説明

板状電子部品の試験用押圧器。

【課題】試験基板の上に載置した電池などの電子部品に圧力を加えながら性能試験を行う。
【解決手段】電池に圧力を加えるための押圧器21は、間にコイルスプリング27を設けた上下板状部材22、25から成る。上側板状部材22の四隅に穴29があいており、同じく左右辺の中ほどにノッチ30が形成してある。他方、基板1には4本のピン31、2本のポスト32が立っている。さらに、上側板状部材22の中央に、フック33がピン35で枢支されている。基板1に被験電池5を載置し、さらにその電池の上に押圧器21を置き、上側板状部材25を下向きに押し付ける。すると、コイルスプリング27が縮んで、上側部材にあけられた穴29に、基板1上に立っているピン31が係合して、押圧器は位置決めされる。同時に、上側部材25のノッチ30から、基板1上に立っているポスト32が頭部を出すので、この頭部にフック33を係合すると、スプリング27は圧縮された状態に保持され、被験電池5に圧力が掛かる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池(電気二重層キャパシタを含む。)などの電子部品の性能試験を行う際に、被験体に圧力を加えるための押圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
充電可能な電池(二次電池、電気二重層キャパシタ等)には、円筒形、角形などのほか、ラミネート形がある。ラミネート形電池は、電極板とセパレータを交互に積み重ね、ラミネートフィルムで密封して薄型に形成したものであるが、圧力を加えると、圧力の大きさにより充放電特性に変化があることが知られている。したがって、ラミネート形電池の特性を把握するためには、電池に圧力を加える手段を試験機に設ける必要があるが、従来装置には適切なものがなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、試験基板の上に載置した、電池(電気二重層キャパシタを含む。)などの電子部品に圧力を加えながら性能試験を行うために、構造が簡単で安価に提供できる押圧器を提供するとことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明に係る電子部品の試験用押圧器は、板状電子部品を載置するための基板と、該電子部品から延びる電極を挟持するための、該基板上に設置された電極挟持部と、間に置いた圧縮スプリングの力で互いに反発する上下一対の板状部材を備えた押圧器と、該電子部品の上に置いた該押圧器を、該圧縮スプリングを押し縮めた状態にして該基板上に固定するためのホルダから成る。該ホルダは、該基板上に立つポストと、該押圧器に取り付けられた、該ポストの頭部に掛合するフックから構成することができる。
【0005】
使用するときは、まず、板状電子部品を基板上に載置し、電子部品の電極を電極挟持部で咥える。次いで、押圧器を電子部品の上に置き、ばねを押し縮めながら、ホルダを用いて基板上に保持する。
【0006】
このものでは、ばねの力で押圧体の下側板状部材が電子部品に押し付けられ、電子部品は一定の圧力を受けた状態で充放電等の試験が行われる。押圧器は、ばねの強さが異なるものをいくつか用意し、電子部品に大きな圧力を加えたいときは、強いばねを備えた押圧体を用い、小さな圧力でよいときは、弱いばねを備えた押圧体を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電池試験用基板の斜視図であり、基板の上部には、これから取り付ける押圧器が示されている。。
【図2】試験電池の電極を咥える電極挟持部の正面図である。
【図3】同じく電極挟持部の横断面図である。
【図4】試験電池の上に押圧器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】押圧器の中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の実施例を図面に基づいて説明する。電池試験用基板1は、図4に示すように、レールに沿って筐体の内部に押し込むことができ、前部に突出している接続端子2が、枠体に固定されたソケット3に嵌合して、筐体内部に固定装備されている電子回路と接続されるようになっている。
【0009】
図1において、符号5は基板1の上に載置された被検体としてのラミネート型の電気二重層キャパシタであり、その一端からフレキシブルな薄板状の一対の電極タブ6が並行に延びている。試験用基板1は、これら一対の電極タブを上と下から咥えるようにして電気的に接続する電極挟持部7を備えている。
【0010】
図2は電極挟持部7の正面図、図3は横断面図であり、これで分かるように、電池の電極タブ6は基板1とその上側の挟持板9で挟持される。挟持板9はプラスチック製の細長い板であり、その下面に、左右一対の接触端子10が間隔を設けて取り付けてある。これらの接続端子は、大きな電流が流れる電流端子として利用される。各接触端子10に連なるターミナル11は電線12を介して基板1の接続端子2に接続されている。基板1の表面には、前記接続端子10に対向する位置に金属箔からなる左右一対の接触端子13が形成されており、これらの端子は、プリントパターンを介して基板1の接続端子2に繋がっている。これらの端子13は電池の電圧測定として用いられる。
【0011】
前記挟持板9の両側から下に向かって支柱15が延びており、これら支柱は基板1を貫き、プラスチックの細長い台板16に固定されている。他方、基板1から挟持板9を貫いて3本の支柱17が上に伸びており、これら支柱の上端に細長い上板19が支持されている。この上板19と挟持板9の間には支柱17に沿う格好でコイルスプリング20が縮設されている。
【0012】
この電極挟持部7に電池を接続するには、台板16を机等の上に置き、図2に矢印で示すように、指を上板19にあてて押し下げる。すると、同図に鎖線で示すように、スプリング20が縮んで支柱17が挟持板9の下に突出し、基板1を押し下げる。こうして基板1と挟持板9の間隔が開くので、その間に左右の電極タブ6を挿入する。こうして上板19から手を離すと、スプリング20が拡張して、基板1が上昇して、電極タブ6は、挟持板9の下面および基板1の上面にそれぞれ設けられている接触端子10、13の間にしっかり咥えられる。
【0013】
次に電池に圧力を加えるための押圧器21について説明すると、図1に示すように矩形の下側板状部材22の四隅に軸23が立っており、これらの軸は、上側板状部材25を貫いており、軸端に抜け止めのワッシャ26が取り付けられている。上下板状部材22、25の間には、軸23に沿って圧縮コイルスプリング27が取り付けてある。
【0014】
この押圧器21を、基板上に固定するためのホルダ28について説明すると、上側板状部材22の四隅に小さい穴29があいており、同じく左右辺の中ほどにノッチ30が形成してある。他方、基板には4本のピン31、2本のポスト32が立っている。さらに、上側板状部材22の中央に、フック33がピン35で枢支されている。
【0015】
押圧器21を基板1上に取り付けるには、まず、上側部材25を下向きに押し付けてコイルスプリング27を縮め、上側部材にあけられた前記4つの穴29に、基板1上に立っているピン31を挿入して、押圧器を位置決めする。このとき、可動部材25のノッチ30から、基板1上に立っているポスト32が頭部を出すので、図4に示すように、この頭部にフック33を係合すると、スプリング27は圧縮された状態に保持される(図5)。
【0016】
このようにして押圧器21を取り付けると、圧縮されたスプリング27の力によって下側板状部材22が電池5を基板1に押し付け、電池に圧力を加えることができる。電池が受ける圧力はスプリング27の強さで決まる。したがって、スプリングの強さが異なる複数の押圧器を用意しておいて、選択使用すれば、被験電池に所望の圧力を加えることができる。このようにして電池の充放電試験を行う。
【符号の説明】
【0017】
1 基板
5 電子部品としての電池
6 電極タブ
7 電極挟持部
21 押圧器
22 下側板状部材
25 上側板状部材
27 スプリング
28 ホルダ
32 ポスト
33 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の電子部品を載置するための基板と;該電子部品の本体から延びる電極を挟持するための、該基板上に設置された電極挟持部と;間に置いた圧縮スプリングの力で互いに反発する上下一対の板状部材を備えた押圧器と;該電子部品の上に置いた該押圧器を、該圧縮スプリングを押し縮めた状態にして該基板上に固定するためのホルダ;から成る板状電子部品の試験用押圧器。
【請求項2】
該ホルダが、該基板上に立つポストと、該押圧器の上面に取り付けられた、該ポストの頭部に掛合するフックから成る請求項1に記載の板状電子部品の試験用押圧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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