説明

板状部材貼り合せ装置

【課題】表示装置の表示面と板状部材との貼り合せを行う際に、接着剤における気泡の発生を抑え、かつ、生産性の向上を図るとともに、装置全体をコンパクト化することができる板状部材貼り合せ装置を提供すること。
【解決手段】複数枚のカバーパネルが載置されたカバーパネル載置台41Aが塗布作業領域32に移動し、カバーパネルに対して塗布ロボット5による接着剤の塗布作業が行われる。塗布作業が終わると、カバーパネル載置台41Aが貼り合せ作業領域31に戻り、表示パネル載置台42Aに載置された表示パネルとの貼り合せが行われ、その後、同様にしてカバーパネル載置台41Bに載置された複数枚のカバーパネルに対する接着剤の塗布作業が、塗布作業領域32で行われる。このように、カバーパネル載置台41A,41Bに載置されたカバーパネルに対する塗布作業が交互に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画面と、光透過性を有する板状部材とを、接着剤によって貼り合わせる板状部材貼り合せ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの表示画面を保護するために、透明なカバーパネルを接着剤によって表示画面へ貼り付ける際に、当該接着剤に気泡を生じさせてしまうと、その気泡が視認されて、表示される画像の品質を低下させてしまうことになる。また、通常は視認が困難なごく小さな気泡であっても、バックライト等の光が当たることによって、その気泡が輝点となって目立ってしまい、やはり表示される画像の品質に影響することになる。そこで、従来、カバーパネルと表示画面とを、接着剤によって貼り合せ付ける貼り付け装置においては、接着剤に気泡を生じさせないために様々な工夫がなされてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示されている貼り合せ装置では、2枚のガラス板を接着材によって貼り合せる場合、一方のガラス板を、スピンナー取付治具の中央付近に設けられた支持台に設置する。次に、他方のガラス板の表面に接着剤を塗布した後、当該表面を下方に向け、表面に塗布した接着剤を重力によって垂下させた状態で、支持台に設置した一方のガラス板の上に静かに載せる。そして、他方のガラス板の裏面に汚れ防止板を載せ、その上からゴム製のパットなどでゆっくり押圧することで、双方のガラス板の間にある接着剤を全体に広げた後、スピンナー取付治具をモータなどによって回転させて、ガラス板の間からはみ出し付着した接着剤を振り切る。その後、紫外線を照射して接着剤を硬化させる。上記の貼り合せ装置では、2枚のガラス板を貼り合せる際、他方のガラス板に塗布した接着剤を重力によって垂下させることで、接着剤を三角錐状に形成してから一方のガラス板と貼り合せるため、接着剤の表面と一方のガラス板の表面との接触面積が小さくなり、貼り合せ時に、接着剤の気泡の巻き込みを少なくすることができる。
【0004】
また、特許文献2に開示されている貼り合せ装置では、液晶パネルの透明基板(以下、基板という)と、反射防止板または防塵板(以下、板状部材という)とを貼り合せる場合、基台上に配置された基板の中央部に、定量吐出機によって定量の接着剤を吐出する。そして、ハンドリングロボットにより、保持部材に吸着保持された板状部材を、基板上の接着剤に向けて下降させ、板状部材が接着剤に接触する直前で降下速度を落とし、接触時の衝撃により接着剤に気泡が生じるのを防止している。さらに接着剤との接触後は、板状部材の降下速度を周期的に増減させつつ、基板との間隔を縮小させ、これに伴って板状部材と基板との間に接着剤が完全に充填されていき、所定の間隔になると、板状部材を保持部材から解放する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−295677号公報
【特許文献2】特開2000−191985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示されている貼り合せ装置では、2枚のガラス板を貼り合せる際、人手によって逐一、他方のガラス板の接着剤の塗布面を下に向けて、一方のガラス板に重ねる必要があるため、短時間で多数の貼り合せ作業を行うのは困難であった。また、他方のガラス板を一方のガラス板に重ねる作業も人手によるため、垂下した接着剤が一方のガラス板と接触する際に、その衝撃によって接着剤が空気を巻き込んでしまう可能性がある。また、特許文献2に開示されている貼り合せ装置においては、基台に載置した基板の上面中央部に接着剤を配置するため、接着剤の粘性や表面張力によっては、接着剤の配置直後に接着剤が広がっていき、板状部材との接触面積が大きくなって、貼り合せを行う際に、接着剤が空気を巻き込んでしまう可能性が高くなる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、表示装置の表示面と板状部材との貼り合せを行う際に、接着剤における気泡の発生を抑え、かつ、生産性の向上を図るとともに、装置全体をコンパクト化することができる板状部材貼り合せ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、表示パネルの表示面と、光透過性を有する板状部材とを、接着剤により貼り合せる板状部材貼り合せ装置であって、前記板状部材と前記表示パネルとを、貼り合せる作業が行われる貼り合せ作業領域と、前記貼り合せ作業領域に隣接して設けられ、前記板状部材に対する前記接着剤の塗布作業が行われる塗布作業領域とを有し、前記貼り合せ作業領域には、複数の前記板状部材が載置される部材載置板を有する部材載置台と、複数の前記表示パネルが載置されるパネル載置板を有するパネル載置台と、前記部材載置台を前記塗布作業領域へ移動させ、前記塗布作業が終了すると再び前記貼り合せ作業領域へ移動させる移動手段と、前記部材載置台に載置された前記複数の板状部材の各々における前記接着剤の塗布面を下方に向けた状態で、前記パネル載置板に載置された前記複数の表示パネルの各々に対応して正対させる正対手段と、前記正対手段によって、前記複数の板状部材および前記複数の表示パネルが各々正対した状態で、前記複数の表示パネルと、前記複数の板状部材に塗布された前記接着剤とを接近させる接近手段と、前記正対手段により前記接着剤の塗布面が下方に向いた状態になっても前記複数の板状部材を前記パネル載置台に保持させ、前記接近手段により前記複数のパネルとの間隔が前記所定の間隔になると、該保持を解除する保持手段とを有する重ね合せ装置を複数備え、前記塗布作業領域には、前記部材載置面に載置された前記複数の板状部材の各々に対して、前記接着剤を塗布する1つの塗布手段を備え、前記複数の重ね合せ装置のうち、いずれか1つにおいて、該重ね合せ装置が前記移動手段によって前記塗布作業領域から前記貼り合せ領域へ戻った後、予め定められた順序に従って、次の前記重ね合せ装置の前記移動手段により、該重ね合せ装置の部材載置台を前記塗布作業領域に移動させて、前記塗布手段に前記塗布作業を行わせる制御手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る板状部材貼り合せ装置では、複数の板状部材と複数の表示パネルとの貼り合せ作業が行われる貼り合せ作業領域に隣接して、複数の板状部材に接着剤の塗布作業を行う塗布作業領域が設けられており、貼り合せ作業領域には、接着剤が塗布された複数の板状部材と、表示パネルとを貼り合せる重ね合せ装置が複数設けられ、塗布作業領域には、複数の板状部材に接着剤を塗布する塗布手段が設けられている。そして、各重ね合せ装置は、部材載置台、パネル載置台、移動手段、正対手段、接近手段、および、保持手段を有しており、移動手段により部材載置台を塗布作業領域へ移動させて、塗布手段により、部材載置台の部材載置板に載置された複数の板状部材に接着剤が塗布された後、部材載置台が移動手段により再び貼り合せ作業領域に戻されて、表示パネルとの重ね合せが行われる。この重ね合せは、正対手段により、複数の板状部材が、各々接着剤の塗布面が下方に向けられた状態で、パネル載置台のパネル載置板に載置された複数の表示パネルの各々と正対し、接近手段によって、複数の表示パネルの各々と、対応する板状部材とが接近した状態で、保持手段によって部材載置板に保持されていた各板状部材を解放することにより行われる。ここで、表示パネルと板状部材とを接近させる方法としては、表示パネル側を板状部材に接近させても良いし、板状部材側を表示パネルに接近させても良いし、両者を移動させて接近させても良い。このように、板状部材における接着剤の塗布面を下方に向け、接着剤が垂れ下がった状態で、かつ、表示パネルを接着剤に接近させた上で重ね合せが行われるため、表示パネルと接着剤との接触面積を小さくし、かつ、両者の接触時における衝撃を少なくすることができるため、接着剤が空気を取り込んでしまうおそれを少なくすることができる。
【0010】
また、複数の重ね合せ装置と、1つの塗布手段による貼り合せ作業を制御する制御手段は、いずれか1つの重ね合せ装置において、接着剤が塗布された板状部材の保持が解放されて、表示パネルとの重ね合せが行われた後、予め定められた順序に従って、次の重ね合せ装置の部材載置台を塗布作業領域に移動させて、塗布手段による前記塗布作業を開始する。このため、上記次の重ね合せ装置の部材載置台に載置された板状部材に対して接着剤の塗布作業が行われている間に、貼り合せ作業が終了したパネル載置台の取り出しおよび次の貼り合せ作業を行うための新たなパネル載置台の設置を行うことができるため、貼り合せ作業の効率化を図ることができる。また、このパネル載置台の交換作業は、常に貼り合せ作業領域で行われるため、作業者の作業手順を単純化することができ、作業ミスを起こりにくくすることができる。
【0011】
また、本発明は、上述した板状部材貼り合せ装置において、前記部材載置板および前記パネル載置板は、各々矩形平板の形状を有し、前記板状部材および表示パネルの載置面を各々上方に向けた状態で、互いに平行となるように、前記部材載置台および前記パネル載置台に設けられ、前記正対手段は、前記部材載置板および前記パネル載置板の長手方向の間に設けられた軸を中心として、前記部材載置板を、前記パネル載置板とのなす角度が狭くなる方向へ回動させることで、前記部材載置台に載置された前記複数の板状部材の各々と、前記パネル載置台に載置された前記複数の表示パネルの各々とを正対させる回動手段を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る板状部材貼り合せ装置においては、1つの軸を中心として、部材載置板を回動させることで、各板状部材を各表示パネルに正対させるため、両者を正対させるための構造を簡略化することができ、コストを低減し、メンテナンスを容易にすることができる。
【0013】
また、本発明は、上述したいずれかの板状部材貼り合せ装置において、前記接近手段は、前記パネル載置板を水平方向に対して垂直に昇降させる昇降手段を有することを特徴とする。これにより、簡単な構造により、パネル載置板上の各表示パネルを、板状部材に塗布された接着剤に接近させることができる。特に上述した水平軸および回動手段を備える板状部材貼り合せ装置では、板状部材と表示パネルとの正対と、両者の接近とが、部材載置台と、パネル載置台とで分散して行われるため、構造の複雑化を避けることができる。
【0014】
また、本発明は、上述したいずれかの板状部材貼り合せ装置において、前記移動手段は、前記複数の部材載置台を、前記部材載置板の長手方向と平行する方向に沿って前記塗布領域へ水平移動させ、前記複数の重ね合せ装置は、前記移動手段による前記部材載置台の移動方向に直行する方向に整列した状態で前記貼り合せ作業領域に設置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る板状部材貼り合せ装置においては、貼り合せ作業領域において、複数の重ね合せ装置が、各々の部材載置台の移動方向に直行する方向に並べて設置されるため、貼り合せ作業領域の大きさを必要最小限にすることができ、板状部材貼り合せ装置のコンパクト化を図ることができる。
【0016】
また、本発明は、上述したいずれかの板状部材貼り合せ装置において、前記板状部材および前記表示パネルの形状は矩形であって、前記部材載置板の、前記複数の板状部材の各載置位置において、該各板状部材の少なくとも1つの角の位置を規定する角部位置決め部材を設け、前記パネル載置板の、前記複数の表示パネルの各載置位置において、該各表示パネルの、少なくとも3つの辺の位置を各々規定する辺部位置決め部材を設け、前記角部位置決め部材および前記辺部位置決め部材は、前記正対手段によって前記複数の板状部材および表示パネルが各々正対したときに、平面方向において互いに重ならない位置に設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る板状部材貼り合せ装置においては、角部位置決め部材および辺部位置決め部材により、作業者の手作業により、部材載置板およびパネル載置板に板状部材および表示パネルを各々載置する場合でも、所定の位置に正確に載置することができる。また、角部位置決め部材および辺部位置決め部材は、板状部材と表示パネルとが正対したときに、平面方向において互いに重ならない位置に設けられているため、両者をより接近させることができ、例えば、板状部材に塗布する接着剤が少量であるために、接近手段が、より狭い間隔で板状部材と表示パネルと接近させる必要がある場合であっても、角部位置決め部材および辺部位置決め部材の存在によって妨げられることがない。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の板状部材貼り合せ装置によれば、表示装置の表示面と板状部材との貼り合せを行う際に、接着剤における気泡の発生を抑え、かつ、生産性の向上を図るとともに、装置全体をコンパクト化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る板状部材貼り合せ装置1の外観を示す正面図、図2は、図1の正面図におけるA−A断面を示す平面図、図3は、図1の正面図において、矢印Bの方向から見た側面図である。これらの図に示すように、板状部材貼り合せ装置1は、基台部2と、作業領域部3とに区画されており、作業領域部3は、さらに、破線BLにより、貼り合せ作業領域31と、塗布作業領域32とに区画されている。すなわち、貼り合せ作業領域31に隣接して塗布作業領域32が設けられている。貼り合せ作業領域31には、透明の板状部材であるカバーパネル(板状部材に相当する)を、LCD(液晶表示装置)などの表示パネルに重ね合わせるための、重ね合せ装置4が2台設置されている(図2および図3参照)。ここで、図3中、右側の重ね合わせ装置を第1の重ね合わせ装置4A、左側の重ね合わせ装置を第2の重ね合わせ装置4Bとし、以下、第1の重ね合せ装置4Aを構成する各部の符号の末尾には「A」の文字を付し、第2の重ね合せ装置4Bを構成する各部の符号の末尾には「B」の文字を付すものとする。
【0020】
第1および第2の重ね合せ装置4A,4Bは、主に、4枚のカバーパネルが載置されるカバーパネル載置台41A,41Bと、4枚の表示パネルが載置される表示パネル載置台42A,42Bとで構成され、カバーパネル載置台41A,41Bは、それぞれレール43A,43Bおよびガイドレール44A,44Bに沿って、貼り合せ作業領域31と、塗布作業領域32と間を水平移動する。また、図2に示すように、第1および第2の重ね合せ装置4A,4Bは、カバーパネル載置台41A,41Bおよび表示パネル載置台42A,42Bの、各短手方向の辺が、カバーパネル載置台41A,41Bの移動方向に対して直交する方向に一直線上に整列するように、貼り合せ作業領域31に設置されている。
【0021】
塗布作業領域32には、上記カバーパネルに接着剤を塗布するための塗布ロボット5が1台設置されている。塗布ロボット5は、予め定められた制御データに従って、塗布作業領域32内において、x軸スライダ52x、y軸スライダ52y、および、z軸スライダ52zによって固定板51を移動させる。ここで、z軸スライダ52zは、内蔵するモータによって、固定板51を図1および図3において上下方向に移動させる。また、x軸スライダ52xは、内蔵するモータによって、z軸スライダ52zを図1および図2において左右方向に移動させる。さらに、y軸スライダ52yは、内蔵するモータによって、図3において左右方向(図2においては上下方向)へ移動させる。固定板51には、各々接着剤が充填されたディスペンサヘッド53a,53b,53c,53dが固定されており、各ディスペンサヘッドは、対応するディスペンサコントローラ54a,54b,54c,54dから供給される空気圧によって、その先端から接着剤を吐出し、カバーパネル載置台41A,41Bに載置されている各カバーパネルへ接着剤を塗布する。
【0022】
さらに、板状部材貼り合せ装置1の正面には、作業者が当該板状部材貼り合せ装置1を操作するための左側操作部6Lと、右側操作部6Rとが設けられている。左側操作部6Lには、5つの押しスイッチスイッチが設けられており、右側操作部6Rには、2つの押しスイッチスイッチおよび4つの表示器が設けられているが、これらの内容については後に図面を参照して説明する。
【0023】
次に、重ね合せ装置4の概略構成について、図4および図5を参照して説明する。ここで、図4は、重ね合せ装置4の構成および可動部分についての説明するための模式図であり、図5は、重ね合せ装置4の各載置板の表面構造を説明するための説明図である。また、先に述べたように、板状貼り合せ装置1は、第1の重ね合せ装置4aと、第2の重ね合せ装置4bとを備えているが、双方とも同じ構成になっているため、1つの重ね合せ装置4の構成について説明する。よって、図4および図5において、各部の符号に対して「A」または「B」の文字を付与していない。また、図4では、図1に示したガイドレール44の図示を省略している。
【0024】
重ね合せ装置4のカバーパネル載置台41は、主に、4枚のカバーパネルが載置される矩形のカバーパネル載置板411と、カバーパネル載置板411をカバーパネル載置板吸着用真空ポンプ(図示略)によって着脱自在に吸着保持する回動ステージ412と、カバーパネル載置板411の長手方向に平行して設けられた水平軸413と、これらの土台となるカバーパネル基台部414から構成される。カバーパネル基台部414の内部には、水平軸413を中心として、カバーパネル載置板411が吸着保持された回動ステージ412を、図4(a)中、矢印アの方向へ、破線で示す位置(以下、対向位置という)まで回動させる回動モータ(図示略)が設けられている。この回動モータの駆動力は、たとえばプーリーおよびベルトなどからなる伝達機構415によって水平軸413に伝達される。また、カバーパネル載置板411が図4(a)中、破線で示す位置にあるとき、カバーパネル載置板411の表面と、表示パネル載置板421の表面とは、ともに水平になっている。カバーパネル基台部414の内部には、カバーパネル載置台41をレール43に沿って水平(図4(a)中、矢印イの方向)に移動させる移動モータが設けられている。これにより、カバーパネル載置台41は、図1に示した貼り合せ作業領域31(パネル載置台41Aについて実線で示す位置)と、塗布作業領域32(パネル載置台41Aについて破線で示す位置)との間の往復移動が可能となる。
【0025】
表示パネル載置台42は、主に、4枚の表示パネルが載置される、矩形の表示パネル載置板421と、表示パネル載置板421を表示パネル載置板吸着用真空ポンプ(図示略)によって着脱自在に吸着保持する昇降ステージ422と、これらの構成の土台となる表示パネル基台部423により構成される。表示パネル基台部423は、図1に示した基台部2の上部に固定されており、その内部には、昇降ステージ422を垂直方向(矢印ウの方向)に昇降させる昇降モータが設けられている。そして、この昇降モータを駆動することにより、表示パネル載置板421が吸着保持された昇降ステージ422を、図4(b)中、実線と破線との間で垂直方向に上下動させることが可能となる。
【0026】
次に図5を参照して、カバーパネル載置板411および表示パネル載置板421の表面構成について説明する。カバーパネル載置板411および表示パネル載置板421は、いずれも金属板によって構成されており、各載置板の軽量化を図るため、図5に示すように、多数の貫通孔Hが穿設されている。また、各載置板には、作業者が、カバーパネルと表示パネルとを、所定の位置に、正確かつ容易に載置できるようにするために位置決め部材が、各々取り付けられている。ここで、所定の位置とは、カバーパネル載置板411が図4(a)に示す対向位置まで回動したときに、平面方向(x軸スライダ52xおよびy軸スライダ52yの各移動方向)において、表示パネルに対するカバーパネルの位置が、予め定められた貼り合せ位置となるような位置をいう。たとえば、図5に示す、カバーパネル位置決め部材416a、416b、および、表示パネル位置決め部材424a、424b、424c、424dは、カバーパネルCPと、表示パネルLPとが、互いに同寸の矩形形状を有している場合において、カバーパネル載置板411が図4(a)に示す対向位置まで回動したときに、各々対応するカバーパネルCPと、表示パネルDPとの、平面方向における位置が完全に一致するように設けられている。
【0027】
カバーパネル位置決め部材416aおよび416bは、矩形の金属板からなり、カバーパネルCPの一角において、互いの長手方向の辺が直交する向きで、接着剤または粘着テープなどにより、カバーパネル載置板411に固定されている。これにより、作業者は、カバーパネルCPの一角における長手方向の辺と、短手方向の辺が、それぞれカバーパネル位置決め部材416a、および、416bと接するように、カバーパネル載置板411に載置することで、カバーパネルCPを上述した所定の位置に載置することができる。
【0028】
一方、表示パネル位置決め部材424a、424b、424c、424dは、略正方形の一角を欠いた五角形の金属板からなり、この金属板に穿設された2つの長穴を通してネジにより表示パネル載置板421に取り付けられる。これにより、金属板に穿設された長穴の範囲内で、表示パネルDPの載置位置を微調整することができる。また、位置決め部材424a、424cは、各々、表示パネルDPにおける長手方向の辺と接するように、位置決め部材424b、424dは、各々、表示パネルDPにおける短手方向の辺と接するように、表示パネル載置板421に取り付けられている。さらに、位置決め部材424bは、位置決め部材424aに接近させて取り付けられ、位置決め部材424dは、位置決め部材424cに接近させて、取り付けられている。これにより、位置決め部材424bと424cの間隔が広がり、カバーパネル載置板411が対向位置に回動したときに、平面方向において、カバーパネル位置決め部材416aおよび416bと、表示パネル位置決め部材424bおよび424cとが重なるのを避けることができるため、前述した昇降モータによって、双方の載置板をより接近させることができる。
【0029】
なお、表示パネル位置決め部材424a、424b、424c、424dは、表示パネルの4辺の位置を規定するものであるが、3つの表示パネル位置決め部材を用いて、表示パネルの3辺の位置を規定するものであってもよい。
【0030】
また、カバーパネル載置板411の表面には、カバーパネルCPの各載置位置において、後述するカバーパネル吸着用真空ポンプによって負圧を発生させ、カバーパネルCPをカバーパネル載置板411に吸着させるための負圧発生孔417が穿設され、さらに、この負圧発生領域を拡張するための溝418が形成されている。同様に、表示パネル載置板421の表面においても、表示パネルDPの各載置位置において、後述する表示パネル吸着用真空ポンプによって、表示パネルDPを表示パネル載置板421に吸着させるための負圧発生孔425および溝426が形成されている。なお、上述したカバーパネル吸着用真空ポンプは、図4に示したカバーパネル基台部414の内部に設けられ、表示パネル吸着用真空ポンプは、図4に示した表示パネル基台部423の内部に設けられている。さらに、表示パネル載置板421の長手方向端部、かつ、短手方向の略中央には、昇降ステージ422の表面から突出するガイドピンPによって貫通される位置決め穴427aおよび427bが穿設されている。同様に、カバーパネル載置板411の長手方向端部、かつ、短手方向の略中央にも、回動ステージ412の表面から突出するガイドピンP(図示略)によって貫通される位置決め穴419aおよび419bが穿設されている。
【0031】
次に、図6を参照して、図1〜図3に示した左側操作部6Lおよび右側操作部6Rに各々設けられているスイッチ類について説明する。まず、左側操作部6Lには、図6(a)に示すように、同図中、左から順に、左スタートスイッチ61L、パネル1真空スイッチ62A、ガラス1真空スイッチ63A、パネル2真空スイッチ62B、ガラス2真空スイッチ63Bが設けられている。左スタートスイッチ61Lは、後述する右スタートスイッチ61Rと同時に操作することによって、板状部材貼り合せ装置1における、カバーパネルと表示パネルとの貼り合せ作業を開始させるためのスイッチである。パネル1真空スイッチ62Aは、第1の重ね合せ装置4Aにおいて、表示パネル載置板421Aを、昇降ステージ422Aへ吸着保持させるためのスイッチである。このスイッチが操作されると、第1示パネル載置板吸着用真空ポンプ(図示略)が作動して、表示パネル載置板421Aが昇降ステージ422Aに吸着保持され、この状態で再度操作されると、当該真空ポンプの作動が停止して吸着保持が解除される。ガラス1真空スイッチ63Aは、第1の重ね合せ装置4Aにおいて、カバーパネル載置板411Aを、回動ステージ412Aに吸着保持させるためのスイッチである。このスイッチが操作されると、第1カバーパネル載置板吸着用真空ポンプ(図示略)が作動して、カバーパネル載置板411Aが回動ステージ412Aに吸着保持され、この状態で再度操作されると、当該真空ポンプの作動が停止して吸着保持が解除される。
【0032】
パネル2真空スイッチ62Bは、第2の重ね合せ装置4Bにおいて、表示パネル載置板421Bを、昇降ステージ422Bへ吸着保持させるためのスイッチである。このスイッチが操作されると、第2表示パネル載置板吸着用真空ポンプ(図示略)が作動して、表示パネル載置板421Bが昇降ステージ422Bに吸着保持され、この状態で再度操作されると、当該真空ポンプの作動が停止して吸着保持が解除される。ガラス2真空スイッチ63Bは、第2の重ね合せ装置4Bにおいて、カバーパネル載置板411Aを、回動ステージ412Aに吸着保持させるためのスイッチである。このスイッチが操作されると、第2カバーパネル載置板吸着用真空ポンプ(図示略)が作動して、カバーパネル載置板411Aが回動ステージ412Aに吸着保持され、この状態で再度操作されると、当該真空ポンプの作動が停止して吸着保持が解除される。
【0033】
次に右側操作部6Rには、図6(b)に示すように、同図中、左から順に、右スタートスイッチ61R、停止スイッチ64、パネル1真空圧力表示器65A、ガラス1真空圧力表示器66A、パネル2真空圧力表示器65B、ガラス2真空圧力表示器66Bが設けられている。右スタートスイッチ61Rは、上述した左スタートスイッチ61Lと同時に操作することによって、板状部材貼り合せ装置1における、カバーパネルと表示パネルとの貼り合せ作業を開始させるためのスイッチである。停止スイッチ64は、板状部材貼り合せ装置1における貼り合せ作業中に、その作動を強制的に停止させるためのスイッチである。
【0034】
パネル1真空圧力表示器65Aは、第1の重ね合せ装置4Aにおいて、表示パネル載置板421Aが、昇降ステージ422Aに吸着保持されているときに、その真空圧力を数値で表示する。ガラス1真空圧力表示器66Aは、第1の重ね合せ装置4Aにおいて、カバーパネル載置板411Aが、回動ステージ412Aに吸着保持されているときに、その真空圧力を数値で表示する。パネル2真空圧力表示器65Bは、第2の重ね合せ装置4Bにおいて、表示パネル載置板421Bが、昇降ステージ422Bに吸着保持されているときに、その真空圧力を数値で表示する。ガラス2真空圧力表示器66Bは、第2の重ね合せ装置4Bにおいて、カバーパネル載置板411Bが、回動ステージ412Bに吸着保持されているときに、その真空圧力を数値で表示する。
【0035】
次に、上述した重ね合せ装置4a,4bの各種モータ、および、塗布ロボット5などの制御を行う制御部100の構成について、図7に示すブロック図を参照して説明する。なお、図7において、図1〜図6で示した各部と同じものについては、同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0036】
制御部100は、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)を有し、CPUにより、ROMに記憶された貼り合せ作業制御プログラム、塗布ロボット制御データAおよび塗布ロボット制御データBに基づいて後述する各種モータおよび真空ポンプを制御し、板状部材貼り合せ装置1において行われる貼り合せ作業を実行する。ここで、塗布ロボット制御データAは、第1の重ね合せ装置4Aのカバーパネル載置板411Aに載置されたカバーパネルに対して接着剤の塗布作業を行う際の、ディスペンサヘッド53a,53b,53c,53dについての移動経路および、その移動過程における接着剤の吐出量などを示すデータである。また、塗布ロボット制御データBは、塗布ロボット制御データAと同様のデータであるが、当該データは、第2の重ね合せ装置4Bのカバーパネル載置板411Bに載置されたカバーパネルに対して接着剤の塗布作業を行うためのものである。CPUは、これらの制御データに従って、x軸スライダ52x、y軸スライダ52y、z軸スライダ52zの駆動制御、および、ディスペンサコントローラ54a〜54dから各々対応する各ディスペンサベットに対して付与する空気圧の制御を行う。
【0037】
第1モータ駆動回路110Aは、制御部100から出力される制御信号に従って、第1の重ね合せ装置4Aに設けられている第1回動モータ131A、第1移動モータ132A、第1昇降モータ133Aを駆動する。第1回動モータ131Aおよび第1移動モータ132Aは、第1の重ね合せ装置4Aのカバーパネル基台部414Aの内部に設けられており、第1回動モータ131Aは、第1の重ね合せ装置4Aのカバーパネル載置板411Aおよび回動ステージ412Aを回動させ、第1移動モータ132Aは、カバーパネル載置台41Aをレール43Aに沿って水平移動させる(図4(a)参照)。また、第1昇降モータ133Aは、表示パネル基台部423Aの内部に設けられ、表示パネル載置板421Aおよび昇降ステージ422Aを回動させる(図4(b)参照)。
【0038】
カバーパネル吸着用第1真空ポンプ134Aは、カバーパネル基台部414Aの内部に設けられ、制御部100から出力される制御信号に従って作動し、第1の重ね合せ装置4Aのカバーパネル載置板411Aに載置された各カバーパネルを吸着保持し、または、吸着保持を解除する。表示パネル吸着用第1真空ポンプ135Aは、表示パネル基台部423Aの内部に設けられ、制御部100から出力される制御信号に従って作動し、第1の重ね合せ装置4Aの表示パネル載置板421Aに載置された各表示パネルを吸着保持し、または、吸着保持を解除する。
【0039】
第2モータ駆動回路110B、第2回動モータ131B、第2移動モータ132B、第2昇降モータ133B、カバーパネル吸着用第2真空ポンプ134B、および、表示パネル吸着用第2真空ポンプ135Bは、いずれも第2の重ね合せ装置4Bに対するものであり、その内容は、各々、第1モータ駆動回路110A、第1回動モータ131A、第1移動モータ132A、第1昇降モータ133A、カバーパネル吸着用第1真空ポンプ134A、および、表示パネル吸着用第1真空ポンプ135Aと同様である。よって、説明の重複を避けるため詳しい説明を省略する。
【0040】
塗布ロボット駆動回路120は、制御部100からの制御信号に従って、塗布ロボット5のx軸スライダ52x、y軸スライダ52y、および、z軸スライダ52zが、各々内蔵しているモータを駆動して、ディスペンサヘッド53a,53b,53c,53dを移動させる。また、塗布ロボット駆動回路120は、制御部100からの制御信号に従って、接着剤を吐出すべき位置で、ディスペンサヘッド53a,53b,53c,53dに所定量の接着剤を吐出させるためのコマンドを、各ディスペンサコントローラ54a,54b,54c,54dに対して出力する。
【0041】
なお、上述した制御部100、第1モータ駆動回路110A、および、第2モータ駆動回路110Bは、図1に示した基台部2の内部に設置されている。
【0042】
次に、図8に示すフローチャートを参照して、貼り合せ装置1によって貼り合せ作業を行う際の、制御部100による装置各部に対する制御の流れについて説明する。なお、制御部100による貼り合せ作業の制御が開始される前に、カバーパネル載置板411Aおよび表示パネル載置板421Aは、各々、回動ステージ412Aおよび昇降ステージ422Aに吸着保持されているものとする。また、カバーパネル載置板411Aおよび表示パネル載置板421Aには、各々所定の位置に4枚ずつ、カバーパネルと表示パネルとが載置されているものとする。
【0043】
まず、制御部100は、左スタートスイッチ61Lおよび右スタートスイッチ61Rが、ともにオンになっているか否かを判断する(ステップS1)。左スタートスイッチ61Lおよび右スタートスイッチ61Rが、ともにオンになっていない場合(NO)は、再度ステップS1の判断を行い、以下、左スタートスイッチ61Lおよび右スタートスイッチ61Rが、ともにオンになるまで待機状態となる。そして、左スタートスイッチ61Lおよび右スタートスイッチ61Rがともにオンになると(YES)、制御部100は、まず、カバーパネル吸着用第1真空ポンプ134Aおよび表示パネル吸着用第1真空ポンプ135Aを作動させる(ステップS2)。これにより、カバーパネル載置板411Aに載置された各カバーパネルと、表示パネル載置板421Aに載置された各表示パネルは、各々の載置板に吸着保持される。
【0044】
次に制御部100は、第1モータ駆動回路110Aを介して、第1移動モータ132Aを駆動し、カバーパネル載置台41Aを貼り合せ作業領域31から塗布作業領域32へ移動させる(ステップS3)。そして、カバーパネル載置台41Aが、塗布作業領域32内の所定位置に到達すると、制御部100は、塗布ロボット制御データAに基づいて、塗布ロボット5の各軸のスライダ52x,52y,52z、および、ディスペンサコントローラ54a〜54dを制御し、カバーパネル載置台41Aに載置された各カバーパネルに対して、ディスペンサヘッド53a,53b,53c,53dによる接着剤の塗布作業を行う(ステップS4)。
【0045】
ここで、図9を参照して、上述したステップS4の処理により、カバーパネルCPに対して行われる接着剤の塗布作業の内容について説明する。図9は、カバーパネル載置板411に吸着保持されているカバーパネルCPを、上方から見下ろした状態を図示しており、同図中、矢印の方向が板状部材貼り合せ装置1の正面になっている。塗布ロボット5による接着剤の塗布作業は、カバーパネルCPの表面において、予め定められた13ヶ所(ad1〜ad13)に、各々予め定められた量の接着剤を、所定の順序で吐出していくものである。この図において、接着剤の各吐出位置に示す円の大きさは、接着剤の吐出量を表しており、カバーパネルCPの短手方向における中心線上に吐出される3つの吐出位置(ad1,ad4,ad10)が最も多い。次いで、吐出位置ad4およびad10の中心とカバーパネルCPの各角を結ぶ線上に位置する4つの吐出位置ad3,ad5,ad9,ad11、および、カバーパネルCPの長手方向における中心線上の2つの吐出位置ad7,ad13の計6ヶ所が多く、カバーパネルCPの四隅に最も近い4ヶ所(ad2,ad6,ad8,ad12)が最も少ない量になっている。また、同図中、符号adに付与された数字の若い順に接着剤が吐出されていく。すなわち、塗布ロボット5は、まず、ad1の位置に接着剤を吐出し、次いでad2、ad3、……と順次吐出していき、最後にad13の位置に接着剤を吐出すると、ディスペンサヘッド53a,53b,53c,53dを初期位置(図1〜3に示す位置)に待避させる。
【0046】
なお、前述したステップS3の処理により、第1のカバーパネル載置台41Aが塗布作業領域32へ移動し、ステップS4の処理によって接着剤の塗布作業が行われている間に、作業者によって、第2の重ね合せ装置4Bの回動ステージ412Bおよび昇降ステージ422Bに、各々、カバーパネル載置板411Bと表示パネル載置板421Bとがセットされる。さらに、カバーパネル載置板411Bおよび表示パネル載置板421Bには、各々所定の位置に4枚ずつ、カバーパネルと表示パネルとが載置される。
【0047】
そして、ステップS4の処理による塗布作業が終了すると、制御部100は、第1モータ駆動回路110Aを介して、第1移動モータ132Aを駆動し、カバーパネル載置台41Aを貼り合せ作業領域31へ移動させる(ステップS5)。次に制御部100は、第1モータ駆動回路110Aを介して、第1回動モータ131Aを駆動し、カバーパネル載置板411Aを図4(a)の矢印アの方向に回動させる。そして、カバーパネル載置板411Aを図4(a)の破線で示す位置まで回動させると第1回動モータ131Aの駆動を停止し、カバーパネル載置板411Aに吸着保持されている各カバーパネルを、表示パネル載置板421Aに吸着保持された、対応する各表示パネルに正対させる(ステップS6)。
【0048】
次に制御部100は、第1モータ駆動回路110Aを介して、第1昇降モータ133Aを駆動し、昇降ステージ422Aおよび表示パネル載置板421Aを、高さh1に達するまで上昇させる(ステップS7)。そして、表示パネル載置板421Aが高さh1に達すると、制御部100は、昇降ステージ422Aの上昇速度を減速し、減速後の上昇速度で表示パネル載置板421Aが高さh2に達すると、制御部100は、第1昇降モータ133Aの駆動を停止する(ステップS8)。
【0049】
ここで、上述した高さh1およびh2について、図10を参照して説明する。図10は、カバーパネル載置板411Aに吸着保持されているカバーパネルCPと、表示パネル載置板421Aに吸着保持されている表示パネルDPとが正対している状態を、板状部材貼り合せ装置1の正面から見た図である。なお、この図において、実線で示す表示パネルDPおよび表示パネル載置板421Aの位置は、昇降ステージ422Aが上昇を開始する前の初期位置を示している。このとき、カバーパネルCPに塗布された接着剤は、重力によって各々垂れ下った状態になっており、その高さは、各吐出位置に塗布された接着剤のうち、最も量が多いad1,ad4,ad10に塗布された接着剤が最も高く、最も量が少ないad2,ad6,ad8,ad12に塗布された接着剤が最も低くなる。
【0050】
高さh1は、表示パネル載置板421Aが初期位置にあるときを基準として、表示パネルDPが、ad1,ad4,ad10に塗布された接着剤の先端に接することとなる表示パネル載置板421Aの高さである。また、高さh2は、表示パネルDPが、ad2,ad6,ad8,ad12に塗布された接着剤の先端に接することとなる表示パネル載置板421Aの高さである。なお、具体的な高さh1およびh2は、基本的には接着剤の特性(たとえば、粘性や表面張力など)によって定まるため、実際に何回か試験を行って、実測により定められる。また、各吐出位置における接着剤の吐出量のばらつきや周囲温度による影響などを考慮して、高さh1およびh2は、表示パネルDPが接着剤の先端に接することとなる高さよりも、若干低めに設定するとよい。このように、各カバーパネルの表面に塗布された接着剤が垂れ下がった状態で、各表示パネルと重ね合せるため、表示パネルと接触する際の接着剤の面積をできるだけ小さくすることができ、接触時に接着剤が空気を取り込んでしまうおそれを少なくすることができる。
【0051】
表示パネル載置板421Aの高さがh2に達すると、次に制御部100は、カバーパネル吸着用第1真空ポンプ134Aの作動を停止させる(ステップS9)。これにより、カバーパネル載置板411Aに吸着保持されていた各カバーパネルは解放されることとなり、表示パネルとカバーパネルとの間で接着剤が自重により濡れ広がっていく。そして、制御部100は、第1モータ駆動回路110Aを介して、第1昇降モータ133Aを駆動し、表示パネル載置板421Aおよび昇降ステージ422Aを、図10において実線で示す初期位置まで下降させる(ステップS10)。次いで、制御部100は、第1モータ駆動回路110Aを介して、第1回動モータ131Aを駆動し、カバーパネル載置板411Aおよび回動ステージ412Aを、図4(a)において実線で示す初期位置まで回動させる(ステップS11)。
【0052】
ステップS11の処理により、第1の重ね合せ装置4Aにおける表示パネルとカバーパネルとの貼り合せ作業が完了すると、次に制御部100は、ステップS12〜S21の処理を行い、第2の重ね合せ装置4Bにおける貼り合せ作業の制御を開始する。一方、作業者は、パネル1真空スイッチ62Aを操作して、第1の重ね合せ装置4Aの昇降ステージ422Aに吸着保持された表示パネル載置板421Aを解除する。このとき、表示パネル載置板421A上の各カバーパネルおよび表示パネルの間における接着剤は、パネル全域に濡れ広がっていない状態であってもよい。そして、貼り合わされた表示パネルとカバーパネルを載置させた状態で、表示パネル載置板421Aを取り外し、次の貼り合せ作業を行うための他の表示パネル載置板421Aをセットする。なお、ステップS12〜S21の処理は、ステップS2〜S11に示した第1の重ね合せ装置4Aの各部に対する制御を、第2の重ね合せ装置4Bの対応する各部に対して行うためものであるため、簡単にその概略を説明する。
【0053】
制御部100は、ステップS3およびS4の処理により、第1の重ね合せ装置4Aにおいて接着剤の塗布作業が行われている間に、作業者によってセットされたカバーパネルおよび表示パネルを、各載置板に吸着保持させる(ステップS12)。そして、第2カバーパネル載置台41Bを作業領域32に移動させ(ステップS13)、カバーパネル載置板411Bに吸着保持されたカバーパネルに対して接着剤の塗布作業を行う(ステップS14)。このとき、制御部100は、塗布ロボット制御データBに基づいて塗布ロボット5による塗布作業を制御する。また、この間、作業者によって、第1の重ね合せ装置4Aの回動ステージ412Aに新たなカバーパネル載置板411Aがセットされ、このカバーパネル載置板411Aと表示パネル載置板421Aとに、それぞれ4枚ずつ、所定の位置にカバーパネルおよび表示パネルとが載置される。
【0054】
ステップS14による塗布作業が終了すると、制御部100は、第2カバーパネル載置台41Bを貼り合せ作業領域31へ移動させ(ステップS15)、カバーパネル載置板411Bおよび回動ステージ412Bを回動させて、各カバーパネルと表示パネルとを正対とせる(ステップS16)。次いで制御部100は、所定の速度で表示パネル載置板421Bおよび昇降ステージ422Bを高さh1(図10参照)まで上昇させ(ステップS17)、さらに減速して高さh2(図10参照)まで上昇させる(ステップS18)。そして、高さh2に達すると、制御部100は、それまで吸着保持していたカバーパネルを解放し(ステップS19)、表示パネル載置板421Bおよび昇降ステージ422Bを、図10に示す初期位置まで下降させ(ステップS20)、カバーパネル載置板411Bおよび回動ステージ412Bを、図4(a)において実線で示す初期位置まで回動させる(ステップS21)。
【0055】
以上、ステップS12〜S21の処理によって第2の重ね合せ装置4Bにおける表示パネルとカバーパネルとの貼り合せ作業が完了すると、制御部100は、ステップS2の処理へ戻り、引き続き第1の重ね合せ装置4Aにおける貼り合せ作業の制御を開始する。
【0056】
なお、制御部100は、図8のフローチャートに示す制御を行っている間、停止スイッチ64のオン/オフ状態を監視する割込処理を周期的に実行している。そして、作業者によって停止スイッチ64が操作(オン)されたことが検出されると、それまで行っていた処理を直ちに中断し、作動していた各種モータを停止させる。また、図8に示す制御を中断しているときに、再度停止スイッチ64が操作されたことが検出されると、中断していた制御を再開する。
【0057】
以上、説明したように、板状部材貼り合せ装置1においては、貼り合せ作業領域31に2台の重ね合せ装置4A,4Bが設置され、各重ね合せ装置に載置されたカバーパネルに対する接着剤の塗布作業を、貼り合せ作業領域31に隣接する塗布作業領域32において、1台の塗布ロボット5により交互に行う。これにより、一方の重ね合せ装置に載置されたカバーパネルに対して接着剤の塗布作業が行われている間に、他方の重ね合せ装置から貼り合せ作業が終了した各パネルの取り出し、および、次に貼り合せ作業を行うカバーパネルおよび表示パネルのセットをすることができる。すなわち、各種パネルの取り出しおよびセットを行うために、貼り合せ装置の作動を停止させる必要がないため、生産性の向上を図ることができる。また、作業者による各種パネルの取り出しおよびセット作業は、常に、板状部材貼り合せ装置1の正面側から、貼り合せ作業領域31において行われるため、作業者の作業手順を単純化することができ、作業ミスを起こりにくくすることができる。
【0058】
なお、貼り合せ作業領域31に設置する重ね合せ装置の数は、3台以上であっても良い。この場合、制御部100は、ある重ね合せ装置においてカバーパネルと表示パネルとの貼り合せ作業が終了すると、予め定められた順序に従って次の貼り合せ作業を行う重ね合せ装置による貼り合せ作業を開始させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る板状部材貼り合せ装置の一実施形態の外観を示す正面図である。
【図2】同板状部材貼り合せ装置の外観を示す平面図である。
【図3】同板状部材貼り合せ装置の外観を示す側面図である。
【図4】同板状部材貼り合せ装置の各種パネル載置台の構成および動作を説明するための説明図である。
【図5】同板状部材貼り合せ装置の各種パネル載置板の表面構造を説明するための説明図である。
【図6】同板状部材貼り合せ装置の操作部に設けられた各種スイッチの内容を説明するための説明図である。
【図7】同板状部材貼り合せ装置の制御部およびその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図8】同板状部材貼り合せ装置の制御部により処理される、貼り合せ作業の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】同板状部材貼り合せ装置により行われる塗布作業によって、カバーパネルに塗布される接着剤の位置および量を説明するための説明図である。
【図10】同板状部材貼り合せ装置の表示パネル載置板を上昇させる高さを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 板状部材貼り合せ装置
2 基台部
3 作業領域部
4,4A,4B 重ね合せ装置
5 塗布ロボット
6L 左側操作部
6R 右側操作部
31 貼り合せ作業領域
32 塗布作業領域
41,41A,41B カバーパネル載置台
42,42A,42B 表示パネル載置台
43,43A,43B レール
44,44A,44B ガイドレール
52x x軸スライダ
52y y軸スライダ
52z z軸スライダ
53a,53b,53c,53d ディスペンサヘッド
54a,54b,54c,54d ディスペンサコントローラ
100 制御部
110A 第1モータ駆動回路
110B 第2モータ駆動回路
120 塗布ロボット駆動回路
131A 第1回動モータ
131B 第2回動モータ
132A 第1移動モータ
132B 第2移動モータ
133A 第1昇降モータ
133B 第2昇降モータ
134A カバーパネル第1真空ポンプ
134B カバーパネル第2真空ポンプ
135A 表示パネル第1真空ポンプ
135B 表示パネル第2真空ポンプ
411,411A,411B カバーパネル載置板
412,412A,412B 回動ステージ
416a,416b,424a,424b,424c,424d 位置決め部材
421,421A,421B 表示パネル載置板
422,422A,422B 昇降ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの表示面と、光透過性を有する板状部材とを、接着剤により貼り合せる板状部材貼り合せ装置であって、
前記板状部材と前記表示パネルとを、貼り合せる作業が行われる貼り合せ作業領域と、
前記貼り合せ作業領域に隣接して設けられ、前記板状部材に対する前記接着剤の塗布作業が行われる塗布作業領域とを有し、
前記貼り合せ作業領域には、
複数の前記板状部材が載置される部材載置板を有する部材載置台と、
複数の前記表示パネルが載置されるパネル載置板を有するパネル載置台と、
前記部材載置台を前記塗布作業領域へ移動させ、前記塗布作業が終了すると再び前記貼り合せ作業領域へ移動させる移動手段と、
前記部材載置台に載置された前記複数の板状部材の各々における前記接着剤の塗布面を下方に向けた状態で、前記パネル載置板に載置された前記複数の表示パネルの各々に対応して正対させる正対手段と、
前記正対手段によって、前記複数の板状部材および前記複数の表示パネルが各々正対した状態で、前記複数の表示パネルと、前記複数の板状部材に塗布された前記接着剤とを接近させる接近手段と、
前記正対手段により前記接着剤の塗布面が下方に向いた状態になっても前記複数の板状部材を前記パネル載置台に保持させ、前記接近手段により前記複数のパネルとの間隔が前記所定の間隔になると、該保持を解除する保持手段と
を有する重ね合せ装置を複数備え、
前記塗布作業領域には、前記部材載置面に載置された前記複数の板状部材の各々に対して、前記接着剤を塗布する1つの塗布手段を備え、
前記複数の重ね合せ装置のうち、いずれか1つにおいて、該重ね合せ装置が前記移動手段によって前記塗布作業領域から前記貼り合せ領域へ戻った後、予め定められた順序に従って、次の前記重ね合せ装置の前記移動手段により、該重ね合せ装置の部材載置台を前記塗布作業領域に移動させて、前記塗布手段に前記塗布作業を行わせる制御手段を備える
ことを特徴とする板状部材貼り合せ装置。
【請求項2】
前記部材載置板および前記パネル載置板は、各々矩形平板の形状を有し、前記板状部材および表示パネルの載置面を各々上方に向けた状態で、互いに平行となるように、前記部材載置台および前記パネル載置台に設けられ、
前記正対手段は、
前記部材載置板および前記パネル載置板の長手方向の間に設けられた軸を中心として、前記部材載置板を、前記パネル載置板とのなす角度が狭くなる方向へ回動させることで、前記部材載置台に載置された前記複数の板状部材の各々と、前記パネル載置台に載置された前記複数の表示パネルの各々とを正対させる回動手段
を有することを特徴とする請求項1に記載の板状部材貼り合せ装置。
【請求項3】
前記接近手段は、
前記パネル載置板を水平方向に対して垂直に昇降させる昇降手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の板状部材貼り合せ装置。
【請求項4】
前記移動手段は、
前記複数の部材載置台を、前記部材載置板の長手方向と平行する方向に沿って前記塗布領域へ水平移動させ、
前記複数の重ね合せ装置は、前記移動手段による前記部材載置台の移動方向に直行する方向に整列した状態で前記貼り合せ作業領域に設置されている
ことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の板状部材貼り合せ装置。
【請求項5】
前記板状部材および前記表示パネルの形状は矩形であって、
前記部材載置板の、前記複数の板状部材の各載置位置において、該各板状部材の少なくとも1つの角の位置を規定する角部位置決め部材を設け、
前記パネル載置板の、前記複数の表示パネルの各載置位置において、該各表示パネルの、少なくとも3つの辺の位置を各々規定する辺部位置決め部材を設け、
前記角部位置決め部材および前記辺部位置決め部材は、前記正対手段によって前記複数の板状部材および表示パネルが各々正対したときに、平面方向において互いに重ならない位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の板状部材貼り合せ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−72247(P2010−72247A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238563(P2008−238563)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000149011)株式会社大橋製作所 (7)
【出願人】(000162434)協立化学産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】