波打ち部を有し、板状部材が膨張する方向に対して直交しないように接着剤を配置することで、板状部材と取付部材の接着力を効果的に高めることができる。
【0020】
上記する取付構造は車両の如何なる部位にも適用できるものの、前記板状部材は窓用部材とし、前記取付部材の開口が窓部を構成してもよい。すなわち、板状部材は、珪酸を主成分とする無機ガラスであってもよいし、ポリカーボネート(PC)樹脂やアクリル樹脂などの樹脂材料を主成分とする有機ガラスであってもよい。その際、接着剤としては、通常使用し得るウレタン系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系の接着剤を適用することができるものの、窓用部材としてポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂板を使用する場合には、窓用部材に設けられた有機塗料層と金属製のボディ取付部材の接着力を確保するためにウレタン系接着剤を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から理解できるように、本発明の板状部材の取付構造によれば、部品点数を増加させることなく、簡便な方法にて線膨張係数の異なる部材間の接着力を高めることができるため、軽量で耐久性に優れた板状部材の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る板状部材の取付構造の実施の形態1を模式的に示す図であり、(a)はその平面図、(b)は図1(a)のA1−A1矢視図である。
【図2】図1に示す板状部材の取付構造の縦断面図であって、(a)は図1(a)に示す板状部材の取付構造のA2−A2矢視図、(b)は図1(a)に示す板状部材の取付構造のA3−A3矢視図である。
【図3】本発明に係る板状部材の取付構造の実施の形態2を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明に係る板状部材の取付構造の実施の形態3を模式的に示す平面図である。
【図5】従来の板状の窓用部材の取付構造を示した図であり、(a)はその板状部材の取付構造を備えた車両のテールゲートを模式的に示す斜視図、(b)は図5(a)のA5−A5矢視図、(c)は窓用部材と取付部材が熱変形した際の図5(a)のA5−A5矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1〜3を説明する。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、本発明に係る板状部材の取付構造の実施の形態1を模式的に示す図であり、図1(a)はその平面図、図1(b)は図1(a)のA1−A1矢視図である。また、図2は、図1に示す板状部材の取付構造の縦断面図であって、図2(a)は図1(a)に示す板状部材の取付構造のA2−A2矢視図、図2(b)は図1(a)に示す板状部材の取付構造のA3−A3矢視図である。
【0025】
図1(a)で示すように、板状部材1の取付構造10は、線膨張係数の異なる板状部材1と取付部材2から大略構成されており、取付部材2に対し、板状部材1がその中央の所定領域11の周縁12に配される無端状の接着剤3を介して取り付けられている。ここで、取付部材2は開口21を有するとともに、この開口21の周囲にフランジ部22が設けられていて、このフランジ部22と板状部材1の周縁12が接着剤3を介して接着されることで、板状部材1が取付部材2に取り付けられている。
【0026】
なお、図1(b)で示すように、取付部材2のフランジ部22は、取付部材2の表面2aから窪んだ形状を呈していて、板状部材1が取付部材2に取り付けられた際に、板状部材1の表面1aと取付部材2の表面2aが略均一な高さとなるように設計されている。
【0027】
このような板状部材1の取付構造10は、車両の如何なる部位にも適用することができるものの、たとえば板状部材1が窓用部材(ガラス)である場合には、取付部材2は窓用部材を車体に取り付けるための取付部材を構成し、板状部材1の所定領域11と取付部材2の開口21は車両の窓部を構成する。そして、板状部材1の取付構造10が車両の窓部に適用される場合には、たとえば太陽光の照射熱によって板状部材1と取付部材2が熱膨張することとなる。
【0028】
また、たとえば板状部材1の取付構造10が内燃機関のカバーに適用される場合には、内燃機関から放出される熱によって板状部材1と取付部材2が熱膨張することとなる。
【0029】
このように板状部材1と取付部材2が熱膨張すると、上記するように板状部材1と取付部材2の線膨張係数が異なっているため、板状部材1と取付部材2の間に熱膨張量の差が発生し、板状部材1の周縁12と取付部材2のフランジ部22の間の接着剤3に剪断応力が発生する。
【0030】
そこで、実施の形態1の取付構造10においては、板状部材1の周縁12と取付部材2のフランジ部22を接着する無端状の接着剤3が、少なくともその一部に波打ち部31〜34を有し、波打ち部31〜34の接着剤3は、取付部材2のフランジ部22の取付面22aに沿う方向へ波打っている。
【0031】
より具体的には、無端状の接着剤3は、接着剤3を略直線状に塗布した場合に板状部材1の膨張方向X1と接着剤3の塗布方向が直交し得る領域R1〜R4に鋸歯状の波打ち部31〜34を有し、その他の領域については従来構造と同様に略直線状に接着剤3が配置されている。すなわち、図示するように、板状部材1が平面視で略長方形を呈する場合には、板状部材1の各辺の中央の領域R1〜R4で接着剤3が波打ち部31〜34を有しており、板状部材1の各頂点近傍の領域では接着剤3は略直線状に配置されている。
【0032】
このような構成とすることで、接着剤3は、板状部材1の所定領域11の中心部から板状部材1の膨張方向X1へ向かう方向に対して直交しない方向へ配置されることとなり、たとえば図2(b)で示すような略直線状に接着剤3が塗布される領域の接着剤3の塗布幅W2と比較して、図2(a)で示すように、領域R1〜R4において板状部材1の膨張方向X1における接着剤3の幅W1を相対的に大きくすることができる。
【0033】
すなわち、図1(a)で示すように、板状部材1の周縁12において、板状部材1の膨張方向X1と直交する方向Y1に対して角度θだけ傾斜して接着剤3を塗布配置することで、図2(b)で示すような略直線状に接着剤3が塗布される領域の接着剤3の塗布幅W2に対して、板状部材1の膨張方向X1における接着剤3の接着幅W1を大きくすることができるため、板状部材1と取付部材2の接着力を格段に高めることができ、接着剤3の剪断応力を効果的に抑制することができる。
【0034】
なお、領域R1〜R4の大きさは、使用可能な接着剤3の量や接着剤3に発生する剪断応力の大きさに応じて適宜選択することができる。
【0035】
また、図示例では、板状部材1の所定領域11を板状部材1の略中央に配置しているが、たとえば所定領域11を中心から偏った位置に配置し、その所定領域11の周縁12で適宜の取付部材2に接着剤3を介して取り付けてもよい。
【0036】
[実施の形態2]
図3は、本発明に係る板状部材の取付構造の実施の形態2を模式的に示す平面図である。実施の形態2の取付構造10Aは、実施の形態1の取付構造10に対して、板状部材と取付部材の間に介在される接着剤を滑らかな曲線状に配置した点で相違しており、その他の構成はほぼ同様である。したがって、実施の形態1の取付構造10と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0037】
図3で示す板状部材1Aの取付構造10Aは、図1で示す板状部材1の取付構造10の領域R1〜R4において鋸歯状に配置していた波打ち部31〜34の接着剤3に対して、領域R1A〜R4Aにおける波打ち部31A〜34Aの接着剤3Aを曲線状に配置したものである。すなわち、この板状部材1Aの取付構造10Aは、板状部材1Aの所定領域11Aの周縁12Aと取付部材2Aのフランジ部22Aを接着する接着剤3Aを、板状部材1Aの所定領域11Aの周縁12Aの全周で円滑に且つ連続するように配置したものである。
【0038】
このように波打ち部31A〜34Aの接着剤3Aを滑らかな曲線状とすることで、板状部材1Aの所定領域11Aの周縁12Aの領域R1A〜R4Aや領域R1A〜R4Aとそれ以外の領域を接続する部位3Aaにおける接着剤3Aの応力集中を抑制することができる。
【0039】
なお、本実施の形態2についても、上記する実施の形態1と同様、板状部材1Aの周縁12Aの領域R1A〜R4Aにおいて、無端状の接着剤3Aが板状部材1Aの膨張方向X1Aと直交する方向Y1Aに対して角度θAだけ傾斜して塗布配置されることで、板状部材1Aの膨張方向X1Aにおける接着剤3Aの接着幅を相対的に大きくでき、板状部材1Aと取付部材2Aの接着力を高めることができ、板状部材1Aの周縁12Aと取付部材2Aのフランジ部22Aの間に配置された接着剤3Aの剪断応力を効果的に抑制することができる。
【0040】
[実施の形態3]
図4は、本発明に係る板状部材の取付構造の実施の形態3を模式的に示す平面図である。実施の形態3の取付構造10Bは、実施の形態1の取付構造10に対して、板状部材の所定領域の周縁に配される接着剤の全部を波打ち部とした点で相違しており、その他の構成はほぼ同様である。したがって、実施の形態1の取付構造10と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0041】
図4で示すように、平面視で略長方形からなる板状部材1Bの頂点付近へ向かう膨張方向X1Bにおける板状部材1Bの線膨張は、板状部材1Bの各辺に略平行な方向な方向の膨張方向X1Ba、X1Bbの線膨張に分解することができる。
【0042】
すなわち、板状部材1Bの各辺の中央付近の領域R1B〜R4B以外の領域では、板状部材1Bの各辺と略平行な方向における板状部材1Bの膨張量が領域R1B〜R4Bにおける膨張量と比較して相対的に減少するものの、接着剤3Bを板状部材1Bの周縁12Bで略直線状に塗布すると依然として接着剤3Bの塗布方向と直交する方向へ板状部材3Bが膨張することとなる。
【0043】
そこで、本実施の形態3の取付構造10Bにおいては、板状部材1Bの所定領域11Bの周縁12Bに配される接着剤3Bの全部を鋸歯状の波打ち部から構成する。
【0044】
このような構成とすることで、実施の形態1の取付構造10と比較して接着剤3Bの使用量は増加するものの、領域R1B〜R4Bにおいて無端状の接着剤3Bを板状部材1Bの膨張方向X1Bに対して角度θBだけ傾斜して塗布配置することができるとともに、領域R1B〜R4B以外の領域においても板状部材1Bと取付部材2Bの接着力を高めることができ、板状部材1Bの所定領域11Bの周縁12B全体に亘って板状部材1Bと取付部材2Bの間の接着剤3Bの剪断応力を効果的に抑制することができる。
【0045】
なお、実施の形態3の取付構造10Bにおいては、板状部材1Bの所定領域11Bの周縁12Bに配される接着剤3Bの全部を鋸歯状の波打ち部としたが、接着剤3Bの全部を滑らかな曲線状の波打ち部としてもよいし、鋸歯状や滑らかな曲線状の波打ち部を適宜組み合わせて適用してもよい。
【0046】
このように、本発明にかかる板状部材の取付構造は、板状部材と取付部材の線膨張係数が異なる場合であっても、接着剤を板状部材の所定領域の中心部から板状部材の膨張方向へ向かう方向に対して直交しない方向へ配置することによって、板状部材の膨張方向に対する接着剤の塗布幅(接着幅)を確保することができ、板状部材と取付部材の接着力を効果的に高めることができる。このことから、本発明にかかる板状部材の取付構造は、高耐久性や軽量化が要求される近時のハイブリッド車や電気自動車に好適である。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1…板状部材、2…取付部材、3…接着剤、10…取付構造、11…所定領域、12…周縁、21…開口、22…フランジ部、22a…取付面、31〜34…波打ち部、R1〜R4…波打ち部の領域、W1、W2…接着剤の塗布幅(接着幅)、X1…板状部材の膨張方向、Y1…板状部材の膨張方向に直交する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材に対し、板状部材がその周縁に配される無端状の接着剤を介して取り付けられており、前記取付部材と前記板状部材の線膨張係数が異なっている板状部材の取付構造であって、
無端状の前記接着剤は、少なくともその一部に波打ち部を有している板状部材の取付構造。
【請求項2】
前記波打ち部の接着剤は、前記取付部材の取付面に沿う方向へ波打っている請求項1に記載の板状部材の取付構造。
【請求項3】
前記波打ち部は、鋸歯状、滑らかな曲線状の少なくともいずれか一種である請求項1または2に記載の板状部材の取付構造。
【請求項4】
無端状の前記接着剤の全部が前記波打ち部からなる請求項1から3のいずれか一項に記載の板状部材の取付構造。
【請求項5】
前記板状部材は樹脂材料からなる請求項1から4のいずれか一項に記載の板状部材の取付構造。
【請求項6】
前記取付部材は開口を有しており、該開口の周辺に無端状の接着剤を介して前記板状部材が取り付けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の板状部材の取付構造。
【請求項7】
前記板状部材は窓用部材である請求項6に記載の板状部材の取付構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の板状部材の取付構造を備えた車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103532(P2013−103532A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246753(P2011−246753)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)