説明

板紙またはプラスチック板の結合構造と組み立て式立体物、箱ケース

【課題】 組み立てが簡単で、軽量かつ適切な強度を有する板紙またはプラスチック板の組み立て構造、箱ケース、組み立て式立体物等を提供すること。
【解決手段】本発明は、2枚の板紙等の両端を嵌め合わせして結合する構造において、一方側板紙31は端縁に突出した差し込み片A(符号311)と該差し込み片Aの基部から離隔した位置に、前記端縁に平行であるスリットB(符号312)を有する構成とし、他方側板紙32は端縁から離隔した位置に、端縁に平行な折り線Cを中抜き直線状に形成し、該折り線を軸として開閉する扉形状33を打ち抜きした構成とし、差し込み片Aを他方側板紙の裏面側から扉形状33の打ち抜き跡部E(符号325)に差し込みし、扉形状の打ち抜き部の先端を一方側板紙の前記スリットBに表面側から折り線C部分まで差し込みして結合する構造とするものである。組み立て式立体物は、この結合構造を利用したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙またはプラスチック板の結合構造と組み立て式立体物、箱ケースに関する。
商品の販売促進を図るための店頭用ツールとして、商品の広告が印刷された広告板や立体物が知られている。一般にこのような立体物としては、軽量なスチレンボードや厚板紙を組み立てたもの等が用いられている。平面なものよりは立体物が注目を集め易いことから、簡単に組み立てできる立体構造の広告物が従来から求められている。
本発明は、そのような組み立てに使用する板紙またはプラスチック板の結合構造と組み立て式立体物、および当該組み立て構造を利用した箱ケースに関するものである。
以下、主として組み立て式広告用立体物を例として本発明を説明する。
【背景技術】
【0002】
立体的広告用具の一般的要求としては、アイキャッチ効果が高いこと、製造コストが安価であること、組み立て作業が簡単で組み立て後の強度が高いこと、占有スペースが小さいこと、等が挙げられる。広告面が平面的なボードに比較して立体的広告物は、形態的な目新しさを加味されることから注目を集め易い。
その反面、立体物の構成が複雑化する傾向があるほか、製造コストが高くなったり、組み立て作業が煩雑化する問題がある。また、組み立て強度が弱かったり、逆に組み立て後に組み立て前の平面な状態に戻すことが困難になる問題もあった。
【0003】
そこで、本発明は厚板紙またはプラスチック板を使用する立体的な組み立て式立体物において、組み立てが簡単であり、組み立後の強度が高い構造を検討するものである。
また、従来の段ボール箱等は、上面の蓋板が自由端になっているため、両側面から双方の蓋板の自由端部を突き合わせて、その突き合わせ面を粘着テープで接着する必要があった。このため、外観が低下するのみならず、粘着テープを剥離した後は、紙層が破壊されるので、段ボール箱の再使用を困難にする問題があった。
【0004】
本発明に関連する先行特許文献について検討する。特許文献1は、広告体に関するが、段ボール製のスタンドに、平面的な人形POP等の広告体パネルを設置したもので、本願と直接の関係はない。特許文献2は、可撓性を有する平面状の2枚のシートを凸状に湾曲させて立体的に構成した点で、本願と僅かに共通する点があるが、本願のような組み立て構造を有するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−228293号公報
【特許文献2】特開2004− 77631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来からの板紙やプラスチック板を使用した立体物は、板紙またはプラスチック板を各々の部品に裁断し、各部品を糊付け接着して組み立て加工するものが主体であった。
従って、組み立て材料を各掲示箇所に搬送してから組み立てることは困難であり、製造元で最終形態まで加工することが必要であった。このため、立体形状となった後の輸送はコストがかかると共に立体物を壊さないで安全に輸送するのも困難であった。
また、一部組み立て構造のものも散見されるが、組み立てた後の構造が頑丈ではないため、使用中に形状が変形したりする問題があった。またいずれも、組み立てを簡単に解除して再度格納したりすることはできない構造になっていた。
本発明は、板紙やプラスチック板の従来技術にない組み立て結合構造を採用するので、組み立てた後の構造が頑丈であると共に、一旦、組み立てした後も、組み立てを解除して再度格納することも可能とし、これらの課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明の要旨の第1は、2枚の板紙またはプラスチック板の両端を嵌め合わせして結合する構造において、該両端の板紙またはプラスチック板のうち、一方側板紙またはプラスチック板は端縁に突出した長さa、幅bの差し込み片Aと該差し込み片Aの基部から距離c離隔した位置に、前記端縁に平行である長さdのスリットBを有する構成とし、他方側板紙またはプラスチック板は端縁から距離離隔した位置に、端縁に平行な折り線Cを中央部分を除く中抜き直線状に形成し、該折り線Cを軸として開閉する軸部の長さdである扉形状を、前記折り線Cの形成されない中抜き部の上端と下端を始点として打ち抜きした構成とし、前記差し込み片Aを前記他方側板紙またはプラスチック板の裏面側から前記扉形状の打ち抜き跡部Eに差し込みし、扉形状の先端Dを前記一方側板紙またはプラスチック板の前記スリットBに表面側から折り線C部分まで差し込みして結合する構造としたことを特徴とする板紙またはプラスチック板の結合構造、にある。
【0008】
上記の目的を達成する本発明の要旨の第2は、板紙または段ボールからなり全体が中空の箱体の少なくとも1の面において、平面な2枚の板紙または段ボールの両端を嵌め合わせて結合した組み立て式箱ケースにおいて、該両端の板紙または段ボールのうち、一方側板紙または段ボールは端縁に突出した長さa、幅bの差し込み片Aと該差し込み片Aの基部から距離c離隔した位置に、前記端縁に平行である長さdのスリットBを有する構成とし、他方側板紙または段ボールは端縁から距離f離隔した位置に、端縁に平行な折り線Cを中央部分を除く中抜き直線状に形成し、該折り線Cを軸として開閉する軸部の長さdである扉形状を、前記折り線Cの形成されない中抜き部の上端と下端を始点として打ち抜きした構成とし、前記差し込み片Aを前記他方側板紙または段ボールの裏面側から前記扉形状の打ち抜き跡部Eに差し込みし、扉形状の先端Dを前記一方側板紙または段ボールの前記スリットBに表面側から折り線C部分まで差し込みして結合する構造としたことを特徴とする組み立て式箱ケース、にある。
【0009】
上記の目的を達成する本発明の要旨の第3は、板紙からなり全体が中空柱状体の立体物の表面側広告面を、半円柱状、半楕円柱状、多角柱状、かまぼこ形状のいずれかとし、裏面を平面とし、該裏面において平面な板紙の両端を嵌め合わせて結合した組み立て式立体物において、該両端の板紙のうち、一方側板紙は端縁に突出した長さa、幅bの差し込み片Aと該差し込み片Aの基部から距離c離隔した位置に、前記端縁に平行である長さdのスリットBを有する構成とし、他方側板紙は端縁から距離f離隔した位置に、端縁に平行な折り線Cを中央部分を除く中抜き直線状に形成し、該折り線Cを軸として開閉する軸部の長さdである扉形状を、前記折り線Cの形成されない中抜き部の上端と下端を始点として打ち抜きした構成とし、前記差し込み片Aを前記他方側板紙の裏面側から前記扉形状の打ち抜き跡部Eに差し込みし、扉形状の先端Dを前記一方側板紙の前記スリットBに表面側から折り線C部分まで差し込みして結合する構造としたことを特徴とする組み立て式立体物、にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る板紙またはプラスチック板の結合構造は、結合する板紙またはプラスチック板の双方の両端に差し込み片とスリットを設けて、相互に嵌め込みして結合するので、結合した後も平面であって分厚い構造にならない特徴がある。
本発明に係る板紙またはプラスチック板の結合構造は、結合する部材間の引張強度を高くできる。また、結合に接着剤等をしないので結合を解除することが簡単にできる。
本発明に係る箱ケースは、上蓋や底板を粘着テープで接着しなくても、平面的に嵌め合わせして結合できるので、外観を美麗にできると共に、その外観状態を維持して何回でも開けたり閉じたりすることができる。
本発明に係る組み立て式立体物(以下、単に立体物とも記載する。)は、厚板紙やダンボール等の板紙またはプラスチック板からなる中空柱状体であるが、裏面の板紙の両端間が特徴ある嵌め合わせ構造により結合しているので、簡単に組み立てできる方式であるが強固な結合となっている。また、結合に接着剤等をしないので結合を解除することも容易にできる。
本発明に係る立体物は、材料が板紙またはプラスチック板のみからなるから軽量であって、折り畳んで平面な状態にできるので、輸送コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る組み立て式立体物を示す斜視図である。
【図2】立体物の頭部構造を示す図である。
【図3】裏面側板紙の両端部形状を示す図である。
【図4】裏面側板紙の両端を嵌め合わせして結合する状態を示す図である。
【図5】裏面側板紙の両端を嵌め合わせして結合する状態を示す図である。
【図6】裏面側板紙の組み立て完了後の状態を示す図である。
【図7】他方側板紙の形状を示す詳細図である。
【図8】組み立て式立体物のブランク展開図である。
【図9】本発明の箱ケースを示す図である。
【図10】箱ケースのブランク展開図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係る組み立て式立体物を示す斜視図である。
本発明に係る組み立て式立体物1は、広告面である表面側板紙またはプラスチック板2を、半円柱状、半楕円柱状、多角柱状、かまぼこ形状のいずれかとした中空柱状体の立体物である。裏面側板紙3は平面な板紙またはプラスチック板の両端を嵌め合わせして結合した状態になっている。裏面側は、平面を維持するために容易には変形しない強度のある材料を使用するのが好ましい。全体として断面が半円状やかまぼこ断面形状とする場合が多いが、多角形状でもよく特に限定されない。なお、かまぼこ断面形状とは、直線の両端から垂直に立ち上がる2辺の上部間が略半円で結ばれる形状をいうものとする。
【0013】
図1の場合は、断面が半円形状の中空柱状体を長さ方向に2段接続して使用している。全周囲が板紙やプラスチック板から構成されるので、中空の立体柱状体となる。表面側には広告用絵柄21等が表示される。この状態で街頭等に立てて使用する。組み立て式立体物1は、中空柱状体の2段重ねに限らず、3段重ねでも良い。2段、3段重ねのものも略同一構造の1段を積み重ねたものなので、以後、1段ものについて説明する。
なお、本発明は、上記のようにプラスチック板にも適用できるものであるが、以降は、主として板紙を使用した場合について説明するものとする。
【0014】
図2は、立体物の頭部構造を示す図であって、図2(A)は蓋板4を降ろした状態の斜視図、図2(B)は蓋板4を閉じた状態の平面図、である。
立体物1の上端には開口部を塞ぐ折り畳み式蓋板4が設けられる。蓋板4は基部41が裏面側板紙31に接着され、接着部から先が蝶番状に折り曲げ可能にされている。
蓋板4の頂部42が面ファスナー42f等で表面側板紙2の内面に固定できるようにされている。蓋板4の面は立体物1の最上端から1〜3cm下降した位置になるようにすると、立体物1を指で把持して運ぶのに便利となる。
また、図2(B)のように表面側板紙2とかまぼこ断面形状の蓋板4との間に指を差し込める程度の隙間Gを設けることも同様に持ち運びに便利となる。
蓋板4は立体物1の頭部のみならず、底面にも設けることが好ましい。この場合は底板と言ってもよい。蓋板または底板は、立体物が強風等により変形しないようにする力学的構造材料として寄与していることも明らかである。
【0015】
板紙は全周が一枚の連続した同一板紙で構成されていても良いが、表面側板紙2と裏面側板紙3に異なる材料を使用してもよい。裏面側の1枚のみを異なる材料としてもよく、板紙とプラスチック板を併用してもよい。
図2の場合は、表面側板紙2に対して裏面側板紙3にBフルートのやや厚みのある段ボールを使用した例を示しており、立体物1の背面の両端で折り曲げした表面側板紙1の内側に裏面側板紙3の一方側板紙31と他方側板紙32が接着されている。
2段または3段に積み重ねた場合は、中間部分の蓋板4は省略してもよい。
【0016】
図3は、裏面側板紙の両端部形状を示す図である。図3のように、一方側板紙31は、端縁に突出した差し込み片A(符号311)を有する。差し込み片Aの長さをa、幅をbとする。差し込み片A(符号311)の基部から距離c離隔した位置には、端縁31eに平行に長さdのスリットB(符号312)を有する構成としている。
他方側板紙32は、端縁32eから距離f離隔した位置に、端縁32eに平行な折り線C(符号321)を中央部分を除く中抜き直線状に形成する。また、該折り線Cを軸として開閉する軸部の長さd、幅eである扉形状33を、前記折り線Cの形成されない中抜き部の上端321uと下端321dを始点として打ち抜きして形成する。
折り線C(符号321)が中央部分を除く中抜き直線状であるということは、扉形状33部分には折り線C(符号321)が形成されていないが、その上下部分にのみ折り線Cが形成され、折り線C(符号321)全体としては直線状という意味である。従って、扉形状33は他方側板紙の先端32e側と一体に、折り線C(符号321)を軸として回転扉のように開閉することになる。開閉とは全回転することではなく、90°程度は開く意味である。
【0017】
扉形状33は、その先端D(符号324)の長さが回転軸部の長さdと同等である「コ」の字状であるか、先端Dの長さが軸部の長さdよりも短い略凸形状であるようにする。すなわち、「コ」の字状とは軸部の長さdと扉形状の先端D(符号324)が同寸のことをいい、略凸形状とは、扉形状の先端D(符号324)が軸部の長さdよりも短い寸法であることを意味している。
扉形状33は先端D(符号324)はスリットB(符号312)に差し込みされるが、開閉軸部の長さdが、スリットBの長さよりも長いと、扉形状33の付け根までスリットB(符号312)に差し込みできなくなるのは明らかである。一方、スリットBの長さが開閉軸部の長さdよりも長過ぎるとしっかりした嵌め込みができなくなる。
他方側板紙32の先端32e近くの裏面には、面ファスナーまたは両面粘着テープ326が貼着されており、一方側板紙31の対応する位置の表面にも、相互に係合する面ファスナーまたは両面粘着テープ316が貼着されている。これにより双方の板紙面間を開閉自在に固定できる。
【0018】
次に、組み立て式立体物1の組み立て工程を、図4〜図6を参照して説明する。
まず、図4のように、扉形状の先端D(符号324)を折り線C(符号321)でおり曲げてスリットB(符号312)に差し込みするように接近させる。このとき、差し込み片A(符号311)も、図4では良く見えないが、扉形状の先端Dの打ち抜き跡部E(符号325)に接近している。
【0019】
次に、図5(A)のように、扉状形33の先端D(符号324)をスリットB(符号312)に差し込みする。スリットB(符号312)は板紙32の紙厚を通せる溝幅にカットされているので、扉形状33は、その付け根(折り線Cの延長部)まで差し込まれる。同時に、差し込み片A(符号311)は、扉状33の先端Dの打ち抜き跡部E(符号325)に、その付け根(一方側板紙31の先端31e)まで差し込まれる。
扉形状33の先端Dが、スリットB(符号312)の先端に達し、差し込み片A(符号311)がその付け根まで差し込まれた際の断面形状(図5(A)の矢印yから見た図)は、図5(B)のように、長さeを2辺とする二等辺三角形であるが正三角形を形成するようにするのが組み立てを容易にする。
【0020】
図6は、裏面板紙の組み立て完了後の状態を示す図である。扉形状33と差し込み片A(符号311)の双方を付け根まで差し込みし、他方紙板紙32の先端32eの裏面の面ファスナー326と一方側板紙31の表面の面ファスナー316とを係合させると双方の板紙は平面な状態になり強固な結合を得ることができる。
面ファスナー等を用いずに、別のスリットF(符号319)を、一方側板紙31に設けて先端部32eを差し込みするようにしてもよい。
【0021】
図7は、他方側板紙の形状を示す詳細図である。図7(A)は折り線C(符号321)と扉形状33を打ち抜いた後の状態を示し、図7(B)は折り線Cを開閉軸として扉形状33と他方側板紙の先端32eとを一体に90°開いた状態を示している。
扉形状33側が紙面の背後になり先端32eが紙面の手前側に立ち上がることになる。折り線C(符号321)は他方側板紙32を紙面の手前側から押し付けて形成するので、この方向にのみ開く。
扉形状33を打ち抜いた後の先端Dの部分には、打ち抜き跡部Eが形成されている。この打ち抜き跡部Eの先端(破線と実践で囲まれた部分)Kがスリットの役割をするので、一方側板紙31の差し込み片Aの厚みを通すことができるように全体として細長い矩形状に形成される。すなわち、スリットBと同様に打ち抜き跡部Eの先端Kも板紙またはプラスチック板の厚みに相当する溝幅に形成される。
【0022】
図8は、組み立て式立体物のブランク展開図である。図中、破線は折り曲げ線である。 図8は、2段重ねの組み立て式立体物1を作る場合の例であり、表面側板紙2と裏面側板紙3がそれぞれ2セット準備される。
表面側板紙2の糊代27部分に一方側板紙31が、糊代28部分に他方側板紙32が接着される。蓋板4は底板用との2枚であり、2段の中間部分は省略した形態である。
表面側板紙2の上下段間は、糊代29により接着されるが、裏面側板紙3の上下段間は接着しなくてもよい。裏面側板紙3の上下段間に開口37,38を設けることにより、積み重ねた段間に指を差し込みでき、組み立て式立体物1の持ち運びが便利となる。
蓋板4は、糊代45,46を表面側板紙2の内面に接着する。蓋板4の開閉を容易にするため、折り曲げ部分に細い溝43,44を打ち抜きする。蓋板4の頂部には面ファスナー42f等を貼着する板部分47,48を形成する。当該板部分47,48を蓋板4の下方側に折り曲げて、表面側板紙2の内面の面ファスナー等に固定する。
【0023】
図9は、本発明の箱ケースを示す図である。本発明の箱ケース(段ボール箱)5は、箱ケース5を開閉する上面および/または底面に、本発明の板紙またはプラスチック板の結合構造が採用されている。図9の場合は、段ボール箱5の上面の一方側板紙51に差し込み片A(符号511)とスリットB(符号512)が形成され、他方側板紙52に扉形状533とその先端524、および打ち抜き跡部525が形成されている。
これらの詳細な構造は、前述した組み立て式立体物1と同様である。扉形状533の先端524は打ち抜いた形状から平行に5〜10mm切断してもよい。面ファスナーや両面接着テープ516,526を同様に使用することができる。底面側にも上記結合構造を採用してもよいものである。
また、段ボール箱に限らず板紙ケースに利用できることは明らかである。板紙ケースの場合は、ケーキ用の箱や贈答箱等に好適に用いることができる。
本発明に係る箱ケースは、上蓋や底板を粘着テープで接着しなくても、平面的に嵌め合わせして結合できるので、外観を美麗にできると共に、その外観状態を維持して何回でも開けたり閉じたりすることができる。
【0024】
図10は、箱ケースのブランク展開図である。図中、破線は折り曲げ線である。
箱ケース5は、上面にのみ結合構造を有する例である。箱ケース5の側面は側面板53〜56からなり、底面は底板57,58とフラップ57f,58fからなっている。 また、上面は、前記一方側板紙51と他方側板紙52、およびフラップ51f,52fからなっている。側面板には糊代59を有している。
図10では、一方側板紙51は、ほぼ上面の全体を覆う大きさになっているので、嵌め合わせが箱の一方側に寄る構造になるが、中央で嵌め合わせる構造にしてもよい。
【0025】
<材質に関する実施形態>
板紙材料としては、300g/m2 〜500g/m2 程度のものを使用できる。組み立て式立体物の場合、裏面側板紙は、立体物全体を支持する骨格部材となるので、表面側よりは強度のある材料の使用が好ましい。
段ボールの場合は、Aフルート(段数34±2/30cm、高さ4.5mm)、Bフルート(段数50±2/30cm、高さ2.8mm)、Cフルート(段数94±2/30cm、高さ1.2mm)、Wフルート(A段とB段を重ねたもの)、片面段ボール、両面段ボール等があり、これらを適宜使用できる。
【0026】
プラスチック板を使用する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)板やポリプロピレン板、ポリエチレン板や硬質の塩化ビニル板等を使用できる。厚みは打ち抜き加工や折り線加工が容易にできる、0.05mmから0.5mm程度のものを使用する。
【実施例1】
【0027】
組み立て式立体物1の表面側板紙2として、ハイパールのL判/39.5kgを使用し、裏面側板紙としてBフルートの段ボールを使用した。
表面側板紙2の広告用絵柄面が全長428mmとなるようにし、その両端に25mm幅の糊代部27,28を設けた。1段の高さを350mmとし、2段重ねで700mmの高さの立体物1になるようにした(図8参照)。
一方側板紙31の差し込み片A(符号311)は、長さaが97.2mm、幅bが30.8mm、スリットB(符号312)の長さdが115.6mm、差し込み片Aの基部からの距離c(図3参照)は38.5mm程度となるようにし、他方側板紙32の扉形状の軸部の長さdを115.6mm、扉形状の先端D(符号324)の長さが97.2mmになるようにした。また、軸部から扉の先端までの長さeは、41.5mmとなった。
【0028】
このブランクを組み立て(一部接着)し、図1に図示するような立体物1を完成した。立体物1は、立体形状であることと、前面が曲面であることから広角的に人目を引き付け易い効果を有していた。また、展示完了後に結合部を解除して平面状態に戻すのも容易であった。
【実施例2】
【0029】
組み立て式立体物1の表面側板紙2として、ハイパールのL判/39.5kgを使用し、裏面側プラスチック板として、0.8mm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)板を使用した。この両者の材料を実施例1と同一の寸法で打ち抜きし、ブランクを形成した。表面側板紙2と裏面側PETシートとの間は、接着剤で接着した。
このブランクを組み立てし、図1に図示するような立体物1を完成した。PET板の場合も嵌め込みが容易であり、強い結合構造が得られた。
【実施例3】
【0030】
箱ボール箱5として、Bフルートを用いて、この材料を実施例1と同一の形態で、段ボール箱を開閉する上面の結合構造に用いた、段ボール箱5の4側面および底面は、図10のブランク板のように従来構造を採用した。
【0031】
本発明の板紙またはプラスチック板の結合構造については、特別に実施例を記載していないが、上記組み立て式立体物1の説明および実施例1〜実施例3中に十分に開示されていると考える。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の板紙またはプラスチック板の結合構造は、平面な板紙またはプラスチック板相互間を接着剤等を使用しないで、しかも平面状態で分厚い構造にならないように結合できること、および結合を解除することが可能で反復利用性があることから、今後多方面の技術分野で利用可能となるものである。
【符号の説明】
【0033】
1 組み立て式立体物
2 表面側板紙
3 裏面側板紙
4 蓋板
5 箱ケース、段ボール箱
31 一方側板紙
32 他方側板紙
33 扉形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の板紙またはプラスチック板の両端を嵌め合わせして結合する構造において、該両端の板紙またはプラスチック板のうち、一方側板紙またはプラスチック板は端縁に突出した長さa、幅bの差し込み片Aと該差し込み片Aの基部から距離c離隔した位置に、前記端縁に平行である長さdのスリットBを有する構成とし、他方側板紙またはプラスチック板は端縁から距離f離隔した位置に、端縁に平行な折り線Cを中央部分を除く中抜き直線状に形成し、該折り線Cを軸として開閉する軸部の長さdである扉形状を、前記折り線Cの形成されない中抜き部の上端と下端を始点として打ち抜きした構成とし、前記差し込み片Aを前記他方側板紙またはプラスチック板の裏面側から前記扉形状の打ち抜き跡部Eに差し込みし、扉形状の先端Dを前記一方側板紙またはプラスチック板の前記スリットBに表面側から折り線C部分まで差し込みして結合する構造としたことを特徴とする板紙またはプラスチック板の結合構造。
【請求項2】
前記扉形状が、その先端Dの長さが回転軸部の長さdと同等である「コ」の字状であるか、先端Dの長さが軸部の長さdよりも短い凸形状であることを特徴とする請求項1記載の板紙またはプラスチック板の結合構造。
【請求項3】
他方側板紙またはプラスチック板の端縁付近の裏面と、一方側板紙またはプラスチック板と他方側板紙またはプラスチック板とを嵌め合わせて結合した際に他方側板紙またはプラスチック板の端縁付近に対応する一方側板紙またはプラスチック板の表面に、相互に係合する面ファスナーまたは両面粘着テープを貼付したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の板紙またはプラスチック板の結合構造。
【請求項4】
一方側板紙またはプラスチック板の他方側板紙またはプラスチック板の端縁が重なる位置に、他方側板紙またはプラスチック板の端縁を差し込むスリットFを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項記載の板紙またはプラスチック板の結合構造。
【請求項5】
スリットBと打ち抜き跡部Eが板紙またはプラスチック板の厚みに相当する溝幅に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の板紙またはプラスチック板の結合構造。
【請求項6】
板紙または段ボールからなり全体が中空の箱体の少なくとも1の面において、平面な2枚の板紙または段ボールの両端を嵌め合わせて結合した組み立て式箱ケースにおいて、該両端の板紙または段ボールのうち、一方側板紙または段ボールは端縁に突出した長さa、幅bの差し込み片Aと該差し込み片Aの基部から距離c離隔した位置に、前記端縁に平行である長さdのスリットBを有する構成とし、他方側板紙または段ボールは端縁から距離f離隔した位置に、端縁に平行な折り線Cを中央部分を除く中抜き直線状に形成し、該折り線Cを軸として開閉する軸部の長さdである扉形状を、前記折り線Cの形成されない中抜き部の上端と下端を始点として打ち抜きした構成とし、前記差し込み片Aを前記他方側板紙または段ボールの裏面側から前記扉形状の打ち抜き跡部Eに差し込みし、扉形状の先端Dを前記一方側板紙または段ボールの前記スリットBに表面側から折り線C部分まで差し込みして結合する構造としたことを特徴とする組み立て式箱ケース。
【請求項7】
前記扉形状が、その先端Dの長さが回転軸部の長さdと同等である「コ」の字状であるか、先端Dの長さが軸部の長さdよりも短い凸形状であることを特徴とする請求項6記載の組み立て式箱ケース。
【請求項8】
他方側板紙または段ボールの端縁付近の裏面と、一方側板紙または段ボールと他方側板紙または段ボールとを嵌め合わせて結合した際に他方側板紙または段ボールの端縁付近に対応する一方側板紙または段ボールの表面に、相互に係合する面ファスナーまたは両面粘着テープを貼付したことを特徴とする請求項6または請求項7記載の組み立て式箱ケース。
【請求項9】
一方側板紙または段ボールの他方側板紙または段ボールの端縁が重なる位置に、他方側板紙または段ボールの端縁を差し込むスリットFを設けたことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1の請求項記載の組み立て式箱ケース。
【請求項10】
スリットBと打ち抜き跡部Eが板紙または段ボールの厚みに相当する溝幅に形成されていることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1の請求項記載の組み立て式箱ケース。
【請求項11】
板紙からなり全体が中空柱状体の立体物の表面側広告面を、半円柱状、半楕円柱状、多角柱状、かまぼこ形状のいずれかとし、裏面を平面とし、該裏面において平面な板紙の両端を嵌め合わせて結合した組み立て式立体物において、該両端の板紙のうち、一方側板紙は端縁に突出した長さa、幅bの差し込み片Aと該差し込み片Aの基部から距離c離隔した位置に、前記端縁に平行である長さdのスリットBを有する構成とし、他方側板紙は端縁から距離f離隔した位置に、端縁に平行な折り線Cを中央部分を除く中抜き直線状に形成し、該折り線Cを軸として開閉する軸部の長さdである扉形状を、前記折り線Cの形成されない中抜き部の上端と下端を始点として打ち抜きした構成とし、前記差し込み片Aを前記他方側板紙の裏面側から前記扉形状の打ち抜き跡部Eに差し込みし、扉形状の先端Dを前記一方側板紙の前記スリットBに表面側から折り線C部分まで差し込みして結合する構造としたことを特徴とする組み立て式立体物。
【請求項12】
裏面の板紙が表面側板紙をその左右両端部で折り曲げした1枚の連続した板紙であるか、または表面側板紙の左右両端部の双方または片方に接着した1枚または2枚の平面な板紙からなるものかのいずれかであることを特徴とする請求項11記載の組み立て式立体物。
【請求項13】
前記扉形状が、その先端Dの長さが回転軸部の長さdと同等である「コ」の字状であるか、先端Dの長さが軸部の長さdよりも短い凸形状であることを特徴とする請求項11または請求項12記載の組み立て式立体物。
【請求項14】
他方側板紙の端縁付近の裏面と、一方側板紙と他方側板紙とを嵌め合わせて結合した際に他方側板紙の端縁付近に対応する一方側板紙の表面に、相互に係合する面ファスナーまたは両面粘着テープを貼付したことを特徴とする請求項11ないし請求項13のいずれか1の請求項記載の組み立て式立体物。
【請求項15】
一方側板紙の他方側板紙の端縁が重なる位置に、他方側板紙の端縁を差し込むスリットFを設けたことを特徴とする請求項11ないし請求項14のいずれか1の請求項記載の組み立て式立体物。
【請求項16】
スリットBと打ち抜き跡部Eが板紙の厚みに相当する溝幅に形成されていることを特徴とする請求項11ないし請求項15のいずれか1の請求項記載の組み立て式立体物。
【請求項17】
組み立て式立体物の上端または下端の開口部を塞ぐ折り畳み式蓋板および底板を設け、蓋板および底板の先端を面ファスナーで表面側板紙の裏面に固定するようにしたことを特徴とする請求項11ないし請求項16のいずれか1の請求項記載の組み立て式立体物。
【請求項18】
組み立て式立体物を柱状体の長さ方向に2段または3段の積み重ね構造としたことを特徴とする請求項11ないし請求項17のいずれか1の請求項記載の組み立て式立体物。
【請求項19】
板紙に替えて段ボールまたは屈曲性があるプラスチック板を使用することを特徴とする請求項11ないし請求項18のいずれか1の請求項記載の組み立て式立体物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−241433(P2010−241433A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88782(P2009−88782)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】