説明

板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ

【課題】リングローラ間の動力伝達の確実性、リングローラの揺動性を維持し、且つリングローラの交換を可能にした。
【解決手段】相隣合うリングローラ22の相対向する側面に環状リブ22cを形成し、環状リブ22cにゴム等の弾力性筒状部材26の端部を嵌合させ、弾力性筒状部材26の端部をネジ36によって環状リブ22cに締結して相隣合うリングローラ22を互いに連結している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟化点に加熱された板硝子を搬送するとともに、搬送中の板硝子を自重で搬送路に沿って任意の曲率に曲げ成形する板硝子のローラーフォームコンベア装置に関する。
【0002】
【従来の技術】板硝子をローラで搬送しながら曲げ成形する装置として、ローラーフォームコンベア装置が知られている。ローラーフォームコンベア装置は、任意の曲率に曲げ形成されたガイドシャフトに複数のリングローラを回転可能に嵌合させるとともに、それらのリングローラを連結して、端部に配設した動力または動力伝達手段によって回転駆動させるローラアッセンブリを備えている。ローラアッセンブリは複数本平行に配されて任意の曲率の搬送路を形成する。そして、軟化点に加熱された板硝子をこの搬送路で搬送しながら、搬送路に沿うように加熱状態の板硝子を自重で曲げ加工する。
【0003】上記ローラアッセンブリのリングローラは、曲げ形成されたガイドシャフトを中心にして回転されるため、相隣合うリングローラ間が1回転毎にリングローラの回転位置(回転角度)によって離接することになる。しかも、相隣合うリングローラは、動力の伝達が行えなくてはならない。例えば、米国特許第4,311,509号公報及び米国特許第4,376,643号公報に示すローラアッセンブリは、リングローラの一方の側部に凸部が形成されると共に他方の側部に溝部が形成され、ローラの一方の側部に形成された凸部は、隣接するローラの他方の側部に形成された溝部に嵌合されたものである。そして、ガイドシャフトの端部に取り付けられた圧縮ばねの付勢力でガイドシャフトに嵌入されたリングローラを押圧する。これにより、ガイドシャフトに嵌入された複数のリングローラの一方の側部に形成された凸部と、隣接するリングローラの他方の側部に形成された溝部とが係合する。従って、外側のリングローラに回転力を伝達することにより、複数のリングローラが一体的にガイドシャフトを中心にして回転する。
【0004】しかしながら、複数のリングローラが嵌入されるガイドシャフトは、任意の曲率に曲げ形成されているので、リングローラの凸部と溝部との係合部に所定の隙間を設ける必要がある。従って、複数のリングローラにガタが生じるので、板硝子の曲げ加工精度が低下するという問題がある。また、複数のリングローラの回転時に、リングローラの凸部と溝部とが干渉して磨耗するので、磨耗により発生した金属粉で板硝子に傷がつくという問題がある。
【0005】そこで、従来のローラアッセンブリでは、相隣合うリングローラ間にゴムリングを介在させ、該ゴムリングを両リングローラ端面に焼付け等によって接着して相隣合うリングローラを互いに連結していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ローラアッセンブリでは、板硝子を搬送する際の負荷が場所によって異なる。例えば、中央部が下方へ湾曲しているローラアッセンブリでは、板硝子の側部が接触する位置のリングローラに大きな負荷がかかることになり、そのローラの磨耗が他の位置のリングローラよりも大きくなる。
【0007】しかしながら、上記従来のローラアッセンブリでは、相隣合うリングローラが分離不可能に連結されていたので、リングローラを個別に交換することはできず、ローラアッセンブリ全体を交換せざるを得なかった。そこで、本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、リングローラ間の動力伝達の確実性および離接運動の容易性、すなわちリングローラ間の動力伝達性,リングローラの揺動性を維持しながら、しかもリングローラの交換を可能にした板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、任意の曲率に曲げ形成されたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に挿通された複数のリングローラを有し、該リングローラのガイドシャフトを中心とする回転によって板硝子を所定方向へ搬送しながら板硝子を曲げ成形する板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、相隣合う前記リングローラの相対向する側面には環状リブが設けられており、該環状リブに弾力性筒状部材の端部がそれぞれ装着されるとともに、該弾力性筒状部材の端部が締結部材によって前記環状リブに締結されて前記相隣合うリングローラを互いに連結して成ることを特徴とする。
【0009】本発明では、弾力性筒状部材による弾力性によって各リングローラは揺動が容易であり、かつ形状が筒状を成しているため捩じり力に対して変形がし難いので動力の伝達が確実である。また、本発明は、前記目的を達成するために、任意の曲率に曲げ形成されたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に挿通された複数のリングローラを有し、該リングローラのガイドシャフトを中心とする回転によって板硝子を所定方向へ搬送しながら板硝子を曲げ成形する板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、相隣合う前記リングローラ間には蛇腹状の剛性筒状部材が介在されており、相隣合う前記リングローラの相対向する側面に設けられた環状リブに前記剛性筒状部材の端部がそれぞれ装着されるとともに、前記剛性筒状部材の端部が締結部材によって前記環状リブが締結されて前記相隣合うリングローラを互いに連結して成ることを特徴とする。
【0010】本発明では、剛性筒状部材が蛇腹状を成していることによる可撓性によって各リングローラは揺動が容易であり、かつ形状が筒状を成しているため捩じり力に対して変形がし難いので動力の伝達が確実である。相隣合うリングローラは、それぞれ揺動が容易で、かつトルクの伝達が確実に行えるように連結される必要がある。筒状の部材は、捩じり方向の力に対しては変形し難く、曲げ方向の力に対しては比較的変形し易いので、リングローラの連結に適している。このような連結部材としては、弾力性筒状部材,蛇腹状の剛性筒状部材が好ましい。
【0011】弾力性筒状部材は、リングローラ間のトルクの伝達を確実にしようとすると筒状部材の肉厚を厚くしなくてはならないが、肉厚を厚くするとリングローラの揺動性を損なう虞れがある。筒状部材の幅方向中央に環状膨出部を形成すれば、筒状部材の肉厚を厚くしても筒状部材の曲げ変形を容易にできる。また、環状膨出部は、他の部分よりも繰り返し変形荷重がかかるので、この点からも環状膨出部の肉厚を他の部分の肉厚よりも厚くすることが好ましい。
【0012】蛇腹状の剛性筒状部材は、剛性部材であるのでリングローラ間のトルクの伝達は確実であるが、そのままだとリングローラの揺動性を損なう虞れがある。筒状部材を蛇腹状に形成すれば筒状部材の曲げ変形を容易にできる。蛇腹の襞の数は材料,肉厚等を考慮して、上記要件を満足するように選定する。筒状部材のねじ締結部は、ねじ、ビス、クリップ等の締結部材の取り外し,締結操作が容易になるように、即ちドライバー等の治具の挿入が容易な位置に配設することが好ましい。締結部は、リングローラの周面壁から隠れた位置に配設される場合がある。このような場合には、締結部材の取り外し,締結操作に際して締結部に対応するリングローラの周面壁の部分に治具を挿入するための隙間を確保しなくてはならない。そこで、一部を捲るようにして撓めて隙間を確保できるように、リングローラを比較的柔軟な材質によって形成したり、締結部に対応するリングローラの周面壁に孔を開けたり、さらにはリングローラを環状リブを有するローラ本体と該ローラ本体に嵌着して周面壁を形成するカラーとによって構成するとともに、該カラーをスラスト方向へ摺動可能に設置し、治具を挿入する際にカラーを治具の作業域から摺動排除させるようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係る板硝子の板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの好ましい発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明に係る板硝子の板硝子の曲げ成形装置の斜視図である。同図に示すように、板硝子の板硝子の曲げ成形装置10は複数本のローラアッセンブリ12,12…を備え、ローラアッセンブリ12は互いに平行に配置されて搬送路14を形成している。ローラアッセンブリ12で形成された搬送路14は加熱炉16の下流側端部に配設されている。
【0014】ローラアッセンブリ12は、搬送路14の上流側で直線状に形成され、搬送路14の下流側で所定の曲率に曲げ形成されている。そして、ローラアッセンブリ12の曲率は搬送路14の上流側から下流側に向かって徐々に大きくなり、搬送路14の下流側で所定の曲率になるように形成されている。これにより、加熱炉16内で軟化点に加熱された板硝子18をローラアッセンブリ12の曲率に沿って自重で曲げ形成される。
【0015】図2は板硝子の板硝子の曲げ成形装置を構成するローラアッセンブリ12の一部を拡大して示す断面図である。ローラアッセンブリ12では、ガイドシャフト20に複数のリングローラ22,22…が回転自在に支持されている。リングローラ22は、ローラ本体22Aとカラー22Bとによって構成されている。ローラ本体22Aは筒状に形成され、中心部には一方の端面に開口する大径の貫通孔22aと他方の端面に開口する小径の貫通孔22bが形成れている。小径の貫通孔22bは孔径がガイドシャフト20の外径よりも大きく形成されている。そして、大径の貫通孔22aには、ブッシュ24が嵌入され、該ブッシュ24がガイドシャフト20に嵌合している。これにより、複数のリングローラ22は、ガイドシャフト20に回転自在に保持される。
【0016】さらに、リングローラ22のローラ本体22Aには、両端面に環状のリブ22c,22cが形成され、その外周面の2箇所にはねじ孔22d,22dが形成さている。また、上記カラー22Bはローラ本体22Aの外周に焼付け等によって嵌着されている。このカラー22Bは、ローラ本体22Aの全幅と略同じ幅を有しており、ローラ本体22Aのねじ孔22dの延長上に孔22eが形成されている。
【0017】そして、相隣合うリングローラ22,22は、それらの環状のリブ22c,22cに装着されたゴム製の弾力性筒状部材26によって互いに連結されている。即ち、弾力性筒状部材26は両端部にねじ挿通孔26aを有しており、該ねじ挿通孔26aに挿通し、リブ22cのねじ孔22dに螺合させたねじ28によって互いに連結される。このような弾力性筒状部材26には、その幅方向中央全周にわたって膨出部26bが形成されている。
【0018】図3に示すように、ローラアッセンブリ12は、上記した複数のリングローラ22の左側端に左側スプロケットハウジング30、右側端に右側スプロケットハウジング32を備えている。図2に示すように、左側スプロケットハウジング30は、ブッシュ34を介してガイドシャフト20に回転自在に保持されている。この左側スプロケットハウジング30のリングローラ22側端部には、環状リブ30aが形成されており、該環状リブ30aの2箇所にねじ孔30bが形成されている。そして、この環状リブ30aとリングローラ22の環状リブ22cには、ゴム製の弾力性筒状部材26の端部がそれぞれ嵌合され、弾力性筒状部材26のねじ挿通孔26aに挿通させたねじ28を環状リブ22cのねじ孔22dに螺合締結するとともに、弾力性筒状部材26のねじ挿通孔26aに挿通させたねじ36を環状リブ30aのねじ挿通孔30bに螺合締結することによって、左側スプロケットハウジング30とリングローラ22とが互いに連結されている。なお、右側スプロケットハウジング32とリングローラ22との連結も左側スプロケットハウジング30とリングローラ22との連結と同様にゴム製の弾力性筒状部材26によって行われ、その結合構造も同様なのでその説明は省略する。
【0019】ローラアッセンブリ12は、支持台38に取付けられている。即ち、支持台38は両端部に取付け部材38a,38aを備え、取付け部材38a,38aにガイドシャフト20の両端部が固定されている。左側スプロケットハウジング30の左端部には、第1,第2のスプロケット30A,30Bが形成され、第2のスプロケット30Bはチェーン40を介して駆動モータ42のスプロケット44に回転力を伝達可能に連結されている。駆動モータ42はボルト46,46…を介して支持台38に搭載されている。左側スプロケットハウジング30とガイドシャフト20との間にはブッシュ48が嵌入されている。さらに、左側スプロケットハウジング30の左端部側のガイドシャフト20にはストップリング50が嵌入され、ストップリング50はボルト52を介してガイドシャフト20に固定されている。
【0020】ガイドシャフト20の右端部には、左側スプロケットハウジング30と同様に右側スプロケットハウジング32が固定されている。この右側スプロケットハウジング32は、左側スプロケットハウジング30と同様に第1,第2のスプロケット32A,32Bが形成されている。第1,第2のスプロケット32A,32Bは、左側スプロケットハウジング30の第1,第2のスプロケット30A,30Bと同一なので説明を省略する。さらに、右側スプロケットハウジング32の右端部側のガイドシャフト20にもストップリング50が嵌入され、ストップリング50はボルト52を介してガイドシャフト20に固定されている。
【0021】これにより、ガイドシャフト20の両端部がストップリング50で固定されて、左側スプロケットハウジング30と右側スプロケットハウジング32との間でリングローラ22,22は上端部で互いに当接した状態で保持される。即ち、本実施例において、ローラアッセンブリ12は、ローラ20の上方の母線が描く円弧(包絡線)の曲率半径が、ガイドシャフト20の軸芯の曲率半径よりも小さく、さらに、ローラ20の下方の母線が描く円弧(包絡線)の曲率半径が、ガイドシャフト20の軸芯の曲率半径よりも大きくなる。したがって、複数のリングローラ22,22…はガイドシャフト20の上端部で互いに当接し、ガイドシャフト20の下端部で互いに離れるように配置される。
【0022】上述したローラアッセンブリ12は、図4に示すように互いに平行に配されている。そして、搬送路14の下流側のローラアッセンブリ12の左側スプロケットハウジング30に形成された第2のスプロケット30Aに、駆動モータ42のスプロケット44がチェーン40を介して回転方向を伝達可能に連結されている。前記下流側のローラアッセンブリ12の第1のスプロケット30Aは、前記下流側のローラアッセンブリ12の上流側に隣接するローラアッセンブリ12の第1のスプロケット30Aにチェーン54を介して連結されている。
【0023】このように、互いに隣接するローラアッセンブリ12,12の第1のスプロケット30A,30Aをチェーン54を介して連結することにより、または互いに隣接するローラアッセンブリ12,12の第2のスプロケット30B,30Bをチェーン56を介して連結することにより、駆動モータ36の回転力がローラアッセンブリに伝達される。
【0024】図4においては、ガイドシャフト20の左端部に駆動モータ42の回転力を伝達する場合について説明したが、図3に示すようにローラアッセンブリ12はガイドシャフト20の右端部にも第1,第2のスプロケット32A,32Bを備えているので、必要に応じてガイドシャフト20の両端部に駆動モータ42の回転力を伝達することができる。
【0025】前記の如く構成された本発明に係る板硝子の板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの作用を説明する。先ず、駆動モータ42を駆動してスプロケット44を回転し、スプロケット44の回転力をチェーン40を介して搬送路14の下流側ローラアッセンブリ12の第2のスプロケット30Bに伝達する(図4参照)。これにより、下流側ローラアッセンブリ12の左側スプロケットハウジング30が回転される。左側スプロケットハウジング30が回転されると、図2に示すように、その回転力は弾力性筒状部材26を介してリングローラ22に伝達され、さらに弾力性筒状部材26を介して順次相隣合うリングローラ22に伝達され、そして左側スプロケットハウジング32に伝達される。これにより、リングローラ22がガイドシャフト20を中心にして回転する。
【0026】リングローラ22が回転されると、各リングローラ22はその回転位置(回転角度)に応じて、揺動して相隣合うローラ22,22が離接する。その際、相隣合うローラ22,22間の距離が変動するが、弾力性筒状部材26は撓んでその変位を許容する。一方、下流側ローラアッセンブリ12の左側スプロケットハウジング30が回転することにより、左側スプロケットハウジング30の第1のスプロケット30Aが回転する。これにより、下流側ローラアッセンブリ12の第1のスプロケット30Aの回転力がチェーン54を介して下流側ローラアッセンブリ12の上流側に隣接するローラアッセンブリ12の第1のスプロケット30Aに伝達される。以下、図4に示すように、互いに隣接するローラアッセンブリ12,12の第1のスプロケット30A,30Aをチェーン54を介して連結することにより、又は互いに隣接するローラアッセンブリ12,12の第2のスプロケット30B,30Bをチェーン56を介して連結することにより、駆動モータ42の回転力がローラアッセンブリ12に伝達される。
【0027】これにより、ローラアッセンブリ12のそれぞれのリングローラ22がガイドシャフト20を中心にして回転する。このように、リングローラ22を回転することにより、リングローラ22で形成される搬送路14上に載置された板硝子18が下流側に搬送される。この状態で、加熱炉16内に板硝子18を順次搬送して板硝子18を軟化点まで加熱する。加熱炉16内で加熱された板硝子18はローラアッセンブリ12の搬送路14で下流側に搬送される。この場合、ローラアッセンブリ12の搬送路14は上流側で直線状に形成され、下流側で所定の曲率に曲げ形成され、さらに搬送路14の曲率は上流側から下流側に向かって徐々に大きくなるように形成されている。従って、加熱炉16内で軟化点に加熱された板硝子18をローラアッセンブリ12の搬送路14で下流側に搬送することにより、板硝子18がローラアッセンブリ12の搬送路14に沿って自重で所定の曲率に曲げ形成される。
【0028】上記した実施例のローラアッセンブリ12において、一部のリングローラ22を交換する場合には、カラー22Bの孔22e,22eからドライバーを差し込み、交換しようとするリングローラ22のねじ28,28を回して環状リブ22c,22cから弾力性筒状部材26b,26bを取り外し、新たなリングローラ22を交換して、該リングローラ22に再び弾力性筒状部材26b,26bをねじ28,28によって締結する。
【0029】図5は、本発明に係る板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの他の実施例を示している。この実施例の場合は、上記実施例のリングローラ22はそれぞれの間に蛇腹状の剛性筒状部材58が介在されて連結されている。蛇腹状の剛性筒状部材58は、ばね鋼等の靱性に富んだ材料によって形成されており、幅方向中間に蛇腹状の伸縮部58aを有している。そして、蛇腹状の剛性筒状部材58の端部が相隣合うリングローラ22,22の環状リブ22c,22cに装着され、ねじ28によって蛇腹状の剛性筒状部材58の端部を環状リブ22c,22cに締結している。なお、左側スプロケットハウジング30および右側スプロケットハウジング32とリングローラ22との連結にも、蛇腹状の剛性筒状部材58が使用され、その結合は上記実施例と同様にねじ28,36によって行われる。
【0030】この実施例の場合には、相隣合うリングローラ22,22の揺動による両リングローラ22,22間の距離の変動は剛性筒状部材58の蛇腹状の伸縮部58aによって許容される。この実施例のローラアッセンブリ12においても、一部のリングローラ22を交換する場合には、カラー22Bの孔22eからドライバーを差し込み、交換しようとするリングローラ22のねじ28を回して環状リブ22cから弾力性筒状部材26bを取り外し、新たなリングローラ22を交換して、該リングローラ22に再び弾力性筒状部材26bをねじ28によって締結する。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、連結部材が筒状なので捩じり変形はし難く、したがってリングローラ間の動力の伝達が確実に行え、かつ弾力性部材なのでリングローラの揺動性がよく、さらにねじによって連結されているので任意のリングローラの交換が可能である。
【0032】特に、弾力性筒状部材に環状膨出部を形成することによってスラスト方向の変形が容易になり、リングローラの揺動性がさらによくなる。更に、変形する箇所を肉厚にすることによって、弾力性筒状部材の耐久性が向上する。また、本発明によれば、連結部材が筒状なので捩じり変形はし難く、したがってリングローラ間の動力の伝達が確実に行え、かつ蛇腹状になっているのでリングローラの揺動性がよく、さらにねじによって連結されているので任意のリングローラの交換が可能である。
【0033】特に、リングローラを環状リブを有するローラ本体とローラ本体の外周面に装着されたカラーとによって構成し、カラーの端部を締結部の上方を覆うように延設することによって、リングローラ間の隙間を可及的に小さくできる。更に、カラーの締結部に対応する部分に治具挿入孔を形成したことによって、ねじ等の締結部材の取付け,取り外しが容易になり、しかも構造が単純である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る板硝子の曲げ成形装置を示した斜視図である。
【図2】本発明に係る板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの要部を拡大して示した断面図である。
【図3】本発明に係る板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの設置状態を示した正面図である。
【図4】本発明に係る板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの動力伝達機構を示した斜視図である。
【図5】本発明に係る板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの他の実施例を示した要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10…板硝子の曲げ成形装置
12…ローラアッセンブリ
14…搬送路
16…加熱炉
18…板硝子
20…ガイドシャフト
22…リングローラ
22A…ローラ本体
22B…カラー
22c…環状リブ
22d…ねじ孔
22e…孔
26…弾力性筒状部材
26a…ねじ挿通孔
26b…膨出部
28…ねじ
30…左側スプロケットハウジング
30a…環状リブ
30b…ねじ挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 任意の曲率に曲げ形成されたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に挿通された複数のリングローラを有し、該リングローラのガイドシャフトを中心とする回転によって板硝子を所定方向へ搬送しながら板硝子を曲げ成形する板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、相隣合う前記リングローラの相対向する側面には環状リブが設けられており、該環状リブに弾力性筒状部材の端部がそれぞれ装着されるとともに、該弾力性筒状部材の端部が締結部材によって前記環状リブに締結されて前記相隣合うリングローラを互いに連結して成ることを特徴とする板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項2】 前記弾力性筒状部材は、幅方向中央に環状膨出部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項3】 前記環状膨出部の肉厚を他の部分の肉厚よりも厚くしたことを特徴とする請求項2に記載の板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項4】 任意の曲率に曲げ形成されたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に挿通された複数のリングローラを有し、該リングローラのガイドシャフトを中心とする回転によって板硝子を所定方向へ搬送しながら板硝子を曲げ成形する板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、相隣合う前記リングローラ間には蛇腹状の剛性筒状部材が介在されており、相隣合う前記リングローラの相対向する側面に設けられた環状リブに前記剛性筒状部材の端部がそれぞれ装着されるとともに、前記剛性筒状部材の端部が締結部材によって前記環状リブが締結されて前記相隣合うリングローラを互いに連結して成ることを特徴とする板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項5】 前記リングローラが前記環状リブを有するローラ本体と該ローラ本体の外周面に装着させたカラーとによって構成され、該カラーの端部が前記筒状部材の締結部の上方を覆うように延設されたことを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項6】 前記カラーの前記締結部に対応する部分に治具挿入孔を形成したことを特徴とする請求項5に記載の板硝子の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開平10−218629
【公開日】平成10年(1998)8月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−18987
【出願日】平成9年(1997)1月31日
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)